【実施例】
【0036】
  つぎに、本発明の実施例について説明する。実施例では、ユーザの車両にナビゲーション装置300が搭載され、ナビゲーション装置300が上記通知装置100の機能を実行する場合の一例について説明する。
【0037】
(ナビゲーション装置300のハードウェア構成)
  
図3は、通知装置の実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301、ROM302、RAM303、磁気ディスクドライブ304、磁気ディスク305、光ディスクドライブ306、光ディスク307、音声I/F(インターフェース)308、マイク309、スピーカ310、入力デバイス311、映像I/F312、ディスプレイ313、通信I/F314、GPSユニット315、各種センサ316、カメラ317、を備えている。各構成部301〜317は、バス320によってそれぞれ接続されている。
【0038】
  CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、通知プログラムを記録している。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU301は、RAM303をワークエリアとして使用しながら、ROM302に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。
【0039】
  磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、例えば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0040】
  また、光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどを用いることができる。
【0041】
  磁気ディスク305および光ディスク307に記録される情報の一例としては、地図データ、車両情報、道路情報、走行履歴などが挙げられる。地図データは、カーナビゲーションシステムにおいて経路探索するときに用いられ、建物、河川、地表面、エネルギー補給施設などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データ、道路の形状をリンクやノードなどであらわす道路形状データなどを含むベクタデータである。
【0042】
  音声I/F308は、音声入力用のマイク309および音声出力用のスピーカ310に接続される。マイク309に受音された音声は、音声I/F308内でA/D変換される。マイク309は、例えば、車両のダッシュボード部などに設置され、その数は単数でも複数でもよい。スピーカ310からは、所定の音声信号を音声I/F308内でD/A変換した音声が出力される。
【0043】
  入力デバイス311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス311は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか一つの形態によって実現されてもよいが、複数の形態によって実現することも可能である。
【0044】
  映像I/F312は、ディスプレイ313に接続される。映像I/F312は、具体的には、例えば、ディスプレイ313全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video  RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ313を制御する制御ICなどによって構成される。
【0045】
  ディスプレイ313には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ313としては、例えば、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
【0046】
  カメラ317は、車両外部の道路を含む映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよく、例えば、カメラ317によって車両外部を撮影し、撮影した画像をCPU301において画像解析したり、映像I/F312を介して磁気ディスク305や光ディスク307などの記録媒体に出力したりする。
【0047】
  通信I/F314は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300およびCPU301のインターフェースとして機能する。ネットワークとして機能する通信網には、CANやLIN(Local  Interconnect  Network)などの車内通信網や、公衆回線網や携帯電話網、DSRC(Dedicated  Short  Range  Communication)、LAN、WANなどがある。通信I/F314は、例えば、公衆回線用接続モジュールやETC(ノンストップ自動料金支払いシステム、登録商標)ユニット、FMチューナー、VICS(Vehicle  Information  and  Communication  System:登録商標)/ビーコンレシーバなどである。
【0048】
  GPSユニット315は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット315の出力情報は、後述する各種センサ316の出力値とともに、CPU301による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、例えば、緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0049】
  各種センサ316は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサ、傾斜センサなどの、車両の位置や挙動を判断するための情報を出力する。各種センサ316の出力値は、CPU301による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の算出に用いられる。
【0050】
  図1に示した通知装置100は、
図3に記載のROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行することによって
図1の判断部103の機能を実現する。
【0051】
  また、
図3の通信I/F314を用いて、他の車両との通信のため、電波による近距離無線通信による通信を行う。この通信により、
図1の停車検知部101、接近検知部102、の機能を実現できる。また、
図3のディスプレイ313やスピーカ310等を用いて
図1の通知部104の機能を実現できる。なお、通信I/F314は、ネットワークを介して、他の車両との通信を行ってもよい。
【0052】
  つぎに、停車中の前方移動体(バス)の追い越しについて、各種状態別の処理を説明する。上述した前方移動体はバス402、対向移動体は対向車403、後方移動体は後方車404とし、自車401にナビゲーション装置300(通知装置100)が搭載された例を用いて説明する。
【0053】
(対向車接近時の通知処理)
  
図4は、実施例にかかるナビゲーション装置による対向移動体を考慮した追い越し禁止の判断内容を説明する図である。道路400を自車401は走行車線Aを走行中であり、自車401前方のバス停410でバス402が利用者乗降のために停車している状態を示している。また、対向車線Bを対向車403が走行している。
【0054】
  図4の状態でバス402は、車車間通信を介して車両情報D1(車両の位置、車速情報、進行方向等)により、停車中であることを周囲の移動体(自車401や対向車403等)に送信している。同様に、自車401および対向車403も車車間通信の車両情報D2により、走行中であることを周囲の移動体に送信している。
【0055】
  これにより、自車401のナビゲーション装置300は、バス402の車両情報D1と、対向車403の車両情報D2とを受信して、バス402がバス停410の位置で停車中であること、および対向車403が接近して走行中であること、をそれぞれ検知する。
【0056】
  そして、自車401のナビゲーション装置300は、バス402がバス停410の位置で停車中であり、かつ対向車403が接近して走行中であることに基づいて、前方から対向車403が接近していることを通知する。このように、自車のユーザ(運転者)に対して、対向車403の接近を通知することで、追い越しに危険が生じることを知らせることができる。
【0057】
  また、ナビゲーション装置300は、自車401とバス402との距離L1およびそれぞれの速度、および自車401と対向車403との距離L2およびそれぞれの速度に基づいてバス402の追い越しが可能か否かを判断する。
【0058】
  例えば、ナビゲーション装置300は、自車が安全に追い越しをするに必要な時間を固定値(例えば15秒)として保持しておく。そして、ナビゲーション装置300は、バス402を安全に追い越すために必要なバス402と対向車403の距離L3(L2−L3)を求める。この際、対向車403の速度が40km/hであったとすると、距離L3として(40×1000/3600)×15=約170m必要であると判断する。
【0059】
  これにより、ナビゲーション装置300は、バス402と対向車403の距離L3が170m以下であれば、バス402の追い越しが危険であるとして追い越し禁止と判断し、自車401のユーザに追い越し禁止を通知する。
【0060】
  図5は、実施例にかかるナビゲーション装置による追い越し禁止の解除内容を説明する図である。
図4に示す状態の後、対向車403が対向車線の走行で自車401の位置を通過したとする(
図4の例では、自車401はバス402の追い越しを行っていない状態)。この場合、ナビゲーション装置300は、対向車403が自車401の位置を通過した際に、それまで行っていた追い越し禁止の通知を解除する。
【0061】
  この際、自車401に対する対向車403の接近時には相互の距離(絶対距離)が減少していき、
図4に示すように自車401の位置を通過することで、自車401と対向車403の相互の距離が増加に転じる。ナビゲーション装置300は、自車401と対向車403の相互の距離が減少から増加に転じたときに、追い越し禁止の通知を解除する。
【0062】
(2車線走行時の後方車接近時の通知処理)
  
図6は、実施例にかかるナビゲーション装置による後方移動体を考慮した追い越し禁止の判断内容を説明する図である。
図6に示すように、片側2車線の道路400で自車が走行車線A1を走行し、この走行車線A1の前方でバス402が停車中であり、追い越し車線A2には、自車401の進行方向の後方で後方車404が走行中であるとする。
【0063】
  図6に示すように、自車401が複数車線の道路を走行している場合、ナビゲーション装置300は、バス402を対向車線Bを使用した追い越しではなく、追い越し車線A2を使用した追い越しの判断を行う。そして、バス402の追い越しの判断には、後方車404の接近状態を考慮し、自車401がバス402を追い越すまでの間で、後方車404が自車401の進行方向の後方に位置していれば追い越しが可能と判断する。
【0064】
  このため、ナビゲーション装置300は、自車401と後方車404の距離L4を求める。この際、後方車404の速度が60km/hであったとすると、距離L4として(60×1000/3600)×15=約250m必要であると判断する。
【0065】
  これにより、ナビゲーション装置300は、バス402と後方車404の距離L4が250m以下であれば、バス402の追い越しが危険であるとして追い越し禁止と判断し、自車401のユーザに追い越し禁止を通知する。
【0066】
(バスでの利用者乗降終了時の通知処理)
  
図7は、実施例にかかるナビゲーション装置によるバスでの利用者乗降終了を考慮した追い越し禁止の判断内容を説明する図である。バス402は、バス停410での利用者の乗降が終了すると、車車間通信の車両情報D1に利用者の乗降が終了した旨を含めて送信する。この利用者の乗降が終了した旨を示す信号をバス402の発車を示す信号として用いてもよいし、この信号とは別にハザードが解除されたり、右ウインカーの操作を発車を示す信号として送信してもよい。
【0067】
  これにより、自車401のナビゲーション装置300は、停車中のバス402が発車することに基づき、バス402の追い越し禁止を判断し、自車401のユーザに追い越し禁止を通知することができる。バス402は、利用者の乗降終了で発車するが、この発車時のバス402に対する自車401の接近を回避できるようになる。
【0068】
(バス後方での停車位置の通知処理)
  
図8は、実施例にかかるナビゲーション装置によるバス後方での停車位置の判断内容を説明する図である。ナビゲーション装置300は、バス402がバス停410で発車する際、走行中の自車401がバス402の後方で安全に停車できる位置を判断する。
【0069】
  バス402は、車車間通信の車両情報D1に利用者の乗降が終了し発車する旨を含めて送信する。これにより、ナビゲーション装置300は、バス402の発車をユーザに通知できる。
【0070】
  そして、ナビゲーション装置300は、自車401が走行中の場合、発車したばかりのバス402に近づきすぎると危険であることから、バス402後方で安全に停車できる位置を通知する。例えば、自車401の速度が40km/hであったとすると、自車401とバス402との距離L5として(40×1000/3600)×10=約111m必要であると判断する。値「10」は、ナビゲーション装置300がバス402の「発車」の通知を受けてから、自車401のユーザ(運転者)が判断して実際に自車401が停車するまでの時間(固定値)である。
【0071】
  これにより、ナビゲーション装置300は、自車401と後方車404の距離L5が111m以下であれば、直ちに停止する旨を通知することで、バス402の発車時にバス402に接近する自車401に対して安全な停止位置を通知することができる。
【0072】
(自車がバス後方で停止した後のバス発車の通知処理)
  
図9は、実施例にかかるナビゲーション装置によるバスの停車・発車時の通知・解除を行う範囲を説明する図である。自車401がバス402の後方で停止(速度0km)している状態を示している。ナビゲーション装置300は、自車401が停止している場合は、バス402との距離L6が近い場合に、バス402の停車・発車時の通知・解除を通知する。例えば、バス402との距離L6が20m以内(乗用車3台分以内)の車両に対し、バス402の停車・発車を通知する。これにより、バス402の停車・発車に伴う注意を促すことができる。
【0073】
(対向車の接近を通知中にバスが発車する場合の通知処理)
  上述した
図4を用いて説明すると、ナビゲーション装置300が対向車403の接近を通知中にバス402が発車する場合、それまで行っていた対向車403の接近の通知を解除して、バス402が発車することを通知する。これにより、ナビゲーション装置300は、対向車403の接近の通知(
図4)と、バス402の発車の通知(
図9)とを重ねて行うことをせず、自車401のユーザに対して必要な情報をわかりやすく通知する。
【0074】
  なお、走行車線が2車線以上の場合には、ナビゲーション装置300は、対向車403に代えて後方車404を対象として判断処理を行い、それまで行っていた後方車404の接近の通知を解除して、バス402が発車することを通知する。これにより、ナビゲーション装置300は、後方車404の接近の通知(
図6)と、バス402の発車の通知(
図9)とを重ねて行うことをせず、自車401のユーザに対して必要な情報をわかりやすく通知する。
【0075】
(停車予定のバスの通知処理)
  上記各図を用いて説明したバス402は、車車間通信により走行状態を自車401等に送信(バス停410での停車時に停車している情報を送信)するが、バス停410で停車する以前にバス停410での停車を予め送信することもできる。例えば、バス402の利用者がつぎのバス停410で降車するために、降車ボタンを操作したとき、バス402は、車車間通信により、つぎにバス停410で停車する旨を車両情報D1に含めて送信する。
【0076】
  これにより、自車401のナビゲーション装置300は、バス402がバス停410で停車することをバス402の走行中(バス402がバス停410の手前の位置)の状態で通知することができる。これにより、バス402の停車を、バス402が実際に停車する以前の時期にユーザに通知することができ、より安全な運転を行うための通知を行えるようになる。
【0077】
(バス乗降の利用者との通信による通知処理)
  
図10は、実施例にかかるナビゲーション装置によるバス停での利用者の歩行者用端末との通信による判断内容を説明する図である。バス402は、バス停410で降車する利用者がいる場合、またはバス停410でバス402に乗降する利用者1001がいる場合にバス停410に停車する。
【0078】
  このため、利用者1001が保持する歩行者用端末1002が上記の車車間端末と同様の機能を有していれば、ナビゲーション装置300は、この歩行者用端末1002との間で歩車間通信を行うことができる。この際、歩行者用端末1002は、上述した車車間通信により車両が送信する車両情報に代えて利用者情報を送信する。利用者情報としては、利用者の現在位置(緯度経度)を含む。
【0079】
  例えば、ナビゲーション装置300は、バス停410の位置近傍に利用者1001の歩行者用端末1002が位置していれば、バス停410で利用者1001がバス402の到着を待っていると判断する。なお、利用者1001は歩行者用端末1002を介して「バス乗車」する旨の情報を含み送信してもよい。これにより、ナビゲーション装置300は、バス402がバス停410に実際に到達する以前の時期に、バス402がバス停410に停車することを検知でき、この検知により、実際の停車より早い時期にバス402の停車位置(バス停410)を把握して、上記の追い越しの判断処理を行えるようになる。
【0080】
(ナビゲーション装置が行う判定および通知処理例)
  
図11は、実施例にかかるナビゲーション装置が実行する主な判定および通知処理例を示すフローチャートである。
図4,
図6等の説明に対応した追い越し禁止の判断と通知について、ナビゲーション装置300のCPU301が実行する処理内容を示す。
【0081】
  ナビゲーション装置300は、はじめに、利用者が乗降中(停車中)のバス402の位置をチェックし(ステップS1101)、バス402は、自車401の走行車線の前方位置に位置しているかを判断する(ステップS1102)。バス402が自車401の前方位置に位置していれば(ステップS1102:Yes)、ステップS1103に移行し、バス402が自車401の前方位置に位置していなければ(ステップS1102:No)、処理を終了する。
【0082】
  ステップS1103では、ナビゲーション装置300は、走行中の道路の路線数(車線数)をチェックした後(ステップS1103)、片側1車線であれば(ステップS1104:Yes)、バス402の追い越しにかかる判断対象の車両(対象車)を対向車403にする(ステップS1105)。また、片側1車線でなければ(片側2車線以上)(ステップS1104:No)、バス402の追い越しにかかる判断対象の車両を後方車404にする(ステップS1106)。対象車は、上記の対向車403または後方車404である。
【0083】
  この後、ナビゲーション装置300は、対象車の有無をチェックする(ステップS1107)。例えば、対象車が自車401と同一の道路400上にいるか(自車401と所定距離内、例えば車車間通信可能な距離)をチェックする。そして、対象車ありの場合には(ステップS1108:Yes)、ステップS1109に移行し、対象車なしの場合には(ステップS1108:No)、処理を終了する。
【0084】
  ステップS1109では、ナビゲーション装置300は、対象車の情報を取得する(ステップS1109)。ここでは、上記車車間通信により対象車の車両情報を取得する。つぎに、ナビゲーション装置300は、バス402と対象車(対向車403または後方車404)との間の距離をチェックする(ステップS1110)。
【0085】
  そして、ナビゲーション装置300は、バス402と対象車との間の距離が所定距離内であれば(ステップS1111:Yes)、自車401はバス402の追い越しが危険であるため、追い越しを禁止する通知(警告の表示等)を行い(ステップS1112)、以上の処理を終了する。また、バス402と対象車との間の距離が所定距離以上離れていれば(ステップS1111:No)、処理を終了する。
【0086】
  図12は、実施例にかかるナビゲーション装置が実行するバス発車時の判定および通知処理例を示すフローチャートである。
図8,
図9等の説明に対応し、バス402が発車する際のナビゲーション装置300のCPU301が実行する処理内容を示す。
【0087】
  ナビゲーション装置300は、はじめに、自車401の速度をチェックする(ステップS1201)。そして、速度なし(停止中)であれば(ステップS1202:Yes)、自車401の停止時の距離をセットし(ステップS1203)、速度あり(走行中)であれば(ステップS1202:No)、自車401の走行時の距離をセットする(ステップS1204)。これらの距離は、予め自車401の停止に必要な固定値を読み出しセットする。この後、自車401とバス402の距離をチェックする(ステップS1205)。
【0088】
  そして、ナビゲーション装置300は、自車401とバス402の距離が所定の距離内であれば(ステップS1206:Yes)、追い越し禁止の警告を表示中(通知中)かチェックする(ステップS1207)。また、ナビゲーション装置300は、自車401とバス402の距離が所定の距離内でなければ(ステップS1206:No)、処理を終了する。
【0089】
  そして、ナビゲーション装置300は、追い越し禁止の警告を表示中(通知中)であれば(ステップS1208:Yes)、追い越し警告表示(通知)を解除し(ステップS1209)、ステップS1210に移行し、追い越し禁止の警告を表示中(通知中)でなければ(ステップS1208:No)、ステップS1210に移行する。
【0090】
  ステップS1210では、ナビゲーション装置300は、バス402の発車を表示(通知)し(ステップS1210)、処理を終了する。
【0091】
  図13は、実施例にかかるナビゲーション装置が実行するバス停車時の判定および通知処理例を示すフローチャートである。上述した、バス402内での利用者の降車ボタン操作時のナビゲーション装置300のCPU301が実行する処理内容を示す。
【0092】
  バス402内で利用者がつぎのバス停410で降車するための降車ボタンを操作すると、バス402は車車間通信の車両情報に降車ボタンの操作(つぎのバス停410での停車)を示す情報を含ませて送信する。
【0093】
  ナビゲーション装置300は、バス402の車両情報を受信することで、降車ボタンが押されたバス402と自車401の距離をチェックする(ステップS1301)。つぎに、ナビゲーション装置300は、自車401とバス402との間の距離が所定距離内であるか判断する(ステップS1302)。
【0094】
  ステップS1302の判断の結果、自車401とバス402との間の距離が所定距離内であれば(ステップS1302:Yes)、バス停410で停車予定のバス402と接近していると判断し、バスが停止する旨の通知(警告表示)を行い(ステップS1303)、処理を終了する。一方、自車401とバス402との間の距離が所定距離以上離れていれば(ステップS1302:No)、停車予定のバス402と接近していないと判断し、警告表示せずに処理を終了する。
【0095】
  図14は、実施例にかかるナビゲーション装置が実行する歩行者用端末との通信で行うバス停車時の判定および通知処理例を示すフローチャートである。
図10の説明に対応し、バス停410でバス402への乗車を待機している利用者が有する歩行者用端末1002と通信によりナビゲーション装置300のCPU301が実行する処理内容を示す。
【0096】
  ナビゲーション装置300は、前方移動体としてバス402を検出している状態において、歩行者用端末1002との通信により、歩行者用端末の速度をチェックする(ステップS1401)。判断の結果、速度がなければ(ステップS1402:Yes)、利用者が立ち止まっていると判断し、ステップS1403に移行する。一方、ステップS1401での判断の結果、速度があれば(ステップS1402:No)、利用者が歩行中であるとして処理を終了する。この速度は歩行者の一般的な歩行速度を閾値として検出できる。
【0097】
  つぎに、ナビゲーション装置300は、地図データからバス停410の位置を取得し(ステップS1403)、歩行者用端末1002はバス停410付近に位置しているかチェックする(ステップS1404)。判断の結果、歩行者用端末1002の位置がバス停410付近であれば(ステップS1405:Yes)、バス402がバス停410で停車すると判断し(利用者1001のバスの乗車あり)、バスが停止する旨の通知(警告表示)を行い(ステップS1406)、処理を終了する。
【0098】
  一方、歩行者用端末1002の位置がバス停410付近から離れていれば(ステップS1405:No)、少なくとも利用者1001のバスの乗車はないと判断し、歩行者用端末1002との間の通信に基づく処理については終了する。ただし、この後にバス402から停車する情報を受信すること等に基づき、
図11の処理を実行することになる。
【0099】
  以上のように、ナビゲーション装置は、バスの停車中に、自車に接近する対向車の有無と接近の状態を考慮して、バスの追い越し可能かどうかを判断し、追い越しすることが危険な場合は通知する。これにより、停車中のバスを追い越そうとした場合に、対向車が接近しているかどうか見えづらい場合(例えば、カーブや、夕方、雨などの天候)でも、ユーザに対してバスを安全に追い越しできるかどうかを通知できる。また、走行車線が複数車線の場合には、バスの停車中に、自車の後方の後続車の有無と接近の状態を考慮して、バスの追い越し可能かどうかを判断する。これにより、ユーザは、バスの追い越しが危険であるか否かの通知にしたがって、安全運転を遂行できる。
【0100】
  また、自車とバスと対向車それぞれの速度と距離に基づき、追い越しに必要な時間を求めて追い越しできるか判断するため、車両毎に異なる速度や位置である実際の交通状態に対応して追い越し判断できるようになる。
【0101】
  また、停車中のバスが発車する情報の受信に基づき、バスの追い越し禁止を通知することができ、発車時のバスへの自車の接近を回避できるようになる。また、停車中のバスと自車との距離に基づきバス後方で自車が安全に停止できる位置を通知することができる。また、停止中のバスの後方で自車が停止した場合、バスと自車との距離が近ければ、その旨を通知でき、バスを乗降した利用者によるバス前後の道路横断等の注意を促すことができる。
【0102】
  また、対向車や後続車の接近中にバスが発車する場合には、対向車や後続車の接近の通知を解除してバスの発車を通知するため、刻々変化する状態に応じて必要な情報をわかりやすく通知できる。
【0103】
  また、バスから車両情報として利用者の降車ボタンの操作を含め受信する構成としたり、バス停での利用者の端末との間の通信を用いてバス停での利用者の存在を検出する構成とすることにより、バス停での停車予定を事前に把握でき、事前に追い越し判断を行えるようになる。
【0104】
  以上説明した実施例では、通知装置としてナビゲーション装置を用い、ナビゲーション装置を移動体(車両)に搭載した構成を例に説明したが、通知装置(ナビゲーション装置)が搭載される車両としては、自動車に限らず、自転車やバイクなどにも同様に搭載可能である。また、上述の説明では、前方移動体としてバスを例に説明したが、利用者が乗降する各種移動体、例えばタクシーについても同様に適用できる。さらに他の前方移動体の例としては、配送車や、頻繁には利用者が乗降しないが路肩に停車中の各種移動体(配送等で停車するトラック、さらには普通自動車等)についても、追い越し判断を適切に行うことができる。
【0105】
  また、実施例では、自車にナビゲーション装置を設ける構成として説明したが、このほかにスマートフォンやタブレットなどの端末装置を用いることもできる。
【0106】
  なお、本実施の形態で説明した通知方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。