【解決手段】アクチュエータ1は、油を吐出するポンプ30と、吐出された油が供給されるシリンダ10と、シリンダ10内に設けられたピストン20とを有し、シリンダ10は、ピストン20により区画され、ポンプ30の吐出した油を導入し体積を増減させてピストン20を往復移動させる第1油室11と第2油室12とを有し、主流路40に設けられた、油の供給先を第1油室11または第2油室12に切り換える切換弁43と、切換弁43を切り換える油を供給するパイロット流路50に設けられ、ピストン20の往復移動の所定の位置で切換弁43を切り換える切換弁51と、を有する。
前記第2流路における前記第1切換弁と前記第2切換弁の間に、前記第1切換弁の切り換わる時間を調節する調節部を有することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
前記調節部が、前記流体の供給先が前記一方側の前記流体室から前記他方側の前記流体室に切り換わる時間を調節する第1調節部、および/または、前記流体の供給先が前記他方側の前記流体室から前記一方側の前記流体室に切り換わる時間を調節する第2調節部を有することを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ。
前記第1流路における前記ポンプと前記第1切換弁との間に、前記ポンプから前記シリンダに向かう流体の流れを遮断可能な第3切換弁を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のアクチュエータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献に開示された装置は、流体を供給する流体圧回路に加えて、センサから出力される信号に基づいて切換弁の切り換えやピストンの変位速度を電気的に制御する構成を備えている。電気的制御のための構成を別に設けることは、装置の簡素化という観点からは好ましくない。
【0005】
上記の課題に鑑み、本発明は、シリンダ内に設けられたピストンの移動を駆動力とするアクチュエータにおいて、流体によってピストンの往復移動を制御することのできるアクチュエータを提供することを目的とする。また、流体によって回転運動を制御することのできる回転駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、本発明にかかるアクチュエータは、
流体を吐出するポンプと、
前記ポンプから吐出された流体が供給されるシリンダと、
前記シリンダ内に設けられたピストンと、を少なくとも備え前記ピストンの移動を駆動力とするアクチュエータであって、
前記シリンダは、前記ピストンにより区画され、前記ポンプの吐出した流体を導入し体積を増減させて前記ピストンを往復移動させる少なくとも2つの流体室を有し、
前記ポンプと前記シリンダとの間の第1流路に設けられ、流体の供給先を前記ピストンによって区画された一方側の前記流体室または他方側の前記流体室に切り換える第1切換弁と、
前記第1切換弁を切り換える流体を供給する第2流路に設けられ、前記ピストンの往復
移動の所定の位置で前記第1切換弁を切り換える第2切換弁と、を有する。
【0007】
本発明によれば、ピストンが往復移動の所定の位置に移動すると、第2切換弁によって第1切換弁が切り換えられる。これにより、ポンプから供給される流体の供給先が、ピストンによって区画された一方側の流体室と他方側の流体室との間で切り換えられるため、ピストンの移動方向が切り換えられる。ゆえに、本発明によれば、流体によってピストンの往復移動を制御することが可能になる。
【0008】
更に、前記第2流路における前記第1切換弁と前記第2切換弁の間に、前記第1切換弁の切り換わる時間を調節する調節部を有してもよい。
【0009】
調節部により、第1切換弁の切り換え時間を適宜、調節することができ、ピストンの往復移動に要する時間を制御することができる。
【0010】
更に、前記調節部が、前記流体の供給先が前記一方側の前記流体室から前記他方側の前記流体室に切り換わる時間を調節する第1調節部、および/または、前記流体の供給先が前記他方側の前記流体室から前記一方側の前記流体室に切り換わる時間を調節する第2調節部を有していてもよい。
【0011】
第1調節部と、第2調節部と、を有することで流体の供給先が一方側の前記流体室から他方側の前記流体室に切り換わる時間と、流体の供給先が他方側の前記流体室から一方側の前記流体室に切り換わる時間をそれぞれ制御することができ、ピストンの往復移動のそれぞれに要する時間を調整することができる。
【0012】
更に、前記第1流路における前記ポンプと前記第1切換弁との間に、前記ポンプから前記シリンダに向かう流体の流れを遮断可能な第3切換弁を有していてもよい。
【0013】
第3切換弁を有することで、ピストンの駆動が不要である際、ポンプからシリンダに向かう流れを遮断することでピストンを駆動させなくすることが可能になる。また、ポンプが他の装置と共用である場合、他の装置を使用する際はポンプからシリンダへの流れを遮断し、他の装置が不使用の際はポンプからシリンダへ流体を供給することが可能になる。
【0014】
また、本発明にかかる回転駆動装置は、前記アクチュエータと、前記ピストンの往復運動を回転運動に変換する変換機構と、を備える。本発明に係る回転駆動装置によれば、流体によって回転運動を制御することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係るアクチュエータによれば、流体によってピストンの往復移動を制御することができる。また、本発明に係る回転駆動装置によれば、流体によって回転運動を制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に
詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、本実施例に係るアクチュエータ及び回転駆動装置は、例えば、油圧シリンダ等を駆動する油圧を供給する第1流路(主流路)と、当該第1流路上の種々のパイロット弁にパイロット油圧を供給する第2流路(パイロット流路)とを備える油圧システムにおいて、余剰なパイロット油圧を用いて発電等のための往復運動や回転運動を得る用途に用いられる。なお、本実施例においては、アクチュエータに用いられる流体は油である。
【0018】
(実施例)
図1及び
図2を参照して、本発明の実施例1に係るアクチュエータ及び回転駆動装置について説明する。
図1及び
図2は、本発明の実施例1に係るアクチュエータ及び回転駆動装置の作動時の油圧回路図である。なお、
図1は、ピストンがシリンダ内における第1油室側にあるときの状態(第1切換弁が第1位置に切り換えられているときの状態)を示しており、
図2は、ピストンがシリンダ内における第2油室側にあるときの状態(第1切換弁が第2位置に切り換えられているときの状態)を示している。
【0019】
<アクチュエータの構成>
本実施例に係るアクチュエータ1は、油を吐出するポンプ30と、ポンプ30から吐出された油が供給されるシリンダ10と、シリンダ10内に設けられたピストン20と、を備え、ピストン20の移動を駆動力とするアクチュエータである。シリンダ10は、ピストン20によって図中右側の第1油室11と図中左側の第2油室12に区間されている。詳細には、ピストン20は、シリンダ10の内周面に対して摺動する大径部21(外径D)を備えており、大径部21によって、シリンダ10が第1油室11と第2油室12とに区間されている。また、ピストン20は、大径部21から第1油室11側に伸びる、大径部21よりも外径の小さい第1小径部22(外径d)と、大径部21から第2油室12側に伸びる、第1小径部22と外径が等しい第2小径部23(外径d)とを備えている。第1小径部22の外径と第2小径部23の外径は等しいため、第1油室11の断面と第2油室12の断面(ピストン20の移動方向に垂直な平面による断面)の形状は同一である。アクチュエータ1においては、第1油室11と第2油室12の何れかにポンプ30から吐出された油が導入されると、油が導入された一方の油室の体積が増大することによってピストン20が他方の油室側に向かって移動する。このとき、他方の油室の体積は減少するように構成されている(詳細は後述する)。そして、油の導入先が他方の油室に切り換わると、他方の油室の体積が増大することによってピストン20が反対方向に移動する。つまり、第1油室11と第2油室12は、体積が増減されることによってピストン20を往復移動させる。
【0020】
アクチュエータ1は、更に、ポンプ30から吐出された油(圧油)をシリンダ10内に供給する第1流路としての主流路40とを備えている。主流路40は、ポンプ30から伸びる流路44と、圧油を第1油室11に供給する流路41と、圧油を第2油室12に供給する流路42とを備えている。また、主流路40には、ポンプ30と流路41を連通させる第1位置と、ポンプ30と流路42を連通させる第2位置とに切り換わる第1切換弁としての切換弁43が設けられている。詳細には、切換弁43は、4ポート2位置タイプの切換弁であり、第1位置にあるときは、流路41と流路44とを接続するとともに、流路42と、油を回収するタンク80に連通された流路45とを接続する。一方、切換弁43は、第2位置にあるときは、流路41と流路45とを接続するとともに、流路42と流路44とを接続する。つまり、切換弁43は、圧油の供給先を、ピストン20によって区画された一方側の第1油室11または他方側の第2油室12に切り換える。なお、アクチュエータ1は、切換弁43を第1位置に切り換える方向に付勢する付勢部材としてのスプリング46を備えている。したがって、切換弁43の初期位置は、ポンプ30と第1油室1
1とを連通させる第1位置である。
【0021】
ここで、流路44には、主流路40の連通と遮断を切り換えるための切換弁47が設けられている。切換弁47は3ポート2位置タイプの電磁切換弁であり、アクチュエータ1に併設されたコントローラ100が備えるスイッチ101がオンになると、電気信号ラインSuを介して信号が入力されて電磁状態に切り換えられる。切換弁47は、流路44のポンプ30側が遮断されると共に、流路44の切換弁43側がタンク80に接続された初期位置に向かって、スプリング47aによって付勢されている。そして、スイッチ101がオンになると、流路44のポンプ30側と切換弁43側とが接続されることによって、主流路40が連通される(
図1参照)。
【0022】
アクチュエータ1は、更に、切換弁43を切り換える油を供給する第2流路としてのパイロット流路50を備えている。パイロット流路50は、主流路40の流路44における切換弁47よりも下流側から分岐しており、切換弁43に設けられたパイロット油室43aに接続されている。このような構成からなるパイロット流路50は、ポンプ30から吐出された圧油をパイロット油室43aに供給して、スプリング46の力に抗して切換弁43を第2位置に切り換える。また、パイロット流路50には、切換弁43のパイロット油室43aに圧力を作用させる作用位置と、作用させた圧力を開放する開放位置とに切り換わる第2切換弁としての切換弁51が設けられている。詳細には、切換弁51は、3ポート2位置タイプの切換弁であり、作用位置にあるときは、パイロット流路50における主流路40からの分岐点側の流路52と、切換弁43側の流路53とを接続する(
図2参照)。一方、切換弁51は、開放位置にあるときは、流路52と流路53を遮断するとともに、流路53と、油を回収するタンク80に連通された流路59とを接続する(
図1参照)。したがって、切換弁51が開放位置から作用位置に切り換わると、パイロット油室43aに圧油が供給されることによって切換弁43が第2位置に切り換わる。一方、切換弁51が作用位置から開放位置に切り換わると、パイロット油室43aから油が排出されることによって切換弁43が第1位置に切り換わる。このように、切換弁51は、切換弁43切り換える切換弁として機能する。
【0023】
アクチュエータ1は、ピストン20の往復移動の所定の位置で切換弁51を切り換える切換機構60を備えている。詳細には、切換機構60は切換弁51を機械的に切り換える機構であって、切換弁51を開放位置に切り換える方向に付勢する第1切換部材としてのスプリング61と、第2油室12側に移動するピストン20に駆動されて、スプリング61の力に抗して切換弁51を作用位置に切り換える第2切換部材としてのガイド部62を備える。なお、ガイド部62は、ピストン20の小径部23における第2油室12側の端面24に押圧されることによって、切換弁51を作用位置に切り換える。
【0024】
ここで、流路53(パイロット流路50における切換弁43と切換弁51との間の部分)には、切換弁43の切り換わる時間を調節する調節部50Aが設けられている。調節部50Aは、分岐した後に再び合流する一対の並列な流路55、57から構成される並列流路部54と、流路55に設けられた第1調節部56と、流路57に設けられた第2調節部58とから構成される。第1調節部56は、流路53を切換弁43に向かって流れる油の流量を調節する。詳細には、第1調節部56は、切換弁51側から順に、切換弁43に向かう油の流れのみを許容する逆止弁56aと、流路55を流れる油の流量を調節する絞り弁56bとを備えている。一方、第2調節部58は、流路53を切換弁51に向かって流れる油の流量を調節する。詳細には、第2調節部58は、切換弁43側から順に、切換弁51に向かう油の流れのみを許容する逆止弁58aと、流路57を流れる油の流量を調節する絞り弁58bとを備えている。
【0025】
以上の構成により、流路53を切換弁43に向かって流れる油は、流路55のみを通過
するため、その流量は絞り弁56bによって調節される。この流量を調節することで、単位時間あたりにパイロット油室43a内に供給される油量を調節することができるため、切換弁43に作用する圧力の上昇速度を制御することが可能になる。したがって、第1調節部56によれば、切換弁43が第1位置から第2位置に切り換わる時間、即ち、圧油の供給先が第1油室11から第2油室12に切り換わる時間を調節することができる。一方、流路53を切換弁51に向かって流れる油は、流路57のみを通過するため、その流量は絞り弁58bによって調節される。この流量を調節することで、単位時間あたりにパイロット油室43aから排出される油量を調節することができるため、切換弁43に作用していた圧力の低下速度(開放速度)を制御することが可能になる。したがって、第2調節部58によれば、切換弁43が第2位置から第1位置に切り換わる時間、即ち、圧油の供給先が第2油室12から第1油室11に切り換わる時間を調節することができる。
【0026】
なお、絞り弁56b、58bは何れも電磁絞り弁であり、それぞれの絞り量は、コントローラ100に設けられたダイアル102、103によって設定された絞り量の信号が、電気信号ラインSv、Swを介してそれぞれ入力されることによって調節される。なお、絞り弁56b、58bは、手動式の絞り弁であってもよい。また、第1調節部56と第2調節部58とを別々に設けずに(流路53に並列流路部54を設けずに)、流路53中に絞り弁を設け、当該絞り弁を介してパイロット油室43aに油が流入されるようにしてもよく、更には、第1調節部56、第2調節部58の両方が設けられていてもよく、或いは、どちらか一方が設けられていてもよい。
【0027】
なお、アクチュエータ1には、ロッド71とクランク軸72とから構成される、ピストン20の往復運動を回転運動に変換する変換機構70が設けられている。詳細には、ロッド71は、一端がピストン20の第1小径部22における第1油室11側の端部に回転自在に固定されており、他端がクランク軸72に回転自在に固定されている。このように、本実施例に係る回転駆動装置110は、アクチュエータ1と変換機構70とから構成される。なお、クランク軸72には、発電機73が接続されている。以上のような構成により、ピストン20が往復運動するとクランク軸72が回転するため、発電機73によって発電が行われる。
【0028】
<アクチュエータの作動メカニズム>
アクチュエータ1が作動前の状態にあるとき、即ち、コントローラ100のスイッチ101がオフのときには、切換弁47が主流路40の流路44を遮断している。この場合には、パイロット流路50からの油圧が作用しないため、切換弁43はスプリング46によって初期位置である第1位置に切り換えられている。したがって、アクチュエータ1の作動前においては、流路41と流路44とが連通すると共に、流路42と流路45とが連通している。ここで、切換弁47が主流路40の流路44を遮断している状態において、ポンプ30の流体を別の装置に流用してもよく、また、逆に他の装置に設けられているポンプを他の装置が不使用の状態の際、本構造のポンプとして用いてもよい。
【0029】
スイッチ101がオンに切り換えられて主流路40が連通されると、ポンプ30から圧送される油が、流路44、切換弁43及び流路41を通って第1油室11に導入される(
図1参照)。すると、第1油室11の体積が増大するため、ピストン20が第2油室12側に向かって移動する。これと同時に、第2油室12の体積が減少するため、第2油室12内の油が、流路42、切換弁43及び流路45を通ってタンク80に排出される。なお、第1油室11と第2油室12との間に差圧が生じたことによってピストン20が第2油室12側に移動した捉えることもできる。そして、移動したピストン20の端面24が切換弁51のガイド部62に当接し、更にこれを図中左側に向かって押圧してストロークSだけ移動させると、切換弁51が作用位置に切り換えられる。つまり、ピストン20がガイド部62をストロークSだけ移動させる所定の位置に移動したときに、切換弁51が作
用位置に切り換えられる。これにより、パイロット流路50における流路52と流路53とが連通されるため、ポンプ30からの圧油の一部が、流路44から流路52に流入した後に、切換弁51及び流路53を通ってパイロット油室43aに供給される。圧油が供給されることによってパイロット油室43a内の油圧が所定の値に達すると、切換弁43がスプリング46の付勢力に抗して第2位置に切り換えられる(
図2参照)。これにより、流路42と流路44とが連通されると共に、流路41と流路45とが連通されるため、ポンプ30からの圧油が、流路44、切換弁43及び流路42を通って第2油室12に導入され始める。すると、第2油室12の体積が増大するため、ピストン20が第1油室11側に向かって移動する。これと同時に、第1油室11の体積が減少するため、第1油室11内の油が流路41、切換弁43及び流路45を通ってタンク80に排出され始める。以上により、ピストン20の移動方向が第1油室11側に向かう方向に切り換わる。なお、第1油室11と第2油室12との間の差圧が逆転したことによって、ピストン20の移動方向が第1油室11側に向かう方向に切り換わったと捉えることもできる。
【0030】
以上のようにして切換弁43が第2位置に切り換えられた後に、ピストン20が第1油室11側にストロークSだけ移動すると、スプリング61の付勢力によって切換弁51が開放位置に切り換えられる。つまり、ピストン20がガイド部62から離れる所定の位置に移動したときに、切換弁51が開放位置に切り換えられる。これにより、パイロット流路50における流路52と流路53とが遮断されると共に、流路53と流路59とが連通されるため、パイロット油室43a内の油がタンク80に排出される。すると、切換弁43に作用していた油圧が開放されるため、切換弁43がスプリング46の付勢力によって第1位置に切り換えられる。これにより、ポンプ30からの圧油が、再び第1油室11に導入され始めるため、ピストン20の移動方向が第2油室12側に向かう方向に切り換わる。
【0031】
以上より、本実施例に係るアクチュエータ1によれば、ピストン20の往復移動の所定の位置で、ポンプ30から圧送される油の圧力によって切換弁43が機械的に切り換えられることにより、ピストン20の移動方向の切り換えが行われる。したがって、アクチュエータ1によれば、ピストン20の往復運動をポンプ30からの圧油によって制御することが可能になる。
【0032】
なお、上述のように、本実施例に係るアクチュエータ1によれば、第1調節部56によって、圧油の供給先が第1油室11から第2油室12に切り換わる時間を調節することができる(例えば、絞り弁56bをより絞れば切り換え時間が遅くなる)。したがって、ピストン20の移動方向が第2油室12側に向かう方向から第1油室11側に向かう方向に切り換えられる時期(切り換えに要される時間)を、油圧によって制御することが可能になる。
【0033】
また、上述のように、アクチュエータ1によれば、第2調節部58によって、圧油の供給先が第2油室12から第1油室11に切り換わる時間を調節することができる(例えば、絞り弁58bをより絞れば切り換え時間が遅くなる)。したがって、ピストン20の移動方向が第1油室11側に向かう方向から第2油室12側に向かう方向に切り換えられる時期(切り換えに要される時間)を、油圧によって制御することが可能になる。
【0034】
<本実施例に係るアクチュエータ及び回転駆動装置の優れた点>
本実施例に係るアクチュエータ1によれば、ポンプ30から圧送される油の圧力によって切換弁43を機械的に切り換えることで、ピストン20の移動方向を切り換えることができる。ゆえに、電気的制御のための構成を別に設けずとも、ピストン20の往復運動を制御することが可能になるため、装置全体の構成を簡素なものにすることができる。
【0035】
また、アクチュエータ1によれば、ピストン20の移動方向が切り換わる時期を、調節部50Aが備える第1調節部56や第2調節部58によって制御することができる。ゆえに、アクチュエータ1を備える回転駆動装置110によれば、ピストン20の往復運動の1サイクルあたりの時間を調節することができるため、クランク軸72の回転速度を調節することができる。つまり、油圧によってクランク軸72の回転運動を制御することが可能になる。したがって、発電機73から安定した電力を得ることも可能になる。
【0036】
なお、アクチュエータ1によれば、ピストン20の大径部21の外径をD、小径部22及び23の外径をd、第1油室11と第2油室12との間の差圧をΔPとすると、ピストン20の往復運動の推力Fは次の式で表される。
F=ΔP×(D
2−d
2)×π/4 (式1)
したがって、外径D及び外径dを任意に設定することにより、推力Fを任意に設定することが可能になる。
【0037】
また、アクチュエータ1によれば、シリンダ10へ流入する圧油の流量(切換弁43を通過する流量)をQとすると、ピストン20の伸び方向(図中右方向)への移動の速さVe、及び、縮み方向(図中左方向)への移動の速さVsは次の式で表される。
Ve=Vs=Q/((D
2−d
2)×π/4) (式2)
したがって、ピストン20の伸び方向への移動の速さと縮み方向への移動の速さとが等しくなるため、安定した往復運動を得ることができる。
【0038】
(変形例)
上記の実施例においては、アクチュエータ1は、切換弁43を第1位置に切り換える方向に付勢する付勢部材としてのスプリング46を備えているが、切換弁43を第1位置に切り換える方向に付勢する部材や機構としては、例えば流体圧を用いた機構等を採用してもよい。また、特別の付勢部材や機構を設けず、重力によって切換弁43が初期位置としての第1位置に復帰するように構成してもよい。また、切換弁43の初期位置を第2位置とし、パイロット油室43aに圧油が供給されることによって切換弁43が第1位置に切り換わるように構成してもよい。この場合には、付勢部材による付勢の方向は、切換弁43を第2位置に切り換える方向とすればよい。
【0039】
(実施例2)
更に、シリンダサイズに制限がある場合などには、クランク軸72に本構造のアクチュエータを並列に複数接続してもよい。その場合、追加されたアクチュエータには、ポンプ30から油を供給してもよいし、他系統から供給される油も利用することができる。次に、
図3を参照して、このような構成が採用された本発明の実施例2としての回転駆動装置200について説明する。回転駆動装置200は、上記回転駆動装置110におけるアクチュエータ1のクランク軸72に、更にもう一つのアクチュエータが接続されたものである。アクチュエータ1に係る構成は上述したものと基本的に同一であるため、以下においては、相違点についてのみ説明する。なお、同一の構成については同一の符号を付する。
【0040】
回転駆動装置200は、アクチュエータ1に加えて更にアクチュエータ2を備えており、両アクチュエータからの動力によってクランク軸72が回転する。アクチュエータ2は、アクチュエータ1と同様の構成を備えるアクチュエータであって、ポンプ30からの圧油が供給されるシリンダ210と、シリンダ210内に設けられたピストン220とを備える。シリンダ210は、ピストン220によって図中左側の第1油室211と図中右側の第2油室212に区間されており、ピストン220の各部の寸法はアクチュエータ1が備えるピストン20と同様である。更に、アクチュエータ2は、アクチュエータ1の主流路40における切換弁47よりも下流側から分岐する主流路240を備えている。主流路240は、分岐点から伸びる流路244、流路241、流路242及び流路245を備え
ている。これらの流路は、主流路40における流路44、流路41、流路42及び流路45にそれぞれ対応する。主流路240に設けられた切換弁243は、アクチュエータ1における切換弁43に対応し、これと同様の構成を備える。
【0041】
アクチュエータ2は、アクチュエータ1と同様に、流路244から分岐し、切換弁243に設けられたパイロット油室243aに接続されたパイロット流路250を備えている。パイロット流路250における切換弁251、流路252、流路253、流路259及び調節部250Aは、主流路40における切換弁51、流路52、流路53、流路59及び調節部50Aにそれぞれ対応する。調節部250Aにおける並列流路部254、第1調節部256及び第2調節部258は、調節部50Aにおける並列流路部54、第1調節部56及び第2調節部58にそれぞれ対応し、同様の構成を備える。また、アクチュエータ2は、ピストン220の往復移動の所定の位置で切換弁251を切り換える切換機構260を備えている。切換機構260は、アクチュエータ1における切換機構60に対応し、これと同様の構成を備える。更に、アクチュエータ2には、一端がピストン220の端部に回転自在に固定され、他端がクランク軸72に回転自在に固定された、変換機構70の一部としてのロッド271を備えている。
【0042】
アクチュエータ2においては、第1調節部256が備える絞り弁256b及び第2調節部258が備える絞り弁258bは何れも電磁絞り弁であり、コントローラ100からの絞り量の信号が、電気信号ラインSx、Syを介してそれぞれ入力されることによって調節される。なお、回転駆動装置200においては、ダイアル102によって設定された絞り量の信号が、電気信号ラインSv、Sxを介して絞り弁56b、256bに同時に入力されることで、両絞り弁が同期して作動するように構成されている。同様に、ダイアル103によって設定された絞り量の信号が、電気信号ラインSw、Syを介して絞り弁58b、258bに同時に入力されることで、両絞り弁が同期して作動するように構成されている。
【0043】
以上のように構成された回転駆動装置200においては、スイッチ101がオンに切り換えられて主流路40が連通されると、ポンプ30から圧送される油が、アクチュエータ1の第1油室11及びアクチュエータ2の第1油室211に導入される(
図3参照)。これにより、アクチュエータ1に加え、アクチュエータ2も同様に、アクチュエータ1に同期して往復運動を開始する。したがって、回転駆動装置200においては、両アクチュエータの駆動力によって発電機73が駆動される。以上のようにして、2つ、あるいは、更に複数のアクチュエータを並列して設けることにより、より大きい電力(発電量)を得ることが可能になり、また、空間的な制限などによってシリンダサイズが制限される場合であっても必要な電力を得ることが可能になる。なお、回転駆動装置200においても、アクチュエータ1と共に、アクチュエータ2の往復運動の1サイクルあたりの時間を、調節部250Aが備える第1調節部256及び第2調節部258を用いて調節することにより、クランク軸72の回転速度を調節することができる。