【解決手段】制御部102と記憶部106とを備え、事前の金銭移動とその対価として提供される商品やサービスの計上業務を行う前受金前払金管理装置100であって、制御部102は、金銭移動や商品・サービス提供に関する入出金履歴を入出金履歴データとして記憶部106に記憶させると共に、金銭移動額を超えて商品やサービスの提供が行われた場合のマイナス分の増減履歴を増減履歴データとして記憶部106に記憶させる履歴データ処理部102aと、入出金履歴データと増減履歴データとに基づいてそれぞれ仕訳を行い、それらの仕訳データを科目に基づいて集計して明細仕訳データを作成する仕訳データ作成部102bと、を備えている。
制御部と記憶部とを備え、事前の金銭移動とその対価として提供される商品やサービスの計上業務を行う前受金前払金管理装置で実行される前受金前払金管理方法であって、
前記制御部で実行される、
前記金銭移動や前記商品・サービス提供に関する入出金履歴を入出金履歴データとして前記記憶部に記憶させると共に、前記金銭移動額を超えて商品やサービスの提供が行われた場合のマイナス分の増減履歴を増減履歴データとして前記記憶部に記憶させる履歴データ処理ステップと、
前記入出金履歴データと前記増減履歴データとに基づいてそれぞれ仕訳を行い、それらの仕訳データを科目に基づいて集計して明細仕訳データを作成する仕訳データ作成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする前受金前払金管理方法。
制御部と記憶部とを備え、事前の金銭移動とその対価として提供される商品やサービスの計上業務を行う前受金前払金管理装置で実行させるための前受金前払金管理プログラムであって、
前記制御部で実行させるための、
前記金銭移動や前記商品・サービス提供に関する入出金履歴を入出金履歴データとして前記記憶部に記憶させると共に、前記金銭移動額を超えて商品やサービスの提供が行われた場合のマイナス分の増減履歴を増減履歴データとして前記記憶部に記憶させる履歴データ処理ステップと、
前記入出金履歴データと前記増減履歴データとに基づいてそれぞれ仕訳を行い、それらの仕訳データを科目に基づいて集計して明細仕訳データを作成する仕訳データ作成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする前受金前払金管理プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る前受金前払金管理装置、前受金前払金管理方法および前受金前払金管理プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0015】
[1.概要]
本実施形態に係る前受金前払金管理装置100は、例えば、自動車教習所において教習生の教習の管理や、教習にかかる料金の管理を行う自動車教習所システムなどに適用することができる。これまでの教習所システムでは、教習生の料金管理が入金や売上(教習の実施)による前受金の増減を各教習生別に管理していたため、入出金の履歴のみが記録されていた。具体的には、日次の業務において、システムから出力される帳票を元に、各各教習生からの入金額の合計を「現金/前受金」、売上額の合計を「前受金/売上」で計上し、月次や年次で前受金が不足(残高がマイナス)になっている教習生のマイナス分合計を「売掛金/前受金」として振替えていた。つまり、各教習生について売上金額が入金金額を上回ると、前受金がマイナスになっていた。このように、各教習生の前受金残の合計には、未入金額(売掛金)分がマイナスとなって含まれているため、実際の預かり金の合計と合わなくなり、任意期間での正確な前受金発生額、売掛金発生額、日々の前受金残高、あるいは、売掛金残高を把握することができなかった。このように、従来の自動車教習所業界などでは、顧客からの入金で売上を計上し、決算期末に未教習分を前受金に、過教習分を売掛金に振り替える経理処理が一般的な運用となっているが、これでは時系列での売掛金の額を把握することができなかった。
【0016】
そこで、(イ)本実施形態に係る前受金前払金管理装置100は、事前に入金された前受金から売上を計上する業務において、入金分以上の売上を売掛金の発生として記録し、日次の仕訳処理では、入出金履歴データと売掛金履歴データとに基づいて入金仕訳と売上仕訳を作成することにより、前受金の入金分以上の売上を売掛金計上金額として正確に把握できるようにした点に特徴がある。
【0017】
また、(ロ)本実施形態に係る前受金前払金管理装置100は、事前に支払われた前払金から仕入を計上する業務において、支払分以上の仕入を買掛金の発生として記録し、日次の仕訳処理では、入出金履歴データと買掛金履歴データとに基づいて支払仕訳と仕入仕訳を作成することにより、前払金の支払分以上の仕入を買掛金計上金額として正確に把握できる点に特徴がある。
【0018】
[2.構成]
本実施形態に係る前受金前払金管理装置100の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、前受金前払金管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
前受金前払金管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、前受金前払金管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0020】
前受金前払金管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。前受金前払金管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0021】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、前受金前払金管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、前受金前払金管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0022】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、履歴データ記憶部106a、仕訳データ記憶部106b、マスタテーブル106cを備えている。
【0023】
履歴データ記憶部106aは、前受金管理の場合、
図2−3に示すように、入出金履歴データ記憶部106a−1と前受金履歴データ記憶部106a−2と売掛金履歴データ記憶部106a−3とを備えている。また、前払金管理の場合は、
図6−3に示すように、入出金履歴データ記憶部106a−4と前払金履歴データ記憶部106a−5と買掛金履歴データ記憶部106a−6とを備えている。
【0024】
仕訳データ記憶部106bは、前受金管理の場合、
図2−4に示すように、入出金履歴仕訳データ記憶部106b−1と売掛金履歴仕訳データ記憶部106b−2と明細仕訳データ記憶部106b−3と日次仕訳データ記憶部106b−4とを備えている。また、前払金管理の場合は、
図6−4に示すように、入出金履歴仕訳データ記憶部106b−5と買掛金履歴仕訳データ記憶部106b−6と明細仕訳データ記憶部106b−7と日次仕訳データ記憶部106b−8とを備えている。
【0025】
マスタテーブル106dには、例えば、費目マスタ、取扱会社マスタ、仕訳連携コントロールマスタ、仕訳連携パターンマスタ、および仕訳連携パターンマスタ2を備えている。特に、入出金履歴データから入出金履歴仕訳データを作成する場合は、仕訳連携パターンマスタから賃借各科目を処理別(入出金区分別)に取得して仕訳データを作成する。また、増減履歴データとしての売掛金履歴データから売掛金履歴仕訳データを作成する場合は、仕訳連携コントロールマスタから売掛科目、前受科目を取得する。その際、売掛金履歴データが入金処理の場合は、貸方に売掛金履歴データの金額を前受科目として計上すると共に、符号を反転して売掛科目として計上し、売上処理の場合は、借方に売掛金履歴データの金額を売掛科目として計上すると共に、符号を反転して前受科目として計上することにより売掛金履歴仕訳データを作成する。また、増減履歴データとしての買掛金履歴データから買掛金履歴仕訳データを作成する場合は、仕訳連携コントロールマスタから買掛科目、前払科目を取得する。その際、買掛金履歴データが支払処理の場合は、借方に買掛金履歴データの金額を前払科目として計上すると共に、符号を反転して買掛科目として計上し、仕入処理の場合は、貸方に買掛金履歴データの金額を買掛科目として計上すると共に、符号を反転して前払科目として計上することにより買掛金履歴仕訳データを作成する。さらに、日次仕訳は、日次で各仕訳を仕訳連携パターンマスタ2に設定された集計単位(明細別、処理別)、伝票単位で科目金額を集計することによって作成する。
【0026】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0027】
制御部102は、前受金前払金管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、履歴データ処理手段としての履歴データ処理部102a、仕訳データ作成手段としての仕訳データ作成部102bを備えている。
【0028】
履歴データ処理部102aは、前受金管理の場合、
図2−1に示すように、第1入出金履歴データ記録部としての入出金履歴データ記録部102a−1と売掛金履歴データ記録部102a−2とを備えている。また、前払金管理の場合は、
図6−1に示すように、第2入出金履歴データ記録部としての入出金履歴データ記録部102a−3と買掛金履歴データ記録部102a−4とを備えている。
【0029】
仕訳データ作成部102bは、前受金管理の場合、
図2−2に示すように、第1入出金履歴仕訳データ作成部としての入出金履歴仕訳データ作成部102b−1と売掛金履歴仕訳データ作成部102b−2と明細仕訳データ作成部102b−3と日次仕訳データ作成部102b−4とを備えている。また、前払金管理の場合は、
図6−2に示すように、第2入出金履歴仕訳データ作成部としての入出金履歴仕訳データ作成部102b−5と買掛金履歴仕訳データ作成部102b−6と明細仕訳データ作成部102b−7と日次仕訳データ作成部102b−8とを備えている。
【0030】
[3.具体例]
本実施形態のデータ処理の具体例について、
図2から
図5を参照して説明する。
図2−1は、前受金管理時の履歴データ処理部の構成の一例を示すブロック図である。
図2−2は、前受金管理時の仕訳データ作成部の構成の一例を示すブロック図である。
図2−3は、前受金管理時の履歴データ記憶部の構成の一例を示すブロック図である。
図2−4は、前受金管理時の仕訳データ記憶部の構成の一例を示すブロック図である。
図3は、本実施形態に係る前受金前払金管理装置の前受金管理時の処理の一例を示すフローチャートである。
図4は、入出金履歴と売掛金履歴の記録方法の一例を示す図である。
図5は、明細仕訳データを作成するまでの流れの一例を示すフロー図である。
【0031】
本実施形態は、教習所システムに適用した場合であるので、事前に入金された前受金(教習料金)から売上(教習の実施)を計上する業務において、入金分以上の売上(過教習分)があると売掛金の発生として記録し、日次の仕訳処理では、入出金履歴データと売掛金履歴データとに基づいて入金仕訳と売上仕訳とを作成することにより、前受金の入金分以上の売上を売掛金計上金額として正確に把握できるようにしたものである。
【0032】
本実施形態に係る前受金前払金管理装置100は、
図3のフローチャートに示す手順に従って、明細仕訳データあるいは日次仕訳データを作成する。まず、入出金履歴の記録を行い(ステップS100)、入金処理と売上処理の各処理時に前回処理までの前受金残高から今回処理による前受金残高を算出し、算出した前受金残高のマイナス分の増減を売掛金履歴データとして記録し(ステップS102)、入出金履歴データを入出金区分別の賃借科目に計上して入出金履歴仕訳データを作成し(ステップS104)、売掛金履歴データが入金処理の場合は、貸方に売掛金履歴データの金額を前受科目として計上すると共に、符号を反転して売掛科目として計上し、売上処理の場合は、借方に前記売掛金履歴データの金額を売掛科目として計上すると共に、符号を反転して前受科目として計上して売掛金履歴仕訳データを作成し(ステップS106)、入出金履歴仕訳データと売掛金履歴仕訳データとを科目で集計して明細仕訳データを作成し(ステップS108)、明細仕訳データを日次で集計単位別、伝票単位別に科目金額を集計することで日次仕訳データを作成する(ステップS110)。
【0033】
(入出金履歴データ)
制御部102の履歴データ処理部102aの入出金履歴データ記録部102a−1は、入金処理あるいは売上処理があると、各処理の種類区分(入金・売上)とその処理金額を記録し(
図4の入出金履歴データの欄のNo.1〜12)、履歴データ記憶部106aの入出金履歴データ記憶部106a−1に記憶させる。また、各処理(入金・売上)における取消時の金額は、取消元となる金額の符号を反転して記録し(
図4の入出金履歴データの欄のNo.6、7、11、12)、入出金履歴データ記憶部106a−1に記憶させる。
【0034】
(売掛金履歴データ)
履歴データ処理部102aの売掛金履歴データ記録部102a−2は、各処理時において、履歴データ記憶部106aの前受金履歴データ記憶部106a−2に記憶されている同一顧客の過去分の前受金履歴データから前回までの前受金残高を算出し(
図4の前受金の増減の欄)、前回の前受金残高から今回処理による前受金残高を算出する(
図4の前受金の増減の欄)。例えば、入金処理があると前受金残高にプラスし、売上処理があると前受金残高からマイナスにする。売掛金履歴データ記録部102a−2は、前回分または今回分の前受金残高のいずれかがマイナスの場合(
図4の売掛金の増減の欄)、前回分から今回分へのマイナス分の増減を売掛金履歴データとして記録し(
図4の売掛金履歴データの欄)、売掛金履歴データ記憶部106a−3に記憶させる。
【0035】
(入出金履歴仕訳データ)
制御部102の仕訳データ作成部102bの入出金履歴仕訳データ作成部102b−1は、入出金履歴データ記憶部106a−1の入出金履歴データと(
図5の入出金履歴データの欄)、マスタテーブル106cの仕訳連携パターンマスタとにより入出金履歴仕訳データを作成する(
図5の(1)入出金履歴仕訳データの欄)。仕訳連携パターンマスタには、処理別(入出金区分別)に賃借各科目が設定されているため、入出金履歴データから入出金履歴仕訳データを作成することができる。入出金履歴仕訳データ作成部102b−1は、作成した入出金履歴仕訳データを仕訳データ記憶部106bの入出金履歴仕訳データ記憶部106b−1に記憶する。
【0036】
(売掛金履歴仕訳データ)
仕訳データ作成部102bの売掛金履歴仕訳データ作成部102b−2は、売掛金履歴データ記憶部106a−2の売掛金履歴データと(
図5の売掛金履歴データの欄)、マスタテーブル106cの仕訳コントロールマスタとにより売掛金履歴仕訳データを作成する。仕訳コントロールマスタには、売掛科目と前受科目が設定され、入金処理の場合、貸方に売掛金履歴データの金額を前受科目として計上すると共に、符号を反転して売掛科目として計上し、売上処理の場合、借方に売掛金履歴データの金額を売掛科目として計上すると共に、符号を反転して前受科目として計上する。売掛金履歴仕訳データ作成部102b−2は、これにより、売掛金履歴仕訳データを作成し(
図5の(1)売掛金履歴仕訳データの欄)、仕訳データ記憶部106bの売掛金履歴仕訳データ記憶部106b−2に記憶する。
【0037】
(明細仕訳データ)
明細仕訳データ作成部102b−3は、入出金履歴仕訳データ記憶部106b−1の(1)入出金履歴仕訳データと、売掛金履歴仕訳データ記憶部106b−2の(2)売掛金履歴仕訳データとを科目で集計することにより、(3)明細仕訳データを作成し(
図5の明細仕訳データの欄)、明細仕訳データ記憶部106b−3に記憶する。
【0038】
(日次仕訳データ)
日次仕訳データを作成する場合、仕訳データ作成部102bの日次仕訳データ作成部102b−4は、日次で各仕訳をマスタテーブル106cの仕訳連携パターンマスタ2に設定された集計単位(明細別、処理別)、あるいは伝票単位で科目金額を集計することにより日次仕訳を作成し、日次仕訳データ記憶部106b−4に記憶する。日次仕訳を行うと、下記のようになる。
<入金処理分>
(借方) (貸方)
現金 10,000 / 14,000 前受
−4,000 売掛
<売上処理分>
(借方) (貸方)
前受 14,000 / 19,000 前受
売掛 −5,000
【0039】
[4.本実施形態のまとめおよび他の実施形態]
以上説明したように、本実施形態に係る前受金前払金管理装置100によれば、前受金の不足分発生を随時記録することにより、時系列での正確な売掛金発生が把握できるようになった。例えば、上記教習所システムの教習生の料金管理のように、事前に入金された前受金から売上を計上する業務において、
図4に示すように、入金分以上の売上を売掛金の発生として記録し、仕訳作成処理では、
図5に示すように、入出金履歴データと売掛金履歴データとに基づいて、(1)の入出金履歴仕訳データ(前受の充当、売掛金の消込)と(2)売掛金履歴仕訳データ(前受からの振替、売掛金の発生)を作成する。これにより、日々や任意期間での前受金の増減と前受金残高、売掛金の増減と売掛金残高を経理的に正確に捉えることができるようになった。つまり、教習の実施によって売上を計上する場合において、入金が足りない場合の日々の売掛金計上金額を正確に把握することが可能となる。言い換えると、売掛金の発生を記録し、売掛金履歴の仕訳を作成することにより、売掛金の残高が正確に捉えられるようになった。このため、過教習分の請求漏れを防ぐことができる。
【0040】
なお、上記実施形態では、前受金前払金管理装置100を自動車学校業界の教習所システムに適用した例を用いて説明したが、必ずしもこれに限定されない。例えば、売上の基準が明確であって、前受金受領後に売上を計上していくビジネスモデル全般に有効であり、英会話教室やエステ業界などでも同様に適用することが可能である。
【0041】
また、上記実施形態では、前受金の管理を売掛金の残高で捉えるようにしたが、これと表裏の関係にある、前払金の管理を買掛金の残高で捉えることも可能である。
【0042】
以下、前払金の管理を行う場合の前受金前払金管理装置100の他の実施形態として、
図6−1〜
図7を用いて説明する。
図6−1は、前払金管理時の履歴データ処理部の構成の一例を示すブロック図である。
図6−2は、前払金管理時の仕訳データ作成部の構成の一例を示すブロック図である。
図6−3は、前払金管理時の履歴データ記憶部の構成の一例を示すブロック図である。
図6−4は、前払金管理時の仕訳データ記憶部の構成の一例を示すブロック図である。
図7は、本実施形態に係る前受金前払金管理装置の前払金管理時の処理の一例を示すフローチャートである。
【0043】
(前払金の管理)
他の実施形態に係る前受金前払金管理装置100は、事前に支払われた前払金から仕入を計上する業務において、支払分以上の仕入があると買掛金の発生として記録し、日次の仕訳処理では、入出金履歴データと買掛金履歴データとに基づいて支払金履歴仕訳データと仕入金履歴仕訳データとを作成することにより、前払金の支払分以上の仕入を買掛金の発生として記録することにより、前払金の増減と残高、および買掛金の増減と残高を正確に捉えられるようにしたものである。
【0044】
他の実施形態に係る前受金前払金管理装置100は、
図7のフローチャートに示す手順に従って、明細仕訳データあるいは日次仕訳データを作成する。まず、入出金履歴の記録を行い(ステップS200)、支払処理と仕入処理の各処理時に前回処理までの前払金残高から今回処理による前払金残高を算出し、算出した前払金残高のマイナス分の増減を買掛金履歴データとして記録し(ステップS202)、入出金履歴データを入出金区分別(支払・仕入)の賃借科目に計上して入出金履歴仕訳データを作成し(ステップS204)、買掛金履歴データが支払処理の場合は、借方に買掛金履歴データの金額を前払科目として計上すると共に、符号を反転して買掛科目として計上し、仕入処理の場合は、貸方に買掛金履歴データの金額を買掛科目として計上すると共に、符号を反転して前払科目として計上して買掛金履歴仕訳データを作成し(ステップS206)、入出金履歴仕訳データと買掛金履歴仕訳データとを科目で集計して明細仕訳データを作成し(ステップS208)、明細仕訳データを日次で集計単位別、伝票単位別に科目金額を集計することで日次仕訳データを作成する(ステップS210)。
【0045】
(入出金履歴データ)
制御部102の履歴データ処理部102aの入出金履歴データ記録部102a−3は、支払処理あるいは仕入処理があると、各処理の種類区分(支払・仕入)とその処理金額を記録し、履歴データ記憶部106aの入出金履歴データ記憶部106a−4に記憶させる。また、各処理(支払・仕入)における取消時の金額は、取消元となる金額の符号を反転して記録し、入出金履歴データ記憶部106a−4に記憶させる。
【0046】
(買掛金履歴データ)
履歴データ処理部102aの買掛金履歴データ記録部102a−4は、各処理時において、履歴データ記憶部106aの前払金履歴データ記憶部106a−5に記憶されている同一顧客の過去分の前払金履歴データから前回までの前払金残高を算出し、前回の前払金残高から今回処理による前払金残高を算出する。例えば、支払処理があると前払金残高からマイナスにし、仕入処理があると前払金残高からプラスにする。買掛金履歴データ記録部102a−4は、前回分または今回分の前受金残高のいずれかがプラスの場合、前回分から今回分へのプラス分の増減を買掛金履歴データとして記録し、買掛金履歴データ記憶部106a−6に記憶させる。
【0047】
(入出金履歴仕訳データ)
制御部102の仕訳データ作成部102bの入出金履歴仕訳データ作成部102b−5は、入出金履歴データ記憶部106a−4の入出金履歴データと、マスタテーブル106cの仕訳連携パターンマスタとにより入出金履歴仕訳データを作成する。仕訳連携パターンマスタには、処理別(支払・仕入)に賃借各科目が設定されているため、入出金履歴データから入出金履歴仕訳データを作成することができる。入出金履歴仕訳データ作成部102b−5は、作成した入出金履歴仕訳データを仕訳データ記憶部106bの入出金履歴仕訳データ記憶部106b−5に記憶する。
【0048】
(買掛金履歴仕訳データ)
仕訳データ作成部102bの買掛金履歴仕訳データ作成部102b−6は、買掛金履歴データ記憶部106a−6の買掛金履歴データと、マスタテーブル106cの仕訳コントロールマスタとにより買掛金履歴仕訳データを作成する。仕訳コントロールマスタには、買掛科目と前払科目が設定され、支払処理の場合、借方に買掛金履歴データの金額を前払科目として計上すると共に、符号を反転して買掛科目として計上し、仕入処理の場合、貸方に買掛金履歴データの金額を買掛科目として計上すると共に、符号を反転して前払科目として計上する。買掛金履歴仕訳データ作成部102b−6は、これにより、買掛金履歴仕訳データを作成し、仕訳データ記憶部106bの買掛金履歴仕訳データ記憶部106b−6に記憶する。
【0049】
(明細仕訳データ)
明細仕訳データ作成部102b−7は、入出金履歴仕訳データ記憶部106b−5の入出金履歴仕訳データと、買掛金履歴仕訳データ記憶部106b−6の買掛金履歴仕訳データとを科目で集計することにより、明細仕訳データを作成し、明細仕訳データ記憶部106b−7に記憶する。
【0050】
(日次仕訳データ)
日次仕訳データを作成する場合、仕訳データ作成部102bの日次仕訳データ作成部102b−8は、日次で各仕訳をマスタテーブル106cの仕訳連携パターンマスタ2に設定された集計単位(明細別、処理別)、あるいは伝票単位で科目金額を集計することにより日次仕訳を作成し、日次仕訳データ記憶部106b−8に記憶する。
【0051】
以上説明したように、他の実施形態に係る前受金前払金管理装置100によれば、前払金の不足分発生を随時記録することにより、時系列での正確な買掛金発生が把握できるようになったことから、前払金残高不足による支払漏れを防ぐことができる。例えば、この実施形態にかかる前受金前払金管理装置100は、前払金支払後に仕入を計上していくビジネスモデル全般に有効であり、手付金(内金)管理全般に適用することが可能である。例えば、機械設備等の定期保守メンテナンス等についての定額複数回数分のまとめ払いなどに適用することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、前受金前払金管理装置100の前受金管理機能と前払管理機能をわかり易く説明するため、本実施形態と他の実施形態に分けて説明したが、2つの構成を持っていても良く、また、1つの構成で前受金管理用と前払金管理用に処理を切り替えられるようにしても良い。
【0053】
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0054】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0055】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0056】
また、前受金前払金管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0057】
例えば、前受金前払金管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて前受金前払金管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0058】
また、このコンピュータプログラムは、前受金前払金管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0059】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0060】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0061】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0062】
また、前受金前払金管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、前受金前払金管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0063】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。