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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-186906(P2016-186906A)
(43)【公開日】2016年10月27日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20160930BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20160930BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20160930BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20160930BHJP
   G09F 9/40 20060101ALI20160930BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20160930BHJP
【FI】
   H05B33/02
   H05B33/14 A
   G09F9/30 365
   G09F9/40 302
   H05B33/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-67009(P2015-67009)
(22)【出願日】2015年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 淳志
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC23
3K107CC41
3K107DD16
3K107DD17
3K107DD18
3K107EE41
3K107EE57
3K107HH04
5C094AA01
5C094BA27
5C094CA19
5C094CA30
5C094DA01
5C094DA14
5C094EB10
5C094FB01
5C094FB02
(57)【要約】
【課題】有機層を有する発光素子を封止部で封止しつつ、基材の折り曲げ状態を変化させると発光素子が基材から飛び出すようにする。
【解決手段】第1基材100は第1折曲線104に沿って折り曲げ可能である。第2基材300の一部は第1基材100に固定されている。第2基材300は第1折曲線104に重なっており、かつ、第2折曲線302に沿って折り曲げ可能になっている。第2折曲線302は第1折曲線104と重なっている。発光素子142は第2基材300に設けられており、有機層を含んでいる。封止部160は発光素子142を封止している。そして、封止部160は、第2基材300のうち第2折曲線302と重なる部分には設けられていない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1折曲線に沿って折り曲げ可能な第1基材と、
一部が前記第1基材に固定されており、前記第1折曲線に重なっており、かつ第2折曲線に沿って折り曲げ可能な第2基材と、
前記第2基材に設けられ、有機層を含む発光素子と、
前記発光素子を封止する封止部と、
を有し、
前記封止部は、前記第2基材のうち前記第2折曲線と重なる部分には設けられていない発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記第1基材が折り曲げられているとき、又は前記第1基材が開いているときの一方において、前記第2基材は前記第1基材から飛び出している発光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の発光装置において、
前記発光素子を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記第2基材が前記第1基材から飛び出しているときに前記発光素子を発光させる発光装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第2基材は樹脂を用いて形成されており、
前記第2基材のうち前記発光素子が設けられている面に形成された無機層を備え、
前記無機層は、前記第2基材のうち前記第2折曲線と重なる部分には設けられていない発光装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第1基材に設けられ、前記第1基材の縁に達しておらず、互いに交わらない2つの切れ目を備え、
前記第2基材は、前記第1基材のうち前記2つの切れ目の間に位置する部分である発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、有機EL素子を光源とした発光装置の開発が進んでいる。有機EL素子は、透明電極である第1電極、有機層、及び第2電極をこの順に積層させた構成を有している。有機EL素子を光源にすると、発光装置をパネル形状にすることができる。また、有機EL素子は低温で形成されるため、有機EL素子の基板に樹脂基板を用いることができる。樹脂基板を用いると、有機EL素子に可撓性を持たせることができる。
【0003】
また、特許文献1には、基板の縁を折り曲げることにより、非発光部を見えないようにすることが記載されている。詳細には、有機EL素子が形成されるガラス基板を有する表示パネルにおいて、表示パネルの縁を折り曲げるために、ガラス基板の厚さを50μm以下にすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−47977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、有機EL素子の基板を樹脂で形成すると有機EL素子に可撓性を持たせることができる。このため、飛び出す絵本のように、基材の折り曲げ状態を変化させることにより、発光素子を基材から飛び出させることができる。
【0006】
一方、有機EL素子の有機層は水分等に弱いため、封止部を用いて封止される必要がある。しかし、有機EL素子を封止部で封止した場合、基板のうち封止部を設けた部分は折り曲げられなくなる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、有機層を有する発光素子を封止部で封止しつつ、基材の折り曲げ状態を変化させると発光素子が基材から飛び出すようにすることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、第1折曲線に沿って折り曲げ可能な第1基材と、
一部が前記第1基材に固定されており、前記第1折曲線に重なっており、かつ第2折曲線に沿って折り曲げ可能な第2基材と、
前記第2基材に設けられ、有機層を含む発光素子と、
前記発光素子を封止する封止部と、
を有し、
前記封止部は、前記第2基材のうち前記第2折曲線と重なる部分には設けられていない発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3】発光装置の第1基材の第1折曲線を谷折りした状態を示す図である。
図4】変形例1に係る発光装置の構成を示す平面図である。
図5】変形例2に係る発光装置の断面図である。
図6】実施例1に係る発光部の構成を示す平面図である。
図7図6から第2電極を取り除いた図である。
図8図7から有機層及び絶縁層を取り除いた図である。
図9図6のB−B断面図である。
図10】実施例2に係る発光部の構成を示す平面図である。
図11図10から隔壁、第2電極、有機層、及び絶縁層を取り除いた図である。
図12図10のC−C断面図である。
図13図10のD−D断面図である。
図14図10のE−E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る発光装置10の構成を示す平面図である。図2は、図1のA−A断面図である。説明のため、図1において封止部160は省略されている。
【0012】
実施形態に係る発光装置10は、第1基材100、第2基材300、発光素子142、及び封止部160を備えている。第1基材100は第1折曲線104に沿って折り曲げ可能である。第2基材300の一部は第1基材100に固定されている。第2基材300は第1折曲線104に重なっており、かつ、第2折曲線302に沿って折り曲げ可能になっている。図1に示す例において、第2折曲線302は第1折曲線104と重なっている。発光素子142は第2基材300の第1面102に設けられており、有機層を含んでいる。封止部160は発光素子142を封止している。そして、封止部160は、第2基材300のうち第2折曲線302と重なる部分には設けられていない。以下、詳細に説明する。
【0013】
発光素子142がボトムエミッション型の発光装置である場合、第2基材300は、透光性を有する樹脂基板である。一方、発光素子142がトップエミッション型の発光装置である場合、第2基材300は透光性を有していなくてもよい。第2基材300は、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、又はポリイミドを用いて形成されている。また、第2基材300は可撓性を有している。このため、第2基材300の一部を湾曲させた状態で発光装置10を使用することができる。第2基材300の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下である。第2基材300は、例えば矩形などの多角形である。
【0014】
第2基材300の第1面102には、水分が第2基材300を透過することを抑制するために、第1無機層200が設けられている。第1無機層200は、無機材料を用いて形成されている。この無機材料は、例えば酸化シリコン、酸窒化シリコン、炭素添加酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、及び酸化チタンの少なくとも一つを含んでいる。例えば、第1無機層200は、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜、炭素添加酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、及び酸化チタン膜の少なくとも一つを含んでいる。なお、第1無機層200と第2基材300の間に、平坦化を目的として有機層が設けられていてもよい。
【0015】
なお、第2基材300には第1領域202が設けられている。第1領域202は後述する第2折曲線302(又は第2折曲線304)を含む領域であり、また、第1無機層200が形成されていない領域である。第1無機層200と第2基材300の間に有機層が形成されている場合、第1領域202にはこの有機層が形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。なお、第1領域202は、第1無機層200に設けられた開口と定義することもできる。
【0016】
第2基材300の一部は、第1基材100に固定されている。本図に示す例において、第2基材300は第1基材100の一部である。このため、第1基材100は第2基材300と同様の構成を有している。
【0017】
詳細には、第1基材100は2つの切れ目106を有している。切れ目106はいずれも直線状に延在しており、かつ互いに交わっていない。また切れ目106は、いずれも第1基材100の縁に達していない。そして第2基材300は、第1基材100のうち2つの切れ目106の間に位置する部分である。図1において、2つの切れ目106は互いに平行に延在している。そして、互いの近い方の端部を結んだ2つの線は、いずれも第1折曲線104及び第2折曲線302と平行になっており、また、第2折曲線304となっている。
【0018】
そして、第1基材100を第1折曲線104に沿って山折りした場合、2つの第2折曲線304は山折りになり、第2折曲線302は谷折りになる。この場合、第2基材300は、発光素子142が形成された面とは逆側の面が第1基材100から突出する。このような突出は、発光素子142がボトムエミッションタイプのときに好適である。一方、第1基材100を第1折曲線104に沿って谷折りした場合、2つの第2折曲線304は谷折りになり、第2折曲線302は山折りになる。この場合、第2基材300は、発光素子142が形成された面が第1基材100から突出する。このような突出は、発光素子142がトップエミッションタイプのときに好適である。
【0019】
なお、第1基材100に対する第2基材300の取り付け方によっては(例えばまったく別個の基材を第2基材300として第1基材100に取り付ける場合)、第2基材300は、第1基材100が開いたときに第1基材100から飛び出すこともある。
【0020】
第2基材300には発光部140が設けられている。発光部140は、発光素子142を有している。本図に示す例において、第2基材300には複数の発光部140が設けられている。第2折曲線302は、2つの発光部140の間の領域を延在している。発光素子142は有機EL素子であり、第1電極、有機層、及び第2電極をこの順に積層させた構成を有している。
【0021】
第1電極は、光透過性を有する透明電極である。透明電極の材料は、金属を含む材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)等の金属酸化物である。第1電極の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。第1電極は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。なお、第1電極は、カーボンナノチューブ、又はPEDOT/PSSなどの導電性有機材料であってもよい。
【0022】
有機層は発光層を有している。有機層は、例えば、正孔注入層、発光層、及び電子注入層をこの順に積層させた構成を有している。正孔注入層と発光層との間には正孔輸送層が形成されていてもよい。また、発光層と電子注入層との間には電子輸送層が形成されていてもよい。有機層は蒸着法で形成されてもよい。また、有機層のうち少なくとも一つの層、例えば第1電極と接触する層は、インクジェット法、印刷法、又はスプレー法などの塗布法によって形成されてもよい。なお、この場合、有機層の残りの層は、蒸着法によって形成されている。また、有機層のすべての層が、塗布法を用いて形成されていてもよい。
【0023】
第2電極は、例えば、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn、及びInからなる第1群の中から選択される金属、又はこの第1群から選択される金属の合金からなる金属層を含んでいる。この場合、第2電極は遮光性を有している。第2電極の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。ただし、第2電極は、第1電極の材料として例示した材料を用いて形成されていてもよい。第2電極は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。
【0024】
なお、上記した第1電極及び第2電極の材料は、第2基材300を光が透過する場合、すなわち発光素子142からの発光が第2基材300を透過して行われる場合(すなわちボトムエミッション型)の例である。他の場合として、第2基材300とは逆側を光が透過する場合がある。すなわち、発光素子142からの発光が第2基材300を透過しないで行われる場合(トップエミッション型)である。トップエミッション型では、逆積型と、順積型との2種類の積層構造を採用できる。逆積型では、第1電極の材料と第2電極の材料はボトムエミッション型と逆になる。すなわち第1電極の材料には上記した第2電極の材料が用いられ、第2電極の材料には上記した第1電極の材料が用いられる。他方の順積型では、上記した第2電極の材料の上に第1電極の材料を形成し、更にその上に有機層、さらにその上に薄く成膜した第2電極を形成することで、第2基材300とは逆側から光を取出す構造である。なお、薄く成膜する材料は、例えば第2電極の材料として例示した材料やMgAg合金などである。本実施形態にかかる発光素子142は、ボトムエミッション型、及び上記した2種類のトップエミッション型のいずれの構造であってもよい。
【0025】
また、発光部140は、封止部160によって封止されている。封止部160は、原子層成長(ALD)法で形成された膜又は化学気相成長(CVD)法で形成された膜(封止膜)である。封止膜の厚さは、例えば10nm以上1000nm以下である。封止膜がALD法を用いて形成されている場合、封止膜は、例えば酸化アルミニウム膜又は酸化チタン膜の少なくとも一方を有している。封止膜がCVD法やスパッタリング法を用いて形成されている場合、封止膜は、SiO又はSiNなど絶縁膜によって形成されている。
【0026】
なお、封止部160は封止部材であってもよい。この場合、封止部160は、例えばガラス、アルミニウムなどの金属、又は樹脂を用いて形成されており、中央に凹部を設けた形状を有している。そして封止部160の縁は接着材で第2基材300に固定されている。これにより、封止部160と第2基材300で囲まれた空間は封止される。そして発光素子142は、この封止された空間の中に位置している。
【0027】
そして、封止部160は第2折曲線302,304のいずれとも重なっていない。このため、第2基材300を第2折曲線302,304に沿って折り曲げても、封止部160の封止能力は低下しない。
【0028】
また、発光装置10は制御部400を有している。制御部400は発光素子142を制御している。具体的には、制御部400は、第2基材300が第1基材100から飛び出しているときに発光素子142を発光させる。このようにするためには、例えば第1折曲線104、及び第2折曲線302,304の少なくとも一つに、これらの折り曲げを検知するためのセンサ(例えば圧電センサ)を設け、このセンサの出力が制御部400に入力されるようにすればよい。
【0029】
次に、発光装置10の製造方法を説明する。まず、例えば支持基板の上に樹脂を塗布することにより、第1基材100を形成する。次いで、第1基材100の第1面102に、例えばCVD法などの気相成膜法を用いて、第1無機層200を形成する。その後、第1無機層200の上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして第1無機層200をエッチングする。これにより、第1面102には第1領域202が形成される。なお、第1領域202は、第1無機層200を成膜する際にマスクを用いることで、形成されてもよい。次いで、第1基材100に切れ目106を形成する。これにより、第1基材100のうち第2基材300となる領域が定まる。
【0030】
次いで、第2基材300に、第1電極、有機層、及び第2電極をこの順に形成する。これにより、発光素子142が形成される。その後、封止部160を形成する。
【0031】
図3は、発光装置10の第1基材100の第1折曲線104を略90°谷折りした状態を示している。第1基材100を第1折曲線104に沿って折り曲げると、2つの第2折曲線304は谷折りになり、第2折曲線302は山折りになる。その結果、第2基材300は第1基材100から飛び出す。
【0032】
以上、本実施形態によれば、第2基材300には発光素子142及び封止部160が設けられているが、発光素子142及び封止部160は、いずれも第2折曲線302,第2折曲線304と重なっていない。このため、第2基材300が第2折曲線302,304に沿って折れ曲がっても、発光素子142が傷んだり、封止部160の封止能力が低下することはない。
【0033】
また、第2基材300には第1無機層200が形成されているが、第2基材300のうち第2折曲線302,第2折曲線304と重なる領域には、第1無機層200が設けられていない。従って、第2基材300が第2折曲線302,304に沿って折れ曲がっても、第1無機層200にクラックは入りにくい。
【0034】
(変形例1)
図4は、変形例1に係る発光装置10の構成を示す平面図である。本変形例に係る発光装置10は、第1基材100の上にも発光部140が形成されている点を除いて、実施形態に係る発光装置10と同様の構成である。第1基材100の上の発光素子142も、制御部400によって制御されており、例えば第2基材300が第1基材100から飛び出したときに発光する。
【0035】
本変形例によっても、実施形態と同様に、第2基材300が第2折曲線302,304に沿って折れ曲がっても、発光素子142が傷んだり、封止部160の封止能力が低下することはなく、また、第1無機層200にクラックは入りにくい。
【0036】
(変形例2)
図5は、変形例2に係る発光装置10の断面図である。本変形例に係る発光装置10は、第1基材100及び第2基材300のうち発光部140とは逆側の面に第2無機層210が形成されている点を除いて、実施形態又は変形例1に係る発光装置10と同様の構成である。
【0037】
第2無機層210は、酸化シリコン、酸窒化シリコン、炭素添加酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、及び酸化チタンの少なくとも一つを含んでおり、水分が第1基材100及び第2基材300を透過することを抑制するために設けられている。第2無機層210は多層膜であってもよく、無機層と無機層との間に有機層が形成される場合もある。また、第2無機層210は、第2領域212には形成されていない。第2領域212は、第2基材300のうち発光素子142とは逆側の面のうち、第2折曲線302,304と重なる部分である。このため、第2領域212の少なくとも一部は第1領域202と重なっている。また、発光部140がボトムエミッション型である場合は第2無機層210の上に光取出し効率を向上させる光取出しフィルムや偏光フィルムなどの光学機能層を形成してもよい。この場合も、第2領域212には光学機能層は形成されない。
【0038】
本変形例によっても、実施形態と同様に、第2基材300が第2折曲線302,304に沿って折れ曲がっても、発光素子142が傷んだり、封止部160の封止能力が低下することはなく、また、第1無機層200にクラックは入りにくい。
【0039】
また、第2無機層210を設けているため、水分は第2基材300をさらに透過しにくい。そして第2無機層210は、第2基材300のうち発光素子142とは逆側の面のうち、第2折曲線302,304と重なる部分には設けられていない。このため、第2基材300が第2折曲線302,304に沿って折れ曲がっても、第2無機層210にクラックは入りにくい。
【0040】
(実施例1)
図6は、実施例1に係る発光部140の構成を示す平面図である。図7は、図6から第2電極130を取り除いた図である。図8図7から有機層120及び絶縁層150を取り除いた図である。図9図6のB−B断面図である。本実施例に係る発光装置10は、発光素子142の構成を除いて、実施形態に係る発光装置10と同様の構成である。
【0041】
本実施例において、発光部140の発光素子142は第2基材300に形成されている。第2基材300は第1無機層200及び第2無機層210を備えている。第1無機層200及び第2無機層210の構成は、変形例2に示した通りである。発光素子142は、第1電極110、有機層120、及び第2電極130を有している。第1電極110、有機層120、及び第2電極130の構成は、実施形態の通りである。
【0042】
第1電極110の縁は、絶縁層150によって覆われている。絶縁層150は例えばポリイミドなどの感光性の樹脂材料によって形成されており、第1電極110のうち発光部140の発光領域となる部分を囲んでいる。絶縁層150を設けることにより、第1電極110の縁において第1電極110と第2電極130が短絡することを抑制できる。絶縁層150は、絶縁層150となる樹脂材料を塗布した後、この樹脂材料を露光及び現像することにより、形成される。この工程は、例えば第1電極110を形成した後、有機層120を形成する前に行われる。
【0043】
また、発光装置10は、第1端子112及び第2端子132を有している。第1端子112は第1電極110に接続しており、第2端子132は第2電極130に接続している。第1端子112及び第2端子132は、例えば、第1電極110と同一の材料で形成された層を有している。なお、第1端子112と第1電極110の間には引出配線が設けられていてもよい。また、第2端子132と第2電極130の間にも引出配線が設けられていてもよい。
【0044】
本実施例によっても、実施形態と同様に、第2基材300が第2折曲線302,304に沿って折れ曲がっても、発光素子142が傷んだり、封止部160の封止能力が低下することはなく、また、第1無機層200にクラックは入りにくい。
【0045】
(実施例2)
図10は、実施例2に係る発光部140の構成を示す平面図である。図11は、図10から隔壁170、第2電極130、有機層120、及び絶縁層150を取り除いた図である。図12図10のC−C断面図であり、図13図10のD−D断面図であり、図14図10のE−E断面図である。本実施例に係る発光装置10は、発光部140の構成を除いて、実施形態に係る発光装置10と同様の構成である。
【0046】
本実施例に係る発光部140は表示装置であり、第2基材300、第1電極110、複数の発光素子142、絶縁層150、複数の開口152、複数の開口154、複数の引出配線114、有機層120、第2電極130、複数の引出配線134、及び複数の隔壁170を有している。
【0047】
第1電極110は、第1方向(図10におけるY方向)にライン状に延在している。そして第1電極110の端部は、引出配線114に接続している。
【0048】
引出配線114は、第1電極110を第1端子112に接続する配線である。本図に示す例では、引出配線114の一端側は第1電極110に接続しており、引出配線114の他端側は第1端子112となっている。本図に示す例において、第1電極110及び引出配線114は一体になっている。そして引出配線114の上には、導体層180が形成されている。導体層180は、第1電極110よりも低抵抗な金属、例えばMo合金層、Al合金層、及びMo合金層をこの順に積層させた積層構造を有している。なお、引出配線114の一部は絶縁層150によって覆われている。
【0049】
絶縁層150は、図10、及び図12図14に示すように、複数の第1電極110上及びその間の領域に形成されている。絶縁層150には、複数の開口152及び複数の開口154が形成されている。複数の第2電極130は、第1電極110と交差する方向(例えば直交する方向:図10におけるX方向)に互いに平行に延在している。そして、複数の第2電極130の間には、詳細を後述する隔壁170が延在している。開口152は、平面視で第1電極110と第2電極130の交点に位置している。具体的には、複数の開口152は、第1電極110が延在する方向(図10におけるY方向)に並んでいる。また、複数の開口152は、第2電極130の延在方向(図10におけるX方向)にも並んでいる。このため、複数の開口152はマトリクスを構成するように配置されていることになる。
【0050】
開口154は、平面視で複数の第2電極130のそれぞれの一端側と重なる領域に位置している。また開口154は、開口152が構成するマトリクスの一辺に沿って配置されている。そしてこの一辺に沿う方向(例えば図10におけるY方向、すなわち第1電極110に沿う方向)で見た場合、開口154は、所定の間隔で配置されている。開口154からは、引出配線134の一部分が露出している。そして、引出配線134は、開口154を介して第2電極130に接続している。
【0051】
引出配線134は、第2電極130を第2端子132に接続する配線であり、第1電極110と同一の材料からなる層を有している。引出配線134の一端側は開口154の下に位置しており、引出配線134の他端側は、絶縁層150の外部に引き出されている。そして本図に示す例では、引出配線134の他端側が第2端子132となっている。そして引出配線134の上には、導体層180が形成されている。なお、引出配線134の一部は絶縁層150によって覆われている。
【0052】
開口152と重なる領域には、有機層120が形成されている。有機層120の正孔注入層は第1電極110に接しており、有機層120の電子注入層は第2電極130に接している。このため、発光素子142は、開口152と重なる領域それぞれに位置していることになる。
【0053】
なお、図12及び図13に示す例では、有機層120を構成する各層は、いずれも開口152の外側まではみ出している場合を示している。そして図10に示すように、有機層120は、隔壁170が延在する方向において、隣り合う開口152の間にも連続して形成されていてもよいし、連続して形成していなくてもよい。ただし、図14に示すように、有機層120は、開口154には形成されていない。
【0054】
第2電極130は、図10図12図14に示すように、第1方向と交わる第2方向(図10におけるX方向)に延在している。そして隣り合う第2電極130の間には、隔壁170が形成されている。隔壁170は、第2電極130と平行すなわち第2方向に延在している。隔壁170の下地は、例えば絶縁層150である。隔壁170は、例えばポリイミド系樹脂などの感光性の樹脂であり、露光及び現像されることによって、所望のパターンに形成されている。なお、隔壁170はポリイミド系樹脂以外の樹脂、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂、二酸化珪素等の無機材料で構成されていても良い。
【0055】
隔壁170は、断面が台形の上下を逆にした形状(逆台形)になっている。すなわち隔壁170の上面の幅は、隔壁170の下面の幅よりも大きい。このため、隔壁170を第2電極130より前に形成しておくと、蒸着法やスパッタリング法を用いて、第2電極130を第2基材300の一面側に形成することで、複数の第2電極130を一括で形成することができる。また、隔壁170は、有機層120を分断する機能も有している。
【0056】
次に、本実施例における発光装置10の製造方法を説明する。まず、第1基材100及び第2基材300を準備する。次いで、第2基材300上に第1電極110及び引出配線114,134を形成する。次いで、引出配線114上及び引出配線134上に、導体層180を形成する。次いで、絶縁層150を形成し、さらに隔壁170を形成する。次いで有機層120及び第2電極130を形成する。
【0057】
本実施例によっても、実施形態と同様に、第2基材300が第2折曲線302,304に沿って折れ曲がっても、発光素子142が傷んだり、封止部160の封止能力が低下することはなく、また、第1無機層200にクラックは入りにくい。
【0058】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0059】
10 発光装置
100 第1基材
104 第1折曲線
106 切れ目
140 発光部
142 発光素子
200 第1無機層
202 第1領域
210 第2無機層
212 第2領域
300 第2基材
302 第2折曲線
304 第2折曲線
400 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14