【解決手段】レンズ20の外周部25に遮光層3を形成して遮光層付きレンズ2を製造するにあたって、第1工程では、第1環状面27の内縁に沿って遮光層形成用の液状物30を全周にわたって塗布した後、第2工程では、レンズ20を光軸L周りに回転させ、遠心力によって液状物を径方向外側に流動させて第1環状面27に液状物を塗布する。次に、第3工程では、環状外周面28の第1環状面27との境界に沿って遮光層形成用の液状物30を全周にわたって塗布した後、第4工程では、レンズ20を光軸L周りに回転させ、遠心力によって液状物を径方向外側に流動させて環状外周面28および第2環状面29に液状物を塗布する。
前記第1工程では、前記外周部の前記内縁に向けて液状物吐出ノズルから前記液状物を供給しながら前記レンズを前記光軸周りに1回転以上、回転させることを特徴とする請求項1に記載の遮光層付きレンズの製造方法。
前記第1工程における前記レンズの回転速度は、前記第2工程における前記レンズの回転速度より遅いことを特徴とする請求項2または3に記載の遮光層付きレンズの製造方法。
前記第2工程において前記レンズを回転させる際、前記レンズの上側位置で前記レンズ面に空気を吹き付けることを特徴とする請求項1乃至4に記載の遮光層付きレンズの製造方法。
前記レンズは、前記外周部に、前記レンズ面を径方向外側で囲む第1環状面と、該第1環状面の径方向外側で前記第1環状面より前記レンズの他方面側に向けて凹んだ第2環状面と、前記第1環状面と前記第2環状面とを繋ぐ環状外周面と、を有し、
前記第1工程において、前記外周部の前記内縁としての前記第1環状面の内縁に沿って前記液状物を全周にわたって塗布し、かつ、前記環状外周面の前記第1環状面との境界に沿って前記液状物を全周にわたって塗布した後、
前記第2工程において、前記レンズを光軸周りに回転させ、遠心力によって前記液状物を径方向外側に流動させることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の遮光層付きレンズの製造方法。
前記レンズは、前記外周部に、前記レンズ面を径方向外側で囲む第1環状面と、該第1環状面の径方向外側で前記第1環状面より前記レンズの他方面側に向けて凹んだ第2環状面と、前記第1環状面と前記第2環状面とを繋ぐ環状外周面と、を有し、
前記第1工程において、前記外周部の前記内縁としての前記第1環状面の内縁に沿って前記液状物を全周にわたって塗布した後、前記第2工程において、前記レンズを光軸周りに回転させ、遠心力によって前記液状物を径方向外側に流動させ、
その後、
前記環状外周面の前記第1環状面との境界に沿って前記液状物を全周にわたって塗布する第3工程と、
前記レンズを前記光軸周りに回転させ、遠心力によって前記液状物を径方向外側に流動させる第4工程と、
を行うことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の遮光層付きレンズの製造方法。
前記第3工程では、前記環状外周面の前記第1環状面との境界に向けて液状物吐出ノズルから前記液状物を供給しながら前記レンズを前記光軸周りに1回転以上、回転させることを特徴とする請求項9に記載の遮光層付きレンズの製造方法。
前記第3工程における前記レンズの回転速度は、前記第4工程における前記レンズの回転速度より遅いことを特徴とする請求項10または11に記載の遮光層付きレンズの製造方法。
前記第4工程において前記レンズを回転する際、前記レンズの上側位置で前記レンズ面に空気を吹き付けることを特徴とする請求項9乃至12に記載の遮光層付きレンズの製造方法。
前記液状物吐出ノズルから前記液状物を供給する際、前記液状物の温度を調節することを特徴とする請求項2、3、4、10、11または12に記載の遮光層付きレンズの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フェルト状の素材からなる塗布ヘッドをレンズの外周部に接触させて液状物を塗布する構成では、塗布ヘッドに対する液状物の滲み込み量が変動すると、液状物の塗布量が変動し、遮光層の厚さが変動する等の問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、遮光層を形成するための液状物を外周部に適正に塗布することができる遮光層付きレンズの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、レンズの少なくとも一方面側でレンズ面を径方向外側で囲む外周部に遮光層が形成された遮光層付きレンズの製造方法において、前記レンズを形成した後、前記外周部の内縁に沿って遮光層形成用の液状物を全周にわたって塗布する第1工程と、該第1工程の後、前記レンズを光軸周りに回転させ、遠心力によって前記液状物を径方向外側に流動させる第2工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明では、第1工程において、レンズの遮光層を形成すべき外周部の内縁に沿って遮光層形成用の液状物を塗布した後、第2工程では、液状物の粘度や遮光層の厚さ等に対応する速度でレンズを光軸周りに回転させ、遠心力によって液状物を径方向外側に流動させる。従って、フェルト状の素材からなる塗布ヘッドで液状物を塗布した場合と違って、塗布ヘッドに対する液状物の滲み込み量が変動して遮光層の塗布量がばらつくという事態が発生しない。それ故、遮光層を形成するための液状物を外周部に適正に塗布することができ、遮光層の厚さが安定する。
【0008】
本発明において、前記第1工程では、前記外周部の前記内縁に向けて液状物吐出ノズルから前記液状物を供給しながら前記レンズを前記光軸周りに1回転以上、回転させる態様を採用することができる。かかる構成によれば、第1工程を効率よく行うことができる。
【0009】
この場合、前記第1工程では、例えば、前記レンズを前記光軸周りに1回転させる。かかる構成によれば、第1工程で塗布する液状物の量が安定するので、遮光層の厚さが安定する。
【0010】
本発明において、前記第1工程における前記レンズの回転速度は、前記第2工程における前記レンズの回転速度より遅いことが好ましい。かかる構成によれば、第1工程では液状物が遠心力によって外周側に広がることを抑制することができる。
【0011】
本発明において、前記第2工程において前記レンズを回転させる際、前記レンズの上側位置で前記レンズ面に空気を吹き付けることが好ましい。かかる構成によれば、レンズの一方面側では、径方向内側から径方向外側に向かう気流が発生する。このため、第2工程において、レンズの環状内周面に沿って流動した液状物がレンズの径方向外側に液滴等として飛散しても、飛散した液状物がレンズに付着することを抑制することができる。
【0012】
本発明において、前記第1工程および第2工程では、前記レンズを前記一方面を上向きにしてレンズ受け台によって支持し、前記第2工程において前記レンズを回転する際、前記レンズの周りで空気を上方または下方に吸引することが好ましい。かかる構成によれば、第2工程においてレンズ受け台を高速で回転させた際に、液状物が液滴等としてレンズから飛散しても、かかる液状物は、空気流によってレンズの周りから除去される。このため、飛散した液状物がレンズに付着することを抑制することができる。
【0013】
この場合、前記第2工程において前記レンズを回転する際、前記レンズの周りで空気を上方に吸引することが好ましい。かかる構成によれば、レンズ受け台を高速で回転させた際に、液状物が液滴等としてレンズから上方に飛散しても、かかる液状物は、空気流によってレンズの周りから除去される。このため、飛散した液状物がレンズに付着することを抑制することができる。
【0014】
本発明において、前記レンズは、前記外周部に、前記レンズ面を径方向外側で囲む第1環状面と、該第1環状面の径方向外側で前記第1環状面より前記レンズの他方面側に向けて凹んだ第2環状面と、前記第1環状面と前記第2環状面とを繋ぐ環状外周面と、を有し、前記第1工程において、前記外周部の前記内縁としての前記第1環状面の内縁に沿って前記液状物を全周にわたって塗布し、かつ、前記環状外周面の前記第1環状面との境界に沿って前記液状物を全周にわたって塗布した後、前記第2工程において、前記レンズを光軸周りに回転させ、遠心力によって前記液状物を径方向外側に流動させる態様を採用することができる。レンズの外周部に下向きの段部(環状外周面)が存在している場合、第2工程の際、段部より径方向外側では液状物が飛散し、環状外周面および第2環状面に液状物を適正に塗布するのが困難であるが、上記の第1工程を行えば、環状外周面および第2環状面にも液状物を適正に塗布することができる。
【0015】
本発明において、前記レンズは、前記外周部に、前記レンズ面を径方向外側で囲む第1環状面と、該第1環状面の径方向外側で前記第1環状面より前記レンズの他方面側に向けて凹んだ第2環状面と、前記第1環状面と前記第2環状面とを繋ぐ環状外周面と、を有し、前記第1工程において、前記外周部の前記内縁としての前記第1環状面の内縁に沿って前記液状物を全周にわたって塗布した後、前記第2工程において、前記レンズを光軸周りに回転させ、遠心力によって前記液状物を径方向外側に流動させ、その後、前記環状外周面の前記第1環状面との境界に沿って前記液状物を全周にわたって塗布する第3工程と、前記レンズを前記光軸周りに回転させ、遠心力によって前記液状物を径方向外側に流動させる第4工程と、を行う態様を採用してもよい。レンズの外周部に下向きの段部(環状外周面)が存在している場合、第2工程の際、段部より径方向外側では液状物が飛散し、環状外周面および第2環状面に液状物を適正に塗布するのが困難であるが、上記の第3工程および第4工程を行えば、環状外周面および第2環状面にも液状物を適正に塗布することができる。
【0016】
本発明において、前記第3工程では、前記環状外周面の前記第1環状面との境界に向け
て液状物吐出ノズルから前記液状物を供給しながら前記レンズを前記光軸周りに1回転以上、回転させる態様を採用することができる。かかる構成によれば、第3工程を効率よく行うことができる。
【0017】
この場合、前記第3工程では、例えば、前記レンズを前記光軸周りに1回転させる。かかる構成によれば、第3工程で塗布する液状物の量が安定するので、遮光層の厚さが安定する。
【0018】
本発明において、前記第3工程における前記レンズの回転速度は、前記第4工程における前記レンズの回転速度より遅いことが好ましい。かかる構成によれば、第3工程では液状物が遠心力によって外周側に広がることを抑制することができる。
【0019】
本発明において、前記第4工程において前記レンズを回転させる際、前記レンズの上側位置で前記レンズ面に空気を吹き付けることが好ましい。かかる構成によれば、レンズの一方面側では、径方向内側から径方向外側に向かう気流が発生する。このため、第4工程において、レンズの環状内周面に沿って流動した液状物がレンズの径方向外側に液滴等として飛散しても、飛散した液状物がレンズに付着することを抑制することができる。
【0020】
本発明において、前記第3工程および前記第4工程では、前記レンズを前記一方面を上向きにしてレンズ受け台によって支持され、前記第4工程において前記レンズを回転する際、前記レンズの周りで空気を上方または下方に吸引することが好ましい。第4工程においてレンズ受け台を高速で回転させた際に、液状物が液滴等としてレンズから飛散しても、かかる液状物は、空気流によってレンズの周りから除去される。このため、飛散した液状物がレンズに付着することを抑制することができる。
【0021】
この場合、前記第4工程において前記レンズを回転する際、前記レンズの周りで空気を上方に吸引することが好ましい。第4工程においてレンズ受け台を高速で回転させた際に、液状物が液滴等としてレンズから上方に飛散しても、かかる液状物は、空気流によってレンズの周りから除去される。このため、飛散した液状物がレンズに付着することを抑制することができる。
【0022】
本発明において、前記第3工程では、前記環状側面領域の前記第1環状面との境界に向けて液状物吐出ノズルから前記液状物を供給しながら前記レンズを前記光軸周りに1回転以上、回転させることが好ましい。かかる構成によれば、第3工程を効率よく行うことができる。本発明では、第1工程で用いる液状物吐出ノズルと、第3工程で用いる液状物吐出ノズルとが別である構成、第1工程で用いる液状物吐出ノズルと、第3工程で用いる液状物吐出ノズルとが共通である構成のいずれを採用してもよい。
【0023】
本発明において、前記第3工程では、前記レンズを前記光軸周りに1回転させることが好ましい。かかる構成によれば、第3工程で塗布する液状物の量が安定するので、遮光層の厚さが安定する。
【0024】
本発明において、前記第3工程における前記レンズの回転速度は、前記第4工程における前記レンズの回転速度より遅いことが好ましい。かかる構成によれば、第3工程では液状物が遠心力によって外周側に広がることを抑制することができる。
【0025】
本発明において、前記液状物吐出ノズルから前記液状物を供給する際、前記液状物の温度を調節することが好ましい。かかる構成によれば、液状物の粘度が安定するので、液状物の塗布厚さが安定する。それ故、遮光層の厚さが安定する。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、第1工程において、レンズの遮光層を形成すべき外周部の内縁に沿って遮光層形成用の液状物を塗布した後、第2工程では、液状物の粘度や遮光層の厚さ等に対応する速度でレンズを光軸周りに回転させ、遠心力によって液状物を径方向外側に流動させる。従って、フェルト状の素材からなる塗布ヘッドで液状物を塗布した場合と違って、塗布ヘッドに対する液状物の滲み込み量が変動して遮光層の塗布量がばらつくという事態が発生しない。それ故、遮光層を形成するための液状物を外周部に適正に塗布することができ、遮光層の厚さが安定する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
[遮光層付きレンズの構成]
図1は、本発明を適用した遮光層付きレンズの第1例の説明図であり、
図1(a)、(b)、(c)、(d)は各々、レンズの斜視図、レンズの断面図、遮光層付きレンズの斜視図、および遮光層付きレンズの断面図である。
図2は、本発明を適用した遮光層付きレンズの第2例の説明図であり、
図2(a)、(b)、(c)、(d)は各々、レンズの斜視図、レンズの断面図、遮光層付きレンズの斜視図、および遮光層付きレンズの断面図である。
【0030】
図1(c)、(d)に示す遮光層付きレンズ1は、
図1(a)、(b)に示すレンズ10の一方面11側において凹状のレンズ面14を径方向外側で囲む外周部15に、いわゆる墨と称せられる黒色の遮光層3が形成されており、余計な光の入射や反射を防止する。
【0031】
本形態において、レンズ10の一方面11側には、外周部15に、レンズ面14を径方向外側で囲む第1環状面17と、第1環状面17の径方向外側で第1環状面17より一方面11側に突出した第2環状面19と、斜め上方に傾いて第1環状面17と第2環状面19とを繋ぐ傾斜面からなる環状内周面18とが設けられている。環状内周面18の内側は凹部16になっている。このような構成のレンズ10において、遮光層3は、第1環状面17、環状内周面18、および第2環状面19に形成されている。遮光層3は、レンズ10の他方面12側にも形成されることがある。
【0032】
図2(c)、(d)に示す遮光層付きレンズ2は、
図2(a)、(b)に示すレンズ20の一方面21側において凹状のレンズ面24を径方向外側で囲む外周部25に、いわゆる墨と称せられる黒色の遮光層3が形成されており、余計な光の入射や反射を防止する。
【0033】
本形態において、レンズ20の一方面21側には、外周部25に、レンズ面24を径方向外側で囲む第1環状面27と、第1環状面27の径方向外側で第1環状面27より他方面12側に凹んだ第2環状面29と、第1環状面27と第2環状面29とを繋ぐ環状外周面28とが設けられている。このような構成のレンズ20において、遮光層3は、第1環状面27、環状外周面28、および第2環状面29に形成されている。遮光層3は、レンズ20の他方面22側にも形成されることがある。
【0034】
ここで、
図1および
図2に示す遮光層3は、遮光層形成用の液状物30を塗布した後、溶媒を飛散させて固化させた塗膜からなる。遮光層3の厚さは、例えば、5〜10μmである。
【0035】
[遮光層付きレンズの製造装置]
(全体構成)
図3は、本発明を適用した遮光層付きレンズの製造装置40の斜視図である。
図4は、
図3に示す遮光層付きレンズの製造装置40の要部の断面図である。
図5は、
図3に示す遮光層付きレンズの製造装置40の要部の分解斜視図であり、
図5(a)がフードを外した状態の分解斜視図、
図5(b)がエアノズルを外した状態の分解斜視図である。
【0036】
図3、
図4および
図5に示す製造装置40は、
図1および
図2を参照して説明した遮光層付きレンズ1、2を製造する際、遮光層3を形成するための装置である。なお、以下の説明では、前記のレンズ10、20のうち、レンズ10を製造装置40に仕掛けて、遮光層付きレンズ1を製造する場合を中心に説明する。
【0037】
本形態の製造装置40は、スピンコータとして構成されており、一方面11を上向きにしてレンズ10を支持するレンズ受け台60と、レンズ10の遮光層3を形成すべき領域の内縁に遮光層形成用の液状物を供給する液状物吐出ノズル90と、レンズ受け台60をレンズ10の光軸L周りに回転させる回転駆動機構70と、回転駆動機構70等を支持する固定台50とを有している。
【0038】
液状物吐出ノズル90は、液状物を貯留する容器95に管96を介して接続されている。液状物は、黒色の着色剤を溶媒に分散させてなり、温度によって粘度が変化する。このため、液状物吐出ノズル90、容器95および管96の少なくとも1個所には、液状物吐出ノズル90から吐出される液状物の温度を調整する温度調整装置97が設けられている。本形態では、温度調整装置97として、容器95にヒータ98が設けられており、液状物は、例えば35℃の温度に調整されて液状物吐出ノズル90から吐出される。
【0039】
図4および
図5に示すように、レンズ受け台60は、回転駆動機構70の回転軸71の上端部に連結されており、一方面11を上向きにしてレンズ10を支持する。レンズ受け台60は、レンズ10を支持する上端部がレンズ10の他方面12側に対応する形状の筒部61になっており、筒部61にレンズ10を設置した際、レンズ10が調心される。その結果、レンズ10の光軸Lと回転軸71の中心軸線L71とが一致する。また、レンズ受け台60において、筒部61の底部には、レンズ10の他方面12を吸着するレンズ吸着部65が設けられている。かかるレンズ吸着部65としては、真空吸着チャックや粘着シートを利用でき、本形態では、レンズ吸着部65として粘着シートが用いられている。
【0040】
図3および
図4に示すように、回転駆動機構70において、回転軸71は、モータ75に接続されており、回転軸71が中心軸線L71に回転した際、レンズ受け台60は、光軸Lおよび中心軸線L71を中心に回転する。回転駆動機構70において、回転軸71を回転させるにあたっては、回転軸71にモータ75を直結させた構成の他、回転軸71とモータ75とがプーリやベルト等の伝達機構を介して接続している構成を採用してもよい
。
【0041】
モータ75は、固定台50のベース板51に固定されている。固定台50は、ベース板51から上方に延在する複数本の支持軸52と、支持軸52の上端部に固定された支持板53と、支持板53から上方に延在する複数本の支持軸54と、支持軸54の上端部に固定された支持板58とを有している。
【0042】
支持板58の上面には第1プレート55が固定されている。第1プレート55には、回転軸71およびレンズ受け台60を上方に突出させる穴555が形成された円板状の底板部551と、底板部551の外縁から上方に突出した側板部552とを有している。第1プレート55の底板部551の上面には、第2プレート56の円形の底板部561が固定されており、底板部561には、第1プレート55の穴555と連通して回転軸71およびレンズ受け台60を上方に突出させる円筒部565が形成されている。第2プレート56の底板部561は、第1プレート55の底板部551より小径であり、第1プレート55の側板部552の内側では、底板部561の外縁から上方に側板部562が突出している。その結果、レンズ受け台60の周りでは、下方側が第1プレート55の底板部551で仕切られているとともに、第1プレート55および第2プレート56によって、レンズ10に液状物を塗布した際に飛散した液状物の液滴等を回収する回収部が形成されている。
【0043】
(フード87およびエアノズル81の構成)
図6は、
図3に示す遮光層付きレンズの製造装置40のエアノズル81周辺の断面図であり、
図6(a)、(b)は各々、レンズ10を省略したときの断面図、およびレンズ10を図示したときの断面図である。
【0044】
図3に示すように、本形態の製造装置40では、レンズ受け台60の上側を覆うカバー88が設けられており、かかるカバー88には、カバー88の内側から空気をカバー88の上側に吸引する吸引機構89が設けられている。本形態において、カバー88は、吸引機構89のダクト891が接続された筒部881と、筒部881から下方に向けて斜めに拡径した筒状の円錐部882とからなる。
【0045】
図4および
図5に示すように、本形態の製造装置40では、レンズ10の上側位置でレンズ面14に空気を吹き付けるエアノズル81が設けられている。本形態において、エアノズル81は、カバー88とともに昇降装置80に連結された可動式になっている。より具体的には、エアノズル81およびカバー88は、昇降装置80に連結されており、昇降装置80によって、エアノズル81およびカバー88は、レンズ10の上下方向に移動可能である。
【0046】
かかる構成を実現するにあたって、カバー88の下端部には連結板部883が形成されており、カバー88は、連結板部883を介して円筒状の連結部材85に連結されている。連結部材85は、カバー88と連結される円環状のフランジ部851と、フランジ部851から径方向内側に延在する腕部852と、腕部852の径方向内側の端部と繋がった円環部853とを備えており、円環部853の内側には、エアノズル81を内側に保持した円筒状のノズルホルダ86が保持されている。本形態では、
図6に示すように、ノズルホルダ86の下端部861からはエアノズル81の先端部811が下方に突出している。
【0047】
図3、
図4および
図5に示すように、連結部材85では、フランジ部851から下方に向けて円筒状の筒部855が突出しており、筒部855は、レンズ受け台60の周りを囲んでいる。従って、本形態では、カバー88と、連結部材85の筒部855とによって、レンズ受け台60の上方および周りを覆うフード87が構成されている。
【0048】
連結部材85において筒部855の上端には、フランジ部851の下面で連結部材85に連結された円環状のリング84が連結されている。リング84には、径方向外側に突出した連結板840が形成されており、連結板840は、
図3に示す昇降装置80と連結されている。
【0049】
図3において、昇降装置80は、固定板804と、固定板804に支持されたシリンダ装置805とを有しており、シリンダ装置805の出力軸806は、可動部材807を介して連結板840に連結されている。このため、シリンダ装置805を動作させれば、連結部材85、カバー88、およびエアノズル81を昇降させることができる。従って、エアノズル81およびフード87は、レンズ10の上側に出現した位置と、レンズ10の上側からさらに上方に待避してレンズ10の上方を開放する位置との間で移動することができる。
【0050】
[遮光層付きレンズの製造方法の第1例]
(製造方法)
図7は、本発明を適用した遮光層付きレンズの製造方法の第1例を示す説明図である。
図7を参照して遮光層付きレンズ1の製造方法を説明するが、以下の説明では、適宜、
図3、
図4、
図5および
図6も参照する。
【0051】
図1に示す遮光層付きレンズ1を製造するにあたっては、まず、
図7(a)に示すレンズ10を形成した後、レンズ10を製造装置40のレンズ受け台60に配置する。
【0052】
次に、第1工程においては、レンズ10の外周部15の内縁(第1環状面17の内縁)に沿って遮光層形成用の液状物30を全周にわたって塗布する。本形態では、レンズ20の外周部15の内縁に向けて液状物吐出ノズル90から液状物30を供給しながら、レンズ10を保持したレンズ受け台60を光軸L周りに1回転以上、第1速度で回転させ、外周部15の内縁に沿って遮光層形成用の液状物30を全周にわたって塗布する。本形態では、レンズ10を保持したレンズ受け台60を光軸L周りに1回転させる。かかる第1工程の際、エアノズル81、フード87および連結部材85は、レンズ10の上側からさらに上方に待避してレンズ10の上方を開放する状態にある。
【0053】
次に、第2工程では、レンズ10を支持したレンズ受け台60を第1速度より高速の第2速度で光軸L周りに回転させ、遠心力によって液状物30を径方向外側に流動させて外周部15(第1環状面17、環状内周面18および第2環状面19)に液状物30を塗布する。第2工程でのレンズ受け台60の回転速度は、例えば、5,000〜30,000rpmである。その間、液状物30から溶媒が揮発して、遮光層3が形成される。
【0054】
かかる第2工程を行う際、エアノズル81、フード87および連結部材85は、レンズ10の上側まで下降した状態とする。その際、
図6(b)に示すように、エアノズル81の先端部811は、レンズ10の環状内周面18で囲まれた凹部16内に位置する。また、ノズルホルダ86の下端部861は、エアノズル81の周りで凹部16の開口部を部分的に塞いだ状態となる。従って、レンズ10の凹部16内では、
図6(b)に点線の矢印Sで示すように、凹部16の中心(レンズ面14の中心)から凹部16に沿って外向きの気流が発生する。
【0055】
なお、レンズ10の環状内周面18の角度等の影響で、第2工程で第2環状面19まで液状物30を十分に塗布できない場合には、
図7(c)に示す第3工程において、第2環状面19の内縁に向けて液状物吐出ノズル90から液状物30を供給しながら、レンズ10を保持したレンズ受け台60を光軸L周りに1回転以上、第3速度で回転させ、第2環
状面19の内縁に沿って遮光層形成用の液状物30を全周にわたって塗布する。本形態では、レンズ10を保持したレンズ受け台60を光軸L周りに1回転させる。かかる第3工程の際、エアノズル81、フード87および連結部材85は、レンズ10の上側からさらに上方に待避してレンズ10の上方を開放する状態にある。次に、第4工程では、レンズ10を支持したレンズ受け台60を第3速度より高速の第4速度で光軸L周りに回転させ、遠心力によって液状物30を径方向外側に流動させて第2環状面19に液状物30を塗布する。第4工程でのレンズ受け台60の回転速度は、例えば、5,000〜30,000rpmである。かかる第4工程でも、第2工程と同様、
図6(b)に示すように、エアノズル81、フード87および連結部材85を、レンズ10の上側まで下降した状態とすることが好ましい。
【0056】
(製造方法の第1例の主な効果)
以上説明したように、本例では、第1工程において、レンズ10の外周部15の内縁に沿って遮光層形成用の液状物30を全周にわたって塗布した後、第2工程では、液状物30の粘度や遮光層3の厚さ等に対応する速度で、レンズ10を支持したレンズ受け台60を光軸L周りに回転させ、遠心力によって液状物30を径方向外側に流動させて外周部15に液状物30を塗布する。このため、フェルト状の素材からなる塗布ヘッドを用いた場合と違って、塗布ヘッドに対する液状物の滲み込み量が変動するという事態が発生しない。それ故、遮光層3を形成するための液状物30を外周部に適正に塗布することができ、遮光層3の厚さが安定する。
【0057】
また、第1工程では、レンズ10の外周部15の内縁に向けて液状物吐出ノズル90から液状物30を供給しながら、レンズ10を保持したレンズ受け台60を光軸L周りに1回転以上、回転させるため、第1工程を効率よく行うことができる。また、第1工程では、レンズ10を保持したレンズ受け台60を光軸L周りに1回転させるため、第1工程で塗布する液状物30の量が安定する。それ故、遮光層3の厚さが安定する。
【0058】
また、第1工程におけるレンズ受け台60の回転速度(第1速度)は、第2工程におけるレンズ受け台60の回転速度(第2速度)より遅いため、第1工程では液状物30が遠心力によって外周側に広がることを抑制することができる。
【0059】
また、本形態では、レンズ10の一方面11側には、外周部15に、第1環状面17の径方向外側で第1環状面17より一方面11側に突出した第2環状面19と、斜め上方に傾いて第1環状面17と第2環状面19とを繋ぐ傾斜面からなる環状内周面18が設けられている。このため、第2工程の際、レンズ10の環状内周面18に沿って流動した液状物30が、
図6(b)および
図7(b)に実線の矢印Mで示すように、レンズ10の外側に液滴等として飛散しやすい。しかるに本形態では、レンズ10の周りにフード87が配置され、かかるフード87の内側からは、吸引機構89によって空気が上側に吸引されている。このため、液状物30が液滴等としてレンズ10から飛散しても、かかる液状物30は、フード87の外側に吸引される。このため、飛散した液状物30がレンズ10に付着することを抑制することができる。
【0060】
また、エアノズル81によって、レンズ10の一方面11側では、径方向内側から外側に向かう気流が発生する。特に、エアノズル81の先端部811は、レンズ10の環状内周面18で囲まれた凹部16内に位置するため、径方向内側から外側に向かう気流が効率よく発生する。このため、レンズ10の環状内周面18に沿って流動した液状物30がレンズ10の外側に液滴等として飛散しても、飛散した液状物30がレンズ10に付着することを抑制することができる。また、ノズルホルダ86の下端部861は、エアノズル81の周りでレンズ10の凹部16の開口部を部分的に塞いでいるため、飛散した液状物30がレンズ10の凹部16内に位置するレンズ面14に付着することを確実に抑制するこ
とができる。
【0061】
さらに、液状物吐出ノズル90から供給される液状物30の温度を調整する温度調整装置97が設けられているため、液状物30の粘度が安定する。それ故、液状物30の塗布厚さが安定するので、遮光層3の厚さが安定する。
【0062】
[遮光層付きレンズの製造方法の第2例]
(製造方法)
図8は、本発明を適用した遮光層付きレンズの製造方法の第2例を示す説明図である。
図8を参照して遮光層付きレンズ2の製造方法を説明するが、以下の説明では、適宜、
図3、
図4、
図5および
図6も参照する。
【0063】
図2に示す遮光層付きレンズ2を製造するにあたっては、まず、
図8(a)に示すレンズ20を形成した後、レンズ20を製造装置40のレンズ受け台60に配置する。本例では、エアノズル81、フード87および連結部材85は、レンズ20の上側からさらに上方に待避してレンズ20の上方を開放する状態にしておく。但し、第1工程および第3工程では、エアノズル81、フード87および連結部材85をレンズ20の上側からさらに上方に待避させておき、第2工程および第4工程では、エアノズル81、フード87および連結部材85を下降させてもよい。
【0064】
次に、第1工程においては、レンズ20の外周部25の内縁(第1環状面27の内縁)に沿って遮光層形成用の液状物30を全周にわたって塗布する。本形態では、レンズ20の外周部25の内縁に向けて液状物吐出ノズル90から液状物30を供給しながら、レンズ20を保持したレンズ受け台60を光軸L周りに1回転以上、第1速度で回転させ、外周部25の内縁に沿って遮光層形成用の液状物30を全周にわたって塗布する。本形態では、レンズ20を保持したレンズ受け台60を光軸L周りに1回転させる。
【0065】
次に、
図8(b)に示すように、第2工程では、レンズ20を支持したレンズ受け台60を第1速度より高速の第2速度で光軸L周りに回転させ、遠心力によって液状物30を径方向外側に流動させて第1環状面27に液状物30を塗布する。第2工程でのレンズ受け台60の回転速度は、例えば、5,000〜30,000rpmである。
【0066】
かかる第2工程の際、レンズ20の一方面21側には、外周部25に、第1環状面27の径方向外側で第1環状面27より他方面22側に向けて凹んだ第2環状面29と、第1環状面27と第2環状面29とを繋ぐ環状外周面28とが設けられているため、第2工程の際、段部(環状外周面28)より径方向外側では、矢印Nで示すように、液状物30が飛散し、環状外周面28および第2環状面29に液状物30を適正に塗布するのが困難である。
【0067】
そこで、本形態では、第2工程の後、
図8(c)に示す第3工程において、環状外周面28の第1環状面27との境界に沿って液状物30を全周にわたって塗布する。本形態では、レンズ20の環状外周面28の第1環状面27との境界に向けて液状物吐出ノズル90から液状物30を供給しながら、レンズ20を保持したレンズ受け台60を光軸L周りに1回転以上、第3速度で回転させ、環状外周面28の第1環状面27との境界に沿って液状物30を全周にわたって塗布する。本形態では、レンズ20を保持したレンズ受け台60を光軸L周りに1回転させる。
【0068】
次に、
図8(d)に示すように、第4工程では、レンズ20を支持したレンズ受け台60を第3速度より高速の第4速度で光軸L周りに回転させ、遠心力によって液状物30を径方向外側に流動させ、環状外周面28および第2環状面29に液状物30を塗布する。
その間、液状物30から溶媒が揮発して、遮光層3が形成される。第4工程でのレンズ受け台60の回転速度は、例えば、5,000〜30,000rpmである。
【0069】
(製造方法の第2例の主な効果)
以上説明したように、本例では、第1工程において、レンズ20の外周部25の内縁に沿って遮光層形成用の液状物30を全周にわたって塗布した後、第2工程では、液状物30の粘度や遮光層3の厚さ等に対応する速度で、レンズ20を支持したレンズ受け台60を光軸L周りに回転させ、遠心力によって液状物30を径方向外側に流動させて外周部25に液状物30を塗布する。このため、フェルト状の素材からなる塗布ヘッドを用いた場合と違って、塗布ヘッドに対する液状物の滲み込み量が変動するという事態が発生しない。それ故、遮光層3を形成するための液状物30を外周部に適正に塗布することができ、遮光層3の厚さが安定する。また、第1工程では、レンズ20の外周部25の内縁に向けて液状物吐出ノズル90から液状物30を供給しながら、レンズ20を保持したレンズ受け台60を光軸L周りに1回転以上、回転させるため、第1工程を効率よく行うことができる。
【0070】
また、第1工程では、レンズ20を保持したレンズ受け台60を光軸L周りに1回転させるため、第1工程で塗布する液状物30の量が安定する。それ故、遮光層3の厚さが安定する。また、第1工程におけるレンズ受け台60の回転速度(第1速度)は、第2工程におけるレンズ受け台60の回転速度(第2速度)より遅いため、第1工程では液状物30が遠心力によって外周側に広がることを抑制することができる。
【0071】
また、本形態では、第2工程の際、段部(環状外周面28)より径方向外側では、矢印Nで示すように、液状物30が飛散し、環状外周面28および第2環状面29に液状物30を適正に塗布すること困難である。しかるに本形態では、第2工程の後、
図8(c)に示す第3工程において、環状外周面28の第1環状面27との境界に沿って液状物30を全周にわたって塗布する。また、
図8(d)に示す第4工程では、レンズ20を支持したレンズ受け台60を第3速度より高速の第4速度で光軸L周りに回転させ、遠心力によって液状物30を径方向外側に流動させて環状外周面28および第2環状面29に液状物30を塗布する。従って、レンズ20の外周面25全体に遮光層3を適正に形成することができる。また、第3工程では、レンズ10を保持したレンズ受け台60を光軸L周りに1回転させるため、第3工程で塗布する液状物30の量が安定する。それ故、遮光層3の厚さが安定する。また、第3工程におけるレンズ受け台60の回転速度(第3速度)は、第4工程におけるレンズ受け台60の回転速度(第4速度)より遅いため、第4工程では液状物30が遠心力によって外周側に広がることを抑制することができる。
【0072】
また、液状物吐出ノズル90から供給される液状物30の温度を調整する温度調整装置97が設けられているため、液状物30の粘度が安定する。それ故、液状物30の塗布厚さが安定するので、遮光層3の厚さが安定する。
【0073】
[レンズ受け台の改良例]
図9は、本発明を適用した遮光層付きレンズの製造装置40のレンズ受け台60の改良例の説明図であり、
図9(a)、(b)は、レンズ受け台60等の斜視図、およびレンズ受け台60から第2プレート56を外した状態の斜視図である。
図10は、
図9に示すレンズ受け台60の断面図である。
図11は、
図9に示すレンズ受け台60の分解斜視図であり、
図11(a)、(b)は、ホルダを外した状態の分解斜視図、およびさらに第1筒部を外した状態の分解斜視図である。なお、
図9、
図10および
図11には、
図1に示すレンズ10がレンズ受け台60に支持されている状態を図示してある。
【0074】
図9、
図10および
図11に示すように、本形態の製造装置40に用いたレンズ受け台
60は、回転軸71の上端側でレンズ10の他方面12を吸着するレンズ吸着部65と、レンズ吸着部65の周りで上下方向に可動に構成された第1筒部66と、第1筒部66とレンズ吸着部65との間で、レンズ10の他方面12を受ける第2筒部67とを有している。レンズ吸着部65としては、第2筒部67の底部671に設けられた真空吸着チャックや粘着シートを利用でき、本形態では、レンズ吸着部65として粘着シートが用いられている。
【0075】
第1筒部66は、レンズ10の他方面12の外周側を受ける円筒部661と、円筒部661の下端部で径方向外側に突出したフランジ部662とを有している。また、回転軸71の上端側には、径方向外側に突出したフランジ部712が形成されている。フランジ部662とフランジ部712との間には、コイルバネからなる付勢部材68が配置されており、付勢部材68は、第1筒部66を上方に向けて付勢している。
【0076】
本形態において、第2筒部67は、回転軸71の中心軸線L71と同軸状に延在する円筒状の筒体670の上端部に形成されている。筒体670において下方に向く軸穴672には、回転軸71においてフランジ部712の先端側に構成された細径部713が嵌ることによって、筒体670と回転軸71とが固定されている。筒体670は、第1筒部66の内側に嵌っており、第1筒部66が上下方向に動く際にガイドとして機能する。また、第1筒部66には、回転軸71の中心軸線L71と平行に延在する長穴669が形成されており、長穴669には、筒体670から径方向外側に突出した軸部679が嵌っている。このようにして、第1筒部66と筒体670との間には、軸部679と長穴669とによって空回り防止機構69が構成されている。
【0077】
回転軸71のフランジ部712より下端側は、固定台50のホルダ57の内側で2つの軸受58、59によって回転可能に支持されている。また、ホルダ57の上面には、レンズ受け台60が上方に貫通させる穴566が形成された第2プレート56が固定されている。
【0078】
このように構成したレンズ受け台60では、レンズ10を配置しない状態で第1筒部66が上方に位置する。ここで、レンズ10の他方面12側には、外周側に2つの環状段部121、122が形成されており、レンズ受け台60にレンズ10を配置した際、第1筒部66の円筒部661は外周側の環状段部121に当接する。
【0079】
この状態で、第1筒部66にレンズ10を配置して下方に押圧すると、第1筒部66が下方に移動し、第2筒部67の上端部が内周側の環状段部122に当接し、レンズ10に対する調心が行われる。また、レンズ10の他方面12がレンズ吸着部65で保持される。それ故、レンズ10は、レンズ受け台60に確実に支持される。
【0080】
そして、レンズ10に対して遮光層3を形成して遮光層付きレンズ1を製造した後、第1筒部66を押し下げれば、遮光層付きレンズ1の環状段部121が第1筒部66から突出した状態となるので、遮光層付きレンズ1を容易に取り出すことができる。
【0081】
[他の実施の形態]
上記製造装置40については、単体で用いてもよいが、ターンテーブル方式等の搬送装置と組み合わせてもよい。ターンテーブル方式等の搬送装置と組み合わせた場合、レンズ10、20の搬送方向に沿って、レンズ10、20を供給するとともに遮光層付きレンズ1、2を回収するエリア、第1工程を行うエリア、および第2工程を行うエリアが設けられる。さらに、第3工程および第4工程を行う場合、第2工程を行うエリアの下流側に、第3工程を行うエリア、および第4工程を行うエリアが設けられる。
【0082】
上記実施の形態では、エアノズル81がレンズ受け台60の上方を開放状態とするにあたって、エアノズル81が移動したが、レンズ受け台60が下方に移動して、レンズ受け台60の上方を開放状態となる態様を採用してもよい。
【0083】
上記実施の形態では、吸引機構89がフード855の内側の空気を上方に吸引していたが、フード855の内側の空気を下方に吸引する態様を採用してもよい。
【0084】
上記実施の形態では、レンズ10、20の外周部15、25に傾斜面(環状内周面18および環状外周面28)が設けられていたが、外周部15、25がフラットな面によって構成されているレンズに遮光層を設ける場合に本発明を適用してもよい。
【0085】
上記実施の形態では、レンズ10、20の外周部15、25の内縁に沿って液状物30を塗布するにあたって、周方向で連続して液状物30を吐出したが、周方向で断続的に液状物30を吐出してもよい。
【0086】
上記実施の形態では、レンズ10、20の外周部15、25の内縁に沿って液状物30を塗布する工程を製造装置40で実施したが、製造装置40とは別の装置等でレンズ10、20の外周部15、25の内縁に沿って液状物30を塗布した後、レンズ10、20を製造装置40に設けてもよい。
【0087】
上記実施の形態では、第1工程および第2工程を行った後、第3工程および第4工程を行ったが、第2工程の前に、第1工程と第3工程とを行ってもよい。かかる構成によれば、第2工程で液状物を径方向外側に流動させることができる。従って、第3工程とは別に第4工程を行う必要がない。
【0088】
上記実施の形態では、レンズ10、20の外周部15、25の内縁に沿ってのみ液状物30を塗布した後、遠心力で径方向外側に液状物30を流動させた。但し、少なくともレンズ10、20の外周部15、25の内縁に沿って液状物30を塗布すればよく、例えば、レンズ10、20の外周部15、25の内縁に加えて、レンズ10、20の外周部15、25の内縁よりさらに径方向外側に液状物30を塗布し、その後、遠心力で径方向外側に液状物30を流動させてもよい。さらには、レンズ10、20の外周部15、25の内縁に加えて、レンズ10、20の外周部15、25の全体に液状物30を塗布し、その後、遠心力で径方向外側に液状物30を流動させて、外周部15、25の液状物30の厚さを均等化してもよい。かかる構成によれば、第2工程のみで外周部の広い範囲に液状物30を塗布することができる、