【課題】テンプレート画像の辞書を用いた画像のパターンマッチングを行うことなく、例えば乗物に乗っていない人(歩行者等)などの所定の移動体を、高い精度で他の移動体から判別して検出することができる、移動体検出装置を提供する。
【解決手段】カメラ1は、所定領域を撮像する。処理部2は、カメラ1から時間経過に従って得られる各画像について、当該画像における移動体領域を得る移動体領域取得手段と、同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域の時間経過に従った形状変化に基づいて、前記移動体が所定の移動体であるか否かを判定する判定手段とを有する。
前記指標値取得手段は、同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について、当該移動体領域の全領域の面積に対する当該移動体領域における所定方向の一方側の部分領域の面積の比率に応じた第1の値を求めて、同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域に関する前記第1の値の変化に基づいて前記指標値を取得することを特徴とする請求項2記載の移動体検出装置。
前記指標値取得手段は、(i)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について、当該移動体領域の全領域の面積に対する当該移動体領域における所定方向の一方側の部分領域の面積の比率に応じた第1の値を求める第1の演算手段と、(ii)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について、当該移動体領域までの時系列順の第1の所定数の前記移動体領域の各々について求められた前記第1の値の平均値に応じた第2の値を求める第2の演算手段と、(iii)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について前記第2の演算手段により求められた最新までの第2の所定数の前記第2の値の時系列が、基準値に対して上下に又は下から上に又は上から下に交差する回数を、前記指標値として求める第3の演算手段と、を有する、
ことを特徴とする請求項3記載の移動体検出装置。
前記基準値は、同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について前記第2の演算手段により求められた最新までの前記第2の所定数の前記第2の値の平均値であることを特徴とする請求項4記載の移動体検出装置。
前記指標値取得手段は、(i)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について、当該移動体領域の全領域の面積に対する当該移動体領域における所定方向の一方側の部分領域の面積の比率に応じた第1の値を求める第1の演算手段と、(ii)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について前記第1の演算手段により求められた最新までの所定数の前記第1の値の時系列の近似曲線が、基準値に対して上下に又は下から上に又は上から下に交差する回数を、前記指標値として求める第2の演算手段と、を有する、
ことを特徴とする請求項3記載の移動体検出装置。
前記基準値は、同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について前記第1の演算手段により求められた最新までの前記所定数の前記第1の値の平均値であることを特徴とする請求項6記載の移動体検出装置。
前記指標値取得手段は、(i)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について、当該移動体領域の全領域の面積に対する当該移動体領域における所定方向の一方側の部分領域の面積の比率に応じた第1の値を求める第1の演算手段と、(ii)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について、当該移動体領域までの時系列順の第1の所定数の前記移動体領域の各々について求められた前記第1の値の平均値に応じた第2の値を求める第2の演算手段と、(iii)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について前記第2の演算手段により求められた最新までの第2の所定数の前記第2の値の時系列の、極大の数、極小の数又はそれらの合計の数を、前記指標値として求める第3の演算手段と、を有する、
ことを特徴とする請求項3記載の移動体検出装置。
前記指標値取得手段は、(i)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について、当該移動体領域の全領域の面積に対する当該移動体領域における所定方向の一方側の部分領域の面積の比率に応じた第1の値を求める第1の演算手段と、(ii)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について前記第1の演算手段により求められた最新までの所定数の前記第1の値の時系列の近似曲線の、極大の数、極小の数又はそれらの合計の数を、前記指標値として求める第2の演算手段と、を有する、
ことを特徴とする請求項3記載の移動体検出装置。
前記移動体領域取得手段は、前記撮像手段から時間経過に従って得られる前記各画像について、当該画像から背景画像を差し引いた差分画像を得る差分画像取得手段と、前記差分画像を2値化する2値化処理手段と、該2値化処理手段により2値化された各画像に対してラベリングを行うラベリング手段と、前記2値化された各画像のラベル領域又はそのラベル領域のうち所定大きさ以上のラベル領域を前記移動体領域として求める手段と、を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の移動体検出装置。
前記撮像手段により撮像された前記画像のうち前記移動体領域を除く部分に基づいて、前記背景画像を更新する更新手段を備えたことを特徴とする請求項13記載の移動体検出装置。
前記所定方向は、前記画像の中心を通りかつ鉛直方向に対応する方向に延びる前記画像中の直線に対して小さい方の角度が45゜以上の角度をなす方向であることを特徴とする請求項3乃至14のいずれかに記載の移動体検出装置
前記移動体領域取得手段により得られた前記移動体領域が自動車によるものであるか否かを判定する自動車判定手段を備えたことを特徴とする請求項16記載の移動体検出装置。
前記移動体領域取得手段により得られた前記移動体領域が原動機を備えた二輪車によるものであるか否かを判定する二輪車判定手段を備えたことを特徴とする請求項16又は17記載の移動体検出装置。
同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域として、同一の移動体によるものと推定されかつ所定条件を満たす前記各画像の前記移動体領域が用いられることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の移動体検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の装置では、画像内の被写体を含む一部画像領域と、予め定められた辞書に格納されたテンプレート画像を比較することで、被写体を認識する認識手段が用いられており、画像のパターンマッチングにより歩行者を自転車等から判別して検出するものであるため、画像のパターンマッチングの処理に多大な処理量を要する。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、テンプレート画像の辞書を用いた画像のパターンマッチングを行うことなく、例えば乗物に乗っていない人(歩行者等)などの所定の移動体を、高い精度で他の移動体から判別して検出することができる移動体検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として、以下の各態様を提示する。第1の態様による移動体検出装置は、所定領域を撮像する撮像手段と、前記撮像手段から時間経過に従って得られる各画像について、当該画像における移動体領域を得る移動体領域取得手段と、同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域の時間経過に従った形状変化に基づいて、前記移動体が所定の移動体であるか否かを判定する判定手段と、を備えたものである。
【0007】
この第1の態様によれば、同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域の時間経過に従った形状変化に基づいて、前記移動体が所定の移動体であるか否かを判定するので、テンプレート画像の辞書を用いた画像のパターンマッチングを行うことなく、例えば乗物に乗っていない人(歩行者等)などの所定の移動体を、高い精度で他の移動体から判別して検出することができる。
【0008】
第2の態様による移動体検出装置は、前記第1の態様において、前記形状変化の様子を示す指標値を得る指標値取得手段を備え、前記判定手段は、前記指標値に基づいて、前記移動体が前記所定の移動体であるか否かを判定するものである。
【0009】
この第2の態様によれば、前記形状変化の様子を示す指標値を得て、この指標値に基づいて前記移動体が前記所定の移動体であるか否かを判定するので、前記移動体が前記所定の移動体であるか否かの判定をより容易に行うことができる。
【0010】
第3の態様による移動体検出装置は、前記第2の態様において、前記指標値取得手段は、同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について、当該移動体領域の全領域の面積に対する当該移動体領域における所定方向の一方側の部分領域の面積の比率に応じた第1の値を求めて、同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域に関する前記第1の値の変化に基づいて前記指標値を取得するものである。
【0011】
この第3の態様は、前記面積の比率に応じた第1の値を利用して指標値を取得する例を挙げたものである。
【0012】
第4の態様による移動体検出装置は、前記第3の態様において、前記指標値取得手段は、(i)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について、当該移動体領域の全領域の面積に対する当該移動体領域における所定方向の一方側の部分領域の面積の比率に応じた第1の値を求める第1の演算手段と、(ii)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について、当該移動体領域までの時系列順の第1の所定数の前記移動体領域の各々について求められた前記第1の値の平均値に応じた第2の値を求める第2の演算手段と、(iii)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について前記第2の演算手段により求められた最新までの第2の所定数の前記第2の値の時系列が、基準値に対して上下に又は下から上に又は上から下に交差する回数を、前記指標値として求める第3の演算手段と、を有するものである。
【0013】
この第4の態様は、前記面積の比率に応じた第1の値を利用して指標値を取得する場合の具体例を挙げたものである。
【0014】
第5の態様による移動体検出装置は、前記第4の態様において、前記基準値は、同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について前記第2の演算手段により求められた最新までの前記第2の所定数の前記第2の値の平均値であるものである。
【0015】
この第5の態様は、前記基準値の例として前記平均値を挙げたものである。
【0016】
第6の態様による移動体検出装置は、前記第3の態様において、前記指標値取得手段は、(i)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について、当該移動体領域の全領域の面積に対する当該移動体領域における所定方向の一方側の部分領域の面積の比率に応じた第1の値を求める第1の演算手段と、(ii)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について前記第1の演算手段により求められた最新までの所定数の前記第1の値の時系列の近似曲線が、基準値に対して上下に又は下から上に又は上から下に交差する回数を、前記指標値として求める第2の演算手段と、を有するものである。
【0017】
この第6の態様は、前記面積の比率に応じた第1の値を利用して指標値を取得する場合の他の具体例を挙げたものである。
【0018】
第7の態様による移動体検出装置は、前記第6の態様において、前記基準値は、同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について前記第1の演算手段により求められた最新までの前記所定数の前記第1の値の平均値であるものである。
【0019】
この第7の態様は、前記基準値の例として前記平均値を挙げたものである。
【0020】
第8の態様による移動体検出装置は、前記第4又は第6の態様において、前記基準値は所定の一定値であるものである。
【0021】
この第7の態様は、前記基準値の例として所定の一定値を挙げたものである。
【0022】
第9の態様による移動体検出装置は、前記第4乃至第8のいずれかの態様において、前記判定手段は、前記第3の演算手段又は前記第2の演算手段により求められた回数が所定回数以上である場合に、前記移動体が前記所定の移動体であると判定するものである。
【0023】
この第9の態様は、前記判定手段による判定の具体例を挙げたものである。
【0024】
第10の態様による移動体検出装置は、前記第3の態様において、前記指標値取得手段は、(i)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について、当該移動体領域の全領域の面積に対する当該移動体領域における所定方向の一方側の部分領域の面積の比率に応じた第1の値を求める第1の演算手段と、(ii)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について、当該移動体領域までの時系列順の第1の所定数の前記移動体領域の各々について求められた前記第1の値の平均値に応じた第2の値を求める第2の演算手段と、(iii)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について前記第2の演算手段により求められた最新までの第2の所定数の前記第2の値の時系列の、極大の数、極小の数又はそれらの合計の数を、前記指標値として求める第3の演算手段と、を有するものである。
【0025】
この第10の態様は、前記面積の比率に応じた第1の値を利用して指標値を取得する場合の他の具体例を挙げたものである。
【0026】
第11の態様による移動体検出装置は、前記第3の態様において、前記指標値取得手段は、(i)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について、当該移動体領域の全領域の面積に対する当該移動体領域における所定方向の一方側の部分領域の面積の比率に応じた第1の値を求める第1の演算手段と、(ii)同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域について前記第1の演算手段により求められた最新までの所定数の前記第1の値の時系列の近似曲線の、極大の数、極小の数又はそれらの合計の数を、前記指標値として求める第2の演算手段と、を有するものである。
【0027】
この第11の態様は、前記面積の比率に応じた第1の値を利用して指標値を取得する場合の他の具体例を挙げたものである。
【0028】
第12の態様による移動体検出装置は、前記第10又は第11の態様において、前記判定手段は、前記第3の演算手段又は前記第2の演算手段により求められた数が所定数以上である場合に、前記移動体が前記所定の移動体であると判定するものである。
【0029】
この第12の態様は、前記判定手段による判定の具体例を挙げたものである。
【0030】
第13の態様による移動体検出装置は、前記第1乃至第12のいずれかの態様において、前記移動体領域取得手段は、前記撮像手段から時間経過に従って得られる前記各画像について、当該画像から背景画像を差し引いた差分画像を得る差分画像取得手段と、前記差分画像を2値化する2値化処理手段と、該2値化処理手段により2値化された各画像に対してラベリングを行うラベリング手段と、前記2値化された各画像のラベル領域又はそのラベル領域のうち所定大きさ以上のラベル領域を前記移動体領域として求める手段と、を有するものである。
【0031】
この第13の態様は、移動体領域の取得の具体例を挙げたものである。
【0032】
第14の態様による移動体検出装置は、前記第13の態様において、前記撮像手段により撮像された前記画像のうち前記移動体領域を除く部分に基づいて、前記背景画像を更新する更新手段を備えたものである。
【0033】
この第14の態様によれば、前記背景画像を更新する更新手段を備えているので、周囲の状況(日照条件や照明など)が変化しても、より高い精度で移動体領域を取得することができ、ひいては、所定の移動体をより高い精度で他の移動体から判別して検出することができる。
【0034】
第15の態様による移動体検出装置は、前記第3乃至第14のいずれかの態様において、前記所定方向は、前記画像の中心を通りかつ鉛直方向に対応する方向に延びる前記画像中の直線に対して小さい方の角度が45゜以上の角度をなす方向であるものである。
【0035】
この第15の態様によれば、例えば前記所定の移動体が乗物に乗っていない人である場合における腕の振りによる移動体領域の形状変化のように、水平方向の形状変化が大きい場合、その形状変化を感度良く捉えることができ、ひいては、前記所定の移動体をより高い精度で他の移動体から判別して検出することができる。
【0036】
第16の態様による移動体検出装置は、前記第1乃至第15のいずれかの態様において、前記所定の移動体が乗物に乗っていない人であるものである。
【0037】
この第16の態様は、前記所定の移動体の例を挙げたものである。乗物に乗っていない人と自転車(人が乗っている自転車)とは一般的に判別が困難であるが、前記第1乃至前記第15の態様では、そのような判別も容易となる。
【0038】
第17の態様による移動体検出装置は、前記第16の態様において、前記移動体領域取得手段により得られた前記移動体領域が自動車によるものであるか否かを判定する自動車判定手段を備えたものである。
【0039】
この第17の態様によれば、自動車も判別して検出することができる。
【0040】
第18の態様による移動体検出装置は、前記第16又は第17の態様において、前記移動体領域取得手段により得られた前記移動体領域が原動機を備えた二輪車によるものであるか否かを判定する二輪車判定手段を備えたものである。
【0041】
この第18の態様によれば、原動機を備えた二輪車も判別して検出することができる。
【0042】
第19の態様による移動体検出装置は、前記第1乃至第18のいずれかの態様において、同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域として、同一の移動体によるものと推定されかつ所定条件を満たす前記各画像の前記移動体領域が用いられるものである。
【0043】
この第19の態様によれば、判定手段は移動体領域のうち所定条件を満たすものについて所定の移動体であるか否かを判定するので、前記判定手段は、前記所定条件を満たさずに前記所定の移動体である可能性がない移動体領域については、前記移動体領域の時間経過に従った形状変化に基づく判定を行わずに済む。
【0044】
第20の態様による移動体検出装置は、前記第16の態様において、前記移動体領域取得手段により得られた前記移動体領域が自動車によるものであるか否かを判定する自動車判定手段と、前記移動体領域取得手段により得られた前記移動体領域が原動機を備えた二輪車によるものであるか否かを判定する二輪車判定手段と、を備え、同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域として、同一の移動体によるものと推定されかつ所定条件を満たす前記各画像の前記移動体領域が用いられ、前記所定条件は、前記自動車判定手段により前記移動体領域が自動車によるものではないと判定されかつ前記二輪車判定手段により前記移動体領域が二輪車ではないと判定されたという条件であり、前記判定手段は、前記移動体が乗物に乗っていない人ではないと判定する場合に、前記移動体が自転車であると判定するものである。
【0045】
この第20の態様によれば、前記撮像手段が、乗物に乗っていない人と自転車の他に、自動車や原動機を備えた二輪車を撮像し得る場合であっても、それらを判別して検出することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、テンプレート画像の辞書を用いた画像のパターンマッチングを行うことなく、例えば乗物に乗っていない人(歩行者等)などの所定の移動体を、高い精度で他の移動体から判別して検出することができる移動体検出装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明による移動体検出装置について、図面を参照して説明する。
【0050】
図1は、本発明の第1の実施の形態による移動体検出装置を示す概略ブロック図である。
【0051】
本実施の形態による移動体検出装置は、
図1に示すように、所定領域を撮像する撮像手段としてのテレビカメラ1と、テレビカメラ1からの画像信号をA/D変換して画像メモリ3にサンプリングして取り込み、このサンプリングされた画像に基づいて処理を行って検出対象となる移動体を他の移動体から判別して検出する処理部2と、前記画像メモリ3とを備えている。なお、図面には示していないが、処理部2は、A/D変換器の他、後述する動作を実現するように、例えば、マイクロコンピュータ及び他の電子回路等で構成されている。
【0052】
本実施の形態による移動体検出装置は、具体的には、自転車の走行が禁止されている歩道において、人が乗っている自転車(以下、単に「自転車」という場合がある。)を、乗物に乗っていない人(以下、「歩行者等」という場合がある。)から判別して検出するように構成されている。歩行者等には、歩行者の他にジョガーやランナーも含まれる。処理部2から出力される自転車を検出した旨を示す自転車検出信号は、例えば、図示しない警報装置において、当該歩道を走行する自転車に対して警報(例えば、自転車はこの歩道を走行してはならない旨の音声)を発生するために用いられる。
【0053】
図2は、テレビカメラ1により撮像された画像の例を模式的に示す概略図である。本実施の形態では、図面には示していないが、テレビカメラ1は、自転車の走行が禁止されている歩道を含む領域を撮像するように、歩道の斜め上方に設置されている。
図2において、11は自転車の走行が禁止されている歩道の像、12は車道の像、13は歩行者等の像、14は人が乗っている自転車の像である。
【0054】
図2に示すように、互いに直交するX軸及びY軸を定義する。X軸方向のうち矢印の向きを+X方向又は+X側又は右側、その反対の向きを−X方向又は−X側又は左側と呼び、+X方向のX座標の値は大きく、−X方向のX座標の値は小さく、Y軸についても同様である。本実施の形態では、テレビカメラ1による画像は長方形をなし、その長辺方向がX軸方向と一致し、その短辺方向がY軸方向と一致している。
図2からわかるように、テレビカメラ1により撮像される画像の中心を通る前記画像中のY軸方向の直線(図示せず)は、ほぼ鉛直方向に対応する方向に延びている。これにより、本実施の形態では、X軸方向が、テレビカメラ1により撮像される画像の中心を通りかつ鉛直方向に対応する方向に延びる前記画像中の直線に対して小さい方の角度がほぼ90゜の角度をなす方向になっている。X軸方向が、テレビカメラ1により撮像される画像の中心を通りかつ鉛直方向に対応する方向に延びる前記画像中の直線に対して小さい方の角度が45゜以上の角度をなす方向となるように、テレビカメラ1を設置することが、歩行者等の腕の振りによる形状変化を感度良く捉えるために好ましい。
【0055】
次に、本実施の形態による移動体検出装置の動作について、
図3及び
図4を参照して説明する。
【0056】
図3は、
図1に示す移動体検出装置の動作の一部を示す概略フローチャートである。
図4は、
図1に示す移動体検出装置の動作の残りの部分を示す概略フローチャートである。
【0057】
本実施の形態による移動体検出装置では、動作を開始すると、まず、処理部2は、初期の背景画像を作成する(ステップS1)。具体的には、処理部2は、例えば、歩行者等や自転車などの移動体が存在しない状態でテレビカメラ1により撮像された画像をサンプリングして画像メモリ3に取り込み、この画像を初期の背景画像とする。
【0058】
以下の説明において、背景画像は、ステップS21で更新されるまでは、ステップS1で作成された初期の背景画像を意味し、ステップS21で更新された後には、ステップS21で最新に更新された背景画像を意味する。
【0059】
次に、処理部2は、テレビカメラ1からの現在の画像をサンプリングして画像メモリ3に取り込む(ステップS2)。このステップS2で最新にサンプリングされた画像を、現画像と呼ぶ。なお、本実施の形態では、テレビカメラ1は所定のフレームレート(例えば、30fps)で順次撮像し、ステップS2の後に以下に説明する処理を経てステップS2に戻ることを繰り返すが、ステップS2間で行われる処理は1フレーム周期内に終了し、各回のステップS2で、テレビカメラ1で所定のフレームレートで順次撮像される1フレームずつが順次取り込まれるようなっている。もっとも、本発明では必ずしもこれに限らない。
【0060】
なお、本実施の形態では、テレビカメラ1により撮像された画像の全領域を後述する処理の対象とするが、撮像画像中に検出すべき移動体(本実施の形態では、歩道上の自転車)が存在し得ない領域がある場合には、その領域をマスク処理して後述する処理の対象から除外してもよい。
【0061】
次いで、処理部2は、現画像と背景画像との差分画像(背景差分画像)を作成し(ステップS3)、この背景差分画像を所定閾値で2値化する(ステップS4)。ここでは、2値化後の背景差分画像において、現画像の画素と背景画像の画素との差が大きい画素は黒画素となるものとする。したがって、移動体が存在する箇所の画素は黒画素となる。なお、背景差分画像の2値化に用いる閾値は、固定閾値でもよいし、例えば判別分析法などによる可変閾値でもよい。
【0062】
図5は、ステップS4で2値化された差分画像中の実際の移動体領域の各具体例を示す図である。
図5(a)は、あるフレームの2値化された差分画像中の歩行者の像を示している。
図5(b)は、他のフレームの2値化された差分画像中の同じ歩行者の像を示している。
図5(a)に示す像では当該歩行者は歩行動作に従って左手及び右足を前に出しているのに対し、
図5(b)に示す像では当該歩行者は歩行動作に従って右手及び左足を前に出している。
図5(c)は、あるフレームの2値化された差分画像中の人が乗っている自転車の像を示している。
【0063】
引き続いて、処理部2は、ステップS4で得られた2値化後の背景差分画像に対してラベリングを行う(ステップS5)。
【0064】
その後、処理部2は、ステップS5でラベリングされた各ラベル領域のうち所定の大きさ以上のラベル領域のみを、それぞれ移動体領域として判別する(ステップS6)。あまりに小さいラベル領域は、移動体ではなくノイズ等であるので、本実施の形態のように、ラベル領域の大きさで移動体領域を選別することが好ましい。もっとも、処理部2は、ステップS6を行う代わりに、ラベル領域の大きさに拘わらず、全てのラベル領域をそれぞれ移動体領域として判別してもよい。なお、ステップS6で判別される移動体領域は1つに限らない。なお、ステップS6で所定の大きさ以上のラベル領域が存在しない場合には、ステップS2へ戻るが、その図示は省略している。
【0065】
次に、処理部2は、ステップS6で判別された移動体領域のうち、当該ステップS7で今回未だ選択されていない1つの移動体領域を選択する(ステップS7)。
【0066】
次いで、処理部2は、ステップS7で最新に選択された移動体領域について、当該移動体領域の全領域の面積に対する当該移動体領域における所定方向の一方側の部分領域の面積の比率に応じた第1の値として、当該移動体領域の左側面積比率を算出する(ステップS8)。ここでは、左側面積比率は、当該移動体領域の画素のうちもっとも小さいX座標を有する画素の当該X座標をx1とし、当該移動体領域の画素のうちもっとも大きいX座標を有する画素の当該X座標をx2とするとき、当該移動体領域の画素のうちx1から[{(x2−x1)×0.5}+x1]までのX座標を有する画素の数を、当該移動体領域の全画素数で除算した値である。前記左側面積比率は、必ずしもこれに限らず、例えば、当該移動体領域の画素のうちx1から[{(x2−x1)×0.4}+x1]までのX座標を有する画素の数を当該移動体領域の全画素数で除算した値でもよいし、当該移動体領域の画素のうちx1から[{(x2−x1)×0.6}+x1]までのX座標を有する画素の数を当該移動体領域の全画素数で除算した値でもよいし、αを小さい値としたとき、当該移動体領域の画素のうちの(x1+α)から[{(x2−x1)×0.5}+x1]までのX座標を有する画素の数を、当該移動体領域の全画素数で除算した値でもよい。前記第1の値は、前記左側面積比率に限らず、例えば、前記左側面積比率に比例定数を乗算した値や、前記左側面積比率の逆数などでもよい。
【0067】
また、前記第1の値は、当該移動体領域の右側面積比率でもよいし、前記右側面積比率に比例定数を乗算した値や、前記右側面積比率の逆数などでもよい。前記右側面積比率は、当該移動体領域の画素のうちの[{(x2−x1)×0.5}+x1]からx2までのX座標を有する画素の数を当該移動体領域の全画素数で除算した値でもよいし、当該移動体領域の画素のうちの[{(x2−x1)×0.4}+x1]からx2までのX座標を有する画素の数を当該移動体領域の全画素数で除算した値でもよいし、当該移動体領域の画素のうちの[{(x2−x1)×0.6}+x1]からx2までのX座標を有する画素の数を当該移動体領域の全画素数で除算した値でもよいし、当該移動体領域の画素のうちの[{(x2−x1)×0.5}+x1]から(x2−α)までのX座標を有する画素の数を当該移動体領域の全画素数で除算した値でもよい。
【0068】
図6は、テレビカメラ1により撮像された各フレームと、当該フレームの2値化された差分画像中の同一の歩行者を示す移動体領域の左側面積比率(左比率)及び右側面積比率(右比率)との関係の実際の一例を示す図であり、実験により得たものである。
図7は、撮像された各フレームと、当該フレームの2値化された差分画像中の同一の人が乗っている自転車を示す移動体領域の左側面積比率(左比率)及び右側面積比率(右比率)との関係の実際の一例を示す図であり、実験により得たものである。
図6及び
図7中の横軸の数値pのフレームは、この実験で30fpsで順次得たフレームのうちのp番目のフレームを示している。例えば、
図6中の横軸の数値「400」のフレームは、この実験で30fpsで順次得たフレームのうちの400番目のフレームを示している。
【0069】
図6及び
図7において、左側面積比率(左比率)は、ステップS8で算出されるものと同様に、当該移動体領域の画素のうちx1から[{(x2−x1)×0.5}+x1]までのX座標を有する画素の数を当該移動体領域の全画素数で除算した値とした。また、
図6及び
図7において、右側面積比率(右比率)は、当該移動体領域の画素のうち[{(x2−x1)×0.5}+x1]からx2までのX座標を有する画素の数を当該移動体領域の全画素数で除算した値とした。よって、同一フレームの左側面積比率(左比率)と右側面積比率(右比率)との和は、1となっている。
【0070】
図6からわかるように、移動体が歩行者である場合には、左側面積比率及び右側面積比率はそれぞれ周期的に上下することが判明した。これは、移動体が歩行者である場合には、その歩行動作に従って、
図5(a)のように左手及び右足を前に出している状態と
図5(b)のように右手及び左足を前に出す状態(特に腕の振り)を、周期的に繰り返すことによるものであることが判明した。移動体が歩行者ではなくジョガーやランナーであっても、移動体が乗物に乗っていない人である場合には、腕の振りによって左側面積比率及び右側面積比率はそれぞれ周期的に上下する。
【0071】
一方、
図7からわかるように、移動体が人が乗っている自転車である場合には、左側面積比率及び右側面積比率はそれぞれ周期的に上下することはないことが判明した。これは、
図5(c)に示すような姿勢を保って腕を振ることがないことによるものであることが判明した。
【0072】
このように、移動体が歩行者等である場合と人が乗っている自転車である場合とで、その移動体による移動体領域の時間経過に従った形状変化に差異が生じて、前記第1の値の変化に差異が生じ、左側面積比率又は右側面積比率が周期的に上下するか否かが異なる。したがって、左側面積比率又は右側面積比率が周期的に上下するか否かによって、当該移動体領域の移動体が歩行者等であるか人が乗っている自転車であるかを判別することができる。
【0073】
図6及び
図7からわかるように、左側面積比率及び右側面積比率はノイズによる影響を受け易い。これに対し、
図6に示すデータを処理して得た
図8、及び、
図7に示すデータを処理して得た
図9では、ノイズの影響を低減することができることが判明した。
図8は、撮像された各フレームと、当該フレームまでの最新の10フレームの同一の歩行者を示す移動体領域の左側面積比率の平均値及び右側面積比率の平均値との関係の実際の一例を示す図であって、
図6に示すデータから算出されたものである。
図9は、撮像された各フレームと、当該フレームまでの最新の10フレームの同一の人が乗っている自転車を示す移動体領域の左側面積比率の平均値及び右側面積比率の平均値との関係の実際の一例を示す図であって、
図7に示すデータから算出されたものである。例えば、
図8における400番目のフレームの左側面積比率平均(左比率平均)は、
図6における391番目から400番目までのフレームの左側面積比率(10個の左側面積比率)の平均値であり、
図8における400番目のフレームの右側面積比率平均(右比率平均)は、
図6における391番目から400番目までのフレームの右側面積比率(10個の右側面積比率)の平均値である。例えば、
図9における250番目のフレームの左側面積比率平均(左比率平均)は、
図7における241番目から250番目までのフレームの左側面積比率(10個の左側面積比率)の平均値であり、
図8における250番目のフレームの右側面積比率平均(右比率平均)は、
図9における241番目から250番目までのフレームの右側面積比率(10個の右側面積比率)の平均値である。
【0074】
図8及び
図9では、このように10個の比率の平均値を得ているが、2個以上の比率の平均値を得れば、ノイズの影響を低減することができる。もっとも、平均する比率の個数があまりに多ければ、人が乗っている自転車に関する左側面積比率又は右側面積比率の時間経過に従った周期的な上下が現れ難くなってしまう。したがって、平均する比率の個数(後述する値M)は、ノイズの影響の低減効果及び周期的な上下の顕在化の両方を考慮して適宜定めればよい。
【0075】
ステップS8の後に、処理部2は、ステップS7で最新に選択された移動体領域と同一の移動体によるものと推定される前回の画像(前回のステップS2で取り込まれた画像)の移動体領域が、存在するか否かを判定する(ステップS9)。例えば、今回の画像中のステップS7で最新に選択された移動体領域の中心座標と前回の画像中の移動体領域の中心座標との間を距離を求め、その距離が所定の距離以下である場合に両者の移動体領域は同一の移動体によるものであると推定するものとし、ステップS9の判定は、具体的には、例えば、今回の画像中のステップS7で最新に選択された移動体領域の中心座標に対して所定距離内に位置する中心座標を持つ前回の画像中の移動体領域が存在するか否かによって判定することができる。もっとも、両者の移動体領域が同一の移動体によるものと推定されるか否かの判定手法は、これに限らない。
【0076】
ステップS9で存在しないと判定されると、処理部2は、当該移動体に関するカウント値m,nを0にした(ステップS10)後に、当該移動体に関するカウント値mを1だけインクリメントする(ステップS11)。一方、ステップS9で存在すると判定されると、処理部2は、ステップS10を経ることなくステップS11へ移行して、当該移動体に関するカウント値mを1だけインクリメントする。したがって、カウント値mは、同一の移動体についての追跡回数(撮像画像数)を示すことになる。カウント値nは、後述するように、同一の移動体についてステップS13で算出された左側面積比率の平均値の数を示すことになる。なお、カウント値m,nは、移動体毎に設けられる。
【0077】
ステップS11の後、処理部2は、当該移動体に関するカウント値mが所定値M以上であるか否かを判定する(ステップS12)。前述したように、所定値Mは、平均する左側面積比率の個数を示し、ノイズの影響の低減効果及び人が乗っている自転車についての周期的な上下の顕在化の両方を考慮して、2以上の任意の値に設定され、例えば10とされる。
【0078】
ステップS12で所定値M以上であると判定されると、ステップS13へ移行する一方、ステップS12で所定値M以上ではないと判定されると、ステップS20へ移行する。
【0079】
ステップS13において、処理部2は、当該移動体について、ステップS7で最新に選択された移動体領域までの時系列順のM個の移動体領域の各々について求められた前記第1の値の平均値(本実施の形態では、左側面積比率平均)に応じた第2の値として、その左側面積比率平均を算出する。例えば、M=10であり、ステップS7で最新に選択された移動体領域が
図6中の400番目のフレームの画像中の移動体領域(歩行者による移動体領域)である場合には、ステップS13において、処理部2は、
図6における391番目から400番目までのフレームの左側面積比率(10個の左側面積比率)の平均値(
図8における400番目のフレームの左側面積比率平均)を算出する。また、例えば、M=10であり、ステップS7で最新に選択された移動体領域が
図7中の250番目のフレームの画像中の移動体領域(人が乗っている自転車による移動体領域)である場合には、ステップS13において、処理部2は、
図7における241番目から250番目までのフレームの左側面積比率(10個の左側面積比率)の平均値(
図9における250番目のフレームの左側面積比率平均)を算出する。なお、前記第2の値は、前記左側面積比率平均に限らず、例えば、前記左側面積比率平均に比例定数を乗算した値や、前記左側面積比率平均の逆数などでもよい。
【0080】
次に、処理部2は、当該移動体に関するカウント値nを1だけインクリメントする(ステップS14)。したがって、カウント値nは、同一の移動体についてステップS13で算出された左側面積比率の平均値の数を示すことになる。
【0081】
次いで、処理部2は、当該移動体に関するカウント値nが所定値N以上であるか否かを判定する(ステップS15)。この所定値Nは、ステップS13で算出された平均値の時間的な変化を調べる範囲を定める値であり、例えば、70にされる。例えば、
図8や
図9において、Nフレーム分の範囲について、ステップS13で算出された平均値の時間的な変化を、ステップS17で調べることになる。
【0082】
ステップS15で所定値N以上であると判定されると、ステップS16へ移行する一方、ステップS15で所定値N以上ではないと判定されると、ステップS20へ移行する。
【0083】
ステップS16において、処理部2は、当該移動体について、各ステップS13で求められた最新までのN個の左側面積比率平均の平均値を、基準値として算出する。
【0084】
引き続いて、処理部2は、当該移動体について各ステップS13で求められた最新までのN個の左側面積比率平均の時系列が、ステップS16で最新に算出された基準値に対して上下に交差する数cを、当該移動体領域の時間経過に従った形状変化の様子を示す指標値として求める(ステップS17)。例えば、N=70であり、ステップS7で最新に選択された移動体領域が
図8中の400番目のフレームの画像中の移動体領域(歩行者による移動体領域)である場合には、
図8中の331番目のフレームから400番目のフレームまでの70個の左側面積比率平均の時系列が、その70個の左側面積比率平均の平均値である基準値に対して上下に交差する数cを、指標値として求める。また、例えば、N=70であり、ステップS7で最新に選択された移動体領域が
図9中の290番目のフレームの画像中の移動体領域(人が乗っている自転車による移動体領域)である場合には、
図9中の221番目のフレームから290番目のフレームまでの70個の左側面積比率平均の時系列が、その70個の左側面積比率平均の平均値である基準値に対して上下に交差する数cを、指標値として求める。なお、ステップS17で用いる基準値は、ステップS16で算出した基準値に限らず、予め定めた所定の一定値でもよい。この場合、ステップS16を取り除き、ステップS15でYESの場合は直ちにステップS17へ移行すればよい。
【0085】
なお、ステップS17で求める指標値は、前述した例に限らず、例えば、当該移動体について各ステップS13で求められた最新までのN個の左側面積比率平均の時系列が、ステップS16で最新に算出された基準値に対して下から上に交差する数又は上から下に交差する数を、当該移動体領域の時間経過に従った形状変化の様子を示す指標値として求めてもよい。また、ステップS17で求める指標値は、例えば、当該移動体について各ステップS13で求められた最新までのN個の左側面積比率平均の時系列の、極大の数、極小の数又はそれらの合計の数であってもよい。これらの場合は、ステップS18でその数が所定数以上であるか否かを判定することになる。
【0086】
ステップS17の後、処理部2は、ステップS17で最新に求められた数cが所定数C以上であるか否かを判定する(ステップS18)。この所定数Cは、左側面積比率平均が周期的に上下するか否かを判別するための閾値である。ステップS18の判定によって、
図8に示すような左側面積比率平均の変化と
図9に示すような左側面積比率平均の変化とが判別され、当該移動体が歩行者等であるか人が乗っている自転車であるかが判別される。
【0087】
ステップS18で所定数C以上である(すなわち、当該移動体が歩行者等である)と判定されると、ステップS20へ移行する。一方、ステップS18で所定数C以上ではない(すなわち、当該移動体が人が乗っている自転車である)と判定されると、処理部2は、人が乗っている自転車を検出した旨を示す自転車検出信号を出力した(ステップS19)後に、ステップS20へ移行する。なお、ステップS18で所定数C以上であると判定された場合、処理部2は、必要に応じて、歩行者等を検出した旨を示す歩行者等検出信号を出力した後に、ステップS20へ移行してもよい。
【0088】
ステップS20において、処理部2は、ステップS6で最新に判別された移動体領域の全てについてステップS7の選択が終了したか否かを判定し、終了していなければステップS7へ戻り、終了していればステップS21を経てステップS2へ戻る。
【0089】
ステップS21において、処理部2は背景画像を更新する。具体的には、例えば、現在の背景画像をf(t−1)とし、更新後の背景画像をf(t)とし、ステップS2で最新にサンプリングされた画像(現画像)をg(t)とし、βを0<β<1を満たす重み係数であるとすると、ステップS6で最新に判別された移動体領域については、f(t)=f(t−1)とし、ステップS6で最新に判別された移動体領域以外の領域については、f(t)=βf(t−1)+(1−β)g(t)とすればよい。なお、本実施の形態では、ステップS2で現画像が得られる度にステップS21で背景画像の更新が行われることになるが、必ずしもこれに限らない。
【0090】
本実施の形態による移動体検出装置によれば、自転車の走行が禁止されている歩道において、人が乗っている自転車を、歩行者等から判別して検出することができる。例えば、本実施の形態による移動体検出装置の処理部2から出力される自転車検出信号に応答して、図示しない警報装置から当該歩道を走行する自転車に対して警報(例えば、自転車はこの歩道を走行してはならない旨の音声)を発生させることができる。
【0091】
本実施の形態によれば、同一の移動体によるものと推定される前記各画像の前記移動体領域の時間経過に従った形状変化に基づいて、ステップS18で前記移動体が歩行者等であるか否かを判定するので、テンプレート画像の辞書を用いた画像のパターンマッチングを行うことなく、歩行者等と人が乗っている自転車とを高い精度で判別して検出することができる。
【0092】
また、本実施の形態によれば、ステップS17で前記形状変化の様子を示す指標値を得て、ステップS18でこの指標値に基づいて前記移動体が歩行者等であるか否かを判定するので、前記移動体が歩行者等であるか否かの判定をより容易に行うことができる。
【0094】
図10は、本発明の第2の実施の形態による移動体検出装置の動作の一部を示す概略フローチャートである。
図11は、本発明の第2の実施の形態による移動体検出装置の動作の残りの部分を示す概略フローチャートである。
【0095】
本実施の形態による移動体検出装置が前記第1の実施の形態による移動体検出装置と異なる所は、
図3及び
図4に示す動作に代えて、
図10及び
図11に示す動作を行う点である。
【0096】
図10及び
図11に示す動作が
図3及び
図4に示す動作と異なる所は、主に、
図3及び
図4に示す動作では、左側面積比率平均の平均値を利用することでノイズの影響を低減しているのに対し、
図10及び
図11に示す動作では、左側面積比率平均の近似曲線を利用することでノイズの影響を低減している点である。以下に、
図10及び
図11に示す動作について、具体的に説明する。
【0097】
本実施の形態による移動体検出装置では、動作を開始すると、処理部2は、ステップS31〜S39において、前述したステップS1〜S9とそれぞれ同一の処理を行う。
【0098】
ステップS39で存在しないと判定されると、処理部2は、当該移動体に関するカウント値kを0にした(ステップS40)後に、当該移動体に関するカウント値kを1だけインクリメントする(ステップS41)。一方、ステップS39で存在すると判定されると、処理部2は、ステップS40を経ることなくステップS41へ移行して、当該移動体に関するカウント値kを1だけインクリメントする。したがって、カウント値kは、同一の移動体についての追跡回数(撮像画像数)を示すことになる。なお、カウント値kは、移動体毎に設けられる。
【0099】
ステップS41の後、処理部2は、当該移動体に関するカウント値kが所定値K以上であるか否かを判定する(ステップS42)。この所定値Kは、ステップS38で算出された左側面積比率の時間的な変化を調べる範囲を定める値であり、例えば、70にされる。例えば、
図6や
図7において、Kフレーム分の範囲について、ステップS38で算出された左側面積比率の近似曲線の時間的な変化を、ステップS45で調べることになる。
【0100】
ステップS42で所定値K以上であると判定されると、ステップS43へ移行する一方、ステップS42で所定値K以上ではないと判定されると、ステップS48へ移行する。
【0101】
ステップS43において、処理部2は、当該移動体について、ステップS37で最新に選択された移動体領域までの時系列順のK個の移動体領域の各々について求められた前記第1の値(本実施の形態では、左側面積比率)の近似曲線を取得する。この近似曲線は公知の種々の手法で得ることができる。
【0102】
その後、処理部2は、当該移動体について、ステップS37で最新に選択された移動体領域までの時系列順のK個の移動体領域の各々について求められた前記第1の値(本実施の形態では、左側面積比率)の平均値を、基準値として算出する(ステップS44)。
【0103】
引き続いて、処理部2は、当該移動体についてステップS43で最新に求められた近似曲線が、ステップS44で最新に算出された基準値に対して上下に交差する数dを、当該移動体領域の時間経過に従った形状変化の様子を示す指標値として求める(ステップS45)。なお、ステップS45で用いる基準値は、ステップS44で算出した基準値に限らず、予め定めた所定の一定値でもよい。この場合、ステップS44を取り除き、ステップS43の後に直ちにステップS45へ移行すればよい。
【0104】
なお、ステップS45で求める指標値は、前述した例に限らず、例えば、当該移動体についてステップS43で最新に求められた近似曲線が、ステップS44で最新に算出された基準値に対して下から上に交差する数又は上から下に交差する数を、当該移動体領域の時間経過に従った形状変化の様子を示す指標値として求めてもよい。また、ステップS45で求める指標値は、例えば、当該移動体についてステップS43で最新に求められた近似曲線の、極大の数、極小の数又はそれらの合計の数であってもよい。これらの場合は、ステップS46でその数が所定数以上であるか否かを判定することになる。
【0105】
ステップS45の後、処理部2は、ステップS45で最新に求められた数dが所定数D以上であるか否かを判定する(ステップS46)。この所定数Dは、前記近似曲線が周期的に上下するか否かを判別するための閾値である。ステップS46の判定によって、当該移動体が歩行者等であるか人が乗っている自転車であるかが判別される。
【0106】
ステップS46で所定数D以上である(すなわち、当該移動体が歩行者等である)と判定されると、ステップS48へ移行する。一方、ステップS46で所定数D以上ではない(すなわち、当該移動体が人が乗っている自転車である)と判定されると、処理部2は、人が乗っている自転車を検出した旨を示す自転車検出信号を出力した(ステップS47)後に、ステップS48へ移行する。なお、ステップS46で所定数D以上であると判定された場合、処理部2は、必要に応じて、歩行者等を検出した旨を示す歩行者等検出信号を出力した後に、ステップS48へ移行してもよい。
【0107】
ステップS48において、処理部2は、ステップS36で最新に判別された移動体領域の全てについてステップS37の選択が終了したか否かを判定し、終了していなければステップS37へ戻り、終了していればステップS49を経てステップS32へ戻る。ステップS49において、処理部2は、前述したステップS21と同様に、背景画像を更新する。
【0108】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0110】
図12は、本発明の第3の実施の形態による移動体検出装置の動作の一部を示す概略フローチャートである。
図13は、本発明の第3の実施の形態による移動体検出装置の動作の残りの部分を示す概略フローチャートである。
【0111】
本実施の形態による移動体検出装置が前記第1の実施の形態による移動体検出装置と異なる所は、テレビカメラ1が高速道路の入口などを撮像するように設置されている点と、
図3及び
図4に示す動作に代えて、
図12及び
図13に示す動作を行い、移動体として、歩行者等、人が乗っている自転車、自動車、及び、原動機を備えた二輪車(以下、「自動二輪車」と呼ぶ。)を互いに判別して検出する点である。以下に、
図12及び
図13に示す動作について、説明する。
【0112】
本実施の形態による移動体検出装置では、動作を開始すると、処理部2は、ステップS51〜S57において、前述したステップS1〜S7とそれぞれ同一の処理を行う。
【0113】
次に、処理部2は、ステップS57で最新に選択された移動体領域について、当該移動体領域の画像中の面積S及び位置を算出する(ステップS58)。同じ移動体であっても、撮像画像中ではテレビカメラ1に近いほど大きく映る。そこで、本実施の形態では、後述するステップS59,S61において当該移動体領域の面積Sに基づいて自動車や自動二輪車を他の移動体から判別するために、ステップS58において当該移動体領域の画像中の面積Sの他に当該移動体領域の画像中の位置も算出している。本実施の形態では、図面には示していないが、テレビカメラ1からの移動体の遠近方向が略々Y軸方向と一致している。このため、本実施の形態では、ステップS58において、当該移動体領域の画像中の位置として、当該移動体領域の画像中の中心のY座標位置yを算出する。もっとも、必要に応じて、例えばXY座標位置を算出してもよい。この場合、後述する判別用基準値はXY座標位置のパラメータとして予め定めておけばよい。
【0114】
図14は、各移動体を示す移動体領域の画像中の位置(Y座標位置y)と、各移動体を示す移動体領域の画像中の面積S及び判別用基準値S1(y),S2(y)との関係の実際の一例を示す図であり、実験により得たものである。
図14の横軸はY座標位置yを示し、
図14ではyの値が大きい程テレビカメラ1に近いものとしている。
図14の縦軸は、移動体領域の画像中の面積Sとしての、当該移動体領域の画素数を示している。
図14には、歩行者の面積、人が乗った自転車の面積、「原付」(原動機を備えた二輪車のうち、50cc以下の原動機を備えた二輪車)の面積、「自動2輪」(「原付」以外の原動機を備えた二輪車)の面積、自動車の面積が示されている。
図14において、歩行者の面積と人が乗った自転車の面積とはほぼ同じであり、両者は重なってしまい、両者を判別することは困難である。
図14に示すように、同じY座標位置yでは、歩行者の面積及び人が乗った自転車の面積に対して、「原付」の面積、「自動2輪」の面積及び自動車の面積の順に大きくなっている。
図14において、判別用基準値S1(y)は、各Y座標位置yにおいて自動車の面積と「自動2輪」の面積とを判別するための基準値であり、各Y座標位置yにおける自動車の面積と「自動2輪」の面積とのほぼ平均値となっている。判別用基準値S2(y)は、各Y座標位置yにおいて「原付」の面積と歩行者の面積及び人が乗った自転車の面積とを判別するための基準値であり、各Y座標位置yにおける「原付」の面積と歩行者の面積又は人が乗った自転車の面積とのほぼ平均値となっている。なお、判別用基準値S1(y),S2(y)は、テレビカメラ1の設置場所等に応じて、
図14に示すような実験データから予め求めておき、yを変数とする式の形式又はルックアップテーブルの形式などで、処理部2のメモリ等に格納しておけばよい。
【0115】
ステップS58の後に、処理部2は、ステップS58で最新に算出された当該移動体領域の面積Sが、ステップS58で最新に算出された当該移動体領域の位置yでの判別用基準値S1(y)以上であるか否かを判定する(ステップS59)。この判別用基準値S1(y)は、当該移動体領域が自動車によるものであるか否かを判別するための閾値となる。このステップS59は、当該移動体領域が自動車によるものであるか否かを判定する自動車判定手段に相当している。もっとも、自動車判定手段はこれに限らない。
【0116】
ステップS59で判別用基準値S1(y)以上である(すなわち、当該移動体が自動車である)と判定されると、処理部2は、自動車を検出した旨を示す自動車検出信号を出力した(ステップS60)後に、ステップS76へ移行する。一方、ステップS59で判別用基準値S1(y)以上ではないと判定されると、ステップS61へ移行する。
【0117】
ステップS61において、処理部2は、ステップS58で最新に算出された当該移動体領域の面積Sが、ステップS58で最新に算出された当該移動体領域の位置yでの判別用基準値S2(y)以上であるか否かを判定する。この判別用基準値S2(y)は、当該移動体領域が自動二輪車(原動機を備えた二輪車であり、「原付」及び「自動2輪」を含む。)によるものであるか否かを判別するための閾値となる。ステップS59,S61は全体として、当該移動体領域が自動二輪車によるものであるか否かを判定する二輪車判定手段に相当している。もっとも、二輪車判定手段はこれに限らない。
【0118】
ステップS61で判別用基準値S2(y)以上である(すなわち、当該移動体が自動二輪車である)と判定されると、処理部2は、自動二輪車を検出した旨を示す自動二輪車検出信号を出力した(ステップS62)後に、ステップS76へ移行する。一方、ステップS61で判別用基準値S2(y)以上ではないと判定されると、ステップS63へ移行する。
【0119】
処理部2は、ステップS63〜S73において、前述したステップS8〜S18とそれぞれ同一の処理を行う。
【0120】
ステップS73で所定数C以上である(すなわち、当該移動体が歩行者等である)と判定されると、処理部2は、歩行者等を検出した旨を示す歩行者等検出信号を出力した(ステップS74)後に、ステップS76へ移行する。一方、ステップS73で所定数C以上ではない(すなわち、当該移動体が人が乗っている自転車である)と判定されると、処理部2は、人が乗っている自転車を検出した旨を示す自転車検出信号を出力した(ステップS75)後に、ステップS76へ移行する。
【0121】
ステップS76において、処理部2は、ステップS56で最新に判別された移動体領域の全てについてステップS57の選択が終了したか否かを判定し、終了していなければステップS57へ戻り、終了していればステップS77を経てステップS52へ戻る。ステップS77において、処理部2は、前述したステップS21と同様に、背景画像を更新する。
【0122】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様に、テンプレート画像の辞書を用いた画像のパターンマッチングを行うことなく、歩行者等と人が乗っている自転車とを高い精度で判別して検出することができる。
【0123】
また、本実施の形態による移動体検出装置によれば、高速道路の入口などにおいて、移動体として、歩行者等、人が乗っている自転車、自動車、及び、自動二輪車を互いに判別して検出することができる。例えば、本実施の形態による移動体検出装置の処理部2から出力される自動車検出信号、自動二輪車検出信号、歩行者等検出信号及び自転車検出信号は、交通管制センターに送られ、高速道路の管理等に役立てられる。例えば、交通管制センターは、歩行者等検出信号や自転車検出信号に応答して、交通機動隊等へ指示を発することで、高速道路に誤って進入した歩行者や自転車を迅速に保護することができる。
【0124】
なお、本実施の形態による移動体検出装置は、例えば、交差点などにおいて、移動体として、歩行者等、人が乗っている自転車、自動車、及び、自動二輪車を互いに判別して検出するために用いてもよい。
【0126】
図15は、本発明の第4の実施の形態による移動体検出装置の動作の一部を示す概略フローチャートである。
図16は、本発明の第4の実施の形態による移動体検出装置の動作の残りの部分を示す概略フローチャートである。
【0127】
本実施の形態による移動体検出装置が前記第3の実施の形態による移動体検出装置と異なる所は、
図12及び
図13に示す動作に代えて、
図15及び
図16に示す動作を行う点である。
【0128】
図15及び
図16に示す動作が
図12及び
図13に示す動作と異なる所は、主に、
図12及び
図13に示す動作では、左側面積比率平均の平均値を利用することでノイズの影響を低減しているのに対し、
図15及び
図16に示す動作では、左側面積比率平均の近似曲線を利用することでノイズの影響を低減している点である。以下に、
図15及び
図16に示す動作について、具体的に説明する。
【0129】
本実施の形態による移動体検出装置では、動作を開始すると、処理部2は、ステップS81〜S94において、前述したステップS51〜S64それぞれ同一の処理を行う。ただし、ステップS90の後にステップS104へ移行し、ステップS92の後にステップS104へ移行する。
【0130】
ステップS94で存在しないと判定されると、処理部2は、当該移動体に関するカウント値kを0にした(ステップS95)後に、当該移動体に関するカウント値kを1だけインクリメントする(ステップS96)。一方、ステップS94で存在すると判定されると、処理部2は、ステップS95を経ることなくステップS96へ移行して、当該移動体に関するカウント値kを1だけインクリメントする。したがって、カウント値kは、同一の移動体についての追跡回数(撮像画像数)を示すことになる。なお、カウント値kは、移動体毎に設けられる。
【0131】
ステップS96の後、処理部2は、当該移動体に関するカウント値kが所定値K以上であるか否かを判定する(ステップS97)。この所定値Kは、ステップS93で算出された左側面積比率の時間的な変化を調べる範囲を定める値であり、例えば、70にされる。例えば、
図6や
図7において、Kフレーム分の範囲について、ステップS93で算出された左側面積比率の近似曲線の時間的な変化を、ステップS100で調べることになる。
【0132】
ステップS97で所定値K以上であると判定されると、ステップS98へ移行する一方、ステップS97で所定値K以上ではないと判定されると、ステップS104へ移行する。
【0133】
ステップS98において、処理部2は、当該移動体について、ステップS57で最新に選択された移動体領域までの時系列順のK個の移動体領域の各々について求められた前記第1の値(本実施の形態では、左側面積比率)の近似曲線を取得する。
【0134】
その後、処理部2は、当該移動体について、ステップS57で最新に選択された移動体領域までの時系列順のK個の移動体領域の各々について求められた前記第1の値(本実施の形態では、左側面積比率)の平均値を、基準値として算出する(ステップS99)。
【0135】
引き続いて、処理部2は、当該移動体についてステップS98で最新に求められた近似曲線が、ステップS99で最新に算出された基準値に対して上下に交差する数dを、当該移動体領域の時間経過に従った形状変化の様子を示す指標値として求める(ステップS100)。なお、ステップS100で用いる基準値は、ステップS99で算出した基準値に限らず、予め定めた所定の一定値でもよい。この場合、ステップS99を取り除き、ステップS98の後に直ちにステップS100へ移行すればよい。
【0136】
なお、ステップS100で求める指標値は、前述した例に限らず、例えば、当該移動体についてステップS98で最新に求められた近似曲線が、ステップS99で最新に算出された基準値に対して下から上に交差する数又は上から下に交差する数を、当該移動体領域の時間経過に従った形状変化の様子を示す指標値として求めてもよい。また、ステップS100で求める指標値は、例えば、当該移動体についてステップS98で最新に求められた近似曲線の、極大の数、極小の数又はそれらの合計の数であってもよい。これらの場合は、ステップS101でその数が所定数以上であるか否かを判定することになる。
【0137】
ステップS100の後、処理部2は、ステップS100で最新に求められた数dが所定数D以上であるか否かを判定する(ステップS101)。この所定数Dは、前記近似曲線が周期的に上下するか否かを判別するための閾値である。ステップS101の判定によって、当該移動体が歩行者等であるか人が乗っている自転車であるかが判別される。
【0138】
ステップS101で所定数D以上である(すなわち、当該移動体が歩行者等である)と判定されると、処理部2は、歩行者等を検出した旨を示す歩行者等検出信号を出力した(ステップS102)後に、ステップS104へ移行する。一方、ステップS101で所定数D以上ではない(すなわち、当該移動体が人が乗っている自転車である)と判定されると、処理部2は、人が乗っている自転車を検出した旨を示す自転車検出信号を出力した(ステップS103)後に、ステップS104へ移行する。
【0139】
ステップS104において、処理部2は、ステップS86で最新に判別された移動体領域の全てについてステップS87の選択が終了したか否かを判定し、終了していなければステップS87へ戻り、終了していればステップS105を経てステップS82へ戻る。ステップS105において、処理部2は、前述したステップS77と同様に、背景画像を更新する。
【0140】
本実施の形態によっても、前記第3の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0142】
図3は、本発明の第5の実施の形態による移動体検出装置の動作の一部を示す概略フローチャートでもある。
図17は、本発明の第5の実施の形態による移動体検出装置の動作の残りの部分を示す概略フローチャートである。
【0143】
本実施の形態による移動体検出装置が前記第1の実施の形態による移動体検出装置と異なる所は、テレビカメラ1が、歩行者等及びその他の任意の移動体(人が乗っている自転車、自動車及び自動二輪車のうちの少なくとも1種類の移動体)が通過する所定領域を撮像するように設定されている点と、
図3及び
図4に示す動作に代えて、
図3及び
図17に示す動作を行い、歩行者等のみを他の移動体から判別して検出する点である。
【0144】
図3及び
図17に示す動作が
図3及び
図4に示す動作と異なる所は、ステップS18で所定数C以上である(すなわち、当該移動体が歩行者等である)と判定されると、処理部2は、歩行者等を検出した旨を示す歩行者等検出信号を出力した(ステップS22)後に、ステップS20へ移行する一方で、ステップS18で所定数C以上ではない(すなわち、当該移動体が歩行者等ではない)と判定されると、直ちにステップS20へ移行する点のみである。
【0145】
本実施の形態によれば、テンプレート画像の辞書を用いた画像のパターンマッチングを行うことなく、歩行者等を他の移動体から高い精度で判別して検出することができる。
。
【0146】
以上、本発明の各実施の形態及びその変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、本発明では、移動体の移動速度も考慮して当該移動体を判別して検出するようにしてもよい。