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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-188843(P2016-188843A)
(43)【公開日】2016年11月4日
(54)【発明の名称】電磁流量計及び集合ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/58 20060101AFI20161007BHJP
   G01F 1/60 20060101ALI20161007BHJP
【FI】
   G01F1/58 B
   G01F1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-69890(P2015-69890)
(22)【出願日】2015年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 仁也
(72)【発明者】
【氏名】生駒 裕一
(72)【発明者】
【氏名】国保 典男
(72)【発明者】
【氏名】森 和久
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035AA06
2F035BA06
2F035BD04
2F035BE08
2F035CB01
2F035CB10
(57)【要約】
【課題】電磁流量計を用いた集合ユニットを小型化できるようにすること。
【解決手段】縦長のケース22内に縦長の連結管38が設けられる。連結管38の両側には連結管38内を流れる冷却水の流速を電磁誘導よって生じる起電力検出する電極51を設け、その電極51から得られた起電力を流速信号として出力される。ケース22には連結管38の延長方向に沿って延びる軸線上に位置する固定ボルト74を設け、この固定ボルト74によって電磁流量計21を流量調整バルブに取り付けるように構成した。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に管路を配置し、その管路内を流れる被測定流体の流速を表す流速信号を電磁誘導よって生じる起電力に基づいて出力する電磁流量計において、
前記ケースには前記管路の延長方向に沿って延びる軸線上に位置するボルトを設け、このボルトによって前記ケースを配管部材に取り付けるように構成した電磁流量計。
【請求項2】
ケース内に挿通管を設け、その挿通管内に前記ボルトを挿通させた請求項1に記載の電磁流量計。
【請求項3】
前記管路を縦長の断面形状に形成し、その長辺側の一対の対向部間の位置に磁極を設けるとともに、前記両対向部に前記起電力を検出するための電極を設けた請求項1または2に記載の電磁流量計。
【請求項4】
前記ケース及び前記管路を縦長の断面長方形に形成し、前記ケース及び管路の長辺が平行をなす向きに管路を配置した請求項3に記載の電磁流量計。
【請求項5】
前記磁極を短辺側に、前記電極を長辺側に配置した請求項4に記載の電磁流量計。
【請求項6】
前記電極の裏面に増幅回路の基板を設けた請求項3〜5のうちのいずれか一項に記載の電磁流量計。
【請求項7】
前記管路の上流側に屈折流路を接続し、その屈折流路の上流側屈折部を前記管路の長辺の延長線とを平行に延長させた請求項3または4に記載の電磁流量計。
【請求項8】
前記ボルトを前記管路の対角線の延長線上に配置した請求項4〜7のうちのいずれか一項に記載の電磁流量計。
【請求項9】
前記一対の電極のリード線を相互にツイストした請求項3〜8のうちのいずれか一項に記載の電磁流量計。
【請求項10】
磁界を包囲する強磁性体よりなる磁気シールドを前記ケースに設けた請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の電磁流量計。
【請求項11】
前記ケース内に前記管路を包囲するヨークを設けるとともに、そのヨーク上に励磁用の電磁マグネットを設け、前記磁気シールドは前記ヨークをカバーするように構成した請求項10に記載の電磁流量計。
【請求項12】
前記ケース内に電気回路の基板を設け、その基板に接続されるリード線に対して前記管路を介した反対側に前記電磁マグネットを設けた請求項11に記載の電磁流量計。
【請求項13】
複数の起電力計測時間を選択可能にした制御手段を設けた請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の電磁流量計。
【請求項14】
請求項1〜13のうちのいずれか一項に記載の複数の電磁流量計を前記配管部材上にセットして、前記電磁流量計の前記ボルトを配管部材のねじ孔に螺入した集合ユニット。
【請求項15】
隣接する電磁流量計の励磁周波数を異ならせた請求項14に記載の集合ユニット。
【請求項16】
励磁周波数が異なる2種類の電磁流量計を隣接させた請求項15に記載の集合ユニット。
【請求項17】
隣接する電磁流量計の励磁タイミングを異ならせた請求項14記載の集合ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場等において、冷却水,洗浄液,加工に利用されるクーラント等の加工利用液等、様々な液体の流量管理に用いられるようにした電磁流量計及びその電磁流量計を集合した集合ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の工場においては、前記液体として、金型,射出成形機,加熱炉,溶接装置等における冷却水、食品洗浄機等における洗浄液、研削盤やマシニングセンタ等の工作機械におけるクーラント等が用いられ、これらの液体は流量管理が必要である。
【0003】
このような液体の流量管理のためには、流量計が液体の流路に設けられるが、近年はこの流量計として電磁流量計が用いられる。そして、流路に対する電磁流量計の接続方式として、従来は、例えば、流路を形成する配管の一対のフランジ間に電磁流量計の流路部分を挟み込む構成が一般に採用されていた。この接続方式は、ウェハタイプと呼ばれる。しかし、このウェハタイプは、一対のフランジが存在するために、省スペース化が困難であって、複数の電磁流量計を集合して使用する場合には、広い設置スペースが必要となる。
【0004】
一方、この他に、複数の電磁流量計を配管部材上に搭載した集合ユニット(マニホールド)が存在する。特許文献1には、このような集合ユニットに用いられる電磁流量計が開示されている。この特許文献1の電磁流量計は、ケースの端面に開口した口金状の流路口の内面に雌ねじが刻設されている。そして、この電磁流量計を前記配管部材に搭載するために、配管部材の雄ねじに前記雌ねじを螺合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−298402号公報(発明の詳細な説明の段落0029の第5行及び第6行、図面の図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、配管部材の雄ねじに雌ねじを螺合するためには、電磁流量計全体を回転させる必要がある。このため、電磁流量計の周囲には雄ねじ及び雌ねじの中心を中心とした電磁流量計の最大径部の回転を許容するためのスペースが必要になり、隣接する電磁流量計間に間隔を設ける必要がある。従って、集合ユニット全体の大型化を回避できない。また、電磁流量計の回転を可能にするために、電磁流量計を回転させる作業の際には同流量計に配線を接続することができない。従って、電磁流量計に対する配線の接続は配管部材に対する電磁流量計の固定が終了した後にしか行なうことができず、集合ユニットの製造において工程の作業順序を柔軟に設定することが難しい。
【0007】
本発明の目的は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであって、電磁流量計を用いた集合ユニットを小型化できる電磁流量計及び集合ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明においては、ケース内に管路を配置し、その管路内を流れる被測定流体の流速を表す流速信号を電磁誘導よって生じる起電力に基づいて出力する電磁流量計において、前記ケースには前記管路の延長方向に沿って延びる軸線上に位置するボルトを設け、このボルトによって前記ケースを配管部材に取り付けるように構成したことを特徴とする。
【0009】
従って、配管部材に対する電磁流量計の固定に際しては、ボルトを配管部材のねじ孔に螺入させるだけでよく、電磁流量計を回転させる必要はない。また、電磁流量計の周囲に同流量計の回転を許容するスペースも不要になり、集合ユニットの小型化が可能になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の電磁流量計を集合した集合ユニットの小型化が可能になるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の集合ユニットの平面図。
図2図1の電磁流量計の分解斜視図。
図3図1の電磁流量計の断面図。
図4図3の4−4線断面図。
図5図3の5−5線断面図。
図6】電磁流量計の電気的構成を示すブロック図。
図7】第2実施形態の集合ユニットの平面図。
図8図7の電磁流量計の側面図。
図9図7の9-9線断面図。
図10】(a),(b)は、連結管の作用を示す簡略図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1図6に基づいて第1実施形態を説明する。
【0013】
はじめに、図1に基づいて集合ユニット11及びその周辺機構の構成を説明する。集合ユニット11は、チラー装置12と、金型,射出成形機,加熱炉,溶接装置,食品洗浄機,工作機械等の被冷却部13との間に接続される。そして、集合ユニット11は、チラー装置12と被冷却部13との間を循環される冷却水,洗浄液,クーラント等の加工利用液等、被測定流体としての様々な液体の流量を制御するとともに、流量を検出する。本実施形態においては、液体として冷却水を用いる。
【0014】
集合ユニット11は配管ブロック14を備え、その配管ブロック14内には接続口15において配管16に接続され、その配管16を介してチラー装置12のサプライ側及びリターン側にそれぞれ接続されるサプライ側流路及びリターン側流路(ともに図示しない)が設けられている。
【0015】
配管ブロック14上には配管部材としての複数(図面においてが3個であるが、2個及び4個以上を含む)の流量調整バルブ17が並設状態でマウントされており、各流量調整バルブ17には前記サプライ側流路及びリターン側流路にそれぞれ接続されたサプライ側バルブ流路及びリターン側バルブ流路が形成されている。サプライ側バルブ流路の接続口18は配管19を介して前記被冷却部13のイン側に接続され、リターン側バルブ流路は電磁流量計21及び配管20を介して被冷却部13のアウト側に接続されている。
【0016】
図1図4及び図5に示すように、前記複数の電磁流量計21は、前記流量調整バルブ17のケース171の端面に固定されて、密接状態で並設されている。これらの電磁流量計21は流量調整バルブ17を通る冷却水の流量を表す流速信号を出力して、流量を検出する。なお、電磁流量計21の一端部は前記配管ブロック14上に載置されて、電磁流量計21の荷重が受けられている。
【0017】
次に、電磁流量計21の構成について説明する。
図2及び図3に示すように、電磁流量計21のケース22は、合成樹脂よりなり、全体として縦長の断面長方形に形成されている。本実施形態においては、図3の上下を電磁流量計21の上下とする。また、縦長とは、複数の電磁流量計21の並設方向と直交する方向に長い状態を指す。前記ケース22は、下部の本体ケース23と、その本体ケース23の上面開口に固定されたサブケース24とを備えている。サブケース24の上部に表示部25が設けられ、その表示部25には、透明板26の下側に位置する表示装置27が設けられている。表示装置27はセブンセグメント等の表示素子(図示しない)を有し、冷却水の単位時間当たりの流量や積算流量等を表示する。
【0018】
図3及び図5に示すように、本体ケース23のほぼ中央部には、横方向に延び、冷却水が前記被冷却部13側から流入する管路31が貫設されており、その管路31の上流側及び下流側の開口32,33が本体ケース23の両端面に配置されている。この管路31は、前記本体ケース23の両端面を形成するエンド部材34,35に一体形成した筒部36,37と、その両筒部36,37間に連結された連結管38とによって構成されている。連結管38は、アルミナ等の高誘電率セラミックまたは高誘電率セラミック粉体を配合した合成樹脂材料によって構成されている。
【0019】
前記上流側の開口32は外部に突出され、図1に示すように、その内部に前記配管20が接続される。図5に示すように、下流側の開口33は前記流量調整バルブ17の流路172に接続される。前記下流側の開口33の周囲において、エンド部材34の環状溝39にはシールリング40が嵌合されている。このシールリング40は流量調整バルブ17と前記エンド部材35との間のシール性を保持するためのものである。
【0020】
図3に示すように、前記連結管38は上下に長い断面縦長長方形をなし、その長辺とケース22の長辺とが平行をなす向きに設置されている。
連結管38の下方において本体ケース23内には磁性金属よりなる長四角環状のヨーク41が設置されており、その底部には鉄心42が固定されている。鉄心42の周囲にはコイル43が巻き回されている。鉄心42の上端には連結管38の短辺の直下に位置する磁極421が設置されている。電磁マグネット44は、ヨーク41と、鉄心42と、コイル43と、磁極421とにより構成されている。ヨーク41内において連結管38の周囲には非磁性金属よりなるシールドケース45が設置されている。そして、前記電磁マグネット44が所定の周波数で励磁されて、連結管38内を上下に通る磁路が形成される。この場合、本実施形態においては、隣接する電磁流量計21間において励磁周波数が異なるように設定されている。また、本実施形態では、電磁流量計21は異なる2種類の励磁周波数のうちのいずれかの励磁周波数を有し、同じ励磁周波数の電磁流量計21が隣接することがないように、異なる励磁周波数を発生する電磁流量計21が隣接配置されている。
【0021】
連結管38の互いに対向する対向部としての両長辺部の外側面にはそれぞれ銅箔よりなる電極51が貼着されており、これらの電極51は絶縁テープ(図示しない)によって被覆されている。各電極51の裏面側には非磁性金属よりなるブラケット52が設置されており、このブラケット52には電気回路用の第1基板53が支持されている。この第1基板53には図6に示す増幅回路54の前段部が搭載されている。第1基板53はスペーサ55によって位置保持されている。
【0022】
前記サブケース24内において、前記表示部25の下方には電気回路用の第2基板61が設置されており、この第2基板61には、図6に示す増幅回路54の後段部,サンプリング回路62,AD変換器63,励磁回路64,制御手段としてのマイクロプロセッサ(以下、MPUという)65及び表示駆動回路66が搭載されている。前記第1基板53と第2基板61との間には、それぞれリード線67が配されている。このリード線67は、連結管38の外周面に沿う最短距離を延びるとともに、剛性を有する導電金属671と、その導電金属671と第2基板61との間の最短距離を結ぶとともに、磁界の中心に位置する2本のハーネス672とによって構成されている。両ハーネス672はツイストされて、相互に絡み合わされている。
【0023】
前記電磁マグネット44は、前記第2基板61及びリード線67に対して連結管38を介した反対側に配置されている。
図2及び図4に示すように、前記両エンド部材34,35には挿通孔71,72が透設されている。エンド部材34,35間には両挿通孔71,72と連通するとともに、前記連結管38と平行に延びる金属製の挿通管73が架設されている。前記流量調整バルブ17の反対側の挿通孔71から挿通管73内を挿通して挿通孔72から外部に突出する金属製の固定ボルト74が設けられ、その先端のねじ部741が流量調整バルブ17のねじ孔173に螺入されるとともに、頭部742がエンド部材35の外側面に締め付けられている。この固定ボルト74の締め付けによって電磁流量計21が流量調整バルブ17の端面に固定されている。図3に示すように、前記挿通管73及び固定ボルト74は前記連結管38の対角線の延長線上において連結管38の延長方向と平行な軸線上に位置している。
【0024】
前記本体ケース23の外側面には、磁界の範囲を覆うように、強磁性体よりなる電磁シールドとしてのカバー板75が配置されており、このカバー板75により本体ケース23の内外からの漏れ磁束の通過を抑制するようになっている。すなわち、このカバー板75は全体としてチャンネル形状をなしていて、電磁マグネット44及びヨーク41の全体を包囲して、磁気遮蔽作用を果たしている。
【0025】
次に、本実施形態の作用について説明する。
金型,射出成形機,加熱炉,溶接装置,食品洗浄機,工作機械等の装置が稼働されると、冷却水が集合ユニット11を通ってチラー装置12と被冷却部13との間において循環される。このとき、集合ユニット11の電磁流量計21は冷却水の循環流量を検出して、その検出データにより流量調整バルブ17の開放量等が制御される。
【0026】
冷却水の流量検出に際しては、MPU65の制御によって励磁回路64が動作され、電磁マグネット44のコイル43に所定周波数(例えば、70〜100ヘルツ)の励磁電流が供給されて、コイルがその周波数で励磁される。この状態で、連結管38内を冷却水が流れると、その体積流量,すなわち流速に応じた起電力が発生して、その起電力が両電極51によって検出される。検出された起電力は、増幅回路54で増幅される。そして、増幅された起電力がサンプリング回路62によってサンプリングされ、AD変換器63でデジタル化され、そのデジタル化された流量信号がMPU65に入力される。そして、MPU65は、この流量信号を図示しない制御装置に対して出力し、この制御装置は流量信号に応じて冷却水の単位時間当たり流量や積算流量を判別して、前記流量調整バルブ17等の動作を制御する。これによって、冷却水の循環流量や温度等が適切な状態に維持される。
【0027】
本実施形態においては、スイッチ(図示しない)操作に基づいて、MPU65が起電力計測時間,すなわち流量検出時間の異なる第1モードと第2モードとのいずれかのモードを選択して動作させるように構成されている。第1モードにおいては、電磁マグネット44の励磁周期ごとに連続して起電力が検出される。そして、励磁周波数の10分の1の検出回数における起電力が加算されて平均化され、さらに、その平均値の10回分の値がさらに加算されて平均化され、この平均値に対応した流量が検出流量とされる。従って、この第1モードにおいては、1秒間の起電力平均値に対応した値が検出流量とされる。第2モードにおいては、第1モードにおける1秒間の起電力の連続平均値が整数回(例えば5回)加算されて、平均化され、その平均値に対応した値が検出流量とされる。従って、第2モードにおいては、第1モードより長い例えば5秒間の起電力平均値に対応した値が検出流量とされる。
【0028】
ところで、本実施形態の電磁流量計21を流量調整バルブ17の端面に固定する場合には、電磁流量計21の端面のシールリング40を流量調整バルブ17の端面に当てる。この状態で、挿通孔71,72及び挿通管73に挿通された固定ボルト74の先端のねじ部741を流量調整バルブ17のねじ孔に螺合させればよい。従って、電磁流量計21を回したりすることなく流量調整バルブ17に固定できる。
【0029】
本実施形態においては、以下の効果がある。
(1)電磁流量計21のケース22には管路31の延長方向に沿って延びる軸線上に位置する固定ボルト74が設けられている。この固定ボルト74によってケース22が流量調整バルブ17に取り付けられる。このため、電磁流量計21全体を小型化できるとともに、電磁流量計21を回転させることなく流量調整バルブ17に固定できる。従って、集合ユニット11において隣接する電磁流量計21間に同流量計21の回転を許容するためのスペースを設ける必要がない。よって、電磁流量計21を隙間なく並設できて、集合ユニット11全体を小型化できる。特に、電磁流量計21が縦長に形成されているため、集合ユニット11全体を幅が狭いコンパクトなものにできる。
【0030】
しかも、固定ボルト74を流量調整バルブ17のねじ孔173に螺入させるのみで電磁流量計21を回転させることなく固定できるため、電磁流量計21の向きを揃える必要がなく、電磁流量計21の組み付けが容易になる。加えて、電磁流量計21を回転させる必要がないため、電磁流量計21にその組み付け前であっても配線を接続できる。従って、組み付け工程の作業順序を任意に設定できる。
【0031】
(2)固定ボルト74を電磁流量計21のケース22のエンド部材34,35間に架設された挿通管73内に挿通させている。このため、固定ボルト74を強く締め付けても前記ケース22の変形を抑制できる。従って、電磁流量計21を流量調整バルブ17に対して強固に固定できる。
【0032】
(3)電磁流量計21のケース22及び連結管38が断面縦長長方形に形成されるとともに、それらの長辺が平行をなす向きに連結管38が配置されている。このため、電磁流量計21の幅をより小さくできて、小形化を図ることができ電磁流量計21及び集合ユニット11の小型化に寄与できる。る。また、電磁流量計21の幅を狭くしても、連結管38も幅狭であるため、電磁流量計21内の基板53,61やリード線67あるいはヨーク41を配置するためのスペースの制約を少なくして、電磁流量計21のケース22内のスペースを有効に利用できる。
【0033】
(4)磁極421が連結管38の短辺側に設けられ、電極51が長辺側に配置されているため、電極51を磁極421を通る磁路に近接させることができる。従って、冷却水の流量を正確に計測できる。また、電極51を連結管38の広く、かつ平らな側面に貼着できるため、その貼着を容易に行えるばかりでなく、電極51の剥離の可能性を低くできる。
【0034】
(5)電極51の裏面側に増幅回路54の基板53が設けられているため、その基板53を電極51と平行に場所をとることなく、狭いスペースに配置できて、小形化に寄与できる。また、電極51と増幅回路54との間のリード線を短くできるため、励磁による同相ノイズの影響を少なくして、正確な流量検出が可能になる。
【0035】
(6)挿通管73及び固定ボルト74が連結管38の対角線の延長線上に配置されているため、固定ボルト74が磁路形成に悪影響を与えることを少なくできる。
(7)電磁マグネット44が第2基板61に接続されるリード線67に対して連結管38を介した反対側にあって、リード線67側には設けられていないため、帰り磁気回路内においてリード線67による1ターンコイルの磁束と鎖交する断面積を最小にできる。従って、同相の励磁ノイズを低減できて、正確な流量検出が可能になる。
【0036】
(8)基板53,61間のリード線67のハーネス672が磁界の中心において相互にツイストされているため、2本のリード線67が平衡ケーブルになって、両リード線67の磁力線が有効に打ち消し合い、前記と同様に同相ノイズを少なくできて、正確な流量検出が可能になる。しかも、そのハーネス672は最短距離を辿って第2基板61に接続されているため、同相ノイズによる影響をさらに小さくできる。
【0037】
(9)隣接する電磁流量計21の励磁周波数が異なっているため、隣接する電磁流量計21間の磁気干渉を少なくできて、正確な検出動作を得ることができる。しかも、電磁流量計21として、励磁周波数が異なるものを2種類用意すればよい。このため、電磁流量計21の種類を少なくできて、集合ユニット11の組み立てや電磁流量計21の管理等が容易になる。
【0038】
(10)磁路を遮断するシールド機能を有するカバー板75が設けられているため、隣接する電磁流量計21間の相互の悪影響を抑えることができる。
(11)MPU65が短時間の起電力の平均値に対応する検出流量を得る第1モードと、長時間の起電力の平均値に対応する検出流量を得る第2モードとのいずれかのモードを選択的に動作させるように構成されている。従って、第1モードにおいては、流量の小刻みな変化を認識する場合に都合がよい。また、第2モードにおいては、流量の変動が平均化されて、ノイズキャンセル的な結果をもたらすため、流量を正確に検出することができる。特に、異周波設定を行ない得ない構成において、励磁周波数と外来ノイズの周波数とが一致した場合は、正確な流量検出に悪影響が生じるおそれがある。このような場合、前記第2モードに設定すれば、外来ノイズの影響を軽減できて、正確な流量検出が可能になる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図7図10に基づいて説明する。この第2実施形態においては、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0040】
本実施形態においては、図7図9に示すように、配管19,20と流量調整バルブ17の出口側及び電磁流量計21の入口側との間にそれぞれ流路を形成する配管部材としての90度に屈折された屈折流路としてのエルボ81,82が接続されている。このエルボ81,82はその長さ方向の中間部で屈折され、その上流側屈折部である配管19,20の側811,821(図8において下側)が90度の角度で下方を指向している。従って、エルボ82の配管側811,821は図10(b)に示すように、連結管38の長辺の延長線と平行に延びている。
【0041】
本実施形態においては、以下の効果がある。
(12)90度に屈折されたエルボ81,82が流量調整バルブ17及び電磁流量計21と配管19,20との間に接続されているため、図7及び図8から明らかなように、配管19,20の端部を折曲することにより、各配管19,20を上下方向において重ねることができて、配管19,20群の投影面積を小さくできる。このため、システム全体を小型化できる。従って、流量調整バルブ17及び電磁流量計21を多数搭載した集合ユニット11の構成部品の集積化に対する制約が少なくなり、高集積化に加えて省スペース化が可能になる。
【0042】
(13)図10(b)に示すように、連結管38が断面長方形に形成されるとともに、電磁流量計21の上流側のエルボ82の配管側821が連結管38の長辺の延長線と平行に位置しているため、連結管38内の渦流や乱流を抑制できて、整流作用を得ることができる。すなわち、連結管38が断面円形の場合は、エルボ82の曲がる方向,つまり連結管38内において上下方向と交差する左右方向の両端部に渦流が形成されやすい。
【0043】
また、図10(a)に示すように、連結管38が、例えば断面正方形のように幅wが広い形状の場合は、流体のせん断面である左右の壁面と流れの中心との距離が長くなる。このため、連結管38内において流速差が大きい部分が形成されるとともに、左右両端部に渦流が形成されやすくなる。これらのことから、連結管38が左右に幅広い形状の場合は、その内部の液体が乱流状態になって、正確な流速検出が困難になる。これに対し、図10(b)に示すように、連結管38がその幅wが狭い断面長方形に形成されて、その長辺がエルボ82の配管側821と同方向に延長されている場合は、連結管38内の流速差が小さくなるとともに、連結管38の両側における渦流が形成されにくくなる。従って、本実施形態のようにエルボ82を設けて流路を屈折させた場合であっても、連結管38内が整流状態になって、正確な流量検出が可能になる。
【0044】
(変更例)
前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・固定ボルト74が挿通される挿通管73を省略すること。
【0045】
・励磁周波数が異なる3種類以上の電磁流量計21を用意し、異なる励磁周波数の電磁流量計21が隣接するように同電磁流量計21を配置すること。
・前記実施形態では、隣接する電磁流量計21間の磁気干渉を少なくするために、隣接する電磁流量計21間において励磁周波数を異ならせたが、これに代えて、電磁流量計21の電磁マグネット44を間欠励磁させるとともに、隣接する電磁流量計21の間欠励磁タイミングを異ならせること。このように構成しても、隣接する電磁流量計21間の磁気干渉を少なくすることができる。この場合も、前記実施形態と同様に、励磁タイミングが異なる2種類の電磁流量計21を用意すればよいが、励磁タイミングが異なる3種類以上の電磁流量計を用意してもよい。
【0046】
・固定ボルト74の本数を3本以上にすること。
・連結管38の電極51が設けられていない両短辺を円弧状の形状に変更すること。従って、連結管38の断面形状が長円状になる。
【0047】
・連結管38の断面形状を縦長の楕円形状に形成し、曲率の小さな一対の対向する辺,すなわち長辺側に電極51を設けること。また、電磁流量計21にエルボ82を接続する場合は、エルボ82の配管側821が楕円の長径と同方向に延長されるようにする。このようにすれば、エルボ82の配管側821が連結管38の長辺と同方向に延長された場合と同等であって、整流作用によって正確な流量検出が可能になる。
【0048】
・電磁マグネット44を連結管38の両短辺に対応して一対設けること。
・電磁流量計21を流量調整バルブ17に固定するのではなく、配管ブロック14に直接固定すること。
【0049】
・電磁流量計21のマウント方向を変更すること。例えば、電磁流量計21をその下流側の開口33を下向きにセットすること。
・前記実施形態では、カバー板75としてチャンネル形状のものを用いたが、カバー板75として2枚の平板状のものを用いて、それらを電磁流量計21の両側面にそれぞれ設けること。
【0050】
・前記実施形態においては、液体として循環使用される冷却水を例に挙げたが、加工に利用された後に循環されることなく、廃棄される冷却水等の液体を利用するシステムに本発明を具体化すること。
【0051】
・前記実施形態において、MPU65は、流量検出時間の異なる第1モードと第2モードとよりなる2つのモードを設定するようにしたが、流量検出時間の異なる3以上のモードを設定できるようにすること。
【0052】
第2実施形態において、エルボ81,82の配管側811,821を上向きに延長されるようにすること。
(他の技術的思想)
前記実施形態からは以下の技術的思想を把握できる。
【0053】
ケース内に管路を配置し、その管路内を流れる被測定流体の流速を表す流速信号を電磁誘導よって生じる起電力に基づいて出力する電磁流量計において、
前記ケース及び前記管路を縦長形状に形成するとともに、前記管路の上流側に屈折流路を接続し、その屈折流路の上流側屈折部と前記管路の長辺とを平行に延長させた電磁流量計。
【符号の説明】
【0054】
11…集合ユニット、14…配管ブロック、17…流量調整バルブ、21…電磁流量計、22…ケース、31…管路、38…連結管、41…ヨーク、44…電磁マグネット、51…電極、53…第1基板、54…増幅回路、61…第2基板、67…リード線、73…挿通管、74…固定ボルト、75…カバー板、82…エルボ、173…ねじ孔、421…磁極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10