【解決手段】外ボトル11と、その内部に収容される内ボトル12と、外ボトル11および内ボトル12を閉じるバルブアッセンブリ13と、内ボトル内に収容され、内ボトルの内圧を調整する圧力調整機構14とを備えた吐出容器10。圧力調整機構14は、バルブアッセンブリ13の下端に取り付けられ、内ボトル12内で吊り下げられている。この吐出容器10の外ボトル11と内ボトル12との間の空間が原液室S1となり、内ボトル12内の空間が加圧室S2となる。
前記圧力調整機構が、内ボトル内と連通するガス供給孔を有する高圧室と、所定の圧力で密封された基準圧室と、前記基準圧室と内ボトルの押圧力に応じて基準圧室を圧縮・拡張するピストンと、前記ピストンと連動して前記ガス供給孔を遮断・連通する弁とを備えており、
前記ピストンによって基準圧室が所定容量より小さく圧縮されたとき、前記弁が前記ガス供給孔を遮断し、
前記ピストンによって基準圧室が所定容量より大きく拡張されたとき、前記弁が前記ガス供給孔を連通する、
請求項1または2記載の吐出容器。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1の吐出容器10は、外ボトル11と、その内部に収容される内ボトル12と、外ボトル11および内ボトル12を閉じるバルブアッセンブリ13と、内ボトル内に収容され、内ボトルの内圧を調整する圧力調整機構14とを備えている。圧力調整機構14は、バルブアッセンブリ13の下端に取り付けられ、内ボトル12の開口部から吊り下げられている。この吐出容器10の外ボトル11と内ボトル12との間の空間が原液室S1となり、内ボトル12内の空間が加圧室S2となる。
吐出容器10の原液室S1に内容物Cを充填し、内ボトル12の加圧室S2に加圧剤Pを充填して吐出製品となる。
【0017】
外ボトル11は、円筒状の胴部、テーパー状の肩部および円筒状の首部を備えた有底筒状の耐圧ボトルである。首部の外周には、ネジ11aが形成されている。ネジ11aの下方には、外円筒部11b1と、その下端の環状突起11b2とからなる筒状の外シール保持部11bが形成されている。この外シール保持部11bには断面が円形である環状の外シール材16が保持される。この外シール材16は、外ボトル11とバルブアッセンブリ13のキャップ23との間をシールする。外円筒部11b1は、外シール材16を半径方向外側に圧縮する部位であり、環状段部11b2は外シール材16が外円筒部11b1から抜けないようにする部位である。さらに、外シール保持部11bの下方には、吐出容器10の組み立て時に外ボトル11を保持したり、内容物Cの充填時に外ボトル11を吊り下げるための環状突起11cが形成されている。なお、環状段部11cの外形は、円状とするだけでなく、吐出容器10の回転を防止するために一部に平面を設けたり、矩形状や多角形状にしてもよい。
外ボトル11としては、透明または半透明で、内部が視認できるようにするのが好ましい。
【0018】
内ボトル12は、実質的に外部ボトル11の内面と同一の形状を有し、円筒状の胴部、テーパー状の肩部および円筒状の首部を備えた有底筒状の可撓性のボトルである。内ボトル12の上端には、外ボトル11の上端に配置され、外方に突出したフランジ部12aが形成されている。内ボトル12の首部の内面は、後述する容器ホルダー43を介して内シール材17を半径方向外側に圧縮する内円筒部12bとなっている。また、内ボトル12の上面は、板シール材18を上方に圧縮する部位となっている。内ボトル12は、この内シール材17および板シール材18によって密閉される。
内ボトル12は、フランジ部12aの下面から首部の外面を介して肩部の外面に連続して形成された上下に延びる縦通路溝12cが複数本等間隔で環状に配列されている。この実施形態では、例えば、縦通路溝12cを4本設けている。しかし、その本数は特に限定されるものではなく、2〜8本が好ましい。この縦通路溝12cは、外ボトル11と内ボトル12との間の原液室S1に充填される内容物Cの通路となる。なお、内容物Cの通路となる縦通路溝は、外ボトル11の首部内面または首部および肩部の内面に設けるようにしてもよい。さらに、外ボトル11の内面および内ボトル12の外面の両方に設けるようにしてもよい。なお、外ボトル11と内ボトル12との間には、原液室S1と外気(バルブアッセンブリ13)とを連通する縦通路が形成されていればよい。
内ボトル12も、透明または半透明で、内部が視認できるようにするのが好ましい。
【0019】
このような外ボトル11および内ボトル12からなる二重ボトルは、首部にネジ11aが形成された外ボトル用のアウタープリフォームおよび首部にフランジ部12a、内円筒部12bおよび縦通路溝12cが形成された内ボトル用のインナープリフォームを射出成型などにより個別に成型し、内ボトル用のインナープリフォームを外ボトル用のアウタープリフォームに挿入し、二層プリフォームを準備する。次に、この二層プリフォームを2軸延伸ブローなどで外ボトル11および内ボトル12の肩部以下の部位を同時に成型する。これにより、内ボトル12の外形が、外ボトル11の内面と当接する形状、つまり、外ボトル11の内面と実質的に同一形状となる。
なお、本発明の外ボトルおよび内ボトルは、上記二重ボトルに限定されるものではなく、内ボトル12の外形が外ボトル11の内面形状と異なっていてもよい。また二重ボトルの組み立て方法は、二重プリフォームの2軸延伸ブローに限定されず、外ボトル11内に内ボトル用のインナープリファームを挿入し、外ボトル11内でブロー成形させたり、それぞれを成形した後、外ボトル11内に内ボトル12を折り畳んで挿入したりしてもよい。
外ボトル11としては、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の合成樹脂を用いるのが好ましい。また、内ボトル12としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂を用いるのが好ましい。なお、外ボトル11と内ボトル12とで同じ材質の合成樹脂を用いてもよく、異なる材質の合成樹脂を用いてもよい。しかし、異なる材質とする方が、二重ボトルを二重プリフォームから組み立てる場合、または、外ボトル内の内ボトル用のインナープリフォームをブロー成形して組み立てる場合、原液を原液室S1に充填するため内ボトル12を収縮させるとき、内ボトル12の外面が外ボトル11の内面に対して離れやすく、内ボトル12を均等に収縮させやすい。特に、外ボトル11としてポリエチレンテレフタレートを用い、内ボトル12としてポリプロピレンを用いる場合、好ましい。
【0020】
バルブアッセンブリ13は、
図2aに示すように、原液室と外気とを連通/遮断するバルブ機構21と、外ボトル11および内ボトル12を閉じるバルブホルダー22と、そのバルブ機構21をバルブホルダー22内に固定し、かつ、バルブホルダー22を外ボトル11に固定するキャップ23とを備えている。
【0021】
バルブ機構21は、円筒状のステム26と、そのステム26のステム孔26aを閉じるステムラバー27と、ステム26を常時上方に付勢するバネ28とからなる。
【0022】
バルブホルダー22は、
図2bに示すように、筒状のハウジング31と、そのハウジングの側面から外方に延びる環蓋部32と、その下面に、ハウジング31と同軸下方に設けられた筒状の栓部33と、その栓部33より下方に延びる筒状のシリンダ部34とを備えている。
【0023】
ハウジング31は、上端が開口した筒体であり、側面にハウジングの内外を連通する連通孔31aが形成されている。また、ハウジング31の上端には、バルブ機構21のステムラバー27を支持するラバー支持部31bが形成されている。また、ハウジング31の連通孔31aより上方の外周面には、環状の凹部31cが形成されている。
環蓋部32は、外ボトル11および内ボトル12のフランジ部12aの上方に配置されている(
図1参照)。上面に横通路溝32aが複数等間隔で放射状に設けられている。横通路溝32aは、内ボトル12の縦通路溝12cと同数とし、その配置を縦通路溝12cと平面視で重なるように設けられているのが好ましい。
栓部33は、後述する圧力調整機構14の容器ホルダー43の内面に沿って挿入される筒状の部位である(
図3a参照)。その側面には、内シール材17を保持する環状の内シール保持部33aが形成されている。この内シール保持部33aの底部(栓部33の側壁
)が内シール材17を圧縮する(
図3a参照)。内シール材17は、容器ホルダー43とバルブホルダー22との間をシールする。
シリンダ部34は、栓部33の下端から更に下方に延びている。シリンダ部34は、後述する圧力調整機構14の一部を構成する。シリンダ部34の下部には、下端から上方に向かうスリット34aが形成されている。また下端には、バルブアッセンブリ20を二重容器に取り付ける前に、後述する圧力調整機構14のピストン41が落下しないように保持する保持爪34bが形成されている。つまり、圧力調整機構14は、シリンダ部34を介して、バルブアッセンブリ13の下端に固定され、内ボトル12の開口部から内部に吊り下げられている。
【0024】
キャップ23は、
図2cに示すように、バルブホルダー22のハウジング31の開口部を閉じる円板状のカバー部36と、その縁部から下方に延び、ハウジング31の外周に配置される上筒部37と、その下端から半径方向外側に延びる環状のリング部38と、その外端から下方に延びる下筒部39とを有する。
【0025】
カバー部36は、ステムラバー27の上方への飛び出しを防止するものである。カバー部36の中央には、ステム26を通す中心孔36aが形成されている。
上筒部37は、バルブホルダー22のハウジング31を保持し、ハウジング31との間に内容物の通路を形成する部位である。上筒部37の内面には、ハウジング31の環状の凹部31cと係合する係合突起37aが形成されている。カバー部36と係合突起37aとでバルブホルダー22(ハウジング31)を挟むことにより、バルブ機構21をバルブホルダー22(ハウジング31)に固定し、かつ、バルブホルダー22を保持する(
図2a参照)。つまり、キャップ23とバルブホルダー22とを一体化できる。なお、上筒部37の下部内面(係合突起37aより下方内面)は、ハウジング31の外周面と環状の隙間35Aを形成する(
図2a参照)。この隙間35Aは、ハウジング31の連通孔31aと連通しており、内容物Cの通路となる。
リング部38は、バルブホルダー22が外ボトル11から抜け飛ばないようにバルブホルダー22の環蓋部32の上面を覆う部位である(
図2a参照)。なお、環蓋部32には横通路溝32aが形成されているため、リング部38と環蓋部32との間に放射状に延びる通路が複数形成される。この通路は、内容物Cの通路となり、隙間35Aと連通している。
下筒部39は、外ボトル11と連結し、バルブホルダー22との間に内容物Cの通路を形成する部位である。下筒部39の上部内面は、バルブホルダー22の環蓋部32の外端と隙間35Bが空くように設計されている(
図2a参照)。下筒部39の中部内面には、外ボトル11のネジ11aと係合するネジ39aが形成されている。そして、下筒部39のネジ39aの下方の下部内面であって、外ボトル11の外シール保持部11bの位置に、環状段部11b2より若干拡径した内円筒部39bが形成されている。この内円筒部39bは、外ボトル11の外円筒部11b1との間で外シール材16を半径方向に圧縮する部位である(
図1参照)。
【0026】
このように構成されているバルブアッセンブリ13は、原液室S1(縦通路溝12c)と外気とを、
図2aの太線矢印に示すように、キャップ23の下筒部39とバルブホルダー22の間の隙間35B、キャップ23のリング部38とバルブホルダー22の環蓋部32との間の横通路溝32a、キャップ23の上筒部37とハウジング31の外周面の間の隙間35A、ハウジング31の連通孔31a、ステム26を介して連通させる。
【0027】
圧力調整機構14は、
図3aに示すように、上述のシリンダ部34と、そのシリンダ部34内に収容されるピストン41と、シリンダ部34の下端に挿入される高圧ガスが充填されたエアゾール容器(ガス容器)42と、内ボトルの開口部から吊り下げられる容器ホルダー43とを備えている。なお、圧力調整機構14において、ハウジング31の下面と
ピストン41に囲まれたシリンダ部34内の空間が基準圧室SPとなり、エアゾール容器42の内部が高圧室HPとなり、エアゾール容器42のバルブが弁となる。
ピストン41は、シリンダ部34の内面と密に接しながら上下する。つまり、ピストン41は加圧室S2をシールすると共に基準圧室SPもシールしている。そして、ピストン41がシリンダ部34内を上下することにより基準圧室SPを圧縮・拡張する。なお、基準圧室SP内は圧縮することにより、内部の空気が圧縮され、ピストン41は反作用の力を受ける。
エアゾール容器42は、耐圧容器42aと、その開口部を閉じるエアゾールバルブ42bと、そのエアゾールバルブ42bのステム42b1に取り付けられる押ボタン42cとからなる。耐圧容器42a内に充填される加圧剤Pとしては、たとえば、窒素、炭酸ガス、圧縮空気などの圧縮ガスがあげられ、0.6〜6MPa(ゲージ圧)に加圧されている。押ボタン42cを押圧してステム42b1を下降させることにより、エアゾールバルブ42bが開放され、耐圧容器42a内の加圧剤Pが押ボタン42cの吐出口42c1より噴出される。エアゾール容器42は、エアゾールバルブ42bの外周面に形成された環状凹部42dにシリンダ部34の保持爪34bを係合させてシリンダ部34に固定してもよい。このとき、エアゾール容器42の押ボタン42cの上にピストン41が配置される。なお、エアゾールバルブ42bのステム42b1とピストン41とが連動するように構成すれば、特に押ボタン42cは設けなくもよい。
【0028】
容器ホルダー43は、バルブアッセンブリ13を二重ボトルに取り付ける際にエアゾール容器42の位置を安定化させてシリンダ部34に係合しやすくする、バルブアッセンブリ13を取り付けた後もエアゾール容器42を保持してピストン41や押ボタンを作動しやすくする。詳しくは、筒状のホルダー本体43aと、その上端に形成されるフランジ部43bと、その下端を閉じる底部43cとからなる。ホルダー本体43aの上部内面は円筒となっており、内シール材17を半径方向に圧縮する部位である。ホルダー本体43aの下部には、ホルダー本体43aと内ボトル12との間を連通するスリット43dが形成されている。そして、ホルダー本体43aの下部内面には、エアゾール容器42の位置決めするための位置決めリブ43eが放射状に並んで形成されている。容器ホルダー43は、フランジ部43bが外ボトル11の上端(内ボトル12のフランジ部12a)とバルブアッセンブリ13のバルブホルダー22の環蓋部32の間に挟圧されて保持される。また、フランジ部43bの下面は、環状の板シール材18を下方に圧縮する部位である。
【0029】
このように構成されている圧力調整機構14は、基準圧室SPの圧力と、内ボトル12(加圧室S2)の圧力の差によって作動する。詳しくは、
図3bに示すように、基準圧室SPの圧力が内ボトル12の圧力より大きくなった際に、ピストン41は基準圧室SPが拡張するように移動、つまり、ピストン41は下降する。このとき、基準圧室SPの内圧は低下する。そのため、エアゾール容器42の押ボタン42cが押され、加圧剤Pがエアゾール容器42から内ボトル12内に供給される。そして、内ボトル12内に充分加圧剤Pが供給され、基準圧室SPの圧力と内ボトル12の圧力とが実質的に同じになると、エアゾールバルブ42bのバネ力(復帰力)によりピストン41は基準圧室SPが収縮するように元の位置に移動、つまり、ピストン41は上昇する。そのため、エアゾール容器42の押ボタン42cが復帰し、エアゾールバルブ42bも遮断される。
なお、シリンダ34内にピストン41を下方に押圧するバネを入れてもよい。また、ピストンに代えてダイヤフラムなどの圧力位置変換装置を用いてもよい。
圧力調整機構が作動する圧力は、基準圧室SP内の圧力や容積、エアゾールバルブ内のスプリング、前述のバネなどにより調整することができる。たとえば吐出容器10のゲージ圧が0.1〜0.5MPa、さらには0.2〜0.4MPaとなるように調整するのが好ましい。つまり、それより小さい圧力となったときに圧力調整機構が作動するようにするのが好ましい。
【0030】
次に吐出容器10の組み立て方法を示す。
初めに外ボトル11および内ボトル12からなる二重ボトルを成形する。このとき、内容物Cを充填するときに原液室S1が確実に形成されるように一度予め内ボトル12を収縮させておくのが好ましい。次いで、エアゾール容器42を収容した容器ホルダー43を内ボトル12内に収納する。一方、バルブホルダー22にキャップ23を固定し、かつ、バルブホルダー22のシリンダ部34にピストン41を挿入した蓋材を準備する(
図4a参照)。
この蓋材を二重ボトルに固定する。このとき、エアゾール容器42がシリンダ部34に連結されると同時に、エアゾール容器42の押ボタン42cがピストン41を押し上げ、基準圧室SPが密閉され、かつ、圧縮される。しかし、内ボトル12内には加圧剤Pがまだ充填されていないため、ピストン41は、エアゾール容器42のエアゾールバルブ42bが開放される高さ(若干押ボタン42cを押し下げた状態)以上は上昇しない。つまり、
図4bに示すように、エアゾールバルブ42bは開いた状態となり、加圧剤Pがエアゾール容器42の押ボタン42cから噴射され、シリンダ部34のスリット34aおよび容器ホルダー43のスリット43dを介して内ボトル12内に供給される。内ボトル12内が所定の圧力に達すると、ピストン41はエアゾールバルブ42bが閉じる高さまで押し上げられ、基準圧室SPの圧力と、内ボトル12内の圧力とが実質的に釣り合いエアゾール容器42の噴射が止まる(
図1参照)。
なお、エアゾール容器42をバルブホルダー22のシリンダ部34に引っ掛けて、吐出容器10を組み立ててもよい。詳しくは、蓋材と二重ボトルとを連結する際、エアゾール容器42を、シリンダ部34内のピストン41の下方において、シリンダ部34の保持爪34bにエアゾール容器42の環状凹部42dに係合させる。そして、このエアゾール容器42を備えた蓋材と、容器ホルダー43を挿入した二重ボトルとを、エアゾール容器42を容器ホルダー32内に挿入しながら連結または固定する。この組み立て方法は二重ボトルが大型である場合に好ましい。
【0031】
このように吐出容器10は、組み立てるだけで加圧剤Pを内ボトル12内に充填することができ、特別な加圧剤の充填設備を必要としない。また、吐出容器10を組み立てた後、後述するように、内ボトル12の内圧を一定にコントロールすることができる。従来の圧縮ガスを加圧剤として使用した吐出製品(エアゾール製品)は使用により内容物が少なくなると圧力が低下するため、内容物を全量吐出できるように圧力が0.6~1.0MP
a(ゲージ圧)となるように加圧剤を充填している。また、加圧剤を充填する際には前述の製品圧力よりも高圧で充填するため、外ボトルには高い耐圧性能が要求され、外ボトルの原料を多く使用していた。本発明の吐出容器は組み立てることで加圧剤を充填することができ、さらに、内圧をたとえば0.1〜0.5MPa(ゲージ圧)の範囲でコントロールすることができるため、外ボトル11への負荷が小さく、外ボトル11を薄くして原料の使用量を減らすことができ、環境への負荷が小さくなる。
なお、原液室S1への内容物Cの充填は、バルブアッセンブリ13を二重ボトルに固定する前に行ってもよく、二重ボトルに固定後にバルブ機構21を開放させ、ステム26から充填してもよい。特に、バルブアッセンブリ13を固定する前に行う場合、二重ボトル(外ボトル11および内ボトル12)、エアゾール容器42および容器ホルダー43を詰め替え製品とすることができる。詰め替え製品とする場合、例えば、
図6cに示すように蓋材45で密封するのが好ましい。これによりバルブアッセンブリ13などは再利用できる。また、エアゾール容器42のみの交換も可能である。
【0032】
次に吐出製品の使用方法を示す。使用方法は、
図5aに示すように押ボタン(図示せず)等によってステム26を押し下げ、バルブ機構21を開放することにより、内ボトル12の圧力により内容物Cを吐出することができる。内容物Cを吐出させることにより、内ボトル12が拡張し、内ボトル12の内圧が下がると、
図5bに示すように圧力調整機構14が自動的に作動し、エアゾール容器42から加圧剤Pが内ボトル12内に供給され、
内ボトル12内の圧力が基準圧室SPと釣り合うと加圧剤Pの供給が自動的に停止する。内容物Cを吐出するたびに、この加圧剤Pの供給工程および供給停止工程が自動的に行われるため、内容物Cを最後まで同じ勢いで吐出させることができる。
【0033】
内容物Cを全量吐出させた後、
図6aに示すように、キャップ23を回し、二重ボトル(外ボトル11および内ボトル12)と容器ホルダー43に対して蓋材(容器ホルダー43を除く圧力調整機構14)を若干上昇させる。詳しくは、外シール材16のシール構造を維持させたまま、バルブホルダー22の内シール保持部33aに保持された内シール材17が容器ホルダー43のホルダー本体43aの内面から外れるように、蓋材を上昇させる。これにより内シール材17による密封が解除され、加圧室S2とバルブアッセンブリ13のハウジング31内とが連通する。そのため、加圧室S2の加圧剤Pを外部に噴射させることなくハウジング31内に誘導することができる。その後、押ボタン等でステム26を押し下げることにより、加圧剤Pを安全に外部に排出することができる(
図6aの太線矢印参照)。このとき、加圧室S2の内圧は、基準圧室SPの内圧より低くなるため、ピストン41は下降し、エアゾール容器42も開放される。そのため、ガス容器(エアゾール容器42)内の加圧剤Pも最後まで排出することができる。
なお、エアゾール容器42をシリンダ部34の保持爪34aに固定させない場合、
図6bに示すように、エアゾール容器42は容器ホルダー43の底部43cに支持される。また、ピストン41は下降してシリンダ部34のスリット34aを越える。そのため、基準圧室SPと加圧室S2とが連通し、エアゾール容器42の加圧剤Pを排出せずに、加圧室S2の排出ができる(
図6bの太線矢印参照)。この場合、エアゾール容器42は、再利用することができる。
【0034】
図7の吐出容器50は、外ボトル11と、その内部に収容される内ボトル12と、外ボトル11および内ボトル12を閉じるバルブアッセンブリ51と、内ボトル内に収容され、内ボトルの内圧を調整する圧力調整機構52とを備えている。圧力調整機構52は、バルブアッセンブリ51の下端に取り付けられ、内ボトル12の開口部から吊り下げられている。
この吐出容器50も、外ボトル11と内ボトル12との間の空間が原液室S1となり、内ボトル12内の空間が加圧室S2となり、原液室S1に原液Cを充填し、内ボトル12の加圧室S2に加圧剤を充填して吐出製品となる。なお、この吐出製品(吐出容器50)には、加圧室S2と外気との通路を閉じ、原液室S1と外気との通路を開放する押ボタン53が用いられる。
外ボトル11および内ボトル12は、
図1の吐出容器10と実質的に同じものである。
【0035】
バルブアッセンブリ51は、
図8aに示すように、原液室S1と外気および加圧室S2と外気とをそれぞれ独立して通し、同時に遮断/連通するバルブ機構56と、外ボトル11および内ボトル12を閉じるバルブホルダー57と、そのバルブ機構56をバルブホルダー57内に固定し、かつ、バルブホルダー57を外ボトル11に固定するキャップ23とを備えている。キャップ23は、
図1の吐出容器10のバルブアッセンブリ13のキャップ23と実質的に同じものである。
【0036】
バルブ機構56は、2つの独立した第1ステム内通路56aないし第2ステム内通路56bおよびそれらの通路とそれぞれ連通する第1ステム孔61aないし第2ステム孔61bが形成されたステム61と、その第1ステム孔61aを閉じる環状の第1ステムラバー62aと、その第2ステム孔61bを閉じる環状の第2ステムラバー62bと、ステム61を常時上方に付勢する弾性体63と、第1ステムラバー62aおよび第2ステムラバー62bの間に設けられ、それらを支持する筒状の支持部材64とからなる。
【0037】
ステム61は、下端が閉じられた内筒部65aおよび外筒部65bを同軸上に重ねたも
のであり、内筒部65aは、外筒部65bより上方にも下方にも突出している。そして、内筒部65aと外筒部65bの間の環状の空間が第1ステム内通路56aを構成し、その第1ステム内通路56aと同軸の内筒部65a内の円柱状の空間が第2ステム内通路56bを構成する。第1ステム孔61aは、第1ステム内通路56aの下部と連通するように、外筒部65aを半径方向に貫通して形成された孔である。第2ステム孔61bは、第1ステム孔61aより下方(外筒部65bより下方に突出した内筒部65a)に、第2ステム内通路56bの下部と連通するように、内筒部65aを半径方向に貫通して形成された孔である。
第1ステムラバー62aおよび第2ステムラバー62bは、それぞれその外端が支持部材64によってバルブホルダー57内に支持され、内端は第1ステム孔61aおよび第2ステム孔61bを塞ぐ。そして、ステム61が下方に移動することにより、第1ステム孔61aおよび第2ステム孔61bが第1ステムラバー62aおよび第2ステムラバー62bの内端から開放される。
弾性体63は、後述するバルブホルダー56のハウジング66に一体に成形されている。詳しくは、ハウジング66の底部に上方に突出するように形成された複数枚の板バネ66gからなる(
図8b参照)。しかし、独立したバネをハウジング66の底部とバルブ機構56のステム61との間に配置させてもよい。
支持部材64には、その内外を連通するスリット64aが形成されている。
【0038】
バルブホルダー57は、
図8bに示すように、筒状のハウジング66と、そのハウジング66の中部側面から外方に延びる環蓋部67と、その下面にハウジング66と同軸に設けられた筒状の高圧室本体68とを有する。
ハウジング66は、側面にハウジングの内外を連通する第1連通孔66aを有しており、下端にハウジングの内外を連通する第2連通孔66bを有している。ハウジング66の一部(第1連通孔66aより下方の少なくとも一部)が内ボトル12内に挿入されており、ハウジング66の下部側面で内ボトル12を密閉する(
図7参照)。ハウジング66の下部側面には、内ボトル12とバルブホルダー57との間をシールする内シール材17を保持する環状の内シール保持部66cが形成されている。この内シール保持部66cの底部が内シール材17を圧縮する。
また、ハウジング66の上端には、バルブ機構56の第1ステムラバー62aを支持する第1ラバー支持部66dが形成されており、内側面であって第1連通孔66aと第2連通孔66bの間に、バルブ機構56の第2ステムラバー62bを支持する第2ラバー支持部66eが形成されている。さらに、ハウジング66の第1連通孔66aの上方外周が、段部66fを介して拡径している。この段部66fにはキャップ23の係合突起37aが係合され、バルブホルダー56とキャップ23とが固定される(
図8a参照)。そして、ハウジング66の底部には、前述したようにバルブ機構56の弾性体63を構成する板バネ66gが複数個形成されている。
【0039】
ハウジング66内は、バルブ機構56の第2ステムラバー62bによって2つの空間に分けられる。つまり、ハウジング66内は、第1ステムラバー62aと第2ステムラバー62bの間の空間(上空間)と、第2ステムラバー62bより下方の空間(下空間)とに分けられる(
図8a参照)。
【0040】
環蓋部67は、第1連通孔66aと第2連通孔66bの間にハウジング66の側面の外方に突出しており、外ボトル11の上端および内ボトル12のフランジ部12aの上方に配置される。環蓋部67の上面には、横通路溝67aが複数等間隔で放射状に設けられている。この横通路溝67aは、内ボトル12の縦通路溝12cと同数とし、その配置を縦通路溝12cと平面視で重なるように設けられている。
高圧室本体68は、ハウジング66の下端から更に下方に延びている。高圧室本体は、後述する圧力調整機構52の一部を構成する。
【0041】
次に、バルブアッセンブリ51の原液室S1とハウジング66の上空間との通路、加圧室S2とハウジング66の下空間との通路について
図8aを参照して説明する。
原液室S1(縦通路溝12c)は、太線矢印で示すように、キャップ23とバルブホルダー57の隙間35B、キャップ23とバルブホルダー57の環蓋部67との間の横通路溝67a、キャップ23とバルブホルダー57のハウジング66の外周面との間の隙間35A、ハウジング66の第1連通孔66aを介してハウジング66内の上空間と連通する。
一方、加圧室S2は、ハウジング66の第2連通孔66bおよび後述する圧力調整機構52を介してハウジング66内の下空間と連通する。
【0042】
圧力調整機構52は、
図9aに示すように、上述の高圧室本体68と、その下端を閉じる筒状のシリンダ部71と、高圧室本体68とシリンダ部71との間を連通/遮断する弁棒72と、弁棒72と連動し、シリンダ部71内に収容されるピストン73と、シリンダ部71の下端を閉じる下蓋部74と、ピストン73と下蓋部74との間に設けられるバネ75とを備えている。
圧力調整機構52において、高圧室本体68内が高圧室HPとなり、シリンダ部71内におけるピストン73と下蓋部74との間が基準圧室SPとなり、弁棒72が弁となる。そして、基準圧室内の圧力は、ピストン73を押圧するバネ75の力によって調整される。なお、バネ75を設けず、基準圧室の内圧を一定にしてもよい。
【0043】
シリンダ部71は、高圧室本体68の下端を閉じるための上底を有する筒体である。側面には、ガス連通孔71aが形成されている。上底の中心には、中心孔(ガス供給孔)71bが形成されており、上底の上面には高圧室本体68を閉じ、高圧室本体68内に密に挿入される筒状の係合部71cが設けられている。
弁棒72は、シリンダ部71の中心孔71bに上下移動自在に挿入される棒体であり、その上端に円板状の留め部72aが形成されている。留め部72aの下面とシリンダ部71の上底との間には、リング状の弁シール76が設けられている。つまり、弁棒72が下降することにより、弁棒72の留め部72aが弁シール76を介してシリンダ部71の上底を押圧することにより、中心孔71bが閉じられる。一方、弁棒72が上昇することにより、留め部72aによる弁シール76への圧縮が開放され、中心孔71bが開放される。
ピストン73は、シリンダ部71の内面を密に接しながら上下する板状のものである。上面には、弁棒72の棒体の下端と係合する弁係合部73aが形成されている。下面はバネ75を受ける。側面には、リング状のシール材77が設けられている。つまり、ピストン73がシリンダ部71内を上下することにより基準圧室SPを圧縮/拡張する。
下蓋部74は、シリンダ部71の下端を密に閉じる部材である。上面に、シリンダ部71の下端開口を閉じ、シリンダ部71内に密に挿入される筒状の係合部74aが形成されている。下蓋部74の上面はバネ75を受ける。
【0044】
このように構成されている圧力調整機構52は、基準圧室の内圧とバネ力によるピストン73への押圧力と、内ボトル12(加圧室S2)の圧力によるピストン73への押圧力の差によって作動する。詳しくは、基準圧室SPからの押圧力が内ボトル12からの押圧力よりも大きくなると、ピストン73は基準圧室SPが拡張するように移動、つまり、ピストン73は上昇する(
図9b参照)。そのため、弁棒72が上昇し、高圧室HP内の加圧剤Pが中心孔71bおよびガス連通孔71aを介して内ボトル12内に供給される。一方、加圧剤Pが内ボトル12内に供給されて内ボトル12からの押圧力が強くなってくると、ピストン73は基準圧室SPが収縮するように移動、つまり、ピストン73は下降する。これにより、弁棒72が下降し、弁棒72の留め部72aとシリンダ部72の上底との間の弁シール76が圧縮され、中心孔71bが遮断される(
図9a参照)。
【0045】
押ボタン53は、
図8cに示すように、下面に形成された筒状のステム係合孔53aと、前面に設けられた噴射孔53bと、ステム係合孔53aと噴射孔53bとを連通するボタン内通路53cとを備えている。
ステム係合孔53aは、ステム61の外筒部65bを挿入する拡径孔81と、その上方に設けられ、ステム61の内筒部65aを挿入する縮径孔82とからなる。ボタン内通路53cは、拡径孔81の上部と連通している。そして、縮径孔82の上端は閉じている。縮径孔82の高さは、内筒部65aの外筒部65bに対する突出量より小さくなっている(
図8a参照)。そのため、ステム61がステム係合部53a内に挿入されたとき、内筒部65aの上部は縮径孔82内に配置されて、内筒部65aの下部および外筒部65bの上部は拡径孔81内に配置される。よって、内筒部65aの上端が縮径孔82の上端で閉止され、外筒部65bの上方はボタン内通路53cと連通し、拡径孔81と内筒部65aによって囲まれる空間85が形成される(
図8a参照)。なお、ステム61の第2ステム内通路56bに栓を設けてもよい。
【0046】
次に吐出容器50の組み立て方法を
図10に示す。
初めに外ボトル11および内ボトル12からなる二重ボトルを成形する。このとき、内容物を充填するときに原液室S1が確実に開くように一度内ボトル12を収縮させておくのが好ましい。一方、バルブアッセンブリ51および圧力調整機構52を連結させた蓋材を準備する(
図10a参照)。連結部分は超音波溶着などで一体化することが好ましい。
この蓋材を二重ボトルに固定する。その後、ステム61を押し下げ、第2ステム通路61bから加圧剤Pを充填する(
図10b参照)。このとき、第1ステム通路61aを閉じながら充填するのが好ましい。つまり、加圧剤Pを充填する前は、加圧室SPの方が内ボトル12よりピストン73を押す力が大きいため、中心孔71bは開放されており、加圧剤Pは中心孔71bおよびガス連通孔71aを介して内ボトル12内に供給される。内ボトル12内に加圧剤Pが充填されると、内ボトル12の方が加圧室SPよりピストン73を押す力を大きくなり、ピストン73が弁棒72と共に下降し、中心孔71bが遮断される。その後も高圧室HP内に加圧剤Pを充填して、高圧室HP内の圧力が内ボトル12の外面が外ボトル11の内面と当接した拡張状態(内容物Cの吐出後の状態)でも基準圧室SPよりも高くなるように充分に高くする。
なお、原液室S1への内容物の充填は、バルブアッセンブリ51および圧力調整機構52を連結させた蓋材を二重ボトルに固定する前に行ってもよく、また二重ボトルに固定後にステム61の第1ステム通路61aから充填してもよい。
【0047】
次に吐出製品の使用方法を示す。使用方法は、押ボタン53によってステム61を押し下げ、バルブ機構56を開放することにより、内ボトル12内の圧力により内容物Cを吐出することができる(
図11a参照)。内容物Cを吐出させることにより、内ボトル12が拡張し、内ボトル12の内圧が下がると、上述したように圧力調整機構52が作動し、高圧室HPから加圧剤Pが内ボトル12内に補填される。内ボトル12内の圧力が高くなってくるとピストン73が下方に移動し、加圧剤Pの供給が停止する。内容物Cを吐出するたびに、この加圧剤の供給工程と供給停止工程が自動的に行われるため、内容物Cを最後まで同じ勢いで吐出させることができる。
内容物Cを吐出させた後、
図11bに示すように、押ボタン53を取り外し、ステム61を押し下げることにより、高圧室内の加圧剤Pを外部に排出することができる。それに伴い、圧力調整機構52の中心孔71bも開放されるため、内ボトル12内の加圧剤もガス連通孔71a、中心孔71bを介してステム61の第2ステム通路61bから排出することができる。さらに、キャップ23を外ボトル11から取り外すことにより、材料に応じて分別して廃棄することができる。
【0048】
図12の吐出容器90は、容器ホルダーを省略し、エアゾール容器42(ガス容器)を
内ボトル12の底部に載置させた点で、
図1の吐出容器10と異なる。詳しくは、外ボトル11と、その内部に収容される内ボトル12と、外ボトル11および内ボトル12を閉じるバルブアッセンブリ13と、内ボトル内に収容され、内ボトルの内圧を調整する圧力調整機構91とを備えている。圧力調整機構91は、バルブアッセンブリ13の下端に取り付けられている。外ボトル11および内ボトル12は、
図1の吐出容器10と実質的に同じものである。この吐出容器90の外ボトル11と内ボトル12との間の空間が原液室S1となり、内ボトル12内の空間が加圧室S2となる。
バルブアッセンブリ13は、シリンダ部34が
図1の吐出容器10のバルブアッセンブリ13のシリンダ部34よりも長くなっている点以外は、
図1の吐出容器10のバルブアッセンブリ13と実質的に同じものである。なお、
図12のシリンダ部34の長さを
図1のシリンダ部34と同じにして、エアゾール容器42の耐圧容器を長くしてもよい。
バルブアッセンブリ13の栓部33の内シール保持部33aに保持される内シール材17は、内シール保持部33aの底部(栓部33の側壁)および内ボトル12の首部の内面との間で圧縮され、加圧室S2とバルブアッセンブリ13との間をシールする。
【0049】
圧力調整機構91は、上述のシリンダ部34と、そのシリンダ部34内に収容されるピストン41と、シリンダ部34の下端に挿入される高圧ガスが充填されたエアゾール容器(ガス容器)42とを備えており、エアゾール容器42が内ボトル12の底部に載置される。ピストン41およびエアゾール容器(ガス容器)42は、
図1の圧力調整機構14と実質的に同じである。そして、圧力調整機構91において、シリンダ部34内の空間が基準圧室SPとなり、エアゾール容器42の内部が高圧室HPとなり、エアゾール容器42のバルブが弁となる。
この圧力調整機構91も、
図1の吐出容器の圧力調整機構14と同様に、基準圧室SPの圧力と、内ボトル12(加圧室S2)の圧力差によって作動する。エアゾール容器42を内ボトル12に載置させるため、後述するようにエアゾール容器42を内ボトル42に載置させ、その後、バルブアッセンブリ13を取り付けることにより、組み立てることができ、その際、シリンダ部34とエアゾール容器42を連結させやすい。
【0050】
この吐出容器90の組み立て方法を次に示す。
初めに外ボトル11および内ボトル12からなる二重ボトルを成形する。次いで、エアゾール容器42を内ボトル12内に収納する。一方、バルブホルダー22にキャップ23を固定し、かつ、バルブホルダー22のシリンダ部34にピストン41を挿入した蓋材を準備する(
図13a参照)。
この蓋材を二重ボトルに固定する。このとき、エアゾール容器42がシリンダ部34に連結されると同時に、エアゾール容器42の押ボタン42cがピストン41を押し上げ、基準圧室SPが密閉され、かつ、圧縮される(
図13b参照)。
図1の吐出容器10と同様に、それと同時にエアゾール容器42のエアゾールバルブ42bが開き、加圧剤Pがエアゾール容器42の押ボタン42cから内ボトル12内に供給される。内ボトル12内が所定の圧力に達すると、ピストン41はエアゾールバルブ42bが閉じる高さまで押し上げられ、基準圧室SPの圧力と、内ボトル12内の圧力とが実質的に釣り合いエアゾール容器42の噴射が止まる。
なお、エアゾール容器42をバルブホルダー22のシリンダ部34に引っ掛けて、吐出容器90を組み立ててもよい。詳しくは、蓋材と二重ボトルとを連結する際、エアゾール容器42を、シリンダ部34内のピストン41の下方において、シリンダ部34の保持爪34bにエアゾール容器42の環状凹部42dに係合させる。そして、このエアゾール容器42を備えた蓋材と、二重ボトルとをエアゾール容器42を内ボトル12内に収納しながら連結する。この組み立て方法は二重ボトルが大型である場合に好ましい。
【0051】
このように吐出容器90も、
図1の吐出容器10と同様に、組み立てるだけで加圧剤Pを内ボトル12内に充填することができ、特別な加圧剤の充填設備を必要としない。また
、吐出容器10を組み立てた後、後述するように、内ボトル12の内圧を一定にコントロールすることができる。
なお、原液室S1への内容物Cの充填は、バルブアッセンブリ13を二重ボトルに固定する前後のいずれに行ってもよい。この吐出容器90も、外ボトル11、内ボトル12、エアゾール容器42および原液室S1に充填される内容物Cを詰め替え製品とすることができる。詰め替え製品とする場合、
図1の吐出容器10と同様に、
図5に示すような蓋材45で密封するのが好ましい。
なお、
図12の吐出容器90は、エアゾール容器42を内ボトル12の底部に載置させているが、エアゾール容器42を底部に支持させず、内ボトル12内で吊り下げてもよい。
【0052】
図14の吐出容器100は、内ボトル102の外形が外ボトル11の内形と同一でないものであり、内ボトル102は弾性を有する材料からなる。詳しくは、外ボトル11と、その内部に収容される内ボトル102と、外ボトル11および内ボトル102を閉じるバルブアッセンブリ13と、内ボトル内に収容され、内ボトルの内圧を調整する圧力調整機構14とを備えている。なお、バルブアッセンブリ13のステムには、メカニカルブレークアップ機構を備えた押ボタン105が取り付けられている。
外ボトル11、圧力調整機構14は、
図1の吐出容器10と実質的に同じものである。バルブアッセンブリ13もバルブホルダー22のシリンダ部34の保持爪34bがエアゾール容器42と係合しない点と除いて、
図1の吐出容器と実質的に同じものである。
【0053】
内ボトル102は、円筒状の本体102aを備えた有底筒状の弾性ボトルである。内ボトル102の上端には、外ボトル11の上端に配置され、外方に突出したフランジ部102bが形成されている。フランジ部102bの下面には、外縁から半径方向内側に延びる溝102b1が複数環状に形成されている。内ボトル102の本体102aの内面は、バルブアッセンブリ13の容器ホルダー43のホルダー本体43aに嵌合するように構成されている。そして、内ボトル12の本体102aの外面と、外ボトル11の首部の内面との間には内容物の通路となる隙間が設けられる。
なお、内ボトル102のフランジ部102bは、外ボトル11の上端と容器ホルダー43のフランジ部43bの間に配置され、弾性変形する。そのため、内ボトル102と容器ホルダー43との間が、内ボトル102のフランジ部102bによってシールされる。しかし、それらの間に環状のシール材を別途設けてもよい。
このような弾性を有する内ボトル102としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴムなどのゴム、ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系などのエラストマー、ポリエチレン、ナイロン、エバールなどの合成樹脂およびこれらの混合素材が挙げられる。そして、内ボトル102は、外ボトル11とは別に成形される。
【0054】
次に吐出容器100の組み立て方法を示す。
初めに外ボトル11内に内容物Cを充填する(
図15a参照)。次いで、容器ホルダー43のホルダー本体43aに内ボトル102を嵌合させて、エアゾール容器42を容器ホルダー43内に収納し、二重ボトルを準備する。一方、バルブホルダー22にキャップ23を固定し、かつ、バルブホルダー22のシリンダ部34にピストン41を挿入した蓋材を準備する(
図15b参照)。
この蓋材を二重ボトルに固定する。これにより
図1の吐出容器10と同様にして、圧力調整機構14が作動し、内ボトル102内が所定の圧力となる(
図14参照)。
次に吐出容器100の使用方法は、
図1の吐出容器10と同じであり、
図16aに示すようにステムに取り付けられた押ボタン105を押し下げ、内ボトル102の内圧により内容物Cを吐出させる。ここで内容物Cが吐出されると、弾性を有する内ボトル102が
拡張して内圧が下がる。しかし、それに伴い圧力調整機構14が自動的に作動し、内ボトル102内の圧力が調整される。この吐出容器100も、内容物Cを吐出するたびに、この加圧剤Pの供給工程および供給停止工程が自動的に行われるため、内容物Cを最後まで同じ勢いで吐出させることができる。
内容物Cを吐出させた後は、
図1の吐出容器10と同様に安全に加圧剤Pを排出させることができる。詳しくは、
図16bに示すように、キャップ23を回し、二重ボトル(外ボトル11および内ボトル102)と容器ホルダー43に対して上記蓋材(容器ホルダー43を除く圧力調整機構14)を若干上昇させる。これにより外シール材16のシール構造を維持させたまま、容器ホルダー43とシリンダ部34との間のシール構造(内シール材17の圧縮)を解除することができる。これにより内ボトル102(加圧室S2)とバルブアッセンブリ13のハウジング31内とが連通する。そのため、押ボタン105を操作することにより、加圧剤Pを安全に外部に排出することができる。なお、エアゾール容器42は、バルブホルダー22のシリンダ部34の保持爪34bと連結しないため、加圧剤Pの排出時にエアゾール容器42は開かない。そのため、エアゾール容器42は再利用することができる。
【0055】
図17の吐出容器110は、金属製の外ボトル111を用いており、他の構成は
図14の吐出容器100と実質的に同じものである。詳しくは、外ボトル111と、その内部に収容される内ボトル102と、外ボトル111および内ボトル102を閉じるバルブアッセンブリ13と、内ボトル内に収容され、内ボトルの内圧を調整する圧力調整機構14とを備えており、バルブアッセンブリ13のステムには、メカニカルブレークアップ機構を備えた押ボタン105が取り付けられている。
外ボトル111は、円筒状の胴部、テーパー状の肩部および円筒状の首部を備えた有底筒状の耐圧ボトルである。首部の外周には、ネジ111aが形成されており、首部の上端にはビード部111bが形成されている。外シール材16は首部のネジ111aの下方の円筒部に配置される。
外ボトル111は、金属スラグをインパクト加工にて胴部を形成し、その上部を絞りしごき加工して肩部、首部を形成し、最後にカール部およびネジを形成することによって成形される一体成形缶である。
このような金属缶は、内ボトルの外形が外ボトルの内径と実質的に同一とした他の実施形態にも採用することができる。その場合、外ボトル111に内ボトル用のプリフォームを挿入し、その内ボトル用プリフォームを外ボトル111内でブロー成形すること外ボトル111と内ボトル12の二重ボトルを組み立てることができる。なお、内ボトル12を折り畳んで外ボトル111内に挿入してもよい。この吐出容器110も
図14の吐出容器100と全く同じ効果を奏する。