【解決手段】熱収縮性フィルムの両端部を封筒貼りシールすることによって筒状に形成したラベル本体10、蓋付容器の蓋部の周面に対応する部分に形成された、開封用の摘み部11を形成するための切目線12と、蓋部の被覆部分を切り離すために蓋部に対応する部分と胴部に対応する部分との境界付近に上下方向に位置ずれさせた状態で形成された、周方向に延びる有端の上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13bと、切目線12の上端からラベル本体10の上端縁に至るミシン目線14と、切目線12の下端から上位周ミシン目線13aに至るハーフカット線15とを備えており、上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13bは、端部同士が周方向に重複している。
熱収縮性フィルムの両端部を封筒貼りシールすることによって筒状に形成された筒状ラベルを容器の蓋部及び胴部に被嵌し、その筒状ラベルを熱収縮させることによって容器に装着したラベル包装体であって、
前記筒状ラベルは、
前記蓋部の周面に対応する部分に形成された、開封用の摘まみ部を形成するための切目線と、
前記蓋部の被覆部分を切り離すために前記蓋部に対応する部分と前記胴部に対応する部分との境界付近に形成された、周方向に延びる1本又は複数本の有端の周破断線と
を備え、
前記1本又は複数本の周破断線は、周方向に重複した端部同士又は周方向に近接した端部同士が上下方向に位置ずれしていることを特徴とするラベル包装体。
前記筒状ラベルは、上下方向に位置ずれしている、前記1本又は複数本の周破断線の周方向に重複又は近接した端部の少なくとも一方の端部の先端が、前記熱収縮性フィルムの封筒貼りシール部分又はその近傍に位置している請求項1に記載のラベル包装体。
前記筒状ラベルは、前記切目線の下端から前記周破断線までの上下方向の距離が、前記切目線の上端から前記熱収縮性フィルムの上端縁までの上下方向の距離よりも小さい請求項1、2又は3に記載のラベル包装体。
前記筒状ラベルは、前記下側破断線が、ハーフカットによって形成されており、その下端が上下方向における前記1本又は複数本の周破断線の最上位置と最下位置との間に位置している請求項2に記載のラベル包装体。
熱収縮性フィルムの両端部を封筒貼りシールすることによって筒状に形成され、容器の蓋部及び胴部に被嵌して熱収縮させることによって容器に装着される筒状ラベルであって、
蓋部の被覆部分を切り離すために、前記蓋部に対応する部分と前記胴部に対応する部分との境界付近に形成された、周方向に延びる1本又は複数本の有端の周破断線と、
前記1本又は複数本の周破断線と前記熱収縮性フィルムの上端縁との間にその上端縁を含まずに形成された開封用の摘まみ部を形成するための切目線と
を備え、
前記1本又は複数本の周破断線は、周方向に重複した端部同士又は周方向に近接した端部同士が上下方向に位置ずれしていることを特徴とする筒状ラベル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したように、2本の周ミシン目線51、52が形成されている筒状ラベル50では、摘み部pを摘んで、2本の周ミシン目線51、52を全周にわたって破断しなくても、片手で筒状ラベル50が装着された容器Vの胴部Bを持ち、もう一方の手で筒状ラベルBが装着された容器VのキャップC部分を持って無理矢理回転させると、下側の周ミシン目線52が破断して、開封することができる。このように不正に開封した場合は、筒状ラベル50におけるキャップCを被覆している部分がキャップCに装着された状態で綺麗に切り離され、その切り離された部分が装着された状態でキャップCを取り外して容器Vを開封することが可能となる。
【0005】
従って、店頭において、上述した不正な方法で容器を一旦開封した後、再封して元の陳列棚に戻すといった悪戯行為がなされた場合、開封されているか否かを容易に識別することができないので、開封された商品を販売してしまうといった問題が発生している。
【0006】
そこで、この発明の課題は、容器を不正に開封しても、その開封の事実を容易に把握することができるラベル包装体及び筒状ラベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、熱収縮性フィルムの両端部を封筒貼りシールすることによって筒状に形成された筒状ラベルを容器の蓋部及び胴部に被嵌し、その筒状ラベルを熱収縮させることによって容器に装着したラベル包装体であって、前記筒状ラベルは、前記蓋部の周面に対応する部分に形成された、開封用の摘まみ部を形成するための切目線と、前記蓋部の被覆部分を切り離すために前記蓋部に対応する部分と前記胴部に対応する部分との境界付近に形成された、周方向に延びる1本又は複数本の有端の周破断線とを備え、前記1本又は複数本の周破断線は、周方向に重複した端部同士又は周方向に近接した端部同士が上下方向に位置ずれしていることを特徴とするラベル包装体を提供するものである。なお、ここに言う「近接」とは端部同士の間隔が10mm以内であることを意味している。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明のラベル包装体において、前記筒状ラベルは、前記切目線が上下方向の向きに形成されており、前記切目線の上端から前記熱収縮性フィルムの上端縁に至る上側破断線と、前記切目線の下端から前記周破断線に至る下側破断線とを有していることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明のラベル包装体において、前記筒状ラベルは、上下方向に位置ずれしている、前記1本又は複数本の周破断線の周方向に重複又は近接した端部の少なくとも一方の端部の先端が、前記熱収縮性フィルムの封筒貼りシール部分又はその近傍に位置していることを特徴としている。なお、「封筒貼りシール部分の近傍」とは、封筒貼りシール部分の周方向の両端縁からそれぞれ外側に5mmの範囲をいう。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、請求項1、2又は3に係る発明のラベル包装体において、前記筒状ラベルは、前記切目線の下端から前記周破断線までの上下方向の距離が、前記切目線の上端から前記熱収縮性フィルムの上端縁までの上下方向の距離よりも小さいことを特徴としている。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、請求項2に係る発明のラベル包装体において、前記筒状ラベルは、前記下側破断線が、ハーフカットによって形成されており、その下端が上下方向における前記1本又は複数本の周破断線の最上位置と最下位置との間に位置していることを特徴としている。
【0012】
また、請求項6に係る発明は、熱収縮性フィルムの両端部を封筒貼りシールすることによって筒状に形成され、容器の蓋部及び胴部に被嵌して熱収縮させることによって容器に装着される筒状ラベルであって、蓋部の被覆部分を切り離すために、前記蓋部に対応する部分と前記胴部に対応する部分との境界付近に形成された、周方向に延びる1本又は複数本の有端の周破断線と、前記1本又は複数本の周破断線と前記熱収縮性フィルムの上端縁との間にその上端縁を含まずに形成された開封用の摘まみ部を形成するための切目線とを備え、前記1本又は複数本の周破断線は、周方向に重複した端部同士又は周方向に近接した端部同士が上下方向に位置ずれしていることを特徴とする筒状ラベルを提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、請求項6に係る発明の筒状ラベルを容器の蓋部及び胴部に被嵌し、その筒状ラベルを熱収縮させることによって容器に装着した請求項1に係る発明のラベル包装体は、筒状ラベルに形成されている、周方向に延びる1本又は複数本の有端の周破断線の周方向に重複又は近接した端部同士が容器の軸方向に位置ずれしているので、片手でラベル包装体の胴部を持ち、もう一方の手でラベル包装体の蓋部を持って無理矢理回転させて、周破断線に沿って破断させると共に、相互に繋がっていない周破断線の周方向に重複又は近接した端部間を無理矢理破断させることで、筒状ラベルを上下に分断し、上下に分断された筒状ラベルが蓋部及び胴部にそれぞれ装着された状態で開封した場合(以下、不正開封という。)、筒状ラベルは、周破断線部分は綺麗に破断されるが、相互に繋がっていない周破断線の周方向に重複又は近接した端部間は波打った状態で破断されるので、その後に再封しても、波打ち部分の存在により、開封済みであることを容易に把握することができる。また、切目線によって形成された開封用の摘まみ部が蓋部の周面に対応する部分に形成されているので、相互に繋がっていない周破断線端部間を比較的容易に破断することができる。
【0014】
また、請求項2に係る発明のラベル包装体は、筒状ラベルの切目線が上下方向の向きに形成されており、筒状ラベルは、その切目線の上端から熱収縮性フィルムの上端縁に至る上側破断線と、切目線の下端から周破断線に至る下側破断線とを有しているので、片手でラベル包装体における容器の胴部に対応する部分を持ち、もう一方の手で摘み部を摘んで、蓋部の周方向に引き回すと、切目線の両端から上側破断線及び下側破断線に沿って破断していき、筒状ラベルにおける周破断線の上側部分を周方向に容易に分断することができると共に、切目線の下端と周破断線との間を容易に破断してその破断を周破断線に確実に繋げることができる。
【0015】
特に、請求項3に係る発明のラベル包装体は、上下方向に位置ずれしている、1本又は複数本の周破断線の周方向に重複又は近接した端部の少なくとも一方の端部の先端が、熱収縮性フィルムの封筒貼りシール部分又はその近傍に位置しているので、容器を不正開封すると、繋がっていない周破断線の周方向に重複又は近接した端部間は、剛性の大きいシール部分に沿って上下方向に破断され、破断縁が屈曲した比較的大きな波打ち状態となる。従って、不正開封後に再封した状態においても、容器が開封済みであることをより把握しやすくなる。
【0016】
また、請求項4に係る発明のラベル包装体は、切目線の下端から周破断線までの上下方向の距離が、切目線の上端から熱収縮性フィルムの上端縁までの上下方向の距離よりも小さいので、切目線の端部から周ミシン目線に至る間を容易に破断することができ、小さい力で開封することができる。また、摘み部が周破断線に近い位置に形成されていることから、開封する際は、周破断線に近い部分を摘まんで剥ぎ取ることになるので、相互に繋がっていない周破断線の端部間を比較的容易に破断することができる。
【0017】
また、請求項5に係る発明のラベル包装体は、下側破断線が、ハーフカットによって形成されており、その下端が上下方向における1本又は複数本の周破断線の最上位置と最下位置との間に位置しているので、開封する際、下側破断線に沿って破断した後、下側破断線から周破断線に確実に破断が伝播する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)はこの発明に係るラベル包装体の一実施形態を示す平面図、(b)は同上のラベル包装体を示す正面図である。
【
図2】同上のラベル包装体を構成している蓋付容器を示す斜視図である。
【
図3】(a)は同上のラベル包装体を構成している筒状ラベルを示す斜視図、(b)は同上の筒状ラベルを折り畳んだ状態を示す正面図、(c)は同上の筒状ラベルを折り畳んだ状態を示す背面図である。
【
図4】同上の筒状ラベルを展開した状態を示す平面図である。
【
図5】同上のラベル包装体を通常開封する際の破断状態を示す正面図である。
【
図6】同上の筒状ラベルにおける相互に繋がっていない上位周ミシン目線及び下位周ミシン目線の一方の重複した端部を示す拡大図である。
【
図7】(a)は同上のラベル包装体を不正開封したときの相互に繋がっていない上位周ミシン目線及び下位周ミシン目線の一方の重複した端部間の破断状態を示す図、(b)は同上のラベル包装体を不正開封したときの相互に繋がっていない上位周ミシン目線及び下位周ミシン目線の他方の重複した端部間の破断状態を示す図である。
【
図8】(a)は他の実施形態である筒状ラベルを折り畳んだ状態を示す正面図、(b)は同上の筒状ラベルを折り畳んだ状態を示す背面図である。
【
図9】同上の筒状ラベルにおける相互に繋がっていない上位周ミシン目線及び下位周ミシン目線の一方の近接した端部を示す拡大図である。
【
図10】(a)は同上のラベル包装体を不正開封したときの相互に繋がっていない上位周ミシン目線及び下位周ミシン目線の一方の近接した端部間の破断状態を示す図、(b)は同上のラベル包装体を不正開封したときの相互に繋がっていない上位周ミシン目線及び下位周ミシン目線の他方の近接した端部間の破断状態を示す図である。
【
図11】(a)、(b)は他の実施形態である筒状ラベルにおける相互に繋がっていない上位周ミシン目線及び下位周ミシン目線の他方の重複した端部を示す拡大図である。
【
図12】(a)、(b)は
図11(a)、(b)に示す筒状ラベルが蓋付容器に装着されたラベル包装体を不正開封したときの相互に繋がっていない上位周ミシン目線及び下位周ミシン目線の他方の重複した端部間の破断状態を示す図、(c)は
図11(a)に示す筒状ラベルが蓋付容器に装着されたラベル包装体を不正開封して再封したときの破断片の張出状態を示す部分拡大平面図である。
【
図13】(a)は他の実施形態である筒状ラベルにおける相互に繋がっていない上位周ミシン目線及び下位周ミシン目線の他方の近接した端部を示す拡大図、(b)は同上の筒状ラベルが蓋付容器に装着されたラベル包装体を不正開封したときの相互に繋がっていない上位周ミシン目線及び下位周ミシン目線の他方の近接した端部間の破断状態を示す図である。
【
図14】(a)は他の実施形態である筒状ラベルにおける相互に繋がっていない上位周ミシン目線及び下位周ミシン目線の他方の重複した端部を示す拡大図、(b)は同上の筒状ラベルが蓋付容器に装着されたラベル包装体を不正開封したときの相互に繋がっていない上位周ミシン目線及び下位周ミシン目線の他方の重複した端部間の破断状態を示す図である。
【
図15】(a)は他の実施形態である筒状ラベルを折り畳んだ状態を示す正面図、(b)は同上の筒状ラベルを折り畳んだ状態を示す背面図、(c)は同上の筒状ラベルを展開した状態を示す平面図である。
【
図16】(a)は従来の筒状ラベルを折り畳んだ状態を示す正面図、(b)は同上の筒状ラベルが容器に装着されたラベル包装体を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1(a)、(b)は、本発明のラベル包装体の一実施形態を示している。同図に示すように、このラベル包装体LVは、
図2に示す、有底円筒状の胴部Bと、天面C1及び周面C2を有するスクリュータイプの蓋部Cとから構成される、医薬品等の内容物が充填された蓋付容器CVを封緘するために、蓋付容器CVの蓋部C及び胴部Bに熱収縮性を有する筒状ラベル1を被嵌し、その筒状ラベル1を熱収縮させることによって蓋付容器CVに装着したものである。
【0020】
前記筒状ラベル1は、
図1(a)、(b)、
図3(a)〜(c)及び
図4に示すように、上下端が開放された、主として周方向に熱収縮性を有する筒状のラベル本体10と、このラベル本体10における蓋部Cの周面C2に対応する部分に形成された開封用の摘み部11を形成するための湾曲した切目線12と、蓋部Cの被覆部分を切り離すために蓋部Cに対応する部分と胴部Bに対応する部分との境界付近に上下に形成された、周方向に延びる有端の上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13b(複数の周破断線)と、切目線12の上端から斜め上方に延びてラベル本体10の上端縁に至る傾斜したミシン目線14(上側破断線)と、切目線12の下端から斜め下方に延びて上位周ミシン目線13aと交差して下位周ミシン目線13bの上側位置まで延びるハーフカット線15(下側破断線)とを備えている。具体的に複数の周破断線は、上位周ミシン目線13aの一方の端部と下位周ミシン目線13bの他方の端部とがラベル本体10の周方向に重複し、その端部同士が上下方向に位置ずれしていると共に、上位周ミシン目線13aの他方の端部と下位周ミシン目線13bの一方の端部とがラベル本体10の周方向に重複し、その端部同士が上下方向に位置ずれしており、相互に繋がっていない上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13bの双方で略環状の周ミシン目線が形成されている。ここにいう「蓋部Cに対応する部分と胴部Bに対応する部分との境界」とは、蓋部Cの下端縁に対応する部分をいい、「蓋部Cに対応する部分と胴部Bに対応する部分との境界付近」とは、前記境界から胴部Bに対応する部分側(下方向)に15mmの範囲内をいう。なお、筒状ラベル1における胴部Bに対応する部分を蓋付容器の胴部Bに接着するために、ラベル本体10の胴部Bに対応する部分の内面に感熱接着剤等からなる接着層を部分的に形成したり、筒状ラベル1の蓋付容器に対する滑り性を向上させるために、ラベル本体10の内面に滑り層などを形成してもよい。
【0021】
この筒状ラベル1を蓋付容器CVに装着するには、蓋部Cの外周面に切目線12が、胴部Bと蓋部Cとの境界付近に上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13bがそれぞれ位置するように、筒状ラベル1を蓋付容器CVに被嵌した後、その筒状ラベル1の全体を所定温度(例えば、80℃〜100℃)に加熱すると、
図1(a)、(b)に示すように、筒状ラベル1が周方向に収縮し、蓋付容器CVの外面に密着する。なお、上方領域を蓋付容器CVの天面(蓋部Cの天面C1)よりも上方に出た状態で筒状ラベル1を被嵌した場合には、同図(a)、(b)に示すように、筒状ラベル1の上部領域の一部が、熱収縮によって蓋部Cの天面C1の周縁部に回り込むように折れ曲がり、蓋部Cにおける天面C1の周端部に密着する。
【0022】
このようにして筒状ラベル1が蓋付容器CVに装着されたラベル包装体LVを開封するには、片手でラベル包装体LVにおける蓋付容器CVの胴部Bに対応する部分を持ち、もう一方の手で摘み部11を摘んで、
図5に示すように、蓋部Cの周方向に引き回すと、切目線12の両端からミシン目線14及びハーフカット線15に沿って破断していき、ハーフカット線15の破断が上位周ミシン目線13aに伝播し、上位周ミシン目線13aに沿って破断した後、その破断が下位周ミシン目線13bに伝播し、下位周ミシン目線13bに沿って破断した後、その破断が上位周ミシン目線13aに伝播することで、筒状ラベル1における蓋部Cを被覆している部分が切除され、蓋部Cを開閉可能な状態になる。以下、このように、摘み部11を摘まんで開封することを「通常開封」という。
【0023】
前記ラベル本体10は、熱収縮性フィルムの両側端部を重ね合わせ、この重ね合わせ部分を溶剤又は接着剤などを用いて封筒貼りシールする(封筒貼りシール部分Sを形成する)ことによって筒状に形成されている。ラベル本体10を形成している熱収縮性フィルムは、ポリエステル系フィルムの単層フィルム又はポリエステル系フィルムを含む積層フィルムによって形成されているが、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、塩化ビニル等であってもよい。
【0024】
前記ポリエステル系フィルムとしては、芳香族ポリエステル系フィルム、脂肪族ポリエステル系フィルム等を使用することができる。
芳香族ポリエステル系フィルムとしては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし且つジオール成分としてエチレングリコールを主成分としたポリエチレンテレフタレート系フィルム等を使用することができ、脂肪族ポリエステル系フィルムとしては、ポリ乳酸を主成分とするポリ乳酸系フィルム等を使用することができる。
【0025】
前記積層フィルムは、ポリエステル系フィルムを2層以上積層した積層フィルム、又は、ポリエステル系フィルムの1層又は2層以上と他の層の1層又は2層以上とを積層した積層フィルムであり、好ましい積層フィルムは、ポリエステル系フィルム/他の層/ポリエステル系フィルムの3層構造である。
なお、前記他の層は特に限定されず、例えば、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種単独、又は2種以上の混合物を含む樹脂フィルム;金属蒸着層;不織布などの断熱層等を採用することができる。
また、前記積層フィルムは、全体として熱収縮性を有していればよく、例えば、熱収縮性を有さないフィルムを含んでいてもよい。
【0026】
前記熱収縮性フィルムは、成膜後に少なくとも一軸延伸し、所要の温度で熱エージングすることにより得ることができる。
前記熱収縮性フィルムは、所要温度(例えば80℃〜100℃)で少なくとも一方向(主たる熱収縮方向)に熱収縮可能であり、この熱収縮性フィルムの一方向が周方向となるように熱収縮性フィルムを筒状に形成することにより、主として周方向に熱収縮性を有するラベル本体10が構成されている。
【0027】
前記熱収縮性フィルムには、必要に応じてデザイン印刷層が設けられていてもよい。デザイン印刷層は、熱収縮性フィルムの表面又は裏面に設けることができる。また、前記熱収縮性フィルムは、例えば、乳白色のような非透明なフィルム又は透明性に優れたフィルムを用いてもよいが、デザイン印刷層を裏面側に設ける場合には透明性に優れたものが用いられる。
前記熱収縮性フィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば20〜120μmであり、好ましくは、20〜80μmである。
【0028】
前記切目線12は、上位周ミシン目線13aとラベル本体10の上端縁との間にその上端縁を含まない状態で、上下方向の向きに形成され、周方向に突出した湾曲形状を有しており、その下端が上位周ミシン目線13aに近接した状態で配置されている。従って、切目線12の下端から上位周ミシン目線13aまでの距離が、切目線12の上端からラベル本体10の上端縁までの距離よりも小さくなっている。
【0029】
前記切目線12の下端と上位周ミシン目線13aの一端との周方向の間隔A[切目線12と上位周ミシン目線13aとが周方向に重複せずに離反している場合の間隔Aは正の値とし、周方向に重複している場合の間隔Aは負の値とする。](
図6参照)は、0mmを超え3mm未満に設定されている。間隔Aが3mm以上になると、切目線12の下端から上位周ミシン目線13aまでの距離が長くなり、ハーフカット線15を設けたとしても開封の際に上位周ミシン目線13aに破断が伝播しづらい場合があるからである。なお、間隔Aが0mm以下、即ち、切目線12の下端が上位周ミシン目線13aの真上に位置していてもよいことはいうまでもない。
【0030】
一方、前記切目線12の下端と上位周ミシン目線13aとの上下方向の間隔B(
図6参照)は、0mm以上、3mm未満に設定されている。間隔Bが3mm以上になると、切目線12の端部から上位周ミシン目線13aまでの距離が長くなり、ハーフカット線15を設けたとしても開封の際に上位周ミシン目線13aに破断が伝播しづらい場合があるからである。
【0031】
上下方向に位置ずれさせた状態で配置されている上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13bは、端部同士が周方向に重複しており、端部間の上下方向の間隔C(
図6参照)は、3mm未満に設定されている。間隔Cが3mm未満であると、通常開封時における上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13b間の破断の伝播が非常に容易であるからである。
【0032】
以上のように構成された筒状ラベル1を蓋付容器CVに装着したラベル包装体LVを不正開封すると、筒状ラベル1は、蓋部Cに対応する部分と胴部Bに対応する部分との境界付近に形成されている上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13b部分ではそれぞれのミシン目線に沿って直線状に綺麗に破断されるが、相互に繋がっていない上位周ミシン目線13aの端部と、下位周ミシン目線13bの端部との間は、
図7(a)、(b)に示すように、一方が逆Z字状に、他方がZ字状にそれぞれ波打った状態で破断され、蓋部Cを被覆している部分と胴部Bを被覆している部分とが上下に分断されることになる。従って、その後に再封しても、破断縁における逆Z字状の波打ち部分やZ字状の波打ち部分の存在により、開封済みであることを容易に把握することができる。同図(a)、(b)における符号BLは、不正開封した後、再封したときの破断線を示している。なお、間隔Cが0.5mmを超える場合であれば、相互に繋がっていない上位周ミシン目線13aの端部と、下位周ミシン目線13bの端部との間の破断線に波打ち状態が発見し易くなり、再封時に不正開封を識別し易くなるので、間隔Cは0.5mmを上回るようにしておくことが望ましい。
【0033】
また、この筒状ラベル1は、切目線12における下端から上位周ミシン目線13aまでの距離が、切目線12における上端からラベル本体10の上端縁までの距離よりも小さいので、ラベル包装体LVを通常開封する際、切目線12の端部から上位周ミシン目線13aに至るハーフカット線15を容易に破断することができ、小さい力で開封することができる。また、摘み部が上位周ミシン目線13aと下位周ミシン目線13bとに近接した位置に形成されていることから、開封する際は、相互に繋がっていない上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13bの端部間を比較的容易に破断することができる。
【0034】
また、この筒状ラベル1は、ハーフカット線15の下端が上下方向における上位周ミシン目線13aと下位周ミシン目線13bの最上位置と最下位置との間に位置しているので、開封する際、ハーフカット線15に沿って破断した後、ハーフカット線15から上位周ミシン目線13aに確実に破断が伝播する。
【0035】
なお、上述した実施形態では、上下方向に位置ずれさせた状態で配置されている上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13bは、端部同士が周方向に重複しているが、これに限定されるものではなく、
図8(a)、(b)に示す筒状ラベル1Aのように、上位周ミシン目線13aの端部と、その端部と周方向に重複せずに近接する下位周ミシン目線13bの端部との周方向の間隔D(
図9参照)が3mm未満であれば、その筒状ラベル1Aを蓋付容器に装着したラベル包装体を不正開封すると、相互に繋がっていない上位周ミシン目線13aの端部と、その端部と周方向に重複せずに近接する下位周ミシン目線13bの端部との間は、
図10(a)、(b)に示すように、一方がS字状に、他方が逆S字状にそれぞれ波打った状態で破断されるので、その後に再封しても、破断縁におけるS字状の波打ち部分や逆S字状の波打ち部分の存在により、開封済みであることを把握することができる。同図(a)、(b)における符号BLは、不正開封した後、再封したときの破断線を示している。
【0036】
表1は、間隔C及び間隔Dが不正開封の把握性能に及ぼす影響を示しており、表1から、0.5mm<間隔C<3mm、間隔D<5mmの範囲内において、不正開封を把握可能であることが分かる。
【0038】
また、表2は、下側破断線としてハーフカット線を採用した場合の間隔A及び間隔Bが通常開封時の開封性能に及ぼす影響を、表3は、間隔C及び間隔Dが通常開封時の開封性能に及ぼす影響をそれぞれ示しており、表2及び表3から、間隔A<3mm、0mm≦間隔B<3mm、0mm<間隔C<3mm、間隔D<3mmの範囲内において、通常開封を円滑に行うことができることが分かる。
【0041】
従って、通常開封を円滑に行うことができ、しかも、不正開封を確実に把握するためには、間隔A<3mm、0mm≦間隔B<3mm、0.5mm<間隔C<3mm、間隔D<3mmの範囲内に設定しておくことが望ましい。
【0042】
また、上述した実施形態では、上下方向に位置ずれさせた状態で配置されている上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13bにおけるラベル本体10の周方向に重複した端部又はラベル本体10の周方向に重複せずに近接した端部が、筒状のラベル本体10の封筒貼りシール部分Sを避けるように配置されているが、これに限定されるものではなく、少なくとも一方の端部の先端が、ラベル本体10の封筒貼りシール部分S又はその近傍(封筒貼りシール部分Sの周方向の両端縁からそれぞれ外側に5mmの範囲)に位置していてもよい。
【0043】
例えば、
図11(a)に示すように、上位周ミシン目線13aが周方向の一方側から封筒貼りシール部分Sを横断して、その端部の先端が封筒貼りシール部分Sの近傍に位置しており、下位周ミシン目線13bが周方向の他方側から延びてきて、その端部の先端が封筒貼りシール部分Sに位置しているような筒状ラベルや、同図(b)に示すように、上位周ミシン目線13aが周方向の一方側から延びてきて、その端部の先端が封筒貼りシール部分Sに位置しており、下位周ミシン目線13bが周方向の他方側から封筒貼りシール部分Sを横断して、その端部の先端が封筒貼りシール部分Sの近傍に位置しているような筒状ラベルが、蓋付容器に装着されたラベル包装体を不正開封すると、
図12(a)、(b)に示すように、上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13bがそれぞれ破断されると共に、封筒貼りシール部分Sを横断して近傍位置まで延びている一方のミシン目線の端部の先端付近から他方のミシン目線に向かって上下方向に破断されることで舌片状の破断片BPが形成され、その破断片BPの基端部は、比較的剛性の大きな封筒貼りシール部分Sによって形成されているので、同図(c)に示すように、破断片BPの先端部が蓋付容器の周面の接線方向に張り出した状態となる。従って、不正開封後に再封した状態においても、接線方向に張り出した舌片状の破断片の存在によって、ラベル包装体が開封済みであることを確実に把握することができる。同図(a)、(b)における符号BLは、不正開封した後、再封したときの破断線を示している。
【0044】
また、例えば、
図13(a)に示すように、上位周ミシン目線13aが周方向の一方側から延びてきて、その端部の先端が封筒貼りシール部分Sの近傍に位置しており、下位周ミシン目線13bが周方向の他方側から延びてきて、その端部の先端が封筒貼りシール部分Sに位置しているような筒状ラベルが、蓋付容器に装着されたラベル包装体を不正開封すると、同図(b)に示すように、封筒貼りシール部分Sに位置している下位周ミシン目線13bの端部の先端付近から上位周ミシン目線13aに向かって、剛性の大きいシール部分に沿って上下方向に破断され、破断縁が屈曲した比較的大きな波打ち状態となる。従って、不正開封後に再封した状態においても、破断縁における屈曲した比較的大きな波打ち部分の存在により、ラベル包装体が開封済みであることをより把握しやすくなる。同図(b)における符号BLは、不正開封した後、再封したときの破断線を示している。
【0045】
また、例えば、
図14(a)に示すように、上位周ミシン目線13aが周方向の一方側から封筒貼りシール部分Sを横断して、その端部の先端が封筒貼りシール部分Sの近傍に位置しており、下位周ミシン目線13bが周方向の他方側から封筒貼りシール部分Sを横断して、その端部の先端が封筒貼りシール部分Sの近傍に位置しているような筒状ラベルが、蓋付容器に装着されたラベル包装体を不正開封すると、同図(b)に示すように、いずれか一方のミシン目線の端部の先端付近から他方のミシン目線に向かって、剛性の大きいシール部分に沿って上下方向に破断され、この場合も、破断縁が屈曲した比較的大きな波打ち状態となる。従って、不正開封後に再封した状態においても、ラベル包装体が開封済みであることをより把握しやすくなる。同図(b)における符号BLは、不正開封した後、再封したときの破断線を示している。
【0046】
また、上述した各実施形態では、切目線12の下端と上位周ミシン目線13aとを繋ぐ下側破断線であるハーフカット線15が上位周ミシン目線13aと交差しているが、これに限定されるものではなく、ハーフカット線の下端が、周ミシン目線(上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13b)の近傍に位置していれば、必ずしも交差している必要はない。ただし、ハーフカット線15は、周ミシン目線(上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13b)に交差するか否かに拘わらず、その下端がラベル本体10の上下方向における上位周ミシン目線13aと下位周ミシン目線13bとの間に位置していることが望ましい。
【0047】
また、上述した各実施形態では、切目線12の下端と上位周ミシン目線13aとを繋ぐ下側破断線として、ハーフカット線15を採用しているが、これに限定されるものではなく、ミシン目線を採用することも可能である。下側破断線として、ミシン目線を採用する場合も、そのミシン目線の下端が上下方向における上位周ミシン目線13aと下位周ミシン目線13bとの間に位置している必要はなく、上位周ミシン目線13aの近傍に位置していればよい。なお、下側破断線としてミシン目線を採用する場合は、
図6に示す間隔A及び間隔Bが3mm以上であっても、開封の際に上位周ミシン目線13aに破断が伝播しづらくなることはない。但し、摘み部の位置は周破断線に近い方が好ましいため、下側破断線がミシン目の場合であっても、間隔Bは3mm未満が好ましい。
【0048】
また、上述した各実施形態では、周破断線として、上位周ミシン目線13a及び下位周ミシン目線13bという2本の周ミシン目線を採用しているが、これに限定されるものではなく、3本以上の周ミシン目線を上下方向に位置ずれさせた状態で配置したり、
図15(a)〜(c)に示す筒状ラベル1Bのように、1本の周ミシン目線13の両端部が上下方向に位置ずれするように、螺旋状に形成することも可能であり、その場合の周ミシン目線13の傾斜角度は、ラベル本体10の周方向に対して1〜20度の範囲内に設定しておくことが望ましい。なお、この場合、周ミシン目線13の端部の最上位置は、周ミシン目線13の上側端部の位置に、周ミシン目線13の端部の最下位置は、周ミシン目線13の下側端部の位置に一致する。
【0049】
また、上述した各実施形態では、周破断線及び上側破断線としてミシン目線を採用しているが、これに限定されるものではなく、ハーフカット線を採用することも可能である。