【解決手段】OLED構造は内側取り出し層701を備える。内側取り出し層701は、デバイスの透明電極730の屈折率より大きい屈折率を有する材料と、材料と基板との間に配置された非平面的界面とを有する。内側取り出し層701と併せて、非平面的面を有する外側取り出し層702を備える。
複数のマイクロレンズの各マイクロレンズについて、前記マイクロレンズの面上の各点は、前記アウトカップリング層と前記有機発光デバイスとの界面に対して90度以下の内角を形成する接平面を有し、
前記複数のマイクロレンズの各マイクロレンズは、レンズ高さH及び最大底辺測定値2Rを有し、H/Rは1より大きい請求項12に記載のデバイス。
複数のマイクロレンズの各マイクロレンズが、連続関数rによって規定される厚さ形状を有し、rは、前記マイクロレンズの底辺の中心を通り、前記アウトカップリング層と前記有機発光デバイスとの界面に垂直な前記マイクロレンズの軸からの距離であり、rはR以下である請求項12に記載のデバイス。
【背景技術】
【0003】
有機材料を利用する光電子デバイスは、いくつもの理由から、次第に望ましいものとなりつつある。そのようなデバイスを作製するために使用される材料の多くは比較的安価であるため、有機光電子デバイスは無機デバイスを上回るコスト優位性の可能性を有する。加えて、柔軟性等の有機材料の固有の特性により、該材料は、フレキシブル基板上での製作等の特定用途によく適したものとなり得る。有機光電子デバイスの例は、有機発光デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池及び有機光検出器を含む。OLEDについて、有機材料は従来の材料を上回る性能の利点を有し得る。例えば、有機発光層が光を放出する波長は、概して、適切なドーパントで容易に調整され得る。
【0004】
OLEDはデバイス全体に電圧が印加されると光を放出する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明及びバックライティング等の用途において使用するためのますます興味深い技術となりつつある。数種のOLED材料及び構成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、特許文献1、特許文献2及び特許文献3において記述されている。
【0005】
リン光性発光分子の1つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイの業界標準は、「飽和(saturated)」色と称される特定の色を放出するように適合された画素を必要とする。特に、これらの標準は、飽和した赤色、緑色及び青色画素を必要とする。色は、当技術分野において周知のCIE座標を使用して測定することができる。
【0006】
緑色発光分子の一例は、下記の構造:
【化1】
を有する、Ir(ppy)
3と表示されるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムである。
【0007】
この図面及び本明細書における後出の図面中で、本発明者らは、窒素から金属(ここではIr)への配位結合を直線として描写する。
【0008】
本明細書において使用される場合、用語「有機」は、有機光電子デバイスを製作するために使用され得るポリマー材料及び小分子有機材料を含む。「小分子」は、ポリマーでない任意の有機材料を指し、且つ「小分子」は実際にはかなり大型であってよい。小分子は、いくつかの状況において繰り返し単位を含み得る。例えば、長鎖アルキル基を置換基として使用することは、「小分子」クラスから分子を排除しない。小分子は、例えばポリマー骨格上のペンダント基として、又は該骨格の一部として、ポリマーに組み込まれてもよい。小分子は、コア部分上に構築された一連の化学的シェルからなるデンドリマーのコア部分として役立つこともできる。デンドリマーのコア部分は、蛍光性又はリン光性小分子発光体であってよい。デンドリマーは「小分子」であってよく、OLEDの分野において現在使用されているデンドリマーはすべて小分子であると考えられている。
【0009】
本明細書において使用される場合、「頂部」は基板から最遠部を意味するのに対し、「底部」は基板の最近部を意味する。第一層が第二層「の上に配置されている」と記述される場合、第一層のほうが基板から遠くに配置されている。第一層が第二層「と接触している」ことが指定されているのでない限り、第一層と第二層との間に他の層があってもよい。例えば、間に種々の有機層があるとしても、カソードはアノード「の上に配置されている」と記述され得る。
【0010】
本明細書において使用される場合、「溶液プロセス可能な」は、溶液又は懸濁液形態のいずれかの液体媒質に溶解、分散若しくは輸送することができ、且つ/又は該媒質から堆積することができるという意味である。
【0011】
配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合、「光活性」と称され得る。配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に寄与していないと考えられる場合には「補助」と称され得るが、補助配位子は、光活性配位子の特性を変化させることができる。
【0012】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第一のエネルギー準位が真空エネルギー準位に近ければ、第二のHOMO又はLUMOエネルギー準位「よりも大きい」又は「よりも高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位と比べて負のエネルギーとして測定されるため、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有するIP(あまり負でないIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有する電子親和力(EA)(あまり負でないEA)に相当する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりもそのような図の頂部に近いように思われる。
【0013】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の仕事関数がより高い絶対値を有するならば、第一の仕事関数は第二の仕事関数「よりも大きい」又は「よりも高い」。仕事関数は概して真空準位と比べて負数として測定されるため、これは「より高い」仕事関数が更に負であることを意味する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、「より高い」仕事関数は、真空準位から下向きの方向に遠く離れているものとして例証される。故に、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に準ずる。
【0014】
OLEDについての更なる詳細及び上述した定義は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献4において見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【0019】
【
図2】
図2は、別の電子輸送層を有さない、反転された有機発光デバイスを示す。
【0020】
【
図3】
図3は、アウトカップリング向上特性を持たない従来の下方出射型OLEDを示す。
【0021】
【
図4】
図4は、従来のOLEDの各層を通過してアウトカップリングされる光の比を示す。
【0022】
【
図5】
図5は、本明細書に開示されるマイクロレンズアレイ外側取り出し層を通過する光の典型的な通路の例を示す。
【0023】
【
図6】
図6は、本明細書に開示される内側及び外側の取り出し層が組み込まれた下方出射型OLEDの概略図である。
【0024】
【
図7A】
図7Aは、本明細書に開示される取り出し層が組み込まれたOLEDの概略図である。
【0025】
【
図7B】
図7Bは、本明細書に開示される内側取り出し層の概略図である。
【0026】
【
図8】
図8は、本明細書に開示されるマイクロレンズの一例を示す。
【0027】
【
図9A】
図9Aは、本明細書に開示されるマイクロレンズアレイの一例を示す。
【
図9B】
図9Bは、本明細書に開示されるマイクロレンズアレイの一例を示す。
【
図9C】
図9Cは、本明細書に開示されるマイクロレンズアレイの一例を示す。
【0028】
【
図10A】
図10Aは、本明細書に開示されるマイクロレンズの六方最密充填アレイの一例を示す。
【0029】
【
図10B】
図10Bは、本明細書に開示されるマイクロレンズの放射状(半径方向)断面を示す。
【0030】
【
図11A】
図11Aは、本明細書に開示される異なる二つのサイズを有するマイクロレンズを組み込んだマイクロレンズアレイの一例を示す。
【0031】
【0032】
【
図12】
図12は、本明細書に開示されるマイクロレンズアレイから伝播する光線の一例を示す。
【0033】
【
図13】
図13は、本明細書に開示される内側取り出し層を備えるOLEDの層における発光強度の規格化極座標分布を示す。
【0034】
【
図14】
図14は、本明細書に開示される三角形状溝構造物を有する取り出し層の一例におけるトポグラフィーを示す。
【0035】
【
図15】
図15は、本明細書に開示される構造物のアスペクト比の関数として、内側取り出し層から基板へとアウトカップリングされる光の比を示す。
【0036】
【
図16】
図16は、本明細書に開示される取り出し層構造によって基板にアウトカップリングされる光の強度の極座標プロットを示す。
【0037】
【
図17】
図17は、本明細書に開示されるピラミッド状取り出し層のトポグラフィーを示す。
【0038】
【
図18】
図18は、本明細書に開示される取り出し層の組み合わせを特徴とするOLEDの概略図である。
【0039】
【
図19】
図19は、本明細書に開示される立体非球面マイクロレンズの形状の一例を示す。
【0040】
【
図20】
図20は、本明細書に開示される異なる二つのサイズを有するマイクロレンズを組み込んだ取り出し層充填パターンの一例を示す。
【0041】
【
図21】
図21は、
図18に示す構造を有するデバイスのアウトカップリング効率算出値を示す。
【0042】
【
図22】
図22は、
図18に示す構造を有するデバイスによって生成される発光強度の極座標プロットを示す。
【0043】
【
図23】
図23は、本明細書に開示されるデバイスを製造するためのロール・ツー・ロール処理の一例を示す。
【0044】
【
図24A】
図24Aは、本明細書に開示されるOLED構造へのマイクロレンズアレイ−空気界面からの反射を操作するためのBerrman法の使用を示す。
【
図24B】
図24Bは、本明細書に開示されるOLED構造へのマイクロレンズアレイ−空気界面からの反射を操作するためのBerrman法の使用を示す。
【0045】
【
図25A】
図25Aは、本明細書に開示されるマイクロレンズ構造から光線トレーシングモデルがアウトカップリングをシミュレーションする領域の一例を示す。
【
図25B】
図25Bは、本明細書に開示されるマイクロレンズ構造から光線トレーシングモデルがアウトカップリングをシミュレーションする領域の一例を示す。
【0046】
【
図26A】
図26Aは、本明細書に開示される六方最密充填マイクロレンズアレイの積算された光取り出しを示す。
【
図26B】
図26Bは、本明細書に開示される六方最密充填マイクロレンズアレイの積算された光取り出しを示す。
【0047】
【
図27A】
図27Aは、本明細書に開示される多様な屈折率において異なる二つのサイズを有するマイクロレンズを含む最密充填マイクロレンズアレイの積算された光取り出しを示す。
【
図27B】
図27Bは、本明細書に開示される多様な屈折率において異なる二つのサイズを有するマイクロレンズを含む最密充填マイクロレンズアレイの積算された光取り出しを示す。
【
図27C】
図27Cは、本明細書に開示される多様な屈折率において異なる二つのサイズを有するマイクロレンズを含む最密充填マイクロレンズアレイの積算された光取り出しを示す。
【
図27D】
図27Dは、本明細書に開示される多様な屈折率において異なる二つのサイズを有するマイクロレンズを含む最密充填マイクロレンズアレイの積算された光取り出しを示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。いくつかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0049】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0050】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、395巻、151〜154、1998;(「Baldo−I」)及びBaldoら、「Very high−efficiency green organic light emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4〜6(1999)(「Baldo−II」)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5〜6段において更に詳細に記述されている。
【0051】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、カソード160、及びバリア層170を含み得る。カソード160は、第一の導電層162及び第二の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6〜10段において更に詳細に記述されている。
【0052】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板−アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p−ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm−MTDATAにF
4−TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n−ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を持つMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0053】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることがある。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。
図2は、いくつかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0054】
図1及び2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本発明の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。1つの実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば
図1及び2に関して記述されている通りの異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0055】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、
図1及び2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されている通りのメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されている通りのくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0056】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,431,968号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及びOVJD等の堆積法のいくつかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、且つ好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、小分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3〜20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を持つ材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける小分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0057】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、バリア層を更に含んでいてよい。バリア層の1つの目的は、電極及び有機層を、水分、蒸気及び/又はガス等を含む環境における有害な種への損傷性暴露から保護することである。バリア層は、基板、電極の上、下若しくは隣に、又はエッジを含むデバイスの任意の他の部分の上に堆積し得る。バリア層は、単層又は多層を含んでいてよい。バリア層は、種々の公知の化学気相堆積技術によって形成され得、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含み得る。任意の適切な材料又は材料の組合せをバリア層に使用してよい。バリア層は、無機若しくは有機化合物又は両方を組み込み得る。好ましいバリア層は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,968,146号、PCT特許出願第PCT/US2007/023098号及び同第PCT/US2009/042829号において記述されている通りの、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物を含む。「混合物」とみなされるためには、バリア層を構成する前記のポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。ポリマー材料対非ポリマー材料の重量比は、95:5から5:95の範囲内となり得る。ポリマー材料及び非ポリマー材料は、同じ前駆体材料から作成され得る。一例において、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物は、ポリマーケイ素及び無機ケイ素から本質的になる。
【0058】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ファインダー、マイクロディスプレイ、3−Dディスプレイ、車、大面積壁、劇場又はスタジアムのスクリーン、或いは看板を含む多種多様な消費者製品に組み込まれ得る。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20〜25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されているが、この温度範囲外、例えば、摂氏−40度〜+80度で用いることもできる。
【0059】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る
【0060】
従来のOLEDの内部で生成される光の大半がデバイスの外部に放射されないのは、たとえば、OLEDの多様な部品間若しくは層間における、又はOLEDと周囲の媒体(通常は空気)との間における屈折率の不整合によって生じる内部反射等の効果による。アウトカップリングされなければ喪失する光を空気モードにアウトカップリングする構造は、OLEDの効率を向上することができる。本明細書に記載されるアウトカップリング技術及び構造は、OLEDの電子的活性層の変更を要することなく、光学的特性を有する透明基板を提供する。したがって、本明細書に開示される実施形態は、多様なOLED構造で使用することができ、特に下方出射型OLEDでの使用に適する。
【0061】
従来の下方出射型OLEDを
図3に示す。一般的に、このようなデバイスは、
図1及び
図2を参照して上述したように多様な層を含みうるが、
図3では図示の目的上、いくつかの層及び構造の例を省いている。有機層301及び透明アノード302は、通常1.9までの屈折率nを有し、通常の基板303では、nは通常1.5程度である。アノード302と基板303との界面でトラップされた光は、OLEDのカソード304とアノード-基板界面との間の領域に閉じ込められる。トラップされた光は、通常有機モード又はアノードモードの導波光と呼称される。この領域の厚さは、通常、可視光の波長よりも小さいので、光が閉じ込められる導波モードは、マクスウェルの方程式を用いて最も良く表される。
【0062】
通常、基板303の屈折率は、1.5程度である。したがって、光は、アノード-基板界面に加えて、基板と空気(n=1)との屈折率不整合により基板-空気界面にもトラップされうる。この場合、光は、空気界面と反射電極との間に閉じ込められうる。基板の厚さは、通常、光の波長(100μmから1,000μm)よりもずっと大きいので、光は光線光学によって最も良くモデリングされる全内部反射(TIR)によってトラップされる。
【0063】
いずれの場合でも、これらの界面のうち一方と最初に遭遇し、デバイスを離れない光エネルギーが不可逆的にトラップされ、最終的にデバイス構造の内部に吸収される。
図4は、
図3に示すような従来の下方出射型OLEDの連続する各層を通過してアウトカップリングされると期待される生成光の比の、Berremanの行列法による予測による算出例の結果を示す。この例では、光の波長は500nmであり、有機層の厚さは120nmである。OLED発光層(EM)で生成される光の100%のうち、71%は透明酸化インジウムスズ(ITO)アノードを通過する。ガラス基板(n=1.5)は、元の光の44%を受光し、元の光の25%が基板を透過して空気にアウトカップリングされる。したがって、発光層により生成された光のうち、デバイスを出射すると期待できるのは、約25%だけである。特定の構造及び材料について算出したが、通常は同様の結果が従来のOLEDで使用されるその他の構造及び材料についても観察される。
【0064】
基板にトラップされた光は、幾何光学系を使用した外側取り出し層(EEL)によってアウトカップリングされてよい。たとえば、基板の外面上のトポグラフィー構造物は、
図5に示すように、OLED平面に対して多様な接平面を界面に与える。基板面の接平面への光線の交点での入射角によって、ソース501からの光線が、光線502によって示されるように空気にアウトカップリングするか、又は503で示されるように反射されるかが決定される。スネルの法則から、n
0及びn
1をそれぞれ基板と空気の屈折率とし、θ
0及びθ
1を界面の法平面への入射光線及び屈折光線の角度とした場合、n
0sin(θ
0)=n
1sin(θ
1)となる。θ
1が実数解を有する場合、光は屈折する。実数解がない場合、光は反射される。反射光は、二度目504に界面と交差したとき、異なる接平面の点で交差するので、アウトカップリングされやすい。
【0065】
本発明の実施形態は、内側及び外側のアウトカップリング構造を提供する。
図6は、本明細書に開示される実施形態の例を示し、互いに補完し合うことでアウトカップリング効率を高める内側及び外側のアウトカップリング層を含む。
図6に示されるデバイスは、有機発光層等の一以上の有機層601、アノード602、基板603、及びカソード604等の、
図1から
図3を参照して上述した層等の層を有してよい。図示の構成例では、導波モードは、アノードの屈折率とコンパラブルな、又はそれより大きい屈折率を有する材料610を基板にコーティングすることによって抑制される。コーティング610を十分に厚く、例えば光の数波長分にすると、薄膜干渉等の波長依存的効果を軽減しうる。この光学的に厚い膜は、したがって、広範なスペクトルの光を効率的にアウトカップリングする内側取り出し層(IEL)として機能しうる。IELと基板との界面は、外側取り出し層によって最も効率的にカップリングされる軌跡へと光線を屈折させるように構成されてよい。EEL620は、基板−空気界面において、基板と同一屈折率のテクスチャ面を有し、内側取り出し層と協働するよう最適化されてよい。
【0066】
より一般的には、本発明の実施形態は、特定の材料から形成され、基板と電極との間に配置され、非平面的界面を有する内側取り出し層を有してよい。好適には、材料は、近接(隣接も含む)する電極の屈折率より少なくとも0.05大きい屈折率を有する。
図7は、このデバイスの概略図を示す。デバイスは、2つの電極710と730との間に配置された上述したような一以上の有機層720を有する。一方の電極730は、上述したように透明である。内側取り出し層701は、基板740と電極730との間に配置される。内側取り出し層701は、電極730の屈折率より少なくとも0.05大きい屈折率を有する材料を含んでよい。
【0067】
図7に示されるように、内側取り出し層701の材料と電極730との間の界面は、非平面的であってよい。本明細書で開示するところの、界面又は面が「非平面的」であるとは、界面又は面がトポグラフィー構造物を有する場合を示す。トポグラフィー構造物の非限定的例としては、当業者には容易に理解されるであろうが、溝、ピラミッド状構造、プリズム状構造物、ドーム、畝、半球状構造物、軸対称な立体形状構造物等が挙げられる。より一般的には、非平面的界面は、界面に沿う個々の点に正接する平面のほとんどが、界面を形成する各層の間を通る主平面に平行でない界面である。非平面的な界面又は面は、有意な数のトポグラフィー構造物を有さない平面的な領域を含んでよいが、それでも界面又は面は、全体として、本明細書で開示するところの非平面的であると見なされてよい。OLEDにおける平面的な界面及び面は完全には平滑ではない場合もあるので、そのような比較的小さい欠陥を有し、そうでなければ平面である界面と、本明細書で開示するところの意図的な非平面的界面とを区別することが望ましい。したがって、高さ100nm未満の欠陥及びトポグラフィー構造物は、界面が平面であるか非平面であるかを判断する考慮の対象としない。つまり、平面的な界面又は面は、100nmまでの欠陥又はその他のトポグラフィー構造物を、本明細書で開示するところの非平面的な界面と見なされることなく含みうる。
【0068】
いくつかの構成では、内側取り出し層は、基板と同一の材料から形成されてよく、又は基板と同一の材料を含んでよい。例えば、内側取り出し層701及び基板740は、単一の材料から形成されてよく、その材料による連続領域として形成されてよい。したがって、電極730に隣接する材料の部分(たとえば、
図7において、点線の上方)が内側取り出し層を形成し、材料の残りの部分(点線の下方)が基板を形成してよい。その他の構成では、内側取り出し層は、基板の材料と異なる一以上の材料を含んでよい。内側取り出し層が基板材料を含まない構成では、内側取り出し層における少なくとも一つの材料が、電極及び基板の屈折率の中間の屈折率を有することが好ましい。より一般的には、内側取り出し層は、それぞれ異なる屈折率を有してよい複数の材料を含んでよい。内側取り出し層は、1.7以上、1.8以上、又は1.9以上の屈折率を有する少なくとも一つの材料を含むことが好ましい。いくつかの構成では、内側取り出し層材料の屈折率は、デバイスの発光層の屈折率より高くてよい。例えば、内側取り出し層の材料は、デバイスの発光材料の屈折率より少なくとも0.005高い屈折率を有してよい。
【0069】
より一般的には、内側取り出し層は、比較的に屈折率が高い材料と、当該高屈折率材料の屈折率より低い屈折率を有するより低屈折率の材料とを含み、高屈折率材料と低屈折率材料との間に非平面的界面を有するデバイス領域によって規定される。デバイスにおいて、低屈折率材料は基板に近接(隣接も含む)して配置され、基板と同一材料であってよい。上述したように、低屈折率材料及び基板は、連続材料領域であってよく、つまり、単一の層又は構造として作製されてよい。
図7Bは、内側取り出し層790の概略図である。層は、互いに隣接して配置された高屈折率材料770と、低屈折率材料780とを含んでよく、それらの間に非平面的界面が存在する。低屈折率材料780はOLED基板と同一材料であってよく、及び/又は、低屈折率領域はOLEDデバイスの基板の一体的一部であってよい。
図7A及び
図7Bに示される非平面的界面の特定的な構成は、例示目的のみで提供されるものであり、その他の形態や配置の非平面的層を使用してもよいことは理解されよう。
【0070】
一般的に、OLEDでの使用に適したいかなる基板を、本明細書に開示される実施形態で使用してもよい。いくつかの構成では、基板は、本明細書に開示されるその他の層や構造との屈折率整合を向上し、それによってデバイスにより生成される光のアウトカップリングを増大するべく、少なくとも1.65の屈折率を有することが好ましい。
【0071】
上述したように、本明細書に開示される内側取り出し層は、非平面的界面を有してよく、複数の材料を含んでよい。
図7Aに示される例では、非平面的界面は、内側取り出し層と基板との間に存在する。又は若しくは加えて、内側取り出し層は、内側取り出し層内の二つの材料の間に非平面的界面を有してよい。例えば、非平面的界面は、基板と同一の材料、又は基板と屈折率整合された材料と、内側取り出し層における第二の材料との間に存在してよい。
【0072】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、内側取り出し層に対して、外側取り出し層が基板の外面に配置されてよく、つまり基板は内側及び外側の取り出し層の間に配置されてよい。
図7Aは、基板740の外面に隣接して配置された外側取り出し層702を有するデバイスの概略的な例を示す。外側取り出し層は、上述したような、最外面が基板から最も遠くなるような非平面的面を有してよい。外側取り出し層面は、マイクロレンズ、溝、ピラミッド状構造物、プリズム状構造物、及び当業技術分野で知られるその他のトポグラフィー構造物等のトポグラフィー構造物を有してよい。内側取り出し層に関して上述したように、外側取り出し層は、部分的に又は全体的に、基板と同一材料から形成されてよく、基板と連続的であってよい。
【0073】
多様な構成を内側及び外側の取り出し層に使用してよい。たとえば、外側取り出し層は、
図7Aに示されるようなマイクロレンズの配列を有してよい。いくつかの構成では、マイクロレンズの一つ以上に、特定的な寸法又は相対的な寸法を使用してよい。
【0074】
図8は、本明細書に開示される実施形態での使用に適したマイクロレンズ構成の例を示す。マイクロレンズの面上の各点は、アウトカップリング層と有機発光デバイスとの界面823に対して90度を越えない、90度未満の内角822を形成する821等の接平面を有する。マイクロレンズ820は、レンズ高さHと、最大底辺測定値2Rとを有してよい。マイクロレンズの最大底辺測定値2Rは、マイクロレンズの直径である。いくつかの実施形態では、H/Rは、1より大きく、1.5より大きく、少なくとも2であってよい。光線トレーシングシミュレーションでは、球面マイクロレンズよりも放物線や立体マイクロレンズについて、顕著により効率的なアウトカップリングが得られることが実証されている。球面マイクロレンズは、H/R=1のときに最適なアウトカップリングを表す。H/R<1では、放物線又は立体マイクロレンズアレイからのアウトカップリングは、球面マイクロレンズに劣る。しかし、H/R>1では、H/R=1のときの球面アレイについて得られるよりもより良いアウトカップリングが、放物線や立体アレイについて得られる。
【0075】
マイクロレンズの底面は、円形、長方形、正方形、三角形、楕円形、八角形、六角形等の任意の形状であってよい。たとえば、
図8に示されるように、マイクロレンズの底面は円形であってよく、その場合、底辺測定値Rは半径である。たとえば、各マイクロレンズは、アウトカップリング層と有機発光デバイスとの界面823に垂直なマイクロレンズの軸824を中心として放射(半径方向)対称であってよい。
【0076】
より一般的には、本明細書に開示されるマイクロレンズは、
図8Bに示されるように、放射対称であってよい。このような各マイクロレンズは、連続関数rによって規定される厚さ形状を有している。rは、マイクロレンズ820の底辺の中心を通り、アウトカップリング層と有機発光デバイスとの界面823に垂直なマイクロレンズ820の軸824からの距離である。図示されるように、rはR以下である。マイクロレンズの厚さ形状は、以下に示す等式10.1
10.2、若しくは10.3、又はより一般的には等式10.4によって与えることができ、r
2=(x−x
c)
2+(y−y
c)
2である。等式10.1は、放物線形状のマイクロレンズを生成し、等式10.2は、二次多項式であって、球面状であると表される定曲率のマイクロレンズを記述する。等式10.3に従うマイクロレンズは、立体状と表される。
【数1】
【0077】
図9Aから
図9Cは、等式10.1により規定される放物線状の面、等式10.2の球面、及び等式10.3の立体状の面をそれぞれ有するマイクロレンズアレイを示す。
図9Aから
図9Cには座標系が描かれている。各マイクロレンズは、自身の原点(x
c、y
c)を中心とする。一つの実施形態によると、OLED基板の発光(上部)側には、
図9Aから
図9Cに示されるようにマイクロレンズアレイがパターニングされる。x座標及びy座標は面内にあり、zは面外にある。アレイの各マイクロレンズは、異なるx
c及びy
cを通る対称軸を有する。
【0078】
一つの実施形態では、複数のマイクロレンズが密に充填される。一般的には、マイクロレンズの密充填は、規則的な配列(又は格子状)に、通常は繰り返しパターン状に、マイクロレンズを密に配置することである。密充填とは、製造技術により許容される、最大の緊密さで充填された、又は最大の空間効率性を与える、マイクロレンズ構造(格子)の組付けである。例えば、半球状マイクロレンズシステムでは、隣接し合う底面の円形状は互いに正接する。一般的には、これは、使用される製造技術により制限される。
図10Aは、マイクロレンズの六方最密充填アレイを示し、
図10Bは、マイクロレンズの放射状(半径方向)断面を示す。
図10Aのマイクロレンズの配列は、単一サイズのレンズの最適充填アレイである。マイクロレンズの半径R及び高さHが
図10Bに示されており、このマイクロレンズの厚さ形状は、上記の等式10.3に従う。
【0079】
二以上の異なるサイズを有するマイクロレンズを使用することで、マイクロレンズの充填係数をさらに向上させることができ、したがって光取り出しを向上させることができる。特に、マイクロレンズの充填は、
図11A及び
図11Bに示されるように、異なる複数のサイズのマイクロレンズをアレイに組み込むことにより向上させることができる。この向上した充填により、マイクロレンズアレイの充填係数が増加し、アウトカップリングの全体的な改善につながる。
図11Aは、最適面積被覆のために異なる二つのサイズのマイクロレンズを組み込んだアレイを示し、
図11Bは、異なる二つのサイズのマイクロレンズの放射状(半径方向)断面を示す。大きいレンズの半径R
L及び高さH
Lと、小さいレンズの半径R
S及び高さH
Sが
図11Bに示される。マイクロレンズの厚さ形状は、上記の等式10.3に従う。例として、小さいマイクロレンズの寸法は、大きいマイクロレンズの0.6376倍であるが、その他の多様な寸法のマイクロレンズを使用してよい。この向上した充填により、マイクロレンズアレイの充填係数が増加し、アウトカップリングの全体的な向上につながる。一つの実施形態によると、複数のマイクロレンズのうち少なくとも一つのマイクロレンズは底辺測定値R
1を有し、複数のマイクロレンズのうち少なくとも一つのマイクロレンズは底辺測定値R
2を有し、R
1はR
2と異なる。底辺測定値Rが半径である実施形態では、複数のマイクロレンズのうち少なくとも一つのマイクロレンズは底辺測定値R
1を有し、複数のマイクロレンズのうち少なくとも一つのマイクロレンズは底辺測定値R
2を有し、R
1はR
2と異なる。一つの実施形態では、複数のマイクロレンズは、例えば
図11Aに示されるように、幾何学的に繰り返すパターン状に配置される。一つの実施形態では、デバイスは、複数のマイクロレンズによって被覆される発光デバイスの面の比によって規定される充填係数を有し、充填係数、つまりマイクロレンズによって被覆されるデバイスの面の比は、約85%より大きく、少なくとも約90%である。
【0080】
図12は、マイクロレンズアレイから伝播する光線の例を示す。光線がマイクロレンズの面に近づくと、光線は屈折して基板から空気へと通過する場合、又は反射して基板内へと戻る場合がある。これらの結果は、フレネルの式により決まる。時に、一つのレンズからアウトカップリングされた光線が、隣接するレンズと交差して基板内にインカップリングされて戻る場合がある。
図12は、光線と基板とが交差する点をドットで示す。本開示によると、高屈折率基板を使用してデバイスと基板との間での光の損失を回避することにより、アウトカップリングをさらに高めることができる。マイクロレンズは、基板−空気界面でのアウトカップリング損失を軽減して、アウトカップリングの正味の向上を可能とする補助となる。一つの実施形態では、複数のマイクロレンズは、屈折率Xを有する材料から形成され、アウトカップリング層に隣接する有機発光デバイスの層は、屈折率Yを有する材料から形成される。この場合、XとYとの差は、約0.1より小さい。
【0081】
上述したように、外側取り出し層に近接(隣接も含む)する有機発光デバイスの層は、少なくとも約1.7の屈折率を有する材料を含む。一つの実施形態では、外側取り出し層は、単一の材料から形成されてよい。いくつかの場合では、外側取り出し層は、透明ポリマー基板の一部である。いくつかの場合では、透明ポリマー基板は可撓性である。一つの実施形態では、複数のマイクロレンズは第一の材料を含み、上述したように、有機発光デバイスに近接(隣接も含む)する外側取り出し層の部分は第二の材料を含んでよい。マイクロレンズは、約1.5より大きい、約1.6より大きい、又は約1.7より大きい屈折率を有してよい。
【0082】
一つの実施形態では、マイクロレンズアレイは、材料をパターン状に基板上に敷くスタンピングによって作製することができる。マイクロレンズアレイは、基板上に既に存在する材料を、型を使用して所望の表面形状に形成するエンボス加工によって作製することができる。スタンピングされた非球面マイクロレンズのアレイは、一般的に、堆積されたマイクロレンズポリマーのスポットを所望の形状に形成するスタンピング後工程が必要である。Kuo et al.により2010年に示されたUV硬化性ポリマーマイクロレンズの静電伸張は、このための方法の例である。スタンピングされるポリマーは、一般的に硬化性でなければならず、市場ではそのような高屈折率ポリマーが比較的に少ない。1.6より大きい屈折率nを有するUV硬化性ポリマーは、入手可能である(Morford et al.、プレスパターニングされたUV硬化性高屈折率コーティング、写真・光学計測技術者協会、頁612301−612301−11(2006))。
【0083】
エンボス加工は概念的には簡単に見えるが、適切なマイクロ構造を有する金属製の型の作製には注意が必要である。適切なマイクロ構造を有する母型が作製されていれば、母型上でリソグラフィ・電鋳・鋳造(LIGA)処理を使用して、電鋳により金属製の型を作製することができる(Becker et al.シンクロトロン放射リソグラフィ、ガルバノフォーミング、及びプラスチック成形(LIGA処理)による高アスペクト比及び高構造高さのマイクロ構造の作製、マイクロ電子工学4(1986)35−36)。非球面レンズ母型は、上述したポリマースタンピングや静電伸張処理等の処理を使用して作製することができる。母型は、正確な形状を有していなければならないが、光学特性は重要でないことに注意されたい。母型は、LIGA処理に適したものとなるように、導電性の基板上にスタンピングすることができる。金属メッキ浴に浸漬すると、金属が母型上に堆積して型が形成される。ポリマーが占める領域には、処理が完了した後、空隙が残る。したがって、型は、適切な仕上げ工程の後に使用可能となる。
【0084】
一つの実施形態では、複数のマイクロレンズは、ポリマー基板等の基板にエンボス加工される。エンボス加工は、より堅固なポリマー基板に予めコーティングされている未硬化ポリマーの層を形成する工程を含む別のプラスチック技術である。これにより、母型の作製が容易になる。金属を必要としないので、硬化性ポリマーから形成された母型から型を直接的に鋳造することができる(Liu et al.2010)。同様に、硬化したプラスチック型がコーティングされたローラーを、母型を使用してそれ自身をエンボス加工した後に、基板のエンボス加工に使用することができる。硬化性ポリマーを使用した非球面マイクロレンズの作製を、米国特許第8,257,793 B2号(Forrest 2010)に記載の技術を使用したロール・ツー・ロール処理に適合させることができる。
【0085】
開示される主題の一つの実施形態によると、発光デバイスの製造方法が提供される。方法は、複数のマイクロレンズを含むアウトカップリング層を基板の第一の面上に作製する工程を含む。複数のマイクロレンズの各マイクロレンズについて、マイクロレンズの面上の各点は、アウトカップリング層と基板との界面に対して90度以下の内角を形成する接平面を有する。さらに、複数のマイクロレンズの各マイクロレンズは、レンズ高さHと、最大底辺測定値2Rとを有し、H/Rは1より大きい。方法は、有機発光デバイスを得る工程と、有機発光デバイスを第一の面とは反対の基板の第二の面上に配置する工程とをさらに含んで良い。例えば、発光デバイスを製造する方法は、OLEDを第一の面とは反対の基板の第二の面に堆積する前に、複数のマイクロレンズを含むアウトカップリング層を基板の第一の面上に作製する工程を含んでよい。一つの実施形態では、複数のマイクロレンズは、基板にエンボス加工される。一つの実施形態では、複数のマイクロレンズは、サブトラクティブ法又はアディティブ法によって形成してよい。
【0086】
光取り出しを算出したいくつかの構成例を参照して詳細に記載したように、OLEDからの光アウトカップリングは、外側取り出し層と併せて内側取り出し層を使用した場合、従来のOLEDよりも顕著に向上されうる。
【0087】
本明細書に開示されるデバイス及び構造は、広範な技術を使用して作製してよい。たとえば、本明細書で議論される構造は、熱可塑性材料と熱硬化性材料との組み合わせから形成することができ、
図23に示すようなロール・ツー・ロール処理を使用して作製してよい。IEL構造物のネガ形を、ローラーエンボス加工等により、加温された熱硬化性プラスチックシートの一面上に段階1810で作製してよい。このシートは効果的に、後に分注される高屈折率熱硬化性材料の型となる。EELの屈折構造は、シートの反対側の面に段階1820でローラーエンボス加工されてよい。エンボス加工されたシートは、次に冷却ローラー間を通行する。冷却後、平坦化層とIELとを兼ねる液体高屈折率熱硬化性材料を段階1830でシート上に分注する。スロットコーティング等のその他のコーティング技術を使用してもよい。次に、段階1840で、材料は紫外光等の適切な開始剤に露出され、平坦化層を硬化させる。Si
3N
4等の材料の薄膜を、段階1820と段階1830との間で、又は段階1840の後で任意に堆積させて、基板のバリア特性を向上させることができる。
【0088】
平坦化・内側取り出し層の塗工後、基板は、電極の堆積を必要とする状態に準備される。電極は、例えば、プラズマスパッタリングにより堆積される透明導電性酸化アノードであってよい。これは、堆積の最中にシャドーマスクを使用することによって、又はその後でフォトリソグラフィー法を使用することによって、パターニングすることができる。次に、OLED及び上部の電極は、真空熱蒸着等の標準的な方法を使用して基板上に堆積させることができる。OLEDは、酸素や水分への耐性のために密閉されてよい。
【0089】
作製技術の特定的な例を使用してロール・ツー・ロール処理を図示及び記載したが、より一般的には、当業技術分野で知られるいかなる適切な技術を使用して本明細書に開示される構造を作製してもよいことは理解されよう。より具体的には、非平面的層及び/又はトポグラフィー構造物を作製するいかなる適切な技術を使用して本明細書に開示される内側及び外側の取り出し層構造を作製してもよい。
【0091】
Berremanのマトリックス法を使用して薄膜層をモデリングし、生成された光強度プロファイルをモンテカルロ光線トレーシングモデルへの入力として使用した。IELと基板との界面、及びEELと空気との界面は、別個にモデリングした。上述した構造及びデバイスに従い、IELモデルの光分布出力をEELの入力として使用した。EELからIEL及び薄膜層へと反射して戻った光の角度分布を、各界面での効果を個々に光線トレーシングすることにより決定した。反射光は、その後、デバイスから外部へと進行して二度目の通過をした。デバイスへと反射して戻った光の発光への寄与は、全発光光の10%しかなく、二度目及びそれ以上の反射の寄与は無視できるものであることが分かった。
【0092】
IELは、透明酸化アノード(n=1.9)と基板(n=1.5から1.7)との間で、透明高屈折率材料層(nは2.0以上)を有するものとしてモデリングした。IELは、アノードよりも高い屈折率を有するので、自身に入射するほぼすべての光を取り出す。IELをモデリングした厚さは、モデルにおいてアウトカップリングされた光の波長よりもずっと大きく、したがってIELは、OLED及びそのアノードの内部における導波モードの形成の抑制に成功した。
【0093】
IELの屈折率は、光がIELに入射したとき、法線方向に屈折されるように選択した。法線方向からの角度関数としての発光強度を
図13に示す。発光は、発光が生成される有機層(EM)内での角度に関して均一の強度を有する。酸化インジウムスズ透明導電性電極(ITO)は、たいていの有機材料よりも高い屈折率を有する。つまり、一般的な有機材料のn=1.85に対してn=1.93である。有機層から透明導電性電極に通過する光線は、従って、法線ベクトルから73°以内にある軌跡へと屈折される。電極内における73°での光強度ピークは、法線から遠く逸脱した軌跡に光線が集中することによる。光が透明導電性電極から内側取り出し層(IEL)に入射すると、光は法線に向かって再び屈折し、強度ピークは内側に移行する。屈折率がn=2.0のIELでは、強度ピークは68°で発生する。法線に向けて光を屈折させると、光はEEL−空気界面上のトポグラフィー構造物にアウトカップリングしやすい。均一な角度分布を有する光源により発光される光のほとんどは、基板平面の付近を進行するので、法線から遠く逸脱した軌跡上を出発した光線を集光してアウトカップリングすることは、有効なアウトカップリング補助には極めて重要である。単位球の赤道の近辺でのアジマス(方位角)の増分dθは、極の近辺での増分よりも、より大きい立体角dΩ=2πsin(θ)dθを包含する。
【0094】
上述したように、内側取り出し層と基板との界面にはトポグラフィー構造物がパターンニングされて、当該2つの構造物の間を通過するときに光が屈折され、そうでなければ電極から基板へと通過しないであろう光がアウトカップリングされるようにしてよい。
【0095】
三角形の畝の集合のアウトカップリング効率を、アスペクト比h/aの関数として調べた。hは畝の高さであり、2aは畝の幅である。
図14は、このようなトポグラフィー構造物の集合の例を示す。光線トレーシングシミュレーションの結果を
図15にプロットする。データ点は、初期生成光のうち、三角形状畝のトポグラフィー構造物を有するIELにより基板へと透過された光の比を、アスペクト比の関数として示す。h/a=0においてガラスへと44%アウトカップリングされた基準のケースは、
図4に示すガラスの結果に対応する。h/a=1.5の場合は生成光の約50%がアウトカップリングされることが分かった。h/a>1等の高い構造物がIELから基板へと最も効率良く光をカップリングするのは、それらの構造物が基板平面の付近を進行する光を法線方向に方向付け直すからである。基板へと出射された光の角度プロファイルを
図16に示す。
【0096】
図17に示すピラミッド状界面は、その二次元的特性のために、三角形畝よりもより効果的であろうことが更に分かった。このような構造は、適切な外側取り出し層と併せて使用した場合、例示されたOLEDのアウトカップリング効率を25%から44%に増加させたことが分かった。同様に、最密充填された半球状マイクロレンズの六角形状アレイによるIELは、アウトカップリング効率を45%にまで増加させることができる。
【0097】
一般的に、水平面と垂直面との組み合わせは、斜面や曲面から構成される界面よりも効率的に光をアウトカップリングすることはない。同様に、著しく平面的な面を有する界面構造物は、そうでないものに比べてアウトカップリング装置として効率性が低い。たとえば、潰れた(frustrated)ピラミッドは、尖ったピラミッドと同等の効率性で光をアウトアップリングすることはない。
【0098】
効率的なIELのみによって、高屈折率基板の必要性がなくなることはないことが分かった。例えばn=1.7等の高屈折率基板は、IELからの光の集光量を最大化するのに必要であると考えられる。更に、例えばn=2.0等の高屈折率IELは、基板平面の近辺を進行する光線を法線方向に方向付け直すのに十分な屈折特性を持つ界面をIELと基板との間に提供する。n=1.5の基板等のその他の基板、又はn=1.7又は1.9等のIELは、一般的に、デバイスから光の大半をアウトカップリングするのにあまり有効ではないかもしれない。
【0099】
多様なEELについても、h/a=1のピラミッド状IELと組み合わせてシミュレーションした。このような組み合わせを、
図18に図式的に示す。図示されるように、シミュレーションした構造は、半球状マイクロレンズの六方充填アレイを低屈折率n=1.5の基板上に有する。IELは、アノードと屈折率整合させた場合(ケース1)、又はn=2.0とした場合(ケース2)をシミュレーションした。EELは、高アスペクト比の立体形状レンズの六角形アレイを特徴とするものとしてモデリングした(ケース3)。これらのレンズは、アスペクト比h/a=2であり、hは高さ、rは半径である。立体レンズを有するn=1.7の高屈折率基板を使用した場合(ケース4)では、アウトカップリングが48.9%から54.2%に向上しうることが分かった。上述したように、立体又はその他のマイクロレンズは、レンズにより被覆される基板表面積の比を増加させるべく、大小のレンズを、互いに密に付けるパターン(テッセレーティングパターン)に、又はその他の任意の適切な密充填配置に充填することができる。軸対称な立体レンズ形状の例を
図19に示し、テッセレーティング充填パターンの例を
図20に示す。このような構成は、低屈折率基板の場合(ケース5)ではアウトカップリングが向上しないが、高屈折率基板の場合(ケース6)では向上することが分かった。従って、ケース6に示す選択されたアウトカップリング構造物を使用することにより、OLEDのアウトカップリング効率は、25%(標準的OLEDでは典型的)から54.4%に向上させることができる。
図18に示す6個のケースについて算出したアウトカップリング効率を
図21に示し、各ケースで生成された光の分布を示す照明(luminaire)プロットを
図22に示す。
【0100】
図24A及び
図24Bは、本明細書に開示される外側取り出し層としてのマイクロレンズアレイ−空気界面からの反射をモデリングするべく使用されるBerreman法を示す。
図24Aは、ガラス基板の反対側に成長させたOLEDとしての薄膜の積層体を示す。この膜は、酸化インジウムスズ(ITO)アノードと、OLEDの発光層(EM)と、アルミニウム(Al)カソードとを含む。
図24Aは、入射光線と、反射光線と、透過光線とを更に示す。
図24Bは、
図24Aの積層構造体から反射される光の割合を入射角の関数として示す。反射されない光は、一般的にアルミニウムカソードで吸収されることにより喪失する。OLED構造によって反射された光は、マイクロレンズアレイを介して空気にアウトカップリングされる二度目の機会を有する。従って、高反射性のOLED構造は、一般的にアウトカップリング効率を向上させうる。
【0101】
多重長さスケールモデルを使用して、多様なマイクロレンズ構造によって空気にアウトカップリングできる光量を見積もった。まず、Berreman法を使用してOLED構造内での薄膜の光学的効果を操作し、基板への入射光の角度分布を決定した。基板への光の分布の解を得るに際し、発光層から前方及び後方に伝播する両方の光を考慮に入れた。OLEDによって生成された光は、ランダムな偏光を有すると想定された。Berreman法の結果を用い、モンテカルロ光線トレーシングアルゴリズムを使用して、基板を通過して伝播する光線の角度分布を生成した。検討対象の複数の特定的なマイクロレンズアレイ構造が繰り返されたユニットの下方のランダムな点で光線は導入された。光線トレースシミュレーションの領域を形成するこのような繰り返しのユニットの例を、
図25A及び
図25Bに示す。
図25Aは、基板平面を上から見た図を示す。シェードをかけた領域のように、マイクロレンズパターンは周期的な繰り返しセルに分解されており、単一のセルがシミュレーションの領域として選択される。
図25Bは、そのようなセルにおけるマイクロレンズのトポグラフィーを示す。この場合、セルは異なる二つのサイズを有するマイクロレンズのパターンを含む。光線とマイクロレンズアレイの曲面との作用は、フレネルの式によって決まる。透過係数及び反射係数は、光線が交差する面に正接する平面に対する法線からの入射光線の角度のみに依存するσ偏光及びπ偏光の場合の平均として算出した。モデルにおける光線は、シミュレーションを終えるまでに、最高で30回までレンズ面間を反射することを許容された。基板を通る第一回目の通過で空気にアウトカップリングし損ねた後、OLED構造から一回で反射された光線についても考慮する。シミュレーションしたマイクロレンズアレイを通過する光線の例を
図12に示す。シミュレーション結果は、曲面マイクロレンズ及びそれらの間の平坦領域の両方を有する基板によって空気に発光された光の強度を積算し、その値を発光層で導入された光と比較することにより表される。
【0102】
マイクロレンズから反射されることが原因で、第一回目の通過で基板から出て行かない光線の、OLED層からの反射の方向及び強度の算出にもBerreman法を使用した。構造は、入射角によって0.8から0.9の反射率を有する。モデリングした構造と、入射角の関数としてのOLED構造の反射率とを、
図24A及び
図24Bに示す。一般的に、反射されない光は、アルミニウムカソードで吸収されることにより喪失する。OLED構造によって反射される光は、マイクロレンズアレイを介して空気にアウトカップリングされる二度目の機会を有する。従って、高反射性のOLED構造は、アウトカップリング効率を向上させる。
【0103】
光線トレーシングシミュレーションによって、球面マイクロレンズよりも放物線や立体マイクロレンズについて、顕著により効率的なアウトカップリングが得られることが実証される。球面マイクロレンズは、H/R=1のときに最適なアウトカップリングを表す。H/R<1では、放物線又は立体マイクロレンズアレイからのアウトカップリングは、球面マイクロレンズに劣る。しかし、H/R>1では、H/R=1のときの球面アレイについて得られるよりもより良いアウトカップリングが、放物線や立体アレイについて得られることが、六方最密充填マイクロレンズアレイの積算された光取り出しを示す
図26A及び
図26Bに示される。
図26Aの光取り出しは、OLED発光層で生成された光のうち空気にアウトカップリングされるパーセンテージとして表される。
図26Aは、n=1.5の基板及びマイクロレンズアレイからの光取り出しを示す。
図26Bの光取り出しは、屈折率n=1.5の平面的基板上のOLEDの場合に規格化される。
図26Bは、n=1.7の場合の光取り出しを示す。光取り出しは、上記の等式10.1(正方形)、等式10.2(菱型)、及び等式10.3(三角形)に整合するレンズ形状のH/Rの関数としてプロットされる。円筒状の台座上の半球形状のアレイを使用して、H/R>1の球面レンズの場合をモデリングした。H/R比は最大10までを多様な曲率について試験した。放物線や立体アレイについての最適アウトカップリングは、H/R=2で達成される。屈折率n=1.5の立体マイクロレンズの六角形充填がH/R=2の場合に、単純なガラスアレイに対して166%の向上が達成された。
【0104】
マイクロレンズの充填は、上述の通り異なる二つのサイズのレンズをアレイに組み込むことによって改善される。小さいマイクロレンズの寸法は、大きいマイクロレンズの寸法の0.6376倍である。この改善された充填によって、マイクロレンズアレイの充填係数が増加し、アウトカップリングの全体的な改善につながる。
図27Aから
図27Dは、異なる二つのサイズのレンズからなる最適充填マイクロレンズアレイの積算された光取り出しを示す。
図27A及び
図27Cは、OLED発光層で生成された光のうち空気にアウトカップリングされるパーセンテージとして、それぞれn=1.5及びn=1.7のときの光取り出しを示す。
図27B及び
図27Dは、平面的基板上のOLEDの場合に規格化された、それぞれn=1.5及びn=1.7のときの光取り出しを示す。光取り出しは、上記の等式10.1(正方形)、等式10.2(菱型)、及び等式10.3(三角形)に整合するレンズ形状のH/Rの関数としてプロットされた。図示のように、屈折率n=1.5の立体形状の二つのサイズのアレイ状マイクロレンズがH/R=2の場合に、単純なガラスアレイに対して177%の向上が達成される。異なる二つ以上のサイズのマイクロレンズを使用することによって、マイクロレンズの充填係数をさらに向上させ、従って光取り出しを向上させることができる。
【0105】
デバイスと基板との間での光の損失を回避するべく高屈折率の基板を使用することにより、アウトカップリングをさらに高めることができることが分かった。シミュレーションでは、H/R=2の立体レンズは、屈折率n=1.7の基板では、n=1.5の平面的基板に比べて、171%のアウトカップリング効率の向上を達成できることが示される。マイクロレンズは、基板−空気界面でのアウトカップリング損失を軽減して、アウトカップリングの正味の向上を可能とする補助となる。新規な、二つのレンズサイズの充填構造を適用した場合、H/R=3の立体レンズは、屈折率n=1.7の基板で187%のアウトカップリングの向上を達成することができる。
【0106】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば本明細書において記述されている材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなくほかの材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されているとおりの本発明は、当業者には明らかになるように、本発明において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。
複数のマイクロレンズの各マイクロレンズについて、前記マイクロレンズの面上の各点は、前記アウトカップリング層と前記有機発光デバイスとの界面に対して90度以下の内角を形成する接平面を有し、
前記複数のマイクロレンズの各マイクロレンズは、レンズ高さH及び最大底辺測定値2Rを有し、H/Rは1より大きい請求項12に記載のデバイス。
複数のマイクロレンズの各マイクロレンズが、連続関数rによって規定される厚さ形状を有し、rは、前記マイクロレンズの底辺の中心を通り、前記アウトカップリング層と前記有機発光デバイスとの界面に垂直な前記マイクロレンズの軸からの距離であり、rはR以下である請求項12に記載のデバイス。