【実施例】
【0064】
本発明の実施例を説明する。以下、実施例1〜3の銀ワイヤーの製造方法、測定方法、観察方法、測定結果および観察結果を順に説明する。なお、実施例1の銀ワイヤーの製造方法では、ガスを注入することなく熱処理を行った。実施例2の銀ワイヤーの製造方法では、注入ガスとして空気を注入して熱処理を行った。実施例3の銀ワイヤーの製造方法では、注入ガスとして窒素を注入して熱処理を行った。
【0065】
(実施例1)
[Bi2212の作製]
酸化ビスマスBi
2O
3(和光純薬工業株式会社製)、炭酸ストロンチウムSrCO
3(関東化学株式会社製)、炭酸カルシウムCaCO
3(関東化学株式会社製)、および、酸化銅Cu
2O(和光純薬工業株式会社製)を、モル比でBi:Sr:Ca:Cu=2:2:1:2となるように調製し、エタノール中で1時間混合した。その後、混合物を800℃で10時間加熱した。
【0066】
混合物をX線回折装置(株式会社リガク製、製品名「Ultima IV」)を用いて測定した。測定は、管電圧40kV、管電流40mA、測定速度2degree/分で行った。測定の結果、混合物はBi2212の単相とはいえなかった。その後、乳鉢内で混合物を粉砕した。
【0067】
次に、粉砕された粉末を840℃で10時間加熱した。上記X線回折装置を用いて混合物を上記測定条件で測定した。測定の結果、混合物はBi2212の単相とはいえなかった。その後、乳鉢内で混合物を粉砕した。
【0068】
次に、粉砕された粉末を860℃で10時間加熱した。上記X線回折装置を用いて混合物を上記測定条件で測定した。測定の結果、混合物はBi2212の単相とはいえなかった。その後、乳鉢内で混合物を粉砕した。
【0069】
次に、粉砕された粉末を直径10mm厚さ1mmの円柱ペレットに付与し、圧力50MPaで3分間、一軸方向に加圧して成形した。その後、860℃で24時間加熱してサンプルBを生成した。上記X線回折装置を用いて混合物を上記測定条件で測定した。測定の結果、サンプルBはBi2212の単相であることを確認した。
【0070】
[サンプルIBの作製]
100質量部のサンプルBおよび50質量部のヨウ素(関東化学株式会社製)を秤量し、ガラス管内にサンプルBおよびヨウ素を入れ、そのガラス管内を真空引きした後に封じた。その後、箱型加熱炉にて200℃で72時間熱処理してサンプルIBを生成した。
【0071】
[サンプルABの作製]
100質量部のサンプルIBおよび50質量部のヨウ化銀(ナカライテスク株式会社製)を秤量し、エタノール中でサンプルIBおよびヨウ化銀を10分間混合した。その後、混合物を直径10mm厚さ1mmの円柱ペレットに付与し、圧力50MPaで3分間、一軸方向に加圧して成形した。
【0072】
その後、成形物を大気下において昇温速度5℃/分で250℃まで昇温し、250℃を30時間維持してサンプルABを生成した。サンプルBと同様に、X線回折装置を用いてサンプルABを測定した。測定の結果、サンプルABはAgIBi2212の単相であることを確認した。
【0073】
図6は、サンプルB、サンプルIBおよびサンプルABのX線回析測定結果を示すグラフである。
図6のサンプルIBおよびサンプルABに示されるように、サンプルIBおよびサンプルABの構造は、それぞれ擬似的に正方晶として指数付できた。
【0074】
サンプルB、サンプルIBおよびサンプルABの格子定数cを求めたところ、サンプルBの格子定数cは30.55Åであり、サンプルIBの格子定数cは36.94Åであり、サンプルABの格子定数cは45.40Åであった。サンプルBにヨウ素Iをインターカレートすると格子定数が大きくなり、さらに、サンプルIBにヨウ化銀AgIをインターカレートすると格子定数が大きくなっていた。これは、インターカレーションによって層間が広がり、c軸方向に伸びていたためと考えられる。
【0075】
[サンプル1aの作製]
図4に示した加熱炉110と同様の構造を有する加熱炉に、サンプルABを入れたガラス管を設置した。昇温速度5℃/分で温度500℃まで加熱し、加熱温度500℃を3時間維持するように熱処理を行い、サンプル1aを生成した。
【0076】
[サンプル1aの表面観察]
サンプル1aの表面を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、製品名「JSM−5600」)を用いて観察した。観察は加速電圧15kV、スポットサイズ20で行った。
【0077】
[サンプル1bの作製および観察]
熱処理の加熱温度500℃を650℃に変更した点を除いて、サンプル1aと同様にサンプルABの熱処理を行い、サンプル1bを生成した。その後、サンプル1aと同様にサンプル1bの表面を観察した。
【0078】
[サンプル1cの作製および観察]
熱処理の加熱温度500℃を700℃に変更した点を除いて、サンプル1aと同様にサンプルABの熱処理を行い、サンプル1cを生成した。その後、サンプル1aと同様にサンプル1cの表面を観察した。
【0079】
[元素分析]
エネルギー分散型X線分析装置(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy:EDX、日本電子株式会社製)を用いてサンプル1cの生成物の元素分析を行った。
【0080】
図7(a)にサンプル1cの表面上に生成された生成物の元素分析の測定結果を示す。
図7(a)では、銀成分を点線でマッピングして示している。サンプル1cの表面に銀ワイヤーが生成されていたことが確認できた。
【0081】
微小X線回折装置(株式会社リガク製、製品名「Rint 2500」)を用いてサンプル1cの生成物を測定した。測定条件は、管電圧40kV、管電流200mA、計数時間360秒とし、試料台のω、φ、χ軸搖動条件は、ω軸5〜25 degree(60degree/分)の範囲、φ軸−180〜180degree(360degree/分)の範囲、χ軸固定として測定を行った。
【0082】
図8は、サンプル1cの生成物の微小X線回析測定結果を示すグラフである。なお、
図8には、サンプル1cの生成物の微小X線回析測定結果に加えて、PDF(Powder Diffraction File) Agも併せて示している。PDF Agのデータは01−071−4613である。サンプル1cの表面に銀ワイヤーが生成されていたことが確認できた。
【0083】
[サンプルACの作製]
100質量部のCu
2O(和光純薬工業株式会社製)および33.3質量部のヨウ化銀(ナカライテスク株式会社製)を秤量し、エタノール中でCu
2Oおよびヨウ化銀を10分間混合した。その後、混合物を直径10mm厚さ1mmの円柱ペレットに付与し、圧力50MPaで3分間、一軸方向に加圧してサンプルACを生成した。
【0084】
サンプルBと同様に、X線回折装置を用いてサンプルACを測定した。測定の結果、サンプルACがAgI−Cu
2Oの単相であることを確認した。
【0085】
[サンプル2aの作製および観察]
サンプルABをサンプルACに変更した点を除いて、サンプル1aと同様にサンプル2aを生成した。その後、サンプル1aと同様にサンプル2aの表面を観察した。
【0086】
[サンプル2bの作製および観察]
熱処理の加熱温度500℃を650℃に変更した点を除いて、サンプル2aと同様にサンプルACの熱処理を行い、サンプル2bを生成した。その後、サンプル2aと同様にサンプル2bの表面を観察した。
【0087】
さらに、サンプル1cと同様にサンプル2bの表面に生成された物質の元素分析を行った。
図7(b)に、サンプル2bの表面上に生成された生成物の元素分析の測定結果を示す。
図7(b)では、銀成分を点線でマッピングして示している。サンプル2bの表面に銀ワイヤーが生成されていたことが確認できた。サンプル1cと同様に、微小X線回折装置を用いてサンプル2bを測定した。
【0088】
[サンプル2cの作製および観察]
熱処理の加熱温度500℃を700℃に変更した点を除いて、サンプル2aと同様にサンプルACの熱処理を行い、サンプル2cを生成した。その後、サンプル2aと同様にサンプル2cの表面を観察した。
【0089】
図9は、サンプルACおよびサンプル2bのX線回析測定結果を示すグラフである。なお、
図9には、サンプルACおよびサンプル2bのX線回析測定結果に加えて、PDF AgI、PDF Cu
2O、PDF CuO、PDF Agも併せて示している。なお、PDF AgIのデータは00−009−0374であり、PDF Cu
2Oのデータは01−071−3645であり、PDF CuOのデータは01−073−6023であり、PDF Agのデータは01−071−4613である。
図9から、熱処理により、サンプル2bにおいて、成分Cu
2Oは成分CuOに酸化され、Cuの価数が1価から2価に増加したと考えられる。
【0090】
[サンプルAFの作製]
100質量部のFeO(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)および33.3質量部のヨウ化銀(ナカライテスク株式会社製)を秤量し、エタノール中でFeOおよびヨウ化銀を10分間混合した。その後、混合物を直径10mm厚さ1mmの円柱ペレットに付与し、圧力50MPaで3分間、一軸方向に加圧してサンプルAFを生成した。サンプルBと同様に、X線回折装置を用いてサンプルAFを測定した。測定の結果、サンプルAFがAgI−FeOのほぼ単相であることを確認した。
【0091】
[サンプル3aの作製および観察]
サンプルABをサンプルAFに変更した点を除いて、サンプル1aと同様にサンプル3aを生成した。その後、サンプル1aと同様にサンプル3aの表面を観察した。
【0092】
[サンプル3bの作製および観察]
熱処理の加熱温度500℃を650℃に変更した点を除いて、サンプル3aと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル3bを生成した。その後、サンプル3aと同様にサンプル3bの表面を観察した。また、サンプル1cと同様に、微小X線回折装置を用いてサンプル3bを測定した。
【0093】
[サンプル3cの作製および観察]
熱処理の加熱温度500℃を700℃に変更した点を除いて、サンプル3aと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル3cを生成した。その後、サンプル3aと同様にサンプル3cの表面を観察した。
【0094】
図10は、サンプルAFおよびサンプル3bのX線回析測定結果を示すグラフである。なお、
図10には、サンプルAFおよびサンプル3bのX線回析測定結果に加えて、PDF AgI、PDF FeO、PDF Fe
2O
3、PDF Fe
3O
4、PDF Agも併せて示している。なお、PDF AgIのデータは00−009−0374であり、PDF FeOのデータは00−006−0615であり、PDF Fe
2O
3のデータは01−076−4579であり、PDF Fe
3O
4のデータは01−071−6337であり、PDF Agのデータは01−071−4613である。
図10から、熱処理により、サンプル3bにおいて、成分FeOは成分Fe
2O
3に酸化され、Feの価数が2価から3価に増加したと考えられる。
【0095】
図11は、実施例1におけるサンプル1a〜1c、2a〜2cおよび3a〜3cのSEMによる観察結果を示す図である。詳細には、
図11(a)〜
図11(c)は、実施例1におけるサンプル1a〜1cのSEMによる観察結果をそれぞれ示す図であり、
図11(d)〜
図11(f)は、実施例1におけるサンプル2a〜2cのSEMによる観察結果をそれぞれを示す図である。また、
図11(g)は、実施例1におけるサンプル3aのSEMによる観察結果を示す図であり、
図11(h)および
図11(i)は、実施例1におけるサンプル3bのSEMによる観察結果を示す図であり、
図11(j)は、実施例1におけるサンプル3cのSEMによる観察結果を示す図である。
【0096】
金属酸化物としてAgIBi2212を用いた場合、加熱温度500℃のサンプル1aでは、熱処理をしても銀ワイヤーの生成量はそれほど多くなかったが、加熱温度650℃のサンプル1bでは、熱処理をすると長さ5〜10μm程度の比較的短い銀ワイヤーが生成した。なお、加熱温度700℃のサンプル1cでは、熱処理の後には、サンプル1bよりも長く多量の銀ワイヤーが生成した。なお、加熱温度700℃以上の場合、銀ワイヤーは溶解して互いに接触し、それほど成長しなかった。
【0097】
金属酸化物としてAgI−Cu
2Oを用いた場合、加熱温度500℃のサンプル2aでは、熱処理をしても銀ワイヤーの生成量はそれほど多くなかったが、加熱温度650℃のサンプル2bでは、熱処理すると比較的長く絡み合った形状の銀ワイヤーが生成した。なお、加熱温度700℃のサンプル2cでは、熱処理をしても、銀ワイヤーはそれほど生成しなかった。
【0098】
金属酸化物としてAgI−FeOを用いた場合、加熱温度500℃のサンプル3aでは、直径約50nm、長さ約1〜2μm程度の非常に細く短い銀ワイヤーが生成した。また、加熱温度650℃のサンプル3bでも、同様に、直径約50nm、長さ約1〜2μm程度の非常に細く短い銀ワイヤーが生成した。一方、加熱温度700℃のサンプル3cでは、熱処理をしても、銀ワイヤーはそれほど生成しなかった。
【0099】
(実施例2)
[サンプル4aの作製および観察]
図5に示した加熱炉120と同様の構造を有する加熱炉に、サンプルABを入れたガラス管を設置した。注入ガスとして空気を流量0.5L/分で注入した。昇温速度5℃/分で温度650℃まで昇温し、加熱温度650℃を3時間維持するように熱処理を行い、サンプル4aを生成した。その後、サンプル1aと同様に、走査型電子顕微鏡を用いてサンプル4aの表面を観察した。
【0100】
図12は、実施例2におけるサンプル4aのSEMによる観察結果を示す図である。詳細には、
図12(a)〜
図12(c)は、実施例2におけるサンプル4aのSEMによる観察結果を示す図である。
図12(b)は
図12(a)よりも約1.3倍拡大した図であり、
図12(c)は
図12(b)よりもさらに3倍拡大した図である。
【0101】
サンプル4aのほぼ表面全体が銀ワイヤーで覆われていた。また、
図11(b)に示したサンプル1bの観察結果と比較して比較的長い銀ワイヤーが生成された。
【0102】
[サンプル5aの作製および観察]
サンプルABをサンプルACに変更し、かつ、注入ガスとして空気を流量0.1L/分で注入した点を除いて、サンプル4aと同様にサンプル5aを生成した。その後、サンプル1aと同様にサンプル5aの表面を観察した。
【0103】
[サンプル5bの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から0.5L/分に変更した点を除いて、サンプル5aと同様にサンプルACの熱処理を行い、サンプル5bを生成した。その後、サンプル5aと同様にサンプル5bの表面を観察した。
【0104】
[サンプル5cの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から1.0L/分に変更した点を除いて、サンプル5aと同様にサンプルACの熱処理を行い、サンプル5cを生成した。その後、サンプル5aと同様にサンプル5cの表面を観察した。
【0105】
[サンプル5dの作製および観察]
熱処理の加熱温度650℃を700℃に変更した点を除いて、サンプル5aと同様にサンプルACの熱処理を行い、サンプル5dを生成した。その後、サンプル5aと同様にサンプル5dの表面を観察した。
【0106】
[サンプル5eの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から0.5L/分に変更した点を除いて、サンプル5dと同様にサンプルACの熱処理を行い、サンプル5eを生成した。その後、サンプル5aと同様にサンプル5eの表面を観察した。
【0107】
[サンプル5fの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から1.0L/分に変更した点を除いて、サンプル5dと同様にサンプルACの熱処理を行い、サンプル5fを生成した。その後、サンプル5aと同様にサンプル5fの表面を観察した。
【0108】
図13は、実施例2におけるサンプル5a〜5fのSEMによる観察結果を示す図である。サンプル5a〜5fでは、表面に銀ワイヤーが溶解して固まっており、他の銀ワイヤーと独立した状態の銀ワイヤーは比較的少なかった。また、サンプル5a〜5fでは、空気の流量および加熱温度が変化しても、表面はそれほど変化しなかった。
【0109】
[サンプル6aの作製および観察]
サンプルACをサンプルAFに変更した点を除いて、サンプル5aと同様にサンプル6aを生成した。その後、サンプル1aと同様にサンプル6aの表面を観察した。
【0110】
[サンプル6bの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から0.5L/分に変更した点を除いて、サンプル6aと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル6bを生成した。その後、サンプル6aと同様にサンプル6bの表面を観察した。
【0111】
[サンプル6cの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から1.0L/分に変更した点を除いて、サンプル6aと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル6cを生成した。その後、サンプル6aと同様にサンプル6cの表面を観察した。
【0112】
[サンプル6dの作製および観察]
熱処理の加熱温度650℃を700℃に変更した点を除いて、サンプル6aと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル6dを生成した。その後、サンプル6aと同様にサンプル6dの表面を観察した。
【0113】
[サンプル6eの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から0.5L/分に変更した点を除いて、サンプル6dと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル6eを生成した。その後、サンプル6aと同様にサンプル6eの表面を観察した。
【0114】
[サンプル6fの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から1.0L/分に変更した点を除いて、サンプル6dと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル6fを生成した。その後、サンプル6aと同様にサンプル6fの表面を観察した。
【0115】
図14は、実施例2におけるサンプル6a〜6fのSEMによる観察結果を示す図である。サンプル6a〜6fでは、表面に銀ワイヤーが溶解して固まっており、他の銀ワイヤーと独立した状態の銀ワイヤーは比較的少なかった。また、サンプル6a〜6fでは、空気の流量および加熱温度が変化しても、表面はそれほど変化しなかった。
【0116】
(実施例3)
[サンプル7aの作製および観察]
注入ガスを空気から窒素に変更した点を除いて、サンプル4aと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル7aを生成した。その後、サンプル1aと同様にサンプル7aの表面を観察した。
【0117】
図15は、実施例3におけるサンプル7aのSEMによる観察結果を示す図である。詳細には、
図15(a)〜
図15(c)は、実施例3におけるサンプル7aのSEMによる観察結果を示す図である。
図15(b)は
図15(a)よりも5倍拡大した図であり、
図15(c)は
図15(b)よりもさらに2倍拡大した図である。
【0118】
サンプル7aでは、表面を覆う銀は比較的少なく、注入ガスとして空気を用いた場合の
図12と比較して、銀ワイヤーの生成量がさらに多かった。
【0119】
[サンプル8aの作製および観察]
サンプルABをサンプルACに変更し、注入ガスとして空気を流量0.1L/分で注入し、さらに、加熱温度を650℃から500℃に変更した点を除いて、サンプル7aと同様にサンプル8aを生成した。その後、サンプル1aと同様にサンプル8aの表面を観察した。
【0120】
[サンプル8bの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から0.5L/分に変更した点を除いて、サンプル8aと同様にサンプルACの熱処理を行い、サンプル8bを生成した。その後、サンプル8aと同様にサンプル8bの表面を観察した。
【0121】
[サンプル8cの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から1.0L/分に変更した点を除いて、サンプル8aと同様にサンプルACの熱処理を行い、サンプル8cを生成した。その後、サンプル8aと同様にサンプル8cの表面を観察した。
【0122】
[サンプル8dの作製および観察]
熱処理の加熱温度500℃を650℃に変更した点を除いて、サンプル8aと同様にサンプルACの熱処理を行い、サンプル8dを生成した。その後、サンプル8aと同様にサンプル8dの表面を観察した。
【0123】
[サンプル8eの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から0.5L/分に変更した点を除いて、サンプル8dと同様にサンプルACの熱処理を行い、サンプル8eを生成した。その後、サンプル8aと同様にサンプル8eの表面を観察した。
【0124】
[サンプル8fの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から1.0L/分に変更した点を除いて、サンプル8dと同様にサンプルACの熱処理を行い、サンプル8fを生成した。その後、サンプル8aと同様にサンプル8fの表面を観察した。
【0125】
[サンプル8gの作製および観察]
熱処理の加熱温度500℃を700℃に変更した点を除いて、サンプル8aと同様にサンプルACの熱処理を行い、サンプル8gを生成した。その後、サンプル8aと同様にサンプル8gの表面を観察した。
【0126】
[サンプル8hの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から0.5L/分に変更した点を除いて、サンプル8gと同様にサンプルAC熱処理を行い、サンプル8hを生成した。その後、サンプル8aと同様にサンプル8hの表面を観察した。
【0127】
[サンプル8iの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から1.0L/分に変更した点を除いて、サンプル8gと同様にサンプルACの熱処理を行い、サンプル8iを生成した。その後、サンプル8aと同様にサンプル8iの表面を観察した。
【0128】
図16は、実施例3におけるサンプル8a〜8iのSEMによる観察結果を示す図である。詳細には、
図16(a)〜
図16(i)は、実施例3におけるサンプル8a〜8iのSEMによる観察結果をそれぞれ示す図である。
【0129】
サンプル8a〜8iにおいて、表面に銀ワイヤーが溶解して固まっており、他の銀ワイヤーと独立した状態の銀ワイヤーは比較的少なかった。また、サンプル8a〜8iでは、窒素の流量および加熱温度が変化しても、表面はそれほど変化しなかった。
【0130】
[サンプル9aの作製および観察]
サンプルACをサンプルAFに変更した点を除いて、サンプル8aと同様にサンプル9aを生成した。その後、サンプル1aと同様にサンプル9aの表面を観察した。
【0131】
[サンプル9bの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から0.5L/分に変更した点を除いて、サンプル9aと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル9bを生成した。その後、サンプル9aと同様にサンプル9bの表面を観察した。
【0132】
[サンプル9cの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から1.0L/分に変更した点を除いて、サンプル9aと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル9cを生成した。その後、サンプル9aと同様にサンプル9cの表面を観察した。
【0133】
[サンプル9dの作製および観察]
熱処理の加熱温度500℃を650℃に変更した点を除いて、サンプル9aと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル9dを生成した。その後、サンプル9aと同様にサンプル9dの表面を観察した。
【0134】
[サンプル9eの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から0.5L/分に変更した点を除いて、サンプル9dと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル9eを生成した。その後、サンプル9aと同様にサンプル9eの表面を観察した。
【0135】
[サンプル9fの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から1.0L/分に変更した点を除いて、サンプル9dと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル9fを生成した。その後、サンプル9aと同様にサンプル9fの表面を観察した。
【0136】
[サンプル9gの作製および観察]
熱処理の加熱温度500℃を700℃に変更した点を除いて、サンプル9aと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル9gを生成した。その後、サンプル9aと同様にサンプル9gの表面を観察した。
【0137】
[サンプル9hの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から0.5L/分に変更した点を除いて、サンプル9gと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル9hを生成した。その後、サンプル9aと同様にサンプル9hの表面を観察した。
【0138】
[サンプル9iの作製および観察]
注入ガスの流量を0.1L/分から1.0L/分に変更した点を除いて、サンプル9gと同様にサンプルAFの熱処理を行い、サンプル9iを生成した。その後、サンプル9aと同様にサンプル9iの表面を観察した。
【0139】
図17は、実施例3におけるサンプル9a〜9fのSEMによる観察結果を示す図である。詳細には、
図17(a)〜
図17(c)はサンプル9a〜9cのSEMによる観察結果をそれぞれ示す図である。
図17(d)はサンプル9dのSEMによる観察結果を示す図であり、
図17(e)〜
図17(g)はサンプル9eのSEMによる観察結果を示す図であり、
図17(h)はサンプル9fのSEMによる観察結果を示す図である。
図17(i)はサンプル9gのSEMによる観察結果を示す図であり、
図17(j)〜
図17(m)はサンプル9hのSEMによる観察結果を示す図である。
図17(n)はサンプル9iのSEMによる観察結果を示す図である。
【0140】
サンプル9a〜9iにおいて、直径約20μmの長い銀ワイヤーが大量に生成された。なお、
図11(g)〜
図11(j)に示したように注入ガスを注入しなかったサンプル3a〜3cと比較すると、サンプル9a〜9iでは、径および長さの大きく異なる銀ワイヤーが生成された。また、サンプル9a〜9iでは、窒素の流量および加熱温度が増加するほど、銀ワイヤーの生成量が増加した。