【実施例】
【0042】
<実施例1>
(1−1)二チタン酸カリウムの合成方法
水100重量部に対して酸化チタンを26.2重量部混合・攪拌した。その後、23.8重量部の炭酸カリウムを加えて更に攪拌した。混合した溶液を200℃で噴霧乾燥(スプレードライ)し、800℃で3時間焼成した。得られた焼成物を蛍光X線分析装置及びX線回折分析装置で分析した結果、K
2О・nTiO
2(n=2.0)で表される二チタン酸カリウムであった。
【0043】
(1−2)複合物の合成方法
(1−1)で得られた二チタン酸カリウムを、二チタン酸カリウムの重量に対して2.3倍の水で1時間水洗することにより、脱カリウム処理を行い、脱水・乾燥後、850℃で2時間焼成した。得られた焼成物を蛍光X線分析装置及びX線回折分析装置で分析した結果、K
2О・nTiO
2(n=2.4)で表される二チタン酸カリウムと四チタン酸カリウムの複合物であった。また、粒径は例えば20〜30μm程度であり、後述する実施例2〜13及び比較例1〜3においても、粒径は例えば20〜30μm程度である。
【0044】
(1−3)造粒品の造粒方法
(1−2)で得られた複合物10kgと、SiO
2が30重量%のコロイダルシリカ4.0kgを高速混合造粒機(ダルトン株式会社、RMO−4H)により、高速撹拌させた。その後、5重量%のポリビニルアルコール溶液3.7kgをスプレーしながら撹拌することにより造粒させた。得られた造粒体を電気マッフル炉にて大気雰囲気下、650℃で2時間焼成して造粒品(複合イオン交換体)を得た。上記した造粒品の粒径は例えば300〜600μm程度である。なお、後述する実施例2〜13及び比較例1〜3においても、造粒品の粒径は例えば300〜600μm程度である。
【0045】
得られた複合イオン交換体は、X線回折分析及び走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分析の結果、四チタン酸カリウム(K
2Ti
4O
9)と、非晶質ケイチタン酸カリウム(α−K−Ti−Si−O)(α:非晶質)を主体とする造粒品であった。
【0046】
<実施例2>
(2−1)二チタン酸カリウムの合成方法
(1−1)と同じ工程でK
2О・nTiO
2(n=2.0)で表される二チタン酸カリウムを合成した。
【0047】
(2−2)複合物の合成方法
(2−1)で得られた二チタン酸カリウムを、二チタン酸カリウムの重量に対して6.4倍の水で水洗すること以外(1−2)と同じ工程で焼成物を得た。得られた焼成物を(1−2)と同じ方法で分析した結果、K
2О・nTiO
2(n=3.0)で表される二チタン酸カリウムと四チタン酸カリウムの複合物であった。
【0048】
(2−3)造粒品の造粒方法
(2−2)で得られた複合物を用いて、SiO
2が30重量%のコロイダルシリカを2.7kgとすることおよび焼成温度を700℃とすること以外(1−3)と同じ工程で造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0049】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、四チタン酸カリウム(K
2Ti
4O
9)と、非晶質ケイチタン酸カリウム(α−K−Ti−Si−O)を主体とする造粒品であった。
【0050】
<実施例3>
(3−1)二チタン酸カリウムの合成方法
(1−1)と同じ工程でK
2О・nTiO
2(n=2.0)で表される二チタン酸カリウムを合成した。
【0051】
(3−2)複合物の合成方法
(3−1)で得られた二チタン酸カリウムを、二チタン酸カリウムの重量に対して16.2倍の水で水洗すること以外(1−2)と同じ工程で焼成物を得た。得られた焼成物を(1−2)と同じ方法で分析した結果、K
2О・nTiO
2(n=3.8)で表される二チタン酸カリウムと四チタン酸カリウムの複合物であった。
【0052】
(3−3)造粒品の造粒方法
(3−2)で得られた複合物を用いて、SiO
2が30重量%のコロイダルシリカを0.7kgとすることおよび焼成温度を850℃とすること以外(1−3)と同じ工程で造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0053】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、四チタン酸カリウム(K
2Ti
4O
9)と、非晶質ケイチタン酸カリウム(α−K−Ti−Si−O)を主体とする造粒品であった。
【0054】
<実施例4>
(4−1)二チタン酸カリウムの合成方法
(1−1)と同じ工程でK
2О・nTiO
2(n=2.0)で表される二チタン酸カリウムを合成した。
【0055】
(4−2)造粒品の造粒方法
(4−1)で得られた二チタン酸カリウムを用いて、SiO
2が30重量%のコロイダルシリカを3.3kgとすることおよび焼成温度を800℃とすること以外(1−3)と同じ工程で造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0056】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、四チタン酸カリウム(K
2Ti
4O
9)と、二チタン酸カリウム(K
2Ti
2O
5)と、非晶質ケイチタン酸カリウム(α−K−Ti−Si−O)を主体とする造粒品であった。
【0057】
<実施例5>
(5−1)二チタン酸カリウムの合成方法
(1−1)と同じ工程でK
2О・nTiO
2(n=2.0)で表される二チタン酸カリウムを合成した。
【0058】
(5−2)複合物の合成方法
(5−1)で得られた二チタン酸カリウムを、二チタン酸カリウムの重量に対して1.7倍の水で水洗すること以外(1−2)と同じ工程で焼成物を得た。得られた焼成物を(1−2)と同じ方法で分析した結果、K
2О・nTiO
2(n=2.3)で表される二チタン酸カリウムと四チタン酸カリウムの複合物であった。
【0059】
(5−3)造粒品の造粒方法
(5−2)で得られた複合物を用いて、SiO
2が30重量%のコロイダルシリカを2.5kgとすることおよび焼成温度を900℃とすること以外(1−3)と同じ工程で造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0060】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、四チタン酸カリウム(K
2Ti
4O
9)と、二チタン酸カリウム(K
2Ti
2O
5)と、非晶質ケイチタン酸カリウム(α−K−Ti−Si−O)を主体とする造粒品であった。
【0061】
<実施例6>
(6−1)二チタン酸カリウムの合成方法
(1−1)と同じ工程でK
2О・nTiO
2(n=2.0)で表される二チタン酸カリウムを合成した。
【0062】
(6−2)複合物の合成方法
(6−1)で得られた二チタン酸カリウムを、二チタン酸カリウムの重量に対して9.4倍の水で水洗することにより脱カリウム処理を行い、脱水後、120℃で12時間乾燥した。得られた乾燥物を蛍光X線分析装置、X線回折分析装置、及び熱分析装置で分析した結果、K
2О・nTiO
2・mH
2O(n=3.3、m=2.2)で表される二チタン酸カリウムと四チタン酸カリウムの水和複合物であった。
【0063】
(6−3)造粒品の造粒方法
(6−2)で得られた複合物を用いて、SiO
2が30重量%のコロイダルシリカを0.9kgとすることおよび焼成温度を950℃とすること以外(1−3)と同じ工程で造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0064】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、四チタン酸カリウム(K
2Ti
4O
9)と、非晶質ケイチタン酸カリウム(α−K−Ti−Si−O)を主体とする造粒品であった。
【0065】
<実施例7>
(7−1)二チタン酸カリウムの合成方法
(1−1)と同じ工程でK
2О・nTiO
2(n=2.0)で表される二チタン酸カリウムを合成した。
【0066】
(7−2)複合物の合成方法
(7−1)で得られた二チタン酸カリウムを、二チタン酸カリウムの重量に対して6.4倍の水で水洗すること以外(1−2)と同じ工程で焼成物を得た。得られた焼成物を(1−2)と同じ方法で分析した結果、K
2О・nTiO
2(n=3.0)で表される二チタン酸カリウムと四チタン酸カリウムの複合物であった。
【0067】
(7−3)造粒品の造粒方法
(7−2)で得られた複合物を用いて、SiO
2が30重量%のコロイダルシリカを0.3kgとすることおよび焼成温度を850℃とすること以外(1−3)と同じ工程で造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0068】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、四チタン酸カリウム(K
2Ti
4O
9)と、二チタン酸カリウム(K
2Ti
2O
5)と、非晶質ケイチタン酸カリウム(α−K−Ti−Si−O)を主体とする造粒品であった。
【0069】
<実施例8>
(8−1)二チタン酸カリウムの合成方法
水100重量部に対して酸化チタンを24.1重量部混合・攪拌した。その後、25.9重量部の炭酸カリウムを加えて更に攪拌した。混合した溶液を200℃で噴霧乾燥(スプレードライ)し、800℃で3時間焼成した。得られた焼成物を(1−1)と同じ方法で分析した結果、K
2О・nTiO
2(n=1.7)で表される二チタン酸カリウムを主体とするチタン酸カリウムであった。
【0070】
(8−2)造粒品の造粒方法
(8−1)で得られたチタン酸カリウムを用いて、SiO
2が30重量%のコロイダルシリカを5.0kgとすることおよび焼成温度を750℃とすること以外(1−3)と同じ工程で造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0071】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、四チタン酸カリウム(K
2Ti
4O
9)と、二チタン酸カリウム(K
2Ti
2O
5)と、非晶質ケイチタン酸カリウム(α−K−Ti−Si−O)を主体とする造粒品であった。
【0072】
<実施例9>
(9−1)二チタン酸カリウムの合成方法
(1−1)と同じ工程でK
2О・nTiO
2(n=2.0)で表される二チタン酸カリウムを合成した。
【0073】
(9−2)造粒品の造粒方法
(9−1)で得られた二チタン酸カリウムを用いて、SiO
2が30重量%のコロイダルシリカを0.8kgとすることおよび焼成温度を900℃とすること以外(1−3)と同じ工程で造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0074】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、四チタン酸カリウム(K
2Ti
4O
9)と、二チタン酸カリウム(K
2Ti
2O
5)と、非晶質ケイチタン酸カリウム(α−K−Ti−Si−O)を主体とする造粒品であった。
【0075】
<実施例10>
(10−1)二チタン酸カリウムの合成方法
(1−1)と同じ工程でK
2О・nTiO
2(n=2.0)で表される二チタン酸カリウムを合成した。
【0076】
(10−2)造粒品の造粒方法
(10−1)で得られた二チタン酸カリウムを用いて、SiO
2が30重量%のコロイダルシリカを5.7kgとすることおよび焼成温度を700℃とすること以外(1−3)と同じ工程で造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0077】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、僅かに六チタン酸カリウム(K
2Ti
6O
13)を含むものの、四チタン酸カリウム(K
2Ti
4O
9)と、非晶質ケイチタン酸カリウム(α−K−Ti−Si−O)を主体とする造粒品であった。
【0078】
<実施例11>
(11−1)二チタン酸カリウムの合成方法
(1−1)と同じ工程でK
2О・nTiO
2(n=2.0)で表される二チタン酸カリウムを合成した。
【0079】
(11−2)複合物の合成方法
(11−1)で得られた二チタン酸カリウムを、二チタン酸カリウムの重量に対して12.6倍の水で水洗すること以外(1−2)と同じ工程で焼成物を得た。得られた焼成物を(1−2)と同じ方法で分析した結果、K
2О・nTiO
2(n=3.5)で表される二チタン酸カリウムと四チタン酸カリウムの複合物であった。
【0080】
(11−3)造粒品の造粒方法
(11−2)で得られた複合物を用いて、SiO
2が30重量%のコロイダルシリカを2.5kgとすることおよび焼成温度を800℃とすること以外(1−3)と同じ工程で造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0081】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、僅かに六チタン酸カリウム(K
2Ti
6O
13)を含むものの、四チタン酸カリウム(K
2Ti
4O
9)と、非晶質ケイチタン酸カリウム(α−K−Ti−Si−O)を主体とする造粒品であった。
【0082】
<実施例12>
(12−1)二チタン酸カリウムの合成方法
(1−1)と同じ工程でK
2О・nTiO
2(n=2.0)で表される二チタン酸カリウムを合成した。
【0083】
(12−2)複合物の合成方法
(12−1)で得られた二チタン酸カリウムを、二チタン酸カリウムの重量に対して22.5倍の水で水洗すること以外(1−2)と同じ工程で焼成物を得た。得られた焼成物を(1−2)と同じ方法で分析した結果、K
2О・nTiO
2(n=4.1)で表される四チタン酸カリウム主体とするチタン酸カリウムであった。
【0084】
(12−3)造粒品の造粒方法
(12−2)で得られたチタン酸カリウムを用いて、SiO
2が30重量%のコロイダルシリカを1.0kgとすることおよび焼成温度を900℃とすること以外(1−3)と同じ工程で造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0085】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、僅かに六チタン酸カリウム(K
2Ti
6O
13)を含むものの、四チタン酸カリウム(K
2Ti
4O
9)と、非晶質ケイチタン酸カリウム(α−K−Ti−Si−O)を主体とする造粒品であった。
【0086】
<実施例13>
(13−1)チタン酸ナトリウムの合成方法
水100重量部に対して酸化チタンを31.2重量部混合・攪拌した。その後、18.8重量部の炭酸ナトリウムを加えて更に攪拌した。混合した溶液を200℃で噴霧乾燥(スプレードライ)し、800℃で3時間焼成した。得られた焼成物を(1−1)と同じ方法で分析した結果、Na
2О・nTiO
2(n=2.3)で表されるチタン酸ナトリウムであった。
【0087】
(13−2)造粒品の造粒方法
(13−1)で得られたチタン酸ナトリウムを用いて、SiO
2が30重量%のコロイダルシリカを2.8kgとすることおよび焼成温度を900℃とすること以外(1−3)と同じ工程で造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0088】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、三チタン酸ナトリウム(Na
2Ti
3O
7)と、非晶質ケイチタン酸ナトリウム(α−Na−Ti−Si−O)を主体とする造粒品であった。
<比較例1>
【0089】
(14−1)二チタン酸カリウムの合成方法
(1−1)と同じ工程でK
2О・nTiO
2(n=2.0)で表される二チタン酸カリウムを合成した。
【0090】
(14−2)複合物の合成方法
(14−1)で得られた二チタン酸カリウムを、二チタン酸カリウムの重量に対して1.7倍の水で水洗すること以外(1−2)と同じ工程で焼成物を得た。得られた焼成物を(1−2)と同じ方法で分析した結果、K
2О・nTiO
2(n=2.3)で表される二チタン酸カリウムと四チタン酸カリウムの複合物であった。
【0091】
(14−3)造粒品の造粒方法
(14−2)で得られた複合物を用いて、SiO
2が30重量%のコロイダルシリカを8.3kgとすることおよび焼成温度を900℃とすること以外(1−3)と同じ工程で造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0092】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、六チタン酸カリウム(K
2Ti
6O
13)と、非晶質ケイチタン酸カリウム(α−K−Ti−Si−O)を主体とする造粒品であった。
【0093】
<比較例2>
(15−1)二チタン酸カリウムの合成方法
(1−1)と同じ工程でK
2О・nTiO
2(n=2.0)で表される二チタン酸カリウムを合成した。
【0094】
(15−2)複合物の合成方法
(15−1)で得られた二チタン酸カリウムを、二チタン酸カリウムの重量に対して1.7倍の水で水洗すること以外(1−2)と同じ工程で焼成物を得た。得られた焼成物を(1−2)と同じ方法で分析した結果、K
2О・nTiO
2(n=2.3)で表される二チタン酸カリウムと四チタン酸カリウムの複合物であった。
【0095】
(15−3)造粒品の造粒方法
(15−2)で得られた複合物10kgを高速混合造粒機(ダルトン株式会社、RMO−4H)により、高速撹拌させた。その後、5重量%のポリビニルアルコール溶液5.6kgをスプレーしながら撹拌することにより造粒させた。得られた造粒体を電気マッフル炉にて大気雰囲気下、120℃で12時間乾燥して造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0096】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、四チタン酸カリウム(K
2Ti
4O
9)と、二チタン酸カリウム(K
2Ti
2O
5)を主体とする造粒品であった。
【0097】
<比較例3>
(16−1)二チタン酸カリウムの合成方法
(1−1)と同じ工程でK
2О・nTiO
2(n=2.0)で表される二チタン酸カリウムを合成した。
【0098】
(16−2)複合物の合成方法
(16−1)で得られた二チタン酸カリウムを、二チタン酸カリウムの重量に対して1.7倍の水で水洗すること以外(1−2)と同じ工程で焼成物を得た。得られた焼成物を(1−2)と同じ方法で分析した結果、K
2О・nTiO
2(n=2.3)で表される二チタン酸カリウムと四チタン酸カリウムの複合物であった。
【0099】
(16−3)造粒品の造粒方法
(16−2)で得られた複合物1.0kgと、Al
2O
3が30重量%のアルミナゾル2.1kgを高速混合造粒機(ダルトン株式会社、RMO−4H)により、高速撹拌させた。その後、5重量%のポリビニルアルコール溶液3.7kgをスプレーしながら撹拌することにより造粒させた。得られた造粒体を電気マッフル炉にて大気雰囲気下、900℃で2時間焼成して造粒品(複合イオン交換体)を得た。
【0100】
得られた複合イオン交換体は、(1−3)と同じ分析の結果、四チタン酸カリウム(K
2Ti
4O
9)と、ホーランダイト構造を有するK
xAl
xTi
8−xO
16(1≦x≦2)を主体とする造粒品であった。
【0101】
<分析装置>
上記の実施例および比較例で使用した分析装置は、下記の通りである。
X線回折装置:株式会社リガク、Ultima4、Cu−Kα線による測定
蛍光X線分析装置:株式会社リガク、RIX1000
走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分析装置:日本電子株式会社、JSM−6510/JED−2300
熱分析装置:セイコーインスツル株式会社、TG/DTA7300
レーザ回折式粒度分布測定装置:株式会社島津製作所、SALD−2100
【0102】
<イオン交換性能の評価>
実施例1〜13及び比較例1〜3で得られた各多孔質イオン交換体を0.03g計量し、各ポリ容器(50mL遠沈管)に投入した。そして、安定同位体の塩化ストロンチウムをストロンチウム濃度が10mg/L、安定同位体の塩化セシウムをセシウム濃度が1mg/L、塩化ナトリウムを濃度が0.3質量%となるようにイオン交換水に溶解させた水溶液を用意し、当該水溶液を各々のポリ容器に30mL加えた。24時間振盪させた後、遠心分離機で固液分離し、上澄液をICP(株式会社島津製作所、ICPE−9000)に導入してイオン交換後のストロンチウム濃度を定量した。イオン交換前(ポリ容器投入前)のストロンチウム濃度に対するイオン交換後(24時間振盪後)のストロンチウム濃度の割合をイオン交換率とした。
【0103】
<強度の評価>
実施例1〜13及び比較例1〜3で得られた各多孔質イオン交換体を0.3g計量し、各ポリ容器(50mL遠沈管)に投入した。そして、前記イオン交換性能の評価に用いたものと同じ水溶液30mLを各々のポリ容器に加え軽く振り混ぜた後、上澄液の濁度をJIS K0101(工業用水試験方法)に従い分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ、U−2800)を用いて計測した。造粒品の強度が低いほど、造粒品が崩壊し濁度が高くなる。すなわち、造粒品の強度と濁度との間には負の相関がある。
【0104】
本評価では、濁度が10未満であれば◎(強度が最も大きいグループ)とし、濁度が10以上20未満であれば○(強度が二番目大きいグループ)とし、濁度が20以上30未満であれば△(強度が三番目大きいグループ)とし、濁度が30以上であれば×(強度が最も小さいグループ)とした。
【0105】
<2価イオン存在下での通水性能の評価>
実施例1〜13及び比較例1〜3で得られた各多孔質イオン交換体を0.3g計量し、各ポリ容器(50mL遠沈管)に投入した。そして、中性水30gを各々のポリ容器に加えた。0.5時間振盪し、その後1時間静置してからpHをpH測定器(株式会社堀場製作所、F−74)を用いて測定した。
【0106】
処理対象である溶液の中に2価イオン(Ca
2+、Mg
2+など)が含まれていてもpHが11.5未満であれば2価イオンが水和物として沈殿することがないため、本発明の複合イオン交換体が充填される容器の通水時の詰まりを防止することができる。そのため、本評価では、pHが11.5未満であれば◎(2価イオン存在下での通水性能が最も良いグループ)とし、pHが11.5以上11.8未満であれば○(2価イオン存在下での通水性能が二番目に良いグループ)とし、pHが11.8以上12.1未満であれば△(2価イオン存在下での通水性能が三番目に良いグループ)とし、pHが12.1以上であれば×(2価イオン存在下での通水性能が最も悪いグループ)とした。
【0107】
<評価結果>
図4は、実施例5、13および比較例1〜3の評価結果を示すテーブルである。
【0108】
比較例1、3ではイオン交換率が10%未満であり、比較例2、3では強度の評価がバツであるのに対して、実施例5、13ではイオン交換率が70%以上であり強度の評価が丸である。すなわち、実施例5、13の複合イオン交換体は、強度、イオン交換性能ともに優れている。
【0109】
図5Aは、実施例1〜12の評価結果を示すテーブルである。実施例1〜9と実施例10〜12を比較することで下記の知見を得ることができる。二チタン酸カリウムと四チタン酸カリウムの複合物または四チタン酸カリウム単一物と、非晶質ケイチタン酸カリウムを主体とする実施例1〜9のイオン交換体はイオン交換率が70%以上である。これに対して、微量の六チタン酸カリウムを含む実施例10〜12のイオン交換体はイオン交換率が50%以下になっている。
【0110】
したがって、二チタン酸カリウムと四チタン酸カリウムの複合物または四チタン酸カリウム単一物と、非晶質ケイチタン酸カリウムを主体とすることが好ましい。
【0111】
SiO
2の混合比が多い(xが0.2以上)実施例1〜6,8,12のイオン交換体に注目することで下記の知見を得ることができる。nが1.8未満であると、SiO
2の混合比が多くてもカリウム量が非常に多く不安定になり、強度がやや劣る。また、nが4.0を超えると、SiO
2の混合比にかかわらずイオン交換体中に六チタン酸カリウムが含まれ、イオン交換性能がやや劣る。
【0112】
したがって、本発明の複合イオン交換体は、K
2O・nTiO
2(1.8≦n≦4.0)で表されるチタン酸アルカリ金属塩または加熱によりK
2O・nTiO
2(1.8≦n≦4.0)を生成するチタン酸アルカリ金属塩水和物と、SiO
2または加熱によりSiO
2を生成するシリコン化合物を混合し、熱処理することにより得られることがより好ましい。
【0113】
実施例1〜6と実施例7,9を比較することで下記の知見を得ることができる。nとK
2O・nTiO
21モルに対するSiO
2の混合モル比xとの関係が、−0.04n+0.21≦xであると、SiO
2または加熱によりSiO
2を生成するシリコン化合物によるSiO
2の混合比が多いため、イオン交換体の強度が非常に優れる。また、実施例1〜6と実施例10,11を比較することで下記の知見を得ることができる。nとK
2O・nTiO
21モルに対するSiO
2の混合モル比xとの関係が、x≦−0.16n+1.00であると、イオン交換体中に六チタン酸カリウムを含まないためイオン交換体のイオン交換性能が非常に優れる。
【0114】
したがって、本発明の複合イオン交換体は、nとK
2O・nTiO
21モルに対するSiO
2の混合モル比xとの関係が、−0.04n+0.21≦x≦−0.16n+1.00であることがより一層好ましい。
【0115】
実施例1〜3と実施例4〜6を比較することで下記の知見を得ることができる。nが2.1以上であり、nとK
2O・nTiO
21モルに対するSiO
2の混合モル比xとの関係が、−0.30n+1.29≦x≦−0.16n+1.00であると、pHが11.5未満になり、2価イオン存在下での通水性能を良好にすることができる。
【0116】
したがって、本発明の複合イオン交換体は、nが2.1以上であり、nとK
2O・nTiO
21モルに対するSiO
2の混合モル比xとの関係が、−0.30n+1.29≦x≦−0.16n+1.00であることが更により一層好ましい。
【0117】
なお、実施例1〜12の化学反応前組成をグラフで示すと
図5Bのようになる。
図5B中に示した番号は各実施例の番号に対応している。
【0118】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって示されるものであって、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0119】
例えば、イオン交換性能や強度が著しく低下しない限り、本発明に係る複合イオン交換体は、層状構造を有する結晶質チタン酸アルカリ金属塩および非晶質ケイチタン酸塩化合物以外の物質が含まれていても構わない。
【0120】
また、本発明に係る複合イオン交換体が交換するイオンは特に限定されないが、上記した実施例におけるイオン交換性能評価を考慮すると、例えばストロンチウムイオンの交換材として好適に使用することができる。