【解決手段】端部カバー31がリヤカバー122と対向するよう発電機本体3をパッケージ10内に収容すると共にエンジンや発電機本体3の動作及び供給電力を制御する制御盤6を載置する,脚部21,21’と横架材22によって構成された略門型の架台20を,前記発電機本体3を跨ぐようにパッケージ10内に配置し,この架台20の脚部21,21’の一方(右脚部21)に,外部機器へ電力を供給する出力端子盤7を,外部配線用接続端子71が右サイドカバー124に設けた開口42側に突出し,機内配線用接続端子72が発電機本体3側に突出するように,前記脚部21に設ける。そして,リヤカバー122のうち,少なくとも前記横架材22よりも下方に位置する部分(図示の例ではリヤカバー122全体)を前記ボンネット12より着脱可能とする。
発電機本体及び前記発電機本体を駆動するエンジンを載置した基台フレームと,前記基台フレーム上において前記エンジン及び発電機本体を包囲するボンネットにより構成されたパッケージを備え,前記パッケージ内に前記発電機本体を,該発電機本体の端部カバーが前記ボンネットの側壁中のいずれか一の側壁と対向するように配置すると共に,前記発電機本体上に制御盤を載置する架台を設けたエンジン駆動型発電機において,
前記架台が,
前記制御盤を載置する横架材と,
前記一の側壁に対して交叉する方向の側壁の一方である他の側壁と前記発電機本体間で前記基台フレームより立設し,前記横架材の前記他の側壁側の端部の底面を支持する脚部を備え,
外部機器へ電力を供給する出力端子盤を,外部配線用接続端子が前記他の側壁に設けた開口側に突出し,機内配線用接続端子が前記発電機本体側に突出するように,前記脚部に設けると共に,
前記一の側壁のうち,少なくとも前記横架材よりも下方に位置する部分を前記ボンネットより着脱可能としたことを特徴とするエンジン駆動型発電機。
【背景技術】
【0002】
発電機本体とこの発電機本体を駆動するためのエンジン,燃料タンク,その他必要な機器をパッケージ内に収容した可搬式のパッケージ型エンジン駆動型発電機は,工事現場やイベント会場,災害の被災地等において電力を得るために広く使用されている。
【0003】
このようなエンジン駆動型発電機のパッケージは,一般に前述のエンジンや発電機本体,その他の必要な機器を載置する基台フレームと,この基台フレーム上を覆って前記エンジンや発電機本体等を収容するボンネットによって構成された箱型を成し,このようにして形成されたパッケージ内に前述のエンジンや発電機本体,燃料タンク,その他必要な機器を収容することで,パッケージ内に収容した機器を風雨より保護すると共に,エンジンや発電機本体を駆動した際に発生した騒音が外部に漏出することを防止している。
【0004】
以上のように構成されたエンジン駆動型発電機には,エンジンや発電機本体及び供給電力を制御するための制御盤,各種のスイッチや計器類が設けられた操作パネルが設けられていると共に,発電機本体が発生した電力をパッケージ外に配置された外部接続機器に供給するための出力端子盤が設けられている。
【0005】
このような操作パネルや出力端子盤は,パッケージ外から操作パネル上のスイッチ類を操作したり,出力端子盤に設けた出力端子に外部配線を接続したりすることができるよう,ボンネットの側壁に操作パネル用の開口と出力端子盤用の開口をそれぞれ設け,これらの開口の形成位置におけるボンネットの内壁に操作パネルや出力端子盤を取り付けることが一般に行われている。
【0006】
しかし,上記操作パネルや出力端子盤の配置構成を採用する場合,内面に操作パネルや出力端子盤が取り付けられた側壁を脱着すると,操作パネルや出力端子盤も側壁と共に取り外されることとなるため,脱着の度に操作パネルや出力端子盤に接続されている内部配線についても脱着する作業が必要となり煩雑である。
【0007】
そこで,上記煩雑さを解消するために,本願の出願人は,
図7に示すように端部カバー231がボンネットの一の側壁(リヤカバー212)と対向するようにパッケージ内に発電機本体230を配置したエンジン駆動型発電機200において,パッケージ内に基台フレームより立設した複数の脚部221と,該脚部221の上端間に架設された横架材222によって発電機本体230を跨ぐ略門型の架台220を設け,この架台220に制御盤260を載置すると共に,操作パネル250と出力端子盤270を,一の側壁(リヤカバー212)に設けた開口241,242に向けて前記架台220に取り付ける構造の採用を提案している(特許文献1参照)。
【0008】
この構成では,リヤカバー212を着脱しても,操作パネル250や出力端子盤270を架台220に取り付けた状態のまま機内に残しておくことができるため,リヤカバー212の脱着作業を,操作パネル250や出力端子盤270に対する機内配線の脱着作業とは切り離して行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
複数の機種の組立を行う多種混合組立ラインにおいては,各機種の組立ライン上での作業時間のバラツキを無くし,作業時間の均一化を図るため,機能や構成部位単位毎に所定範囲の構成機器群をモジュール化し,このモジュール化された構成機器群を,エンジンや発電機本体等の主要部品の組み付けを行う,メインの組立ラインに導入する前に予め組み立てておく「サブアセンブリ」が行われる。
【0011】
前述した特許文献1に記載のエンジン駆動型発電機200の構成にあっては,架台220,制御盤260,操作パネル250,及び出力端子盤270を1つのモジュールとして,これらの組み付けと配線をサブアセンブリとして行うことで,組立ラインにおいて,基台フレーム上にエンジンや発電機本体を組み付けると共に前述のサブアセンブリした架台モジュールを載置し,制御盤260からの配線をエンジンや発電機本体230に接続するだけで配線作業が完了する等,組立ライン上での作業を簡略化することが可能となっている。
【0012】
しかし,前述した特許文献1に記載の構成では,出力端子盤270をリヤカバー212側に向けて,架台220の横架材222に吊り下げるように取り付けていることから(
図7参照),出力端子盤270に対する機内配線を取り付ける際の作業性が悪く,誤配線や取り付け不良等の不具合の発生が起こり易いだけでなく,配線作業後の検査や点検作業が行い難く,更に,発電機本体230のメンテナンス時における作業性をも低下させている。
【0013】
すなわち,特許文献1に記載のエンジン駆動型発電機200では,サブアセンブリで行う出力端子盤270に対する機内配線の取り付けを,架台220の後部側(エンジン駆動型発電機200の組立完了時におけるリヤカバー212側)から行おうとした場合,架台220の後部側から出力端子盤270を見ると,出力端子盤270の背面に設けた機内配線用接続端子272は死角となることから,機内配線用接続端子272に対する配線の接続作業は手探りで行うこととなるために作業性が悪く,誤配線や取付不良等が生じ易い。
【0014】
このような問題を解消するために,例えば,架台220に対する出力端子盤270の取付作業については架台220の後部側から,出力端子盤270に対する機内配線の接続作業については架台220の前方側(エンジン駆動型発電機200の組立完了時におけるフロントカバー211側)から行うといったように,作業内容に応じて作業者が架台220の回りを移動し,あるいは,架台220を回転させて作業を行うことも考えられるが,出力端子盤270は架台220の後部側(リヤカバー212側)で横架材222に取り付けられているため,架台220の前方側(フロントカバー211側)から作業を行おうとすると,出力端子盤270は架台220の奥まった位置にあることから,作業性の悪さは依然解消されず,しかも,作業内容毎に架台220の回りを移動し,あるいは架台220を回転させる作業は煩雑である。また,誤配線や取付不良は,組立ラインを経て発電機の組立が完了した後の最終検査(例えば試運転前検査)において検査され,また,出荷後には,ユーザにより配線の緩みや外れ,断線等の点検が行われることとなるが,このような出力端子盤270の検査や点検作業は,リヤカバー212を取り外してボンネットの後部を開放した状態で行うため,特許文献1に記載のエンジン駆動型発電機200では,出力端子盤270の背面に設けた機内配線用接続端子272に対する配線の取付状態の確認は,架台220の下方から出力端子盤270の背面を覗き込むようにして確認することが必要で,作業者に無理な姿勢を強いるものとなっている。
【0015】
しかも,このようにして出力端子盤270の背面を覗き込んだとしても,機内配線用接続端子272に対する配線の接続部分が見難く,誤配線や配線の緩み,外れ,断線等の不具合を見落とし易い。
【0016】
このような問題を解消するために,例えば鏡を使って出力端子盤270の背面を点検することも考えられるが,左右が反転した鏡像に基づいて配線の検査,点検を行い,緩みや外れ等を修正する作業を行うには熟練を要する。
【0017】
更に,エンジン駆動型発電機200を使用するユーザは,出力端子盤270に対する機内配線の点検作業のみならず,発電機本体230に対してもベアリングの交換やコイルに付着した埃等を除去するためのエアブローの実施等,定期的なメンテナンス作業を行うことが必要となるが,これらの作業は,発電機本体230の端部カバー231を取り外して行われる。
【0018】
しかし,前述したように架台220の横架材222に出力端子盤270を吊り下げるように取り付けた特許文献1に記載のエンジン駆動型発電機200の構成にあっては,出力端子盤270が,発電機本体230の端部カバー231の上端部の前方に覆い被さるように配置されるため(
図7参照),例えば端部カバー231を固定しているボルトを外す際に工具が出力端子盤270と干渉してしまう等,端部カバー231の取り外しを行うための十分な作業スペースが確保されておらず,発電機本体230のメンテナンス性も良いとは言えない。
【0019】
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するために成されたものであり,出力端子盤に対する機内配線作業を容易とすることでサブアッセンブリにおける作業性を向上させ,また,検査やメンテナンス時において出力端子盤の背面確認を容易にできるようにすることで,検査,点検時における誤配線,配線の緩みや外れ,断線等の不具合を発見し易く,しかも,発電機本体の端部カバーの前方に十分な作業スペースを確保することで,発電機本体のメンテナンス性についても改善することができる出力端子盤の配置構造を備えたエンジン駆動型発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本願発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0021】
上記目的を達成するために,本発明のエンジン駆動型発電機1は,
発電機本体3及び前記発電機本体3を駆動するエンジン(図示せず)を載置した基台フレーム11と,前記基台フレーム11上において前記エンジン及び発電機本体3を包囲するボンネット12により構成されたパッケージ10を備え,前記パッケージ10内に前記発電機本体3を,該発電機本体3の端部カバー31が前記ボンネット12の側壁中のいずれか一の側壁(リヤカバー122)と対向するように配置すると共に,前記発電機本体3上に制御盤6を載置する架台20を設けたエンジン駆動型発電機1において,
前記架台20が,
前記制御盤6を載置する横架材22と,
前記一の側壁(図示の例においてリヤカバー122)に対して交叉する方向の側壁の一方である他の側壁(図示の例において右サイドカバー124)と前記発電機本体3間で前記基台フレーム11より立設し,前記横架材22の前記他の側壁124側の端部22aの底面を支持する脚部21を備え,
外部機器へ電力を供給する出力端子盤7を,外部配線用接続端子71が前記他の側壁(右サイドカバー124)に設けた開口42側に突出し,機内配線用接続端子72が前記発電機本体3側に突出するように,前記脚部21に設けると共に,
前記一の側壁(リヤカバー122)のうち,少なくとも前記横架材22よりも下方に位置する部分を前記ボンネット12より着脱可能としたことを特徴とする(請求項1)。
【0022】
前記出力端子盤7は,前記発電機本体3の上端よりも上方位置で前記脚部21に設けることが好ましい(請求項2)。
【0023】
上記構成のエンジン駆動型発電機において,更に,前記出力端子盤7を,前記発電機本体3側で覆うカバー73(
図5参照)を前記脚部21に着脱可能に設けるものとしても良い(請求項3)。
【0024】
前記脚部21を,高さ方向の二辺を成し前記他の側壁(右サイドカバー124)と直交するフランジ部21a,21bと,前記フランジ部21a,21b間に架設され前記他の側壁(右サイドカバー124)に対向する中間壁21cを備えた構造に形成し,
前記脚部21の前記中間壁21cに,機内側に向かって陥没する陥没部50を設け,該陥没部50に前記出力端子盤7を設けるものとしても良い(請求項4)。
【0025】
更に,前記脚部21の前記制御盤6の載置位置における前記横架材22に,配線用開口22c,22dを設けることもできる(請求項5)。
【発明の効果】
【0026】
以上で説明した本発明の構成により,本発明のエンジン駆動型発電機1では,以下の顕著な効果を得ることができた。
【0027】
エンジン駆動型発電機1のパッケージ10内に,横架材22と脚部21を備えた架台20を設け,外部機器へ電力を供給する出力端子盤7を,外部配線用接続端子71が前記他の側壁(右サイドカバー124)に設けた開口42側に突出し,機内配線用接続端子72が前記発電機本体3側に突出するように,前記脚部21に設けると共に,前記一の側壁(リヤカバー122)のうち,少なくとも前記横架材22よりも下方に位置する部分を前記ボンネット12より着脱可能としたことで,架台モジュールのサブアセンブリ時,架台20の脚部21に設けた出力端子盤7の背面を,架台20の後部側から容易に目視することができ,機内配線用接続端子72に対する配線作業が容易となった。
【0028】
また,エンジン駆動型発電機1の組立後においては,少なくとも前記横架材22よりも下方に位置する部分のリヤカバー122をボンネット12より取り外してエンジン駆動型発電機1の後部を開放することで,この開放部分を介して出力端子盤7の背面にある機内配線用接続端子72を容易に目視することができ,エンジン駆動型発電機1の組立完了後の検査やメンテナンス時においても,出力端子盤7の機内配線用接続端子72に対する配線の緩みや外れ,断線等の異常を目視にて確認することが容易となり,配線の検査,点検作業の作業性を大幅に向上させることができた。
【0029】
なお,横架材222より吊り下げた状態に出力端子盤270を取り付けていた特許文献1に記載のエンジン駆動型発電機200の構成(
図7参照)では,出力端子盤270が発電機本体230の端部カバー231の上端前方に覆い被さるように配置されていたことで,出力端子盤270の存在によって発電機本体230の端部カバー231の着脱作業を行うための作業空間が狭められていたが,前述したように出力端子盤7を,他の側壁(図示の例では右サイドカバー124)と発電機本体3間に配置した脚部21に設けた本発明の構成では,出力端子盤7によって発電機本体3の端部カバー31の前方が遮られることがなく,比較的広い作業空間が確保されることで,発電機本体3のメンテナンスの際の作業性についても大幅に向上させることができた。
【0030】
前記出力端子盤7を,前記発電機本体3の上端よりも上方位置で前記脚部21に設けた構成にあっては,エンジン駆動型発電機1の組み立てが完了し,パッケージ10内に発電機本体3が収容された後の出力端子盤7の機内配線用接続端子72の視認性をより一層向上させることができた。
【0031】
発電機本体3側で出力端子盤7を覆うカバー73を前記脚部21に着脱可能に設けた構成にあっては,前述した効果に加え,更に,ボンネット12に設けた吸気口80(
図5参照)から外気と共に導入された粉塵や雨水等が出力端子盤7の機内側配線用接続端子72に付着することを防止でき,その結果,粉塵や雨水等の付着による漏電や端子の腐食等の不具合が発生することを防止することができた。
【0032】
前記脚部21を,前述したフランジ部21a,21bと中間壁21cとを備えた構造とし,この中間壁21cに,機内側に向かって陥没する陥没部50を形成すると共に,該陥没部50に出力端子盤7を設けた構成にあっては,この陥没部50によって端子ボックスを形成することができた。
【0033】
前記制御盤6の載置位置における横架材22に配線用開口22c,22dを設けた構成では,制御盤6とエンジン(図示せず),発電機本体3,及び出力端子盤7間における機内配線作業を容易行うことができた。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に,添付図面を参照しながら本発明のエンジン駆動型発電機1について説明する。
【0036】
本発明のエンジン駆動型発電機1が,エンジン(図示せず)やこのエンジンによって駆動される発電機本体3,燃料タンク(図示せず)等のエンジン駆動型発電機1の構成機器をパッケージ10内に収容した,所謂パッケージ型のエンジン駆動型発電機1である点は,前述の従来技術として説明した既知のエンジン駆動型発電機の構成と同様である。
【0037】
そして,前述のパッケージ10が,前述のエンジンや発電機本体3,燃料タンク等を載置する基台フレーム11と,この基台フレーム11の上部を覆い,前記エンジンや発電機本体3,燃料タンク等の構成機器を包囲するボンネット12により構成されている点,及び,このパッケージ10内に収容された前述の発電機本体3の端部カバー31が,ボンネット12の一の側壁,図示の実施形態にあってはリヤカバー122に対向した状態で前記パッケージ10内に収容されている点についても前述した従来技術として説明した既知のエンジン駆動型発電機と同様の構成である。
【0038】
エンジン駆動型発電機1のパッケージ10を構成する前述のボンネット12は,ボンネットの各側面を形成する4枚の側壁と,この側壁の上部に載置された天板とによって構成されており,パッケージ10を平面視において略長方形状に形成した本実施形態において,以下の説明では,便宜上前記パッケージの長さ方向の一方(
図3中の紙面右側)の側壁を「フロントカバー121」,他方(
図3中の紙面左側)の側壁を「リヤカバー122」,右側の側壁(
図1,
図2中の紙面右側)を「右サイドカバー124」,左側の側壁(
図1,
図2中の紙面左側)を「左サイドカバー125」,ボンネットの天板を成す部分を「トップカバー123」として説明する。
【0039】
図示の実施形態において,前述の発電機本体3は,エンジンの出力軸に入力軸が連結された状態で前述のボンネット12の前記フロントカバー121とリヤカバー122間に並べて配置されており,このうちの発電機本体3をリヤカバー122寄りに配置して発電機本体3の端部カバー31をボンネット12のリヤカバー122に対向させて配置している。
【0040】
そして,前記リヤカバー122に設けた開口41に対するバッケージ10の内側に操作パネル5が配置されており,前記開口41を介して機外より操作パネル5上に設けたスイッチ類を操作することができるようになっていると共に,この操作パネル5に対し更にパッケージ10の内側に位置して,エンジンや発電機本体3の動作及び供給電力を制御する制御盤6が配置されている。
【0041】
また,サイドカバー124,125のいずれか,図示の実施形態にあっては右サイドカバー124のリヤカバー122寄りの位置には開口42が設けられており,この開口42に対するパッケージ10の内側に出力端子盤7を設けることで,この開口42を介して出力端子盤7に設けた外部配線用接続端子71に機外に配置された機器(図示せず)の配線を接続することができるように構成されている。
【0042】
前述した操作パネル5や出力端子盤7は,リヤカバー122や右サイドカバー124に取り付けることなく,パッケージ10内に設置された架台20に取り付けられており,この架台20に操作パネル5や出力端子盤7を取り付けた状態でリヤカバー122や右サイドカバー124を基台フレーム11上に取り付けると,各カバー122,124に設けた開口41,42の形成位置の内側に,操作パネル5と出力端子盤7が配置されるように構成されている。
【0043】
この架台20は,発電機本体3の上方に設けられた横架材22と,発電機本体3とサイドカバーの一方(図示の例では右サイドカバー124)間において基台フレーム11上に立設された脚部21を備えており,この脚部21によって横架材22の右サイドカバー124側の端部22a底面を支持している。
【0044】
そして,この架台20の横架材22上に,エンジンや発電機本体3を制御するための制御盤6を載置し,この制御盤6のリヤカバー122と対向する面に操作パネル5を取り付けると共に,前記脚部21に,右サイドカバー124に対向して出力端子盤7を設けている。
【0045】
図示の実施形態にあっては,横架材22の右サイドカバー124側の端部22a底面を支持する脚部(右脚部21)の他,横架材22の左サイドカバー125側の端部22b底面を支持する脚部(左脚部21’)を設け,左右の脚部21,21’と横架材22によって,
図2及び
図6に示すように発電機本体3を跨ぐ,略門型の架台20を形成しているが,この構成に代え,出力端子盤7を設けない側の脚部(図示の例では左脚部21’)についてはこれを省略し,この左脚部21’に代えて横架材22の左サイドカバー125側の端部22bを,左サイドカバー125の内壁にボルト留めや溶着,その他の方法によって固定する等しても良い。
【0046】
前述の横架材22は,
図2及び
図4に示すように発電機本体3上に制御盤6を載置するための棚板として機能するもので,図示の実施形態では右サイドカバー124と左サイドカバー125間の間隔に略等しい長さの横架材22を設けているが,この横架材22は,発電機本体3を跨ぎ,発電機本体3上に制御盤6と操作パネル5を載置するに必要な大きさを備えるものであれば,その形成範囲は,図示の例に限定されない。
【0047】
本実施形態において,この横架材22は,
図6に示すように平面視矩形の金属板の4辺を所定幅で下向きに折り曲げてフランジを形成することにより強度を持たせたもので,所定位置(図示の例では2カ所)に配線用の開口22c,22dを形成することで,横架材22上に載置した制御盤6からエンジンや発電機本体3,出力端子盤7に対する配線の引き出しを行うことができるように構成されている。
【0048】
以上のように構成された横架材22は,基台フレーム11上に立設された脚部21,21’によってその端部22a,22bにおける底面が支持されており,これにより横架材22がパッケージ10内で発電機本体3の上方の所定位置に配置されている。
【0049】
図示の実施形態にあっては,この脚部21,21’として,発電機本体3と左サイドカバー125間に設けた左脚部21’と,発電機本体3と右サイドカバー124間に設けた右脚部21の双方を備えた構造を採用しているが,前述したように,出力端子盤7を設けない側の脚部(図示の例では左脚部21’)については,例えば横架材22の端部22bを左サイドカバー125の内壁に固着する等して省略しても良い。
【0050】
発電機本体3と右サイドカバー124間に配置される右脚部21には,図示せざる外部機器に対し電力を供給する外部配線を接続するための外部配線用接続端子71と,この外部配線用接続端子71の基部より背面側に突出した機内配線用接続端子72を備えた出力端子盤7が設けられている。
【0051】
この出力端子盤7は,外部配線用接続端子71が右サイドカバー124側に,機内配線用接続端子72が発電機本体3側に配置されるよう,前述した脚部21に設けられている。
【0052】
右脚部21に対する出力端子盤7の取り付け位置は,発電機本体3を搭載した後においても,リヤカバー122を取り外した状態でボンネット12の後端側よりパッケージ10内を目視した際に,機内配線用接続端子72を容易に見ることができるよう,発電機本体3の上端位置よりも高い位置に設けることが好ましい。
【0053】
この右脚部21は,好ましくは
図6に示すように,高さ方向の二辺を成し,右サイドカバー124に対し直交するフランジ部21a,21bと,前記フランジ部21a,21b間に架設されて右サイドカバー124と対向する中間壁21cを備えた,内向き(発電機本体3側)に開口する断面形状(図示の例では箱型)に形成されており,前記中間壁21cに,機内側に向かって陥没する陥没部50(
図2,
図3参照)を形成して,この陥没部50内に出力端子盤7を設けている。
【0054】
図示の実施形態にあっては,この陥没部50において中間壁10cを貫通する開口を設け,この開口内に,右脚部21とは別個に形成された出力端子盤7の機内配線用接続端子72を挿入した状態で前記出力端子盤7を中間壁21cに取り付けた構成を採用している。
【0055】
図示の実施形態にあっては,前記陥没部50内に前述した出力端子盤7の他,コンセント74である出力端子を取り付け,この陥没部50によって,各種の出力端子を収容した端子ボックスを形成している。
【0056】
右脚部21に設けた陥没部50と対向する位置の右サイドカバー124には,陥没部50の形状に対応した形状の開口42が形成されており,この開口42の周縁部における右サイドカバー124の内面と,陥没部50の周縁を構成する横架材端部22aや脚部21のフランジ部21a,21b間でゴムパッキン等のシール材を挟持することで,この部分を介した騒音の漏出防止と雨水や粉塵等が侵入を防止している。
【0057】
この開口42には,扉51を設け,この扉51によって右サイドカバー124に設けた開口42を覆うことができるようにすることで,ユーザが外部配線用接続端子71に接触して感電する等の事故の発生を防止している。
【0058】
図示の実施形態にあっては,この扉51の高さ方向の長さを,右サイドカバー124に設けた開口42の高さ方向の開口長さよりも短く形成し,扉51によって前記開口42を閉じた状態においても,開口42の下端部分が塞がれずに開放した状態を維持するように構成しており,この部分を介して外部配線用接続端子71やコンセント74に接続された外部配線を,開口42外に引き出すことができるようにしている。
【0059】
以上のようにして右脚部21に設けた出力端子盤7の機内側の面(背面)は,
図4に示すように,機内配線用接続端子72が機内で露出した状態のままとしても良いが,この構成に代え,
図5に示すように,出力端子盤7の背面を覆う着脱可能なカバー73を設け,パッケージ10内において機内配線用接続端子72を覆うようにしても良く,このように形成することで,ボンネット12に設けた吸気口80より吸引された外気と共に機内に侵入した雨水や粉塵等が機内配線用接続端子72に付着することにより生じる漏電や端子の腐蝕の発生等を防止することができる。
【0060】
前述したようにフランジ部21a,21bと中間壁21cを備え,発電機本体3側に向かって開口する断面形状(箱型)に形成した図示の右脚部21の構成にあっては,
図5に示すようにフランジ部21a,21b間に架設されるカバー73を取り付けて,右脚部21のフランジ部21a,21bの内側全体を閉塞することで,出力端子盤7に設けた機内配線用接続端子72に対する前述した雨水や粉塵等の付着を防止するのみならず,コンセント74の背面に対する雨水や粉塵等の付着についても防止している。
【0061】
このように,出力端子盤7の背面側を覆うカバー73を設ける場合,カバー73を機外に引き出す際に,横架材22に設けたフランジが干渉しないよう,フランジに切欠23(
図5,
図6参照)を設け,この切欠23にカバー73の上端を通すことで,カバー73の取り出しを容易にしている。
【0062】
架台20の横架材22上に載置された制御盤6には,発電機本体3の端部カバー31が対向する一の側壁(図示の例ではリヤカバー122)に面して各種スイッチや計器類が設けられた操作パネル5が取り付けられており,この操作パネル5に対応する位置のリヤカバー122には開口41を設け,リヤカバー122を取り付けた際,この開口41を介して操作パネル5の操作を行うことができるように構成されている。
【0063】
また,リヤカバー122に設けた前述の開口41は,この開口41を開閉する扉60を設け,この扉60の開放により操作パネル5に設けたスイッチ類の操作等を行うことができるように構成しても良い。
【0064】
なお,図示の実施形態にあっては,一枚のリヤカバー122によってボンネット12の後部側の側面全体を覆う構成としているが,リヤカバー122を架台20の横架材22に対し上側を覆う上側リヤカバーと,横架材22に対し下側を覆う下側リヤカバーとに分割し,下側リヤカバーを,上側リヤカバーとは独立して着脱可能に構成しても良い。
【0065】
以上のように構成された本発明のエンジン駆動型発電機1では,リヤカバー122(リヤカバー122を上下で分割している場合には下側リヤカバー)を取り外すことで,発電機本体3の端部カバー31の前面が開放される。
【0066】
架台20の脚部21に,機内配線用接続端子72が発電機本体3側に向くよう出力端子盤7を取り付けた本発明の構成では,リヤカバー122を取り外した状態でボンネット12の後方側より内部を目視した際に,出力端子盤7の背面にある機内配線用接続端子72を目視によって確認することが容易であり,特に,機内配線用接続端子72に対する機内配線の接続作業を,発電機本体を組み付ける前のサブアセンブリにおいて行う場合,十分な作業スペースも確保されるために,配線作業が行い易い。
【0067】
また,架台20の横架材22に,出力端子盤7を吊り下げた状態に取り付けていた従来のエンジン駆動型発電機では,パッケージ10内に発電機本体3を搭載した状態では発電機本体3の端部カバー31前方に出力端子盤7が覆い被さるように配置されていたことで,端部カバー31の着脱作業を行う際に出力端子盤7が邪魔になっていたが,右サイドカバー124と発電機本体3間に設けた脚部21に出力端子盤7を設けた本発明の構成では,発電機本体3の端部カバー31前面が大きく開いており,十分な作業スペースが確保されていることで,発電機本体3のメンテナンス時における作業性についても大幅に改善されている。
【0068】
なお,以上で説明した本発明のエンジン駆動型発電機1では,一例としてボンネット12の右サイドカバー124側に出力端子盤7を設ける構成について説明したが,出力端子盤7は,これを左サイドカバー125側に設けるものとしても良く,海外輸出する場合等においてエンジン駆動型発電機1を車輌や牽引用トレーラに搭載して使用する場合,輸出先の交通事情(例えば右側通行,左側通行)の相違を考慮して,使い勝手の良い側に設けるよう変更するものとしても良い。
【0069】
この場合,前述した右脚部21,右サイドカバー124の構造を,左脚部21’,左サイドカバー125に採用すれば良い。