【解決手段】 シリカ、モンモリロナイトおよびそれらの混合物から選ばれるフィラー(e)と圧縮流体を含む混合液、またはフィラー(e)とポリオール(a)と圧縮流体を含む混合液(X)を体積膨張して、体積平均粒径が10〜1000nmのフィラー粒子(e1)を得る工程を含み、該圧縮流体が二酸化炭素を圧縮して得られる液体、亜臨界流体又は超臨界流体を含む、ウレタンフォーム中にフィラー粒子(e1)が分散されたウレタンフォームの製造方法。
シリカ、モンモリロナイトおよびそれらの混合物から選ばれるフィラー(e)と圧縮流体を含む混合液、またはフィラー(e)とポリオール(a)と圧縮流体を含む混合液(X)を体積膨張して、体積平均粒径が10〜1000nmのフィラー粒子(e1)を得る工程を含み、該圧縮流体が二酸化炭素を圧縮して得られる液体、亜臨界流体又は超臨界流体を含む、ウレタンフォーム中にフィラー粒子(e1)が分散されたウレタンフォームの製造方法。
さらに、ポリオール(a)と有機ポリイソシアネート(b)とを、フィラー粒子(e1)、発泡剤(c)およびウレタン化触媒(d)の存在下で反応させる工程であって、フィラー粒子(e1)がポリオール(a)の少なくとも一部に分散されたフィラー粒子分散ポリオール組成物を用いる工程を含む請求項1記載のウレタンフォームの製造方法。
シリカ、モンモリロナイトおよびそれらの混合物から選ばれるフィラー(e)とポリオール(a)と圧縮流体を含む混合液(X1)を体積膨張して、ポリオール(a)中に体積平均粒径が10〜1000nmのフィラー粒子(e1)が分散されたポリオール組成物を得るフィラー粒子分散ポリオール組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のウレタンフォームの製造方法では、ポリオール(a)と有機ポリイソシアネート(b)とを、フィラー粒子(e1)、発泡剤(c)およびウレタン化触媒(d)の存在下で反応させることが好ましい。
上記ポリオール(a)としては、ウレタンの製造に通常使用できるものが用いられ、例えば、多価アルコール、ポリアルカノールアミン、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、これら以外の各種ポリオール等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
【0009】
多価アルコールとしては、炭素数2〜20の2価アルコール(脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール;および脂環式ジオール、例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルキレングリコール)、炭素数3〜20の3価アルコール(脂肪族トリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオールなどのアルカントリオール);炭素数5〜20の4〜8価またはそれ以上の多価アルコール(脂肪族ポリオール、例えば、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトールなどのアルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物;ならびにショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシドなどの糖類およびその誘導体)が挙げられる。
【0010】
ポリアルカノールアミンとしては、炭素数2〜20のポリアルカノールアミン(モノ−、ジ−およびトリエタノールアミン、イソプロパノールアミン等)などが挙げられる。
【0011】
ポリエーテルポリオールとしては、前記多価アルコール、アンモニア、アミン、多価フェノール、ポリカルボン酸等の活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドを付加した構造のポリオール並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0012】
アミンとしては、脂肪族アミン[モノアミン(炭素数(C)1〜20、例えばn−ブチルアミン、オクチルアミン)、ジアミン(C2〜10、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン)、ポリアルキレンポリアミン(C4〜20、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン)等];芳香(脂肪)族アミン(C6〜20のモノ−およびポリアミン、例えばアニリン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルイレンジアミン、メチレンジアニリン、ジフェニルエーテルジアミン);脂環式アミン(C4〜20、例えばイソホロンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン);複素環式アミン(C4〜20、例えばピペラジン、アミノエチルピペラジンおよび特公昭55−21044号公報記載のもの);アルカノールアミン(C2〜20、例えばモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン、イソプロパノールアミン等)等が挙げられる。
【0013】
多価(2価〜8価またはそれ以上)フェノールとしては、単環多価フェノール(ハイドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシン等);多環多価フェノール(ジヒドロキシナフタレン等);ビスフェノール化合物(ビスフェノールA、−F、およびS);フェノールとホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック、レゾール等)等が挙げられる。
【0014】
ポリカルボン酸としては、脂肪族ポリカルボン酸(C4〜18、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸)、芳香族ポリカルボン酸(C8〜18、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸)、脂環式ポリカルボン酸(C8〜15、例えばシクロヘキサン1,4−ジカルボン酸)、およびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0015】
上記活性水素含有化合物(2種以上併用してもよい)に付加させるアルキレンオキサイドとしては、C2〜12またはそれ以上(好ましくは2〜8)、例えばエチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイド、1,2−、2,3−および1,3−ブチレンオキサイド(以下それぞれEO、POおよびBOと略記)、テトラヒドロフランおよび3−メチル−テトラヒドロフラン、1,3−プロピレンオキサイド、イソBO、C5〜12のα−オレフィンオキサイド、置換アルキレンオキサイド、例えばスチレンオキサイドおよびエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)、並びにこれらの2種以上の併用(ランダム付加および/またはブロック付加)が含まれる。
これらのうち工業上の観点からさらに好ましいのは、PO、およびEO/POの組み合わせである。
アルキレンオキサイドの付加量は、活性水素原子1個当たり好ましくは1〜10モル、さらに好ましくは2〜6モルである。
【0016】
ポリエステルポリオールとしては、前記のポリオール(とくに、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;またはこれらとグリセリン、トリメチロールプロパン等の3価又はそれ以上の多価アルコールとの混合物;並びにこれら多価アルコールのアルキレンオキサイド低モル(1〜10モル)付加物)と、前記ポリカルボン酸もしくはその無水物、低級アルキル(アルキル基の炭素数:1〜4)エステル等のエステル形成性誘導体(例えば、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テレフタル酸ジメチル等)、または前記カルボン酸無水物およびアルキレンオキサイドとの縮合反応物;そのアルキレオンキサイド(EO、PO等)付加反応物;ポリラクトンポリオール、例えば前記ポリオールを開始剤としてラクトン(ε−カプロラクトン等)を開環重合させることにより得られるもの;ポリカーボネートポリオール、例えば前記多価アルコールとアルキレンカーボネートとの反応物;等が挙げられる。具体例としては、ポリ(1,4−ブタンジオールアジぺート)、ポリ(1,4−ブタンジオールテレフタレート)、ポリ(ジエチレングリコールテレフタレート)、ポリε−カプロラクトンポリオール等が挙げられる。数平均分子量(Mn)は、ウレタンフォームの機械物性の観点から好ましくは150〜3,000、さらに好ましくは200〜2,500、とくに好ましくは250〜1,500である。
【0017】
その他のポリオールとしては、ポリマーポリオール(以下P/Pと略記)、水酸基含有ビニル重合体(ポリブタジエンポリオール、部分鹸化エチレン/酢酸ビニル共重合体等)が挙げられる。
ポリマーポリオール(以下P/Pと略記)、水酸基含有ビニル重合体(ポリブタジエンポリオール、部分鹸化エチレン/酢酸ビニル共重合体等)が挙げられる。
P/Pは、ポリオール(前記OH末端のポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオール、またはこれらと前記の多価アルコールとの混合物)中でエチレン性不飽和モノマーをその場で重合させることにより得られる。
エチレン性不飽和モノマーには、アクリルモノマー[(メタ)アクリロニトリル、アルキル(C1〜20またはそれ以上)(メタ)アクリレート(メチルメタクリレート等)等]、炭化水素(以下HCと略記)モノマー[芳香族不飽和HC(スチレン等)、脂肪族不飽和HC(C2〜20またはそれ以上のアルケン、アルカジエン等(α−オレフィン、ブタジエン等)等]、並びにこれらの2種以上の併用[アクリロニトリル/スチレンの併用(重量比100/0〜80/20)等]が含まれる。
P/Pは、例えば5〜80重量%またはそれ以上、好ましくは30〜70重量%の重合体含量を有する。Mnは、ウレタンフォームの機械物性の観点から好ましくは150〜3,000、さらに好ましくは200〜2,500、とくに好ましくは250〜1,500である。
【0018】
ポリオール(a)のOH当量の好ましい範囲は31〜4000である。硬質ウレタンフォームを製造する場合、(a)のOH当量はさらに好ましくは50〜200である。軟質ウレタンフォームを製造する場合、(a)のOH当量はさらに好ましくは500〜4000である。軟質ウレタンフォームの場合、OH当量が好ましくは31〜80の(a)を、(a)中に10重量%以下(好ましくは0.5〜6重量%)、架橋剤もしくは鎖延長剤として併用してもよい。
【0019】
本発明で用いられる有機ポリイソシアネート(b)としては、従来からウレタンフォームに使用されているものが使用できる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシヌアレート基、またはオキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0020】
芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネートおよびこれらのイソシアネートの粗製物などが挙げられる。具体例としては、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートなどが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0021】
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、ショ糖変性TDI、ひまし油変性MDIなどが挙げられる。これらのうちで好ましいものは、TDI、MDI、粗製TDI、粗製MDI、ショ糖変性TDI、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDIから選ばれた一種以上の有機ポリイソシアネートであるである。
【0022】
ウレタンフォームの製造に際してのイソシアネート指数[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100]は、好ましくは60〜500、さらに好ましくは80〜350、とくに好ましくは85〜300である。
【0023】
本発明において、発泡剤(c)として水を用いるのが好ましい。(c)に水のみを単独で用いる場合、水の使用量はポリオール(a)100重量部当たり、好ましくは0〜30重量部、さらに好ましくは0.2〜20重量部である。その他必要により水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素、液化炭酸ガス等が用いられる。
【0024】
水素原子含有ハロゲン化炭化水素系発泡剤の具体例としては、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHCFC−123、HCFC−141b、HCFC−22およびHCFC−142b);HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHFC−134a、HFC−152a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245faおよびHFC−365mfc);HFO(ハイドロフルオロオレフィン)タイプのもの(例えばHFO−1336mzzZおよびHFO−1234yf)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、HCFC−141b、HFC−134a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa、HFC−365mfcおよびこれらの2種以上の混合物である。水素原子含有ハロゲン化炭化水素を用いる場合の使用量は、ポリオール(a)100重量部あたり、好ましくは50重量部以下、さらに好ましくは45重量部以下である。
【0025】
低沸点炭化水素は、通常沸点が−5〜50℃の炭化水素であり、その具体例としては、ブタン、ペンタン、シクロペンタンおよびこれらの混合物が挙げられる。低沸点炭化水素を用いる場合の使用量は、(a)100重量部あたり、好ましくは40重量部以下、さらに好ましくは30重量部以下である。また、液化炭酸ガスを用いる場合の使用量は、(a)100重量部あたり、好ましくは30重量部以下、さらに好ましくは25重量部以下である。
【0026】
本発明において使用されるウレタン化触媒(d)は、ウレタン化反応に通常使用される触媒、例えばアミン系触媒〔トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル(カルボン酸塩)など〕および/または金属触媒(オクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ、オクチル酸鉛など)を使用することができる。ウレタン化触媒(d)の使用量は、ポリオール(a)100重量部当たり、好ましくは0.001〜6重量部である。
【0027】
本発明に使用されるフィラー(e)としては、乾式または湿式シリカ、モンモリロナイトおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
本発明のウレタンフォームの製造方法においては、上記フィラー(e)と圧縮流体を含む混合液、またはフィラー(e)とポリオール(a)と圧縮流体を含む混合液(X)の体積膨張により体積平均粒径を10〜1000nmに調整したフィラー粒子(e1)を用いる。
本発明において、圧縮流体としては、二酸化炭素を圧縮して得られる液体、亜臨界流体および超臨界流体が挙げられる。
【0029】
フィラー粒子(e1)の体積平均粒径は、通常10〜1000nm、好ましくは20〜300nmである。粒径が1000nmを超えるとポリオール(a)への分散安定性が悪くなったりする。ここで体積平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置〔例えば(株)堀場製作所製「LA−920」〕にて測定される。
なお、フィラー粒子(e1)の体積平均粒径は、ウレタンフォーム製造時には、通常変化しない。
【0030】
本発明の製造方法により得られるウレタンフォーム中のフィラー粒子(e1)の含有量は、フィラー粒子(e1)がシリカ、モンモリロナイト、いずれの場合でも、ポリオール(a)の全重量に対して0.1〜30重量%とすることが好ましく、5〜30重量%がさらに好ましい。フィラー粒子(e1)の含有量が0.1重量%以上であると、十分なガスバリア性能が得られる。一方、30重量%以下であると、力学的特性の低下を招く恐れが無く、コストも安くなる。
【0031】
ウレタンフォームの製造に用いるその他の添加剤(f)としては、整泡剤(ジメチルシロキサン系、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系等)、イソシアヌレート化触媒(例えばオクチル酸カリウム、第4級アンモニウム塩)、難燃剤(リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステル、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、ホウ素化合物、臭素化合物、塩素化パラフィン、環状脂肪酸等)、着色剤(染料、含量等)、可塑剤(フタル酸エステル、アジピン酸エステル等)、有機充填剤(合成短繊維、熱可塑性もしくは熱硬化性樹脂からなる中空微小球等)、抗酸化剤(ヒンダードフェーノール系、ヒンダードアミン系等)、老化防止剤(トリアゾール系、ベンゾフェノン系等)、離型剤(ワックス系、金属石鹸系、又はこれらの混合系)等公知の添加剤の存在下で反応させることができる。
【0032】
本発明の方法によるウレタンフォームの製造法の一例を示せば、下記の通りである。まず、ポリオール(a)の少なくとも一部中に体積平均粒径が10〜1000nmとされたフィラー粒子(e1)を分散させ、その後発泡剤(c)、ウレタン化触媒(d)、並びに必要により添加剤(f)および/または残りのポリオール(a)を所定量混合する。次いで、ウレタン低圧もしくは高圧注入発泡機または撹拌機を使用して、この混合物と有機ポリイソシアネート(b)とを急速混合する。得られた混合液(発泡原液)を密閉型もしくは開放型のモールド(金属製または樹脂製)に注入し、ウレタン化反応を行わせ、所定時間硬化後、脱型してウレタンフォームを得る。また、スプレー発泡、連続発泡してもウレタンフォームを得ることができる。
【0033】
上記のポリオール(a)の少なくとも一部中に体積平均粒径が10〜1000nmとされたフィラー粒子(e1)を分散させる工程において、方法例としては、(1)二酸化炭素の圧縮流体とフィラー(e)とポリオール(a)との混合液(X1)を調製した後、(X1)を体積膨張させ、二酸化炭素が除去されたフィラー粒子(e1)とポリオール(a)との分散液(フィラー粒子分散ポリオール組成物)を得る方法、(2)二酸化炭素の圧縮流体とフィラー(e)との混合液(X2)を調製した後、(X2)をポリオール(a)に向けて噴霧、体積膨張させ、二酸化炭素が除去されたフィラー粒子(e1)とポリオール(a)との分散液(フィラー粒子分散ポリオール組成物)を得る方法などが挙げられるが、これに限られるものでははい。これらの方法の中で、体積平均粒径がより小さいフィラー粒子が分散した分散液を得られやすいのは(1)の方法である。
【0034】
上記(1)または(2)の製造方法においては、フィラー(e)とポリオール(a)と圧縮流体との混合液(X1)、または(e)と圧縮流体との混合液(X2)〔(X1)または(X2)を(X)と称する。〕を体積膨張することによって、体積平均粒径が10〜1000nmのフィラー粒子(e1)を得ることができる。
なお、フィラー(e)とポリオール(a)と圧縮流体を含む混合液(X1)を用いる(1)の方法の場合、ポリオール(a)中に体積平均粒径が10〜1000nmのフィラー粒子(e1)が分散されたポリオール組成物を容易に得ることができる(本第2発明)。
(1)の方法におけるポリオール(a)に対するフィラー(e)の使用量は、得られるフィラー粒子(e1)の体積平均粒径の点から、ポリオール(a)に対して1〜100重量%が好ましく、5〜80重量%がさらに好ましい。
【0035】
混合液(X)における、フィラー(e)と圧縮流体と、必要によりポリオール(a)との混合に要する時間は、フィラー(e)中に圧縮流体が浸透し経時での圧力低下が生じない時間以上であるならば十分である。
【0036】
体積膨張させる手段としては、圧縮性流体の加熱操作や減圧操作があるが、効率よく粉砕、解砕するためには減圧操作による体積膨張が好ましい。
【0037】
混合液(X)を体積膨張する際、効率よく粉砕、解砕力を得るためには、目的の圧力まで一気に減圧されることが好ましい。そのため、混合液(X)が調製される耐圧容器から圧縮流体を除去し小粒径のフィラーの得る場合は、一気に耐圧容器内を目的圧力まで減圧できる排圧弁を要する。また、混合液(X)が調製される耐圧容器から(X)を目的の圧力に調製された別の受け容器へ移送する場合は、混合液(X)を移送できる口径のノズルと受け容器を同じ圧力に保つレギュレーターが必要である。ただし、後者の場合、受け容器の圧力を大気圧とするのであれば、レギュレーターは不要である。
体積膨張させる前の混合液(X)の入った耐圧容器内の温度および圧力は、目的の体積平均粒径のフィラー粒子(e1)が得られる条件であれば特に限定されないが、圧力は5〜20MPaが好ましく、温度は50〜120℃が好ましい。
【0038】
フィラー(e)と圧縮流体の混合は、上記の耐圧容器内で行う方法以外に、ラインブレンド(インライン混合)方法により連続的に行うことが、生産性の向上、品質の一定化、製造スペースの縮小化等の面から好ましい。
ラインブレンド方法に用いる装置の具体例として、スタティックミキサー、インラインミキサー、ラモンドスーパーミキサー、スルザーミキサーのような静止型インライン混合機や、バイブミキサー、ターボミキサーのような撹拌型インライン混合機などが挙げられる。装置のミキサー部分の長さおよび配管径、ミキシング装置(エレメント)数に何ら限定はないが、目的圧力に耐え得るものでなければならない。
ラインブレンド方法に用いる装置の出口には、耐圧容器と同様の、混合物取り出し用のノズルを備えているのが好ましい。
【実施例】
【0039】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において「部」は重量部を示す。
【0040】
<実施例(1)〜(7)>(フィラー粒子分散ポリオール組成物の製造)
攪拌棒および温度計をセットした耐圧反応容器に、表1に示した比率に従って、(a−1)〜(a−2)、および(e−1)〜(e−2)を配合した後、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度90℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し15MPaにして10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して開放し、プレ分散液1を得た。プレ分散液1を再び耐圧反応容器に仕込み、90℃に温調したのち二酸化炭素を供給し15MPaにして10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して開放し、フィラー粒子が分散した硬質ウレタンフォーム用ポリオール組成物(A1)〜(A7)を得た。
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置〔(株)堀場製作所製「LA−920」〕で測定したフィラー粒子(e1)の体積平均粒径を表1に示す。
【0041】
<比較例(1)〜(3)>(比較のフィラー粒子分散ポリオール組成物の製造)
表1に示した比率に従って、(a−1)〜(a−2)、および(e−1)〜(e−2)を配合した後、、0.5mmφのガラスビーズを充填したサンドグラインダーミルを用いて、解砕/粉砕/分散を行い、フィラー粒子が分散した硬質ウレタンフォーム用ポリオール組成物(A’1)〜(A’3)を得た。
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置〔(株)堀場製作所製「LA−920」〕で測定したフィラー粒子の体積平均粒径を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
<実施例1〜10、比較例1〜4>(硬質ウレタンフォームの製造)
〔使用原料の記号の説明〕
実施例1〜10、比較例1〜4における、ポリオール組成物(A)または(A’)以外の硬質ウレタンフォームの原料は次の通りである。
(1)ポリオール(a)
(a−1)数平均活性水素含有官能基数が2、水酸基価が250のエステルポリオール〔マキシモールRFK−505(川崎化成工業(株)製)〕
(a−2)グリセリンのPO付加物、水酸基価280
(2)フィラー(e)
(e−1):疎水性シリカR972(日本アエロジル製)
(e−2):モンモリロナイト クニピアF(クニミネ工業製)
(3)発泡剤(c)
(c−1)水
(c−2)セントラル硝子(株)社製「HFC−245fa」(1,1,1,3,3,−ペンタフルオロプロパン)
(4)ウレタン化触媒(d)
(d−1)触媒A(エアープロダクツジャパン(株)製DabcoK−15)
(d−2)触媒B(エアープロダクツジャパン(株)製DabcoTMR)
(d−3)アミン触媒C(エアープロダクツジャパン(株)製Dabco33LV)
(5)添加剤(f)
(f−1)大八化学工業(株)社製「TMCPP」〔トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート〕
(f−2)ポリエーテルシロキサン重合体(東レダウコーニング(株)製「SH−193」)
(6)有機ポリイソシアネ−ト(b)
(b−1)粗製MDI(日本ポリウレタン工業(株)製「MR−200」)、NCO%=31.5)
【0044】
実施例における硬質ウレタンフォームの製造方法は、以下のとおりである。
表2に示した部数にて、20±5℃に温調したポリオール組成物(A)、ポリオール(a)、発泡剤(c)、ウレタン化触媒(d)及び添加剤(f)を所定量配合しポリオールプレミックスを作成した。このポリオールプレミックスに20±5℃に温調した有機ポリイソシアネート(b)を所定のイソシアネート指数となるよう加えて、攪拌機[ホモディスパー:プライミクス製]にて8000rpm×7秒間急速混合した。その後、60℃に温調し、300×300×40mmのモールドに混合液をすみやかに流し入れ、モールド発泡させて硬質ウレタンフォームを得た。
【0045】
各実施例及び比較例により得られた硬質ウレタンフォームを1日養生後にカットし、成型品密度(JIS A9511による)、断熱性(熱伝導率)(下記方法による)の測定を行った。その後70℃、湿度95%RHにて2週間静置し再び断熱性(熱伝導率)の測定を行い、熱伝導率の変化率からガスバリア性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0046】
<熱伝導率の測定方法>
JIS A1412−2に従い、モールド発泡で得られた300(縦)×300(横)×50(厚み)mmの硬質ウレタンフォームを、200(縦)×200(横)×35(厚み)mmのサイズに切り出した。その後、熱伝導率測定機「AUTO−Λ HC−074」英弘精機株式会社(製)を使用して熱伝導率を測定した。
【0047】
【表2】
【0048】
表1に示されるように、実施例は比較例に比べて、フィラー粒子(e1)の体積平均粒径を小さくすることができる。その結果表2に示すように、フォームの断熱性能の経時変化が小さい、ガスバリア性の優れたウレタンフォームを得ることができる。