特開2016-191036(P2016-191036A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-191036(P2016-191036A)
(43)【公開日】2016年11月10日
(54)【発明の名称】ポリオレフィン樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20161014BHJP
   C08K 7/08 20060101ALI20161014BHJP
   C08K 7/18 20060101ALI20161014BHJP
【FI】
   C08L23/00
   C08K7/08
   C08K7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-209061(P2015-209061)
(22)【出願日】2015年10月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-67907(P2015-67907)
(32)【優先日】2015年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000119988
【氏名又は名称】宇部マテリアルズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304036754
【氏名又は名称】国立大学法人山形大学
(74)【代理人】
【識別番号】100074675
【弁理士】
【氏名又は名称】柳川 泰男
(72)【発明者】
【氏名】出光 隆
(72)【発明者】
【氏名】飛田 祥大朗
(72)【発明者】
【氏名】高山 哲生
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB031
4J002BB041
4J002BB121
4J002BB141
4J002BB161
4J002DG046
4J002DJ017
4J002FA046
4J002FA087
(57)【要約】
【課題】高いレベルにてバランスした耐衝撃性と剛性とを示す樹脂成形体の製造を可能にするポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン樹脂と繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子とを質量比で99:1〜50:50の範囲の量にて含み、さらに、平均粒子径が0.001〜0.5μmの範囲にある非繊維状無機物微粒子を繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子100質量部に対して0.001〜50質量部の範囲の量及び/又は樹脂100質量部に対して0.0002〜10質量部の範囲の量にて含むポリオレフィン樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン樹脂と繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子とを質量比で99:1〜50:50の範囲の量にて含み、さらに、平均粒子径が0.001〜0.5μmの範囲にある非繊維状無機物微粒子を繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子100質量部に対して0.001〜50質量部の範囲の量及び/又は樹脂100質量部に対して0.0002〜10質量部の範囲の量にて含むポリオレフィン樹脂組成物。
【請求項2】
非繊維状無機物微粒子が球状二酸化ケイ素粒子である請求項1に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填材を充填したポリオレフィン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン樹脂に代表されるポリオレフィン樹脂は、自動車の外装材や内装材、冷蔵庫及び洗濯機などの家庭電化製品の外装材、そしてトレー、棚板、包装シートなどの各種成形体の製造用の材料として広く利用されている。そして、ポリオレフィン樹脂成形体の剛性や耐衝撃性などの物性を向上させるために、成形用材料であるポリオレフィン樹脂に充填材(フィラー)を添加したポリオレフィン樹脂組成物として使用することは広く行われている。そのような目的で使用される充填材としては、繊維状無機充填材と非繊維状無機充填材が一般的である。
【0003】
特許文献1には、成形時の金型汚染が少なく、帯電防止性、耐光劣化安定性、成形加工性に優れ、かつ、高い剛性と耐衝撃性の良好なバランスを有し、成形体にした場合、フローマークとウエルド外観に優れた成形体を得ることができるポリプロピレン系樹脂組成物として、ポリプロピレン系重合体を99〜60質量部、平均粒子径が0.01〜100μmの無機充填剤(または無機充填材)を1〜40質量部、そして特定のヒンダードアミン系光安定剤を0.05〜5質量部の量にて含有するポリプロピレン系樹脂組成物が記載されている。そして、無機充填材としては、非繊維状無機充填材、繊維状無機充填材又はこれらの混合物が用いることができると記載されている。
【0004】
特許文献2には、エポキシ樹脂に代表される樹脂に充填するフィラー組成物として、無機材料からなる無機繊維と、体積平均粒径が0.01μm以上、5μm以下である球状シリカ粒子とを含むフィラー組成物が記載されている。この文献によると、上記のフィラー組成物を含有する樹脂組成物は、流動特性に優れるとされており、無機繊維の例として、例えば、アスペクト比が5以上の炭素材料又は炭素材料を主成分とするものやガラスやガラスを主成分とするものが記載されている。
【0005】
特許文献3には、樹脂に対する親和性と凝集抑制効果とに優れた微細なシリカ粒子材料として、シリカ粒子をシランカップリング剤とオルガノシラザンとで表面処理して得たシリカ粒子材料が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−167407号公報
【特許文献2】特開2015−13978号公報
【特許文献3】特開2011−213514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年の自動車の改良テーマの一つとして、省燃費を目的とした車体の軽量化がある。例えば、自動車のバンパーなどの外装材では、軽量化のために厚みを薄くすることが検討されている。ただし、自動車のバンパーでは、厚みを薄くした場合でも、他の自動車や各種物体との接触により発生する衝撃により容易に破損しないように、高い耐衝撃性と、外力の作用により容易に変形しないような高い剛性が要求される。しかしながら、自動車のバンパーの材料として広く使用されているポリプロピレン樹脂組成物では、その成形体の耐衝撃性と剛性とは一般にトレードオフの関係にあることから、一方の物性を高くすると、
他方の物性が低くなる傾向があることが知られている。
【0008】
本発明の発明者は、ポリオレフィン樹脂の充填材として、特許文献1、2、3に記載されている充填剤の使用を検討した。そして、その結果、それらの文献に記載されている充填材を添加したポリオレフィン樹脂組成物を用いて厚みの薄い成形体を製造した場合、自動車のバンパーにおいて要求されるような高い耐衝撃性を示す成形体を、剛性を犠牲にすることなく製造することは難しいとの知見を得た。
【0009】
上記の知見に基づき、本発明の発明者は、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂の成形体であって、高い剛性と高い耐衝撃性を併せ示す樹脂成形体を製造することを可能にするポリオレフィン樹脂組成物を得るために鋭意研究を行った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の研究の結果、本発明の発明者は、ポリオレフィン樹脂と繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子とを質量比で99:1〜50:50の範囲の量にて含み、さらに平均粒子径が0.001〜0.5μmの範囲にある微細な非繊維状無機物微粒子を、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子100質量部に対して0.001〜50質量部の範囲の量及び/又は樹脂100質量部に対して0.0002〜10質量部の範囲の量にて含む組成物を用いて製造したポリオレフィン樹脂組成物成形体は、剛性の指標となる曲げ弾性率が低下することなく、耐衝撃性の指標となるアイゾッド衝撃強さが大幅に向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
従って、本発明は、ポリオレフィン樹脂と繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子とを質量比で99:1〜50:50の範囲の量にて含み、さらに、平均粒子径が0.001〜0.5μmの範囲にある非繊維状無機物微粒子を、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子100質量部に対して0.001〜50質量部の範囲の量及び/又は樹脂100質量部に対して0.0002〜10質量部の範囲の量にて含むポリオレフィン樹脂組成物にある。
【0012】
本発明のポリオレフィン樹脂組成物において、非繊維状無機物微粒子としては、球状酸化物微粒子が好ましく、特に球状二酸化ケイ素粒子が好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のポリオレフィン樹脂組成物を用いて製造した成形体は、高い耐衝撃性と剛性とを併せ示すことから、自動車のバンパーなどの外装材として有利に使用することができる。また、本発明のポリオレフィン樹脂組成物を用いて製造した成形体は、インストルメントパネルなどの自動車内装材としても有利に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂と繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子とを質量比(前者:後者)で99:1〜50:50の範囲の量、好ましくは99:1〜70:30の範囲の量にて含む。本発明のポリオレフィン樹脂組成物はさらに、平均粒子径が0.001〜0.5μmの範囲にある微細な非繊維状無機物微粒子を、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子100質量部に対する含有量として0.001〜50質量部の範囲の量及び/又はポリオレフィン樹脂100質量部に対する含有量として0.0002〜10質量部の範囲の量にて含む。繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子100質量部に対する非繊維状無機物微粒子の含有量は、好ましくは0.001〜20質量部の範囲の量、より好ましくは0.001〜8質量部の範囲の量、特に好ましくは0.005〜3質量部の範囲の量である。ポリオレフィン樹脂100質量部に対する非繊維状無機物微粒子の含有量は、好ましくは0.0002〜3質量部の範囲の量、より好ましくは0.0002〜1.5質量部の範囲の量、特に好ましくは0.001〜0.5質量部の範囲の量である。
【0015】
ポリオレフィン樹脂の例としては、エチレンの単独重合体、プロピレンの単独重合体、エチレンとプロピレンの共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体及びプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。ポリオレフィン樹脂は一種を単
独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。ポリオレフィン樹脂は、ASTM−D1238(温度230℃、荷重2.16kg)に準拠した方法により測定されるメルトフローレート(MFR)が3〜300g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0016】
繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子は、平均長径が一般に5〜50μmの範囲、好ましくは10〜30μmの範囲であり、平均短径が一般に0.1〜2.0μmの範囲、好ましくは0.5〜1.0μmの範囲であり、平均アスペクト比(平均長径/平均短径)が一般に2以上、好ましくは5以上、特に好ましくは5〜50の範囲である。繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子の平均長径及び平均短径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による拡大画像から測定した1000個の粒子の長径及び短径の平均値を意味する。
【0017】
本発明で使用する非繊維状無機物微粒子は、平均粒子径(一次粒子の平均粒子径)が0.001〜0.5μm(1nm〜500nm)の範囲、好ましくは0.002〜0.2μm(2nm〜200nm)の範囲、特に好ましくは0.005〜0.1μm(5nm〜100nm)の範囲にある。非繊維状無機物微粒子の平均粒子径はまた、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子の平均短径に対して、一般に1/2〜1/1000の範囲、好ましくは1/2〜1/500の範囲、特に好ましくは1/5〜1/500の範囲の長さである。非繊維状無機物微粒子の平均粒子径は、例えば、SEM写真の画像解析あるいは粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0018】
非繊維状無機物微粒子の例としては、二酸化ケイ素粒子、酸化マグネシウム粒子、水酸化マグネシウム粒子、塩基性炭酸マグネシウム粒子、及び炭酸カルシウム粒子を挙げることができる。非繊維状無機物微粒子は球状粒子であることが好ましい。ここで、球状粒子であるとは、平均アスペクト比(平均長径/平均短径)が2未満、好ましくは1.5以下であることを意味する。
【0019】
非繊維状無機物微粒子は、球状二酸化ケイ素微粒子であることが好ましい。球状二酸化ケイ素微粒子は、シランカップリング剤とオルガノシラザンとによって表面処理されていてもよい。シランカップリング剤の例としては、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基及びアクリル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するアルコキシシランを挙げることができる。シランカップリング剤とオルガノシラザンとによって表面処理されている球状二酸化ケイ素粒子は、前記の特許文献3(特開2011−213514号公報)に記載されている方法によって製造することができる。なお、シランカップリング剤は、非繊維状無機物微粒子などの充填材と樹脂との混練前、あるいは混練時に添加してもよい。
【0020】
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、さらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、腐食防止剤、難燃剤、滑剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤などのポリオレフィン樹脂組成物の物性や特性を改良するために一般的に使用されている各種の添加剤を含有していてもよい。
【0021】
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、例えば、ポリオレフィン樹脂と繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子と非繊維状無機物微粒子とを含む原料混合物を溶融混練する方法によって製造することができる。原料混合物は、例えば、ポリオレフィン樹脂と繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子と非繊維状無機物微粒子とを同時に混合する方法、ポリオレフィン樹脂と繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子との混合物に非繊維状無機物微粒子を加える方法、ポリオレフィン樹脂と非繊維状無機物微粒子との混合物に繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子を加える方法などを利用して調製することができる。原料混合物の溶融混練には、一軸溶融混練押出機、二軸溶融混練押出機、バンバリミキサーなどの混練機を用いることができる。
【0022】
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、任意の成形方法を利用して成形品とすることができる。成形方法の例としては、射出成形法、押出成形法、カレンダー成形法、ブロー成形法、発泡成形法及び延伸成形法を挙げることができる。
【実施例】
【0023】
[実施例1]
ポリプロピレン樹脂[MFR(温度230℃、荷重2.16kg):52g/分]を85質量部、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子(MOS A−1、宇部マテリアルズ(株)製、平均長径:15μm、平均短径:0.5μm)を15質量部、球状シリカ粒子(アドマナノ、(株)アドマテックス製、平均粒子径:10nm、SEMによる測定値)を0.0015質量部の割合にて混合した。得られた混合物を、二軸溶融混練押出機(ラボプラストミルマイクロ、L/D=18、(株)東洋精機製作所製)を用いて、温度230℃、軸の回転数250rpmの条件にて溶融混練し、生成した溶融混練物をストランド状に押出した後、切断して、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子と球状シリカ粒子ペレットとを含有するポリプロピレン樹脂組成物のペレットを得た。
【0024】
[実施例2]
球状シリカ粒子の配合量を0.015質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0025】
[実施例3]
球状シリカ粒子の配合量を0.15質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0026】
[実施例4]
球状シリカ粒子の配合量を0.75質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0027】
[実施例5]
球状シリカ粒子の配合量を1.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0028】
[実施例6]
球状シリカ粒子の配合量を1.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0029】
[実施例7]
球状シリカ粒子の配合量を4.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0030】
[実施例8]
球状シリカ粒子の配合量を7.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0031】
[比較例1]
球状シリカ粒子を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0032】
実施例1〜8及び比較例1にて得られたペレットのポリプロピレン樹脂、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子、球状シリカ粒子の配合量、そして、ポリプロピレン樹脂100質
量部に対する球状シリカ粒子の配合比と繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子100質量部に対する球状シリカ粒子の配合比を下記の表1に示す。
【0033】
表1
────────────────────────────────────────
A B C C/A C/B
────────────────────────────────────────
実施例1 85 15 0.0015 0.0018 0.010
実施例2 85 15 0.015 0.018 0.10
実施例3 85 15 0.15 0.18 1.0
実施例4 85 15 0.75 0.88 5.0
実施例5 85 15 1.0 1.2 6.7
実施例6 85 15 1.5 1.8 10
実施例7 85 15 4.5 5.3 30
実施例8 85 15 7.5 8.8 50
────────────────────────────────────────
比較例1 85 15 0 0 0
────────────────────────────────────────(注)
A:ポリプロピレン樹脂の配合量(単位:質量部)
B:繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子の配合量(単位:質量部)
C:球状シリカ粒子の配合量(単位:質量部)
C/A:ポリプロピレン樹脂100質量部に対する球状シリカ粒子の配合比
C/B:繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子100質量部に対する球状シリカ粒子の配合比
【0034】
[評価]
実施例1〜8及び比較例1にて得られたポリプロピレン樹脂組成物ペレットを、小型射出成形機(TE3−1E、日精樹脂工業(株)製)を用いて射出成形して、試験片を作成した。試験片はJIS−K−7162で規定する1BB型(小型ダンベル)試験片とした。
作成した試験片を用いて下記の方法によりアイゾッド衝撃強さと曲げ弾性率とを測定した。その結果を下記の表2に、上記表1に記載したC/A、C/Bと共に示す。
【0035】
アイゾッド衝撃強さ:ノッチングマシン((株)井元製作所製)を用いて、JIS−K−7110に準拠した方法により測定した。
【0036】
曲げ弾性率:万能力学試験機(ストログラフVGF、(株)東洋精機製作所製)を用いて測定した。
【0037】
表2
────────────────────────────────────────
C/A C/B アイゾッド衝撃強さ 曲げ弾性率
(kJ/m2) (GPa)
────────────────────────────────────────
実施例1 0.0018 0.010 5.5 3.9
実施例2 0.018 0.10 6.5 3.5
実施例3 0.18 1.0 6.3 3.7
実施例4 0.88 5.0 5.2 3.6
実施例5 1.2 6.7 5.3 4.0
実施例6 1.8 10 4.8 3.7
実施例7 5.3 30 4.2 3.7
実施例8 8.8 50 3.9 3.7
────────────────────────────────────────
比較例1 0 0 3.7 3.5
────────────────────────────────────────(注)
C/A:ポリプロピレン樹脂100質量部に対する球状シリカ粒子の配合比
C/B:繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子100質量部に対する球状シリカ粒子の配合比
【0038】
表2に示した結果から、ポリプロピレン樹脂、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子及び無機物微粒子としての球状シリカ粒子を本発明の範囲で含むポリプロピレン樹脂組成物(実施例1〜8)を用いて製造した成形体は、ポリプロピレン樹脂と繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子のみを含むポリプロピレン樹脂組成物(比較例1)を用いて製造した成形体と比較して、曲げ弾性率は同等もしくはそれ以上の値を示しつつ、アイゾッド衝撃強さの値が向上することが分かる。