【実施例】
【0023】
[実施例1]
ポリプロピレン樹脂[MFR(温度230℃、荷重2.16kg):52g/分]を85質量部、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子(MOS A−1、宇部マテリアルズ(株)製、平均長径:15μm、平均短径:0.5μm)を15質量部、球状シリカ粒子(アドマナノ、(株)アドマテックス製、平均粒子径:10nm、SEMによる測定値)を0.0015質量部の割合にて混合した。得られた混合物を、二軸溶融混練押出機(ラボプラストミルマイクロ、L/D=18、(株)東洋精機製作所製)を用いて、温度230℃、軸の回転数250rpmの条件にて溶融混練し、生成した溶融混練物をストランド状に押出した後、切断して、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子と球状シリカ粒子ペレットとを含有するポリプロピレン樹脂組成物のペレットを得た。
【0024】
[実施例2]
球状シリカ粒子の配合量を0.015質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0025】
[実施例3]
球状シリカ粒子の配合量を0.15質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0026】
[実施例4]
球状シリカ粒子の配合量を0.75質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0027】
[実施例5]
球状シリカ粒子の配合量を1.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0028】
[実施例6]
球状シリカ粒子の配合量を1.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0029】
[実施例7]
球状シリカ粒子の配合量を4.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0030】
[実施例8]
球状シリカ粒子の配合量を7.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0031】
[比較例1]
球状シリカ粒子を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物ペレットを得た。
【0032】
実施例1〜8及び比較例1にて得られたペレットのポリプロピレン樹脂、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子、球状シリカ粒子の配合量、そして、ポリプロピレン樹脂100質
量部に対する球状シリカ粒子の配合比と繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子100質量部に対する球状シリカ粒子の配合比を下記の表1に示す。
【0033】
表1
────────────────────────────────────────
A B C C/A C/B
────────────────────────────────────────
実施例1 85 15 0.0015 0.0018 0.010
実施例2 85 15 0.015 0.018 0.10
実施例3 85 15 0.15 0.18 1.0
実施例4 85 15 0.75 0.88 5.0
実施例5 85 15 1.0 1.2 6.7
実施例6 85 15 1.5 1.8 10
実施例7 85 15 4.5 5.3 30
実施例8 85 15 7.5 8.8 50
────────────────────────────────────────
比較例1 85 15 0 0 0
────────────────────────────────────────(注)
A:ポリプロピレン樹脂の配合量(単位:質量部)
B:繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子の配合量(単位:質量部)
C:球状シリカ粒子の配合量(単位:質量部)
C/A:ポリプロピレン樹脂100質量部に対する球状シリカ粒子の配合比
C/B:繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子100質量部に対する球状シリカ粒子の配合比
【0034】
[評価]
実施例1〜8及び比較例1にて得られたポリプロピレン樹脂組成物ペレットを、小型射出成形機(TE3−1E、日精樹脂工業(株)製)を用いて射出成形して、試験片を作成した。試験片はJIS−K−7162で規定する1BB型(小型ダンベル)試験片とした。
作成した試験片を用いて下記の方法によりアイゾッド衝撃強さと曲げ弾性率とを測定した。その結果を下記の表2に、上記表1に記載したC/A、C/Bと共に示す。
【0035】
アイゾッド衝撃強さ:ノッチングマシン((株)井元製作所製)を用いて、JIS−K−7110に準拠した方法により測定した。
【0036】
曲げ弾性率:万能力学試験機(ストログラフVGF、(株)東洋精機製作所製)を用いて測定した。
【0037】
表2
────────────────────────────────────────
C/A C/B アイゾッド衝撃強さ 曲げ弾性率
(kJ/m
2) (GPa)
────────────────────────────────────────
実施例1 0.0018 0.010 5.5 3.9
実施例2 0.018 0.10 6.5 3.5
実施例3 0.18 1.0 6.3 3.7
実施例4 0.88 5.0 5.2 3.6
実施例5 1.2 6.7 5.3 4.0
実施例6 1.8 10 4.8 3.7
実施例7 5.3 30 4.2 3.7
実施例8 8.8 50 3.9 3.7
────────────────────────────────────────
比較例1 0 0 3.7 3.5
────────────────────────────────────────(注)
C/A:ポリプロピレン樹脂100質量部に対する球状シリカ粒子の配合比
C/B:繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子100質量部に対する球状シリカ粒子の配合比
【0038】
表2に示した結果から、ポリプロピレン樹脂、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子及び無機物微粒子としての球状シリカ粒子を本発明の範囲で含むポリプロピレン樹脂組成物(実施例1〜8)を用いて製造した成形体は、ポリプロピレン樹脂と繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子のみを含むポリプロピレン樹脂組成物(比較例1)を用いて製造した成形体と比較して、曲げ弾性率は同等もしくはそれ以上の値を示しつつ、アイゾッド衝撃強さの値が向上することが分かる。