(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-196329(P2016-196329A)
(43)【公開日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】電子レンジ用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20161028BHJP
B65D 1/26 20060101ALI20161028BHJP
B65D 1/28 20060101ALI20161028BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D1/26
B65D1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-114225(P2015-114225)
(22)【出願日】2015年6月4日
(31)【優先権主張番号】特願2015-77861(P2015-77861)
(32)【優先日】2015年4月6日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】丸山 久美雄
【テーマコード(参考)】
3E013
3E033
【Fターム(参考)】
3E013BA30
3E013BB06
3E013BB09
3E013BC04
3E013BC14
3E013BE01
3E013BF06
3E013BF26
3E013BF34
3E013BF36
3E033AA10
3E033BA15
3E033BA16
3E033BB01
3E033BB08
3E033CA19
3E033DE05
3E033EA07
(57)【要約】
【課題】内容物の漏れをより防止した構造において、蒸気を所定の蒸気排出部に誘導して、外部へ排出できる電子レンジ用容器を提供する。
【解決手段】電子レンジ用容器10は、上部に開口21を有する容器本体20と、容器本体20の開口21から外側に延出するように形成されたフランジ部22と、フランジ部22の上面の全周のうち蒸気を排出する蒸気排出部25を除いて設けられ、開口21を塞ぐフィルム状の蓋材50に熱溶着される第1の熱溶着部23Aと、第1の熱溶着部23Aの内周側に凹部26を形成するように設けられ、蓋材50に熱溶着される第2の熱溶着部23Bと、を備え、凹部26は、第2の熱溶着部23Bがいずれかの場所で剥離したとき、剥離した箇所からの蒸気を蒸気排出部25へ誘導する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジ用容器であって、
上部に開口を有する容器本体と、
前記容器本体の前記開口から外側に延出するように形成されたフランジ部と、
前記フランジ部の上面の全周のうち蒸気を排出するために切り欠かれた蒸気排出部を除いて設けられ、前記開口を塞ぐフィルム状の蓋材に熱溶着される第1の熱溶着部と、
前記第1の熱溶着部の内周側に凹部を形成するように設けられ、前記蓋材に熱溶着される第2の熱溶着部と、を備え、
前記凹部が、前記第2の熱溶着部がいずれかの場所で剥離したとき、剥離した箇所からの蒸気を前記蒸気排出部へ誘導することを特徴とする電子レンジ用容器。
【請求項2】
前記第1の熱溶着部及び前記第2の熱溶着部がリブ状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ用容器。
【請求項3】
前記第2の熱溶着部が、前記蓋材との溶着強度が前記第2の熱溶着部の他の部分と前記蓋材との溶着強度よりも低い易剥離部を有することを特徴とする請求項2に記載の電子レンジ用容器。
【請求項4】
前記易剥離部が、前記蒸気排出部に対応する位置に設けられることを特徴とする請求項3に記載の電子レンジ用容器。
【請求項5】
前記易剥離部が、平面視において、外側に向かって閉塞するV字状に形成されることを特徴とする請求項3又は4に記載の電子レンジ用容器。
【請求項6】
前記易剥離部が、平面視において、外側に向かって閉塞するW字状に形成されることを特徴とする請求項3又は4に記載の電子レンジ用容器。
【請求項7】
前記易剥離部が、断面視において、外側に向かって下方へ傾斜することを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の電子レンジ用容器。
【請求項8】
前記第1の熱溶着部及び前記第2の熱溶着部が帯状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ用容器。
【請求項9】
前記第2の熱溶着部が、前記蓋材との溶着強度が前記第2の熱溶着部の他の部分と前記蓋材との溶着強度よりも低い易剥離部を有することを特徴とする請求項8に記載の電子レンジ用容器。
【請求項10】
前記易剥離部が、前記蒸気排出部に対応する位置に設けられることを特徴とする請求項9に記載の電子レンジ用容器。
【請求項11】
前記易剥離部が、平面視において、外側に向かって閉塞するV字状に形成されることを特徴とする請求項9又は10に記載の電子レンジ用容器。
【請求項12】
前記易剥離部が、平面視において、外側に向かって閉塞するW字状に形成されることを特徴とする請求項9又は10に記載の電子レンジ用容器。
【請求項13】
前記第2の熱溶着部が、断面視において、前記蒸気排出部に対応する位置に前記容器本体の底に向かって傾斜する凹部を有することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の電子レンジ用容器。
【請求項14】
さらに、前記フランジ部の前記蒸気排出部の外側に対向する位置に、減圧時に前記容器本体の内部に付着しないように前記蓋材を係止する突起部を備えることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の電子レンジ用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子レンジ用容器に関し、各種の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、内容物を収納する容器本体と、容器本体の開口を塞ぐ可塑性材料の蓋体とを備える包装容器が開示される。容器本体は、そのフランジ部の上面において周方向に部分的に突出した第1の凸状部と、第1の凸状部の外側の第2の凸状部と、第1の凸状部と第2の凸状部の間に設けられ、フランジ部を上下に貫通する一又は二以上の貫通孔とを有する。
【0004】
この包装容器では、電子レンジにより加熱されると、包装容器の内圧の上昇により蓋体が外側に膨出して第1の凸状部において蓋体が剥離し、貫通孔を介して内圧が逃げる。したがって、包装容器においては、食品等の内容物を電子レンジで加熱調理する際、加熱調理前に蒸気を逃がすための孔を開けたり蓋体の一部を剥離させたりしておく必要がない。
【0005】
しかしながら、特許文献1の包装容器は、蓋体を溶着する2つの凸状部(第1の凸状部と第2の凸状部)の間の蒸気の通り道に、貫通孔を開けた構造であるため、食品の具材などの内容物が貫通孔から漏れるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−120247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内容物の漏れをより防止できる構造において、蒸気を所定の蒸気排出部に誘導して外部へ排出できる電子レンジ用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明は、電子レンジ用容器であって、上部に開口を有する容器本体と、前記容器本体の前記開口から外側に延出するように形成されたフランジ部と、前記フランジ部の上面の全周のうち蒸気を排出するために切り欠かれた蒸気排出部を除いて設けられ、前記開口を塞ぐフィルム状の蓋材に熱溶着される第1の熱溶着部と、前記第1の熱溶着部の内周側に凹部を形成するように設けられ、前記蓋材に熱溶着される第2の熱溶着部と、を備え、前記凹部が、前記第2の熱溶着部がいずれかの場所で剥離したとき、剥離した箇所からの蒸気を前記蒸気排出部へ誘導することを特徴とする。
【0009】
(2)本発明は、上記(1)の構成において、前記第1の熱溶着部及び前記第2の熱溶着部がリブ状に形成されることを特徴とする。
【0010】
(3)本発明は、上記(2)の構成において、前記第2の熱溶着部が、前記蓋材との溶着強度が前記第2の熱溶着部の他の部分と前記蓋材との溶着強度よりも低い易剥離部を有することを特徴とする。
【0011】
(4)本発明は、上記(3)の構成において、前記易剥離部が、前記蒸気排出部に対応する位置に設けられることを特徴とする。
【0012】
(5)本発明は、上記(3)又は(4)の構成において、前記易剥離部が、平面視において、外側に向かって閉塞するV字状に形成されることを特徴とする。
【0013】
(6)本発明は、上記(3)又は(4)の構成において、前記易剥離部が、平面視において、外側に向かって閉塞するW字状に形成されることを特徴とする。
【0014】
(7)本発明は、上記(3)から(6)のいずれか1つの構成において、前記易剥離部が、断面視において、外側に向かって下方へ傾斜することを特徴とする。
【0015】
(8)本発明は、上記(1)の構成において、前記第1の熱溶着部及び前記第2の熱溶着部が帯状に形成されることを特徴とする。
【0016】
(9)本発明は、上記(8)の構成において、前記第2の熱溶着部が、前記蓋材との溶着強度が前記第2の熱溶着部の他の部分と前記蓋材との溶着強度よりも低い易剥離部を有することを特徴とする。
【0017】
(10)本発明は、上記(9)の構成において、前記易剥離部が、前記蒸気排出部に対応する位置に設けられることを特徴とする。
【0018】
(11)本発明は、上記(9)又は(10)の構成において、前記易剥離部が、平面視において、外側に向かって閉塞するV字状に形成されることを特徴とする。
【0019】
(12)本発明は、上記(9)又は(10)の構成において、前記易剥離部が、平面視において、外側に向かって閉塞するW字状に形成されることを特徴とする。
【0020】
(13)本発明は、上記(1)から(12)のいずれか1つの構成において、前記第2の熱溶着部が、断面視において、前記蒸気排出部に対応する位置に前記容器本体の底に向かって傾斜する凹部を有することを特徴とする。
【0021】
(14)本発明は、上記(1)から(13)のいずれか1つの構成において、さらに、前記フランジ部の前記蒸気排出部の外側に対向する位置に、減圧時に前記容器本体の内部に付着しないように前記蓋材を係止する突起部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、内容物の漏れをより防止できる構造において、蒸気を所定の蒸気排出部に誘導して外部へ排出できる電子レンジ用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電子レンジ用容器の分解斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る容器本体の平面図である。
【
図6】第1実施形態に係る電子レンジ用容器の作用図であり蒸気が排出される様子を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る電子レンジ用容器の作用図であり蓋材を剥離する様子を示す図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る容器本体の平面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る容器本体の平面図である。
【
図11】本発明の第4実施形態に係る容器本体の平面図である。
【
図13】(a)は本発明の第4実施形態に係る第1の熱溶着部及び第2の熱溶着部を形成するためのシールヘッドの底面図、(b)は(a)のF部拡大図、(c)は(b)のG−G線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0025】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る電子レンジ用容器の全体構成を
図1に基づいて説明する。
図1に示すように、電子レンジ用容器10は、開口21を有するとともに開口21から内容物11が充填される容器本体20と、開口21を塞ぐフィルム状の蓋材50と、を主要素とする。容器本体20と蓋材50は、いずれも樹脂材料によって形成される。容器本体20に収容される内容物11は、各種の食品などであり、電子レンジを用いて加熱されるものであれば、種類は任意である。
【0026】
また、電子レンジ用容器10は、フランジ部22と、このフランジ部22の上面に形成され、蓋材50に熱溶着される第1の熱溶着部23A及び第2の熱溶着部23Bと、を備える。さらに、電子レンジ用容器10は、蓋材50を係止する突起部24をフランジ部22に備える。
【0027】
次に、電子レンジ用容器10の各部の構成を
図1から
図5に基づいて説明する。
図2に示すように、容器本体20は、底20aをもつ収容部20bを有する。収容部20b、底20a及び開口21は、平面視で四隅に丸みを有するほぼ四角形(この例では、ほぼ正方形)を呈する。
【0028】
フランジ部22は、開口21から外側に延出するように形成される。また、フランジ部22は、第1の熱溶着部23A及び第2の熱溶着部23Bが設けられる内側の部分(以下、「内側部分22a」と称する)よりも外側の部分であって収容部20bの四隅のそれぞれに対応した位置に、角部22bを有する。各角部22bは、段差22cを介して内側部分22aに連なり、内側部分22aよりも一段低い位置に形成される。
【0029】
なお、容器本体20の成形の際の反りを予め見越し、フランジ部22の延出端に向かって、内側部分22aを水平面Hに対し、角度θ1で下方に傾斜させてもよい(
図4参照)。このようなフランジ部22の傾斜は、フランジ部22の全周においてほぼ同様に形成することができる。
【0030】
図1に戻る。
図1に示すように、蓋材50は、フランジ部22の外周とほぼ同じ大きさの外周を有する。蓋材50は、内容物11を収容部20bに充填した後に、第1の熱溶着部23A及び第2の熱溶着部23Bに熱溶着(シール)されることによって、開口21を閉塞し収容部20bを密閉する。
【0031】
図2に示すように、第1の熱溶着部23Aは、フランジ部22の内側部分22aの上面の全周のうち、蒸気を排出するために切り欠かれた蒸気排出部25を除いて、リブ状に形成され、蓋材50に熱溶着される。この例では、蒸気排出部25は、フランジ部22の一つの角部22bの内側近傍に設けられる。
【0032】
第2の熱溶着部23Bは、第1の熱溶着部23Aの内周側に凹部26を形成するようにリブ状に形成され、蓋材50に熱溶着される。第2の熱溶着部23Bは、フランジ部22の内側部分22aの上面の全周にわたって形成されている。第2の熱溶着部23Bは、フランジ部22の内側部分22aの上面において容器本体20の開口21を囲むように、ほぼ四角形(この例では、ほぼ正方形)に形成されている。そして、この第2の熱溶着部23Bは、蒸気排出部25に対応する位置に外側へ向かうV字部27(易剥離部)を有する(
図3参照)。
【0033】
図4に示すように、第2の熱溶着部23Bは、この例では、その上面23B1が第1の熱溶着部23Aの上面23A1よりも寸法hだけ低い位置に形成される。これにより、シールバー(図示省略)で蓋材50を第1の熱溶着部23A及び第2の熱溶着部23Bに対して上方から押圧したとき、第2の熱溶着部23Bに対するシールバーの押圧力が第1の熱溶着部23Aに対するシールバーの押圧力よりも小さくなるため、第2の熱溶着部23Bにおける蓋材50との溶着強度が、第1の熱溶着部23Aにおける蓋材50との溶着強度よりも低くなる。これにより、電子レンジ用容器10を電子レンジで加熱し、収容部20b内の蒸気圧が上昇し所定の圧力に達したとき、蓋材50は、第1の熱溶着部23Aのシール面(上面23A1)よりも先に、第2の熱溶着部23Bのシール面(上面23B1)のいずれかの場所において剥離する。すなわち、第1の熱溶着部23A及び第2の熱溶着部23Bにおいては、収容部20b内の蒸気圧が所定の圧力に達したとき、第1の熱溶着部23Aと蓋材50のシール性は維持する一方、第2の熱溶着部23Bと蓋材50のシール性は喪失させる。
【0034】
なお、第2の熱溶着部23Bの幅を第1の熱溶着部23Aの幅よりも小さくすることによっても、第2の熱溶着部23Bにおける溶着強度を、第1の熱溶着部23Aにおける溶着強度よりも低くすることが可能である。
【0035】
凹部26は、第1の熱溶着部23A及び第2の熱溶着部23Bの間に溝状に形成されており、収容部20b内の蒸気圧が所定の圧力に達し、第2の熱溶着部23Bがいずれかの場所で蓋材50と剥離したとき、その剥離した箇所からの蒸気を蒸気排出部25へ誘導する機能を有する。
【0036】
V字部27は、平面視において、フランジ部22の1つの角部22bに向かって(外側に向かって)閉塞するようにV字状に形成される(
図2参照)。これにより、使用者は、蓋材50の端部(この例では、
図1に示される蓋材50の角部50a)を摘み、引き上げるようにして蓋材50をV字部27から剥離する際、力がV字部27の先端27a側に集中するため、小さな力でも蓋材50を容易に剥離することができる。
【0037】
なお、蒸気圧の上昇による剥離あるいは使用者による剥離において、蓋材50が容易に剥離されることを考慮すると、容器本体20の少なくとも第2の熱溶着部23Bと、蓋材50の少なくとも裏面とは、剥離に必要な力が小さくて済むような材質の組み合わせであることが望ましい。剥離し易い材質の組み合わせとしては、例えば、容器本体20の少なくとも第2の熱溶着部23Bには、ポリエチレン(PE)にポリプロピレン(PP)を混ぜ合わせた材料を用い、蓋材50の少なくとも裏面には、ポリエチレン(PE)を用いるなど、溶着可能ではあるが互いに異なる材質の組み合わせを用いることができる。
【0038】
図5に示すように、V字部27は、断面視において、フランジ部22の1つの角部22bに向かって(外側に向かって)下方へ角度θ2で傾斜する。この傾斜により、V字部27における溶着強度を、第2の熱溶着部23Bの他の部分よりもさらに小さく設定することができる。
【0039】
また、V字部27は、断面視において、その内側に収容部20bの底20aに向かって角度θ3で傾斜する凹部27bを有する。このような凹部27bを形成することにより、蒸気が蒸気排出部25から抜けて収容部20bが減圧されても、凹部27bによって容器本体20の内部(収容部20b)と外部との連通が確実に確保されるため、収容部20bが真空状態になることを防ぐことができる。この凹部27bの作用により、蓋材50が収容部20bの減圧時に内容物11に付着することを防止することができる。
【0040】
図3に戻る。
図3に示すように、突起部24は、角部22b上であって蒸気排出部25の外側に対向する位置に設けられる。突起部24は、蒸気排出部25の近傍に配置され、上方に向かって先細る円錐状の基部24aと、この基部24aの上部に形成される球面部24bとを有する。球面部24bには、蓋材50の角部50a(
図1参照)が熱溶着される。突起部24は、収容部20bの減圧時に蓋材50の角部50aを係止する作用をなす。このように、前述した凹部27bとともに突起部24を蒸気排出部25の近傍に設けることにより、凹部27bの作用と相俟って、蓋材50が収容部20bの減圧時に内容物11に付着することを、より一層防止することができる。なお、突起部24の構成は、この例に格別に限定されるものではく、収容部20bの減圧時に蓋材50の角部50aを係止可能な構成であれば任意である。
【0041】
続いて、電子レンジ用容器10の作用を
図6及び
図7に基づいて説明する。
図6に示すように、電子レンジ用容器10を電子レンジで加熱すると、収容部20b内に生じる蒸気圧の上昇により、蓋材50が膨らむ。蓋材50が膨らむと、第2の熱溶着部23Bのシール面に力が集中し、蒸気圧が所定の圧力に達したときに、第2の熱溶着部23Bのシール面のいずれかの場所で蓋材50が剥離する。
【0042】
図6において矢印(1)で示すように、剥離した箇所からの蒸気は、凹部26によって蒸気排出部25へ誘導され、蒸気排出部25から外部に排出される。この例では、第1の熱溶着部23Aよりも溶着強度が低い第2の熱溶着部23Bのうち、傾斜によって溶着強度がさらに低く設定されているV字部27において、剥離が生じ易くなっており、この場合、
図6において矢印(2)で示すように、より蒸気排出部25に近い部分(V字部27)から蒸気が良好に抜ける。
【0043】
そして、使用者は、
図7において矢印(3)で示すように、蒸気排出部25に対応する蓋材50の角部50aを摘まんで持ち上げ、引き上げるようにして蓋材50を突起部24及びV字部27から剥離する。この際、V字部27が外側に向かって閉塞するように形成されているので、使用者は、より小さな力で蓋材50の剥離を開始でき、蓋材50を容器本体20から容易に取り除くことができる。
【0044】
以上、説明した第1実施形態の効果について述べる。第1実施形態によれば、第1の熱溶着部23A及び第2の熱溶着部23Bの間の凹部26を通ってきた蒸気を所定の蒸気排出部25に誘導して、外部へ排出することができる。このため、蓋体を溶着する2つの凸状部の間の蒸気の通り道に貫通孔を開けた従来の構造に比べ、内容物11が漏れにくい構造が得られ、このような構造において、蒸気を蒸気排出部25から良好に排出することができる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る容器本体を
図8に基づいて説明する。前述した容器本体20の収容部20b(
図2参照)は平面形状がほぼ正方形であったが、収容部20bの平面形状は、ほぼ正方形の他、円形、長円形など各種の形状から選択可能である。
【0046】
図8に示すように、例えば、第2実施形態に係る容器本体60では、収容部20bの平面形状が円形であり、円形の開口21から外側に延出するようにフランジ部22が形成される。フランジ部22は、内側部分22aの外側に段差22cを介して四つの角部22bを有する。フランジ部22の内側部分22aには、凹部26を挟んで第1の熱溶着部23A及び第2の熱溶着部23Bが形成される。そして、フランジ部22の一つの角部22bに対応した位置には、蒸気排出部25及びV字部27が設けられ、さらに、この角部22bの、蒸気排出部25の外側に対向する位置には、突起部24が設けられる。
【0047】
このように平面形状が円形の収容部20bを有する容器本体60においても、前述した容器本体20(
図2参照)と同様に、第1の熱溶着部23A及び第2の熱溶着部23Bの間の凹部26を通ってきた蒸気を所定の蒸気排出部25に誘導して、外部へ排出することができ、内容物11が漏れにくい構造において、蒸気を蒸気排出部25から良好に排出することができる。
【0048】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態に係る容器本体を
図9、
図10に基づいて説明する。第3実施形態は、第1又は第2実施形態のV字部27をW字部71(易剥離部)としたものであり、収容部20bの平面形状は、角丸のほぼ長円形の形状としている。
図9及び
図10に示すように、容器本体70は、平面形状がほぼ長方形の収容部20b及び開口21を有する。開口21から延出されるフランジ部22には、リブ状の第1の熱溶着部23A及びリブ状の第2の熱溶着部23Bが設けられる。そして、第2の熱溶着部23Bは、平面視において、蒸気排出部25に対応する位置に外側に向かって閉塞するようにW字状に形成されるW字部71を有する。W字部71は、外側に向く2つの先端71aと、内側に向く1つの基端71bとをもつ。
【0049】
使用者は、蓋材50を摘み、引き上げるようにして蓋材50をW字部71から剥離する際、力をW字部71の2つの先端71aのいずれか少なくとも一方側に集中させることにより、小さな力でも蓋材50を容易に剥離することができる。また、蒸気圧の上昇により蓋材50が自動開封する際、W字部71の基端71bに応力が集中するため、W字部71において、より剥離が生じ易くなる。また、このW字部71においても、断面視において、フランジ部22の1つの角部22bに向かって(外側に向かって)下方へ角度θ2(
図10参照)で傾斜する。この傾斜により、前述したV字部27と同様に、W字部71における溶着強度を、第2の熱溶着部23Bの他の部分よりもさらに小さく設定することができる。
【0050】
また、内側の第2の熱溶着部23Bの幅を第1の熱溶着部23Aの幅よりも小さく(より細く)設定することにより、第2の熱溶着部23Bの溶着強度を、第1の熱溶着部23Aの溶着強度よりも一層低く設定することができる。加えて、このように溶着強度の低い第2の熱溶着部23Bにおいて、W字部71は、第2の熱溶着部23Bの他の部分よりも、さらに幅狭に(さらに細く)形成されており、第1の熱溶着部23A及び第2の熱溶着部23Bの中で、最も溶着強度が低くなっている。
【0051】
この第3実施形態においても、第2の熱溶着部23Bの特にW字部71にて蓋材50を剥離させ、第1の熱溶着部23A及び第2の熱溶着部23Bの間の凹部26を通ってきた蒸気を所定の蒸気排出部25に誘導して、外部へ排出することができ、内容物11が漏れにくい構造において、蒸気を蒸気排出部25から良好に排出することができる。
【0052】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る容器本体を
図11、
図12に基づいて説明する。第4実施形態は、第3実施形態において、第1の熱溶着部81A及び第2の熱溶着部81Bを帯状としたものである。
図11及び
図12に示すように、容器本体80は、平面形状がほぼ長方形の収容部20b及び開口21を有する。開口21から延出されるフランジ部22には、帯状の第1の熱溶着部81Aと帯状の第2の熱溶着部81B(いずれの溶着部も
図11においてドット模様で示される平坦な部分)が形成される。すなわち、第1の熱溶着部81A及び第2の熱溶着部81Bは、リブ状ではなく、第1の熱溶着部81A及び第2の熱溶着部81Bの間に蒸気が通り抜けできる空間(非熱溶着部82)ができる範囲で平坦な形状に形成されている。また、第2の熱溶着部81Bは、平面視において、蒸気排出部25に対応する位置に外側に向かって閉塞し、かつ、平坦な形状のW字部71を有する。
【0053】
より具体的には、これら第1の熱溶着部81A及び第2の熱溶着部81Bは、熱溶着用のシールヘッド90(
図12、
図13(a)〜(c)参照)を用いて形成することができる。すなわち、シールヘッド90は、第1の熱溶着部81Aに対応した第1の凸部91A及び第2の熱溶着部81Bに対応した第2の凸部91B(いずれの凸部も
図13(a)及び(b)において斜線で示される部分)を有し、これら第1の凸部91A及び第2の凸部91Bのそれぞれの平坦な下面を、蓋材50を介してフランジ部22の平坦な上面に押し当てることにより、蓋材50と溶着した第1の熱溶着部81A及び第2の熱溶着部81Bがフランジ部22の上面に形成される。なお、
図11では、蓋材50がフランジ部22に熱溶着された後の容器本体80を示しており、第1の熱溶着部81A及び第2の熱溶着部81Bを分かり易く実線で示すため、蓋材50を想像線(二点鎖線)で示している。
【0054】
また、
図12に示すように、シールヘッド90において、内側の第2の凸部91Bの下端を第1の凸部91Aの下端よりも高い位置に設定したり、第2の熱溶着部81Bに対応するフランジ部22の上面81B1を、第1の熱溶着部81Aに対応する上面81A1よりも低い位置に形成したりすることで、第1の熱溶着部81Aの溶着強度よりも第2の熱溶着部81Bの溶着強度を低く設定することができる。また、シールヘッド90において、第2の凸部91Bの幅を第1の凸部91Aの幅よりも小さく(細く)設定することにより、第2の熱溶着部81Bの溶着強度を第1の熱溶着部81Aの溶着強度よりも、一層低く設定することができる。加えて、
図13(b)に示すように、シールヘッド90の第2の凸部91Bにおいて、W字部71に対応する部分91B1の幅W1を、W字部71に対応する部分91B1を除く他の部分91B2の幅W2よりも幅狭に(細く)設定することにより、溶着強度の低い第2の熱溶着部81Bにおいて、W字部71は、第2の熱溶着部81Bの他の部分よりも、さらに幅狭に(さらに細く)形成されるため、第1の熱溶着部81A及び第2の熱溶着部81Bの中で、最も溶着強度が低くなっている。さらに、シールヘッド90の第2の凸部91Bにおいて、
図13(c)に示すように、W字部71に対応する部分91B1の下端位置を他の部分91B2の下端位置よりも高く設定することにより、第2の熱溶着部81Bにおいて、W字部71の溶着強度をより一層低くすることができる。
【0055】
この第4実施形態においても、第2の熱溶着部81Bの特にW字部71にて蓋材50を剥離させ、前述した第1実施形態に係る凹部26(
図2参照)に相当する部分である非熱溶着部82を通ってきた蒸気を所定の蒸気排出部25に誘導して、外部へ排出することができ、内容物11が漏れにくい構造において、蒸気を蒸気排出部25から良好に排出することができる。
【0056】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。例えば、第1及び第2実施形態において、第2の熱溶着部23BのV字部27を第3及び第4実施形態のW字部71で置き換えてもよいし、逆に、第3及び第4実施形態において、第2の熱溶着部23B又は第2の熱溶着部81BのW字部71を第1及び第2実施形態のV字部27で置き換えてもよい。さらには、第1及び第2実施形態において、リブ状の第1の熱溶着部23A及び第2の熱溶着部23Bを第4実施形態の帯状の第1の熱溶着部81A及び第2の熱溶着部81Bで置き換えてもよい。このように、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またそのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0057】
10…電子レンジ用容器、11…内容物、20…容器本体(第1実施形態)、21…開口、22…フランジ部、23A…第1の熱溶着部(第1〜第3実施形態)、23B…第2の熱溶着部(第1〜第3実施形態)、24…突起部、25…蒸気排出部、26…凹部、27…V字部(易剥離部)、27b…凹部、50…蓋材、60…容器本体(第2実施形態)、70…容器本体(第3実施形態)、71…W字部(易剥離部)、80…容器本体(第4実施形態)、81A…第1の熱溶着部(第4実施形態)、81B…第2の熱溶着部(第4実施形態)、82…非熱溶着部