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特開2016-188032ステアリングギヤボックス及びスタビライザの取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-188032(P2016-188032A)
(43)【公開日】2016年11月4日
(54)【発明の名称】ステアリングギヤボックス及びスタビライザの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60G 21/055 20060101AFI20161007BHJP
   B62D 3/12 20060101ALI20161007BHJP
【FI】
   B60G21/055
   B62D3/12 509A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-69218(P2015-69218)
(22)【出願日】2015年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】谷田 純児
(72)【発明者】
【氏名】大内 大
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA69
3D301DA66
3D301DA72
3D301DB02
3D301DB10
3D301DB23
3D301DB57
(57)【要約】
【課題】ステアリングギヤボックス及びスタビライザの取付構造に関し、部品点数の増加を招くことなく、取付構造全体の剛性を向上させる。
【解決手段】車幅方向に間隔をあけた二箇所のそれぞれにおいて、前後に配置される二つのボルト7によって車体部材11に固定されるステアリングギヤボックス1と、左右のサスペンション装置を連結するスタビライザ2と、車幅方向に間隔をあけてスタビライザ2に外嵌されるとともに、二つのボルト7間に配置される二つのスタビライザブッシュ3と、スタビライザブッシュ3の上面に当接し、二つのボルト7によって共締めされることでスタビライザ2を車体部材11に固定する第一ブラケット4と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に間隔をあけた二箇所のそれぞれにおいて、前後に配置される二つのボルトによって車体部材に固定されるステアリングギヤボックスと、
左右のサスペンション装置を連結するスタビライザと、
車幅方向に間隔をあけて前記スタビライザに外嵌されるとともに、前記二つのボルト間に配置される二つのスタビライザブッシュと、
前記スタビライザブッシュの上面に当接し、前記二つのボルトによって共締めされることで前記スタビライザを前記車体部材に固定する第一ブラケットと、を備える
ことを特徴とする、ステアリングギヤボックス及びスタビライザの取付構造。
【請求項2】
前記車体部材が、車軸を支えるアーム部材と車体とを連結するサスペンションクロスメンバであり、
前記第一ブラケットが、車幅方向に延在する一枚の板材で構成されて前記二つのスタビライザブッシュの各上面に当接する
ことを特徴とする、請求項1記載のステアリングギヤボックス及びスタビライザの取付構造。
【請求項3】
前記スタビライザブッシュが、前記上面に上方へ突設された突起部を有し、
前記第一ブラケットが、前記突起部が嵌合する係止部を有する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のステアリングギヤボックス及びスタビライザの取付構造。
【請求項4】
前記ステアリングギヤボックスに外嵌されたステアリングブッシュを介し、前記二つのボルトによって締結されることで前記ステアリングギヤボックスを前記車体部材に固定する第二ブラケットを備える
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のステアリングギヤボックス及びスタビライザの取付構造。
【請求項5】
前記ステアリングギヤボックスは、一体成形された取付部が前記二つのボルトによって締結されることで前記車体部材に固定される
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のステアリングギヤボックス及びスタビライザの取付構造。
【請求項6】
前記ステアリングギヤボックスと前記スタビライザとが、前記二つのボルト間において上下方向に重なるように配置される
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のステアリングギヤボックス及びスタビライザの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングギヤボックスとスタビライザとを車体部材に取り付ける取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングギヤボックスを車幅方向の二箇所で車体に取り付け、左右のサスペンション装置を連結するスタビライザを、ステアリングギヤボックスの取付箇所に近接する位置で車体に取り付けた構造が知られている。例えば、スタビライザのトーション部を、ステアリングギヤボックスを取り付けるための取付ブラケットに掛け渡し状に結合することで補強にも役立つようにした構造がある(特許文献1参照)。また、サスペンションフレームにスタビライザを取り付けるためのスタビライザブラケットとは別体で、ステアリングギヤボックスを固定するボルトとスタビライザブラケットとを連結する連結部材を設けた構造がある(特許文献2参照)。この構造によれば、ステアリングギヤボックスの取付剛性とスタビライザの取付剛性とが共に高められるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平05−001163号公報
【特許文献2】特開2012−236532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献2の構造は、スタビライザブラケットとは別体で連結部材を設け、連結部材の一端及び他端をそれぞれ、ステアリングギヤボックス及びスタビライザブラケットに取り付けるため、部品点数が多く、重量の増大やコストの増大を招く。また、この構造では、連結部材の上部材に形成された円孔が窪みとなっているため、泥水や砂粒が侵入してこの窪みに堆積した場合に、連結部材やボルト等に錆びが発生して腐食するおそれがある。
【0005】
また、この構造の場合、連結部材の一端はステアリングギヤボックスとの共締めによってサスペンションフレームに固定されているが、連結部材の他端はスタビライザブラケットに立設されたスタッドボルト及びナットによってスタビライザブラケットに取り付けられる。このため、ステアリングギヤボックスの固定箇所を支点とした場合に、連結部材が片持ちの状態となることから、スタビライザの入力に対する取付構造全体の剛性を高めることが難しいという課題がある。
【0006】
本件は、このような課題に鑑み案出されたもので、ステアリングギヤボックス及びスタビライザの取付構造に関し、部品点数の増加を招くことなく、取付構造全体の剛性を向上させることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)ここで開示するステアリングギヤボックス及びスタビライザの取付構造は、車幅方向に間隔をあけた二箇所のそれぞれにおいて、前後に配置される二つのボルトによって車体部材に固定されるステアリングギヤボックスと、左右のサスペンション装置を連結するスタビライザと、を備える。また、本取付構造は、車幅方向に間隔をあけて前記スタビライザに外嵌されるとともに、前記二つのボルト間に配置される二つのスタビライザブッシュと、前記スタビライザブッシュの上面に当接し、前記二つのボルトによって共締めされることで前記スタビライザを前記車体部材に固定する第一ブラケットと、を備える。
【0008】
(2)前記車体部材が、車軸を支えるアーム部材と車体とを連結するサスペンションクロスメンバであることが好ましい。この場合、前記第一ブラケットは、車幅方向に延在する一枚の板材で構成されて前記二つのスタビライザブッシュの各上面に当接することが好ましい。
(3)前記スタビライザブッシュが、前記上面に上方へ突設された突起部を有し、前記第一ブラケットが、前記突起部が嵌合する係止部を有することが好ましい。
【0009】
(4)前記取付構造は、前記ステアリングギヤボックスに外嵌されたステアリングブッシュを介し、前記二つのボルトによって締結されることで前記ステアリングギヤボックスを前記車体部材に固定する第二ブラケットを備えることが好ましい。
(5)前記ステアリングギヤボックスは、一体成形された取付部が前記二つのボルトによって締結されることで前記車体部材に固定されることが好ましい。
(6)また、前記ステアリングギヤボックスと前記スタビライザとが、前記二つのボルト間において上下方向に重なるように配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
開示のステアリングギヤボックス及びスタビライザの取付構造によれば、部品点数の増加を招くことなく、取付構造全体の剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る取付構造によってサスペンションクロスメンバに取り付けられたステアリングギヤボックス及びスタビライザを示す模式的な斜視図である。
図2図1のステアリングギヤボックス及びスタビライザをサスペンションクロスメンバから分解した分解斜視図である。
図3図1の平面図である。
図4】ステアリングギヤボックスの左側の固定箇所の縦断面図(図3のA−A矢視断面図)である。
図5】ステアリングギヤボックスの右側の固定箇所の縦断面図(図3のB−B矢視断面図)である。
図6】スタビライザブッシュと第一ブラケットとの係止部を拡大した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して、実施形態としての取付構造について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の説明では、車両の進行方向を前方,その逆を後方とし、前方を基準に左右を定めるとともに、重力の方向を下方,その逆を上方として説明する。さらに、左右方向(車幅方向ともいう)の中心側を内側,逆側を外側という。
【0013】
[1.構成]
[1−1.全体構成]
本実施形態に係るステアリングギヤボックス及びスタビライザの取付構造は、図1に示すサスペンションクロスメンバ11(車体部材、以下、サスクロス11という)に対してステアリングギヤボックス1及びスタビライザ2を取り付けるための構造である。
【0014】
まず、サスクロス11の構造及びサスペンション装置の構成について図1図5を用いて説明する。サスクロス11は、車軸を支持するアーム部材と車体とを連結するものであり、左右輪が独立して動作する独立懸架式のサスペンション装置を備えた車両に設けられる。本実施形態のサスペンション装置は、所謂ストラット式のサスペンション装置であり、図1に示すように前輪FWに設けられる。サスペンション装置は、ショックアブソーバを内部に収めたコイルスプリング(何れも図示略)の上端が車体に接続されて支持される。このサスペンション装置には、上面視で略L字状に形成され、図示しない車軸を支えるロアアーム10(アーム部材)が設けられる。
【0015】
図1及び図2に示すように、ロアアーム10は、前方内側に角部10cが配置され、後方と外側とにそれぞれアーム部10a,10bが延びるような姿勢で配置される。角部10c及び後方に延びる第一アーム部10aは、外側に延びる第二アーム部10bをロアアーム10の先端側としたときに基端側となる部位であり、車幅方向に延設されるサスクロス11の左右両端部にそれぞれブッシュ(図示略)を介して連結される。
【0016】
サスクロス11は、車両の前後方向に延びる左右一対のサイドメンバ30(車体)の間で車幅方向に延設される部材であり、左右両端においてサイドメンバ30にそれぞれ固定されて支持される。なお、サイドメンバ30は車両の骨格部材である。サスクロス11は、車幅方向において左右対称の形状に形成され、アッパプレート12と、二つのロアプレート13と、補強部材14と、二つの伝達部材17とを備える。すなわち、サスクロス11は、アッパプレート12,二つのロアプレート13,補強部材14及び二つの伝達部材17が組み立てられて構成される。
【0017】
図1図3に示すように、アッパプレート12は、車幅方向に延設される板状の部材であり、ロアアーム10,排気管31及びトランスファ32の上方に配置されてサイドメンバ30に支持される。アッパプレート12は、その法線が上下方向に向く姿勢で車幅方向に延設され、車幅方向中心から外側に行くほど前後方向長さが長くなるとともに外方へ下降傾斜し、両端部において前後に分岐した形状に形成される。
【0018】
以下、アッパプレート12の車幅方向中心に設けられた略矩形状の部位を平面部12aといい、平面部12aの左右両側にそれぞれ連続して設けられ、外方へ下降傾斜した略台形状の二つの部位をそれぞれ傾斜面部12bという。また、アッパプレート12の各傾斜面部12bの外側に突設された分岐形状の部位を固定面部12cという。左右の固定面部12cにはそれぞれ、前後方向中間部で内側へ凹んだ窪み部が形成され、窪み部の前方及び後方の部分には貫通孔がそれぞれ設けられる。各孔には、サスクロス11とロアアーム10とを連結するためのボルト19が挿通される。
【0019】
アッパプレート12は、平面部12a及び各固定面部12cが略平行に設けられ、これらが傾斜面部12bを介して連設されるため、正面視で平面部12aが両側の固定面部12cよりも一段高い位置に設けられる。すなわち、アッパプレート12は、車幅方向中央部がキックアップした形状とされ、この下方に排気管31及びトランスファ32が配置される。また、アッパプレート12の固定面部12cの下方には、ロアアーム10の基端側の部位(第一アーム10a及び角部10c)が配置される。
【0020】
また、各固定面部12cの後部の外端には、アッパプレート12をサイドメンバ30に固定するための固定孔12fが貫設される。また、固定面部12cの裏面には、上下方向に延設された円筒状の円筒部12nが接合される。円筒部12nは、その上端が固定孔12fと連通するように固定面部12cに接合され、その下端がロアプレート13を貫通して配置される。アッパプレート12の後部は、円筒部12nの下方から円筒部12n及び固定孔12fに図示しないボルトが挿通されて、サイドメンバ30に締結,固定される。
【0021】
アッパプレート12の上面には、二つの前側ブラケット15が車幅方向に間隔をあけて配置される。前側ブラケット15は、アッパプレート12をサイドメンバ30に支持するための支持部材であり、アッパプレート12の上面に溶接によって接合される。図2に示すように、前側ブラケット15は、傾斜面部12bの上面に接合(固定)される基部15aと、基部15aから上方へ延設されて外側に傾斜した腕部15bと、腕部15bの先端で外方に突設された先端部15cとを有する。
【0022】
前側ブラケット15の基部15aは、ステアリングギヤボックス1をボルト7によって固定するための台座となる部位であり、図2図4及び図5に示すように、前後方向に沿う縦断面が下方に開放したコ字状に形成される。基部15aは、その上面が略水平面状に形成されるとともに、上面の上下方向位置がアッパプレート12の平面部12aと一致するように(すなわち、平面部12aと同一の高さとなるように)形成される。基部15aの上面には、ボルト7が挿通される孔部15hが貫設される。また、基部15aの裏面には、軸方向が上下方向となる姿勢で接合されたパイプナット18が設けられる。
【0023】
パイプナット18は、その上端が孔部15hと連通するように基部15aに接合され、その下端が伝達部材17を貫通して配置される。パイプナット18は、上端部の内周面及び下端部の外周面がそれぞれねじ切り加工されている。すなわち、パイプナット18の上端部の内周面にねじ溝が形成されるとともに、下端部の外周面にねじ山(何れも図示略)が形成される。パイプナット18の上端側には、ボルト7が締結される。一方、パイプナット18の下端側には、伝達部材17の下方において図示しないナットが締結される。
【0024】
アッパプレート12の上面には、前側ブラケット15の後方に、二つの後側ブラケット16が車幅方向に間隔をあけて配置される。後側ブラケット16は、ステアリングギヤボックス1をボルト7によって固定するための台座となる部位である。本実施形態の後側ブラケット16は、アッパプレート12の傾斜面部12bの一部が上方に膨出形成されることで設けられ、前側ブラケット15の基部15aと同一の高さに形成された平面状の上面を有する。
【0025】
後側ブラケット16の上面には、ボルト7が挿通される孔部16hが貫設される。また、後側ブラケット16の裏面には、軸方向が上下方向となる姿勢で接合されたパイプナット16nが設けられる。このパイプナット16nは、前側ブラケット15に接合されるパイプナット18よりも短く、内周面全体にねじ溝が形成される。パイプナット16nは、その上端が孔部16hと連通するように後側ブラケット16に接合され、その下端は後側ブラケット16内に配置される。パイプナット16nには、ボルト7が締結される。
【0026】
ロアプレート13は、このようなアッパプレート12とは別体で設けられた板状の部材である。ロアプレート13は、ロアアーム10,排気管31及びトランスファ32の下方に配置されてサイドメンバ30に支持される。ロアプレート13は、アッパプレート12の車幅方向両側に位置する固定面部12cの下方で前後方向へ延設され、ロアアーム10を介してアッパプレート12に固定される。ロアプレート13の前部及び中間部には、ボルト19が挿通される貫通孔(図示略)が設けられる。なお、ロアプレート13の後部には、ロアプレート13をサイドメンバ30に固定するための固定孔13fが設けられる。固定孔13fは、アッパプレート12と上下方向に重ならない位置に設けられ、下方からボルト(図示略)が挿通される。
【0027】
補強部材14は、サスクロス11を補強する板状の部材である。補強部材14は、その法線が上下方向を向く姿勢で車幅方向に延設され、ロアプレート13の前部同士を接続する。補強部材14は、延設方向に沿う両縁部に下方へ突設されたフランジ部を有し、延設方向に直交する断面(前後方向に沿う縦断面)が下方に開放したコ字状に形成される。補強部材14は、車幅方向両端部にボルト19が挿通される貫通孔(図示略)を有し、この孔がロアプレート13の前部に形成された貫通孔と重なるように配置される。すなわち、補強部材14はロアプレート13とともにアッパプレート12に固定される。
【0028】
なお、本実施形態の補強部材14は、ロアプレート13とロアアーム10とが連結される前に、ロアプレート13の前部の下面にそれぞれ溶接により接合される。つまり、二つのロアプレート13は、補強部材14と一体化された状態でロアアーム10に連結される。補強部材14は、サスクロス11の中で最も前方に配置され、サスクロス11の強度,剛性を向上させる機能に加え、車両の前面衝突時(以下、単に衝突時という)に前方からの荷重を受け止める機能を持つ。
【0029】
伝達部材17は、補強部材14と各ロアプレート13とを接続する板状の部材である。伝達部材17は、その法線が上下方向を向く姿勢で、補強部材14から後方に向かって前後方向に延設されるとともに、中間部で屈曲形成され、外側に向かって斜め後方に延設される。伝達部材17は、その前端が補強部材14の端部寄りの上面に接合され、その後端がロアプレート13の中間部の上面に接合される。伝達部材17は、その後端に貫設された貫通孔(図示略)を有し、この孔にロアアーム10の後側を連結するボルト19が挿通されることでロアプレート13に固定される。伝達部材17は、屈曲形成された部分に形成された貫通孔(図示略)を有する。この孔には、上記のパイプナット18が挿通される。
【0030】
次に、ステアリングギヤボックス1及びスタビライザ2の構成について説明する。図1図3に示すように、ステアリングギヤボックス1は、車幅方向に延在するようにサスクロス11の上方に配置され、車幅方向に間隔をあけた二箇所のそれぞれにおいて、前後に配置される二つのボルト7によってサスクロス11に固定される。ステアリングギヤボックス1は、内部に油室が形成されるシリンダチューブ1aと、鋳造により成形されたケーシング1bとが接合されて構成される。
【0031】
シリンダチューブ1a内には、二つの油室を区画するようにピストン(図示略)が配置されるとともに、このピストンに結合されたラック軸1c(図4参照)が軸方向(すなわち車幅方向)へ移動自在に設けられる。ラック軸1cのピストンとは逆側の端部には、それぞれタイロッド1dを介して前輪FW(操舵輪)の支持アーム(図示略)が連結される。
【0032】
ケーシング1bは、ステアリングギヤボックス1の車幅方向中心よりも右側に配置され、その内部において、ステアリングシャフトの下端部に連結されたインプットシャフト(何れも図示略)を回転自在に支持する。ケーシング1bの内部には、インプットシャフトに形成されたピニオンが収容されるとともに、このピニオンと噛み合うラック(何れも図示略)が形成されたラック軸1cが軸方向へ移動自在に収容される。ケーシング1bには、ステアリングギヤボックス1をサスクロス11に取り付けるための取付部1eが一体形成される。
【0033】
スタビライザ2は、左右のサスペンション装置を連結する部材であり、図2及び図3に示すように、サスクロス11の上方であってステアリングギヤボックス1よりも下方に配置される。スタビライザ2は、車幅方向に直線状に延びるトーション部2aと、トーション部2aの両端から前方外側に向かって湾曲形成されたのち直線状に延びる左右のアーム部2bとを有する。なお、アーム部2bは、その先端にも湾曲形成された部位を有する。
【0034】
図2に示すように、スタビライザ2には、車幅方向に間隔をあけて外周面に嵌合された二つのスタビライザブッシュ3が設けられる。スタビライザブッシュ3は、スタビライザ2をサスクロス11に弾性的に固定するための緩衝材であり、例えばゴムや樹脂等の弾性変形可能な素材で成形される。スタビライザ2は、スタビライザブッシュ3が後述の第一ブラケット4によってサスクロス11に固定されることで、サスクロス11に取り付けられる。本実施形態のスタビライザブッシュ3は、略直方体形状に形成され、スタビライザ2のトーション部2aの両端近傍においてスタビライザ2に外嵌される。
【0035】
[1−2.取付構造]
次に、本実施形態の取付構造について詳述する。図2に示すように、本取付構造では、ステアリングギヤボックス1をサスクロス11に固定するための四つのボルト7を、スタビライザ2を固定するためにも用いる。すなわち、ボルト7をステアリングギヤボックス1の取り付けとスタビライザ2の取り付けとに共用する。
【0036】
ステアリングギヤボックス1及びスタビライザ2は、これらの間に第一ブラケット4を挟んだ状態でサスクロス11の上方から四つのボルト7によって取り付けられる。すなわち、上から順にステアリングギヤボックス1,第一ブラケット4,スタビライザ2が、サスクロス11に対して、車幅方向に間隔をあけた左右二箇所のそれぞれにおいて、前後に配置される二つのボルト7によって取り付けられる。
【0037】
第一ブラケット4は、スタビライザ2をサスクロス11に固定するための部材である。本実施形態の第一ブラケット4は、車幅方向に延在する一枚の平板部材で構成され、サスクロス11のアッパプレート12の平面部12aの上面に配置される。図2及び図3に示すように、第一ブラケット4は、上面視で車幅方向中間部4a(以下、中間部4aという)から左右両端に行くほど前縁部が前方へ湾曲形成されて、左右両端部が中間部4aよりも前後方向長さが長い形状とされる。これら両端部はそれぞれ、前側ブラケット15の上面と後側ブラケット16の上面とに架け渡されて載置される。以下、これら両端部を固定部4bという。
【0038】
固定部4bは、中間部4aの左右両側において前後方向に延在する部位であり、前端部と後端部とにそれぞれボルト7が挿通されるボルト孔4hを有する。第一ブラケット4は、前側ブラケット15及び後側ブラケット16に架設された状態で、四隅に設けられたボルト孔4hにボルト7が挿通されることでサスクロス11に固定される。すなわち、第一ブラケット4には、第一ブラケット4の架設状態で、前側のボルト孔4hが前側ブラケット15の孔部15hと連通するように設けられ、後側のボルト孔4hが後側ブラケット16の孔部16hと連通するように設けられる。
【0039】
スタビライザブッシュ3は、図2図4及び図5に示すように、アッパプレート12の傾斜面部12b上であって前後に並んだ二つのボルト7間に配置される。本実施形態のスタビライザブッシュ3は、ステアリングギヤボックス1のシリンダチューブ1aと上下方向に重なるように配置されるとともに、スタビライザブッシュ3の前面が前側ブラケット15の基部15aの後面と面接触するように配置される。二つのスタビライザブッシュ3の各上面には、第一ブラケット4の左右の固定部4bがそれぞれ当接する。すなわち、スタビライザブッシュ3は、第一ブラケット4の固定部4bとアッパプレート12とによって挟まれ、固定部4bが前側ブラケット15及び後側ブラケット16に固定されることで押圧されて、サスクロス11に固定される。
【0040】
ステアリングギヤボックス1は、上記のように、車幅方向に間隔をあけて左右二箇所のそれぞれにおいて、ステアリングギヤボックス1の前側と後側とに配置される二つのボルト7によってサスクロス11に固定される。本実施形態のステアリングギヤボックス1は、左右の固定箇所で異なる構成を有する。
【0041】
右側の固定箇所には、ケーシング1bと一体形成された取付部1eが設けられる。すなわち、ステアリングギヤボックス1の右側は、取付部1eが二つのボルト7によってサスクロス11に締結されることでサスクロス11に固定される。図2及び図5に示すように、取付部1eは、上下に貫設されてボルト7が挿通される二つの孔部1hを有する。二つの孔部1hはラック軸1cを挟んで前後に配置され、取付部1eが第一ブラケット4上に配置された状態で、第一ブラケット4の右側の固定部4bにある二つのボルト孔4hとそれぞれ連通するように設けられる。
【0042】
一方、左側の固定箇所には、図2及び図4に示すように、第二ブラケット5及びステアリングブッシュ6が設けられる。ステアリングブッシュ6は、弾性変形可能な素材(例えばゴムや樹脂等の弾性部材)で成形された緩衝材であり、ステアリングギヤボックス1のシリンダチューブ1aに外嵌される。本実施形態のステアリングブッシュ6は、下面及び軸方向に直交する両側面が平面をなし、上面が円弧状の曲面に形成されるとともに軸方向に沿う両側面が上面と連続する滑らかな曲面に形成されている。
【0043】
第二ブラケット5は、ステアリングブッシュ6を介してステアリングギヤボックス1をサスクロス11に固定するための部材である。本実施形態の第二ブラケット5は、矩形状の平板が湾曲形成されて略ハット型をなし、ステアリングブッシュ6の上面及び軸方向に沿う両側面を覆う中間部5aと、ボルト7が挿通される孔部5hが形成された固定部5bとを有する。固定部5bは、前後方向に延在する中間部5aの前側及び後側に設けられる。すなわち、固定部5bは、ステアリングギヤボックス1を挟んで前後に配置される。固定部5bの孔部5hは、第二ブラケット5が第一ブラケット4上に配置された状態で、第一ブラケット4の左側の固定部4bにある二つのボルト孔4hとそれぞれ連通するように設けられる。
【0044】
つまり、左右の固定箇所では、まずサスクロス11の前側ブラケット15及び後側ブラケット16の間に左右のスタビライザブッシュ3がそれぞれ配置される。次に、これらの上から第一ブラケット4が配置されることで、左右のスタビライザブッシュ3の各上面に第一ブラケット4の各固定部4bが当接する。
【0045】
右側の固定箇所では、さらにこの第一ブラケット4の上からステアリングギヤボックス1の取付部1eが配置される。そして、前側のボルト7は、孔部1h,ボルト孔4h,孔部15hにそれぞれ挿通されるとともに、パイプナット18に締結されて固定される。一方、後側のボルト7は、孔部1h,ボルト孔4h,孔部16hにそれぞれ挿通されるとともに、パイプナット16nに締結されて固定される。
【0046】
また、左側の固定箇所では、さらにこの第一ブラケット4の上からステアリングギヤボックス1に外嵌されたステアリングブッシュ6が配置されたのち、その上から第二ブラケット5が配置される。そして、前側のボルト7は、孔部5h,ボルト孔4h,孔部15hにそれぞれ挿通されるとともに、パイプナット18に締結されて固定される。一方、後側のボルト7は、孔部5h,ボルト孔4h,孔部16hにそれぞれ挿通されるとともに、パイプナット16nに締結されて固定される。
【0047】
これにより、ステアリングギヤボックス1がサスクロス11に固定されるとともに、スタビライザブッシュ3が第一ブラケット4及びアッパプレート12に挟まれて押圧されることでスタビライザ2がサスクロス11に固定される。
なお、本実施形態のスタビライザブッシュ3は、図6に示すように、上面3aに上方へ突設された突起部3bを有する。突起部3bは、スタビライザブッシュ3の車幅方向へのずれ(以下、横ずれという)を防止するためのものであり、上面3aの左右両縁部に沿って前後方向に延設される。
【0048】
また、第一ブラケット4には、突起部3bが嵌合する係止部4cが設けられる。本実施形態の係止部4cは、第一ブラケット4の固定部4bの前後方向略中央に、前後方向に長い矩形状の貫通孔4fとして設けられる。この貫通孔4fは、第一ブラケット4の前後方向に延びる端面4dから、スタビライザブッシュ3の二つの突起部3b間の長さ分だけ離隔した位置に設けられる。これにより、スタビライザブッシュ3の二つの突起部3bのうち、車幅方向内側の一方は貫通孔4fに嵌合するとともに車幅方向外側の他方は端面4dに接触する。すなわち、二つの突起部3bで第一ブラケット4の端部を挟み込むようになることから、スタビライザブッシュ3の横ずれが確実に防止される。
【0049】
[2.効果]
(1)上述の取付構造では、スタビライザ2に外嵌されるスタビライザブッシュ3が、ステアリングギヤボックス1を固定する二つのボルト7間に配置され、第一ブラケット4がその上面に当接した状態でボルト7によって共締めされることで、スタビライザ2が固定される。すなわち、ステアリングギヤボックス1を固定するためのボルト7をスタビライザ2の固定に共用するため、部品点数の増加を回避でき、重量増やコスト増を抑制することができる。
【0050】
また、ステアリングギヤボックス1は、この前後に配置される二つのボルト7によって車体部材(サスクロス11)に固定されるとともに、スタビライザブッシュ3はこれらボルト7間に配置され、第一ブラケット4が二つのボルト7で共締めされて固定される。つまり、ステアリングギヤボックス1及び第一ブラケット4が何れも両端支持の状態となり、片持ちの状態にはならない。
【0051】
このため、上述の取付構造によれば、スタビライザ2の入力を前後で(両端で)支えることができることから、スタビライザ2の入力に対する取付構造全体の剛性を向上させることができる。なお、上述の取付構造の場合、上述の特許文献2のように、上面に下方へ窪んだ部位が存在しないため、泥水や砂粒が侵入して堆積するおそれがなく、ボルト等の腐食を回避することができる。
【0052】
(2)上述の取付構造では、第一ブラケット4が車幅方向に延在する一枚の板材で構成されており、中間部4aの左右両側に固定部4bが設けられる。このため、第一ブラケット4を、サスクロス11の補強材として兼用することができ、部品点数を増加させることなくサスクロス11の剛性を高めることができる。
【0053】
(3)上述の取付構造では、スタビライザブッシュ3の上面3aに突起部3bが設けられ、第一ブラケット4に係止部4cが設けられて、スタビライザブッシュ3の突起部3bに第一ブラケット4の係止部4cが嵌合される。このため、簡素な構成でスタビライザブッシュ3の横ずれを防止することができ、スタビライザ2の効きを良くすることができる。
【0054】
(4)上述の取付構造では、ステアリングギヤボックス1の左側の固定箇所は、ステアリングブッシュ6を介して第二ブラケット5がサスクロス11に固定されるため、ステアリングギヤボックス1の振動を吸収することができ、NVH(Noise, Vibration, Harshness)性能を向上させることができる。
(5)また、ステアリングギヤボックス1の右側の固定箇所は、ステアリングギヤボックス1に一体成形された取付部1eがブッシュを介すことなくサスクロス11に固定されるため、ステアリングギヤボックス1の取付剛性を高めることができ、操縦安定性を向上させることができる。
【0055】
(6)上述の取付構造では、ステアリングギヤボックス1とスタビライザ2とが、二つのボルト7間において上下方向に重なるように配置されるため、取付剛性をさらに高めることができる。これにより、スタビライザ2の効きをより良くすることができる。また、コンパクトな配置とすることができ、スペース効率を高めることもできる。
【0056】
[3.その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
例えば、ステアリングギヤボックス1の左右の固定箇所が同様の構成とされていてもよい。あるいは、左側の固定箇所において、ステアリングブッシュ6を介さずにブラケットで固定される構成であってもよいし、右側の固定箇所において、ブッシュを介して固定される構成であってもよい。
また、第一ブラケット4の中間部4aが省略されていてもよい。すなわち、二つの第一ブラケットが左右それぞれに設けられていてもよい。
【0057】
また、ステアリングギヤボックス1とスタビライザブッシュ3とが上下方向にオフセットせず、同一の上下方向位置(高さ)に配置されていてもよい。すなわち、ステアリングギヤボックス1とスタビライザブッシュ3とが、二つのボルト7の間において前後方向に並んで配置され、ボルト7により共締めされる構成であってもよい。
また、上記実施形態では、後側ブラケット16がアッパプレート12と一体で形成されるものを例示したが、後側ブラケット16が前側ブラケット15と同様に、別体で形成されたのち、溶接によって接合されるものであってもよい。また、スタビライザブッシュ3やステアリングブッシュ6,サスクロス11の具体的な形状や構成は特に限られない。
【0058】
上記実施形態では、ステアリングギヤボックス1及びスタビライザ2がサスクロス11に固定される構造を例示したが、固定対象はサスクロス11に限られず、例えばサスペンションフレームや他の車体部材であってもよい。なお、上述した排気管31やトランスファ32等の周辺機器の配置は特に限定されない。
【符号の説明】
【0059】
1 ステアリングギヤボックス
1e 取付部
2 スタビライザ
3 スタビライザブッシュ
3a 上面
3b 突起部
4 第一ブラケット
4c 係止部
5 第二ブラケット
6 ステアリングブッシュ
7 ボルト
10 ロアアーム(アーム部材)
11 サスクロス(サスペンションクロスメンバ,車体部材)
30 サイドメンバ(車体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6