【解決手段】電気コネクタ100は、タブレットTbの底部に設けたプラグ10とドッキングステーションDSの上部に設けたリセプタクル20を着脱できる。プラグ10は、第1凹部11及びヘッダ部1hを有する第1ハウジング1とヘッダ部1hの側壁に並設配置された複数の第1コンタクト3を備える。リセプタクル20は、ヘッダ部1hを嵌合自在な第2凹部21を有する第2ハウジング2と第2凹部21の内壁に並設配置された複数の片持ち状の第2コンタクト4を備える。リセプタクル20は、タブレットTbの重量に抗して、プラグ10を押し上げる力を付勢する押し上げ手段6を備えている。
前記キーボードは、前記ドッキングステーションと回動自在に連結し、前記タブレットPCを傾倒自在に配置できる一つ以上のヒンジを備える請求項5記載の電気コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図16は、ノートパソコン及びドッキングステーションの側面図であり、ノートパソコンをαの傾斜角度でドッキングステーションに接続した状態図である。
図17は、
図16のA部を拡大した側面図である。
【0008】
図18は、ノートパソコン及びドッキングステーションの側面図であり、ノートパソコンをβの傾斜角度でドッキングステーションに接続した状態図である。
【0009】
図19は、従来技術による電気コネクタの縦断面図であり、ノートパソコンに備わるプラグがドッキングステーションに備わるリセプタクルに真直に接続した状態図である。
【0010】
図20は、従来技術による電気コネクタの縦断面図であり、ノートパソコンに備わるプラグがドッキングステーションに備わるリセプタクルに対して僅かに傾斜して接続した状態図である。
【0011】
なお、本願の
図16から
図18は、特許文献1の
図15から
図17に相当している。又、本願の
図19と
図20は、特許文献1の
図13と
図14に相当している。
【0012】
図16を参照すると、ノートパソコンNPは、その一端部側をドッキングステーション(以下、拡張ステーションという)DSに載置している。又、ノートパソコンNPは、その他端部を机上などの設置面Siに載置している。そして、ノートパソコンNPは、設置面Siに対して、αの傾斜角度で配置されている。
【0013】
図17を参照すると、ノートパソコンNPは、その一端部側の背面にプラグ8を配置している。一方、拡張ステーションDSは、その上部にリセプタクル9を配置している。
【0014】
図16を参照して、拡張ステーションDSの上方で、ノートパソコンNPを水平状態に把持し、拡張ステーションDSに向かって、ノートパソコンNPを略真直ぐに降下させることで、プラグ8とリセプタクル9を機械的及び電気的に接続できる(
図20参照)。次に、ノートパソコンNPの他端部を設置面Siに載置することで、ノートパソコンNPを拡張ステーションDSに接続した状態で、ノートパソコンNPを傾斜配置できる。
【0015】
図17を参照すると、プラグ8は、リセプタクル9に真直状態で嵌合した後に傾斜されるので、これらのコネクタの接続が確実になるように、従来技術による電気コネクタは工夫している。
【0016】
図18に示したノートパソコンNPは、
図16に示したノートパソコンNPより、奥行き寸法が短く、拡張ステーションDSに接続した後に、設置面Siに載置すると、αの傾斜角度より傾斜角度が大きいβの傾斜角度で配置されている。つまり、プラグ8とリセプタクル9が所定の傾斜角度範囲内で接続できるように、従来技術による電気コネクタは工夫している。
【0017】
図19又は
図20を参照すると、プラグ8は、直方体状のハウジング81と複数の板状のコンタクト82を備えている。複数のコンタクト82は、ハウジング81の内部に並設配置されている。つまり、プラグ8は、多極の角形コネクタである。
【0018】
図19又は
図20を参照すると、ハウジング81は、矩形に開口した凹部81dを有している。凹部81dには、後述するリセプタクル9のヘッダ部91hを導入できる。凹部81dは、コンタクト82の一片821を対向する内壁に配列している。コンタクト82は、対向するように二列に配置されている。つまり、複数のコンタクト82は、ディアルインライン形に配置されている。又、コンタクト82の一片821は、直接手が触れないように凹部81dの隔壁で包囲されている。
【0019】
図19又は
図20を参照すると、コンタクト82は、他片822を有している。他片822は、一片821の基端部を略直角に屈曲した後に、ハウジング81の底面に沿って延出している。コンタクト82の他片822は、ノートパソコンNPの内部に配置した図示しないプリント基板にハンダ接合できる(
図16から
図18参照)。つまり、プラグ8は、プリント基板用コネクタである。
【0020】
図19又は
図20を参照すると、リセプタクル9は、直方体状のハウジング91と複数のベローズ形のコンタクト92を備えている。複数のコンタクト92は、ハウジング91の内部に並設配置されている。つまり、リセプタクル9は、多極の角形コネクタである。
【0021】
図19又は
図20を参照すると、ハウジング81は、矩形に開口した凹部91dとヘッダ部91hを有している。凹部91dには、ハウジング81を傾倒自在に導入できる。ヘッダ部91hは、凹部91dの中央部から突出している。そして、ヘッダ部91hは、プラグ8の凹部81dに傾倒自在に導入できる。なお、凹部91dとハウジング81は、紙面の奥行方向の動きが規制されるように、嵌合している。
【0022】
図19又は
図20を参照すると、ヘッダ部91hは、櫛の歯状の収容溝91cを形成している。収容溝91cには、コンタクト92の一片921を内部に配列している。コンタクト92は、相反する向きに向かうように二列に配置されている。つまり、複数のコンタクト92は、ディアルインライン形に配置されている。
【0023】
図19又は
図20を参照すると、コンタクト92は、他片922を有している。他片922は、一片921の基端部を略直角に屈曲した後に、ハウジング91の底面に沿って延出している。コンタクト92の他片922は、拡張ステーションDSの内部に配置した図示しないプリント基板にハンダ接合できる(
図16から
図18参照)。つまり、リセプタクル9は、プリント基板用コネクタである。
【0024】
図19又は
図20を参照すると、コンタクト92は、外側に向かって蛇行したスネークスプリング91sを一片921の先端部側に備えている。スネークスプリング91sは、収容溝91cの内部で伸縮自在に配置されている。
【0025】
図19又は
図20を参照して、スネークスプリング91sは、その接点がヘッダ部91hの外壁から突出するように配置されている。プラグ8を凹部91dに挿入すると、スネークスプリング91sを圧縮できる。そして、その反作用として、スネークスプリング91sは、その接点がコンタクト82の一片821を押圧する力を付勢している。
【0026】
特許文献1による電気コネクタは、
図19に示すように、プラグ8をリセプタクル9に真直に挿入した状態から、プラグ8を傾倒しても、スネークスプリング91sがコンタクト82に追従して接触しているので、プラグ8とリセプタクル9を確実に接続できる、としている。
【0027】
近年では、ドッキングステーション付きキーボードに薄直方体状のタブレットPCを着脱自在に接続できる、いわゆる、ハイブリッドPCが出現している。ハイブリッドPCは、ドッキングステーション付きキーボードにタブレットPCを接続して、ノートパソコンのように、タブレットPCをディスプレイとして使用できる。又、ハイブリッドPCは、ドッキングステーション付きキーボードからタブレットPCを取り外して、タッチパネル式の表示及び入力部により、タブレットPCを単独のパーソナルコンピュータとして使用できる。
【0028】
ドッキングステーション付きキーボードにタブレットPCを接続して使用するときには、高速の信号がドッキングステーションとタブレットPCとの間で送受される。この場合、タブレットPCの底部にプラグを配置し、ドッキングステーションの一端部側の上部にリセプタクルを配置し、
図19又は
図20で示したように、これらのコネクタをスネークスプリングで接続すると、スネークスプリングの伝送距離が長く蛇行しているので、高速の信号を正確に送受することが困難になる心配がある。ドッキングステーションとタブレットPCを信号の伝送距離が短くかつ直線的にコンタクトで接続する電気コネクタが求められている。
【0029】
又、タブレットPCの底部に配置したプラグをドッキングステーションの上部に配置したリセプタクルに挿入するときは、タブレットPCの重量が加わるので、プラグをリセプタクルに挿入することが容易である。
【0030】
一方、ドッキングステーションとタブレットPCは、多数の信号線で信号を送受しているので、タブレットPCの重量に加えて、これらのコネクタのコンタクト同士の接触圧力が累積して加算されるので、タブレットPCをドッキングステーションから引き上げることが容易でないという問題がある。これらのコネクタのコンタクト同士の接触圧力が累積して加算されると、タブレットPCを持ち上げたときに、キーボードが追従してくることが懸念される。
【0031】
タブレットPCなどの第1電子機器の底部に設けた第1コネクタとドッキングステーションなどの第2電子機器の上部に設けた第2コネクタが着脱自在な電気コネクタであって、第1電子機器を第2電子機器から引き上げ容易な電気コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0032】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、第1電子機器の底部に設けた第1コネクタと第2電子機器の上部に設けた第2コネクタが着脱自在な電気コネクタであって、第1電子機器を第2電子機器から引き上げ容易な電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明者らは、第1電子機器の底部に設けた第1コネクタと第2電子機器の上部に設けた第2コネクタが着脱自在な電気コネクタであって、第1電子機器の重量に抗して、第1コネクタを押し上げる押し上げ手段を第2コネクタに備えることで、第1電子機器を第2電子機器から引き上げ容易なると考え、これに基づいて、以下のような新たな電気コネクタを発明するに至った。
【0034】
(1) 第1電子機器の底部に設けた第1コネクタと第2電子機器の上部に設けた第2コネクタが着脱自在な電気コネクタであって、前記第1コネクタは、一方の面に向けて矩形に開口した第1凹部、及び、この第1凹部の中央部に突出したヘッダ部を有する直方体状の第1ハウジングと、前記ヘッダ部の側壁に並設配置された複数の板状の第1コンタクトと、を備え、前記第2コネクタは、一方の面に向けて矩形に開口し、前記ヘッダ部を嵌合自在な第2凹部を有し、先端部側を前記第1凹部に嵌合自在な直方体状の第2ハウジングと、前記第2凹部の内壁に並設配置され、前記第1コンタクトと接触自在に片持ち支持された複数の第2コンタクトと、前記第1電子機器の重量に抗して、前記第1コネクタを押し上げる力を付勢する押し上げ手段と、を備える電気コネクタ。
【0035】
(2) 押し上げ手段は、前記第2ハウジングに移動自在に保持され、前記第1ハウジングの前面に当接自在な当接面を有する略長方形の押し上げ板と、前記押し上げ板と係合自在に前記第2ハウジングの両端部に配置され、前記ヘッダ部の挿抜方向と略平行に、前記押し上げ板を移動自在に案内する一対の案内棒と、前記案内棒を外装し、前記第2ハウジングの前面に向かって、前記押し上げ板を押し上げる力を付勢する圧縮コイルばねと、を含んでいる(1)記載の電気コネクタ。
【0036】
(3) 前記第1コネクタは、前記第1ハウジングの外壁から窪んだ溝部に密着自在に取り付けた防水リングを更に備える(1)又は(2)記載の電気コネクタ。
【0037】
(4) 前記第1コネクタは、前記第1コンタクトの基端部を端部にハンダ接合した第1プリント基板と、前記第1ハウジングの両端部に固定し、前記第1プリント基板にハンダ接合自在な一対の第1補強タブと、を備え、前記第2コネクタは、前記第2コンタクトの基端部をハンダ接合した第2プリント基板と、前記第2ハウジングの両端部に固定し、前記第2プリント基板にハンダ接合自在な一対の第2補強タブと、を備え、前記第2プリント基板の平面に対して、前記第1プリント基板の平面が略直交した状態で、前記第1コネクタを前記第2コネクタに挿抜できる、(1)から(3)のいずれかに記載の電気コネクタ。
【0038】
(5) 記第1電子機器は、表示パネルを有する薄直方体状のタブレットPCからなり、前記第2電子機器は、ドッキングステーションを一端部に備えるキーボードからなる(1)から(4)のいずれかに記載の電気コネクタ。
【0039】
(6) 前記キーボードは、前記ドッキングステーションと回動自在に連結し、前記タブレットPCを傾倒自在に配置できる一つ以上のヒンジを備える(5)記載の電気コネクタ。
【発明の効果】
【0040】
本発明による電気コネクタは、タブレットPCなどの第1電子機器の底部に設けた第1コネクタと、ドッキングステーション付きキーボードなどの第2電子機器の上部に設けた第2コネクタが着脱自在な電気コネクタであって、第2コネクタは、第1電子機器の重量に抗して、第1コネクタを押し上げる押し上げ手段を備えているので、1電子機器を第2電子機器から容易に引き上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の一実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、第1コネクタを備えた第1電子機器と第2コネクタを備えた第2電子機器が離間した状態図である。
【
図2】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、第1コネクタと第2コネクタが離間した状態図である。
【
図3】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、第1コネクタと第2コネクタが離間した状態図である。
【
図4】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、第1コネクタと第2コネクタが結合した状態図である。
【
図5】前記実施形態による電気コネクタに備わる第1コネクタの構成を示す斜視図であり、第1コネクタを開口側から観た状態図である。
【
図6】前記実施形態による電気コネクタに備わる第1コネクタの構成を示す斜視図であり、第1コネクタを開口と反対側から観た状態図である。
【
図7】前記実施形態による電気コネクタに備わる第1コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
【
図8】前記実施形態による電気コネクタに備わる第1コネクタの第1ハウジングの構成を示す図であり、
図8(A)は、第1ハウジングの正面図、
図8(B)は、第1ハウジングの平面図、
図8(C)は、第1ハウジングの下面図、
図8(D)は、第1ハウジングの右側面図、
図8(E)は、第1ハウジングの背面図、
図8(F)は、第1ハウジングの斜視図である。
【
図9】前記実施形態による電気コネクタに備わる第2コネクタの構成を示す斜視図であり、第2コネクタを一方の側面側から観た状態図である。
【
図10】前記実施形態による電気コネクタに備わる第2コネクタの構成を示す斜視図であり、第2コネクタを他方の側面側から観た状態図である。
【
図11】前記実施形態による電気コネクタに備わる第2コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
【
図12】前記実施形態による電気コネクタに備わる第2コネクタの構成を示す図であり、
図12(A)は、第2コネクタの正面図、
図12(B)は、第2コネクタの平面図、
図12(C)は、第2コネクタの下面図、
図12(D)は、第2コネクタの右側面図、
図12(E)は、第2コネクタの背面図である。
【
図13】前記実施形態による電気コネクタに備わる第2コネクタの第2ハウジングの構成を示す図であり、
図13(A)は、第2ハウジングの正面図、
図13(B)は、第2ハウジングの平面図、
図13(C)は、第2ハウジングの下面図、
図13(D)は、第2ハウジングの右側面図、
図13(E)は、第2ハウジングの背面図である。
【
図14】前記実施形態による電気コネクタに備わる第1コネクタと第2コネクタが接続する前の状態を示す図であり、
図14(A)は、電気コネクタの正面図、
図14(B)は、電気コネクタの右側面図、
図14(C)は、電気コネクタの縦断面図である。
【
図15】前記実施形態による電気コネクタに備わる第1コネクタと第2コネクタが接続した状態を示す図であり、
図15(A)は、電気コネクタの正面図、
図15(B)は、電気コネクタの右側面図、
図15(C)は、電気コネクタの縦断面図である。
【
図16】ノートパソコン及びドッキングステーションの側面図であり、ノートパソコンをαの傾斜角度でドッキングステーションに接続した状態図である。
【
図18】ノートパソコン及びドッキングステーションの側面図であり、ノートパソコンをβの傾斜角度でドッキングステーションに接続した状態図である。
【
図19】従来技術による電気コネクタの縦断面図であり、ノートパソコンに備わるプラグがドッキングステーションに備わるリセプタクルに対して僅かに傾斜して接続した状態図である。
【
図20】従来技術による電気コネクタの縦断面図であり、ノートパソコンに備わるプラグがドッキングステーションに備わるリセプタクルに対して僅かに傾斜して接続した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。なお、本発明の一実施形態による電気コネクタを構成する第1コネクタをプラグとし、第2コネクタをリセプタクルとして、以下、説明する。又、第1電子機器として、タブレットPCを例示し、第2電子機器として、ドッキングステーション付きキーボードを例示して説明するが、第1電子機器及び第2電子機器は、これらの例示に限定されない。
【0043】
[電気コネクタの構成]
最初に、本発明の一実施形態による電気コネクタの構成を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、第1コネクタを備えた第1電子機器と第2コネクタを備えた第2電子機器が離間した状態図である。
【0044】
図2は、前記実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、第1コネクタと第2コネクタが離間した状態図である。
図3は、前記実施形態による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、第1コネクタと第2コネクタが離間した状態図である。
【0045】
図4は、前記実施形態による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、第1コネクタと第2コネクタが結合した状態図である。
【0046】
(全体構成)
図1を参照すると、本発明の一実施形態による電気コネクタ100は、第1コネクタとなるプラグ10と第2コネクタとなるリセプタクル20で構成している。プラグ10は、薄直方体状のタブレットPC(以下、タブレットと略称する)Tbの側面の底部に取り付けている。リセプタクル20は、ドッキングステーションDSを一端部に備えるキーボードKbの上部に取り付けている。実態として、リセプタクル20は、ドッキングステーションDSの上部に取り付けている。
【0047】
図1を参照すると、タブレットTbは、表示パネルDpを有している。ドッキングステーションDSは、長尺のチャンネル部材で構成している。このチャンネル部材には、一方の面に開口した方形の溝Diを形成している。溝Diには、タブレットTbの一側面の底部を着脱できる。
【0048】
図1を参照して、ドッキングステーションDSに設けた溝DiにタブレットPC・Tbを嵌合することで、プラグ10とリセプタクル20を電気的に接続できる。又、ドッキングステーションDSとキーボードKbは、一対のヒンジHs・Hsで回動自在に連結している。そして、タブレットTbをドッキングステーションDSに接続した状態で、タブレットPCを傾倒自在又は二つ折りに配置できる。
【0049】
図2から
図4を参照すると、プラグ10は、直方体状の第1ハウジング1と複数の板状の第1コンタクト3を備えている。リセプタクル20は、直方体状の第2ハウジング2、複数の第2コンタクト4、及び押し上げ手段6を備えている。
【0050】
図2から
図4を参照すると、第1ハウジング1は、第1凹部11とヘッダ部1hを有している。第1凹部11は、一方の面に向けて矩形に開口している(
図5又は
図7及び
図8参照)。ヘッダ部1hは、第1凹部11の中央部に突出している(
図5又は
図7及び
図8参照)。複数の第1コンタクト3は、ヘッダ部1hの側壁に並設配置されている。
【0051】
図2から
図4を参照すると、第2ハウジング2は、第2凹部21を有している。第2凹部21は、一方の面に向けて矩形に開口している(
図9から
図11及び
図12(B)又は
図13(B)参照)。そして、第2凹部21には、ヘッダ部1hを嵌合できる。又、第2ハウジング2は、その先端部を第1凹部11に嵌合できる。
【0052】
図3又は
図4を参照すると、複数の第2コンタクト4は、第2凹部21の内壁に並設配置されている。そして、第2コンタクト4は、第1コンタクト3と接触自在に片持ち支持されている。
【0053】
図1から
図4を参照して、押し上げ手段6は、タブレットTbの重量に抗して、プラグ10を押し上げる力を付勢している。
【0054】
図1を参照して、タブレットTbの底部に配置したプラグ10をドッキングステーションDSの上部に配置したリセプタクル20に挿入するときは、タブレットTbの重量が加わるので、プラグ10をリセプタクル20に挿入することが容易である。
【0055】
図1を参照して、プラグ10とリセプタクル20が接続しているときは、タブレットTbの重量に加えて、第1コンタクト3と第2コンタクト4の接触圧力が累積して加算されるので、タブレットTbを引き上げることが通常、容易でない。しかし、実施形態による電気コネクタ100は、タブレットTbの重量に抗して、プラグ10を押し上げる力を付勢する押し上げ手段6をリセプタクル20が備えているので、タブレットTbを容易に引き上げることができる。
【0056】
(第1コネクタの構成)
次に、実施形態による第1コネクタとなるプラグ10の構成を説明する。
図5は、前記実施形態による電気コネクタに備わる第1コネクタの構成を示す斜視図であり、第1コネクタを開口側から観た状態図である。
【0057】
図6は、前記実施形態による電気コネクタに備わる第1コネクタの構成を示す斜視図であり、第1コネクタを開口と反対側から観た状態図である。
図7は、前記実施形態による電気コネクタに備わる第1コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
【0058】
図8は、前記実施形態による電気コネクタに備わる第1コネクタの第1ハウジングの構成を示す図であり、
図8(A)は、第1ハウジングの正面図、
図8(B)は、第1ハウジングの平面図、
図8(C)は、第1ハウジングの下面図、
図8(D)は、第1ハウジングの右側面図、
図8(E)は、第1ハウジングの背面図、
図8(F)は、第1ハウジングの斜視図である。
【0059】
図5から
図7を参照すると、プラグ10は、防水リング5を更に備えている。防水リング5は、四角枠を有する環状であってよく、ラバーなどの気密性を有する弾性材料で形成されることが好ましい。波形に形成される複数の襞を防水リング5の外周に設けることにより、防水性を向上できる。
【0060】
図7又は
図8を参照すると、第1ハウジング1は、その外壁から窪んだ溝部1dを形成している。そして、防水リング5を溝部1dに密着自在に取り付けることができる(
図5又は
図6参照)。プラグ10は、防水リング5を備えているので、タブレットTbをドッキングステーションDSから切り離して(
図1参照)、単独で使用するときに、防水性を向上できる。
【0061】
図2から
図7を参照すると、プラグ10は、第1プリント基板1pと一対の第1補強タブ1t・1tを備えている。第1プリント基板1pは、その端部に第1コンタクト3の基端部をハンダ接合できる(
図2から
図3参照)。
【0062】
図2から
図7を参照すると、第1ハウジング1は、一対のアーム1a・1aを第1凹部11の開口と反対側に突出している。これらのアーム1a・1aの外壁には、第1補強タブ1tを圧入自在な係止溝11dを設けている(
図7又は
図8参照)。
【0063】
図5又
図6を参照して、第1補強タブ1tを係止溝11dに圧入して固定した状態では、第1補強タブ1tの先端部は、アーム1aの底面から僅かに突出している。一対のアーム1a・1aを第1プリント基板1pの端部に載置し(
図2から
図3参照)、第1補強タブ1tの先端部を第1プリント基板1pに設けたスルーホールに挿入して、第1補強タブ1tの先端部をスルーホールにハンダ接合することで、プラグ10を第1プリント基板1pに固定できる。つまり、プラグ10は、プリント基板用コネクタである。
【0064】
図2又は
図3及び
図5を参照すると、第1コンタクト3は、その一片31の先端部を略直角に屈曲した後に、他片32をヘッダ部1hの側壁に向かって延出している。
図3又は
図5を参照すると、ヘッダ部91hは、その側壁に櫛の歯状の収容溝を形成している。そして、複数の第1コンタクト3の他片32をこれらの収容溝に配列している。なお、第1コンタクト3の他片32は、直接手が触れないように第1凹部11の隔壁で包囲されている。
【0065】
図2から
図8を参照して、第1ハウジング1は、絶縁性を有する合成樹脂からなることが好ましく、合成樹脂を成形して所望の形状を得ることができる。第1コンタクト3は、展開板(図示せず)が成形された導電性を有する金属板からなり、展開板を打ち抜き加工又は折り曲げ加工して、導電性を有する板状のコンタクトを得ることができる。第1コンタクト3は、加工の容易性や、ばね特性、導電性などを考慮すれば、銅合金が好ましく用いられるが、銅合金に限定される訳ではない。
【0066】
(第2コネクタの構成)
次に、実施形態による第2コネクタとなるリセプタクル20の構成を説明する。
図9は、前記実施形態による電気コネクタに備わる第2コネクタの構成を示す斜視図であり、第2コネクタを一方の側面側から観た状態図である。
【0067】
図10は、前記実施形態による電気コネクタに備わる第2コネクタの構成を示す斜視図であり、第2コネクタを他方の側面側から観た状態図である。
図11は、前記実施形態による電気コネクタに備わる第2コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
【0068】
図12は、前記実施形態による電気コネクタに備わる第2コネクタの構成を示す図であり、
図12(A)は、第2コネクタの正面図、
図12(B)は、第2コネクタの平面図、
図12(C)は、第2コネクタの下面図、
図12(D)は、第2コネクタの右側面図、
図12(E)は、第2コネクタの背面図である。
【0069】
図13は、前記実施形態による電気コネクタに備わる第2コネクタの第2ハウジングの構成を示す図であり、
図13(A)は、第2ハウジングの正面図、
図13(B)は、第2ハウジングの平面図、
図13(C)は、第2ハウジングの下面図、
図13(D)は、第2ハウジングの右側面図、
図13(E)は、第2ハウジングの背面図である。
【0070】
図9から
図12を参照すると、押し上げ手段6は、略長方形の押し上げ板61、一対の案内棒62・62、及び一対の圧縮コイルばね63・63を含んでいる。押し上げ板61は、矩形の切り欠き610と一対の係合穴61h・61hを有している(
図11参照)。切り欠き610は、第2ハウジング2の外壁に余裕をもって嵌合できる。一対の係合穴61h・61hには、案内棒62が挿入される。一対の案内棒62・62に案内されて、押し上げ板61を移動自在に第2ハウジング2に保持できる。
【0071】
図3又は
図11を参照すると、一対の案内棒62・62は、第2ハウジング2の底面から圧入している。そして、一対の案内棒62・62は、押し上げ板61と係合自在に第2ハウジング2の両端部に配置されている。
【0072】
図3又は
図4及び
図9又
図10を参照すると、一対の案内棒62・62は、略平行に配置されている。一対の案内棒62・62は、ヘッダ部1hの挿抜方向と略平行に、押し上げ板61を移動自在に案内している。
【0073】
図3又は
図4及び
図9又
図10を参照すると、圧縮コイルばね63は、案内棒62を外装している。圧縮コイルばね63の一部は、第2ハウジング2の両端部に設けた保持穴2hに埋設されている(
図11又は
図12(C)参照)。
【0074】
図3又は
図4参照を参照すると、圧縮コイルばね63の一端縁は、案内棒62の基端部に形成した鍔部に当接している。又、圧縮コイルばね63の他端縁は、押し上げ板61に当接している。そして、一対の圧縮コイルばね63・63は、第2ハウジング2の前面に向かって、押し上げ板61を押し上げる力を付勢している。
【0075】
図9から
図13を参照すると、第2ハウジング2は、その長手方向に沿って相反する向きに向かう、一対の第1鍔片2a・2aを下部に備えている。又、第2ハウジング2は、その長手方向に沿って相反する向きに向かう、一対の第2鍔片2b・2bを上部に備えている。
【0076】
図4を参照して、押し上げ板61を第2ハウジング2の底面に向って降下させた状態では、押し上げ板61の両端部が一対の第1鍔片2a・2aに当接して、第2ハウジング2に対する押し上げ板61の降下位置が規定される。
【0077】
一方、
図3又は
図4及び
図9又
図10を参照して、押し上げ板61を解放した状態では、一対の圧縮コイルばね63・63に付勢されて、押し上げ板61を第2ハウジング2の上面に向って上昇できる。そして、押し上げ板61の両端部が一対の第2鍔片2b・2bに当接して、第2ハウジング2に対する押し上げ板61の上昇位置が規定される。
【0078】
図4に示した状態から、押し上げ板61が上昇すると、押し上げ板61の当接面を第1ハウジング1の前面に当接して、プラグ10を押し上げ、プラグ10をリセプタクル20から容易に引き離すことができる(
図1から
図3参照)。
【0079】
図2から
図4及び
図9又は
図10を参照すると、リセプタクル20は、第2プリント基板2pと一対の第2補強タブ2t・2tを備えている。第2プリント基板2pは、その面方向から第2コンタクト4の基端部をハンダ接合できる。
【0080】
図11又は
図13を参照すると、一対の第1鍔片2a・2aの外壁には、第2補強タブ2tを圧入自在な係止溝21dを設けている(
図9又は
図10参照)。
【0081】
図2から
図4及び
図9又は
図10を参照すると、第2補強タブ2tを係止溝21dに圧入して固定した状態では、第2補強タブ2tの先端部は、第1鍔片2aの底面から突出している。第2ハウジング2を第2プリント基板2pに載置し、第2補強タブ2tの先端部を第2プリント基板2pに設けたスルーホールに挿入して、第2補強タブ2tの先端部をスルーホールにハンダ接合することで、リセプタクル20を第2プリント基板2pに固定できる。つまり、リセプタクル20は、プリント基板用コネクタである。
【0082】
図2又は
図3及び
図9を参照すると、第2コンタクト4は、その一片41の先端部を略直角に屈曲した後に、他片42を第2凹部21の内部に向かって延出している。
図13を参照すると、第2ハウジング2は、底面側に開口した櫛の歯状の収容溝211を形成している。これらの収容溝211は、第2凹部21の一方の内壁に沿って連通している(
図14(C)参照)。そして、これらの収容溝211には、複数の第2コンタクト4の他片42を揺動自在に配列している。なお、第2コンタクト4の他片42は、直接手が触れないように第2凹部21の隔壁で包囲されている。
【0083】
図9から
図13を参照して、第2ハウジング2は、絶縁性を有する合成樹脂からなることが好ましく、合成樹脂を成形して所望の形状を得ることができる。第2コンタクト4は、展開板(図示せず)が成形された導電性を有する金属板からなり、展開板を打ち抜き加工又は折り曲げ加工して、導電性を有する片持ち状のコンタクトを得ることができる。第2コンタクト4は、加工の容易性や、ばね特性、導電性などを考慮すれば、銅合金が好ましく用いられるが、銅合金に限定される訳ではない。
【0084】
[電気コネクタの作用]
次に、実施形態による電気コネクタ100の作用及び効果を説明する。
図14は、記実施形態による電気コネクタに備わる第1コネクタと第2コネクタが接続する前の状態を示す図であり、
図14(A)は、電気コネクタの正面図、
図14(B)は、電気コネクタの右側面図、
図14(C)は、電気コネクタの縦断面図である。
【0085】
図15は、前記実施形態による電気コネクタに備わる第1コネクタと第2コネクタが接続した状態を示す図であり、
図15(A)は、電気コネクタの正面図、
図15(B)は、電気コネクタの右側面図、
図15(C)は、電気コネクタの縦断面図である。
【0086】
図1又は
図14及び
図15を参照すると、第2プリント基板2pの平面に対して、第1プリント基板1pの平面が略直交した状態で、プラグ10をリセプタクル20に挿抜できる。つまり、実施形態による電気コネクタ100は、垂直取付形のコネクタである。
【0087】
図14に示した状態から、プラグ10をリセプタクル20に接続するときは、タブレットTbの重量が加わるので(
図1参照)、プラグ10をリセプタクル20に挿入することが容易である。
【0088】
一方、
図15に示した状態では、タブレットTbの重量に加えて、第1コンタクト3と第2コンタクト4の接触圧力が累積して加算されるので、プラグ10をリセプタクル20から引き上げることが容易でない。しかし、実施形態による電気コネクタ100は、タブレットTbの重量に抗して、プラグ10を押し上げる力を付勢する押し上げ手段6をリセプタクル20が備えているので、プラグ10をリセプタクル20から容易に引き上げることができる。
【0089】
図1又は
図2を参照して、タブレットTbの重量を加味して、一対の圧縮コイルばね63・63の付勢力を構成することが好ましく、タブレットTbがドッキングステーションDSから不用意に離脱しないように、タブレットTbを保持するロック機構(図示せず)をドッキングステーションDSに設けることが好ましい。
【0090】
図14(C)を参照すると、第2コンタクト4は、第2プリント基板2pに片持ち状に支持されている。
図15(C)を参照すると、第2コンタクト4は、その接点を第1コンタクト3の他片32に接触している。
【0091】
図15(C)を参照すると、第2コンタクト4は、第1コンタクト3の接触点まで距離が短く、かつ、直線的に第1コンタクト3に接続しているので、従来の伝送距離が長く蛇行したスネークスプリング91sと比べて(
図19又は
図20参照)、高速の信号を正確に送受するのに適している。
【0092】
本発明による電気コネクタは、第1電子機器の底部に設けた第1コネクタと、第2電子機器の上部に設けた第2コネクタが着脱自在な電気コネクタであって、第2コネクタは、第1コネクタを押し上げる押し上げ手段を備えているので、コンタクトの本数が多い多極のコネクタであっても、第1コネクタの引き抜き力を低減できる。
【0093】
又、タブレットPCとドッキングステーション付きキーボードを着脱自在に接続する、いわゆる、ドッキングコネクタでは、ドッキングステーションからタブレットPCを取り外す際のコネクタ同士の噛み付きを低減でき、タブレットPCをスムーズに取り外すことができる。