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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-190908(P2016-190908A)
(43)【公開日】2016年11月10日
(54)【発明の名称】顔料組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/20 20060101AFI20161014BHJP
   C09B 67/10 20060101ALI20161014BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20161014BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20161014BHJP
   C09D 11/037 20140101ALI20161014BHJP
   C09D 11/16 20140101ALI20161014BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20161014BHJP
【FI】
   C09B67/20 A
   C09B67/20 L
   C09B67/20 F
   C09B67/10
   C09D201/00
   C09D7/12
   C09D11/037
   C09D11/16
   G02B5/20 101
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-70527(P2015-70527)
(22)【出願日】2015年3月31日
(11)【特許番号】特許第5801976号(P5801976)
(45)【特許公報発行日】2015年10月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(72)【発明者】
【氏名】岡本 久男
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 尚人
(72)【発明者】
【氏名】河野 寿夫
【テーマコード(参考)】
2H148
4J038
4J039
【Fターム(参考)】
2H148BE13
2H148BE23
2H148BG02
2H148BG11
2H148BH02
2H148BH17
2H148BH20
4J038JB07
4J038JB08
4J038JB36
4J038KA08
4J038NA26
4J039BC17
4J039BC33
4J039BC52
4J039BE01
4J039EA44
(57)【要約】      (修正有)
【課題】顔料を含有するインキや塗料などの流動性を著しく改善可能であり、顔料の粒子凝集を防止することができ、且つ、異物の発生を防止しつつ、優れた光沢及び鮮明性を示す着色物品を製造可能な顔料組成物の製造方法の提供。
【解決手段】式(1)で表される化合物を、硫酸を80〜90%含有する反応液中で脱スルホン化させる工程と、式(1)で表される化合物100質量部に対して、0.5〜30質量部の塩基性顔料分散剤を反応液に添加する工程と、反応液を水中に投入する工程とを有するC.I.ピグメントレッド177を含有する顔料組成物の製造方法。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C.I.ピグメントレッド177を含有する顔料組成物の製造方法であって、
下記一般式(1)で表される化合物を、硫酸を80〜90%含有する反応液中で脱スルホン化反応させる工程と、
前記一般式(1)で表される化合物100質量部に対して、0.5〜30質量部の塩基性顔料分散剤を前記反応液に添加する工程と、
前記反応液を水中に投入する工程と、を有する顔料組成物の製造方法。
(前記一般式(1)中、Mは、それぞれ独立に、水素原子、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、又はストロンチウムを表す)
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物を120〜200℃で3〜8時間脱スルホン化反応させるとともに、
前記反応液を60℃以下の温度で水中に投入する請求項1に記載の顔料組成物の製造方法。
【請求項3】
前記塩基性顔料分散剤が、下記一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかを含む請求項1又は2に記載の顔料組成物の製造方法。
(前記一般式(2)中、Xは、水素原子又はアシルアミノ基を表し、Yは、5位に水素原子又はアシルアミノ基を有するアントラキノニルアミノ基、フェニルアミノ基、又はフェノキシ基を表し、R1〜R4は、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、R1とR2及びR3とR4は、それぞれ独立に、隣接する窒素原子とともに、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含んでもよい環を形成してもよく、n又はmは、それぞれ独立に、2〜30の数を表す。前記一般式(3)中、R5及びR6は、それぞれ独立に、下記一般式(4)で表される置換基、下記一般式(5)で表される置換基、又は下記式(6)で表される置換基を表す)
(前記一般式(4)中、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はシクロアルキル基を表し、R7とR8は、隣接する窒素原子とともに複素環を形成してもよく、前記複素環は、隣接する窒素原子以外の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含んでもよく、oは、2〜30の数を表す。前記一般式(5)中、R9は、メチル基、イソプロピル基、(4−メトキシフェニル)エチル基、又はピリジル基を表す)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の顔料組成物の製造方法によって製造される顔料組成物と、皮膜形成材料と、を含有する着色組成物。
【請求項5】
画像表示用、画像記録用、印刷インキ用、筆記用インキ用、プラスチック用、顔料捺染用、又は塗料用である請求項4に記載の着色組成物。
【請求項6】
カラーフィルター用である請求項4に記載の着色組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料組成物の製造方法、及び着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、塗料、グラビアインキ、オフセットインキなどのビヒクル中に顔料(粒子)を安定した状態で混合分散させることは困難であり、このことに起因して下記のような課題が生じる。例えば、ビヒクル中に一旦分散した微細な顔料粒子は、そのビヒクル中で凝集する傾向がある。そして、顔料粒子が凝集したビヒクルは、その粘度が上昇してしまうといった問題がある。また、顔料粒子が分散されたビヒクルを用いたインキや塗料は、着色力が低下したり、塗膜のグロスが低下したりするなどの種々の問題を生じやすい。
【0003】
ところで、液晶カラーディスプレイや撮像素子などを製造するために使用されるカラーフィルター(以下「CF」と略記)は、顔料分散液を用いて、例えば、以下のような方法で製造されている。まず、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の三色の顔料を、感光性樹脂液中にそれぞれ分散させたCF用の顔料分散液(CF用顔料着色剤)を用意する。そして、これらのCF用顔料着色剤を、スピンコート法によってCF用の基板に塗布して着色皮膜を形成する。次いで、フォトマスクを介して形成した着色皮膜を露光した後、現像して着色皮膜をパターン化し、基板に所望の画素を形成させればCFを得ることができる。
【0004】
CFを製造するための顔料には、下記に挙げるような、緑色顔料、赤色顔料及び青色顔料などが使用されている。緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン(以下「PG」と略記)36、PG7、PG58などのフタロシアニングリーンが一般的である。赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(以下「PR」と略記)254などのジケトピロロピロール系レッド;PR177などのアントラキノン系レッド;PR242などのアゾ系レッドが一般的である。また、青色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(以下「PB」と略記)15:6などのフタロシアニンブルーが一般的である。
【0005】
なお、これらの顔料の色相と、液晶ディスプレイに要求される色特性には差があるため、補色用の顔料が併用されている。例えば、緑色顔料及び赤色顔料に対しては、C.I.ピグメントイエロー(以下「PY」と略記)138、PY139、PY150などの黄色顔料が補色用の顔料として少量使用されている。また、青色顔料に対しては、C.I.ピグメントバイオレット(以下「PV」と略記)23などの紫色顔料が補色用の顔料として少量使用されている。
【0006】
通常の分散機を使用して上記の顔料を分散媒体(感光性樹脂液など)中に分散させることは困難であり、顔料の分散状態が良好ではない顔料分散液しか得られない場合がある。顔料の分散状態が良好ではないCF用顔料着色剤を用いて形成されたカラーフィルターの画素は光透過性が不十分になってしまい、カラーフィルターの画素としての光透過率が不足してしまう。すなわち、通常の分散機を使用して顔料を分散させて得られるCF用顔料着色剤は、CFの画素を形成するための着色剤としては不十分なものであった。
【0007】
一方、顔料の分散媒体であるフォトレジスト用の樹脂としては、露光後の着色皮膜がアルカリ水溶液で容易に現像可能となるように、酸価の高いアクリル系ポリマーが主として採用されている。しかしながら、前述したような顔料と、酸価の高いアクリル系ポリマーとを含有する顔料着色剤(フォトレジスト)は、顔料が凝集しやすく、粘度が高くなりやすいといった問題がある。また、経時的に顔料の凝集が進行して増粘するので、貯蔵安定性が低いといった問題もある。粘度が高い、或いは、顔料が凝集してチクソトロピックな粘性を示す顔料着色剤を用いてCFを製造しようとすると、露光前の着色皮膜の中央部が盛り上がってしまう。このため、基板の中央部に位置する画素と、周辺部に位置する画素とでは、色相にむらや濃度差が発生するという問題が生ずる。そしてこの問題は、より大画面のCFを製造しようとする際に、より顕著になる。
【0008】
したがって、CF用顔料着色剤は、高濃度に顔料を含みながらも、顔料の分散状態が良好であるとともに、一般的な常乾塗料や焼き付け塗料に比して低粘度であることが要求される。CF用顔料着色剤には、一般的に、顔料濃度が5〜20質量%であっても、顔料が凝集せず、その粘度が5〜20mPa・s程度であり、貯蔵安定性が良好であることが要求される。
【0009】
上記の要求を満たすべく、従来、顔料誘導体を顔料の分散剤として添加する方法や、顔料を顔料誘導体で処理して用いる方法などが提案されている。具体的には、顔料としてPR177などのアントラキノン系レッドを用いる場合に、顔料分散剤として、アントラキノンの置換誘導体を用いることが提案されている(特許文献1及び2参照)。
【0010】
また、高輝度でコントラストに優れたCFを製造するには、CF用の顔料はより微細な粒子であることが必要とされる。より微細な粒子状の顔料を得るべく、例えば、特定の顔料誘導体(顔料分散剤)、水溶性無機塩類、及び溶剤の存在下、ニーダーなどの混練機を使用してPR177を磨砕する方法が提案されている(特許文献3参照)。また、PR177と特定構造の顔料誘導体を、硫酸に溶解した後に水と混合して析出させ、酸性成分を除去することによりPR177を微細化する方法が提案されている(特許文献4及び5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3625143号公報
【特許文献2】特開昭60−88185号公報
【特許文献3】特開平9−272812号公報
【特許文献4】国際公開第2009/025325号
【特許文献5】特開2013−253199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
近年、CFの性能をさらに向上させたいとする要望がある。具体的には、着色画素の透明性をさらに改善する、着色画素の透過光のコントラストをアップさせる、或いは、着色画素の顔料濃度を高める必要がある。しかしながら、特許文献1や2で提案されたような従来の技術では、上記の性能を満足させるCFを製造しうる顔料着色剤を得ることは困難である。さらに、従来の技術で得られた顔料着色剤は、塗膜(着色皮膜)中に異物が発生する場合があるため、改善が要望されている。
【0013】
また、特許文献3〜5で提案された方法は、いずれも顔料であるPR177を微細化する方法であることから、微細化工程を別途設ける必要があった。このため、PR177を含有する顔料組成物を調製する際の工程をより簡略化・合理化することが望まれていた。
【0014】
本発明は、上記に挙げたような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、顔料を含有するインキや塗料などの流動性を著しく改善可能であり、顔料の粒子凝集を防止することができ、且つ、異物の発生を防止しつつ、優れた光沢及び鮮明性を示す着色物品を製造可能な顔料組成物の製造方法、及びその製造方法によって製造される顔料組成物を用いて得られる着色剤組成物を提供することにある。また、本発明の課題は、顔料の凝集による経時的な増粘が抑制され、貯蔵安定性に優れた顔料組成物の製造方法、及び貯蔵安定性に優れる顔料組成物の製造方法、及びその製造方法によって製造される顔料組成物を用いて得られる着色組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、本発明によれば、以下に示す顔料組成物が提供される。
[1]C.I.ピグメントレッド177を含有する顔料組成物の製造方法であって、下記一般式(1)で表される化合物を、硫酸を80〜90%含有する反応液中で脱スルホン化反応させる工程と、前記一般式(1)で表される化合物100質量部に対して、0.5〜30質量部の塩基性顔料分散剤を前記反応液に添加する工程と、前記反応液を水中に投入する工程と、を有する顔料組成物の製造方法。
【0016】
(前記一般式(1)中、Mは、それぞれ独立に、水素原子、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、又はストロンチウムを表す)
【0017】
[2]前記一般式(1)で表される化合物を120〜200℃で3〜8時間脱スルホン化反応させるとともに、前記反応液を60℃以下の温度で水中に投入する前記[1]に記載の顔料組成物の製造方法。
[3]前記塩基性顔料分散剤が、下記一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかを含む前記[1]又は[2]に記載の顔料組成物の製造方法。
【0018】
(前記一般式(2)中、Xは、水素原子又はアシルアミノ基を表し、Yは、5位に水素原子又はアシルアミノ基を有するアントラキノニルアミノ基、フェニルアミノ基、又はフェノキシ基を表し、R1〜R4は、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、R1とR2及びR3とR4は、それぞれ独立に、隣接する窒素原子とともに、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含んでもよい環を形成してもよく、n又はmは、それぞれ独立に、2〜30の数を表す。前記一般式(3)中、R5及びR6は、それぞれ独立に、下記一般式(4)で表される置換基、下記一般式(5)で表される置換基、又は下記式(6)で表される置換基を表す)
【0019】
(前記一般式(4)中、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はシクロアルキル基を表し、R7とR8は、隣接する窒素原子とともに複素環を形成してもよく、前記複素環は、隣接する窒素原子以外の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含んでもよく、oは、2〜30の数を表す。前記一般式(5)中、R9は、メチル基、イソプロピル基、(4−メトキシフェニル)エチル基、又はピリジル基を表す)
【0020】
また、本発明によれば、以下に示す着色組成物が提供される。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の顔料組成物の製造方法によって製造される顔料組成物と、皮膜形成材料と、を含有する着色組成物。
[5]画像表示用、画像記録用、印刷インキ用、筆記用インキ用、プラスチック用、顔料捺染用、又は塗料用である前記[4]に記載の着色組成物。
[6]カラーフィルター用である前記[4]に記載の着色組成物。
【発明の効果】
【0021】
本発明の顔料組成物の製造方法によれば、顔料を含有するインキや塗料などの流動性を著しく改善可能であり、顔料の粒子凝集を防止することができ、且つ、異物の発生を防止しつつ、優れた光沢及び鮮明性を示す着色物品を製造可能な顔料組成物を製造することができる。このため、本発明の顔料組成物の製造方法によって製造された顔料組成物は、オフセットインキやグラビアインキなどの印刷インキ用、各種塗料用、及びプラスチック用の着色剤として、顔料捺染剤として、電子写真用の乾式又は湿式トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、画像表示用、画像記録用、CF用レジスト、筆記具用インキなどの着色剤として有用である。また、本発明の顔料組成物の製造方法によって製造された顔料組成物を用いれば、各種の塗料などの流動性を著しく改善し、顔料の粒子凝集を防止し、異物の発生が防止された着色組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<顔料組成物の製造方法>
以下、好ましい実施形態を例に挙げて本発明の詳細について説明する。本発明の製造方法は、C.I.ピグメントレッド177を含有する顔料組成物の製造方法であり、下記一般式(1)で表される化合物を、硫酸を80〜90%含有する反応液中で脱スルホン化反応させる工程と、一般式(1)で表される化合物100質量部に対して、0.5〜30質量部の塩基性顔料分散剤を反応液に添加する工程と、反応液を水中に投入する工程と、を有する。
【0023】
(前記一般式(1)中、Mは、それぞれ独立に、水素原子、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、又はストロンチウムを表す)
【0024】
一般式(1)で表される化合物は、特公昭38−25842号公報に記載の方法により製造することができる。具体的には、下記式に示すように、水溶媒中、1〜3当量の金属銅の存在下、1−アミノ−4−ブロモアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム塩(7)を、pH2〜5の硫酸水溶液中で50〜100℃に加熱して染色液を得る。その後、得られた染料液を常法に従って塩析し、ろ過及び乾燥することによって、約92%の収率で一般式(1)で表される化合物を製造することができる。
【0025】
【0026】
色相が赤の顔料であるPR177は、下記式で示すように、一般式(1)で表される化合物を、硫酸を80〜90%含有する反応液(例えば、硫酸水溶液)中で脱スルホン化反応させることによって製造することができる。なお、上記の脱スルホン化反応の温度は120〜200℃とすることが好ましい。また、上記の脱スルホン化反応の時間は3〜8時間とすることが好ましい。
【0027】
本発明の顔料組成物の製造方法は、脱スルホン化反応後の反応液に塩基性顔料分散剤を添加する工程を有する。塩基性顔料分散剤としては、下記一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかを含むものを用いることが好ましい。塩基性顔料分散剤としては、下記一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物の一方のみを用いてもよいし、下記一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物の両方を用いてもよい。
【0028】
(前記一般式(2)中、Xは、水素原子又はアシルアミノ基を表し、Yは、5位に水素原子又はアシルアミノ基を有するアントラキノニルアミノ基、フェニルアミノ基、又はフェノキシ基を表し、R1〜R4は、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、R1とR2及びR3とR4は、それぞれ独立に、隣接する窒素原子とともに、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含んでもよい環を形成してもよく、n又はmは、それぞれ独立に、2〜30の数を表す。前記一般式(3)中、R5及びR6は、それぞれ独立に、下記一般式(4)で表される置換基、下記一般式(5)で表される置換基、又は下記式(6)で表される置換基を表す)
【0029】
(前記一般式(4)中、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はシクロアルキル基を表し、R7とR8は、隣接する窒素原子とともに複素環を形成してもよく、前記複素環は、隣接する窒素原子以外の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含んでもよく、oは、2〜30の数を表す。前記一般式(5)中、R9は、メチル基、イソプロピル基、(4−メトキシフェニル)エチル基、又はピリジル基を表す)
【0030】
一般式(2)で表される化合物(塩基性顔料分散剤)は、特許第3625143号公報に記載の方法に従って製造することができる。また、一般式(3)で表される化合物(塩基性顔料分散剤)は、特公昭60−88185号公報の「製造例4」に記載の方法に従って製造することができる。
【0031】
上記の塩基性顔料分散剤は、いずれも、少量であっても顔料の分散剤として優れた作用を示す。また、これらの塩基性顔料分散剤を用いて調製される顔料組成物及び着色組成物は貯蔵時に増粘やゲル化しにくいため、これらを用いて形成される塗膜(皮膜)中に異物が発生しにくい。一般式(2)及び(3)で表される化合物の具体例(具体例1〜7)を以下に示す。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
一般式(2)で表される化合物(塩基性顔料分散剤)は、例えば、以下のようにして合成することができる。1−アミノアントラキノン、アニリン、及び塩化シアヌルを、o−ジクロロベンゼンなどの不活性な溶媒中、130℃〜160℃で2〜6時間反応させる。さらに、「1個の2級アミノ基と2個の塩基性窒素原子を有する置換基を有し、且つ、1級アミノ基を有さないポリアミン」1モルを添加し、150〜170℃で3〜4時間反応させることによって、一般式(2)で表される化合物を得ることができる。
【0036】
一般式(2)で表される化合物を合成する際に用いる「1個の2級アミノ基と2個の塩基性窒素原子を有する置換基を有し、且つ、1級アミノ基を有さないポリアミン」の具体例としては、N,N,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N,N,N”,N”−テトラエチルジエチレントリアミン、N,N,N”,N”−テトラ(n−プロピル)ジエチレントリアミン、N,N,N”,N”−テトラ(i−プロピル)ジエチレントリアミン、N,N,N”,N”−テトラ(n−ブチル)ジエチレントリアミン、N,N,N”,N”−テトラ(i−ブチル)ジエチレントリアミン、N,N,N”,N”−テトラ(t−ブチル)ジエチレントリアミン、3,3’−イミノビス(N,N−ジメチルプロピルアミン)、3,3’−イミノビス(N,N−ジエチルプロピルアミン)、3,3’−イミノビス(N,N−ジ(n−プロピル)プロピルアミン)、3,3’−イミノビス(N,N−ジ(n−ブチル)プロピルアミン)、3,3’−イミノビス(N,N−ジ(i−ブチル)プロピルアミン)、3,3’−イミノビス(N,N−ジ(t−ブチル)プロピルアミン)、3,3’−イミノビス(N,N−ジメチルプロピルアミン)、2,9−ジメチル−2,5,9−トリアザデカン、2,10−ジメチル−2,10−トリアザデカン、2,12−ジメチル−2,6,12−トリアザトリデカン、2,12−ジメチル−2,5,12−トリアザトリデカン、2,16−ジメチル−2,9,16−トリアザヘプタデカン、3−エチル−10−メチル−3,6,10−トリアザウンデカン、5,13−ジ(n−ブチル)−5,9,13−トリアザヘプタデカン、ジ−(2−ピコリル)アミン、ジ−(3−ピコリル)アミンなどを挙げることができる。
【0037】
一般式(3)で表される化合物(塩基性顔料分散剤)は、例えば、以下のようにして合成することができる。まず、PR177と塩化シアヌルを、ジメチルアセトアミドなどの不活性な溶媒中、100〜110℃で反応させる。次いで、N,N−ジエチルアミノプロピルアミンなどのN,N−ジアルキルアミノアルキルアミン化合物を130〜140℃で反応させることによって、一般式(3)で表される化合物を得ることができる。なお、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミン化合物以外にも、例えば、N−(3−アミノプロピル)シクロヘキシルアミンなどのN−アミノアルキル−N−シクロヘキシルアミン化合物、及び1−メチルピペラジンなどのピペラジン化合物を用いることもできる。
【0038】
N,N−ジアルキルアミノアルキルアミン化合物の具体例としては、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミンなどを挙げることができる。これらのN,N−ジアルキルアミノアルキルアミン化合物のうちで、N,N−ジエチルアミノプロピルアミンなどが好ましい。
【0039】
N−アミノアルキル−N−シクロヘキシルアミン化合物の具体例としては、N−(1−アミノエチル)−N−シクロヘキシルアミン、N−(1−アミノプロピル)−N−シクロヘキシルアミン、N−(1−アミノブチル)−N−シクロヘキシルアミン、N−(2−アミノプロピル)−N−シクロヘキシルアミン、N−(2−アミノブチル)−N−シクロヘキシルアミン、N−(3−アミノプロピル)シクロヘキシルアミン、N−(3−アミノブチル)シクロヘキシルアミンなどを挙げることができる。これらのN−アミノアルキル−N−シクロヘキシルアミンのうちで、N−(3−アミノプロピル)シクロヘキシルアミンなどが好ましい。
【0040】
ピペラジン化合物の具体例としては、1−メチルピペラジン、1−エチルピペラジン、1−(2−ピリジル)ピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジンなどを挙げることができる。ピペラジン化合物のうちで、1−メチルピペラジンなどが好ましい。
【0041】
一般式(2)で表される化合物及び一般式(3)で表される化合物は、顔料分散剤としての効果以外にも、以下のような効果も期待できる。例えば、脱スルホン化反応後の反応液に塩基性顔料分散剤を添加した後、反応液を水中に投入すると、顔料粒子が析出する。一般式(2)及び(3)で表される化合物(顔料分散剤)は、析出する顔料粒子の粗大化を防止する結晶成長抑制剤としての効果を有する。塩基性顔料分散剤を添加する際の反応液の温度は、60℃以下とすることが好ましい。脱スルホン化反応によって生成した顔料(PR177)は硫酸水溶液(反応液)に溶解している。そして、塩基性顔料分散剤を添加した反応液を水中に投入すると、顔料粒子が析出する。塩基性顔料分散剤は、顔料粒子の表面だけでなく、顔料粒子の内部にも存在しうる。このため、塩基性顔料分散剤の添加量によっては、顔料分散剤としての性能が十分に発揮されない場合もある。そこで、塩基性顔料分散剤を後で添加(処理)する方法も有効である。具体的には、以下に示す(1)〜(4)のような使用方法があり、いずれの方法であっても顔料を良好に分散させることができる。
(1)顔料と顔料分散剤とを予め公知の方法で混合し、得られた顔料組成物をビヒクルなどに添加して顔料をビヒクル中に分散させる。
(2)ビヒクルなどに顔料と顔料分散剤を所定の割合で別々に添加して、顔料をビヒクル中に分散させる。
(3)顔料と顔料分散剤をそれぞれビヒクルなどに別々に分散させた後、得られた各分散液を所定の割合で混合し、顔料をビヒクル中に分散させる。
(4)ビヒクルなどに顔料を分散させて得られた分散液に、顔料分散剤を所定の割合で添加して、顔料をビヒクル中に分散させる。
【0042】
本発明の顔料組成物の製造方法では、脱スルホン化反応後の反応液に、一般式(1)で表される化合物100質量部に対して、0.5〜30質量部、好ましくは2〜30質量部の塩基性顔料分散剤を添加する。また、塩基性顔料分散剤として、一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物を組み合わせて用いる場合の両者の配合比(質量基準)は、一般式(2)で表される化合物:一般式(3)で表される化合物=5:95〜95:5とすることが好ましく、25:75〜75:25とすることがさらに好ましい。
【0043】
一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物を併用する場合においては、両者の配合比を適宜調整することが好ましい。例えば、一般式(2)で表される化合物の配合比を下げると、粘度が低下する傾向にあるとともに、安定性が向上する傾向にある。一方、一般式(3)で表される化合物の配合比を下げると、粘度が上昇する傾向にある。すなわち、一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物を適切な配合比で併用することで、得られる顔料組成物及び着色組成物の粘度を低くするとともに、貯蔵安定性を向上させることができる。
【0044】
脱スルホン化反応後の反応液に添加する塩基性顔料分散剤の量が、一般式(1)で表される化合物100質量部に対して0.5質量部未満であると、塩基性顔料分散剤の効果が不十分になる。一方、添加する塩基性顔料分散剤の量が30質量部を超えると、顔料を分散させる効果が頭打ちになるとともに、生産性の面で不利になる。さらには、塩基性顔料分散剤を過剰に含有する顔料組成物を用いて調製した塗料やインキのビヒクルの諸物性が低下したり、塩基性顔料分散剤自体の色によって顔料の色相が大きく変化したりする場合もある。
【0045】
本発明の製造方法によって得られる顔料組成物には、調色などの目的で、PR177以外の顔料(その他の顔料)を含有させることもできる。その他の顔料の具体例としては、溶性・不溶性アゾ顔料、高分子量アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノフタロン顔料、メチン・アゾメチン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、金属錯体顔料などを挙げることができる。
【0046】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、前述の本発明の製造方法によって製造された顔料組成物と、皮膜形成材料とを含有する。本発明の着色組成物は、例えば、微細化した顔料組成物と、樹脂(重合体又は共重合体)、オリゴマー、又はモノマーなどの皮膜形成材料とを混合することで得ることができる。本発明の着色組成物は、画像表示用、画像記録用、印刷インキ用、筆記用インキ用、プラスチック用、顔料捺染用、塗料用などの着色剤として広範な分野で用いることができる。特に、着色画素の透明性が問題となる画像表示材料として、なかでもカラーフィルター(CF)用顔料着色剤として好適である。勿論、本発明の着色組成物は、インクジェット記録用インク、電着記録液、電子写真方式用の現像剤などの画像記録剤用の材料としても有用である。これらの画像記録剤用の材料は、それぞれインクジェット記録方法、電着記録方式、電子写真方式などの画像記録方法に使用される。本発明の着色組成物を用いれば、上記した例に限らず、いずれの画像記録方法であっても高品位な画像を提供しうる画像記録剤用の材料を調製することができる。
【0047】
以下、本発明の着色組成物のさらなる詳細について、画像表示用の顔料着色剤であるカラーフィルター用顔料分散液(CF用顔料着色剤)を例に挙げて説明する。CF用顔料着色剤を調製するには、まず、前述の顔料組成物を、皮膜形成材料を含有する液に添加し、プレミキシングする。次いで、分散処理すれば、CF用顔料着色剤を得ることができる。より具体的には、本発明の製造方法によって得られた微細な本発明の顔料組成物を、皮膜形成性材料を含有する液に添加及び混合することで、CF用顔料着色剤を得ることができる。また、本発明の顔料組成物を、皮膜形成材料やカチオン系の高分子分散剤などを含有する液に添加して混合した後、ダイノミルなどの横型湿式媒体分散機(ビーズミル)を使用して摩砕分散しても、CF用顔料着色剤を得ることができる。
【0048】
CF用顔料着色剤を調製するために用いる、皮膜形成材料を含有する液としては、従来公知のCF用顔料着色剤に含有される皮膜形成性重合体の溶液を用いることができる。また、皮膜形成材料を含有する液に用いられる液媒体としては、有機溶剤、水、及び有機溶剤と水との混合液などを挙げることができる。なお、CF用顔料着色剤には、必要に応じて、例えば、分散助剤、平滑化剤、密着化剤などの従来公知の添加剤を添加することができる。
【0049】
本発明の着色組成物(顔料着色剤)に含有される顔料組成物の量は、その用途によっても異なるが、皮膜形成材料100質量部に対して、5〜500質量部であることが好ましく、50〜250質量部であることがさらに好ましい。また、皮膜形成材料を含有する液としては、感光性の皮膜形成材料を含有する液、又は非感光性の皮膜形成材料を含有する液を用いることができる。感光性の皮膜形成材料を含有する液の具体例としては、例えば、紫外線硬化性インキ、電子線硬化インキなどに用いられる感光性の皮膜形成材料を含有する液などが挙げられる。また、非感光性の皮膜形成材料を含有する液の具体例としては、例えば、凸版インキ、平版インキ、グラビアインキ、スクリーンインキなどの印刷インキに使用するワニス;常温乾燥又は焼き付け塗料に使用するワニス;電着塗装に使用するワニス;熱転写リボンに使用するワニスなどを挙げることができる。
【0050】
CF用顔料着色剤は、高濃度に顔料を含みながらも、顔料の分散状態が良好であるとともに、一般的な常乾塗料や焼き付け塗料に比して低粘度であることが要求される。このため、一般的には、顔料濃度が5〜20質量%であっても、顔料が凝集せず、その粘度が5〜20mPa・s程度であり、貯蔵安定性が良好であることが要求される。より好ましくは5〜15mPa・sであり、25℃で1ヶ月間放置した後(放置後)の粘度増加率が10%以内であることが要求される。粘度が増加してしまうと、一定の膜厚で製膜ができなくなってしまうからである。
【0051】
CF用顔料着色剤に使用できる感光性の皮膜形成材料の具体例としては、感光性環化ゴム系樹脂、感光性フェノール系樹脂、感光性ポリアクリレート系樹脂、感光性ポリアミド系樹脂、感光性ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエポキシアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂などの感光性樹脂を挙げることができる。なお、これらの感光性樹脂を含有する液には、反応性希釈剤として各種のモノマーを添加してもよい。
【0052】
皮膜形成材料として上記に挙げたような感光性樹脂を含有する顔料着色剤に、ベンゾインエーテル、ベンゾフェノンなどの光重合開始剤を添加し、従来公知の方法により練肉すれば、光硬化性の感光性顔料分散液とすることができる。また、上記の光重合開始剤に替えて熱重合開始剤を用いれば、熱硬化性顔料分散液とすることができる。
【0053】
CF用顔料着色剤に使用できる非感光性の皮膜形成材料の具体例としては、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体、可溶性ポリアミド系樹脂、可溶性ポリイミド系樹脂、可溶性ポリアミドイミド系樹脂、可溶性ポリエステルイミド系樹脂、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体の水溶性塩、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸系共重合体の水溶性塩、水溶性アミノポリエステル系樹脂などの樹脂及びその水溶性塩を挙げることができる。
【実施例】
【0054】
次に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下、「部」及び「%」とあるのは、特に断らない限り質量基準である。
【0055】
(塩基性顔料分散剤1〜7の調製)
<製造例1>
o−ジクロロベンゼン600部に、1−アミノアントラキノン62部及び塩化シアヌル25部を加え、130℃で5時間撹拌した。冷却後、さらに、N,N,N”,N”−テトラエチルジエチレントリアミン50部を添加し、170℃で3時間撹拌した。ろ過後、メタノールで洗浄し、乾燥後、具体例1の塩基性顔料分散剤1 81部を得た。Matrix Assisted Laser desorption/Ionization(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法。以下「MALDI」と略記)による質量分析によって分子量736の化合物が検出され、塩基性顔料分散剤1は目的とする構造を有することを確認した。
【0056】
<製造例2>
製造例1と同様にして、塩化シアヌルに1−アミノアントラキノン及び3,3’−イミノビス(N,N−ジメチルプロピルアミン)を順次縮合反応させて、具体例2の塩基性顔料分散剤2 78部を得た。MALDIによる質量分析によって分子量708の化合物が検出され、塩基性顔料分散剤2は目的とする構造を有することを確認した。
【0057】
<製造例3>
ジメチルアセトアミド800部に、PR177を44部、及び塩化シアヌル37部を加え、100〜110℃で5時間撹拌した。冷却後、N−(3−アミノプロピル)シクロヘキシルアミン125部をさらに加え、130〜140℃で3時間反応させた。冷却後にろ過し、メタノール及び水で洗浄した。乾燥することにより、具体例3の塩基性顔料分散剤3 110部を得た。MALDIによる質量分析によって分子量1219の化合物が検出され、塩基性顔料分散剤3は目的とする構造を有することを確認した。
【0058】
<製造例4>
製造例3と同様にして、塩化シアヌルにPR177及びN,N−ジエチルアミノプロピルアミンを順次反応させて、具体例4の塩基性顔料分散剤4 106部を得た。MALDIによる質量分析によって分子量1115の化合物が検出され、塩基性顔料分散剤4は目的とする構造を有することを確認した。
【0059】
<製造例5>
製造例3と同様にして、塩化シアヌルにPR177及び1−メチルピペラジンを順次反応させて、具体例5の塩基性顔料分散剤5 98部を得た。MALDIによる質量分析によって分子量994の化合物が検出され、塩基性顔料分散剤5は目的とする構造を有することを確認した。
【0060】
<製造例6>
製造例3と同様にして、塩化シアヌルにPR177及びN,N−ジエチルエチレンジアミンを順次反応させて、具体例6の塩基性顔料分散剤6 103部を得た。MALDIによる質量分析によって分子量1087の化合物が検出され、塩基性顔料分散剤6は目的とする構造を有することを確認した。
【0061】
<製造例7>
製造例3と同様にして、塩化シアヌルにPR177及び1−アミノ−4−メチルピペラジンを順次反応させて、具体例7の塩基性顔料分散剤7 97部を得た。MALDIによる質量分析によって分子量1054の化合物が検出され、塩基性顔料分散剤7は目的とする構造を有することを確認した。
【0062】
(顔料組成物の調製)
<製造例8>
80%硫酸155部に一般式(1)で表される化合物21部を加え、140℃で5時間撹拌した。60℃まで冷却後、製造例1で得た塩基性顔料分散剤1を4.2部添加した。40℃まで冷却した後、1500mLの水中に投入した。析出物をろ過し、中性になるまで水で洗浄してから乾燥させて、顔料組成物1 17.4部を得た。
【0063】
<製造例9>
80%硫酸155部に一般式(1)で表される化合物21部を加え、140℃で5時間撹拌した。60℃まで冷却後、製造例2で得た塩基性顔料分散剤2を4.2部添加した。40℃まで冷却した後、1500mLの水中に投入した。析出物をろ過し、中性になるまで水で洗浄してから乾燥させて、顔料組成物2 17.3部を得た。
【0064】
<製造例10>
80%硫酸155部に一般式(1)で表される化合物21部を加え、140℃で5時間撹拌した。60℃まで冷却後、製造例3で得た塩基性顔料分散剤3を4.2部添加した。40℃まで冷却した後、1500mLの水中に投入した。析出物をろ過し、中性になるまで水で洗浄してから乾燥させて、顔料組成物3 17.3部を得た。
【0065】
<製造例11>
80%硫酸155部に一般式(1)で表される化合物21部を加え、140℃で5時間撹拌した。60℃まで冷却後、製造例4で得た塩基性顔料分散剤4を4.2部添加した。40℃まで冷却した後、1500mLの水中に投入した。析出物をろ過し、中性になるまで水で洗浄してから乾燥させて、顔料組成物4 17.4部を得た。
【0066】
<製造例12>
80%硫酸155部に一般式(1)で表される化合物21部を加え、140℃で5時間撹拌した。60℃まで冷却後、製造例5で得た塩基性顔料分散剤5を4.2部添加した。40℃まで冷却した後、1500mLの水中に投入した。析出物をろ過し、中性になるまで水で洗浄してから乾燥させて、顔料組成物5 17.2部を得た。
【0067】
<製造例13>
80%硫酸155部に一般式(1)で表される化合物21部を加え、140℃で5時間撹拌した。60℃まで冷却後、製造例6で得た塩基性顔料分散剤6を4.2部添加した。40℃まで冷却した後、1500mLの水中に投入した。析出物をろ過し、中性になるまで水で洗浄してから乾燥させて、顔料組成物6 17.4部を得た。
【0068】
<製造例14>
80%硫酸155部に一般式(1)で表される化合物21部を加え、140℃で5時間撹拌した。60℃まで冷却後、製造例7で得た塩基性顔料分散剤7を4.2部添加した。40℃まで冷却した後、1500mLの水中に投入した。析出物をろ過し、中性になるまで水で洗浄してから乾燥させて、顔料組成物7 17.3部を得た。
【0069】
<製造例15>
80%硫酸155部に一般式(1)で表される化合物21部を加え、140℃で5時間撹拌した。60℃まで冷却後、製造例2で得た塩基性顔料分散剤2を2.1部と、製造例4で得た塩基性分散剤4を2.1部添加した。40℃まで冷却した後、1500mLの水中に投入した。析出物をろ過し、中性になるまで水で洗浄してから乾燥させて、顔料組成物8 17.3部を得た。
【0070】
<製造例16>
80%硫酸155部に一般式(1)で表される化合物21部を加え、140℃で5時間撹拌した。60℃まで冷却後、製造例2で得た塩基性顔料分散剤2を1.4部と、製造例4で得た塩基性分散剤4を2.8部添加した。40℃まで冷却した後、1500mLの水中に投入した。析出物をろ過し、中性になるまで水で洗浄してから乾燥させて、顔料組成物9 17.3部を得た。
【0071】
<製造例17>
80%硫酸155部に一般式(1)で表される化合物21部を加え、140℃で5時間撹拌した。60℃まで冷却後、製造例2で得た塩基性顔料分散剤2を2.8部と、製造例4で得た塩基性分散剤4を1.4部添加した。40℃まで冷却した後、1500mLの水中に投入した。析出物をろ過し、中性になるまで水で洗浄してから乾燥させて、顔料組成物10 17.3部を得た。
【0072】
<比較製造例1>
80%硫酸155部に一般式(1)で表される化合物21部を加え、140℃で5時間撹拌した。60℃まで冷却後、製造例4で得た塩基性顔料分散剤4を0.1部添加した。40℃まで冷却した後、1500mLの水中に投入した。析出物をろ過し、中性になるまで水で洗浄してから乾燥させて、顔料組成物11 13.6部を得た。
【0073】
<比較製造例2>
80%硫酸155部に一般式(1)で表される化合物21部を加え、140℃で5時間撹拌した。60℃まで冷却後、製造例4で得た塩基性顔料分散剤4を7.35部添加した。40℃まで冷却した後、1500mLの水中に投入した。析出物をろ過し、中性になるまで水で洗浄してから乾燥させて、顔料組成物12 19.5部を得た。
【0074】
[顔料分散液(カラーフィルター(CF)用顔料着色剤)の調製]
<実施例1>
メタクリル酸/ベンジルアクリレート/スチレン/ヒドロキシエルアクリレートを25/50/15/10のモル比で共重合させて得た、平均分子量が12,000、固形分濃度が40%のアクリル樹脂ワニスを使用し、以下に示す方法に従って顔料分散液を調製した。上記のアクリル樹脂ワニス50部、顔料組成物1を20部、及び溶剤としてプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(以下、「PGMAc」と略記する)20部を混合し、プレミキシングした後、横型ビーズミルを使用して分散処理して、実施例1のCF用顔料着色剤を得た。
【0075】
<実施例2〜10>
顔料組成物1に代えて、顔料組成物2〜10を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして実施例2〜10のCF用顔料着色剤を得た。
【0076】
<比較例1>
顔料組成物1に代えて、顔料組成物11を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして比較例1のCF用顔料着色剤を得た。
【0077】
<比較例2>
顔料組成物1に代えて、顔料組成物12を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして比較例2のCF用顔料着色剤を得た。
【0078】
得られたCF用顔料着色剤の主組成を表1に示す。
【0079】
【0080】
[評価]
実施例1〜10並びに比較例1及び2のCF用顔料着色剤について、(1)流動性、(2)展色面のグロス、(3)塗膜中の異物の有無、及び(4)コントラストを評価した。それぞれの評価方法を以下に示す。また、評価結果を表2に示す。
【0081】
(1)流動性(粘度、貯蔵安定性)
E型粘度計を使用し、各CF用顔料着色剤の調製直後(初期)と、25℃で1ヶ月間放置した後(放置後)の粘度(mPa・s)をそれぞれ測定した。なお、測定条件は、温度:室温(25℃)、ローターの回転数:6rpmとした。また、初期粘度と放置後粘度から粘度変化率((放置後粘度/初期粘度)×100(%))を算出し、以下に示す基準にしたがって貯蔵安定性を評価した。
○:110%以下
△:110%超140%未満
×:140%超
【0082】
(2)展色面のグロス
バーコーター(巻線の太さ0.45mm)を使用してCF用顔料着色剤をポリプロピレンフィルムに展色し、展色面を形成した。形成された展色面のグロスを目視により、及びグロスメーターを使用して観察し、以下に示す基準に従って、「展色面のグロス」を評価した。なお、グロスメーターを使用して観察した場合、展色面のグロスが高いものほど良好であると判定することができる。
◎:非常に良好
○:良好
×:不良
【0083】
(3)塗膜中の異物の有無
スピンナーを使用してCF用顔料着色剤をガラス基板に塗布し、90℃で2分間乾燥後、270℃で30分間加熱して塗膜を形成した。顕微鏡を使用して形成された塗膜の表面(塗布面)を200倍で観察して異物の有無を確認し、以下に示す基準に従って「塗膜中の異物の有無」を評価した。
◎:異物なし
○:わずかに異物あり
×:異物あり
【0084】
(4)コントラスト
スピンナーを使用してCF用顔料着色剤をガラス基板に塗布し、90℃で2分間乾燥後、230℃で30分間加熱して塗膜を形成した。スピンナーの速度を変えて形成した3枚の塗膜について、コントラストメーター(アイシステム社製)で明輝度及び暗輝度を測定し、コントラスト(明輝度/暗輝度)を求めた。また、分光光度計(商品名「U−2000A」、日立製作所社製)で塗膜の色度xを測定した。色度xとコントラストをグラフにプロットして近似直線を引き、色度x=0.650のコントラストを読み取った。比較例2のCF用顔料着色剤で形成した塗膜のコントラストの数値を100%として、その他のCF用顔料着色剤で形成した塗膜のコントラストの相対比(%)を算出し、以下に示す基準に従ってコントラストを評価した。
○:110%以上
△:90%以上110%未満
×:90%未満
【0085】
【0086】
表1に示すように、製造例8〜17で得た顔料組成物1〜10は、顔料の凝集及び経時的な粘度上昇が抑制されたものであることが明らかである。また、顔料組成物1〜10を用いて調製した実施例1〜10のCF用顔料着色剤を使用すれば、展色面のグロスが良好であるとともに、高コントラストで異物が発生しない塗膜を形成することができる。
【0087】
さらに、顔料組成物1〜10を、オフセットインキなどの印刷インキ;ニトロセルロースラッカー、メラミンアルキッド塗料などの各種塗料;塩化ビニール樹脂などの合成樹脂の着色剤に使用して、その適用性を調べた。その結果、いずれの場合にも顔料は凝集せず、良好な分散性を示すことが確認できた。また、最近、高分散性であることが特に要求されている電子写真用乾式又は湿式トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、筆記具用インキなどの調製に顔料組成物1〜10を用いて、その適用性を調べた。その結果、いずれの場合にも優れた分散性を示すことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の製造方法によって製造される顔料組成物は、印刷インキ(オフセットインキ、グラビアインキなど)、各種塗料、プラスチック、顔料捺染剤、電子写真用乾式又は湿式トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、カラーフィルター用レジスト、筆記具用インキなどに配合される組成物として有用である。
【手続補正書】
【提出日】2015年8月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C.I.ピグメントレッド177を含有する顔料組成物の製造方法であって、
下記一般式(1)で表される化合物を、硫酸を80〜90%含有する反応液中で脱スルホン化反応させる工程と、
前記一般式(1)で表される化合物100質量部に対して、0.5〜30質量部の塩基性顔料分散剤を前記反応液に添加する工程と、
前記反応液を水中に投入する工程と、を有し、
前記塩基性顔料分散剤が、下記一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかを含む顔料組成物の製造方法。
(前記一般式(1)中、Mは、それぞれ独立に、水素原子、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、又はストロンチウムを表す)
(前記一般式(2)中、Xは、水素原子又はアシルアミノ基を表し、Yは、5位に水素原子又はアシルアミノ基を有するアントラキノニルアミノ基、フェニルアミノ基、又はフェノキシ基を表し、R1〜R4は、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、R1とR2及びR3とR4は、それぞれ独立に、隣接する窒素原子とともに、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含んでもよい環を形成してもよく、n又はmは、それぞれ独立に、2〜30の数を表す。前記一般式(3)中、R5及びR6は、それぞれ独立に、下記一般式(4)で表される置換基、下記一般式(5)で表される置換基、又は下記式(6)で表される置換基を表す)
(前記一般式(4)中、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はシクロアルキル基を表し、R7とR8は、隣接する窒素原子とともに複素環を形成してもよく、前記複素環は、隣接する窒素原子以外の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含んでもよく、oは、2〜30の数を表す。前記一般式(5)中、R9は、メチル基、イソプロピル基、(4−メトキシフェニル)エチル基、又はピリジル基を表す)
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物を120〜200℃で3〜8時間脱スルホン化反応させるとともに、
前記反応液を60℃以下の温度で水中に投入する請求項1に記載の顔料組成物の製造方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、顔料組成物の製造方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明は、上記に挙げたような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、顔料を含有するインキや塗料などの流動性を著しく改善可能であり、顔料の粒子凝集を防止することができ、且つ、異物の発生を防止しつつ、優れた光沢及び鮮明性を示す着色物品を製造可能な顔料組成物の製造方法を提供することにある。また、本発明の課題は、顔料の凝集による経時的な増粘が抑制され、貯蔵安定性に優れた顔料組成物の製造方法、及び貯蔵安定性に優れる顔料組成物の製造方法を提供することにある。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
すなわち、本発明によれば、以下に示す顔料組成物が提供される。
[1]C.I.ピグメントレッド177を含有する顔料組成物の製造方法であって、下記一般式(1)で表される化合物を、硫酸を80〜90%含有する反応液中で脱スルホン化反応させる工程と、前記一般式(1)で表される化合物100質量部に対して、0.5〜30質量部の塩基性顔料分散剤を前記反応液に添加する工程と、前記反応液を水中に投入する工程と、を有し、前記塩基性顔料分散剤が、下記一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物の少なくともいずれかを含む顔料組成物の製造方法。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
(前記一般式(1)中、Mは、それぞれ独立に、水素原子、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、又はストロンチウムを表す)
(前記一般式(2)中、Xは、水素原子又はアシルアミノ基を表し、Yは、5位に水素原子又はアシルアミノ基を有するアントラキノニルアミノ基、フェニルアミノ基、又はフェノキシ基を表し、R1〜R4は、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、R1とR2及びR3とR4は、それぞれ独立に、隣接する窒素原子とともに、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含んでもよい環を形成してもよく、n又はmは、それぞれ独立に、2〜30の数を表す。前記一般式(3)中、R5及びR6は、それぞれ独立に、下記一般式(4)で表される置換基、下記一般式(5)で表される置換基、又は下記式(6)で表される置換基を表す)
(前記一般式(4)中、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又はシクロアルキル基を表し、R7とR8は、隣接する窒素原子とともに複素環を形成してもよく、前記複素環は、隣接する窒素原子以外の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含んでもよく、oは、2〜30の数を表す。前記一般式(5)中、R9は、メチル基、イソプロピル基、(4−メトキシフェニル)エチル基、又はピリジル基を表す)
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
[2]前記一般式(1)で表される化合物を120〜200℃で3〜8時間脱スルホン化反応させるとともに、前記反応液を60℃以下の温度で水中に投入する前記[1]に記載の顔料組成物の製造方法
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
[顔料分散液(カラーフィルター(CF)用顔料着色剤)の調製]
参考例1>
メタクリル酸/ベンジルアクリレート/スチレン/ヒドロキシエルアクリレートを25/50/15/10のモル比で共重合させて得た、平均分子量が12,000、固形分濃度が40%のアクリル樹脂ワニスを使用し、以下に示す方法に従って顔料分散液を調製した。上記のアクリル樹脂ワニス50部、顔料組成物1を20部、及び溶剤としてプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(以下、「PGMAc」と略記する)20部を混合し、プレミキシングした後、横型ビーズミルを使用して分散処理して、参考例1のCF用顔料着色剤を得た。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
参考例2〜10>
顔料組成物1に代えて、顔料組成物2〜10を用いたこと以外は、前述の参考例1と同様にして参考例2〜10のCF用顔料着色剤を得た。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
<比較例1>
顔料組成物1に代えて、顔料組成物11を用いたこと以外は、前述の参考例1と同様にして比較例1のCF用顔料着色剤を得た。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
<比較例2>
顔料組成物1に代えて、顔料組成物12を用いたこと以外は、前述の参考例1と同様にして比較例2のCF用顔料着色剤を得た。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
[評価]
参考例1〜10並びに比較例1及び2のCF用顔料着色剤について、(1)流動性、(2)展色面のグロス、(3)塗膜中の異物の有無、及び(4)コントラストを評価した。それぞれの評価方法を以下に示す。また、評価結果を表2に示す。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
表1に示すように、製造例8〜17で得た顔料組成物1〜10は、顔料の凝集及び経時的な粘度上昇が抑制されたものであることが明らかである。また、顔料組成物1〜10を用いて調製した参考例1〜10のCF用顔料着色剤を使用すれば、展色面のグロスが良好であるとともに、高コントラストで異物が発生しない塗膜を形成することができる。