(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-191211(P2016-191211A)
(43)【公開日】2016年11月10日
(54)【発明の名称】ユニット部材
(51)【国際特許分類】
E03B 3/03 20060101AFI20161014BHJP
E03B 11/14 20060101ALI20161014BHJP
E03F 1/00 20060101ALI20161014BHJP
【FI】
E03B3/03 B
E03B11/14
E03F1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-70637(P2015-70637)
(22)【出願日】2015年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063AA01
2D063AA11
(57)【要約】
【課題】
通水性を有する構造体や自然水を貯留する構造体、その他各種用途に使用することができるユニット部材であって、構築状態での堅牢化を図ったものである。
【解決手段】
矩形状を呈する基盤部の一面に、複数の柱状または筒状の突出部を設けて成るユニット部材単体を、互いの突出部を突き合せた状態で対向させたものを一単位とし、これを複数単位縦方向に積層した状態で貫通させるための支持用柱体に対する挿通用孔を、基盤部の所要箇所に開設し、更に、各基盤部の側縁には、梁材に対する連結手段を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状を呈する基盤部の一面に、複数の柱状または筒状の突出部を設けて成るユニット部材単体を、互いの突出部を突き合せた状態で対向させたものを一単位とし、これを複数単位積重ねた状態で貫通させるための支持用柱体に対する挿通用孔を、基盤部の所要箇所に開設し、更に、上記のように積重ねられて隣り合うもの同志を互いに連結するための梁材に対する連結手段を、各基盤部の側縁に設けるように構成したユニット部材。
【請求項2】
基盤部の側縁に設ける連結手段として、基盤部の反突出部形成面側の周縁部に凹溝を形成すると共に、その内部にボス状突起を所定間隔を保って列設させ、かつ、一対を成す上下のユニット部材単体のそれぞれに形成されている当該ボス状突起を同一直線状に位置させ、所要の梁材の端部に形成する連結用係合片を、上記のように対向状態にあるボス状突起を夫々上下部に嵌合可能とする管状体とし、当該管状体の直径は、前記凹溝の溝幅にしっくりと嵌合或は近接する直径を具えたものとするように構成した請求項1に記載のユニット部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通水性を有する構造体や自然水を貯留する構造体、あるいは水上に浮かべ、また水中に沈める構造体、その他各種用途の構造体の構築に使用することができるユニット部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基盤上に一つまたは複数の突出部を設けて強度を高めると共に、互いの突出部を対向接触させた上これを固定し、これを複数単位、縦横および高さ方向に連結することにより、各種の構造体を構築するためユニット部材がある。(例えは特許文献1参照。)
【0003】
そして、これは地下貯水槽の構築用として(例えば特許文献2参照。)、堤防構築用として(例えば特許文献3参照。)、水路構築用として(例えば特許文献4参照。)等、各種用途の構築用ユニット部材として用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−252108号公報
【特許文献2】特開2001−107403号公報
【特許文献3】特開2007―085110号公報
【特許文献4】特開2001−026076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような用途に用いられるユニット部材は、互いの突出部を突き合せた状態で対向させたものを一単位とし、これを複数単位縦方向に積層した状態で使用するものであったため、その全体の側面部分で支えておかないと、地震等が生じた際に倒壊する恐れがあった。特に横振れに対しては、単位ユニット間にズレを生じてしまう心配があった。
【0006】
本発明はこのような既存のユニット部材において生じた問題の解決化を図った新規の「ユニット部材」を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は請求項1に記載のように、矩形状を呈する基盤部の一面に、複数の柱状または筒状の突出部を設けて成るユニット部材単体を、互いの突出部を突き合せた状態で対向させたものを一単位とし、これを複数単位積重ねた状態で貫通させるための支持用柱体に対する挿通用孔を、基盤部の所要箇所に開設し、更に、上記のように積重ねられて隣り合うもの同志を互いに連結するための梁材に対する連結手段を、各基盤部の側縁に設けるように構成したユニット部材に係る。
【0008】
本発明は請求項2に記載のように、基盤部の側縁に設ける連結手段として、基盤部の反突出部形成面側の周縁部に凹溝を形成すると共に、その内部にボス状突起を所定間隔を保って列設させ、かつ、一対を成す上下のユニット部材単体のそれぞれに形成されている当該ボス状突起を同一直線状に位置させ、所要の梁材の端部に形成する連結用係合片を、上記のように対向状態にあるボス状突起を夫々上下部に嵌合可能とする管状体とし、当該管状体の直径は、前記凹溝の溝幅にしっくりと嵌合或は近接する直径を具えたものとした請求項1に記載のユニット部材を実施の態様とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は請求項1に記載のような構成の採用に基づき、積み重ねられた複数単位のユニット部材は、柱体に依る貫通支持状態に保たれるため、地震等の発生に基づく横揺れ及び縦揺れに対する極めて強固な堅牢性を発揮させることができる。更に、複数単位のユニット部材に対して一括的なる補強作業で目的が達成されるため、その作業の容易性及び迅速性が図られる。そして、梁材の連結に基づき互いの横方向の結合性において、前記柱体に依る縦方向の支持強化も相俟って、その互助的支持が強化されることとなる。
【0010】
本発明は、請求項2に記載のような構成に基づき、上下のボス状突起5に嵌合させた管状体7の表面が、凹溝4の両側の内壁に接触或は近接することにより、連結用係合片6の嵌合部分における反り発生が阻止され、確固たる直線状態を保持させるため、地震発生時の横揺れ等の力が働いた際に、反り発生に基づき離脱してしまう、と言うような恐れを皆無とし、確固たる梁材の連結が保持される。同時に、このような嵌合形態は、対を成すユニット部材単体相互の、補助的結合性の強化目的の達成も同時に図られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の構築状態を表した説明用正面図である。
【
図2】本発明の要旨部材たる連結部材を表した平面図である。
【
図6】梁材に対する連結手段部分の一例を表した拡大断面図である。
【
図7】上記連結手段適応させた梁材の連結部を示す斜視図である。
【
図8】本発明の要旨部材たる連結部材の他の実施例を表した平面図である。
【
図9】本発明の実施対象とするユニット部材の第2実施例を表した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、通水性を有する構造体や自然水を貯留する構造体、あるいは水上に浮かべ、また水中に沈める構造体、その他各種用途の構造体の構築目的を達成するためのユニット部材に関する。
【0013】
図2乃至
図5は本発明の要旨部材たるユニット部材単体Aを表したものである。すなわち、当該ユニット部材単体Aは矩形状基盤部1の中心部に裁頭円錐形または円筒形を呈しかつ底面を開口面とすると共に上面を閉鎖面とする突出部2を一体形成したものである。 なお、当該ユニット部材単体Aは公知技術に属するため、これに関する詳細な説明は省略する
【0014】
上記したユニット部材単体Aであるが、これは二個を一対とし、すなわち、互いの突出部2を対向接触させたものを一対とし、これを複数単位縦横に連結することにより、構築用に供するものである。なお、図面に示す実施例にあっては、基盤部1を正方形状としてあるが、これは長方形状のものであても可とする。
【0015】
そして本発明は、上記したようなユニット部材単体の一対の連結状態を含めて、これの複数単位の積層状態の堅牢性を付与させるように構成したことを特徴とするものである。
【0016】
3は基盤部1の表面を貫通させるようにして開設した挿通孔であって、所定の支持用柱体Bを挿通させるためのものである。すなわち、上記一対のものを複数単位縦方向に積層し、これを一括して支持用柱体Bを貫通させることによって、串刺し的にしてかつ互いに密着した状態で各ユニット部材単体相互、並びに、これの―対のもの相互を、同時に固定化するように構成したものである。
【0017】
ところで、上記した挿通孔3であるが、
図2乃至
図5に示す実施例にあっては、基盤部1の縦横方向に四か所開設するように構成してあるが、これは横方向に二か所開設するか、或は、
図8に示すように中央に一か所開設するように構成しても良い。そして、その形状であるが、
図2及び
図3に示すように正四角形状、
図8に示すように円形状のものであっても良い。更に、作業性の観点を度外視すれば、長方形を含む適宜な矩形状、三角形状、楕円形状、若しくは所要の多角形状等任意なものであって可とし、その形状の限定性は無く、また、その基盤部1に対する開設個所及び開設数においても限定性は存在しない。要は柱体による一括的貫通を可能化するものであれば、その個数及び形状に対する実施上の制限性は存在しない。柱体の形態は挿通孔に即応したものとすることは勿論である。
【0018】
Cは基盤部1の側縁部分に形成した連結手段であって、図示の実施例にあっては、基盤部1の反突出部形成面側の周縁部に凹溝4を形成すると共に、その内部にボス状突起5が所定間隔を保って列設されており、一対を成す上下のユニット部材単体のそれぞれに形成されている当該ボス状突起5は、同一直線状に位置された状態で対向するように構成してある。そして所要の梁材Dの端部に形成する連結用係合片として、上記のように対向状態にあるボス状突起5を夫々嵌合可能とする管状体6とするように構成してある(
図6及び
図7参照。)。
【0019】
そして、当該管状体6の直径は、前記凹溝4の溝幅内(内外両側の溝壁面)にしっくりと嵌合或は近接可能とする程度の直径を具えたものとするように構成してある。
【0020】
すなわち、上記した連結手段の場合、
図6に示すように、上下のボス状突起5に嵌合させた管状体6の表面が、凹溝4の両側の溝壁に接触或は近接するように構成することにより、連結用係合片の嵌合部分において反りが生じることなく確固たる直線状態を保持されるように構成してある。これにより、地震発生時等の横揺れに対して反り発生に依る離脱を招くことなく、強い耐性が発揮されるように構成してある。
【0021】
そして、このような反りの生じない嵌合形態は、対を成すユニット部材単体相互の、補助的結合性の強化目的も同時に図られることとなる。(なお、主たる結合性は柱体Bの支持に基づく。)
【0022】
ところで、本発明において採用する梁材の連結手段としては、上記に限定されるものではなく、その他適宜な手段で実施することも可能である。
【0023】
図1は本発明に依り組み立てた構築体を表したものであって、所要の現場においてこのように組み立てることにより、目的とする構築体を形成するものである。
【符号の説明】
【0024】
A ユニット部材単体
1 基盤部
2 突出部
B 柱体
3 挿通孔
C 連結手段
4 凹溝
5 ボス状突起
D 梁材
6 管状体