【解決手段】集積包装体10は、機械読み取り可能な個別識別コード12をそれぞれ有する複数の物品11と、各物品11をまとめて包装する集積包装用フィルム20とを備える。集積包装用フィルム20は、有彩色及び白色の少なくとも一方を表示すると共に、波長620nm〜670nmの光である短波長赤色光の少なくとも一部を透過する色表示層と、色表示層の裏側に設けられ、短波長赤色光を少なくとも吸収又は反射する遮蔽層とを有し、遮蔽層が各物品11の個別識別コード12の少なくとも一部を覆った状態で各物品11を包装している。
前記色表示層は、有彩色を表示すると共に、前記短波長赤色光の少なくとも一部を透過するカラー印刷層と、前記カラー印刷層の裏側に設けられ、前記短波長赤色光の一部を透過する白色系層とを有し、
前記遮蔽層は、前記白色系層の裏側に設けられている、請求項1に記載の集積包装体。
前記遮蔽層は、前記色表示層の裏側において印刷インキを付着させて形成され、単位面積当たりの当該インキ付着密度が10〜90%である、請求項4に記載の集積包装体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて、実施形態の一例について詳細に説明する。
なお、実施形態において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法等は、現物と異なる場合がある。具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0013】
本明細書では、集積包装用フィルム及び当該フィルムに設けられる各層について、物品側を「裏」、物品と反対側を「表」とする。実施形態の一例である集積包装用フィルム(集積包装体10)では、白色系層がカラー印刷層の裏側に位置し、さらに遮蔽層が白色系層の裏側に位置する。即ち、当該集積包装用フィルムの表側から、カラー印刷層、白色系層、及び遮蔽層が順に配置される。
【0014】
実施形態では、集積包装体を構成する物品として、外形が略円柱形状を有する金属製容器(例えば、飲料が充填されたアルミニウム缶)である物品11を例示するが、物品はこれに限定されず、個別識別コードを有するものであればよい。また、実施形態の説明では、「上下方向」、「横方向」、「縦方向」等の方向を示す用語を使用するが、各構成要素と方向との関係が限定されるものではない。説明の便宜上、
図1において、物品11の軸方向に沿った方向を上下方向、3つの物品11が並んだ方向を横方向、2つの物品11が並んだ方向を縦方向とする。
【0015】
図1は、実施形態の一例である集積包装体10の斜視図である。
図1では、物品11の個別識別コード12、及び集積包装用フィルム20の遮蔽層24を図示しているが、実際には、遮蔽層24の表側にはカラー印刷層22及び白色系印刷層23(
図2,3参照)が存在するため、遮蔽層24は目立たず、或いは全く見えない。
【0016】
図1に例示するように、集積包装体10は、個別識別コード12をそれぞれ有する複数の物品11と、各物品11をまとめて包装する集積包装用フィルム20とを備える。集積包装用フィルム20は、有彩色及び白色の少なくとも一方を表示すると共に、波長620nm〜670nmの光である短波長赤色光の少なくとも一部を透過する色表示層と、当該色表示層の裏側に設けられ、短波長赤色光を少なくとも吸収又は反射する遮蔽層24とを有し、遮蔽層24が各物品11の個別識別コード12を覆った状態で各物品11を包装している。
【0017】
前記色表示層は、有彩色及び白色の少なくとも一方を表示する印刷層、又は有彩色及び白色の少なくとも一方を表示するフィルム層もしくはこれらの組み合わせからなるものが例示される。有彩色の印刷層としては、後述のカラー印刷層22が例示される。また、白色を表示する印刷層又はフィルムとしては後述の白色系層が例示される。白色を表示する色表示層の中でも、後述の白色系印刷層23が好ましい。色表示層は、例えば波長650nmの光の透過率が20%〜90%程度である。当該透過率は、熱収縮後の集積包装用フィルム20についてJIS K 7105に準拠して測定された値であって、フィルム基材21及び色表示層以外の印刷層の透過率を差し引いた値である(色表示層を構成するカラー印刷層22及び白色系印刷層23、遮蔽層24についても同様)。
【0018】
集積包装用フィルム20は、色表示層として、有彩色を表示すると共に、短波長赤色光の少なくとも一部を透過するカラー印刷層22と、カラー印刷層22の裏側に設けられ、短波長赤色光の一部を透過する白色系層とを有し、前記白色系層の裏側に設けられた遮蔽層24とを有することが好適であり、より好ましくは、色表示層として、カラー印刷層22と、カラー印刷層22の裏側に設けられた白色系印刷層23とを有し、前記白色系層の裏側に設けられた遮蔽層24とを有することが好適である。遮蔽層24は、短波長赤色光を吸収し又は反射し、或いは短波長赤色光を吸収し且つ反射する。
【0019】
白色系層とは、白色の色材及びボイドの少なくとも一方を含む層である。白色系層は、白色以外の色材を含んでいてもよいが、好ましくは色材として白色の色材のみを含む白色層である。白色の色材としては、酸化チタン、亜鉛華(亜鉛白)、鉛白、リトボン(硫酸バリウムと硫化亜鉛の混合物)等の白色顔料が例示でき、好ましくは酸化チタンである。白色の色材(例えば、酸化チタン)の含有量は、白色系層の全体に対して、例えば20重量%以上、好ましくは30%〜90%、より好ましくは40〜80%である。白色系層は後述の白色系印刷層23に限定されず、フィルム中に白色顔料を添加して又はボイドを導入して形成された、白色系フィルム(好ましくは白色フィルム)を白色系層としてもよい。白色系フィルムの厚みは、例えば、5〜80μmであり、5〜50μmが好ましい。ボイドは層内に形成される空洞部であって、白色系層を構成する樹脂とボイドとの界面で可視光が散乱されるため、ボイドを含む白色系層は白色に見える。白色系層は、可視光(波長380nm〜780nm)の全波長に亘って反射率が10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。当該反射率は、JIS K 7105に準拠して測定される値であって、フィルム基材21を含む他の層の反射率を差し引いた値である。集積包装用フィルム20が熱収縮性フィルムである場合は、熱収縮後に測定された値である。
【0020】
本実施形態では、白色系層として、白色系印刷層23が設けられている。集積包装用フィルム20は、フィルム基材21を有し、当該基材の裏面上にカラー印刷層22、白色系印刷層23、及び遮蔽層24が重なった積層構造を有する。なお、白色系印刷層23は白色の色材を含み、実質的にボイドを含まない印刷層でことが好ましい。
【0021】
集積包装体10は、例えば互いに同じ形状及び同じ寸法を有する6つの物品11が3つずつ2列で並び、隣り合う物品11同士が接触した状態で集積包装用フィルム20によって包装されてなる。以下では、集積包装用フィルム20により包装される複数の物品11の一まとまりを「集積物」という。物品11は、底面部、略円筒状の側面部、及び飲み口が設けられた天面部を有する金属製容器である。各物品11は、いずれも底面部を下、天面部を上に向けて配列されている。各物品11の底面部及び天面部の高さは揃っており、各物品11の底面部が集積物の底面部を形成し(各物品11の底面部と集積物の底面部が一致する)、同様に各物品11の天面部が集積物の天面部を形成する。また、各物品11の側面部の一部(集積物の外側に向く側の側面部)が集積物の側面部を形成する。集積物の側面部には、集積包装用フィルム20が密着している部分と、フィルムから離れた部分とが存在する。物品11には、例えば側面部の底面部側(下側)に個別識別コード12が設けられている。個別識別コード12は、集積物の外側に向いたものもあれば、内側に向いて隠れたものもある。
図1に示す例では、集積物の外側に向いた個別識別コード12が存在し、集積物の側面部下側に個別識別コード12が位置している。また、集積物の外側に向く個別識別コード12には、例えば集積包装用フィルム20が密着しているものと、フィルムに密着していないものとが存在し、特に前者の個別識別コード12が誤って読み取られ易い。なお、集積包装体10を構成する物品11の個数、配列等は、特に限定されない。
【0022】
本実施形態では、個別識別コード12は、バーコードである。但し、個別識別コード12はバーコードのような一次元コードに限定されず、例えばマトリックス式の二次元コードであってもよい。バーコードは、一の方向に延びる複数の直線状のバーが一の方向と直行する方向に間隔(スペース)を開けて互いに平行に並んで形成されてなり、バーの太さ、バー同士の間隔(スペース)等により物品11の品番や価格等の情報を規定している。バーコードの幅(一の方向と直行する方向の長さ)は、例えば25〜75mmである。
図1に示す例では、個別識別コード12は、物品11の側面部下側に形成され、個別識別コード12を構成する複数のバーは、物品11の側面部の周方向に沿って延び、上下方向に並んで形成されている。
【0023】
集積包装用フィルム20は、複数の物品11をまとめて包装可能な樹脂フィルムであって、集積物の外形に追従して装着され、各物品11を結束することが好適である。集積包装体用フィルム20は、例えばポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の延伸フィルム又は無延伸フィルム等の非熱収縮性フィルムであってもよいが、好ましくは熱収縮性フィルムである。熱収縮性フィルムを用いることにより、集積物の外形に追従した集積包装用フィルム20の装着が可能となる。集積包装用フィルム20には、例えば集積物の底面部を覆う部分に横方向に沿ってシール部28(
図5参照)が、集積物の横方向両端部を覆う部分に上下方向に沿ってシール部29がそれぞれ形成される。熱収縮性フィルムを用いた場合、シール部29の上下方向長さは、集積包装体用フィルム20の収縮により集積物の上下方向長さよりも短くなる。各シール部は、集積包装用フィルム20の端縁部同士を接合(例えば、28はヒートシール、29は溶断シール)して形成される。
図1に示す例では、シール部28と2箇所のシール部29によって三方がシールされた集積包装用フィルム20により集積物の全体が覆われているが、シール形態は特に限定されず、例えばシール部28のみを形成して集積物の横方向両端部を覆う部分がシールされていない形態であってもよい。この場合、集積包装体10の横方向両端部に開口部(集積物が集積包装用フィルム20で覆われない部分)が形成される。なお、個別識別コード12が開口部に位置すると当該コードが読まれる可能性があるので、開口部の大きさは個別識別コード12の大きさよりも小さいことが好ましく、さらには開口部を有さないことが好ましい。
【0024】
集積包装用フィルム20は、集積物の少なくとも側面部下側を覆う部分に遮蔽層24を有する。本実施形態では、上記のように個別識別コード12は集積物の側面部下側に位置するので、集積物の下部を覆う部分に遮蔽層24を設けることにより、集積物を構成する各物品11の個別識別コード12が遮蔽層24に覆われる。
図1に示す例では、上記のように集積包装用フィルム20が集積物を構成する物品11の個別識別コード12に密着している部分が存在する。但し、一部の物品11については個別識別コード12が集積物の内側を向き隠れており、当該コードに集積包装用フィルム20は接触していない。集積物には、全ての物品11の個別識別コード12が集積物の外側を向いているものもあれば、全ての物品11の個別識別コード11が集積物の内側を向いているものも存在する。通常、集積物を構成する物品11の側面部の向きはランダムであり、特定の向きに制御されない。個別識別コード12が集積物の外側を向き(集積物の側面部に位置する)、特に集積包装用フィルム20と密着する部分に位置する場合は当該コードが誤って読み取られ易いので、個別識別コード12が集積包装用フィルム20と接触する可能性がある領域に遮蔽層24が設けられている必要がある。つまり、遮蔽層24が各物品11の個別識別コード12を覆った状態とは、個別識別コード12が集積包装用フィルム20と接触する可能性がある領域(本実施形態の場合は集積物の側面部下側)を遮蔽層24が覆っている状態を意味する。
【0025】
以下、
図1に加えて
図2及び
図3を参照する。
図2は、物品11を包装する前、即ち熱収縮前の集積包装用フィルム20を裏側から見た平面図であって、個々の集積包装体10のサイズにカットされる前の長尺体20zを示す。
図3は、
図2中のAA線断面の一部を示す図である。
【0026】
図2及び
図3に例示するように、集積包装用フィルム20(長尺体20z)は、フィルム基材21と、色表示層と、遮蔽層24とを有する。本実施形態では、フィルム基材21の裏面上に、色表示層としてカラー印刷層22、及び白色系印刷層23が、フィルム基材21側から順に形成され、白色系印刷層23上に遮蔽層24が形成されている。また、集積包装用フィルム20には、集積包装体用識別コード(図示せず)が設けられる。集積包装体用識別コードは、バーコードリーダー等で読み取り可能であれば、例えば有彩色のカラー印刷層22により形成することも可能であるが、好ましくは黒色で形成される。集積包装体用識別コードは、例えば白色系印刷層23上のカラー印刷層22が形成されない領域に印刷されるバーコードである。或いは、集積包装体用バーコードを有するタックラベルが集積包装用フィルム20の表面に貼付されてもよい。
【0027】
長尺体20zは、詳しくは後述するが、集積物を包み込む筒状体に成形され、その幅方向(TD方向)の両端部にシール部28が形成される。また、筒状体に成形された長尺体20zは、
図2に示すカット予定部20xでTD方向(筒状体の径方向)にカットされると共に、軸方向両端部にシール部29が形成される。即ち、
図2に示す長尺体20zにおいて、シール部28はTD方向両端部にMD方向に沿って形成され、シール部29はMD方向に所定間隔をあけてTD方向に沿って形成される。例えば、シール部28の幅は10〜50mm程度であり、シール部29の幅は5〜20mm程度である。長尺体20zには、シール部28,29が形成される部分及びその周囲以外に印刷領域30が形成されている。印刷領域30は、カラー印刷層22及び白色系印刷層23の少なくとも一方が形成された領域であって、平面視矩形形状に形成されている。即ち、長尺体20zのTD方向両端部に印刷領域30が形成されない領域が存在し、またMD方向に沿って所定間隔毎にTD方向に沿った所定幅の印刷領域30が形成されていない領域が存在する。一方、遮蔽層24は長尺体20zのMD方向に沿って帯状に形成されており、シール部29が形成される部分を横切ってMD方向に連続的に形成される。
【0028】
フィルム基材21は、各印刷層の支持体であって、集積包装用フィルム20の物性(例えば、強度や剛性、シュリンク特性等)に主たる影響を及ぼす。フィルム基材21には、従来公知の樹脂フィルムを適用することができ、上記のように好ましくは熱収縮性フィルムが用いられる。熱収縮性フィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂やポリ乳酸系樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂から選択される1種、又は2種以上の混合物が例示できる。これらのうち、シュリンク特性等の観点からポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂を用いることが好ましく、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を用いることがより好ましく、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を用いることが特に好ましい。熱収縮性フィルムは、単層フィルムであってもよく、複数の層を有する多層フィルムであってもよい。多層フィルムの場合、裏面を構成する層としてヒートシール層を有していてもよい。
【0029】
フィルム基材21の厚みは、特に限定されないが、強度や剛性、シュリンク特性、経済性等の観点から、好ましくは5〜120μm、より好ましくは7〜100μm、特に好ましくは10〜80μmである。フィルム基材21は、カラー印刷層22等を透視可能とすべく、透明(無色透明又は有色透明)であることが好ましく、無色透明がより好ましい。具体的には、全光線透過率が70%以上であることが好ましく、90%以上が特に好ましい。全光線透過率は、JIS K 7105に準拠して測定される。
【0030】
フィルム基材21は、良好な熱収縮性を発現するために、少なくとも一方向に延伸(一軸延伸)されていることが好ましく、二軸延伸されていることが特に好ましい。延伸温度は、フィルムを構成する樹脂の種類によっても異なるが、例えば60〜130℃である。延伸倍率は、一軸延伸フィルムの場合は主延伸方向に、二軸延伸フィルムの場合は一方向及び当該一方向に直交する他方向共に、2〜8倍程度であることが好ましい。延伸方式は、ロール方式、テンター方式、チューブ方式等を使用できる。
【0031】
フィルム基材21の熱収縮率は、一軸延伸フィルムの場合は主延伸方向に対して、二軸延伸フィルムの場合は両方向(一方向及び他方向)に対して20%以上であり、好ましくは30〜80%、特に好ましくは40〜80%である(加熱処理条件:90℃の温水に10秒間浸漬)。一軸延伸フィルムの場合は、主延伸方向に直交する方向に対しては、好ましくは−3〜15%、より好ましくは−1〜10%、特に好ましくは−1〜5%である(加熱処理条件:同上)。詳しくは後述するように、集積包装体10は、軸方向が集積物の横方向に沿う集積包装用フィルム20の長尺状の筒状体を用いて物品11を包装するが、一軸延伸フィルムを用いる場合、当該筒状体は軸方向が主延伸方向(主収縮方向)となるように成形されることが好適である。
【0032】
カラー印刷層22は、無彩色(白色、灰色(銀色を含む)、黒色)以外の色である有彩色を表示する印刷層であって、例えば商品名や製造者名、ロゴマーク、キャラクター、背景等を表示する。カラー印刷層22は、有彩色の色材を含む層である。但し、白色の色材等の無彩色の色材が含まれていてもよい。カラー印刷層22の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1μm〜5μmである。また、カラー印刷層22は、波長620nm〜670nmの光である短波長赤色光の少なくとも一部を透過する。かかる波長は、バーコードリーダーから出力される光の波長に対応する。即ち、カラー印刷層22は、バーコードリーダーの光を透過する。カラー印刷層22は、例えば波長650nmの光の透過率が20%〜90%程度である。なお、短波長赤色光の透過率を下げるために、例えばカラー印刷層22を厚く形成することは、デザイン上の制約等から容易ではない。
【0033】
カラー印刷層22は、例えば色材及びバインダ樹脂を含み、また各種添加剤を含んでいてもよい。カラー印刷層22は、少なくとも1の色材を含む1つの印刷層によって、又は異なる色材を含む2以上の印刷層を組み合わせることによってデザイン等を形成する。カラー印刷層22は、例えばフィルム基材21上に所望の印刷インキがドット状に多数付着して形成されており、当該ドットの大きさとフィルム基材21の単位面積当たりのドット数によってカラー印刷層22の色(特に濃淡等)が表現される。
【0034】
カラー印刷層22は、デザイン等に応じて任意のパターンで形成することができる。例えば、カラー印刷層22は、シール部28,29及びその周囲を除く全面に形成されていてもよいし、部分的に形成されていてもよい。なお、シール部28,29及びその周囲を除く領域のうち、遮蔽層24が形成される領域には色表示層(カラー印刷層22及び白色系印刷層23の少なくとも一方)が形成され、集積包装用フィルム20を表側から見たときには遮蔽層24が色表示層で覆われていることが好ましい。
図3に示す例では、フィルム基材21の裏面上に直接、カラー印刷層22が形成されているが、フィルム基材21とカラー印刷層22の間にアンカーコート層、黒色や銀色の無彩色印刷層等の他の層が形成されていてもよい。例えば、フィルム基材21とカラー印刷層22の間、又はフィルム基材21上のカラー印刷層22が形成されない領域に、商品説明や集積包装体用バーコード等を表示するための黒色印刷層が形成されてもよい。なお、カラー印刷層22は、フィルム基材21の表面側に形成することも可能であり、表面及び裏面の両方に形成されてもよい。
【0035】
カラー印刷層22の色(色相、明度、彩度)は、デザイン等に応じて任意に設定でき、赤、黄赤、黄、黄緑、緑、青緑、青、青紫、紫、赤紫等が例示できる。これらのうち、好ましくは赤色系又は黄色系である。赤色系とは、例えばPCCS(Practical Color Co−ordinate System)の色相表記において、1:pR、2:R、3:yR、4:rO、23:rP、24:RPに属する中彩度又は高彩度(4S〜9S)の色である。赤色系印刷層の明度は、例えば中明度又は高明度(4.0〜9.5)である。黄色系とは、例えばPCCSの色相表記において、6:yO、7:rY、8:Y、9:gY、10:YG、11yGに属する中彩度又は高彩度(5S〜9S)の色である。黄色系印刷層の明度は、例えば中明度又は高明度(5.5〜9.5)である。
【0036】
カラー印刷層22に含まれる色材は、デザイン等に応じて所望の有彩色を表現できるものであれば特に限定されず、従来公知の染料や顔料を用いることが可能である。顔料としては、無機顔料、有機顔料のいずれを用いてもよい。色材の具体例としては、銅フタロシアニンブルー、ウルトラマリン青、プロシア青等の青顔料、アゾレーキ系顔料、黄鉛、亜鉛黄等の黄顔料、縮合アゾ系顔料、鉛丹等の赤顔料などが挙げられる。また、有彩色を表現できる染料や顔料に加えて、光沢調整などの目的で、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料を使用してもよい。顔料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。顔料の含有量は、顔料の種類や目的の色の濃度等に応じて設定される。
【0037】
カラー印刷層22の塗膜を形成するバインダ樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂などから選択される1種、又は2種以上の混合物が例示できる。
【0038】
カラー印刷層22は、必要に応じて、可塑剤、沈降防止剤、分散剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、色別れ防止剤、香料、消臭剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでいてもよい。
【0039】
カラー印刷層22は、従来公知の油性インキ(溶剤系インキ)又は水性インキを用いて形成できる。これらインキは、例えばバインダ樹脂と、色材と、任意の添加剤と、溶媒又は分散媒(以下、溶媒等という)とを含有し、バインダ樹脂や色材が溶媒等に溶解又は分散したものである。溶媒等は、バインダ樹脂等を溶解又は分散させることができれば特に限定されないが、水性インキの場合は水を含む。カラー印刷層22は、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、凸版輪転印刷法、及びインクジェット印刷法などの従来公知の印刷法により形成することができる。これらの印刷法により、フィルム基材21上にインキを塗工した後、溶媒等を揮発除去して、色材と、バインダ樹脂と、任意の添加剤とを含むカラー印刷層22が形成される。
【0040】
白色系印刷層23は、白色の色材を含む印刷層である。白色系印刷層23は、白色以外の色材を含み、若干その色材の色を呈しているものであってもよいが、好ましくは白色の白色印刷層である。白色の色材(例えば、酸化チタン)の含有量は、白色系印刷層23の全体に対して、例えば20重量%以上、好ましくは30%〜90%、より好ましくは40〜80%である。白色系印刷層23は、例えばカラー印刷層22の透けを防止してデザイン等を際立たせるものである。また、カラー印刷層22が形成されていない部分ではデザインの一部や背景となる場合がある。カラー印刷層22がフィルム基材21の表面側に形成される場合、白色系印刷層23をフィルム基材21の表面側に形成してもよい。白色系印刷層23の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.5μm〜10μmである。また、白色系印刷層23は、短波長赤色光の少なくとも一部を透過する。即ち、白色系印刷層23は、バーコードリーダーの光を透過する。白色系印刷層23は、例えば波長650nmの光の透過率が20%〜90%程度である。
【0041】
白色系印刷層23は、上記のように色材として白色顔料を含む。白色系印刷層23は、例えばフィルム基材21上に形成されたカラー印刷層22上の印刷領域全体に隙間なく形成されており、白色系印刷層23の厚みによって色(特に濃淡)が表現される。但し、白色系印刷層23は、フィルム基材21上に形成されたカラー印刷層22上に所望の印刷インキがドット状に多数付着して形成されていてもよく、この場合、カラー印刷層22と同様に、当該ドットの大きさとフィルム基材21の単位面積当たりのドット数によって白色系印刷層23の色が表現される。白色系印刷層23の明度は、例えばPCCSの明度スケールで8.5以上であり、好ましくは9.0以上である。彩度は、1S又は0が好ましく、0が特に好ましい。白色系印刷層23は、白色顔料以外の色材を含んでいてもよいが、本実施形態では色材として白色顔料のみを含むものとする。白色系印刷層23は、カラー印刷層22と同様に、塗膜を形成するバインダ樹脂を含み、また上記の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0042】
白色系印刷層23は、カラー印刷層22上に形成されると共に、カラー印刷層22が形成されない領域では白色系印刷層23がフィルム基材21上に直接形成される。白色系印刷層23は、カラー印刷層22上の全域を覆ってシール部28,29及びその周囲を除くフィルム基材21の略全域に形成されることが好適である。
【0043】
白色系印刷層23は、白色顔料を含有するインキ(好ましくはバインダ樹脂と白色顔料とを含有するインキ)を用いて、カラー印刷層22と同様の方法で形成することができる。バインダ樹脂には、カラー印刷層22の場合と同様の樹脂を用いることができる。白色顔料としては、酸化チタン、亜鉛華(亜鉛白)、鉛白、リトボン(硫酸バリウムと硫化亜鉛の混合物)などが例示できる。白色顔料には、2種以上を併用してもよいが、少なくとも酸化チタンが含まれることが好適である。本実施形態では、白色顔料として酸化チタンのみを用いる。酸化チタンには、印刷インキに用いられる従来公知の酸化チタンを適用することができる。酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型のいずれを用いてもよいが、好ましくはルチル型が用いられる。
【0044】
遮蔽層24は、短波長赤色光を少なくとも吸収又は反射する層であって、物品11の個別識別コード12の読み取りを防止する役割を果たす。遮蔽層24は、後述の色材を含有するフィルムを用いて形成されてもよいが、好ましくは印刷層である。カラー印刷層22及び白色系印刷層23も個別識別コード12の読み取りをある程度抑制するが、集積包装用フィルム20では遮蔽層24を設けることで個別識別コード12の読み取りをより確実に防止する。遮蔽層24は、カラー印刷層22及び白色系印刷層23よりも短波長赤色光の吸収率又は反射率が高く、透過率が低いことが好ましい。つまり、遮蔽層24は、カラー印刷層22及び白色系印刷層23を透過した当該光を吸収及び/又は反射して個別識別コード12の読み取りを防止する。遮蔽層24による個別識別コード12の読み取り防止のメカニズムについては後述する。
【0045】
遮蔽層24は、波長650nmの光の吸収率が80%以上、又は当該光の吸収率と反射率の積算値が80%以上であり、当該光の透過率が20%未満であることが好ましい。反射率は、熱収縮後の集積包装用フィルム20についてJIS K 7105に準拠して測定された値であって、フィルム基材21を含む他の層の反射率を差し引いた値である。吸収率は、透過率及び反射率から求めることができる。遮蔽層24の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1μm〜5μmである。
【0046】
遮蔽層24は、例えば色材及びバインダ樹脂を含み、また各種添加剤を含んでいてもよい。遮蔽層24は、遮蔽層24の領域全体に隙間なく印刷インキを付着させて形成されている印刷層であってもよいが、好ましくは遮蔽層の領域に印刷インキをドット状に多数付着させて形成される印刷層である。当該ドットは、フィルム基材21上に印刷インキ成分が点在して形成されたものであり、その平面視形状は特に限定されない。遮蔽層24は、例えば後述の色材を含有するインキを用いて、カラー印刷層22と同様の方法で形成することができる。バインダ樹脂、添加剤には、カラー印刷層22の場合と同様のものを用いることができる。遮蔽層24は、例えばカラー印刷層22等と同様に、白色系印刷層23上に所望の印刷インキがドット状に多数付着して形成されており、当該ドットの大きさとフィルム基材21の単位面積当たりのドット数によって遮蔽層24の色が表現される。ドット数が多い場合や、ドットの大きさが大きい場合、その両方である場合は、隣接するドット同士が繋がる場合があり、さらにドット数が多くなる、或いはドットの大きさが大きくなると、ドット同士の隙間が完全になくなり、遮蔽層24が印刷される領域全体にインキが付着した状態となる(上記色表示層についても同様)。ドット数が多い場合や、ドットの大きさが大きい場合、即ち単位面積当たりのインキ付着密度が高い場合は、遮蔽層24が目立ち易くなるが遮蔽機能が向上し、ドット数が少ない場合や、ドットの大きさが小さい場合、即ち単位面積当たりのインキ付着密度が低い場合は、遮蔽層24が目立ち難くなる。遮蔽層24を構成する印刷インキ成分の単位面積当たりのインキ付着密度は、例えば10%以上であり、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上である。インキ付着密度は、100%であってもよいが、遮蔽層24をより目立たなくする観点から、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、特に好ましくは70%以下である。単位面積当たりのインキ付着密度は、上記遮蔽機能及び包装体の見栄えにも影響する。なお、単位面積当たりのインキ付着密度とは、フィルム基材21上の遮蔽層24が印刷された領域全体(遮蔽層24の外形線に囲まれた領域)に対するインキが付着している領域の割合を意味する。例えば、単位面積当たりのインキ付着密度が50%とは、遮蔽層24が印刷された領域全体の面積の50%に当たる面積に、印刷インキ成分(遮蔽層24の構成材料)が存在することを意味する。
【0047】
遮蔽層24は、白色系印刷層23上の全域に形成されてもよく、一部に形成されてもよい。好ましくは、遮蔽層24が個別識別コード12の一部の領域を覆う(個別識別コード12の全体を覆わない)ようにするため、白色系印刷層23上の一部に遮蔽層24が形成される。遮蔽層24を一部に形成する場合、遮蔽層24は、例えば平面視円形状、平面視楕円形状、平面視三角形状、平面視正方形状、平面視帯状等の平面視任意形状に形成されていてもよい。好ましくは、遮蔽層24は帯状に形成される。即ち、
図2に示されるように集積包装用フィルム20を裏側から平面視したときに、集積包装用フィルム20は帯状に形成された遮蔽層24を有することが好ましい。但し、集積包装用フィルム20を裏側から見た際に、帯状の遮蔽層24が見えて確認できる形態でなくてもよく、裏面側から見えなくても帯状に形成されているものでもよい。以下では、帯状に形成された遮蔽層24の各帯部分を「帯状領域26」として説明する。
図2に示す例では、複数の帯状領域26が互いに所定のスペース27をあけて略平行に形成されている。つまり、集積包装用フィルム20には、帯状領域26とスペース27とが交互に複数繰り返されて縞状パターン25が形成されている。帯状領域26の幅は、個別識別コード12が設けられた領域(個別識別コード12の上下方向長さ)よりも小さく、個別識別コード12がバーコードである場合には、バーコードを構成する最も太いバーの幅よりも大きいことが好ましい。帯状領域26は、個別識別コード12と重なるのであれば1本でもよいが、フィルム装着時の位置ずれを考慮すると、本実施形態のように帯状領域26がスペース27を挟んで複数設けられていることが好ましい。
【0048】
図2に示す例では、帯状領域26がTD方向中央部よりもTD方向両端部側に3本ずつ、合計6本形成されている。各帯状領域26はMD方向に沿って互いに略平行に形成されている。帯状領域26は、TD方向両側にそれぞれ1本ずつ形成されてもよいが、好ましくは複数、例えば2〜5本程度形成される。帯状領域26を複数形成しておくことにより、たとえ幾つかの帯状領域26が個別識別コード12上から位置ずれしたとしても、残りの帯状領域26が当該コード上に重なり遮蔽することができる。帯状領域26を複数形成する場合、帯状領域26の少なくとも1本が集積物を構成する各物品11の個別識別コード12上に重なるように配置される。
【0049】
長尺体20zのTD方向両側に形成された3本の帯状領域26は、どちらも互いに等間隔で形成され、上記のようにシール部29が形成される部分を横切ってMD方向に連続して形成される。シール部29が形成される部分にも帯状領域26を形成することで、集積物の横方向両端部においても個別識別コード12を確実に遮蔽することができる。なお、各帯状領域26の幅は狭いので、シール部29の接着強度は殆ど低下しない。TD方向一方側に形成された帯状領域26の長手方向端部は、長尺体20zを筒状に成形しシール部29を形成したときに、TD方向他方側に形成された帯状領域26の長手方向端部と略重なり、集積包装体10では、集積物の側面部周方向に沿って3本の帯状領域26が形成されたように見える。但し、TD方向一方側に形成された帯状領域26の長手方向端部と、TD方向他方側に形成された帯状領域26の長手方向端部の位置は一致しなくてもよく、上下方向にずれていてもよい。
【0050】
図1に示す例では、集積包装用フィルム20の集積物の側面部下側を覆う部分に、帯状に形成された遮蔽層24(帯状領域26)が形成されている。即ち、帯状領域26とスペース27とが交互に複数繰り返された縞状パターン25が、集積物の側面部下側を覆う部分に形成されている。上記のように、集積物を構成する各物品11の個別識別コード12の幾つか、例えば一部又は全てが、集積物の側面部下側において集積包装用フィルム20と接触する部分(集積物の外面)に位置するので、当該下側を覆う部分に縞状パターン25が存在することで、縞状パターン25が個別識別コード12上を覆い、当該コードの読み取りが防止される。
図1に示す例では、3本の帯状領域26が集積物の側面部下側に位置し、幾つかの物品11の個別識別コード12上に配置されている。
【0051】
集積包装用フィルム20に形成された帯状領域26は、その長手方向が集積物の側面部の周方向に沿うように配置されている。但し、集積包装用フィルム20の軸方向両端部については、シール部29の影響により、特に下側の帯状領域26が上側に湾曲するため、帯状領域26は集積物の側面部の周方向には沿わない。本実施形態では、底面部の高さを揃えて集積物が構成されているため個別識別コード12は集積物の側面部における底面部からの高さが同じであり、個別識別コード12のバーは各物品11の側面部の周方向に延びている。このため、集積包装用フィルム20の集積物の側面部下側を覆う部分において、帯状領域26が集積物の側面部の周方向に沿って配置されることで、帯状領域26が各物品11の個別識別コード12のバーに対して略平行となり、個別識別コード12の遮蔽性が向上する。特に、帯状領域26とスペース27との境界が個別識別コード12上に配置されることが好ましい。個別識別コード12の全体を遮蔽層24が覆うよりも個別識別コード12が部分的に覆われ、帯状領域26とスペース27との境界が当該コードと重なることが読み取り防止の観点から好適である。
【0052】
図3に例示する縞状パターン25は、スペース27の幅W
27、即ち帯状領域26同士の間隔が、帯状領域26の幅W
26より大きなパターンである。但し、帯状領域26の幅W
26がスペース27の幅W
27より大きくてもよく、両者は互いに同じであってもよい。帯状領域26の幅W
26は、例えば1mm〜10mm程度であり、好ましくは1.5mm〜8mm、より好ましくは2mm〜5mmである。
【0053】
遮蔽層24の色(色相、明度、彩度)は、カラー印刷層22の色等に応じて設定でき、好ましくはカラー印刷層22及び白色系印刷層23の色と色相が異なる。遮蔽層24の色としては、白色以外の無彩色、明度の低い赤色系(茜色等)、黄色系(茶色等)、緑色系(深緑色等)、青色系(紺色等)、紫色系(茄子紺色等)などが例示できる。遮蔽層24は、上記遮蔽機能が優れると共に、カラー印刷層22及び白色系印刷層23に隠れて表側から目立ち難いことが好適であるから、遮蔽層24の色は黒色、灰色、銀色等の白色以外の無彩色が好ましく、灰色系が特に好ましい。
【0054】
灰色系とは、例えばPCCSの明度スケールにおいて、ライトグレー、ミディアムグレー、ダークグレーに属する色(明度2.0〜8.5)であり、銀色(シルバー)も含まれる。好ましくはライトグレー、ミディアムグレーであり、より好ましくは明度の範囲が4.5〜8.5である。遮蔽層24は、金属光沢を有していてもよい。遮蔽層24の彩度は、1S又は0が好ましく、0が特に好ましい。
【0055】
遮蔽層24に含まれる色材は、白色以外の無彩色である場合、例えばカーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等の黒色顔料、アルミニウム、チタニウム、銀、錫等の金属粒子(銀色顔料)などが挙げられる。色材は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。遮蔽層24が灰色系の印刷層である場合は、黒色顔料と白色顔料を混合した色材を用いてもよいが、好ましくは金属粒子、より好ましくはアルミニウム粒子を色材として用いる。この場合、例えばPCCSの明度は7.0〜8.5である。好適な金属粒子は、例えば平均粒径が10nm〜10μmの粒子であり、市販品であってもよい。金属粒子の平均粒径は、TEM又は動的光散乱法(DLS)により測定される。
【0056】
遮蔽層24における色材の含有量は特に限定されないが、金属粒子を用いた場合は、例えば遮蔽層24の総重量に対して、例えば3重量%以上であり、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。即ち、色材として金属粒子を含有し、平面視帯状に形成される灰色系の遮蔽層24は、遮蔽層24の総重量に対して上述の量の金属粒子を含有し、且つ帯状領域26の総面積に対して上述のインキ付着密度で形成されることが好ましい。
【0057】
ここで、遮蔽層24による個別識別コード12の読み取り防止のメカニズムを簡単に説明する。バーコードリーダーは、ピーク波長が620nm〜670nmの範囲にある赤色光の光源と、当該光を検出する光センサーとを有する。バーコードリーダーは、光源から出力された光を個別識別コード12に照射し、反射して戻ってくる光を光センサーで検出する。個別識別コード12に照射された光は、バーが存在する部分で吸収され、バーが存在しないスペース部分で反射される。反射した光は光センサーにより検出されて、個別識別コード12に応じた出力波形が得られる。光センサーの出力は、微弱なアナログ信号であるから、当該信号を増幅して閾値Thによりデジタル信号に変換する。具体的には、スペース部分に対応する閾値Thよりも高い出力信号(アナログ信号)を0、バー部分に対応する閾値Thよりも低い出力信号を1とするデジタル信号に変換し、予め記録されたデジタル信号と照合して個別識別コード12の読み取りを行う。
【0058】
例えば、バーコードリーダーから出力される光の吸収率が個別識別コード12のバーと同程度である遮蔽層24(例えば、色材として黒色顔料を含む)を、個別識別コード12のバーと帯状領域26とが略平行となるように設けた場合、例えば個別識別コード12のスペース部分において、帯状領域26に起因した出力信号が検出される。即ち、反射率の高いスペース部分に光の反射率が低い又はゼロの出力波形が得られる。これにより、当該出力波形に基づくデジタル信号と、予め記録されたデジタル信号とが不一致となり、個別識別コード12の読み取りが防止される。
【0059】
図4に例示するように、遮蔽層24は、白色系印刷層23上の全面に印刷されてもよく、また個別識別コード12の全体を覆う部分の全域に形成されてもよい。個別識別コード12の全体を覆って遮蔽層24を形成する場合も、色材として金属粒子等を用いた灰色系の印刷層とすることが好ましい。遮蔽層24を個別識別コード12の全体を覆う部分の全域に印刷すると、平面視帯状に印刷する場合のように帯状領域26に起因した出力信号は検出されないため、例えばバーコードリーダーの光を吸収して光センサーの出力信号を閾値Th未満に減衰させる、或いはバーコードリーダーの光を反射して出力信号を閾値Th以上に上昇させる必要がある。ゆえに、遮蔽層24を構成するインキのドットの密度(インキ付着密度)を、平面視帯状に印刷する場合よりも高くすることが好適である。この場合、単位面積当たりのインキ付着密度は、例えば40%以上(例えば、40〜100%)が好ましく、50%以上がより好ましい。なお、遮蔽層24は帯状領域26が平面視格子状に形成された形態であってもよく、直径2〜5mmの平面視円形状の印刷領域(バブル)が複数形成された形態であってもよい。
【0060】
図5は、集積包装体10の製造過程の一部を示す図である。
図5で例示するように、集積包装体10の製造過程では、まず2列に並んで連続搬送される複数の物品11に、集積包装用フィルム20の長尺体20zを被せる。具体的には、長尺体20zを物品11の搬送速度に合わせて送り出し、物品11の上方から被せて下方に回り込ませ、複数の物品11の全体を包み込む筒状体に形成する。このとき、長尺体20zの筒内に挿入される複数の物品11の個別識別コード12に対応する部分に遮蔽層24の帯状領域26が位置し、個別識別コード12のバーと帯状領域26が略平行となるように長尺体20zが被せられる。そして、物品11の下方に回り込ませた部分に、長尺体20zの長手方向に沿ったシール部28を形成する。これにより、複数の物品11が長尺体20zの筒内に挿入された状態となる。
【0061】
続いて、複数の物品11が挿入された長尺体20zをカットして、個々の集積包装体10のサイズに分割する。このとき、カットと同時にシール部29を形成する(例えば、溶断シールする)ことが好適である。これにより、長尺体20zが個々の包装体のサイズにカットされると共に、その軸方向端部が閉じられる。なお、当該カット位置を適宜変更することにより、集積包装体10に含まれる物品11の数を変更することができる。最後に、個別識別コード12と縞状パターン25の位置関係を維持したまま集積包装用フィルム20を熱収縮させることにより、集積包装用フィルム20が集積物の外形に追従して装着された集積包装体10が得られる。熱収縮処理は、例えば、スチーム式や熱風式のシュリンクトンネルを用いて行うことができる。
【0062】
以上のように、集積包装体10によれば、高感度のバーコードリーダーが用いられる場合であっても、個別識別コード12が誤って読み取られることを十分に防止できる。特に、遮蔽層24を帯状に形成し、遮蔽層24の帯状領域26が個別識別コード12に重なると共に当該コードのバーに対して略平行となるように配置されることで、個別識別コード12の遮蔽性が向上する。また、遮蔽層24はカラー印刷層22及び白色系印刷層23の裏側に設けられるので、表側から見た際に遮蔽層24が目立つことがなく、意匠性の高い包装体が得られる。さらに、遮蔽層24を灰色系の印刷層とすることで、個別識別コード12の隠蔽性がさらに向上すると共に、遮蔽層24がより目立ち難くなり良好な包装体の外観が得られる。個別識別コード12の隠蔽性及び遮蔽層24の目立ち難さは、カラー印刷層22が赤色系の印刷層である場合に特に優れる。
【0063】
上記実施形態では、集積包装用フィルム20の表側から順に、フィルム基材21/カラー印刷層22/白色系印刷層23/遮蔽層24が積層された構造を示したが、フィルムの層構造はこれに限定れない。例えば、フィルムの表側から順に、カラー印刷層22/白色系印刷層23/遮蔽層24/フィルム基材21の層構造や、カラー印刷層22/白色系印刷層23/フィルム基材21/遮蔽層24の層構造や、カラー印刷層22/フィルム基材21/白色系印刷層23/遮蔽層24の層構造であってもよく、カラー印刷層22と白色系印刷層23のいずれか一方のみを有する層構造であってもよい。