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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-194064(P2016-194064A)
(43)【公開日】2016年11月17日
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20161021BHJP
   C08F 283/06 20060101ALI20161021BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20161021BHJP
【FI】
   C08F2/44 C
   C08F283/06
   C08F290/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-68522(P2016-68522)
(22)【出願日】2016年3月30日
(31)【優先権主張番号】特願2015-71503(P2015-71503)
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松本 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和徳
(72)【発明者】
【氏名】上野 都
【テーマコード(参考)】
4J011
4J026
4J127
【Fターム(参考)】
4J011PA86
4J011PA90
4J026AB04
4J026AB10
4J026AB19
4J026AB21
4J026BA27
4J026BA28
4J026BA32
4J026BB01
4J026BB03
4J026BB04
4J026DB05
4J026DB06
4J026DB36
4J026FA05
4J127AA03
4J127BB031
4J127BB111
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC151
4J127BD441
4J127BD471
4J127BD481
4J127BE241
4J127BE24Y
4J127BF191
4J127BF19X
4J127BF201
4J127BF20X
4J127BF471
4J127BF47X
4J127BF621
4J127BF62X
4J127BG041
4J127BG04X
4J127BG141
4J127BG14X
4J127BG171
4J127BG17Y
4J127BG181
4J127BG18X
4J127BG271
4J127BG27Y
4J127BG281
4J127BG28X
4J127CB151
4J127CB161
4J127CB282
4J127CC021
4J127CC022
4J127CC291
(57)【要約】
【課題】 硬化前は貯蔵安定性に優れる均一な液状樹脂組成物でありながら、硬化後に高い光遮蔽性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 ラジカル重合性単量体成分(A)と、非ラジカル重合性成分(B)と、ラジカル型光重合開始剤(C)とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合性単量体成分(A)と前記非ラジカル重合性成分(B)とが、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値と分子量についての所定の関係式を満たし、全光線透過率が90%以上である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル重合性単量体成分(A)と、非ラジカル重合性成分(B)と、ラジカル型光重合開始剤(C)とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、
ラジカル重合性単量体成分(A)が(メタ)アクリロイル基を有する少なくとも1種の単量体(a)からなり、
非ラジカル重合性成分(B)が、ポリブタジエン(b1)、ポリエーテル(b2)及びポリエステル(b3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の非ラジカル重合性化合物(b)からなり、
前記ラジカル重合性単量体成分(A)と前記非ラジカル重合性成分(B)とが、以下の条件(i)又は条件(ii)を満たし、
全光線透過率が90%以上である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(i)以下の関係式(1)〜(4)の全てを満たす。
(ii)以下の関係式(1)と(5)の両方を満たす。
関係式(1): Mn≦95.0×ΔHLB+2200
関係式(2): Mn≧−70.0×ΔHLB+600
関係式(3): Mn≧−14800×ΔHLB+17000
関係式(4): Mn≧−52.3×ΔHLB+500
関係式(5): Mn≧−350×ΔHLB+3800
[関係式(1)〜(5)において、Mnは、前記非ラジカル重合性成分(B)の化学式量又は数平均分子量を表し、前記非ラジカル重合性成分(B)が2種以上の非ラジカル重合性化合物(b)からなる場合、非ラジカル重合性化合物(b)の数平均分子量をそのモル比率に基づいて加重平均した値である。
関係式(1)、(2)及び(5)において、ΔHLBは、前記単量体成分(A)を重合して得られる重合体のHLB値(HLB)と前記非ラジカル重合性成分(B)のHLB値(HLB)との差の絶対値を表し、前記非ラジカル重合性成分(B)が2種以上の非ラジカル重合性化合物(b)からなる場合、HLBは非ラジカル重合性化合物(b)のHLB値をその重量比率に基づいて加重平均した値である。
関係式(3)及び(4)において、ΔHLBは、前記単量体成分(A)が1種の単量体(a)からなり、かつ前記非ラジカル重合性成分(B)が1種の非ラジカル重合性化合物(b)からなる場合、単量体(a)を重合して得られる単独重合体のHLB値と非ラジカル重合性化合物(b)のHLB値との差の絶対値であり、前記単量体成分(A)が2種以上の単量体(a)からなる場合及び/又は前記非ラジカル重合性成分(B)が2種以上の非ラジカル重合性化合物(b)からなる場合、各単量体(a)を単独重合した際に得られる重合体のHLB値(HLB)と、各非ラジカル重合性化合物(b)のHLB値(HLB)とを用いて、HLBとHLBの全ての組み合わせについて計算して得られるHLBとHLBとの差の絶対値の中で最小の値である。]
【請求項2】
ラジカル重合性単量体成分(A)の合計重量と非ラジカル重合性成分(B)の合計重量の比[(A):(B)]が、45:55〜90:10である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
ΔHLBが1.0以上である請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
ΔHLBが1.0以上である請求項3に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物のヘイズが90%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性樹脂組成物に関する。詳しくは、可視光(以下、単に光と記載する)に対する高い遮蔽性を有する硬化物を与える活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂組成物の硬化物を不透明化する手段して、従来から、酸化チタン等の顔料が樹脂組成物に添加されている。
【0003】
しかし、酸化チタン等の白色顔料は一般に高価であり、また、顔料を含む樹脂組成物は、硬化前が不均一系であるがために、時間経過とともに顔料粒子が沈降してしまうという問題がある。更に、酸化チタンは光触媒として作用すると樹脂が劣化する傾向があり、好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−133864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、硬化前は貯蔵安定性に優れる均一な液状樹脂組成物でありながら、硬化後に高い光遮蔽性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、ラジカル重合性単量体成分(A)と、非ラジカル重合性成分(B)と、ラジカル型光重合開始剤(C)とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、
ラジカル重合性単量体成分(A)が(メタ)アクリロイル基を有する少なくとも1種の単量体(a)からなり、
非ラジカル重合性成分(B)が、ポリブタジエン(b1)、ポリエーテル化合物(b2)及びポリエステル(b3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の非ラジカル重合性化合物(b)からなり、
前記ラジカル重合性単量体成分(A)と前記非ラジカル重合性成分(B)とが、以下の条件(i)又は条件(ii)を満たし、
全光線透過率が90%以上である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物;前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物である。
(i)以下の関係式(1)〜(4)の全てを満たす。
(ii)以下の関係式(1)と(5)の両方を満たす。
関係式(1): Mn≦95.0×ΔHLB+2200
関係式(2): Mn≧−70.0×ΔHLB+600
関係式(3): Mn≧−14800×ΔHLB+17000
関係式(4): Mn≧−52.3×ΔHLB+500
関係式(5): Mn≧−350×ΔHLB+3800
[関係式(1)〜(5)において、Mnは、前記非ラジカル重合性成分(B)の化学式量又は数平均分子量を表し、前記非ラジカル重合性成分(B)が2種以上の非ラジカル重合性化合物(b)からなる場合、非ラジカル重合性化合物(b)の数平均分子量をそのモル比率に基づいて加重平均した値である。
関係式(1)、(2)及び(5)において、ΔHLBは、単量体成分(A)を重合して得られる重合体のHLB値(HLB)と前記非ラジカル重合性成分(B)のHLB値(HLB)との差の絶対値を表し、前記非ラジカル重合性成分(B)が2種以上の非ラジカル重合性化合物(b)からなる場合、HLBは非ラジカル重合性化合物(b)のHLB値をその重量比率に基づいて加重平均した値である。
関係式(3)及び(4)において、ΔHLBは、前記単量体成分(A)が1種の単量体(a)からなり、かつ前記非ラジカル重合性成分(B)が1種の非ラジカル重合性化合物(b)からなる場合、単量体(a)を重合して得られる単独重合体のHLB値と非ラジカル重合性化合物(b)のHLB値との差の絶対値であり、前記単量体成分(A)が2種以上の単量体(a)からなる場合及び/又は前記非ラジカル重合性成分(B)が2種以上の非ラジカル重合性化合物(b)からなる場合、各単量体(a)を単独重合した際に得られる重合体のHLB値(HLB)と、各非ラジカル重合性化合物(b)のHLB値(HLB)とを用いて、HLBとHLBの全ての組み合わせについて計算して得られるHLBとHLBとの差の絶対値の中で最小の値である。]
【発明の効果】
【0007】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、顔料粒子などを含まないために硬化前は貯蔵安定性に優れる均一な液状樹脂組成物でありながら、硬化後に光遮蔽性を発現する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性単量体成分(A)と非ラジカル重合性成分(B)とラジカル型光重合開始剤(C)とを含有する。
ここで、ラジカル重合性単量体成分(A)は(メタ)アクリロイル基を有する少なくとも1種の単量体(a)からなる。
また、非ラジカル重合性成分(B)が、ポリブタジエン(b1)、ポリエーテル(b2)及びポリエステル(b3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の非ラジカル重合性化合物(b)からなる。
【0009】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が含有するラジカル重合性単量体成分(A)と非ラジカル重合性成分(B)は、以下の条件(i)又は条件(ii)を満たすことが必要である。
(i)以下の関係式(1)〜(4)の全てを満たす。
(ii)以下の関係式(1)と(5)の両方を満たす。
関係式(1): Mn≦95.0×ΔHLB+2200
関係式(2): Mn≧−70.0×ΔHLB+600
関係式(3): Mn≧−14800×ΔHLB+17000
関係式(4): Mn≧−52.3×ΔHLB+500
関係式(5): Mn≧−350×ΔHLB+3800
【0010】
これらの関係式(1)〜(5)は、ラジカル重合性単量体成分(A)と非ラジカル重合性成分(B)のHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値と分子量についての関係式である。
関係式(1)〜(5)において、Mnは、前記非ラジカル重合性成分(B)の化学式量又は数平均分子量を表し、前記非ラジカル重合性成分(B)が2種以上の非ラジカル重合性化合物(b)からなる場合、非ラジカル重合性化合物(b)の数平均分子量をそのモル比率に基づいて加重平均した値である。
一般式(1)〜(5)において、Mnで表される非ラジカル重合性成分(B)の数平均分子量は、硬化後の光遮蔽性及び相溶性の観点から、200〜10,000が好ましく、500〜2,500が更に好ましい。
【0011】
関係式(1)、(2)及び(5)において、ΔHLBは、単量体成分(A)を重合して得られる重合体のHLB値(HLB)と前記非ラジカル重合性成分(B)のHLB値(HLB)との差の絶対値を表し、前記非ラジカル重合性成分(B)が2種以上の非ラジカル重合性化合物(b)からなる場合、HLBは非ラジカル重合性化合物(b)のHLB値をその重量比率に基づいて加重平均した値である。
なお、単量体成分(A)が1種の単量体(a)からなる場合のHLBは単量体(a)の単独重合体のHLB値であり、単量体成分(A)が2種以上の単量体(a)からなる場合のHLBは単量体(a)の共重合体のHLB値である。単量体(a)の共重合体のHLB値は、単量体(a)の単独重合体のHLB値を、各単量体(a)の重量比率に基づいて加重平均した値を用いる。ΔHLBは、硬化後の光遮蔽性の観点から、1.0以上であることが好ましい。
【0012】
関係式(3)及び(4)において、ΔHLBは、前記単量体成分(A)が1種の単量体(a)からなり、かつ前記非ラジカル重合性成分(B)が1種の非ラジカル重合性化合物(b)からなる場合、単量体(a)を重合して得られる単独重合体のHLB値と非ラジカル重合性化合物(b)のHLB値との差の絶対値であり、前記単量体成分(A)が2種以上の単量体(a)からなる場合及び/又は前記非ラジカル重合性成分(B)が2種以上の非ラジカル重合性化合物(b)からなる場合、各単量体(a)を単独重合した際に得られる重合体のHLB値(HLB)と、各非ラジカル重合性化合物(b)のHLB値(HLB)とを用いて、HLBとHLBの全ての組み合わせについて計算して得られるHLBとHLBとの差の絶対値の中で最小の値である。ΔHLBは、光硬化後の光遮蔽性の観点から、1.0以上であることが好ましい。
【0013】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、条件(i)又は条件(ii)を満たすことで、光遮蔽性の発現に必要なマイクロオーダーの相分離構造を硬化後の樹脂(硬化物ともいう)中に形成することができ、JIS−K7136記載の方法で測定したヘイズ値が高い(好ましくは90%以上)硬化物を得ることができる。
なお、通常の2成分の混合系においては、2成分の極性差(HLB値の差)が大きくなるほど、及び/又は各成分の分子量が大きくなるほど、2成分は相分離し易くなるが、関係式(1)を満たさない場合には、非ラジカル重合性成分(B)の分子量が大きすぎるために相分離が不十分となる。また、関係式(3)又は関係式(4)を満たさない場合、ラジカル重合性単量体成分(A)の重合体と、非ラジカル重合性成分(B)との分散剤(相溶化剤ともいう)として機能する成分が含まれているこことを表し、光遮蔽に必要な相分離が起こることを妨げることになる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、通常均一な溶液であるが、活性エネルギー線の照射によって硬化物を作製すると、単量体(A)が重合に伴って、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に含まれる成分の分子量が増大し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に含まれる屈折率が異なる成分[ラジカル重合性単量体成分(A)の重合物と非ラジカル重合性成分(B)]の相分離が進行し、分離した2相の界面で光が散乱される結果、高い光遮蔽性が発現する。
【0014】
ここでHLB値とは、無機性/有機性のバランスを示す尺度であり、HLB値が高いほど無機性が高いことを意味する。本発明におけるHLB値としては、小田法により下記の計算式で算出した値を用いる。
HLB≒10×無機性/有機性
(参考:「界面活性剤入門」2007年 三洋化成工業株式会社発行 P212)
また、活性エネルギー線とは、紫外線(波長14〜400nm)、可視光(波長400〜800nm)及び電子線等が挙げられる。
【0015】
本発明における第1の必須成分のラジカル重合性単量体成分(A)は、(メタ)アクリロイル基を有する少なくとも1種の単量体(a)からなる。
単量体(a)は、分子内に(メタ)アクリロイル基を有していれば、そのアクリロイル基の個数は特に限定されない。
なお、本出願において「(メタ)アクリロイル基」の表記はアクリロイル基とメタクリロイル基を意味する。
【0016】
単量体(a)としては、(メタ)アクリロイル基を1個有する単量体(a1)と2個以上有する単量体(a2)が挙げられる。
【0017】
(メタ)アクリロイル基を1個有する単量体(a1)として好ましいものとしては、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド及びアクリロイルモルホリン等が挙げられる。
【0018】
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体(a2)として好ましいものとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート及びポリブタジエンジアクリレート等が挙げられる。
【0019】
(メタ)アクリロイル基を3個有する単量体(a3)として好ましいものとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0020】
(メタ)アクリロイル基を4個以上有する単量体(a4)として好ましいものとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン12モル付加物のヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0021】
また、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体(a2)としては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a21)も好適に使用できる。
【0022】
本発明におけるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a21)としては、多価アルコール(α)とポリイソシアネート(β)と水酸基を有する(メタ)アクリレート(γ)とを公知の方法(特開2016−20489号公報等に記載の方法)で反応して得られる反応物を用いることができる。
【0023】
多価アルコール(α)としては、炭素数2〜20の脂肪族多価アルコール(α1)、炭素数6〜20の脂環式多価アルコール(α2)、炭素数8〜16の芳香脂肪族多価アルコール(α3)、炭素数6〜15の芳香族多価アルコール(α4)及びこれらのアルコールに炭素数2〜8のアルキレンオキシドをブロック状及び/又はランダム状に付加したアルコール等が挙げられる。
【0024】
炭素数2〜20の脂肪族多価アルコール(α1)としては、炭素数2〜12の鎖状脂肪族2価アルコール[エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール及び1,10−ドデカンジオール等の直鎖アルコール;1,2−、1,3−又は2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等の分岐アルコール等];
炭素数5〜20の4〜8価アルコール[脂肪族ポリオール(ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等);
糖類(ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体)];等が挙げられる。
【0025】
炭素数6〜20の脂環式多価アルコール(α2)としては、炭素数6〜20の脂環式2価アルコール[1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘプタンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等];
炭素数3〜20の3価アルコール[1,3,5−シクロヘキサントリオール等];
等が挙げられる。
【0026】
炭素数8〜16の芳香脂肪族多価アルコール(α3)としては、ジメチロールフェノール等が挙げられる。
【0027】
炭素数6〜15の芳香族多価アルコール(α4)としては、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等が挙げられる。
【0028】
炭素数2〜8のアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、1,2−又は1,3−プロピレンオキシド、1,2−、2,3−又は1,3−ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン及びスチレンオキシド等が挙げられる。
ポリオール(α)としては、これらの内1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、炭素数2〜12の脂肪族多価アルコール(α1)、炭素数6〜20の脂環式多価アルコール(α2)、炭素数7〜16の芳香脂肪族多価アルコール(α3)又は炭素数6〜15の芳香族多価アルコール(α4)1モルへの炭素数2〜8のアルキレンオキシドの付加モル数は、相溶性の観点から1〜400モルであることが好ましい。
【0029】
ポリイソシアネート(β)としては、炭素数4〜20の脂肪族ポリイソシアネート(β1)、炭素数6〜17の脂環式ポリイソシアネート(β2)、炭素数10〜17の芳香脂肪族ポリイソシアネート(β3)、炭素数8〜22の芳香族ポリイソシアネート(β4)等が挙げられる。
炭素数4〜20の脂肪族ポリイソシアネート(β1)としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
炭素数6〜17の脂環式ポリイソシアネート(β2)としては、イソホロンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシネート等が挙げられる。
炭素数10〜17の芳香脂肪族ポリイソシアネート(β3)としては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
炭素数8〜22の芳香族ポリイソシアネート(β4)としては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)、1,5−ナフタレンジイソシアネート及び4,4’、4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。
ポリイソシアネート(β)としては、これらの内1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0030】
水酸基を有する(メタ)アクリレート(γ)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、二価のアルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール及びポリエチレングリコール等)のモノ(メタ)アクリレート及び三価のアルコール(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びグリセリン等)のモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレート(γ)としては、この内1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0031】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a21)の数平均分子量は相溶性の観点から好ましくは500〜10,000であり、更に好ましくは500〜5,000である。なお、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a21)の数平均分子量は、以下の条件のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定できる。
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel Sup erH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μl
流量:0.6ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール
【0032】
本発明における第2の必須成分の非ラジカル重合性成分(B)は、(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性基を有しないことが必要である。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いると、活性エネルギー線照射時に単量体(A)との重合反応が起こり、ラジカル重合性単量体成分(A)と非ラジカル重合性成分(B)が同一分子中に共存してしまい、光遮蔽性の発現に必要なマイクロオーダーの相分離構造を形成することができない。
【0033】
本発明における非ラジカル重合性成分(B)は、ポリブタジエン(b1)、ポリエーテル(b2)及びポリエステル(b3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の非ラジカル重合性化合物である。
これらの内、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物の耐水性の観点からはポリブタジエン(b1)が好ましく、相溶性の観点からはポリエーテル(b2)が好ましい。
【0034】
本発明におけるポリブタジエン(b1)としては、1,3−ブタジエンを1,2−付加及び/又は1,4−付加させて得られる重合物(以下、単にポリブタジエンと記載する)及びその変性物(ポリブタジエンにマレイン酸等を付加させた化合物、末端に水酸基を導入した化合物及びこれらの化合物中の二重結合に水素を付加させた化合物等)が挙げられる。
1,3−ブタジエンの重合物としては、trans−1,4−ポリブタジエン及びcis−1,4−ポリブタジエンなどの混合物でもよく、その割合は特に限定されない。
【0035】
なお、前記の分子の末端に水酸基を導入した化合物としては、G−1000[日本曹達(株)製]等として入手できる。
【0036】
ポリブタジエン(b1)のMnは、以下の条件のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した数平均分子量の値を用いる。
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel Sup erH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μl
流量:0.6ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール
【0037】
ポリブタジエン(b1)の数平均分子量は、硬化後の光遮蔽性及び相溶性の観点から、好ましくは1,000〜10,000であり、更に好ましくは1,500〜3,000である。
また、ポリブタジエン(b1)のHLB値は、硬化後の光遮蔽性及び相溶性の観点から、好ましくは0〜2であり、更に好ましくは0〜1である。
【0038】
ポリブタジエン(b1)としては、この内1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの内、好ましいポリブタジエン(b1)としてはポリブタジエンが挙げられる。
【0039】
本発明におけるポリエーテル(b2)としては、水又は炭素数1〜20の活性水素を有する化合物に炭素数2〜8のアルキレンオキシドをブロック状に及び/又はランダム状に付加させた化合物等が挙げられる。
【0040】
炭素数1〜20の活性水素を有する化合物としては、炭素数1〜20の鎖状脂肪族アルコール、炭素数6〜20脂環式アルコール、炭素数8〜16の芳香族脂肪族アルコール及び炭素数6〜15の芳香族アルコール等が挙げられる。
【0041】
炭素数1〜20の鎖状脂肪族アルコールとしては、炭素数1〜12の鎖状脂肪族1価アルコール[メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール];
炭素数2〜12の鎖状脂肪族2価アルコール[エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1、10−デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等];
炭素数5〜20の鎖状脂肪族4〜8価アルコール[ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等];
糖類[ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体];等が挙げられる。
【0042】
炭素数6〜20の脂環式アルコールとしては、ヒドロキシシクロヘキサン、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘプタンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,3,5−シクロヘキサントリオール等が挙げられる。
【0043】
炭素数8〜16の芳香族脂肪族アルコールとしては、ベンジルアルコール及びジメチロールフェノール等が挙げられる。
【0044】
炭素数6〜15の芳香族アルコールとしては、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等が挙げられる。
【0045】
本発明におけるポリエーテル(b2)は、エーテル基を一つ以上有していればよく、ポリエーテル(b2)としては、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル[商品名「デナコールEX−121」、ナガセケムッテクス(株)製]等も用いることもできる。
その他の市販されているポリエーテルとしては、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル[商品名「デナコールEX−211」、ナガセケムッテクス(株)製]等が挙げられる。
【0046】
炭素数2〜8のアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、1,2−又は1,3−プロピレンオキシド、1,2−、1,3−、1,4−又は2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド及びエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)等が挙げられる。
また、水又は炭素数1〜20の活性水素含有化合物1モルへの炭素数2〜8のアルキレンオキシドの付加モル数は、相溶性の観点から1〜400モルであることが好ましく、更に好ましくは2〜30モルである。
【0047】
また、ポリエーテル(b2)としては、ポリエーテルの誘導体(グリシジルエーテル化物等)も好適に使用できる。
ポリエーテルの誘導体としては、ポリオキシエチレングリコールジグリシジルエーテル及びポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0048】
ポリエーテル(b2)のMnは、硬化後の光遮蔽性及び相溶性の観点から、好ましくは200〜100,000であり、更に好ましくは500〜2,500である。
ポリエーテル(b2)のMnは、合成の際に用いた原料の比率から計算して得られる理論化学式の化学式量が1,000以下の場合は、理論化学式の化学式量の値を用い、理論化学式の化学式量が1000を超える場合は、ポリブタジエン(b1)のMnと同様の前記の方法で測定した数平均分子量の値を用いる。
【0049】
ポリエーテル(b2)のHLB値は、硬化後の光遮蔽性及び相溶性の観点から、好ましくは3〜25であり、更に好ましくは4〜20である。
【0050】
ポリエーテル(b2)としては、この内1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの内、好ましいポリエーテル(b2)としては、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール(HLB:20〜25、Mn:150〜1,000)、ポリオキシプロピレングリコール(HLB:4〜16、Mn:200〜5,000)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(HLB:4〜25、Mn:200〜5,000)、テトラメチレングリコール(HLB:9〜12、Mn:200〜1,000)、ポリオキシエチレングリコールジグリシジルエーテル(HLB:11〜17、Mn:200〜1,000)及びポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル(HLB:4〜6、Mn:200〜5,000)が挙げられる。
【0051】
本発明におけるポリエステル(b3)としては、多価アルコールと炭素数2〜20の多価カルボン酸との重縮合物等が挙げられる。
【0052】
多価アルコールとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの説明で例示した多価アルコール(α)を用いることができる。
多価アルコールとしては、この内1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
炭素数2〜20の多価カルボン酸としては、
脂肪族多価カルボン酸[シュウ酸、マロン酸、ジプロピルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2,4−ジメチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−エチル−3−メチルグルタル酸、アジピン酸、3−メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2,6,6−テトラメチルピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ペンタデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等];
脂環式多価カルボン酸[シクロプロパンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸及びショウノウ酸];
芳香族多価カルボン酸[テレフタル酸、イソフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸及びジフェニルスルホンジカルボン酸等]等が挙げられる。
炭素数2〜20の多価カルボン酸は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0053】
また、ポリエステル(b3)としては、ポリエステルの誘導体(末端の水酸基又はカルボキシ基に炭素数1〜20のアルコールを反応させた化合物等)も好適に使用できる。
【0054】
ポリエステル(b3)の数平均分子量は、硬化後の光遮蔽性及び相溶性の観点から、好ましくは500〜10,000であり、更に好ましくは1,000〜3,000である。ポリエステル(b3)のMnは、合成の際に用いた原料の比率から推定できる理論化学式の化学式量が1,000以下の場合は、理論化学式の化学式量の値を用い、理論化学式の化学式量が1000を超える場合は、ポリブタジエン(b1)のMnと同様の前記の方法で測定した数平均分子量の値を用いる。
【0055】
ポリエステル(b3)のHLB値は、硬化後の光遮蔽性及び相溶性の観点から、好ましくは3〜25であり、更に好ましくは4〜20である。
【0056】
ポリエステル(b3)としては、この内1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの内、好ましいポリエステル(b3)としては、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸との重縮合物(HLB値:4〜20、Mn:300〜6,000)が挙げられる。
【0057】
本発明における第3の必須成分のラジカル型光重合開始剤(C)としては、ベンゾイン化合物[炭素数14〜18の化合物、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル];
炭素数8〜18のアルキルフェノン化合物〔アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等〕;
炭素数14〜19のアントラキノン化合物[2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等];
炭素数13〜17のチオキサントン化合物[2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン及び2−クロロチオキサントン等];
炭素数16〜17のケタール化合物[アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等];
炭素数13〜21のベンゾフェノン化合物[ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド及び4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等];
炭素数22〜28のホスフィンオキシド[1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等];
炭素数20〜30のオキシムエステル化合物〔1,2−オクタンジオン−1−(4−[フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]及びエタノン−1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム));
等が挙げられる。
ラジカル型光重合開始剤(C)としては、この内1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0058】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、全光線透過率が90%以上である。全光線透過率を90%以上にする方法は特に制限はないが、これはラジカル重合性単量体成分(A)が含有する(メタ)アクリロイル基を有する単量体(a)と、非ラジカル重合性成分(B)が含有する非ラジカル重合性化合物(b)のHLB値及び分子量を以下の(iiii)〜(v)の少なくともいずれか1つの条件を満たす範囲に調整することで全光線透過率を90%以上にする方法が好ましい。
(iii)活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が含有する全ての単量体(a)の数平均分子量が1000未満。
(iv)活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が含有する全ての非ラジカル重合性化合物(b)の数平均分子量が1000未満。
(v)活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、数平均分子量が1000以上である単量体(a)と数平均分子量が1000以上である非ラジカル重合性化合物(b)を含有し、更に数平均分子量が1000以上である単量体(a)と数平均分子量が1000以上である非ラジカル重合性化合物(b)とが、関係式(6)を満たす。
関係式6:
x×Mna1+y×Mnb1≦−103×ΔHLB+1240 (6)
【0059】
関係式(6)中、xは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の合計重量に対する、数平均分子量が1000以上である単量体(a)の重量比率を表す。
yは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の重量に対する、数平均分子量が1000以上である非ラジカル重合性化合物(b)の重量比率を表す。
Mna1は、数平均分子量が1000以上である単量体(a)の数平均分子量を表し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、数平均分子量が1000以上である単量体(a)を2種以上含有する場合、数平均分子量が1000以上である単量体(a)の数平均分子量をそのモル比率に基づいて加重平均した値である。
Mnb1は、数平均分子量が1000以上である非ラジカル重合性化合物(b)の数平均分子量を表し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、数平均分子量が1000以上である非ラジカル重合性化合物(b)を2種以上含有する場合、数平均分子量が1000以上である非ラジカル重合性化合物(b)の数平均分子量をそのモル比率に基づいて加重平均した値である。
ΔHLBは、数平均分子量が1000以上である単量体(a)のHLB値(HLBa1)と、数平均分子量が1000以上である非ラジカル重合性化合物(b)のHLB値(HLBb1)とのHLB値の差の絶対値を表す。
なお、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、数平均分子量が1000以上である単量体(a)を2種以上含有する場合、HLBa1は数平均分子量が1000以上である単量体(a)のHLB値をその重量比率に基づいて加重平均した値を用いる。
また、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、数平均分子量が1000以上である非ラジカル重合性化合物(b)を2種以上含有する場合、HLBb1は数平均分子量が1000以上である非ラジカル重合性化合物(b)のHLB値をその重量比率に基づいて加重平均した値を用いる。
【0060】
なお、数平均分子量が1000以上である単量体(a)及び数平均分子量が1000以上である非ラジカル重合性化合物(b)の数平均分子量は、ポリブタジエン(b1)のMnと同様の前記の方法で測定した数平均分子量を用いる。
【0061】
本発明に用いるラジカル重合性単量体成分(A)と、非ラジカル重合性成分(B)の好ましい組み合わせとしては、以下のものが挙げられる。
HLBが3.5〜10である単量体(a)[ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート(HLB:3.88)、1,10−デカンジオールジアクリレート(HLB:3.88)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(HLB:4.13)、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート(HLB:4.13)、フェノキシエチルアクリレート(HLB:4.41)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(HLB:7.54)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(HLB:9.35)及びこれらの混合物等]とポリブタジエン[HLB:0〜1、Mn:1,000〜3,000];
HLBが3〜20である単量体(a)[イソボルニルアクリレート(HLB:3.10)、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート(HLB:3.88)、1,10−デカンジオールジアクリレート(HLB:3.88)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(HLB:4.13)、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート(HLB:4.13)、フェノキシエチルアクリレート(HLB:4.41)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(HLB:7.54)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(HLB:9.35)、アクリロイルモルホリン(HLB:15.9)及びこれらの混合物等]とポリオキシプロピレングリコール[HLB:4〜16、Mn:200〜5,000];
HLBが3〜20である単量体(a)[イソボルニルアクリレート(HLB:3.10)、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート(HLB:3.88)、1,10−デカンジオールジアクリレート(HLB:3.88)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(HLB:4.13)、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート(HLB:4.13)、フェノキシエチルアクリレート(HLB:4.41)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(HLB:7.54)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(HLB:9.35)、アクリロイルモルホリン(HLB:15.9)及びこれらの混合物等]とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール[HLB:4〜25、Mn:200〜5,000];
HLBが3〜20である単量体(a)[イソボルニルアクリレート(HLB:3.10)、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート(HLB:3.88)、1,10−デカンジオールジアクリレート(HLB:3.88)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(HLB:4.13)、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート(HLB:4.13)、フェノキシエチルアクリレート(HLB:4.41)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(HLB:7.54)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(HLB:9.35)、アクリロイルモルホリン(HLB:15.9)及びこれらの混合物等]とポリオキシエチレングリコールジグリシジルエーテル[HLB:11〜17、Mn:200〜1,000];
HLBが3〜20である単量体(a)[イソボルニルアクリレート(HLB:3.10)、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート(HLB:3.88)、1,10−デカンジオールジアクリレート(HLB:3.88)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(HLB:4.13)、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート(HLB:4.13)、フェノキシエチルアクリレート(HLB:4.41)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(HLB:7.54)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(HLB:9.35)、アクリロイルモルホリン(HLB:15.9)及びこれらの混合物等]とポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル[HLB:4〜6、Mn:200〜5,000];
HLBが3〜20である単量体(a)[イソボルニルアクリレート(HLB:3.10)、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート(HLB:3.88)、1,10−デカンジオールジアクリレート(HLB:3.88)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(HLB:4.13)、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート(HLB:4.13)、フェノキシエチルアクリレート(HLB:4.41)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(HLB:7.54)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(HLB:9.35)、アクリロイルモルホリン(HLB:15.9)及びこれらの混合物等]と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸との重縮合物[HLB:4〜9、Mn:500〜3,000]。
【0062】
ラジカル重合性単量体成分(A)と非ラジカル重合性成分(B)の重量の比[(A):(B)]は、硬化時の相分離促進の観点から45:55〜90:10であり、好ましくは50:50〜85:15であることが好ましい。
【0063】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性単量体成分(A)と、非ラジカル重合性成分(B)と、ラジカル型光重合開始剤(C)とを含有するが、更に重合禁止剤、界面活性剤、酸化防止剤、連鎖移動剤等を含んでも良い。
【0064】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性単量体成分(A)と、非ラジカル重合性成分(B)と、ラジカル型光重合開始剤(C)とを、通常20〜80℃の温度範囲で、公知の機械的混合方法(例えばメカニカルスターラーやマグネティックスターラーを用いる方法)を用いることによって均一混合することで、得ることができる。
【0065】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線を照射することで硬化物を得ることができる。
なお、活性エネルギー線としては250nm〜830nmの波長を有する光線を用いることが好ましい。
本発明の樹脂組成物を活性エネルギー線により硬化させる場合は、種々の活性エネルギー線照射装置[例えば、紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]を使用できる。使用するランプとしては、高圧水銀灯及びメタルハライドランプ等が挙げられる。活性エネルギー線の照射量(mJ/cm)は、組成物の硬化性及び硬化物の可撓性の観点から好ましくは10〜10,000、更に好ましくは100〜5,000である。
【0066】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は高い光遮蔽性を有するため、LED用の反射材等の不透明樹脂として好ましく用いることができる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
なお、実施例におけるGPCは、以下の条件により測定した。
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel Sup erH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μl
流量:0.6ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール
【0068】
製造例1[ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A−11)の合成]
反応容器にポリプロピレングリコール[商品名「PPG−400」、三洋化成工業(株)製、数平均分子量=400]400部、ジシクロヘキシルメタン−4,4’− ジイソシアネート524部及びウレタン化触媒[ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)(2−エチルヘキサン酸50重量%溶液)以下同じ。]0.5部を仕込み、80℃で4時間反応させ、その後2−ヒドロキシエチルアクリレート232部を加え、80℃で8時間反応させてウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A−11)を得た。得られたウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A−11)の数平均分子量は1,156であった。
【0069】
製造例2[ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A−12)の合成]
反応容器にポリテトラメチレングリコール[商品名「PTMG−1000」、三洋化成工業(株)製、数平均分子量:1000]1000部、ジシクロヘキシルメタン−4,4’− ジイソシアネート524部及びウレタン化触媒0.5部を仕込み、80℃で4時間反応させ、その後2−ヒドロキシエチルアクリレート232部を加え、80℃で8時間反応させてウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A−12)を得た。得られたウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A−12)の数平均分子量は1,756であった。
【0070】
製造例3[ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A−13)の合成]
反応容器に2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン付加物[商品名「プラクセルFA4DT」、ダイセル化学工業(株)製、数平均分子量:572]1144部、イソホロンジイソシアネート222部及びウレタン化触媒0.5部を仕込み、80℃で8時間反応させてウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A−13)を得た。得られたウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A−13)の数平均分子量は1,366であった。
【0071】
製造例4[顔料分散液(D−1)の製造]
顔料として酸化チタン[商品名:「タイペークCR−60」、石原産業社製]を50部、顔料分散剤として酸性分散剤[商品名:「BYK−111」、ビックケミー社製]を2.5部、イソボルニルアクリレート[商品名「ライトアクリレートIBXA」、共栄社化学(株)製、平均官能基数=1]47.5部を混合した後、ビーズミル「ダイノーミルマルチラボ」[シンマルエンタープライゼス(株)製]で粒径1mmのジルコニアビーズを用いて粉砕を行い、顔料分散液(D−1)を得た。
【0072】
実施例1〜20及び比較例1〜14
表1〜3に示す配合組成(重量部)で均一混合して、実施例及び比較例の各樹脂組成物を得た。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
なお、表1〜3における記号が示す内容は以下の通りである。
(A−1):アクリロイルモルホリン[商品名「ACMO」、KJケミカルズ(株)製、官能基数=1]
(A−2):イソボルニルアクリレート[商品名「ライトアクリレートIBXA」、共栄社化学(株)製、官能基数=1]
(A−3):フェノキシエチルアクリレート「商品名「ライトアクリレートPO−A」、共栄社化学(株)製、官能基数=1]
(A−4):ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート[商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学(株)製、官能基数=2]
(A−5):ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート[商品名「ライトエステルDCP−M」、共栄社化学(株)製、官能基数=2]
(A−6):1,9−ノナンジオールジアクリレート[商品名「A−NOD−N」、新中村化学工業(株)製、官能基数=2]
(A−7):1,10−デカンジオールジアクリレート[商品名「A−DOD−N」、新中村化学工業(株)製、官能基数=2]
(A−8):「ネオマーDA−600」(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物:三洋化成工業(株)社製、平均官能基数=5.4)
(A−9):ポリブタジエンジアクリレート[商品名「BAC−45」、大阪有機化学工業(株)製、官能基数=2]
(A−10):ジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン12モル付加物のヘキサアクリレート[商品名「KAYARAD DPCA−120」、日本化薬化学(株)製、官能基数=6]
【0077】
(B−1):ジプロピレングリコール[ナカライテスク(株)製、Mn=134]
(B−2):2-エチルヘキシルグリシジルエーテル[商品名「デナコールEX−121」、ナガセケムッテクス(株)製、Mn=186]
(B−3):ポリオキシプロピレングリコール[商品名「サンニックスPP−200」、三洋化成工業(株)製、Mn=200]
(B−4):ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル[商品名「デナコールEX−211」、ナガセケムッテクス(株)製、Mn=216]
(B−5):ジエチレングリコールジグリシジルエーテル[商品名「デナコールEX−851」、ナガセケムッテクス(株)製、Mn=218]
(B−6):ポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル[商品名「グリシエールPP−300P」、三洋化成工業(株)製、Mn=513]
(B−7):ポリオキシエチレングリコールジグリシジルエーテル[商品名「デナコールEX−832」、ナガセケムテックス(株)製、Mn=527]
(B−8):ポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル[商品名「グリシエールPP−300P」、三洋化成工業(株)製、Mn=513]
(B−9):ポリオキシプロピレングリコール[商品名「サンニックスPP−1000」、三洋化成工業(株)製、Mn=1000]
(B−10):ポリ(3−メチルー1,5−ペンタンジオールアジペート)[商品名「クラレポリオールPー1010」、(株)クラレ製、Mn=1000]
(B−11):ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール[商品名「ニューポールPE−71」、三洋化成工業(株)製、Mn=2271]
(B−12):ポリブタジエン[商品名「RICON130」、CRAY VALLEY製、Mn=2500]
【0078】
(C−1):1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド[商品名「IRGACURE TPO」、BASF(株)製]
(C−2):2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン[商品名「IRGACURE 907」、BASF(株)製]
【0079】
単量体(a)の分子量について、(A−1)〜(A−8)は化学式量を用い、(A−9)〜(A−13)は前述のGPC測定で得られた数平均分子量を用いた。
非ラジカル重合性化合物(b)のMnについて、(B−1)〜(B−10)は化学式量を用い、(B−11)〜(B−12)は前述のGPC測定で得られた数平均分子量を用いた。
【0080】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の全光線透過率及び貯蔵安定性と、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物のヘイズを、以下の方法で評価した。結果を表1〜3に示す。
【0081】
<ヘイズ>
(1)試験片の作製
表面処理を施した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[東洋紡(株)製コスモシャインA4300]に、バーコーターを用いて膜厚500μmとなるように樹脂組成物を塗布して、紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により紫外線を1000mJ/cm照射し、光硬化物で被覆されたPETフィルムの試験片を得た。得られた試験片をPETフィルムが付いたままで、ヘイズの測定を行った。
【0082】
(2)ヘイズの測定
(1)で得られた試験片を使用し、JIS−K7136に準拠し、全光線透過率測定装置[商品名「haze−garddual」BYK gardner(株)製]を用いて、ヘイズ(単位:%)を測定した。
ヘイズ値が大きいほど光遮蔽性が高いことを意味し、一般にヘイズ値が90%以上を超えると不透明と言える。
【0083】
<全光線透過率>
各々の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した石英セル(厚さ:10mm、深さ:50mm、BYK gardner(株)製)を試料とし、JIS−K7136に準拠し、全光線透過率測定装置[商品名「haze−garddual」、BYK gardner(株)製]を用いて、全光線透過率(単位:%)を測定した。
【0084】
<貯蔵安定性>
各々の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物50gを蓋付きガラス瓶入れて、25℃にて1ヶ月貯蔵した。1ヶ月後の貯蔵後の状態を目視で観察し、下記基準に基づいて評価した。
以下の基準で判定した。
○:樹脂組成物が均一のままである。
×:樹脂組成物に相分離や沈降が発生し、樹脂組成物が不均一となっている。
【0085】
表1〜3の結果から、本発明の組成物は比較のものと比べ、硬化前は貯蔵安定性に優れ、硬化後は光遮蔽性に優れることがわかる。
一方、関係式(5)を満たさず、かつ関係式(2)〜(4)のいずれかを満たさない比較例1〜4及び比較例6〜10は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物のヘイズ値が低い。
また、関係式(1)を満たさない比較例5も活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物のヘイズ値が低い。
また、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の全光線透過率が90%を下回る比較例11〜13は、貯蔵安定性が低い。
また、酸化チタンを含む比較例14も貯蔵安定性が悪い。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、硬化後に高い光遮蔽性を有するため、不透明樹脂として好適に使用できる。
更に、硬化前は貯蔵安定性に優れる均一な液状樹脂組成物であるため、生産時に安定した物性が求められるLED用の反射材等の用途の感光性樹脂組成物として好適である。