特開2016-187860(P2016-187860A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-187860(P2016-187860A)
(43)【公開日】2016年11月4日
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/00 20060101AFI20161007BHJP
【FI】
   B23Q7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-69555(P2015-69555)
(22)【出願日】2015年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087619
【弁理士】
【氏名又は名称】下市 努
(72)【発明者】
【氏名】安田 浩
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正二
【テーマコード(参考)】
3C033
【Fターム(参考)】
3C033DD00
(57)【要約】
【課題】
ワークテーブル側の位置決めピンの折損やワーク及び位置決め孔の損傷を防止でき、かつ上下軸移動機構に大きな横方向力が作用するのを防止できる工作機械を提供する。
【解決手段】
ワーク搬出入装置3は、ワーク昇降機構8を備え、該ワーク昇降機構8は、凹部5bと凸部5aとの所定の係合長さLの内の一部L′だけ係合させ、又は該係合を解除させる第1昇降機構9と、前記係合長さLの内の残り(L−L′)をさらに係合させ、又は該係合を解除させる第2昇降機構10とを有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具が装着される主軸と、ワークが位置決め固定されるワークテーブルと、該ワークテーブルを上下方向に移動可能とする上下軸移動機構と、加工済ワークを機外に搬出すると共に、未加工ワークを機内に搬入するワーク搬出入装置とを備え、
前記上下軸移動機構は、前記ワークが、前記ワーク搬出入装置の搬送ラインと同じ高さに設定された受け渡し位置の下方に設定された受け渡し待機位置に位置するように前記ワークテーブルを移動可能に構成されており、
前記ワーク搬出入装置は、前記ワークを前記受け渡し待機位置と受け渡し位置との間で昇降させることにより、前記ワークとワークテーブルとの何れか一方の凹部に他方の凸部を係合させ、又は該係合を解除させるワーク昇降機構を備えている工作機械において、
前記ワーク昇降機構は、前記凹部と凸部との所定の係合長さLの内の一部L′だけ係合させ、又は該係合を解除させる第1昇降機構と、前記係合長さLの内の残り(L−L′)をさらに係合させ、又は該係合を解除させる第2昇降機構とを有する
ことを特徴とする工作機械。
【請求項2】
請求項1に記載の工作機械において、
前記ワーク昇降機構は、前記ワークが搭載される受け渡しレールを有し、
前記搬送ラインは、前記受け渡し位置と同じ高さに配置された固定レールと、該固定レールと前記受け渡しレールとの間に、該受け渡しレールを前記受け渡し位置に位置させる使用状態と、該受け渡しレールを受け渡し位置より低所に下降させる待機状態との間で変化可能に配置された可動レールとを有し、
前記第1昇降機構は、前記可動レールを、前記使用状態に変化させることにより該可動レールが前記受け渡しレールを前記受け渡し位置に上昇させ、前記待機状態に変化させることにより前記受け渡しレールを前記凹部と凸部とが前記係合長さLの一部L′だけ係合する一部係合位置に下降させ、
前記第2昇降機構は、前記受け渡しレールを、前記受け渡し待機位置と前記一部係合位置との間で昇降させるシリンダ機構を有し、該シリンダ機構が前記受け渡しレールを前記受け渡し待機位置に下降させることにより前記凹部と凸部とを前記係合長さLの残り(L−L′)をさらに係合させ、前記一部係合位置に上昇させることにより前記残りの係合を解除させる
ことを特徴とする工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークテーブル上に位置決め固定されている加工済ワークを搬送ラインへの受け渡し位置に搬出すると共に、前記受け渡し位置に搬入された未加工ワークを前記ワークテーブル上に位置決め固定するようにした工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の工作機械として、主軸をX軸(左右)方向及びZ軸(前後)方向に移動可能に構成すると共に、ワークが搭載されるワークテーブルをY軸(上下)方向に移動可能とするY軸移動機構を備えた工作機械がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この従来の工作機械では、前記Y軸移動機構によるY軸移動を利用することにより、加工済ワークをワーク搬送ラインへの受け渡し位置に搬出すると共に、該受け渡し位置に搬入された未加工ワークを前記ワークテーブル上に位置決め固定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第715076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来構造を備えた工作機械では、前記Y軸移動機構によるY軸移動を利用して前記ワークテーブル上の加工済ワークを受け渡し位置に搬出すると共に、該受け渡し位置に搬入された未加工ワークをワークテーブル上に位置決めするようにしているので、ワークをワークテーブルと受け渡し位置との間で移動させるための専用の駆動機構が不要であるという利点がある。
【0006】
しかし前記ワークをワークテーブル上に位置決めするための構造として、例えばワークテーブル側に位置決め用のピンを設け、ワーク側に前記ピンに係合する孔を設ける構造を採用した場合、前記受け渡し位置に搬入されたワークの孔と、ワークテーブル側のピンの軸線とを精度良く一致させる必要があり、精度良く一致していない場合は、前記ピンに前記孔が倣うようにワークが移動することとなる。ところが前記従来装置のように、ワークテーブルのY軸移動により、該ワークテーブル側のピンにワーク側の孔が倣うように構成した場合、ワークテーブルの質量が大きい分その慣性力も大きいため、前記ピンに大きな横方向力が作用し、場合によってはピンが折損したり、あるいはワークが損傷したりする恐れがあり、またY軸移動機構にも大きな横方向力が作用するという問題がある。
【0007】
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、ワークテーブル側の位置決めピンの折損やワーク及び位置決め孔の損傷を防止でき、かつY軸移動機構に大きな横方向力が作用するのを防止できる工作機械を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は工具が装着される主軸と、ワークが位置決め固定されるワークテーブルと、該ワークテーブルを上下方向に移動可能とする上下軸移動機構と、加工済ワークを機外に搬出すると共に、未加工ワークを機内に搬入するワーク搬出入装置とを備え、
前記上下軸移動機構は、前記ワークが、前記ワーク搬出入装置の搬送ラインと同じ高さに設定された受け渡し位置の下方に設定された受け渡し待機位置に位置するように前記ワークテーブルを移動可能に構成されており、
前記ワーク搬出入装置は、前記ワークを前記受け渡し待機位置と受け渡し位置との間で昇降させることにより、前記ワークとワークテーブルとの何れか一方の凹部に他方の凸部を係合させ、又は該係合を解除させるワーク昇降機構を備えている工作機械において、
前記ワーク昇降機構は、前記凹部と凸部との所定の係合長さLの内の一部L′だけ係合させ、又は該係合を解除させる第1昇降機構と、前記係合長さLの内の残り(L−L′)をさらに係合させ、又は該係合を解除させる第2昇降機構とを有する
ことを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の工作機械において、
前記ワーク昇降機構は、前記ワークが搭載される受け渡しレールを有し、
前記搬送ラインは、前記受け渡し位置と同じ高さに配置された固定レールと、該固定レールと前記受け渡しレールとの間に使用状態と待機状態との間で変化可能に配置された可動レールとを有し、
前記第1昇降機構は、前記可動レールを、前記使用状態に変化させることにより該可動レールが前記受け渡しレールを前記受け渡し位置に上昇させ、前記待機状態に変化させることにより前記受け渡しレールを前記凹部と凸部とが前記係合長さLの一部L′だけ係合する一部係合位置に下降させ、
前記第2昇降機構は、前記受け渡しレールを、前記受け渡し待機位置と前記一部係合位置との間で昇降させるシリンダ機構を有し、該シリンダ機構が前記受け渡しレールを前記受け渡し待機位置に下降させることにより前記凹部と凸部とを前記係合長さLの残り(L−L′)をさらに係合させ、前記一部係合位置に上昇させることにより前記残りの係合を解除させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、加工済みワークの搬出工程では、前記上下軸移動機構が、前記加工済みワークが位置決め固定されたワークテーブルを受け渡し待機位置に上昇させ、続いて前記ワーク昇降機構が、前記ワークを前記受け渡し位置に上昇させ、これによりワークテーブル,ワークの凹部と凸部との係合が解除され、ワークの機外への搬出が可能となる。
【0011】
一方、未加工ワークの加工位置への搬入工程では、受け渡し位置に供給された未加工ワークを、ワーク昇降機構が受け渡し待機位置に位置しているワークテーブル上に下降させる。これによりワーク,ワークテーブルの凹部と凸部とが係合し、ワークはワークテーブル上に位置決めされ、続いて上下軸移動機構がワークテーブルをワーク加工位置に下降させる。
【0012】
この場合、前記凹部と凸部との軸線に小さなずれがある場合は、前記凸部が凹部に倣うことにより前記ずれは吸収されることとなるが、本発明では、ワーク昇降機構がワークを昇降させるようにしているので、質量ひいては慣性力が大きいワークテーブルを昇降させる場合に比較してその質量ひいては慣性力が小さいため、昇降速度を自由に設定可能であり、その結果、前記凸部や凹部あるいはワークが損傷するのを回避できる。
【0013】
また、前記ずれが大きいため前記凹部と凸部が係合しない場合は、前述のよう慣性力が小さいのでワークの昇降を直ちに停止することができ、前記凸部や凹部の損傷を防止できる。なお、この場合、前記凹部と凸部とが係合していないことを検出するセンサを設け、警報等を発するようにすることが望ましい。
【0014】
このように、ワーク昇降機構により凹部と凸部とを係合させ、その後に上下軸移動機構によりワークテーブルを加工位置まで移動させるようにしたので、凹部と凸部とにずれがあった場合でも、上下軸駆動機構に大きな横方向力が直接作用するのを回避できる。
【0015】
また、加工済みワークの機外への搬出工程では、上下軸移動機構がワークテーブルを受け渡し待機位置に移動させ、続いて第2昇降機構がワークを一部係合位置に上昇させることにより前記凹部と突部との係合長さLの内の一部L′を残す部分(L−L′)を解除する。さらに第1昇降機構がワークを受け渡し位置に上昇させることにより前記係合長さLの一部L′を解除する。
【0016】
一方、未加工ワークの加工位置への搬入工程では、第1昇降機構が、ワークを一部係合位置に下降させることにより、前記凹部と凸部との係合長さの一部L′だけを係合させ、続いて第2昇降機構がワークを受け渡し待機位置に位置しているワークテーブル上に下降させ、これにより前記凹部と凸部との係合長さの残り(L−L′)を係合させ、係合長さはLとなる。
【0017】
このように、所定の係合長さLの内の一部L′だけ係合させ、続いて残り(L−L′)を係合させるというように2段階に分けて係合させるようにしたので、前記凹部と凸部とにずれがあった場合でも、該凹部や凸部の損傷をより一層確実に回避でき、また上下軸移動機構に横方向力が作用するのをより一層確実に回避できる。
【0018】
請求項2の発明では、第1昇降機構において、可動レールが、使用状態に変化することにより受け渡しレールを受け渡し位置に上昇させ、待機状態に変化することにより受け渡しレールを一部係合位置に下降させる。また、第2昇降機構において、シリンダ機構が伸長することにより受け渡しレールを一部係合位置に上昇させ、収縮することにより受け渡し待機位置に下降させる。このようにして、前記凹部と凸部とをその係合長さLの一部L′と残り(L−L′)との2段階の係合及び係合解除を実現できる具体的構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例1に係る工作機械の正面斜視図である。
図2】前記工作機械のワーク搬出工程における加工終了状態を説明するための正面図である。
図3】前記ワーク搬出工程におけるワークテーブル上昇時の動作説明するための正面図である。
図4】前記ワーク搬出工程におけるワーク昇降機構の動作を説明するための正面図である。
図5】前記ワーク搬出工程におけるワーク昇降機構の動作を説明するための正面図である。
図6】前記ワーク搬出工程におけるワーク昇降機構の動作を説明するための正面図である。
図7】前記ワーク搬出工程においてワークテーブルが受け渡し待機位置に位置している時点での動作を説明するための模式図である。
図8】前記ワーク搬出工程において受け渡しレールが一部係合位置に上昇した時点での動作を説明するための模式図である。
図9】前記ワーク搬出工程において受け渡しレールが受け渡し位置に上昇した時点での動作を説明するための模式図である。
図10】前記受け渡しレールと可動レールとの係合時の動作を説明するための拡大図である。
図11】本発明の実施例2に係る工作機械の正面図である。
図12】前記実施例2に係る工作機械の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
図1ないし図10は本発明の実施例1に係る工作機械を説明するための図である。
【0022】
図において、1は本実施例1に係る工作機械である。この工作機械1は、ワークWに機械加工を施す機械本体2と、該機械本体2に未加工ワークW1を搬入すると共に、該機械本体2から加工済ワークW2を搬出するワーク搬出入装置3とを備えている。
【0023】
前記機械本体2は、ベッド2aにX軸(左右)方向及びZ軸(前後)方向に移動可能に支持された主軸4と、ワークWが位置決め固定されるワークテーブル5と、該ワークテーブル5を、Y軸(上下)方向に移動可能とすると共に、該Y軸と平行なB軸回りに回転可能とし、さらにX軸と平行なA軸回りに回転可能とするテーブル駆動機構6とを備えている。この機械本体2の左,右側面,背面及び上面は機体カバー2bで囲まれている。
【0024】
前記テーブル駆動機構6は、テーブル支持部6aを、支持ベース部6bにより前記A軸回りに回転可能に支持すると共に、A軸回り駆動部6cによりA軸回りに回転駆動するように構成されている。
【0025】
前記ワークテーブル5は、テーブル基板6i上に固定され、該テーブル基板6iは前記テーブ支持部6aに設けられたB軸回り駆動部6d上に搭載されている。
【0026】
また、前記ワークテーブル5には、複数の位置決めピン5aが植設されており、前記ワークWの下面には、前記位置決めピン5aが係合する位置決め孔5bが形成されている。この位置決めピン(凸部)5aと位置決め孔(凹部)5bとはワークの位置決め及びワークの横方向移動阻止を十分に実現可能の所定の係合長さLだけ係合可能となるようにその寸法が設定されている。なお、図7に示すように、前記ワークWは前記ワークテーブル5に形成された受け座5c上に搭載され、図示しないクランプ機構により前記ワークテーブル5上に位置決め固定される。
【0027】
また、前記支持ベース部6bは、ガイドレール6hを介して前記ベッド2aによりY軸方向に移動可能に支持され、Y軸移動機構(上下軸移動機構)6eによりY軸方向に昇降駆動される。このY軸移動機構6eは、ボールねじ6fを前記支持ベース部6bに設けられたナット部材に螺挿し、該ボールねじ6fをモータ6gにより回転駆動することにより前記支持ベース部6bひいては前記ワークテーブル5をY軸方向に移動させるようになっている。
【0028】
さらにまた前記Y軸移動機構6eは、前記ワークWが受け渡し待機位置D′に位置するように前記ワークテーブル5を移動可能に構成されている。ここで、前記受け渡し待機位置D′は、後述する搬送ライン7と同じ高さに設定された受け渡し位置Dより少し低い位置に、具体的には前記位置決めピン5aと位置決め孔5bとの係合長さLより所定の隙間αだけ低い位置に設定されている。
【0029】
そして前記ワーク搬出入装置3は、前記受け渡し位置Dに位置している後述する受け渡しレール8a上の加工済みワークW2を機外に搬出すると共に、該受け渡しレール8a上に未加工ワークW1を搬入するための搬送ライン7と、ワークを前記受け渡し待機位置D′に位置しているワークテーブル5と受け渡し位置Dとの間で昇降させるワーク昇降機構8とを有する。
【0030】
前記搬送ライン7は、前記機体カバー2bの外側に配置固定された搬入側固定レール7a及び搬出側固定レール7bと、前記機体カバー2bの開口2c付近に配置された搬入側可動レール7c及び搬出側可動レール7dとを有する。この搬入側,搬出側可動レール7c,7dは、前記搬入側,搬出側固定レール7a,7bと、前記ワーク昇降機構8の後述する受け渡しレール8aとの間に、直線状の使用状態と折り畳まれた待機状態とに変化可能に配設されている。
【0031】
前記ワーク昇降機構8は、前記受け渡しレール8a上のワークの位置決め孔5bと前記ワークテーブル5の位置決めピン5aとを、その所定の係合長さLの内の一部L′だけ係合させ、又は該係合を解除させる第1昇降機構9と、前記係合長さLの内の残り(L−L′)だけ係合させ、又は該係合を解除させる第2昇降機構10とを有する。
【0032】
前記第1昇降機構9は、前記搬入側可動レール7c及び搬出側可動レール7dを使用状態、つまり直線状態に変化させることにより、該両可動レール7c,7dが、前記受け渡しレール8aを前記受け渡し位置Dと同じ高さとなるように上昇させ、一方、前記両可動レール7c,7dを待機状態、つまり折り畳んだ状態に変化させることにより、該可動レール7c,7dが、前記受け渡しレール8aを前記受け渡し位置Dより(L′+α)だけ低い一部係合位置D′′に下降させるように構成されている。
【0033】
具体的には、図10に示すように、前記両可動レール7c,7dの前記受け渡しレール8a側の端部に、先端側ほど低くなる可動レール側楔面aを形成すると共に、受け渡しレール8aの後端部及び前端部に、前記可動レール側楔面aに摺接可能の受け渡し側楔面bを形成した構造となっている。可動レール側楔面aを受け渡し側楔面bの下側に押し込むことで、受け渡しレール8aが上昇する。なお、受け渡しレール8aは、後述するシリンダ機構8bの支持プレート8cに植設されたガイドロッド8dにガイドされつつ上昇する。この上昇時には、受け渡しレール8aと前記支持プレート8cとの間には隙間cが生じる。
【0034】
前記第2昇降機構10は、前記受け渡しレール8aを、前記ワークが受け渡し待機位置D′に位置するように下降させたとき、前記位置決め孔5bと位置決めピン5aとの係合長さがLとなるように構成されている。具体的には、前記受け渡しレール8aと前記テーブル支持部6aとの間に、前記受け渡しレール8aを前記一部係合位置D′′と受け渡し待機位置D′との間で昇降させるシリンダ機構8bを有する。なお、このシリンダ機構8bはピストンロッドの先端に固定された前記支持プレート8cを介して前記受け渡しレール8aを昇降させる。
【0035】
次に、本実施例装置における加工済ワークW2の機外への搬出工程及び加工済ワークW1の機内への搬入工程を説明する。
【0036】
機械加工終了時には、図2図7に示すように、加工済ワークW2は、ワークテーブル5の受け座5c上にクランプされており、位置決めピン5aと位置決め孔5bは長さLだけ係合している。
【0037】
前記ワークテーブル5は、図3図7に示すように、その受け座5cひいては加工済ワークW2が受け渡し待機位置D′に位置するように前記Y軸移動機構6eにより上昇駆動され、この後加工済ワークW2のクランプが解除される。
【0038】
続いて図4図8に示すように、前記第2昇降機構10のシリンダ機構8bが伸長して受け渡しレール8aひいてはワークW2を一部係合位置D′′に上昇させ、これにより前記位置決めピン5aと位置決め孔5bとの係合の大部分が解除され、係合長さはL′となる。
【0039】
さらに図5図6及び図9に示すように、搬入側,搬出側可動レール7c,7dが直線状の使用状態に変化され、これにより該両可動レール7c,7dの楔面aが受け渡しレール8aの楔面bに当接し、該受け渡しレール8aを前記係合長さ(L′+α)だけ、具体的には数mm程度押し上げる。その結果、受け渡しレール8aは、前記両可動レール7c,7d及び両固定レール7a,7bと同じ高さの受け渡し位置Dに上昇し、前記位置決めピン5aと位置決め孔5bとの係合は解除され、さらに位置決めピン5aとワーク下面との間に隙間αが形成される。これにより加工済ワークW2の搬出側固定レール7b上への搬出が可能となる。
前記加工済ワークW2の搬出工程に続く未加工ワークW1の加工位置への搬入工程は以下の通りとなる。
【0040】
前記受け渡しレール8aは、前記両可動レール7c,7d及び両固定レール7a,7bと同じ高さの受け渡し位置Dに位置しており、この受け渡しレール8a上に未加工ワークW1が搬入される(図6図9参照)。
【0041】
そして前記両可動レール7c,7dが折り畳まれて待機状態に変化すると、前記受け渡しレール8aが前記一部係合位置D′′に下降し、ワークW1の位置決め孔5bにワークテーブル5側の位置決めピン5aが前記係合長さの一部L′だけ係合する(図5図8参照)。
【0042】
さらに前記シリンダ機構8bが収縮して受け渡しレール8aがワーク受け渡し待機位置D′まで下降し、前記ワークW1の位置決め孔5bとワークテーブル5側の位置決めピン5aとの係合長さはLとなり、ワークW1はワークテーブル5の受け座5c上に搭載され、図示しないクランプ機構によりワークテーブル5上にクランプされる(図3図7参照)。
【0043】
最後に図2図3に示すように、Y軸移動機構6eがワークテーブル5を加工位置まで下降させ、機械加工が開始される。
【0044】
このように本実施例では、ワーク昇降機構8によりワークW を昇降させることにより、ワーク側の位置決め孔5bをワークテーブル側の位置決めピン5aに
係合させるようにしているので、前記位置決め孔5bと位置決めピン5aとの軸線の小さなずれがある場合は、前記位置決めピン5aや位置決め孔5bを損傷させることなく両者のずれを吸収できる。即ち、本実施例では、ワークテーブルを昇降させることで前記位置決めピンと位置決め孔を係合させる場合に比較してその質量ひいては慣性力が小さいため、前記ワークを所望の速度で昇降させることができ、その結果、前記位置決めピン5a等が損傷するのを回避できる。
【0045】
また、前記ずれが大きいため前記位置決めピン5aと位置決め孔5bとがうまく係合しない場合は、前述のよう慣性力が小さいのでワークの昇降を直ちに停止することができる。この場合、前記凹部と凸部とが係合していないことを検出するセンサを設け、警報等を発するようにすることが望ましい。
【0046】
また、本実施例では、まず、受け渡しレール8aを一部係合位置D′′に低速で下降させることで位置決めピン5aと位置決め孔5bとを一部L′だけ係合させ、続いて受け渡しレール8aを低速で受け渡し待機位置D′に下降させることで前記位置決めピン5aと位置決め孔5bとの係合長さをLとする2段階で係合させるようにしているので、この点から前記位置決めピン5a等の損傷をより一層確実に回避できる。
【0047】
また、本実施例では、ワーク昇降機構8により位置決めピン5aと位置決め孔5bとを係合させ、その後にY軸移動機構6eによりワークテーブル5を加工位置まで移動させるようにしたので、位置決めピン5aと位置決め孔5bとにずれがあった場合でも、Y軸駆動機構6eに大きな横方向力が直接作用するのを回避できる。
【実施例2】
【0048】
図11図12は本発明の実施例2に係る工作機械を説明するための図であり、図中、図1図10と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0049】
本実施例では、搬入側可動レール7c′及び搬出側可動レール7d′は、その搬送方向に使用位置と待機位置との間で進退可能に構成されている。
【0050】
受け渡しレール8aは、前記可動レール7c′,7d′を使用位置に前進させることにより受け渡し位置Dに上昇し、待機位置に後退させることにより一部係合位置D′′に下降する。
【0051】
本実施例においても、ワーク側の位置決め孔5bとワークテーブル側の位置決めピン5aとを、係合長さLの一部L′だけ係合させることができる。
【0052】
なお、前記各実施例においては、本発明を、X軸(左右)方向及びZ軸(前後)方向に移動可能に支持された主軸と、Y軸(上下)方向に移動可能に支持されたワークテーブルという軸構成の工作機械で説明したが、本発明は少なくともワークテーブルがY軸(上下)方向に移動可能に支持されておれば良く、X軸(左右)方向とZ軸(前後)方向についてはこれに限るものではない。
【符号の説明】
【0053】
1 工作機械
3 ワーク搬出入装置
4 主軸
5 ワークテーブル
5a 位置決めピン(凸部)
5b 位置決め孔(凹部)
6e Y軸移動機構(上下軸移動機構)
7 搬送ライン
7a,7b 固定レール
7c,7d 可動レール
8 ワーク昇降機構
8a 受け渡しレール
8b シリンダ機構
9 第1昇降機構
10 第2昇降機構
D 受け渡し位置
D′ 受け渡し待機位置
D′′ 一部係合位置
L 係合長さ
L′ 係合長さの一部
(L−L′) 係合長さの残り
W ワーク
W1 未加工ワーク
W2 加工済みワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12