【解決手段】少なくとも貼合される側の面に段差を有する一の表示体構成部材21と、他の表示体構成部材22とを貼合するための粘着剤層11を有する粘着シート1であって、粘着剤層11が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、熱架橋剤(B)と、紫外線吸収剤(C)とを含有する粘着性組成物を熱架橋してなる粘着剤からなり、粘着剤層11のヘイズ値が2%以下であり、粘着剤層11の波長360nmの光線透過率が1%以下である粘着シート1。
前記紫外線吸収剤(C)は、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物およびトリアジン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の粘着シート。
前記粘着剤層中における前記紫外線吸収剤(C)の含有量をX質量%、前記粘着剤層の厚さをYμmとしたときに、以下の式(I)が成立することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着シート。
50≦X×Y≦500 …(I)
前記粘着剤層のCIE1976L*a*b*表色系により規定される透過色相b*は、−2.0〜2.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着シート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔粘着シート〕
本実施形態に係る粘着シートは、少なくとも貼合される側の面に段差を有する一の表示体構成部材と、他の表示体構成部材とを貼合するための粘着剤層を有する。粘着シートの具体的な構成、表示体および表示体構成部材については、後述する。
【0022】
本実施形態に係る粘着シートの粘着剤層は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、熱架橋剤(B)と、紫外線吸収剤(C)とを含有する粘着性組成物(以下「粘着性組成物P」という場合がある。)を熱架橋してなる粘着剤からなる。また、当該粘着剤層のヘイズ値は2%以下であり、当該粘着剤層の波長360nmの光線透過率は1%以下である。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。また、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
【0023】
上記粘着剤層は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、熱架橋剤(B)と、紫外線吸収剤(C)とを含有する粘着性組成物Pを熱架橋してなる粘着剤からなり、硬化のために紫外線照射を必要としないため、紫外線吸収剤(C)を含有していても、当該紫外線吸収剤(C)による硬化阻害の問題がない。したがって、上記粘着剤層は十分に硬化(架橋)することができ、耐ブリスター性に優れたものとなる。例えば、本実施形態に係る粘着シートを使用して得たディスプレイが湿熱条件下(例えば、80℃、85%RH)に置かれ、プラスチック板等からなる表示体構成部材からアウトガスが発生した場合でも、粘着剤層と表示体構成部材との界面において気泡、浮き、剥がれ等のブリスターが発生することが抑制される。
【0024】
また、上記粘着剤層を構成する粘着剤は紫外線吸収剤(C)を含有し、上記粘着剤層の波長360nmの光線透過率は1%以下であるため、上記粘着剤層は、非常に優れた紫外線吸収能を有する。したがって、本実施形態に係る粘着シートの粘着剤層は、紫外線による悪影響を受け難く、耐候性に優れる。また、ディスプレイにおいて上記粘着剤層よりも深い位置に存在する内部部材も、上記粘着剤層の優れた紫外線吸収作用により、紫外線の悪影響を受け難く、耐候性に優れる。例えば、上記粘着剤層よりも深い位置に、ハードコート層を有するプラスチックフィルムが存在する場合において、上記粘着剤層側から紫外線を多量に照射したとしても、上記粘着剤層の優れた紫外線吸収作用により、ハードコート層がプラスチックフィルムから剥離することが抑制される。なお、ハードコート層は一例であって、この他にも透明導電膜や液晶等種々の光学材料の紫外線による劣化の抑制が期待できる。
【0025】
さらに、上記粘着剤層を構成する粘着剤のヘイズ値は2%以下であるため、上記粘着剤層は透明性が非常に高く、光学用途(ディスプレイ用)として好適である。
【0026】
(1)(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)
前述した通り、本実施形態に係る粘着シートの粘着剤層は、耐ブリスター性に優れる。ここで、本実施形態に係る粘着シートの粘着剤層は、貼合される側の面に段差を有する表示体構成部材を貼合するものである。仮に粘着剤層がその段差に追従しないと、段差近傍で粘着剤層が浮いてしまい、それにより光の反射損失が生じるおそれがある。そのため、上記粘着剤層は、段差追従性を有することが好ましい。耐ブリスター性および段差追従性の観点から、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、−50〜0℃であることが好ましく、特に−45〜−10℃であることが好ましく、さらには−40〜−20℃であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が上記の範囲にあることにより、粘着剤層は耐ブリスター性および段差追従性の両方に優れたものとなる。なお、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、各モノマーのホモポリマーとしてのガラス転移温度(Tg)に基づき、FOXの式により算出したものとする。
【0027】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することで、好ましい粘着性を発現することができる。かかる観点から、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50〜95質量%含有することが好ましく、特に60〜90質量%含有することが好ましく、さらには70〜85質量%含有することが好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%以上含有すると、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は好適な粘着性を発揮することができる。また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを95質量%以下とすることにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)中に他のモノマー成分を好適な量導入することができる。
【0028】
アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等が挙げられ、中でも、粘着性をより向上させる観点から、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸エステルが含まれることが好ましい。これらの中から、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が前述した範囲となるように、1種または2種以上のモノマーを適宜選択することが好ましい。
【0029】
また、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、ホモポリマーとしてのガラス転移温度(Tg)が0℃を超えるモノマー(ハードモノマー)と、ホモポリマーとしてのガラス転移温度(Tg)が0℃以下のモノマー(ソフトモノマー)とを組み合わせて使用することも好ましい。ソフトモノマーにより粘着性および柔軟性を確保しつつ、ハードモノマーで凝集力を向上させることにより、耐ブリスター性および段差追従性をより優れたものにすることができるからである。この場合、ハードモノマーとソフトモノマーとの質量比は、5:95〜40:60であることが好ましく、特に20:80〜30:70であることが好ましい。
【0030】
上記ハードモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル(Tg10℃)、メタクリル酸メチル(Tg105℃)、アクリル酸イソボルニル(Tg94℃)、メタクリル酸イソボルニル(Tg180℃)、アクリル酸アダマンチル(Tg115℃)、メタクリル酸アダマンチル(Tg141℃)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
上記ハードモノマーの中でも、粘着性や透明性等の他の特性への悪影響を防止しつつハードモノマーの性能をより発揮させる観点から、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸イソボルニルが好ましい。粘着性をも考慮すると、アクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルがより好ましい。
【0032】
上記ソフトモノマーとしては、炭素数が2〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが好ましく挙げられる。例えば、アクリル酸2−エチルヘキシル(Tg−70℃)、アクリル酸n−ブチル(Tg−54℃)等が好ましく挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、反応性官能基含有モノマーを含むことが好ましい。この反応性官能基含有モノマー由来の反応性官能基が熱架橋剤(B)と反応して、架橋構造(三次元網目構造)が形成され、所望の凝集力を有する粘着剤が得られる。
【0034】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として含有する反応性官能基含有モノマーとしては、分子内に水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)、分子内にカルボキシル基を有するモノマー(カルボキシル基含有モノマー)、分子内にアミノ基を有するモノマー(アミノ基含有モノマー)などが好ましく挙げられる。これらの中でも、イソシアネート系架橋剤またはエポキシ系架橋剤との反応性に優れた水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーが好ましく、透明導電膜等への貼付をも考慮に入れると、水酸基含有モノマーが特に好ましい。
【0035】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)における水酸基の熱架橋剤(B)との反応性および他の単量体との共重合性の点から(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルまたは(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)におけるカルボキシル基の熱架橋剤(B)との反応性および他の単量体との共重合性の点からアクリル酸が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルアミノエチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、三次元網目構造を良好に形成し、耐ブリスター性を付与する観点から、反応性官能基含有モノマーを5質量%以上含有することが好ましく、10質量%含有することがより好ましい。さらには、湿熱条件下に曝した後、常温常湿下に取出した際に見られる白化現象を抑える観点から、反応性官能基含有モノマーを15質量%以上含有することが特に好ましい。一方、適切な粘着性が得られ易いという観点から、反応性官能基含有モノマーの含有量は、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。
【0039】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、所望により、当該重合体を構成するモノマー単位として、他のモノマーを含有してもよい。他のモノマーとしては、反応性官能基含有モノマーの作用を妨げないためにも、反応性を有する官能基を含まないモノマーが好ましい。かかる他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリロイルモルホリン等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0041】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は20万〜100万であることが好ましく、特に30万〜90万であることが好ましく、さらに40万〜70万であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
【0042】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量が上記のように比較的低い範囲内にあることにより、段差追従性により優れた粘着剤が得られる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量が100万を超えると、段差追従性に劣るものとなる場合がある。一方、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量が20万以上であると、粘着剤が耐久性に優れたものとなる。
【0043】
なお、粘着性組成物Pにおいて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
(2)熱架橋剤(B)
熱架橋剤(B)を含有する粘着性組成物Pを加熱すると、熱架橋剤(B)は(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を架橋し、三次元網目構造を形成する。これにより、得られる粘着剤の凝集力が向上し、当該粘着剤に耐ブリスター性を付与することができる。
【0045】
上記熱架橋剤(B)としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性官能基と反応するものであればよく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。上記の中でも、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性官能基が水酸基の場合、水酸基との反応性に優れたイソシアネート系架橋剤を使用することが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性官能基がカルボキシル基の場合、カルボキシル基との反応性に優れたエポキシ系架橋剤を使用することが好ましい。なお、熱架橋剤(B)は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】
イソシアネート系架橋剤は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。中でも水酸基との反応性の観点から、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネート、特にトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートおよびトリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネートが好ましい。
【0047】
エポキシ系架橋剤としては、例えば、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。
【0048】
粘着性組成物P中における熱架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.001〜2質量部であることが好ましく、特に0.01〜1質量部であることが好ましく、さらには0.02〜0.3質量部であることが好ましい。熱架橋剤(B)の含有量が0.001質量部以上であると、得られる粘着剤に耐久性向上効果を付与することができる。熱架橋剤(B)の含有量が2質量部以下であると、架橋の程度を適度なものとし、得られる粘着剤の段差追従性を良好に確保することが可能である。
【0049】
(3)紫外線吸収剤(C)
紫外線吸収剤(C)としては、粘着剤層の波長360nmの光線透過率および粘着剤層のヘイズ値を所望の値にすることができるものであれば、特に限定されずに使用することができる。好ましくは、粘着剤層の着色が少なく、粘着剤層が無色透明に近くなるものを使用する。具体的には、粘着剤層のCIE1976L*a*b*表色系により規定される透過色相b*が、後述する範囲となるものを使用することが好ましい。
【0050】
紫外線吸収剤(C)としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾオキサジノン系、トリアジン系、フェニルサリシレート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の化合物が挙げられ、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
上記紫外線吸収剤(C)の中でも、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物またはトリアジン系化合物を使用することが好ましい。これらの化合物は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)との相溶性が良好であるため、粘着剤層のヘイズ値を所望の値にし易く、また、上記透過色相b*を後述する範囲にし易い。
【0052】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸水和物、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等が好ましく挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、オクチル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]フェニル)プロピオネート、2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]フェニル)プロピオネート等が好ましく挙げられる。トリアジン系化合物としては、例えば、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)―1,3−5−トリアジン、2−[4,6−ジ(2,4−キシリル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−オクチルオキシフェノール等が好ましく挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
粘着性組成物P中における紫外線吸収剤(C)の含有量は、以下の条件を満たす量であることが好ましい。すなわち、粘着剤層中における紫外線吸収剤(C)の含有量をX質量%、粘着剤層の厚さをYμmとしたときに、以下の式(I)が成立する量であることが好ましい。
50≦X×Y≦500 …(I)
紫外線吸収剤(C)の含有量が上記条件を満たす量であることにより、前述した粘着剤層の波長360nmの光線透過率およびヘイズ値がより効果的に満たされ易くなる。
【0054】
上記の観点から、上記式(I)におけるX×Yの下限値は、50以上であることが好ましく、特に70以上であることが好ましい。また、上記式(I)におけるX×Yの上限値は、500以下であることが好ましく、特に400以下であることが好ましい。
【0055】
(4)各種添加剤
粘着性組成物Pには、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えばシランカップリング剤、帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、屈折率調整剤などを添加することができる。
【0056】
(5)粘着性組成物の製造
粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を製造し、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、熱架橋剤(B)と、紫外線吸収剤(C)とを混合するとともに、所望により添加剤を加えることで製造することができる。
【0057】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、重合体を構成するモノマーの混合物を通常のラジカル重合法で重合することにより製造することができる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合は、所望により重合開始剤を使用して、溶液重合法により行うことが好ましい。重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。
【0058】
重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。アゾ系化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
【0059】
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
【0060】
なお、上記重合工程において、2−メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を配合することにより、得られる重合体の重量平均分子量を調節することができる。
【0061】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が得られたら、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の溶液に、熱架橋剤(B)、紫外線吸収剤(C)、ならびに所望により希釈溶剤および添加剤を添加し、十分に混合することにより、溶剤で希釈された粘着性組成物P(塗布溶液)を得る。なお、上記各成分のいずれかにおいて、固体状のものを用いる場合、あるいは、希釈されていない状態で他の成分と混合した際に析出を生じる場合には、その成分を単独で予め希釈溶媒に溶解もしくは希釈してから、その他の成分と混合してもよい。
【0062】
上記希釈溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが用いられる。
【0063】
このようにして調製された塗布溶液の濃度・粘度としては、コーティング可能な範囲であればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。例えば、粘着性組成物Pの濃度が10〜60質量%となるように希釈する。なお、塗布溶液を得るに際して、希釈溶剤等の添加は必要条件ではなく、粘着性組成物Pがコーティング可能な粘度等であれば、希釈溶剤を添加しなくてもよい。この場合、粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合溶媒をそのまま希釈溶剤とする塗布溶液となる。
【0064】
(6)粘着剤の製造
以上の粘着性組成物Pを、所望の対象物に塗布した後、熱架橋することにより、粘着剤(粘着剤層)が得られる。
【0065】
粘着性組成物Pの熱架橋は、加熱処理によって行うことができる。この加熱処理は、粘着性組成物Pの塗布後の乾燥処理で兼ねることもできる。加熱処理の加熱温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に70〜120℃であることが好ましい。また、加熱時間は、10秒〜10分であることが好ましく、特に50秒〜2分であることが好ましい。
【0066】
加熱処理後、必要に応じて、常温(例えば、23℃、50%RH)で1〜2週間程度の養生期間を設けてもよい。この養生期間が必要な場合は、養生期間経過後、養生期間が不要な場合には、加熱処理終了後、粘着剤が形成される。
【0067】
上記の加熱処理(及び養生)により、熱架橋剤(B)を介して(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が十分に架橋される。このようにして得られる粘着剤層は、硬化阻害の問題がなく、耐ブリスター性に優れたものとなる。
【0068】
(7)粘着剤層の厚さ
本実施形態に係る粘着シートの粘着剤層の厚さ(JIS K7130に準じて測定した値)は、10〜1000μmであることが好ましく、30〜400μmであることがより好ましく、特に50〜300μmであることが好ましい。なお、粘着剤層は単層で形成してもよいし、複数層を積層して形成することもできる。
【0069】
粘着剤層の厚さが10μm以上であると、所望の粘着力を発揮し易く、また、表示体構成部材の通常の段差に対して十分な段差追従性を確保することができる。また、粘着剤層の厚さが1000μm以下であると、加工性が良好なものとなる。
【0070】
(8)粘着剤層の物性
(8−1)ヘイズ値
本実施形態に係る粘着シートの粘着剤層のヘイズ値は、前述した通り2%以下であり、好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、さらに好ましくは0.5%以下である。粘着剤層のヘイズ値が2%以下であると、透明性が非常に高く、光学用途(表示体用)として好適である。かかるヘイズ値は、紫外線吸収剤(C)の種類を適宜選択することにより、達成することが可能である。なお、本明細書におけるヘイズ値は、JIS K7136:2000に準じて測定した値とする。
【0071】
(8−2)光線透過率
本実施形態に係る粘着シートの粘着剤層の波長360nmの光線透過率は、前述した通り1%以下であり、好ましくは0.8%以下であり、特に好ましくは0.5%以下である。波長360nmの光線透過率の下限値は、0%であることが好ましいが、光学用途としての可視光線透過率を考慮すると、現実的には0.01%程度である。粘着剤層の波長360nmの光線透過率が1%以下であると、紫外線の透過率が非常に小さいため、上記粘着剤層は、紫外線による悪影響を受け難く、耐候性に優れる。また、ディスプレイにおいて上記粘着剤層よりも深い位置に存在する内部部材も、紫外線の悪影響を受け難く、耐候性に優れる。なお、本明細書における光線透過率は、積分球を使用せずに測定した値とし、測定器具としては分光光度計を使用する。
【0072】
(8−3)透過色相b*
本実施形態に係る粘着シートの粘着剤層のCIE1976L*a*b*表色系により規定される透過色相b*は、−2.0〜2.0であることが好ましく、特に−1.5〜1.5であることが好ましく、さらには−1.0〜1.0であることが好ましい。粘着剤層の透過色相b*が上記の範囲にあることにより、当該粘着剤層は着色が少ないものとなり、ディスプレイ用として特に好適なものとなる。かかる透過色相b*は、紫外線吸収剤(C)の種類を適宜選択することにより、達成することが可能である。なお、本明細書における透過色相b*の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
【0073】
(8−4)段差追従率
本実施形態に係る粘着シートの粘着剤層は、下記の式で示される段差追従率(%)が、20%以上であることが好ましく、特に25〜80%であることが好ましく、さらには30〜70%であることが好ましい。
段差追従率(%)={(所定耐久試験後、隙間や気泡無く埋められた状態が維持された段差の高さ(μm))/(粘着剤層の厚み)}×100
なお、段差追従率の試験方法は、後述する試験例に示す通りである。
【0074】
前述した通り、本実施形態に係る粘着シートの粘着剤層は、貼合される側の面に段差を有する表示体構成部材を貼合するものである。粘着剤層の段差追従率が上記の範囲にあることにより、当該粘着剤層は表示体構成部材の段差に良好に追従し、段差近傍で粘着剤層が浮くことが抑制され、それによって光の反射損失が生じることが抑制される。上記範囲の段差追従率は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)等を適宜調整することにより、達成することが可能である。
【0075】
(9)粘着シートの具体的構成
本実施形態に係る粘着シートの一例としての具体的構成を
図1に示す。
図1に示すように、一実施形態に係る粘着シート1は、2枚の剥離シート12a,12bと、それら2枚の剥離シート12a,12bの剥離面と接するように当該2枚の剥離シート12a,12bに挟持された粘着剤層11とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
【0076】
上記剥離シート12a,12bは、粘着シートの使用時まで粘着剤層を保護するものであり、粘着シート(粘着剤層)を使用するときに剥離される。本実施形態に係る粘着シート1において、剥離シート12a,12bの一方または両方は必ずしも必要なものではない。
【0077】
剥離シート12a,12bとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
【0078】
上記剥離シート12a,12bの剥離面(特に粘着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。なお、剥離シート12a,12bのうち、一方の剥離シートを剥離力の大きい重剥離型剥離シートとし、他方の剥離シートを剥離力の小さい軽剥離型剥離シートとすることが好ましい。
【0079】
剥離シート12a,12bの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
【0080】
(10)粘着シートの製造
粘着シート1の一製造例としては、一方の剥離シート12a(または12b)の剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成した後、その塗布層に他方の剥離シート12b(または12a)の剥離面を重ね合わせる。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1が得られる。加熱処理および養生の条件については、前述した通りである。
【0081】
粘着シート1の他の製造例としては、一方の剥離シート12aの剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成して、塗布層付きの剥離シート12aを得る。また、他方の剥離シート12bの剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成して、塗布層付きの剥離シート12bを得る。そして、塗布層付きの剥離シート12aと塗布層付きの剥離シート12bとを、両塗布層が互いに接触するように貼り合わせる。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記の積層された塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1が得られる。この製造例によれば、粘着剤層11が厚い場合であっても、安定して製造することが可能となる。
【0082】
上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を利用することができる。
【0083】
〔表示体〕
図2に示すように、本実施形態に係る表示体2は、少なくとも貼合される側の面に段差を有する第1の表示体構成部材21(一の表示体構成部材)と、第2の表示体構成部材22(他の表示体構成部材)と、それらの間に位置し、第1の表示体構成部材21および第2の表示体構成部材22を互いに貼合する粘着剤層11とを備えて構成される。本実施形態に係る表示体2では、第1の表示体構成部材21は、粘着剤層11側の面に段差を有しており、具体的には、印刷層3による段差を有している。
【0084】
上記表示体2における粘着剤層11は、前述した粘着シート1の粘着剤層11である。
【0085】
表示体2としては、例えば、液晶(LCD)ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられ、タッチパネルであってもよい。また、表示体2としては、それらの一部を構成する部材であってもよい。
【0086】
第1の表示体構成部材21は、ガラス板、プラスチック板等の他、それらを含む積層体などからなる保護板であることが好ましい。この場合、印刷層3は、第1の表示体構成部材21における粘着剤層11側に、額縁状に形成されることが一般的である。
【0087】
上記ガラス板としては、特に限定されることなく、例えば、化学強化ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ソーダライムガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、アルミノケイ酸ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス等が挙げられる。ガラス板の厚さは、特に限定されないが、通常は0.1〜5mmであり、好ましくは0.2〜2mmである。
【0088】
上記プラスチック板としては、特に限定されることなく、例えば、アクリル板、ポリカーボネート板等が挙げられる。プラスチック板の厚さは、特に限定されないが、通常は0.2〜5mmであり、好ましくは0.4〜3mmである。
【0089】
なお、上記ガラス板やプラスチック板の片面または両面には、各種の機能層(透明導電膜、金属層、シリカ層、ハードコート層、防眩層等)が設けられていてもよいし、光学部材が積層されていてもよい。また、透明導電膜および金属層は、パターニングされていてもよい。
【0090】
第2の表示体構成部材22は、第1の表示体構成部材21に貼付されるべき光学部材、表示体モジュール(例えば、液晶(LCD)モジュール、発光ダイオード(LED)モジュール、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)モジュール等)、表示体モジュールの一部としての光学部材、または表示体モジュールを含む積層体であることが好ましい。
【0091】
上記光学部材としては、例えば、飛散防止フィルム、偏光板(偏光フィルム)、偏光子、位相差板(位相差フィルム)、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム、液晶ポリマーフィルム、拡散フィルム、半透過反射フィルム、透明導電性フィルム等が挙げられる。飛散防止フィルムとしては、基材フィルムの片面にハードコート層が形成されてなるハードコートフィルム等が例示される。
【0092】
印刷層3を構成する材料は特に限定されることなく、印刷用の公知の材料が使用される。印刷層3の厚さ、すなわち段差の高さは、3〜45μmであることが好ましく、特に5〜35μmであることが好ましく、さらには7〜25μmであることが好ましく、10〜20μmであることが最も好ましい。
【0093】
上記表示体2を製造するには、一例として、粘着シート1の一方の剥離シート12aを剥離して、粘着シート1の露出した粘着剤層11を、第1の表示体構成部材21の印刷層3が存在する側の面に貼合する。その後、粘着シート1の粘着剤層11から他方の剥離シート12bを剥離して、粘着シート1の露出した粘着剤層11と第2の表示体構成部材22とを貼合する。また、他の例として、第1の表示体構成部材21および第2の表示体構成部材22の貼合順序を入れ替えてもよい。
【0094】
以上の表示体2においては、例えば湿熱条件下(例えば、80℃、85%RH)に置かれて、第1の表示体構成部材21および/または第2の表示体構成部材22からアウトガスが発生したとしても、粘着剤層11が耐ブリスター性に優れるものであるため、粘着剤層11と第1の表示体構成部材21および/または第2の表示体構成部材22との界面において気泡、浮き、剥がれ等のブリスターが発生することが抑制される。
【0095】
また、上記表示体2の粘着剤層11は、非常に優れた紫外線吸収能を有するため、紫外線による悪影響を受け難く、耐候性に優れる。さらに、表示体2に対して第1の表示体構成部材21側から紫外線が照射された場合、当該紫外線は粘着剤層11にて吸収されるため、第2の表示体構成部材22も紫外線の悪影響を受け難く、耐候性に優れる。例えば、第2の表示体構成部材22が、基材フィルムの片面にハードコート層が形成されてなるハードコートフィルムの場合、紫外線によってハードコート層が基材フィルムから剥離することが抑制される。
【0096】
さらに、上記粘着剤層11は段差追従性に優れるため、表示体2が、例えば湿熱条件下(例えば、80℃、85%RH)に置かれた場合でも、段差近傍に気泡、浮き、剥がれ等が発生することが抑制される。
【0097】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0098】
例えば、粘着シート1における剥離シート12a,12bのいずれか一方または両方は省略されてもよく、また、剥離シート12aおよび/または12bの替わりに所望の光学部材が積層されてもよい。また、第1の表示体構成部材21は、印刷層3以外の段差を有するものであってもよい。さらには、第1の表示体構成部材21のみならず、第2の表示体構成部材22も粘着剤層11側に段差を有するものであってもよい。
【実施例】
【0099】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0100】
〔実施例1〕
1.(メタ)アクリル酸エステル重合体の調製
アクリル酸n−ブチル60質量部、アクリル酸メチル20質量部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル20質量部を共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)60万であった。
【0101】
2.粘着性組成物の調製
上記工程1で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、熱架橋剤(B)としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(トーヨーケム社製,製品名「BHS8515」)0.23質量部と、紫外線吸収剤(C)(ベンゾフェノン系)としての2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(日本サイテックインダストリーズ社製,製品名「サイアソーブUV24」)1.7質量部(1.7質量%)とを混合し、十分に撹拌して、メチルエチルケトンで希釈することにより、固形分濃度35質量%の粘着性組成物(熱架橋タイプ)の塗布溶液を得た。
【0102】
3.粘着シートの製造
得られた粘着性組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した重剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET752150」)の剥離処理面に、ナイフコーターで塗布した。そして、塗布層に対し、90℃で1分間加熱処理して塗布層を形成した。
【0103】
次いで、上記で得られた重剥離型剥離シート上の塗布層と、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した軽剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET382120」)とを、当該軽剥離型剥離シートの剥離処理面が塗布層に接触するように貼合し、23℃、50%RHの条件下で7日間養生することにより、重剥離型剥離シート/粘着剤層(厚さ:50μm)/軽剥離型剥離シートの構成からなる粘着シートを作製した。なお、粘着剤層の厚さは、JIS K7130に準拠し、定圧厚さ測定器(テクロック社製,製品名「PG−02」)を使用して測定した値である。
【0104】
〔実施例2〕
アクリル酸2−エチルヘキシル60質量部、メタクリル酸メチル20質量部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル20質量部を共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)70万であった。
【0105】
上記で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を使用し、固形分濃度を40質量%とする以外、実施例1と同様にして粘着性組成物(熱架橋タイプ)の塗布溶液を調製した。得られた粘着性組成物の塗布溶液を使用し、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0106】
〔実施例3〕
紫外線吸収剤(C)の配合量を3.1質量部(3.0質量%)とする以外、実施例1と同様にして粘着性組成物(熱架橋タイプ)の塗布溶液を調製し、粘着シートを作製した。
【0107】
〔実施例4〕
紫外線吸収剤(C)(ベンゾトリアゾール系(1))として、オクチル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]フェニル)プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]フェニル)プロピオネートとの混合物(EVERLIGHT CHEMICAL INDUSTRIAL CORP.社製,製品名「EVERSORB 109」)を使用し、その配合量を2.0質量部(2.0質量%)とする以外、実施例1と同様にして粘着性組成物(熱架橋タイプ)の塗布溶液を調製し、粘着シートを作製した。
【0108】
〔実施例5〕
紫外線吸収剤(C)の配合量を7.5質量部(7.0質量%)とする以外、実施例4と同様にして粘着性組成物(熱架橋タイプ)の塗布溶液を調製し、粘着シートを作製した。
【0109】
〔実施例6〕
紫外線吸収剤(C)の配合量を0.6質量部(0.6質量%)とする以外、実施例4と同様にして粘着性組成物(熱架橋タイプ)の塗布溶液を調製した。また、得られた粘着性組成物の塗布溶液を使用し、粘着剤層の厚さを175μmとする以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。なお、当該粘着剤層は、実施例1と同様にして作製した粘着剤層を3層積層したものである。
【0110】
〔実施例7〕
紫外線吸収剤(C)(トリアジン系)として、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)―1,3−5−トリアジン(BASF社製,製品名「TINUBIN 460」)を使用し、その配合量を3.1質量部(3.0質量%)とする以外、実施例1と同様にして粘着性組成物(熱架橋タイプ)の塗布溶液を調製し、粘着シートを作製した。
【0111】
〔実施例8〕
紫外線吸収剤(C)の配合量を6.4質量部(6.0質量%)とする以外、実施例1と同様にして粘着性組成物(熱架橋タイプ)の塗布溶液を調製し、粘着シートを作製した。
【0112】
〔実施例9〕
紫外線吸収剤(C)(ベンゾトリアゾール系(2))として、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(BASF社製,製品名「TINUVIN PS」)を使用し、その配合量を3.1質量部(3.0質量%)とする以外、実施例1と同様にして粘着性組成物(熱架橋タイプ)の塗布溶液を調製し、粘着シートを作製した。
【0113】
〔比較例1〕
紫外線吸収剤(C)を配合しない以外、実施例1と同様にして粘着性組成物の塗布溶液(熱架橋タイプ)を調製し、粘着シートを作製した。
【0114】
〔比較例2〕
1.(メタ)アクリル酸エステル重合体の調製
アクリル酸2−エチルヘキシル60質量部、アクリル酸イソボルニル30質量部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル10質量部を共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)3万であった。
【0115】
2.粘着性組成物の調製
上記工程1で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部と、アクリル酸エステルモノマーとしてのアクリル酸イソボルニル60質量部およびアクリル酸2−エチルヘキシル60質量部と、光重合開始剤としての2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF社製,製品名「ルシリンTPO」)0.88質量部とを混合し、十分に撹拌して、固形分濃度100質量%の粘着性組成物(紫外線硬化タイプ)の塗布溶液を得た。
【0116】
3.粘着シートの製造
得られた粘着性組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した重剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET752150」)の剥離処理面に、ナイフコーターで塗布した。そして、塗布層側から照度100mW/cm
2、光量50mJ/cm
2の紫外線を照射した。
【0117】
次いで、上記で得られた重剥離型剥離シート上の塗布層と、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した軽剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET382120」)とを、当該軽剥離型剥離シートの剥離処理面が塗布層に接触するように貼合した。その後、軽剥離型剥離シート側から照度300mW/cm
2、光量1000mJ/cm
2の紫外線を照射することにより、重剥離型剥離シート/粘着剤層(厚さ:175μm)/軽剥離型剥離シートの構成からなる粘着シートを作製した。
【0118】
〔比較例3〕
比較例2における粘着性組成物に実施例4と同じ紫外線吸収剤(C)(ベンゾトリアゾール系(1))を0.6質量部(0.6質量%)配合する以外、比較例2と同様にして粘着性組成物(紫外線硬化タイプ)の塗布溶液を調製し、粘着シートを作製した。
【0119】
〔比較例4〕
紫外線吸収剤(C)の配合量を6.4質量部(6.0質量%)とする以外、実施例7と同様にして粘着性組成物(熱架橋タイプ)の塗布溶液を調製し、粘着シートを作製した。
【0120】
ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC−8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
【0121】
〔試験例1〕
実施例および比較例で調製した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のガラス転移温度(Tg;℃)を、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を構成する各モノマーのホモポリマーとしてのガラス転移温度(Tg)に基づき、FOXの式により算出した。結果を表1に示す。
【0122】
〔試験例2〕
実施例および比較例で形成した粘着剤層(粘着性組成物)中における紫外線吸収剤(C)の含有量をX質量%、粘着剤層の厚さをYμmとしたときの、X×Yを計算した。結果を表1に示す。
【0123】
〔試験例3〕(ヘイズ値の測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートの粘着剤層について、JIS K7361−1:1997に準じて、ヘイズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH−2000」)を用いてヘイズ値(%)を測定した。結果を表1に示す。
【0124】
〔試験例4〕(透過率の測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートの粘着剤層について、分光光度計(SHIMADZU社製,製品名「UV−VIS−NIR SPECTROPHOTOMETER UV−3600」)を用いて透過率を測定し、波長360nmの光線透過率(%)を抽出した。測定には、付属の大形試料室MPC−3100を用い、内蔵の積分球を使用せずに測定を行った。結果を表1に示す。
【0125】
〔試験例5〕(透過色相b*の測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートの粘着剤層について、同時測光分光式色度計(日本電色工業社製,製品名「SQ2000」)を使用し、CIE1976L*a*b*表色系により規定される透過色相b*を測定した。結果を表1に示す。
【0126】
〔試験例6〕(耐候性の評価)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート100質量部に1−ヒドロキシ-シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製,商品名「Irgacure 184」)3質量部を添加し、トルエンによって固形分濃度30質量%に希釈することにより、ハードコート層形成用塗液を得た。
【0127】
得られたハードコート層形成用塗液を、基材フィルムとしての、片面に易接着剤層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製,商品名「A4300」,厚さ100μm)の易接着層上に塗布し、70℃のオーブンで1分間乾燥させた後、高圧水銀ランプで光量300mJ/cm
2の紫外線を照射した。これにより、基材フィルム上に厚さ5μmのハードコート層を有するハードコートフィルムを作製した。
【0128】
実施例および比較例で得られた粘着シートから軽剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層を、上記ハードコートフィルムの基材フィルム側に貼付した。次いで、その粘着剤層から重剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層を、ガラス板(NSGプレシジョン社製,製品名「コーニングガラス イーグルXG」,厚さ0.7mm)に貼付した。このようにして得られたガラス板/粘着剤層/基材フィルム/ハードコート層からなる積層体を評価用サンプルとした。
【0129】
上記評価用サンプルについて、紫外線フェードメーター(スガ試験機社製,製品名「紫外線フェードメーター U48」)を使用して耐候性試験を実施した。具体的には、評価用サンプルに対し、ガラス板側から紫外線を200時間照射した。照射した紫外線の照度は500W/m
2(300〜700nm)であり、光量は360MJ/m
2であった。
【0130】
耐候性試験終了後、評価用サンプルを目視で観察し、粘着剤層の外観変化およびハードコート層の剥がれの有無を確認した。また、目視観察の後、ハードコート層の密着性試験を行った。具体的には、ハードコート層に縦横5マスとなるよう1cm
2の碁盤目を形成した後、当該ハードコート層にニチバン社製セロハンテープを貼付し、当該テープを剥がした際におけるハードコート層の基材フィルムからの剥がれを確認した。一箇所でも剥がれが確認された場合は、密着不良と判断した。
【0131】
上記の結果に基づき、以下の基準により耐候性を評価した。結果を表1に示す。
◎…目視観察において粘着剤層の外観変化およびハードコート層の剥がれが全くなく、密着性試験でも問題なかった。
○…目視観察において粘着剤層の外観変化は無いが、密着性試験でハードコート層の密着不良が確認された。
×…目視観察において粘着剤層の外観変化またはハードコート層の剥がれが確認された。
なお、比較例4の粘着シートについては、ヘイズが著しく上昇し、光学用途には不適格なものであったため、耐候性の評価は行わなかった。
【0132】
〔試験例7〕(耐ブリスター性の評価)
実施例および比較例で得られた粘着シートの粘着剤層を、片面にスズドープ酸化インジウム(ITO)からなる透明導電膜が設けられたポリエチレンテレフタレートフィルム(尾池工業社製,ITOフィルム,厚さ:125μm)の透明導電膜と、ポリメチルメタクリレート(PMMA)からなるアクリル板(三菱ガス化学社製,製品名「ユーピロン・シート MR200」,厚さ:1mm)とで挟み、積層体を得た。
【0133】
得られた積層体を、50℃、0.5MPaの条件下で30分間オートクレーブ処理した後、常圧、23℃、50%RHにて24時間放置した。次いで、85℃、85%RHの湿熱条件下にて72時間保管した。その後、粘着剤層と被着体との界面に気泡、浮きまたは剥がれがないか否か、目視により確認し、以下の基準により耐ブリスター性を評価した。結果を表1に示す。
◎…気泡、浮きおよび剥がれが全くなかった。
○…直径0.1mm以下の気泡のみが発生した。
×…直径0.1mm超の気泡、浮きまたは剥がれが発生した。
【0134】
〔試験例8〕(段差追従率の測定)
ガラス板(NSGプレシジョン社製,製品名「コーニングガラス イーグルXG」,縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の表面に、紫外線硬化型インク(帝国インキ社製,製品名「POS−911墨」)を塗布厚が5μm、10μm、15μm及び20μmのいずれか1つとなるように額縁状(外形:縦90mm×横50mm,幅5mm)にスクリーン印刷した。次いで、紫外線を照射(80W/cm
2,メタルハライドランプ2灯,ランプ高さ15cm,ベルトスピード10〜15m/分)して、印刷した上記紫外線硬化型インクを硬化させ、印刷による段差(段差の高さ:5μm、10μm、15μm及び20μmのいずれか1つ)を有する段差付ガラス板を作製した。
【0135】
実施例および比較例で得られた粘着シートから軽剥離型剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を、易接着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製,製品名「PET A4300」,厚さ:100μm)の易接着層に貼合した。次いで、重剥離型剥離シートを剥がし、粘着剤層を表出させた。そして、ラミネーター(フジプラ社製,製品名「LPD3214」)を用いて、粘着剤層が額縁状の印刷全面を覆うように上記積層体を各段差付ガラス板にラミネートし、これを評価用サンプルとした。
【0136】
得られた評価用サンプルを、50℃、0.5MPaの条件下で30分間オートクレーブ処理した後、常圧、23℃、50%RHにて24時間放置した。次いで、85℃、85%RHの湿熱条件下にて72時間保管し(耐久試験)、その後、段差追従性を評価した。段差追従性は、粘着剤層により印刷段差が完全に埋められているか否かで判断し、印刷段差と粘着剤層との界面で隙間や気泡などが観察された場合は、印刷段差に追従できなかったと判断される。ここでは、段差追従性は、下記の式で示される段差追従率(%)として評価した。結果を表1に示す。
段差追従率(%)={(耐久試験後、隙間や気泡無く埋められた状態が維持された段差の高さ(μm))/(粘着剤層の厚み:50μm)}×100
【0137】
【表1】
【0138】
表1から分かるように、実施例で得られた粘着剤層は、ヘイズ値および透過色相b*が表示体用途として好適なものであり、また、紫外線に対する耐候性、耐ブリスター性および段差追従性に優れるものであった。