【解決手段】筒状ストレッチラベル10は、フィルム基材11と、当該基材の少なくとも一方の面に形成された印刷層12とを備え、フィルム基材11が筒状体に成形された筒状ストレッチラベルである。フィルム基材11は、低密度ポリエチレン、及びエチレンと1−ブテンとの共重合体である第1線状低密度ポリエチレンを含み、フィルム基材11の総重量に対して、低密度ポリエチレンの含有量が50重量%以上、第1線状低密度ポリエチレンの含有量が10〜30重量%であり、フィルム基材11の内面側の最表面を構成する層は、その総重量に対して50重量%以上の低密度ポリエチレンを含む。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、実施形態の一例について詳細に説明する。
実施形態において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法比率などは、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0016】
本明細書において、低密度ポリエチレンの「低密度」とは、0.850〜0.945g/cm
3を意味する。また、以下では、フィルム基材11の表面のうち筒状体の内側に向いた面を「内面」、筒状体の外側に向いた面を「外面」という。内面、外面の用語は、フィルム基材11だけでなく、後述する基部層20等についても使用し、基部層20の表面のうち、筒状体の内側に向いた面を「内面」、筒状体の外側に向いた面を「外面」という。また、「内面、外面に層を形成する」との表現は、特に限定する場合を除き、内面、外面に層を直接形成する場合だけでなく、内面、外面と当該層との間に別の層が介在する場合も含む意図である。
【0017】
図1及び
図2に示すように、筒状ストレッチラベル10は、フィルム基材11と、当該基材の少なくとも一方の面に形成された印刷層12とを備え、フィルム基材11が筒状体に成形されたラベルである。フィルム基材11は、低密度ポリエチレン(LDPE)、及びエチレンと1−ブテンとの共重合体である第1線状低密度ポリエチレン(第1LLDPE)を含み、フィルム基材11の総重量に対して、低密度ポリエチレンの含有量が50重量%以上であり、第1線状低密度ポリエチレンの含有量が10〜30重量%である。低密度ポリエチレンの含有量は、好ましくは55〜80重量%、より好ましくは60〜75重量%である。第1線状低密度ポリエチレンの含有量は、好ましくは12〜29重量%である。また、フィルム基材11の内面側の最表面を構成する層は、その総重量に対して50重量%以上、好ましくは60重量%以上の低密度ポリエチレンを含む。
図2に示す例では、内面層21がフィルム11の内面側の最表面を構成する層(最内層)である。さらに、フィルム基材11は、エチレンと炭素数5〜10のαオレフィンとの共重合体である第2線状低密度ポリエチレン(第2LLDPE)を含むことが好適である。第2線状低密度ポリエチレンの含有量は、フィルム基材11の総重量に対して5〜35重量%であることが好ましい。第2線状低密度ポリエチレンの含有量は、8〜25重量%であることがより好ましい。
【0018】
筒状ストレッチラベル10は、フィルム基材11の端縁同士を重ね合わせて接合し、シール部13を形成することで筒状体とされる。シール部13は、フィルム基材11を筒状にして一方の端縁を他方の端縁の外側に重ね合わせたときに、当該重ね合わせ部の外側に位置するフィルム基材11の一方の端縁の内面と、内側に位置するフィルム基材11の他方の端縁の外面とを接着剤で接合して形成できる。シール部13は、接着剤による接合の他に、ヒートシールによる接合や、超音波による接合によっても形成することが可能である。また、シール部13を形成する場合は、接着性を向上させるため、シール部13に印刷層12等の他の層を介在させないで、フィルム基材同士を直接接合することが好適である。なお、シール部13は、フィルム基材11の一方の端縁の内面と他方の端縁の外面とを接合する所謂封筒貼りの接合形態に限られず、フィルム基材11の一方の端縁及び他方の端縁の内面同士、又は外面同士を接合する所謂合掌貼りの接合形態であってもよい。
【0019】
フィルム基材11は、ストレッチ性を有する基材である。フィルム基材11は、単層構造であってもよいが、好ましくは複層構造を有する。複層構造を有するフィルム基材11は、例えば基部層20と、表面層とを有する。表面層は、フィルム基材11の最表面を構成する層である。
図2に示す例では、表面層として、基部層20の内面に形成された内面層21(フィルム基材11の内面側の最表面を構成する層)と、基部層20の外面に形成された外面層22(フィルム基材11の外面側の最表面を構成する層)とを有する。フィルム基材11は、基部層20と内面層21のみを有する2層構造であってもよいが、好ましくは、基部層20を中心層とし、その両面に内面層21と外面層22とを有する少なくとも3層構造である。
【0020】
フィルム基材11が複層構造を有する場合、上記低密度ポリエチレン(LDPE)、第1線状低密度ポリエチレン(第1LLDPE)、及び第2線状低密度ポリエチレン(第2LLDPE)の含有量は、フィルム基材11の全ての層の各成分をそれぞれ合計して算出される。複層構造のフィルム基材11は、全体として各ポリエチレン(低密度ポリエチレン、第1線状低密度ポリエチレン、第2線状低密度ポリエチレン)の含有量が上記の範囲を満たす組成を有した上で、各層が後述する組成を有することが好ましい。各ポリエチレンとして2種以上を併用する場合は、併用したポリエチレンのトータルが上記の範囲内であればよい。
【0021】
なお、単層構造のフィルム基材11は、1つの樹脂層(以下、単一樹脂層という場合がある)のみを含み、当該樹脂層がフィルム基材11の全体を構成する。単一樹脂層は、単一樹脂層の総重量に対して、低密度ポリエチレンの含有量が50重量%以上であり、第1線状低密度ポリエチレンの含有量が10〜30重量%である。低密度ポリエチレンの含有量は、好ましくは55〜80重量%、より好ましくは60〜75重量%である。第1線状低密度ポリエチレンの含有量は、好ましくは12〜29重量%である。単一樹脂層は、さらに第2線状低密度ポリエチレン(第2LLDPE)を含むことが好適である。第2線状低密度ポリエチレンの含有量は、単一樹脂層の総重量に対して5〜35重量%であることが好ましく、8〜25重量%であることがより好ましい。単層構造のフィルム基材11では、フィルム基材11の内面側及び外面側の最表面を構成する層(最内層及び最外層)は、いずれも単一樹脂層である。上記単一樹脂層からなる単層構造のフィルム基材11は、フィルム基材11の組成が上記特定の組成を有し、且つフィルム基材11の内面側の最表面を構成する層は、その総重量に対して50重量%以上の低密度ポリエチレンを含む。単一樹脂層の厚みは、特に限定されないが、50〜200μmであることが好ましく、より好ましくは60〜150μm、特に好ましくは65〜120μmである。
【0022】
フィルム基材11の厚みは、特に限定されないが、50〜200μmであることが好ましく、より好ましくは60〜150μm、特に好ましくは65〜120μmである。フィルム基材11が表面層と基部層20とを有する複層構造である場合、基部層20の厚みは、フィルム基材11の総厚みに対して30%〜98%が好ましく、40%〜90%がより好ましく、50%〜80%が特に好ましい。また、表面層の厚みは、フィルム基材11の総厚みの2%〜70%が好ましく、10%〜60%がより好ましく、20%〜50%が特に好ましい。表面層が基部層20の両面に形成される場合は、各表面層の厚み(内面層21の厚み、外面層22の厚み)はそれぞれ、フィルム基材11の総厚みの1%〜35%が好ましく、5%〜30%がより好ましく、10%〜25%が特に好ましい。
【0023】
基部層20は、その総重量に対して70重量%未満の低密度ポリエチレン、及び15〜60重量%の第1線状低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。かかる基部層20は、フィルム基材11に良好なストレッチ性を付与すると共に、カット融着の発生を抑制して易カット性を向上させ、後述の折り位置(折り目線31:
図3参照)における印刷層12の割れを抑制する役割を果たす。一方、内面層21及び外面層22は、各々の総重量に対して60重量%以上の低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。基部層20は、表面層に比べて線状低密度ポリエチレンの含有量が多いことが好ましく、特に低密度ポリエチレンの含有量が少なく、線状低密度ポリエチレンの含有量が多い樹脂層であることが好ましい。
【0024】
基部層20における第1線状低密度ポリエチレンの含有量は、基部層20を構成する全成分の総重量に対して、より好ましくは16〜50重量%であり、特に好ましくは17〜45重量%である。基部層20における低密度ポリエチレンの含有量は、基部層20を構成する全成分の総重量に対して、より好ましくは30〜69重量%であり、特に好ましくは35〜65重量%である。
【0025】
基部層20は、低密度ポリエチレン及び第1線状低密度ポリエチレンに加え、第2線状低密度ポリエチレンを含むことが好適である。基部層20における第2線状低密度ポリエチレンの含有量は、基部層20を構成する全成分の総重量に対して、5〜40重量%が好ましく、6〜30重量%がより好ましく、7〜25重量%が特に好ましい。また、基部層20は、低密度ポリエチレン、第1線状低密度ポリエチレン、第2線状低密度ポリエチレン以外の他の樹脂成分を含んでいてもよい。
【0026】
基部層20は、少なくとも低密度ポリエチレン及び第1線状低密度ポリエチレン、好ましくはさらに第2線状低密度ポリエチレンを含む混合樹脂から構成される単層構造を有することが好ましい。但し、基部層20は、複数の層を含む多層構造であってもよい。基部層20が多層構造を有する場合、これら各ポリエチレンの混合比率の異なる複数の層を含む多層構造としてもよく、これら各ポリエチレンと他の樹脂成分を用いそれぞれ混合比率の異なる複数の層を含む多層構造としてもよい。また、これらの各ポリエチレンのうち1種類のみからなる層をそれぞれ形成し、これらの異なる樹脂組成の層同士が隣接するように積層してもよい。基部層20を多層構造とする場合は、基部層20は2〜50の樹脂層から構成されることが好ましい。基部層20の厚みは、特に限定されないが、20〜150μmであることが好ましく、より好ましくは25〜110μm、特に好ましくは30〜100μmである。なお、基部層20が多層構造を有する場合、基部層20の各ポリエチレンの含有量は、基部層20の全ての層の各ポリエチレンをそれぞれ合計して算出される。
【0027】
第1線状低密度ポリエチレンは、チーグラー系触媒、クロム系触媒、メタロセン系触媒等の各種触媒を使用して中低圧下又は高圧下で重合される低密度ポリエチレンであって、直鎖状のポリエチレンに短い側鎖が多数導入された構造を有する。第1線状低密度ポリエチレンは、上記のようにエチレンと、1−ブテンとの共重合体であって、フィルム基材11のストレッチ性、易カット性、柔軟性を向上させる。
【0028】
第1線状低密度ポリエチレンにおけるエチレンの含有量は、単量体成分の総モル数に対して、好ましくは80〜99.9モル%であり、より好ましくは85〜99モル%であり、特に好ましくは90〜98モル%である。1−ブテンの含有量は、単量体成分の総モル数に対して、好ましくは0.1〜20モル%であり、より好ましくは1〜15モル%であり、特に好ましくは2〜10モル%である。第1線状低密度ポリエチレンは、メタロセン系触媒を用いて重合されたものが特に好適である。これら第1線状低密度ポリエチレンは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
第2線状低密度ポリエチレンは、第1線状低密度ポリエチレンと同様に、メタロセン系触媒等の各種触媒を使用して中低圧下又は高圧下で重合される低密度ポリエチレンであって、直鎖状のポリエチレンに短い側鎖が多数導入された構造を有する。第2線状低密度ポリエチレンは、上記のようにエチレンと、炭素数が5〜20のαオレフィンとの共重合体であって、基部層20のストレッチ性、柔軟性を高める。
【0030】
第2線状低密度ポリエチレンを構成するαオレフィンは、1‐ペンテン、4‐メチル‐1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐ヘプテン、1‐オクテン等の炭素数5〜8のαオレフィンが特に好ましい。第2線状低密度ポリエチレンにおけるエチレンの含有量は、単量体成分の総モル数に対して、好ましくは80〜99.9モル%であり、より好ましくは85〜99モル%であり、特に好ましくは90〜98モル%である。αオレフィンの含有量は、単量体成分の総モル数に対して、好ましくは0.1〜20モル%であり、より好ましくは1〜15モル%であり、特に好ましくは2〜10モル%である。これら第2線状低密度ポリエチレンは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
上記各線状低密度ポリエチレンの密度は、0.885〜0.925g/cm
3であることが好ましく、0.890〜0.920g/cm
3であることがより好ましく、0.900〜0.920g/cm
3であることが特に好ましい。密度がこの範囲内であれば、さらに良好なストレッチ特性が得られると共に、折り位置における印刷層12の割れを抑制し易くなる。
【0032】
上記各線状低密度ポリエチレンのMFR(190℃、2.16kg)は、1〜30g/10分であることが好ましく、1〜20g/10分であることがより好ましく、1〜10g/10分であることが特に好ましい。MFRがこの範囲内であれば、生産性が良好になる。
【0033】
上記各線状低密度ポリエチレンは、本発明の目的を損なわない範囲で、エチレン及び上記αオレフィン以外の単量体成分、例えば、酢酸ビニル(VA)等のカルボン酸ビニル、アクリル酸(AA)等の不飽和カルボン酸、メタクリル酸メチル(MMA)等の(メタ)アクリル酸エステルなどを含有していてもよい。但し、上記線状低密度ポリエチレンは、エチレン及び上記αオレフィン以外の単量体成分を含まないことが好ましい。
【0034】
基部層20を構成する低密度ポリエチレンは、過酸化物等を触媒として高圧下で重合される低密度ポリエチレンであって、高圧法ポリエチレンとも呼ばれる。低密度ポリエチレンは、不規則な側鎖が多数導入された分岐構造を有する。低密度ポリエチレンは、エチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数が3〜20のαオレフィンとの共重合体であることが好ましい。低密度ポリエチレンは、基部層20に適切な硬さを付与し、易カット性を向上させる。これら低密度ポリエチレンは、単独で用いてもよいが、互いに密度が異なる2種以上を併用してもよい。
【0035】
上記低密度ポリエチレンの密度は、0.910〜0.940g/cm
3であることが好ましく、0.915〜0.935g/cm
3であることがより好ましく、0.920〜0.930g/cm
3であることが特に好ましい。2種以上の低密度ポリエチレンを用いる場合は、全ての低密度ポリエチレンのトータル密度がこの範囲内であればよい。密度がこの範囲内であれば、より良好なストレッチ特性が得られると共に、折り位置における印刷層12の割れを抑制し易くなる。
【0036】
上記低密度ポリエチレンのMFR(190℃、2.16kg)は、1〜30g/10分であることが好ましく、1〜20g/10分であることがより好ましく、1〜10g/10分であることが特に好ましい。2種以上の低密度ポリエチレンを用いる場合は、全ての低密度ポリエチレンのトータルのMFRがこの範囲内であればよい。MFRがこの範囲内であれば、生産性が良好になる。
【0037】
上記低密度ポリエチレンは、本発明の目的を損なわない範囲で、エチレン及び上記αオレフィン以外の単量体成分、例えば、酢酸ビニル(VA)等のカルボン酸ビニル、アクリル酸(AA)等の不飽和カルボン酸、メタクリル酸メチル(MMA)等の(メタ)アクリル酸エステルなどを含有していてもよい。但し、基部層20に用いられる低密度ポリエチレンは、エチレン及び上記αオレフィン以外の単量体成分を含まないことが好ましい。
【0038】
基部層20の密度は、0.900〜0.935g/cm
3であることが好ましく、0.905〜0.930g/cm
3であることがより好ましく、0.910〜0.925g/cm
3であることが特に好ましい。表面層(内面層21及び外面層22)の密度は、0.910〜0.945g/cm
3であることが好ましく、0.915〜0.940g/cm
3であることがより好ましく、0.920〜0.935g/cm
3であることが特に好ましい。また、易カット性の向上の観点から、表面層の密度は基部層20の密度よりも大きい方が好ましい。そして、フィルム基材11の全体の密度(単層構造である場合、上記単一樹脂層の密度)が、0.905〜0.940g/cm
3であることが好ましく、0.910〜0.935g/cm
3であることがより好ましく、0.915〜0.930g/cm
3であることが特に好ましい。基部層20には、本発明の目的を損なわない範囲で、低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレン以外の樹脂成分や、可塑剤、滑剤、ワックス、帯電防止剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。
【0039】
表面層(内面層21及び外面層22)は、低密度ポリエチレンを主成分(最も含有量が多い成分)として構成され、適度なストレッチ性を有すると共に、フィルム基材11にコシを持たせて容器等の物品に対する装着性、輸送時等における耐衝撃性を向上させる。低密度ポリエチレンの含有率は、上記のように表面層を構成する全成分の総重量に対して60重量%以上であることが好ましい。特に好ましくは70重量%以上であり、低密度ポリエチレンのみから表面層が構成されていてもよい(100重量%)。フィルム基材11の内面側の最表面を構成する層である内面層21については、少なくとも50重量%の低密度ポリエチレンを含む。2種以上の低密度ポリエチレンを用いる場合は、低密度ポリエチレンの総量がこの範囲内であればよい。
【0040】
表面層を構成する低密度ポリエチレンは、基部層20を構成する低密度ポリエチレンと同様に、過酸化物等を触媒として高圧下で重合される低密度ポリエチレンであって、エチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数が3〜20のαオレフィンとの共重合体であることが好ましい。表面層を構成する低密度ポリエチレンには、基部層20を構成する低密度ポリエチレンと同じものを適用することができる。これら低密度ポリエチレンは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、表面層は低密度ポリエチレン以外に他の樹脂を含有していてもよい。好適な表面層としては、低密度ポリエチレンを65〜95%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を5〜35%含み、より好ましくは低密度ポリエチレンを70〜90%、EVAを10〜30%含む。表面層の厚みは、それぞれ2〜50μmであることが好ましく、より好ましくは3〜40μm、特に好ましくは5〜30μmである。
【0041】
内面層21は、基部層20の内面に形成されたフィルム基材11の最内面を構成する表面層である。内面層21の厚みは、2〜50μmであることが好ましく、より好ましくは3〜40μm、特に好ましくは5〜30μmである。内面層21は、基部層20の内面の全域に形成されることが好適である。
【0042】
内面層21を構成する低密度ポリエチレンは、基部層20を構成する低密度ポリエチレンと同様に、過酸化物等を触媒として高圧下で重合される低密度ポリエチレンであって、エチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数が3〜20のαオレフィンとの共重合体であることが好ましい。内面層21は、その総重量に対して50重量%以上、好ましくは60重量%以上の低密度ポリエチレンを含む。内面層21を構成する低密度ポリエチレンには、基部層20を構成する低密度ポリエチレンと同じものを適用することができる。これら低密度ポリエチレンは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
内面層21は、低密度ポリエチレン以外に他の樹脂を含有していてもよい。例えば、内面層21に用いられる低密度ポリエチレンは比較的硬い樹脂であるため、低密度ポリエチレンと共に内面層21を構成する他の樹脂として好適なものは、低密度ポリエチレンよりも柔軟性の高い樹脂である。低密度ポリエチレンと共に内面層21を構成する樹脂としては、例えば、上記の第1、第2線状低密度ポリエチレンが挙げられる。他にも、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン・イソプレン−スチレンブロック共重合体(SBIS)等のスチレン−ジエン系共重合体や、EVA等が例示できる。これらのうち、第1、第2線状低密度ポリエチレン、及びEVAが好ましい。内面層21として低密度ポリエチレンとEVAとを併用する場合、筒状ストレッチラベル10の内面同士がカット融着した場合でも、弱い力でその融着を剥離できる。
【0044】
内面層21が低密度ポリエチレンとEVAとで構成される場合、EVAの含有率は、内面層21を構成する樹脂成分の総重量に対して50重量%以下であり、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。内面層21には、可塑剤、滑剤、ワックス、帯電防止剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。
【0045】
外面層22は、基部層20の外面に形成されたフィルム基材11の最外面を構成する表面層である。外面層22の厚みは、2〜25μmであることが好ましく、より好ましくは3〜20μm、特に好ましくは5〜18μmである。外面層22は、基部層20の外面の全域に形成されることが好適である。
【0046】
外面層22を構成する低密度ポリエチレンには、内面層21を構成する低密度ポリエチレンと同じものを用いることができる。外面層22は、低密度ポリエチレンと、第1、第2線状低密度ポリエチレンや、スチレン−ジエン系共重合体、EVAとの混合樹脂を用いて形成されてもよい。本実施形態では、内面層21及び外面層22が同じ樹脂組成を有し、物性(密度、厚み等)が略同一である。
【0047】
印刷層12は、例えば、商品名やイラスト、商品説明等を表示するための層であって、フィルム基材11の内面若しくは外面、又は内面及び外面の両面に所望のパターンで形成される。
図2に示す例では、印刷層12の損傷抑制等の観点から、フィルム基材11の内面に印刷層12が形成されている。印刷層12の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1〜10μmである。
【0048】
印刷層12は、フィルム基材11の一方の面を内面として筒状体に成形する前に、フィルム基材11の一方の面若しくは他方の面又は両方の面に印刷インキを塗布し、乾燥等によって塗布したインキを固化することで形成される。印刷層12の形成には、例えば、所望の顔料や染料等の色材、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂等のバインダ樹脂、有機溶剤、及び各種添加剤(例えば、可塑剤、滑剤、ワックス、帯電防止剤)等を含む溶剤型インキが印刷インキとして用いられる。そして、この印刷インキを用いて、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、又は凸版輪転印刷法等の公知乃至慣用の印刷方法によって印刷を行なうことで印刷層12を形成することができる。印刷層12は、例えばアクリル系樹脂やウレタン系樹脂等のバインダ樹脂中に所望の顔料や染料等の色材が分散してなる層、又はバインダ樹脂により色材を結着してなる層であって、任意の添加剤を含有していてもよい。
【0049】
筒状ストレッチラベル10には、ストレッチ性に影響を与えない範囲で、印刷層12以外の層を設けてもよい。例えば、印刷層12上に保護層を設けてもよい。また、フィルム基材11の外面に印刷層12を形成したときには、保護層を当該印刷層上に設けてもよい。また、印刷層12がフィルム基材11の外面に形成されていない場合であっても、フィルム基材11の外面には、滑り性の付与や傷付き防止等を目的として透明なオーバーコート層を設けてもよい。保護層やオーバーコート層は、公知乃至慣用のインキを用いて公知乃至慣用の印刷法によって形成でき、例えば、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂等のバインダ樹脂、有機溶剤、及び各種添加剤(例えば、可塑剤、滑剤、ワックス、帯電防止剤)等を含む溶剤型透明インキ、又は透明性を損なわない色材をさらに含有する透明インキを用いて形成できる。保護層やオーバーコート層は、例えばアクリル系樹脂やウレタン系樹脂等のバインダ樹脂からなる層であって、任意の添加剤や透明性を損なわない色材を含有していてもよい。フィルム基材11の外面に形成される場合には、保護層やオーバーコート層は透明であることが好ましい。
【0050】
ここで、筒状ストレッチラベル10の製造方法を例示する。
【0051】
筒状ストレッチラベル10の一連の製造工程は、フィルム基材11の長尺体である第1長尺体を作製する工程(以下、工程(a)とする)、第1長尺体に印刷層12を形成して第2長尺体を作製する工程(以下、工程(b)とする)、第2長尺体を筒状体に成形して筒状長尺体を作製する工程(以下、工程(c)とする)、及び筒状長尺体を個々のラベルサイズにカットして筒状ストレッチラベル10を作製する工程(以下、工程(d)とする)とを含む。
【0052】
まず初めに、工程(a)について説明する。
第1長尺体は、従来公知のフィルム形成方法、例えば溶融押出し法により作製できる。溶融押出し法では、基部層20、内面層21となる第1表面層、及び外面層22となる第2表面層を構成する原料樹脂を押出機に投入して溶融し、溶融した樹脂をTダイに供給し、薄膜状の溶融樹脂をダイスリットから冷却したキャスティングドラム上に押出して冷却固化しフィルム化する。押出し温度は、特に限定されないが、180℃〜240℃程度が好ましく、200℃〜220℃がより好ましい。各層を積層する方法は、例えば、Tダイの直前にフィードブロックを設置して各溶融樹脂を層流状態でTダイに供給するフィードブロック法、多層のマニホールドを用いるマルチマニホールド法のいずれを適用してもよい。こうして、第1表面層/基部層20/第2表面層の積層構造を有する第1長尺体(例えば、ロール状に巻き取られた第1長尺体)が作製される。
【0053】
なお、第1長尺体は、単層構造であってもよく、内面層21となる第1表面層と基部層20からなり、外面層22となる第2表面層を有さない2層構造としてもよい。また、上記第1長尺体は、無延伸フィルムであるが、ストレッチ性を損なわない範囲で延伸処理されてもよい。また、第1長尺体(又は第2長尺体)に対して、コロナ処理やフレイム処理等の表面処理を行ってもよいし、帯電防止コート層や保護層、オーバーコート層など、表面層及び基部層20以外の層を設けてもよい。
【0054】
次に、工程(b)について説明する。
工程(b)では、第1長尺体をロール形態で印刷機等に供給してMD方向(長尺体の長手方向)に連続搬送しながら、第1長尺体の一方の面若しくは他方の面又は両方の面に印刷層12を形成する。印刷層12は、上記のように、グラビア印刷法等により形成できる。このようにして、第1長尺体の一方の面若しくは他方の面又は両方の面に印刷層12が形成された第2長尺体(例えば、ロール状に巻き取られた第2長尺体)を作製する。なお、本実施形態では、第1表面層上に印刷層12が形成される。
【0055】
次に、工程(c)について説明する。
工程(c)では、印刷層12が形成された第2長尺体を筒状長尺体に成形する。第2長尺体は、TD方向(長尺体の幅方向)が周方向となるようにTD方向両端同士を重ね合わせてシール部13を形成することで筒状長尺体とされる。シール部13は、例えば、接着剤シールやヒートシールによって形成できる。シール部13は、筒状体の周方向に0.5〜5mm程度の長さとなるように形成される。なお、第2長尺体は筒状に成形する前に、TD方向に所定幅となるようにMD方向にスリットして、筒状長尺体の周方向の長さを調整することが好適である。
【0056】
図3は、工程(c)により作製される筒状長尺体30を示す。筒状長尺体30は、第1表面層が筒状体の内側を向くようにしてシール部13を形成することで作製される。シール部13は、筒状長尺体30のMD方向に沿って形成される。こうして、第1表面層が内面層21となる。また、印刷層12は第1表面層上に形成されているから、印刷層12が筒状体の内側に設けられることになる。
【0057】
筒状長尺体30は、保管性や搬送性等の観点から、扁平状に折り畳まれることが好適であり、例えばシール部13を形成して筒状にされた後に折り畳まれる。このため、筒状長尺体30には、シール部13と略平行な2つの折り目線31が形成される。折り目線31で折り畳まれた扁平状の筒状長尺体30は、例えばロール状に巻き取られて、ロール形態で保管、搬送される。
【0058】
次に、工程(d)について説明する。
工程(d)では、筒状長尺体30を個々のラベルサイズにカットして筒状ストレッチラベル10を作製する。筒状長尺体30は、上記ロール形態でストレッチラベラー(ラベル装着機)に供給され、当該ラベラーにおいてカットされるのが一般的であり、例えば容器等に装着される前に点線で示すカット位置32でカットされる。こうして、筒状長尺体30は、複数の筒状ストレッチラベル10に分割される。筒状長尺体30は、MD方向に連続搬送されながら、ギロチンカッターやロータリーカッターにより個々のラベルサイズにカットされる。なお、筒状ストレッチラベル10には、慣用の方法でミシン目線を形成してもよい。
【0059】
ここで、筒状ストレッチラベル10(筒状長尺体30)の作用効果について説明する。
【0060】
筒状長尺体30には、上記のように、扁平状に折り畳まれることで折り目線31が形成されている。筒状長尺体30は、折り目線31が形成された部分においてフィルム基材11及び印刷層12に大きなストレスが加わっているが、フィルム基材11の組成を上述の構成とすることで、拡径した際の折り位置における印刷層12の割れが抑制される。
【0061】
筒状長尺体30は、上記のように、ギロチンカッターやロータリーカッター等種々のカッターを用いて個々のラベルサイズにカットされる。このとき、例えば、カット時の摩擦熱や押圧の影響等により、筒状長尺体30の内面同士が接合するカット融着が発生し易い状況となる。特に、押し切りされるようなギロチンカッターや
図4に示される機構のロータリーカッターはカット融着し易い傾向にある。筒状長尺体30では、フィルム基材11の組成を上述の構成とすることで、当該カット融着の発生が抑制され易カット性が得られる。或いは、カット融着が発生したとしても融着の程度が小さく、容易に引き離すことが可能である。このため、筒状長尺体30は、カット融着しにくいカッターを搭載したストレッチラベラーだけでなく、比較的カット融着しやすいカッターを搭載したストレッチラベラーにも使用でき、汎用性に優れる。
【0062】
つまり、上記構成を備えたフィルム基材11(第1長尺体)を用いることにより、カット融着の発生を抑制することができると共に、ラベルの折り位置における印刷層12の割れを抑制することが可能になる。
【0063】
なお、筒状ストレッチラベル10は、例えば、ストレッチラベラーを用いて容器等の物品に装着される。ストレッチラベラーは、ストレチャー(拡径装置)で筒状ストレッチラベル10を周方向に引っ張って伸張させた状態(例えば、容器等のラベル装着箇所の最大周長よりも若干大きくなる程度にラベルを拡径させた状態)とし、拡径された筒の内側に物品を嵌挿する。筒状ストレッチラベル10の内側に物品が嵌挿された状態で、ストレッチャーを除去して引っ張り力を取り除くと、ラベルが弾性的に収縮し容器等に追従して装着される。なお、筒状ストレッチラベル10は、少なくとも2%程度周方向に伸張した状態で装着されていることが好適である。
【0064】
ここで、筒状ストレッチラベル10のストレッチ特性について説明する。
【0065】
筒状ストレッチラベル10のストレッチ特性は、引っ張り応力や、瞬間歪みにより表すことができる。引っ張り応力とは、引っ張り試験機によって評価サンプルを所定の試験速度で引っ張って所定量伸張させたときに、引っ張り試験機に作用する引っ張り抵抗力である。即ち、伸張に抵抗する力であり、引っ張り応力が小さいほど、ラベルは伸ばし易く伸張性が高いことを意味する。瞬間歪み(%)は、所定の試験速度で所定量伸張させた引っ張り試験後に所定の試験速度で引っ張り抵抗力がゼロになるまで戻した際の評価サンプルが元の長さに戻らずに変形した度合い(変形量/評価サンプルの元の長さ)である。なお、引っ張り試験における所定の試験速度は、50mm/分である。瞬間歪みが小さいほど、ラベルの復元性が高いことを意味する。即ち、引っ張り応力、瞬間歪みともに小さい方が、ストレッチ特性に優れる。
【0066】
筒状ストレッチラベル10は、少なくとも周方向に対して25%以上の伸張が可能であることが好ましい。筒状ストレッチラベル10は、周方向に25%伸張後の瞬間歪み(50mm/分)が、10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、5%以下が特に好ましい。なお、瞬間歪みの下限は、理想的では0%であるが、実際に0%という場合は少ない。
【0067】
筒状ストレッチラベル10は、少なくとも周方向に対して10%伸張させたときの引っ張り応力(以下、F10値とする)が、好ましくは3〜12N/mm
2、より好ましくは5〜10N/mm
2、特に好ましくは6〜8N/mm
2である。F10値の下限値が低すぎると伸張した状態で容器の締め付け力が弱くなりすぎ、見栄えの良い装着状態が得られない場合がある。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0069】
<実施例1>
フィルム基材の作製には、合流方式がフィードブロック2種3層型の押出し機を用いた。210℃に加熱した2台の押出し機に下記原料樹脂(基部層原料、内面層及び外面層原料)を投入し溶融した後、基部層原料の両側に内面層及び外面層原料(表面層原料)を積層し、Tダイに供給して、そのスリットから25℃に冷却したキャスティングドラム上に2種3層で押出して急冷固化し、内面層/基部層/外面層の3層構造のフィルム基材の長尺体(第1長尺体)を得た。基部層は、密度が0.920g/cm
3、厚みを80μmとした。内面層及び外面層(表面層)は、それぞれ、密度が0.922g/cm
3、厚みを10μmとした。フィルム基材(第1長尺体)の全体の密度は、0.921g/cm
3、厚みは100μmとした。表1に、各層の原料樹脂及び配合量を示す。
【0070】
[原料樹脂]
基部層原料:第1線状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製のUMERIT 715FT、エチレン・1−ブテン共重合体、密度:0.915g/cm
3、融点:113℃)18.8重量%、第2線状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製のUMERIT 1540FT、エチレン・1−ヘキセン共重合体、密度:0.915g/cm
3、融点:114℃)18.8重量%、低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製のF222NH、密度0.922g/cm
3、融点:110℃)62.4重量%
表面層原料:低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製のF222NH)100重量%
【0071】
次に、グラビア印刷機によって、上記第1長尺体の一方の面(内面層の内面)に該長尺体をMD方向に搬送しながらメジウムインキ(透明)と溶剤型インキ(墨、藍、赤、黄のカラー4色、銀、白)を用いて厚みが3μmの印刷層(フィルム基材/カラー/メジウム/銀/白/白、カラーでデザイン形成した後、メジウム、銀、白、白を順に全面ベタ印刷)を形成して第2長尺体を得た。次に、内面層が筒状体の内側を向くように第2長尺体のMD方向に沿った端縁同士(TD方向の一端の端縁と他端の端縁)を重ね合わせ、接着剤を用いてシール部を形成することにより、筒状に成形して筒状長尺体A1を得た。筒状長尺体A1は、扁平状に折り畳んでロール状に巻き取った。これにより、筒状長尺体A1には、MD方向に沿って2つの折り目線が形成された。
ロータリーカッター(
図4に示すカット機構)を有するストレッチラベラー((株)フジアステック製のSTS−1916)を用いて、筒状長尺体A1をカットすることで筒状ストレッチラベルB1を得た。
【0072】
筒状長尺体A1、筒状ストレッチラベルB1について、以下の測定方法により、カット融着、装着適性、及び印刷層割れ(印刷層割れについては、上記第1長尺体を用いて評価した)の評価を行った。評価結果を表1に示した。なお、実施例2〜6、比較例1〜3の各ラベルについても同じ評価を行った。
【0073】
<カット融着(易カット性)の評価>
上記ストレッチラベラーでカットして得られた筒状ストレッチラベルB1の軸方向一方(下流側)から筒状体の中に指を閉じた手を入れ、3秒経ってから手を開き、筒状ストレッチラベルB1の軸方向他方(上流側)の開き具合について官能評価で確認した。
○(カット融着なし):容易に開いた
×(カット融着あり):開く際に大きな抵抗があった
【0074】
<装着適性の評価>
上記ストレッチラベラーでカットして得られた筒状ストレッチラベルB1を、上記ストレッチラベラーを用いて300枚/分の速度で容器に装着させて、ラベルの折れ込みを200本について確認した。
○:ラベルの折れ込みは確認されず
△:ラベルの折れ込みが数本(30本未満)確認された
×:ラベルの折れ込みが30本以上確認された
【0075】
<印刷層割れ(インキ割れ)の評価>
上記第1長尺体からTD方向に長さ70mm±0.1mm、MD方向に長さ15mm±0.1mmの長方形のサンプル片を作製した。当該サンプル片について、以下の手順で評価を行った。
(1)サンプル片の印刷面同士が重なるようMD方向に対応する方向の端部同士を一致させるように扁平状に折り畳み、プレス機(テスター産業(株)製のヒートシールテスター TP−701−B)を用いて、常温・0.3MPa・3秒間踏み、折り目を付けた。
(2)折り目を中心にして、5℃環境下に設定したオートグラフにチャック間20mmでサンプルをセットし、設定温度になるまで放置し、1000m/分の速度で5mm(伸び率25%相当)引っ張った。
(3)引っ張った後、オートグラフから取り外したサンプルについて、折り目における印刷層の状態を、目視とCCDカメラ(倍率200倍)で印刷面を観察することにより確認した。
○:印刷層の割れは確認されず
△:印刷層の割れがCCDカメラを用いて確認された(目視では確認されず)
×:印刷層の割れが目視で確認された
【0076】
<実施例2>
基部層原料及び表面層原料を下記のように変更し、表面層の厚みをそれぞれ25μm、基部層の厚みを50μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、第1長尺体、筒状長尺体A2、筒状ストレッチラベルB2を作製した。
基部層原料:第1線状低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)40重量%、第2線状低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)20重量%、低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)40重量%
表面層原料:低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)88重量%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(宇部丸善ポリエチレン(株)製のV206、密度0.920g/cm
3、融点:102℃)12重量%
【0077】
<実施例3>
基部層原料及び表面層原料を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして、第1長尺体、筒状長尺体A3、筒状ストレッチラベルB3を作製した。
基部層原料:第1線状低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)35重量%、第2線状低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)12.5重量%、低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)52.5重量%
表面層原料:低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)70重量%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(実施例2と同じ)30重量%
【0078】
<実施例4>
基部層原料を下記のように変更した以外は、実施例2と同様にして、第1長尺体、筒状長尺体A4、筒状ストレッチラベルB4を作製した。
基部層原料:第1線状低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)56重量%、低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)44重量%
【0079】
<実施例5>
基部層原料を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして、第1長尺体、筒状長尺体A5、筒状ストレッチラベルB5を作製した。
基部層原料:第1線状低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)19重量%、第2線状低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)44重量%、低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)37重量%
【0080】
<実施例6>
基部層原料及び表面層原料を下記のように変更し、1種3層で押し出して単層構造のフィルムを作製したこと以外は、実施例1と同様にして、第1長尺体、筒状長尺体A6、筒状ストレッチラベルB6を作製した。
フィルム(単一樹脂層)原料:第1線状低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)20重量%、第2線状低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)10重量%、低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)64重量%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(実施例2と同じ)6重量%
【0081】
<比較例1>
基部層原料及び表面層原料を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして、第1長尺体、筒状長尺体X1、筒状ストレッチラベルY1を作製した。
基部層原料:第2線状低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)30重量%、低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)70重量%
表面層原料:低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)70重量%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(実施例2と同じ)30重量%
【0082】
<比較例2>
基部層原料を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして、第1長尺体、筒状長尺体X2、筒状ストレッチラベルY2を作製した。
基部層原料:第1線状低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)50重量%、第2線状低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)13重量%、低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)37重量%
【0083】
<比較例3>
基部層原料を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして、第1長尺体、筒状長尺体X3、筒状ストレッチラベルY3を作製した。
基部層原料:第1線状低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)25重量%、第2線状低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)50重量%、低密度ポリエチレン(実施例1と同じ)25重量%
【0084】
【表1】
【0085】
表1に示す結果から分かるように、実施例の各筒状ストレッチラベルB1〜B6は、比較例の各筒状ストレッチラベルY1〜Y3と比べて、カット融着及びインキ割れが発生し難く、良好な装着適正を有する。なお、実施例1〜3,6のラベルは、特に優れた特性を有する。