特開2016-190319(P2016-190319A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-190319(P2016-190319A)
(43)【公開日】2016年11月10日
(54)【発明の名称】姿勢保持具
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20161014BHJP
【FI】
   B25J11/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-153444(P2016-153444)
(22)【出願日】2016年8月4日
(62)【分割の表示】特願2012-269676(P2012-269676)の分割
【原出願日】2012年12月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】林 正彦
(72)【発明者】
【氏名】林 繁樹
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS38
3C707HS08
3C707HS24
3C707HT36
3C707HT39
3C707XK02
3C707XK06
3C707XK17
3C707XK28
3C707XK66
3C707XK85
(57)【要約】
【課題】作業者が装着して使用する姿勢保持具において、作業者の上腕部に掛かる負荷を適切に軽減することができる姿勢保持具を得る。
【解決手段】作業者の背中部又は肩部に取り付けられる本体部2,4と、本体部2,4の左右軸芯P1周りに上下に揺動自在に支持され作業者の上腕部に沿って前方に延出されるアーム部5,6とを備える。アーム部5,6に、作業者の上腕部に取り付けられる取付部27,29と、作業者の肘部を下から受け止めて支持する下受け部37とを備える。アーム部5,6に取り付けられた作業者の上腕部の動作に伴うアーム部5,6の動作を許容する許容状態と、本体部2,4に対してアーム部5,6を所望の位置で支持する支持状態とに切換自在な支持機構を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の背中部又は肩部に取り付けられる本体部と、前記本体部の左右軸芯周りに上下に揺動自在に支持され作業者の上腕部に沿って前方に延出されるアーム部とを備え、
前記アーム部に、作業者の上腕部に取り付けられる取付部と、作業者の肘部を下から受け止めて支持する下受け部とを備えて、
前記アーム部に取り付けられた作業者の上腕部の動作に伴う前記アーム部の動作を許容する許容状態と、前記本体部に対して前記アーム部を所望の位置で支持する支持状態とに切換自在な支持機構を備えている姿勢保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が装着して使用するもので、例えば作業者が上腕部を上げた状態での作業時に作業者の上腕部を支持する為の姿勢保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
作業者が装着して使用するものとしては、特許文献1に開示されているように、作業者の胴体部に取り付けられる上部分、及び作業者の足部に取り付けられる下部分を備え、上及び下部分に亘ってゴムチューブ等の弾性材を接続したものがある。
これにより、作業者が上体を前方下方に曲げた場合、弾性材が引き延ばされて、弾性材が作業者の上体を持ち上げようとするのであり、特許文献1の図1(B)に示すように、作業者が上体を前方下方に曲げた状態(前屈)に保持する場合に、弾性体が作業者を助けることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−192764号公報
【特許文献2】特開2009−284942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば果樹園では、作業者の身長よりも少し高い程度の棚が張り巡らされ、この棚にブドウ等の果樹を栽培することが多くある。このような果樹園において、作業者は上腕部を前方に向けた状態で前腕部を上方に向けて、上方の棚の果樹に対して作業を行うことが多く、この状態において作業者の上腕部に大きな負荷が掛かる。
例えば建物内での配管及び配線作業を行う場合も同様に、作業者は上腕部を前方に向けた状態で前腕部を上方に向けて、上方の天井部の配管及び配線に対して作業を行うことがあり、この状態において作業者の上腕部に大きな負荷が掛かる。
【0005】
特許文献1は作業者の腰部への負荷を軽減するものなので、これに対して前述のように作業者の上腕部に掛かる負荷を軽減する姿勢保持具の要望が高まっている。
この場合、特許文献1では弾性材が作業者の上体を持ち上げる方向に常に作用する構成となっているので、特許文献1の構成を作業者の上腕部に適用すると、弾性材が作業者の上腕部を持上げる方向に常に作用する構成となる。
これにより、前述のように特許文献1の構成を作業者の上腕部に適用した構成では、作業者が上腕部を下方に動かすほど、弾性材が引き延ばされることになり、弾性材の持ち上げ力が大きくなるので、作業者は上腕部を下方に動かすほど大きな抵抗を感じることになる。
【0006】
本発明は、作業者が装着して使用する姿勢保持具において、作業者の上腕部に掛かる負荷を適切に軽減することができる姿勢保持具を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、姿勢保持具において次のように構成することにある。
作業者の背中部又は肩部に取り付けられる本体部と、前記本体部の左右軸芯周りに上下に揺動自在に支持され作業者の上腕部に沿って前方に延出されるアーム部とを備え、
前記アーム部に、作業者の上腕部に取り付けられる取付部と、作業者の肘部を下から受け止めて支持する下受け部とを備えて、
前記アーム部に取り付けられた作業者の上腕部の動作に伴う前記アーム部の動作を許容する許容状態と、前記本体部に対して前記アーム部を所望の位置で支持する支持状態とに切換自在な支持機構を備えている。
【0008】
(作用及び発明の効果)
[I]−1
本発明の第1特徴によると、作業者が姿勢保持具を装着した状態(本体部を作業者の背中部又は肩部に取り付け、アーム部を作業者の上腕部に取り付けた状態)において、支持機構の許容状態により、作業者が上腕部を上方及び下方に動かすのに伴ってアーム部が追従して上方及び下方に揺動する状態となる。
これにより、作業者の上腕部の動作に対してアーム部が抵抗になることはなく、弾性材のような抵抗は発生しないので、作業者が姿勢保持具を装着した状態において、作業者は上腕部を違和感なく楽に上方及び下方に動かして作業を行うことができる。
【0009】
[I]−2
本発明の第1特徴によると、作業者が姿勢保持具を装着した状態(本体部を作業者の背中部又は肩部に取り付け、アーム部を作業者の上腕部に取り付けた状態)において、支持機構の支持状態により、作業者が上腕部をアーム部に預けることによって、作業者の上腕部がアーム部に支持される。
これにより、前述の[発明が解決しようとする課題]に記載のように、例えば作業者が上腕部を前方に向けた状態で上方の果樹や配管及び配線に対して作業を行う場合、作業者はアーム部に上腕部を預けた状態で前腕部を上方に向けることにより、上方の果樹や配管及び配線に対して楽に作業を行うことができる。
この場合に、作業者の上腕部に取り付けられる取付部をアーム部に備えるのに加えて、作業者の肘部を下から受け止めて支持する下受け部をアーム部に備えているので、支持機構の支持状態において、作業者の上腕部がアーム部(取付部及び下受け部)に安定して支持されるのであり、作業者が肘部を支点として前腕部を動かす際においても、作業者は上腕部が安定して支持された状態で前腕部を動かすことができる。
【0010】
[I]−3
以上のように、本発明の第1特徴によると、作業者の上腕部を安定して支持することができ、作業者が上腕部を違和感なく楽に上方及び下方に動かすことができ、作業者が上腕部が安定して支持された状態で前腕部を動かすことができることにより、作業者の上腕部への負荷を軽減する作業性の良い姿勢保持具を得ることができる。
【0011】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の姿勢保持具において次のように構成することにある。
前記アーム部が作業者の上腕部の横外側に位置するように構成し、前記本体部の左右中央側に向けて開放されたコ字状の取付部を前記アーム部に備えて、
前記取付部に作業者の上腕部を挿入することにより、作業者の上腕部に前記アーム部が取り付けられるように構成している。
【0012】
(作用及び発明の効果)
本発明の第2特徴によると、作業者が姿勢保持具を装着した状態において、アーム部が作業者の上腕部の横外側に位置しており、フレーム部の左右中央側に向けて開放されたコ字状の取付部がアーム部に備えられている。
これにより、作業者の上腕部をアーム部に取り付ける場合、作業者が上腕部を横外側に動かしてアーム部の取付部に挿入することにより、作業者の上腕部が容易にアーム部に取り付けられた状態となるのであり、作業性の良い姿勢保持具を得ることができる。
【0013】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第2特徴の姿勢保持具において次のように構成することにある。
前記取付部において作業者の上腕部の下側に位置する下取付部に、前記下受け部を備えている。
【0014】
(作用及び発明の効果)
コ字状の取付部において下側に位置する下取付部と、作業者の肘部を下から受け止めて支持する下受け部とは、両方共に作業者の上腕部及び肘部の下側に位置する。
これにより、本発明の第3特徴のように、取付部の下取付部に下受け部を備えることにより、下受け部を無理なくアーム部に備えることができるのであり、構造の簡素化の面で有利なものとなる。
【0015】
[IV]
(構成)
本発明の第4特徴は、本発明の第2又は第3特徴の姿勢保持具において次のように構成することにある。
前記支持機構を操作するもので人為的に操作される支持機構操作部を、作業者の肘部の曲げ動作により作業者の前腕部によって操作されるように、前記取付部において作業者の上腕部の上側に位置する上取付部に備えている。
【0016】
(作用及び発明の効果)
作業者が姿勢保持具を装着した状態(本体部を作業者の背中部又は肩部に取り付け、アーム部を作業者の上腕部に取り付けた状態)において、作業者の前腕部は比較的自由に動かすことができる。
前項[I]−1,2に記載の支持機構を操作する支持機構操作部を備える場合、本発明の第4特徴によると、作業者の肘部の曲げ動作により作業者の前腕部によって操作されるように、取付部において作業者の上腕部の上側に位置する上取付部に支持機構操作部を備えている。
【0017】
これにより、支持機構の支持状態で作業者が上腕部をアーム部に預けた状態において、作業者は比較的自由に動かすことができる前腕部により、支持機構操作部を容易に操作することができるのであり、作業性の良い姿勢保持具を得ることができる。
前項[I]−2,3に記載のように、例えば作業者が上腕部を前方に向けた状態で上方の果樹や配管及び配線に対して作業を行う場合、作業者はアーム部に上腕部を預けた状態で前腕部を上方に向けることになる。この状態において作業者が肘部を支点として前腕部を上腕部側(後方)に動かすと、コ字状の取付部において作業者の上腕部の上側に位置する上取付部に、作業者の前腕部が接近することになるのであり、作業者の前腕部により支持機構操作部を容易に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】作業者が姿勢保持具を装着した状態を前方から見た斜視図である。
図2】姿勢保持具を後方から見た斜視図である。
図3】作業者が姿勢保持具を装着した状態を示す側面図である。
図4】姿勢保持具の下フレーム部、縦フレーム部、第1及び第2横フレーム部、架設部材、カバー等を後方上方から見た分解斜視図である。
図5】姿勢保持具の縦フレーム部、第1及び第2横フレーム部、架設部材、支持部材等を後方上方から見た分解斜視図である。
図6】姿勢保持具の基板及び支持機構等を前方上方から見た斜視図である。
図7】姿勢保持具の第2横フレーム部、基板、第1アーム部及び支持機構等を前方上方から見た分解斜視図である。
図8】支持機構において、(a)ストッパーが作動位置に位置している状態、及び、(b)ストッパーが解除位置に位置している状態を示す側面図である。
図9】姿勢保持具の第1及び第2アーム部を後方上方から見た斜視図である。
図10】姿勢保持具の第1及び第2アーム部を前方上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[1]
図1,2,4に示すように、姿勢保持具は下フレーム部1(本体部に相当)、右及び左の縦フレーム部2(本体部に相当)、右及び左の第1横フレーム部3(本体部に相当)、右及び左の第2横フレーム部4(本体部に相当)、右及び左の第1アーム部5(アーム部に相当)、右及び左の第2アーム部6(アーム部に相当)、右及び左の支持機構7(図7参照)、作業者の腰部への固定用の右及び左のベルト8、パッド9、作業者の肩部への固定用の右及び左のベルト10等を備えて構成されている。
以下に、各部の構造について説明する。この場合、説明中の「上」「下」「右」「左」「前」「後」は、作業者が姿勢保持具を装着した状態において、作業者から見て上、下、右、左、前、後を意味している。
【0020】
[2]
下フレーム部1及び縦フレーム部2について説明する。
図1,2,4に示すように、下フレーム部1は板金製で箱状に構成されており、後述する支持機構7(ソレノイド23)に電力を供給するバッテリー18が取り付けられ、作業者の腰部への固定用で布製のベルト8が、下フレーム部1の右及び左横部に取り付けられている。合成樹脂製のカバー15が下フレーム部1の後側部に取り付けられており、カバー15によりバッテリー18やベルト8の下フレーム部1への取付部分、縦フレーム部2の下フレーム部1への連結部分が覆われている。
【0021】
図1,2,4に示すように、板金製の縦フレーム部2が、左右方向に所定間隔を開けて下フレーム部1の右及び左横部に連結されて上方に延出されている。板金製(板バネ製)で平板状の架設部材11が、右及び左の縦フレーム部2の上部に亘って連結されている。
【0022】
図1及び図2に示すように、下フレーム部1、縦フレーム部2及び架橋部材11に亘って、正面視長方形状のパッド9が取り付けられている。右の縦フレーム2の上部(パッド9)とベルト8とに亘って右のベルト10が取り付けられ、左の縦フレーム2の上部(パッド9)とベルト8とに亘って左のベルト10が取り付けられている。
【0023】
[3]
次に、第1横フレーム部3及び第2横フレーム部4について説明する。
図4及び図5に示すように、金属製の第1横フレーム部3がボルト13により縦フレーム部2に連結されて右及び左横外方に延出されている。縦フレーム部2の上部に上下方向の長孔2aが形成されて、ボルト13が縦フレーム部2の長孔2aに挿入されて締め付けられており、縦フレーム部2に対する第1横フレーム部3の位置を、縦フレーム部2の長孔2aに沿って上下方向に調節することができる。
【0024】
図4及び図5に示すように、硬質の合成樹脂製でブロック状の支持部材14が板金製の第2横フレーム部4の基部4aに取り付けられており、第2横フレーム部4の基部4a及び支持部材14がボルト16により第1横フレーム部3に連結されている。第2横フレーム部4の前部4cが、第2横フレーム部4の基部4aから折り曲げられて前方に延出されている。
【0025】
図4及び図5に示すように、第2横フレーム部4の基部4a及び支持部材14に左右方向の長孔4b,14aが形成されて、ボルト16が第2横フレーム部4及び支持部材14の長孔4b,14aに挿入されて締め付けられている。
これにより、第1横フレーム部3に対する第2横フレーム部4の位置を、第2横フレーム部4及び支持部材14の長孔4b,14aに沿って左右方向(横方向)に調節することができるのであり、第1横フレーム部3に対する第1及び第2アーム部5,6(第2横フレーム部4に支持される)の位置を、左右方向(横方向)に調節することができる。
【0026】
図2及び図4に示すように、合成樹脂製のカバー17が第1横フレーム部3の後側部に取り付けられている。カバー17により架橋部材11の縦フレーム部2への連結部分、第2横フレーム部4の基部4a及び支持部材14が覆われている。
【0027】
[4]
次に、第1アーム部5について説明する。
図6及び図7に示すように、第2横フレーム部4の前部4cに基板19が連結されて、第2横フレーム部4の前部4c及び基板19に同芯状の開口部4d,19aが形成されており、基板19の開口部19aの内周部に凸部19bが形成されている。
【0028】
図6及び図7に示すように、第1アーム部5の基部5aに円板部5bが取り付けられており、第1アーム部5の円板部5bが第2横フレーム部4の前部4c及び基板19の開口部4d,19aに内側から挿入されて、第1アーム部5の円板部5bが基板19の凸部19bに接当している。
【0029】
図6及び図7に示すように、リング状の基板5c及び支持部材12が備えられて、ボルト38が第1アーム部5の基部5a及び円板部5b、基板5c、支持部材12(後述する長孔12b)に亘って締め付けられており、基板19の開孔部19aの外周部及び凸部19bが第1アーム部5の円板部5b及び基板5cにより挟み込まれている。
【0030】
これにより、図2,3,7に示すように、第1アーム部5が第2横フレーム部4の前部4c及び基板19の開口部4d,19aの左右軸芯P1周りに、上下に揺動自在に支持されている。基板19の開孔部19aの外周部及び凸部19bが第1アーム部5の円板部5b及び基板5cにより挟み込まれていることにより、第1アーム部5が第2横フレーム部4及び基板19から外れない。
【0031】
[5]
次に、支持機構7について説明する。
図6及び図7に示すように、支持部材12に舌片状の凸部12aが固定されており、支持部材12において左右軸芯P1を中心とする円周上の部分に、円弧状の長孔12bが形成されている。基板19の左右軸芯P2周りに支持アーム20が揺動自在に支持されており、支持アーム20から突出した上及び下支持部20a,20bの開口に、ロッド状のストッパー21が上下向きに支持されて、ストッパー21が支持部材12の後側に位置している。
【0032】
図6及び図7に示すように、ストッパー21は先細り状の先端部21a、手動操作用のノブ21b、及びネジ部21cを備えて構成されている。支持アーム20の上支持部20aの開口に雌ネジが形成されて、ストッパー21のネジ部21cが支持アーム20の上支持部20aの雌ネジに咬み合っており、後述するカバー25からストッパー21のノブ21bが上方に突出している(図1及び図2参照)。
これにより、ストッパー21のノブ21bを持ってストッパー21を回動操作することによって、ストッパー21のネジ部21c及び支持アーム20の上支持部20aの雌ネジにより、支持アーム20におけるストッパー21(先端部21a)の位置を上下方向に変更することができる。
【0033】
図6及び図7に示すように、基板19にソレノイド23が固定されており、支持アーム20の下部とソレノイド23の操作部23aとに亘って、連係リンク24が連結されている。ソレノイド23は下フレーム部1に備えられたバッテリー18から電力の供給を受けるのであり、後述する操作部31(支持機構操作部に相当)のリミットスイッチ(図示せず)からの操作信号により、ソレノイド23が通電状態となって、ソレノイド23の操作部23aが図6に示す位置から紙面左方に収縮作動する。基板19と支持アーム20の下部とに亘ってバネ22が接続されて、バネ22により支持アーム20の下部が前方(図6の紙面右方)に付勢されている。
【0034】
図6及び図8(a)に示すように、ソレノイド23の非通電状態において、バネ22の付勢力によりソレノイド23の操作部23aが図8(a)に示す位置に位置しており(ソレノイド23の操作部23aが図8(a)に示す位置から以上に前方に移動できないことによる)、支持アーム20及びストッパー21が図8(a)に示す支持位置に位置している。
これにより、支持アーム20及びストッパー21の支持位置において、支持部材12の凸部12aがストッパー21の先端部21aに下側から接当することにより、第1アーム部5の下方への負荷が支持されるのであり、第1アーム部5の下方への動作が阻止される(支持状態)。
【0035】
図8(b)に示すように、ソレノイド23の通電状態において、バネ22の付勢力に抗してソレノイド23の操作部23aが図8(b)に示す位置に収縮作動し、支持アーム20が左右軸芯P2周りに後方に揺動して、支持アーム20及びストッパー21が図8(b)に示す許容位置に位置する。
これにより、支持アーム20及びストッパー21の許容位置において、支持部材12の凸部12aがストッパー21の先端部21aに接当することはなく、第1アーム部5の下方への動作が許容される(許容状態)。
【0036】
図6及び図7に示すように、支持部材12(凸部12a)及びストッパー21、ソレノイド23等により支持機構7が構成されている。図1及び図2に示すように、合成樹脂製のカバー25が基板19の横外側部に取り付けられており、カバー25により支持部材12(凸部12a)、支持アーム20、ストッパー21、バネ22及びソレノイド23等が覆われている。図7に示すように、合成樹脂製のカバー39が、第1横フレーム部5の基部5aの内側部に取り付けられている。
【0037】
[6]
次に、第2アーム部6について説明する。
図9及び図10に示すように、第2アーム部6の上及び下の縁部にレール部6aが構成されて、第2アーム部6の上及び下のレール部6aが第1アーム部5の上及び下の縁部5dに嵌め込まれており、第2アーム部6が第1アーム部5の長手方向(前後方向)に沿ってスライド自在に支持されている。
【0038】
図9及び図10に示すように、第1アーム部5に対して第2アーム部6を所望の取付位置で固定するノブ付きボルト26が、第1アーム部5の前端部に備えられ、ノブ付きボルト26の第1アーム部5への取付部分を内側から覆うカバー35が、第1アーム部5の前端部に備えられている。
このように、第1アーム部5に対する第2アーム部6の位置を前後方向に調節することによって、第1横フレーム部3に対する第2アーム部6の位置を前後方向に調節することができる。
【0039】
図3,9,10に示すように、第2アーム部6の前部に上下方向の縦取付部27が備えられ、縦取付部27の下部から横内側に片持ち状に延出された下取付部28が備えられている。第2アーム部6の下のレール部6aと下取付部28とに亘って、平面視で三角形状の補強部36が接続され、下取付部28から下受け部37が前方に延出されている。縦取付部27の横内側部にパッド33が取り付けられ、下取付部28の上面部と下受け部37の上面部とに亘ってパッド34が取り付けられている。
【0040】
図3,9,10に示すように、縦取付部27の上部の前後軸芯P3周りに、L字状の上取付部29が揺動自在に支持されて、上取付部29の下面部にパッド32が取り付けられており、上取付部29を下方に付勢するバネ30が備えられている。上取付部29は縦取付部27との接当により図9及び図10に示す位置から下方には揺動できず、バネ30に抗して上方に揺動できる。これにより、縦取付部27、下取付部28及び上取付部29により、左右中央側に向けて開放されたコ字状(C字状)の取付部が構成されている。
【0041】
図9及び図10に示すように、上取付部29の前部の斜め軸芯P4周りに揺動自在に操作部31が支持されており、バネ(図示せず)によって操作部31が下方に付勢されている。操作部31は、上取付部29のストッパー部(図示せず)により図10に示す位置から下方に揺動できず、バネに抗して図10に示す位置から上方に揺動できるのであり、操作部31の上方への揺動を検出するリミットスイッチ(図示せず)が上取付部29に備えられている。
【0042】
[7]
次に、姿勢保持具の装着について説明する。
図1及び図3に示すように、作業者は姿勢保持具を背負うようにして、作業者の肩部にベルト10を取り付け、パッド9を作業者の背中部に当て付けて、下フレーム部1を作業者の腰部に当て付ける。ベルト8に面ファスナー(図示せず)(商品名・マジックテープ)が備えられているので、作業者はベルト8を作業者の腰部に巻き付けて面ファスナーにより、下フレーム部1及びベルト8を作業者の腰部に取り付ける。
【0043】
これにより、下フレーム部1及びベルト8が作業者の腰部に取り付けられ、下フレーム部1から作業者の背中部に沿って縦フレーム部2が上方に延出され、縦フレーム部2から第1及び第2横フレーム部3,4が作業者の肩部に沿って横方に延出された状態となるのであり、下フレーム部1、縦フレーム部2、第1及び第2横フレーム部3,4が作業者の背中部(胴体部)に取り付けられた状態となる。
【0044】
次に、第1及び第2アーム部5,6が作業者の上腕部の横外側に位置することになるので、上取付部29を上方に操作し、作業者の上腕部を縦取付部27、下取付部28及び上取付部29の中に挿入して、上取付部29を下方に操作する。これにより、第1及び第2アーム部5,6が作業者の上腕部に取り付けられた状態となる。
【0045】
この場合、図1及び図3に示すように、第2横フレーム部4(左右軸芯P1)が作業者の肩部と略同じ高さに位置し、且つ、作業者の肩部の横外側に位置するように、縦フレーム部2に対する第1横フレーム部3の取付位置を事前に上下方向に調節し(前項[3]参照)、第1横フレーム部3に対する第2横フレーム部4の取付位置を事前に左右方向(横方向)に調節しておく(前項[3]参照)。
作業者の肘部が縦取付部27、下取付部28及び上取付部29の少し前方に位置し、下受け部37に位置して、作業者の前腕部の曲げ伸ばし動作が支障なく行えるように、第1横フレーム部3に対する第2アーム部6の取付位置を事前に前後方向に調節しておく(前項[6]参照)。
【0046】
作業者が姿勢保持具を装着していない状態(作業者の上腕部を縦取付部27、下取付部28及び上取付部29の中に挿入していない状態)において第1及び第2アーム部5,6が第2横フレーム部4から前方に離れるほど互いに接近する斜め姿勢になるように、右及び左の縦フレーム部2への架橋部材11の連結状態が設定されている。
【0047】
これにより、図1及び図3に示すように、作業者が上腕部を前方に向けている状態において第1及び第2アーム部5,6が作業者の上腕部に軽く押し付けられるような状態となるので、作業者の上腕部と第1及び第2アーム部5,6(縦取付部27、下取付部28及び上取付部29)との一体感が増すのであり、作業者の上腕部が縦取付部27、下取付部28及び上取付部29から抜け難くなる。
【0048】
[8]
次に、姿勢保持具の操作(所望の位置から上方の範囲において第1及び第2アーム部5,6の上方及び下方への動作)について説明する。
図1,3,6,8(a)に示す状態は、ソレノイド23の非通電状態において、支持アーム20及びストッパー21が支持位置に位置している状態であり、支持アーム20に対してストッパー21(先端部21a)が最上位位置に位置している状態である(ボルト38は支持部材12の長孔12bの中央位置で固定されている)。
【0049】
図6及び図8(a)に示す状態において、支持部材12の凸部12aがストッパー21の先端部21aに下側から接当することにより、基板19と第1及び第2アーム部5,6が略一直線状となる第1位置A1に、所望の位置(支持部材12の凸部12aがストッパー21の先端部21aに下側から接当する位置)が位置することになる。
【0050】
図6及び図8(a)に示す状態において、作業者が上腕部を第2アーム部6(縦取付部27、下取付部28及び上取付部29、下受け部37)に預けることにより、第1及び第2アーム部5,6の下方への負荷が支持される。
この場合、作業者が上腕部が縦取付部27、下取付部28及び上取付部29に支持されるのに加えて、作業者の肘部も下受け部37に支持されるので、作業者の上腕部が第2アーム部6(縦取付部27、下取付部28及び上取付部29、下受け部37)に安定して支持される。作業者が肘部を支点として前腕部を動かす際においても、作業者の肘部が下受け部37に支持されることにより、作業者は上腕部が第2アーム部6に安定して支持された状態で前腕部を動かすことができる。
【0051】
これにより、作業者の上腕部が第1及び第2アーム部5,6により所望の位置(第1位置A1)で支持されるのであり、作業者は上腕部(第1及び第2アーム部5,6)を所望の位置(第1位置A1)を越えて下方に動かすことはできない(所望の位置(第1位置A1)において第1及び第2アーム部5,6を支持し、且つ、所望の位置(第1位置A1)を越えての第1及び第2アーム部5,6の下方への動作を阻止する支持状態に相当)。
【0052】
図6及び図8(a)に示すように、所望の位置(第1位置A1)から上方の範囲において支持部材12の凸部12aがストッパー21の先端部21aから下方に離間するので、所望の位置(第1位置A1)から上方の範囲において作業者の上腕部(第1及び第2アーム部5,6)の上方及び下方への動作は許容される。
【0053】
この場合、作業者が上腕部を上方に動かしても、上取付部29が上方に開いて作業者の上腕部が縦取付部27、下取付部28及び上取付部29、下受け部37から上方に外れずに、第1及び第2アーム部5,6が作業者の上腕部に追従するように、図9に示すバネ30の付勢力が設定されている。
これにより、所望の位置(第1位置A1)から上方の範囲において作業者は上腕部(第1及び第2アーム部5,6)を違和感なく楽に上方及び下方に動かして作業を行うことができる(作業者が上腕部を上方及び下方に動かすのに伴って第1及び第2アーム部5,6が上方及び下方に揺動する)。
【0054】
次に図6及び図8(a)に示すように、作業者が上腕部を下方に動かして第1及び第2アーム部5,6が所望の位置(第1位置A1)に達すると、支持部材12の凸部12aがストッパー21の先端部21aに下側から接当して、前述のように第1及び第2アーム部5,6を所望の位置(第1位置A1)に位置させて作業者が上腕部を第1及び第2アーム部5,6に預けた状態に戻る。
【0055】
図6及び図8(a)に示すように、第1及び第2アーム部5,6を所望の位置(第1位置A1)に位置させて作業者が上腕部を第1及び第2アーム部5,6に預けた状態において、作業者の上腕部から第1及び第2アーム部5,6に掛かる負荷は、第1アーム部5、第1及び第2横フレーム部3,4、縦フレーム部2及びベルト10を介して、下フレーム部1、ベルト8及びパッド9に伝えられて、作業者の腰部及び背中部や肩部により安定して受け止められて支持される。
【0056】
特に作業者の肩部にベルト10を取り付けることにより、作業者の背中部において縦フレーム部2及び第1横フレーム部3の左右方向の位置が決められるのであり(作業者の背中部において縦フレーム部2及び第1横フレーム部3が左右方向に動かないのであり)、縦フレーム部2及び第1横フレーム部3が作業者の背中部に離れないように沿わせることができるので、作業者の上腕部から第1及び第2アーム部5,6に掛かる負荷が無駄なく下フレーム部1、ベルト8及びパッド9に伝えられる。
【0057】
[9]
次に、姿勢保持具の操作(所望の位置の変更)について説明する。
図6及び図8(a)に示すように、ボルト38が支持部材12の長孔12bの中央位置で固定されて、支持アーム20及びストッパー21が支持位置に位置している状態において、支持アーム20に対してストッパー21(先端部21a)が最上位位置に位置していると、基板19と第1及び第2アーム部5,6が略一直線状となる第1位置A1に、所望の位置が位置する。
【0058】
前述の状態において、図6及び図8(a)に示すように、ストッパー21のノブ21bを回動操作することにより、支持アーム20におけるストッパー21(先端部21a)の位置を下方向に変更することができる。このように支持アーム20におけるストッパー21(先端部21a)の位置を下方向に変更すると、所望の位置が第1位置A1から上方に変更されるのであり、支持アーム20に対してストッパー21(先端部21a)を最下位位置に位置させると、所望の位置は第2位置A2となる。
【0059】
以上のように、ボルト38が支持部材12の長孔12bの中央位置で固定されている状態において、ストッパー21のノブ21bを回動操作して、支持アーム20におけるストッパー21(先端部21a)の位置を上下方向に変更することにより、所望の位置を第1及び第2位置A1,A2の範囲で変更することができる。
【0060】
この場合、図1及び図3に示すように、作業者が姿勢保持具を装着した状態(作業者の上腕部を縦取付部27、下取付部28及び上取付部29の中に挿入した状態)において、作業者は右の前腕部を斜め左後方に曲げることにより、右手で左のストッパー21のノブ21bを回動操作することができるのであり、左の前腕部を斜め右後方に曲げることにより、左手で右のストッパー21のノブ21bを回動操作することができる。
【0061】
図6及び図8(a)に示すように、支持アーム20に対してストッパー21(先端部21a)が最上位位置に位置し、支持部材12の凸部12aがストッパー21の先端部21aに下側から接当している状態において、ボルト38を少し緩め、支持部材12の長孔12bに沿って第1及び第2アーム部5,6を下方に動かして、ボルト38を支持部材12の長孔12bの一方の端部で固定する。
【0062】
これにより図8(a)に示すように、所望の位置を第1位置A1から下方の第3位置A3に変更することができるのであり、この状態でストッパー21のノブ21bを回動操作して、支持アーム20におけるストッパー21(先端部21a)の位置を上下方向に変更することにより、所望の位置を第1及び第3位置A1,A3の範囲で変更することができる。この場合、ボルト38を支持部材12の長孔12bの中央位置と一方の端部との間の中間位置で固定することもできる。
【0063】
図6及び図8(a)に示すように、支持アーム20に対してストッパー21(先端部21a)が最上位位置に位置し、支持部材12の凸部12aがストッパー21の先端部21aに下側から接当している状態において、ボルト38を少し緩め、支持部材12の長孔12bに沿って第1及び第2アーム部5,6を上方に動かして、ボルト38を支持部材12の長孔12bの他方の端部で固定する。
【0064】
これにより図8(a)に示すように、所望の位置を第1位置A1から上方の第2位置A2に変更することができるのであり、この状態でストッパー21のノブ21bを回動操作して、支持アーム20におけるストッパー21(先端部21a)の位置を上下方向に変更することにより、所望の位置を第2及び第4位置A1,A4(第2位置A2よりも上方の位置)の範囲で変更することができる。この場合、ボルト38を支持部材12の長孔12bの中央位置と他方の端部との間の中間位置で固定することもできる。
以上のようなストッパー21のノブ21bの回動操作、ボルト38における支持部材12の長孔12bの固定位置の変更を、右及び左で別々に行うことにより、右及び左において所望の位置を異なる位置に設定することも可能である。
【0065】
[10]
次に、姿勢保持具の操作(所望の位置を越えての第1及び第2アーム部5,6の下方への動作)について説明する。
図1及び図3に示すように、作業者が姿勢保持具を装着した状態(作業者の上腕部を縦取付部27、下取付部28及び上取付部29の中に挿入した状態)において、作業者が前腕部を上腕部側(後方)に曲げることにより(作業者の肘部の曲げ動作により)、作業者の前腕部により操作部31を上方に操作することができる。
【0066】
この場合、図1及び図3に示すように、作業者の上腕部が縦取付部27、下取付部28及び上取付部29に支持されるのに加えて、作業者の肘部も下受け部37に支持されるので、作業者の上腕部が第2アーム部6に安定して支持されることになり、作業者が前腕部を上腕部側に安定して曲げることができ、作業者の前腕部により操作部31を安定して上方に操作することができる。
【0067】
図8(b)に示すように、操作部31の上方への揺動がリミットスイッチにより検出されると、ソレノイド23が通電状態となり、バネ22の付勢力に抗してソレノイド23の操作部23aが図8(b)に示す位置に収縮作動し、支持アーム20が左右軸芯P2周りに後方に揺動して、支持アーム20及びストッパー21が図8(b)に示す許容位置に位置する。操作部31が元の位置に戻ると、ソレノイド23が非通電状態となり、支持アーム20及びストッパー21が図8(a)に示す支持位置に戻る。
【0068】
図1及び図3に示すように、作業者は右の前腕部を斜め左後方に曲げることによって、右手で左のストッパー21のノブ21bを持って前方に操作することにより、バネ22の付勢力及びソレノイド23に抗して、右の支持アーム20及びストッパー21を図8(b)に示す許容位置に操作することができるのであり、左のストッパー21のノブ21bから右手を離すと、左の支持アーム20及びストッパー21が図8(a)に示す支持位置に戻る。
【0069】
前述と同様に、左の前腕部を斜め右後方に曲げることによって、左手で右のストッパー21のノブ21bを持って前方に操作することにより、バネ22の付勢力及びソレノイド23に抗して、右の支持アーム20及びストッパー21を図8(b)に示す許容位置に操作することができるのであり、右のストッパー21のノブ21bから左手を離すと、右の支持アーム20及びストッパー21が図8(a)に示す支持位置に戻る。
【0070】
これにより、図8(b)に示すように、支持アーム20及びストッパー21の許容位置において、支持部材12の凸部12aがストッパー21の先端部21aに接当することはなく、所望の位置を越えての作業者の上腕部(第1及び第2アーム部5,6)の下方への動作が許容される(許容状態)。
【0071】
図8(b)に示すように、作業者が上腕部(第1及び第2アーム部5,6)を所望の位置を越えて下方に動かした後、支持アーム20及びストッパー21が図8(a)に示す支持位置に戻っても、支持部材12の凸部12aはストッパー21の先端部21aから上方に離れた位置に位置するので、所望の位置から下方の範囲において作業者の上腕部(第1及び第2アーム部5,6)の上方及び下方への動作が許容される。
【0072】
前述の状態において、作業者が上腕部(第1及び第2アーム部5,6)を所望の位置を越えて上方に動かすと、支持部材12の凸部12aが下方に移動し、支持位置のストッパー21の先端部21aを後方(図8(a)の紙面左方)に押し退けながら、ストッパー21の先端部21aよりも下方に移動するのであり、支持アーム20及びストッパー21が支持位置に戻る。
この後、作業者が上腕部(第1及び第2アーム部5,6)を所望の位置を越えて下方に動かそうとしても、図8(b)に示すように、支持部材12の凸部12aがストッパー21の先端部21aに下側から接当することになり、前項[9]に記載の状態に戻る。
【0073】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための形態]の支持機構7に代えて、支持機構7を以下に示すように構成してもよい。
ギヤ歯状の複数の被係合部と、被係合部の一つに係合する爪体とを備えて一方向機構(ラチェット機構)を構成し、第2横フレーム部4と第1アーム部5との間に一方向機構(ラチェット機構)を備えて、一方向機構(ラチェット機構)の爪体を被係合部から強制的に離間させるもので操作部31により操作されるソレノイドを備える。
【0074】
一方向機構(ラチェット機構)により、第1及び第2アーム部5,6の下方への動作が阻止されて、第1及び第2アーム部5,6が所望の位置で支持されるのであり(支持状態)、第1及び第2アーム部5,6の上方への動作は許容される(許容状態)。
ソレノイドにより一方向機構(ラチェット機構)の爪体を被係合部から強制的に離間させると、一方向機構(ラチェット機構)が機能しない状態となるのであり、第1及び第2アーム部5,6の上方及び下方への動作が許容される(許容状態)。
【0075】
これにより、一方向機構(ラチェット機構)とソレノイドとにより支持機構が構成される。この場合に、ソレノイドを廃止して、操作部31と一方向機構(ラチェット機構)の爪体とを、ワイヤ(図示せず)や連係リンク(図示せず)等により機械的に連係してもよい。
【0076】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]の支持機構7に代えて、支持機構7を以下に示すように構成してもよい。
前述の[発明の実施の第1別形態]に記載の一方向機構(ラチェット機構)を第2横フレーム部4に固定して、一方向機構(ラチェット機構)と第1アーム部5との間に、電気的に操作される接続機構(クラッチ機構)を備え、操作部31により接続機構(クラッチ機構)を接続状態と遮断状態に切換操作自在に構成する。
【0077】
接続機構(クラッチ機構)が接続状態に操作されると、一方向機構(ラチェット機構)と第1アーム部5とが接続されて一方向機構(ラチェット機構)を機能する。一方向機構(ラチェット機構)により、第1及び第2アーム部5,6の下方への動作が阻止されて第1及び第2アーム部5,6が所望の位置で支持されるのであり(支持状態)、第1及び第2アーム部5,6の上方への動作が許容される(許容状態)。
【0078】
接続機構(クラッチ機構)が遮断状態に操作されると、一方向機構(ラチェット機構)と第1アーム部5とが遮断されて一方向機構(ラチェット機構)が機能しない状態となるのであり、第1及び第2アーム部5,6の上方及び下方への動作が許容される(許容状態)。
【0079】
これにより、一方向機構(ラチェット機構)と接続機構(クラッチ機構)とにより支持機構が構成される。この場合、接続機構(クラッチ機構)を機械的に接続及び遮断状態に操作されるように構成し、操作部31と接続機構(クラッチ機構)とをワイヤ(図示せず)や連係リンク(図示せず)等により機械的に連係してもよい。
【0080】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、上取付部29を前後軸芯P3周りに揺動自在に支持するのではなく、上取付部29を縦取付部27に揺動しないように固定してもよい。
この場合に、上取付部29と下取付部38との間の開放部分の間隔を少し大きく設定して、作業者が上腕部を縦取付部27、下取付部28及び上取付部29の中に容易に入れることができるように構成してもよい。
【0081】
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、操作部31を上取付部29に備えるのではなく、縦取付部27、下取付部28、下受け部37や第2アーム部6の中間部分から延出された支持アーム(図示せず)に、操作部31を備えるように構成してもよい。
【0082】
[発明の実施の第5別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第4別形態]において、下取付部28と下受け部37とを一体的に構成するのではなく、縦取付部27、上取付部29や第2アーム部6の中間部分から延出された支持アーム(図示せず)に、下受け部37を備えるように構成してもよい。
【0083】
[発明の実施の第6別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第5別形態]において、操作部31及びソレノイド23を廃止してもよい。
このように構成すると、ストッパー21のノブ21bのみにより、支持アーム20(ストッパー21の先端部21a)の位置を変更して、ストッパー21の先端部21aと支持部材12の凸部12aとを、接当する支持状態と接当しない許容状態とに切換操作することになる。
【0084】
[発明の実施の第7別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第6別形態]において、下フレーム部1、縦フレーム部2、第1及び第2横フレーム部3,4を作業者の背中部(胴体部)に取り付けるのではなく、下フレーム部1及び縦フレーム部2を廃止して、第1及び第2横フレーム部3,4を作業者の肩部に取り付け、第1及び第2アーム部5,6を作業者の上腕部に取り付けるように構成してもよい。
【0085】
[発明の実施の第8別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第7別形態]において、右及び左の両方に第1及び第2横フレーム部3,4、第1及び第2アーム部5,6等を備えるのではなく、第1及び第2横フレーム部3,4、第1及び第2アーム部5,6等を右又は左にのみ備えるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
果樹園や建物内での作業時において作業者が装着して使用するもので、作業者の上腕部の負荷を軽減する姿勢保持具に適用できる。
【符号の説明】
【0087】
1,2,3,4 本体部
5,6 アーム部
7 支持機構
27,28,29 取付部
28 下取付部
29 上取付部
31 支持機構操作部
37 下受け部
P1 左右軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10