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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-196645(P2016-196645A)
(43)【公開日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】生分解性フィルム
(51)【国際特許分類】
   C08J 7/04 20060101AFI20161028BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20161028BHJP
   B05D 1/30 20060101ALI20161028BHJP
   B65D 65/46 20060101ALI20161028BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20161028BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20161028BHJP
【FI】
   C08J7/04 PCEP
   C08J7/04CFD
   B32B27/00 Z
   B05D1/30
   B65D65/46
   B65D65/40 D
   C08L101/16
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-107101(P2016-107101)
(22)【出願日】2016年5月30日
(62)【分割の表示】特願2014-503218(P2014-503218)の分割
【原出願日】2012年4月5日
(31)【優先権主張番号】1105994.6
(32)【優先日】2011年4月8日
(33)【優先権主張国】GB
(71)【出願人】
【識別番号】505300508
【氏名又は名称】イノヴィア フィルムズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100117444
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 健一
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】フロリッヒ,レオ
(72)【発明者】
【氏名】バーカー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】チャプレン,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】カウトン,ルーシー
(72)【発明者】
【氏名】ミーク,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ヒューイット,ジョナサン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生分解性であるが、有効なバリア性および/またはシール性を有し、それによってパッケージング用途における使用に好適である被覆フィルムの提供。
【解決手段】生分解性コーティングを12gsm以下のコーティング重量で表面に有する実質的に生分解性の基材を含む100μm未満の厚さを有する被覆フィルム。前記フィルムを少なくとも部分的に含むパッケージの中にシールされた有用な物品。また、実質的に生分解性のフィルム基材を用意するステップと、ホットメルトコーティングステップによって該基材に生分解性コーティングを12gsm未満のコーティング重量で適用するステップとを含む、被覆フィルムを製造する方法。好ましくは前記コーティング重量が10gsm未満、更に好ましくは9gsm未満、特に好ましくは8gsm未満である被覆フィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性コーティングを12gsm以下のコーティング重量で表面に有する実質的に生分解性のフィルム基材を含む、100μm未満の厚さを有する被覆フィルム。
【請求項2】
前記実質的に生分解性の基材が、フィルム形成性生分解性材料から、またはそれらの2種以上の混合物から選択される、請求項1に記載の被覆フィルム。
【請求項3】
前記実質的に生分解性のフィルム形成性材料が、セルロースおよびセルロース系誘導体、乳酸のポリマーおよびその誘導体、ヒドロキシアルカノエートのポリマー(PHA)、生分解性コポリエステル、ポリカプロラクトンならびにデンプン系材料から選択される、請求項2に記載の被覆フィルム。
【請求項4】
前記コーティングが、生分解性のポリエステルおよび/またはコポリエステルおよび/またはデンプンもしくはデンプン系材料を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の被覆フィルム。
【請求項5】
片面上のみが被覆されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の被覆フィルム。
【請求項6】
前記生分解性基材と前記コーティングとの間にプライマー層が施されていない、請求項1から5のいずれか1項に記載の被覆フィルム。
【請求項7】
1つまたは複数のさらなる基材にラミネートされている、請求項1から6のいずれか1項に記載の被覆フィルム。
【請求項8】
前記コーティング重量が、10gsm未満、または9gsm未満、または8gsm未満である、請求項1から7のいずれか1項に記載の被覆フィルム。
【請求項9】
前記フィルム上のコーティングの厚さが、約20μm未満、または約15μm未満、または約12μm未満である、請求項1から8のいずれか1項に記載の被覆フィルム。
【請求項10】
前記フィルムの全厚が、約75μm未満、または約50μm未満である、請求項1から9のいずれか1項に記載の被覆フィルム。
【請求項11】
前記実質的に生分解性の基材がキャストフィルムを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の被覆フィルム。
【請求項12】
前記コーティングが、ホットメルトコーティングプロセスによって適用される、請求項1から11のいずれか1項に記載の被覆フィルム。
【請求項13】
前記ホットメルトコーティングプロセスにおいて、前記コーティングが、カーテンダイを通して、前記実質的に生分解性の基材上に、1対の逆回転ローラーを通して延伸しながら押出される、請求項12に記載の被覆フィルム。
【請求項14】
一方が加熱されているシールジョー間での停止時間を1/2秒間とし、135℃でシールしたときに、300g/25mmより大きい、または400g/25mmより大きい、または約500g/25mmを超える、または約600g/25mmを超えるシール強度を有する、請求項1から13のいずれか1項に記載の被覆フィルム。
【請求項15】
20gsm/日未満、または18gsm/日未満、または15gsm/日未満のWVT
R(熱帯、38℃、90%RH)を有する、請求項1から14のいずれか1項に記載の被覆フィルム。
【請求項16】
被覆されていない生分解性基材よりも少なくとも約10%、または少なくとも約50%、または少なくとも約100%高いシール閾値を有する、請求項1から15のいずれか1項に記載の被覆フィルム。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の被覆フィルムを少なくとも部分的に含むパッケージの中にシールされた有用な物品。
【請求項18】
実質的に生分解性のフィルム基材を用意するステップと、ホットメルトコーティングステップによって基材に生分解性コーティングを12gsm未満のコーティング重量で適用して、100μm未満の厚さを有する被覆フィルムを得るステップとを含む、被覆フィルムを製造するための方法。
【請求項19】
前記フィルム基材が、前記被覆ステップ中に延伸される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記コーティングが、カーテンダイを通して前記フィルム基材上にホットメルトとして押出される、請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記コーティングステップが、約80℃から約280℃まで、または約90℃から約250℃までの温度で行われる、請求項18から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記コーティングステップが、ポリマーがニップローラー(nip rollers)に粘着する
のを防ぐためにニップ(nip)内での水の使用を含む、請求項18から21のいずれか1
項に記載の方法。
【請求項23】
前記コーティングステップが、前記被覆フィルムの光学的性質を改良するためにニップ内での水の使用を含む、請求項18から22のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性であるが、有効なバリア性および/またはシール性を有し、それによってパッケージング用途における使用に好適である被覆フィルムに関する。本発明は、こうしたフィルムを作製するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パッケージングフィルムは、容器内の、または簡単にフィルムで形成されたパッケージ内の、製品を大気への曝露から封じて保護するために使用されている。必要なバリア性およびシール性を可能にするために、ポリオレフィン、PVDCおよびポリエチレンテレフタレートなどの材料が過去に使用されてきた。しかし、こうした材料は、いつも堆肥化可能(compostable)なわけではなく、その結果として、堆肥化可能なパッケージン
グフィルムを提供する必要性がある。しかし、好適なバリア性および/またはシール性を有するこうしたフィルムを見出すことは困難であることが判明しており、この問題に対する解決策を見出すことが本発明の一目的である。製造プロセスに不合理なコストを追加せず、該フィルムの他の望ましい特性、例えば、光学的特性および機械的特性などに不当に悪影響を及ぼさない、こうした解決策を見出すことが、本発明の特定の一目的である。
【0003】
EP−A−2141191には、生分解性の堆肥化可能なセルロースフィルムの表面上に押出被覆された生分解性の堆肥化可能なコポリエステル(copolyester)の層を含む複
合パッケージが開示されている。しかし、適用されたコーティングは比較的厚く、許容されるシール強度を維持したままでより薄いコーティングを可能にすることが望ましいはずである。
【0004】
US2007/0184220には、フィルムへの適用よりもむしろカートン用板紙(carton-board)用のより厚いラミネート構造の部分を形成している、一範囲のコーティング重量のバイオポリマーが開示されている。
【0005】
WO99/01278には、低コーティング重量のポリエステルアミドが表面に押出被覆されている、紙系ラミネートが開示されている。
【0006】
多様なコーティングを有する、より厚い、ラミネートされた紙系の他の材料が、WO00/01530およびWO2009/064942に開示されている。
【0007】
WO2009/024812には、乳酸とカプロラクトンとのコポリマーを含むコーティング組成物のセルロース系基材上にコーティングを含むシール可能で剥離可能なフィルムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、生分解性コーティングを12gsm以下のコーティング重量で表面に有する実質的に生分解性のフィルム基材を含む、100μm未満の厚さを有する被覆フィルムが提供される。
【0010】
好ましくは、該フィルムはパッケージングフィルムである。
【0011】
好ましくは、該フィルムは透明である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実質的に生分解性の基材は、好適なフィルム形成性を有する生分解性の、好ましくは堆肥化可能な(すなわち、標準堆肥化能試験(compostability test)EN13432に従って6ヶ月以内に生分解する)任意の材料から、またはそれらの2種以上の混合物から選択されうる。好適な材料としては、セルロースおよびセルロース系誘導体、堆肥化可能なバイオポリマー、PLAそのものを含む、乳酸のポリマーおよびその誘導体、ヒドロキシアルカノエートのポリマー(PHA)、生分解性コポリエステル、ポリカプロラクトンならびにデンプン系材料などが挙げられる。基材材料は、真のバイオポリマー(例えばセルロースまたはPLA)、または好適に生分解性の合成ポリマーもしくはこれらの2種以上の好適な混合物を含んでいてもよい。好ましい基材材料としては、セルロースおよびセルロース誘導体などが挙げられる。1種の好適なセルロース系基材は、商品名Natureflex(登録商標)の下でInnovia Films Ltdから入手可能な食品認可された生分解性フィルムである。
【0013】
該コーティングは、生分解性のポリエステル、コポリエステルおよび/またはデンプンもしくはデンプン系コーティングなどの任意の好適な材料を含んでいてもよい。好ましいコーティング材料は、生分解性コポリエステル、PLAなどの乳酸のポリマー、およびポリブチレンサクシネート(PBS)である。他の好適な材料としては、BASFからのEcoflexおよびEcovio、三菱からのGS PlaならびにBiome Bioplastics Limitedからのコーンスターチから作製された材料などが挙げられる。
【0014】
好ましくは、該コーティングは、乳酸とカプロラクトンとのいかなるコポリマーも含有しない。より好ましくは、該コーティングは、カプロラクトンを含有しない。
【0015】
好ましくは、該コーティングはヒートシール可能である。したがって、好ましい一実施形態において、本発明は、生分解性のヒートシール可能なコーティングを12gsm以下のコーティング重量で表面に有するセルロース系基材を含む被覆フィルムを提供する。
【0016】
生分解性ポリエステルは、コーティング材料として特に好適であることが見出されている。結果として、好ましい一実施形態において、本発明は、生分解性ポリエステルコーティングを12gsm以下のコーティング重量で表面に有するセルロース系基材を含む被覆フィルムを提供する。
【0017】
該コーティングは、該フィルムの片面または両面上に適用されていてもよく、該フィルムが両面上に被覆されているとき、第1の面上のコーティングは、第2の面上のコーティングと同じであってもまたは異なっていてもよく、異なっているときには、双方のコーティングが生分解性であることが好ましい。
【0018】
任意選択により、生分解性基材とコーティングとの間にプライマー層(primer layer)が提供されないが、いくつかの場合には、コーティングと基材との間にプライマー層または他の型の中間層を提供することが望ましいこともある。
【0019】
本発明のフィルムは、1つまたは複数のさらなる基材にラミネートされていてもよく、そのそれぞれまたはいずれかは、好ましくは生分解性であり、それらは、紙もしくはボール紙(cardboard)、またはPLAなどの他のバイオポリマー材料を含んでいてもよい。
こうしたラミネートの適用としては、一般的なパッケージングおよびリディング(liddin
g)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
好ましくは、該コーティング重量は、10gsm未満、より好ましくは9gsm未満、最も好ましくは8gsm未満、またはさらに6gsm、4gsmまたは2gsm未満である。
【0021】
特に好ましいコーティング重量範囲は、4.5gsm、5gsmまたは6gsmから10gsm、9gsm、8gsm、または7gsmまでである。
【0022】
該フィルム上のコーティングの厚さは、好ましくは約15μm未満、より好ましくは約12μm未満、さらにより好ましくは約10μm未満、最も好ましくは約8μm未満であり、7μm以下、または6μm以下程度の薄さであってもよい。
【0023】
特に好ましいコーティング厚範囲は、5μm、5.5μmまたは6μmから15μm、12μm、10μm、8μmまたは7μmまでである。
【0024】
該フィルムの全厚は、好ましくは約75μm未満、より好ましくは約50μm未満、さらにより好ましくは約35μm未満または約30μm未満である。
【0025】
実質的に生分解性の該基材は、キャストフィルム(cast film)を含むことが好ましい
【0026】
本発明者らは、ホットメルトコーティングプロセスによって適用された低コーティング重量(12gsm未満)のコーティングの提供により、実質的に生分解性の基材上で驚くほど良好なシール性がもたらされうることを見出している。
【0027】
したがって、本発明は、該コーティングがホットメルトまたは押出被覆プロセスによって適用された、前述の記載によるパッケージングフィルムを提供する。
【0028】
本発明によるパッケージングフィルムを製造するための方法において、好ましくは、該コーティングは、溶融した形態で押出機から、ダイ(die)に供給しているメルトポンプ
を含むホットメルトコーティングユニットまで供給され、このダイを通して、溶融したコーティングが該基材表面に押出される。
【0029】
このホットメルトコーティングプロセスにおいて、好ましくは、該コーティングは、カーテンダイを通して実質的に生分解性の基材上に、1対の逆回転ローラーを通して延伸しながら押出される。フィルムが被覆しながら延伸されることにより、必要な低コーティング重量が確実にされる。
【0030】
本明細書の文脈中の「カーテンダイ」は、ダイから出ている材料の実質的に連続して落下しているカーテン(curtain)を生じさせる、いかなる形状、構造および/または数の
ダイスロットまたはダイホールも含む。例えば、ダイは、1つまたは複数の(2つ以上ある場合には)共に直線状の細長いスロットおよび/または共に直線状の一続きのホールを含んでいてもよい。
【0031】
したがって、本発明は、実質的に生分解性のフィルム基材を用意することと、ホットメルトコーティングステップによって該基材に生分解性コーティングを12gsm未満のコーティング重量で適用することとを含む、パッケージングフィルムを製造するための方法も提供する。
【0032】
好ましくは、該フィルム基材は、コーティングステップ中に延伸される。好ましくは、該フィルム基材は、延伸方向にその元の寸法の少なくとも約10倍、好ましくは少なくとも約20倍、より好ましくは少なくとも約50倍、またはさらに100倍もしくは200倍程度の大きさまで延伸される。
【0033】
また好ましくは、該コーティングは、カーテンダイを通して該フィルム基材上にホットメルトとして押出される。
【0034】
該コーティングステップは、好ましくは約80℃から約280℃まで、より好ましくは約90℃から約250℃までの温度で行われる。
【0035】
好ましくは、該メルトのゼロ速度粘度(zero rate viscosity)は、約90Pa・sから1900Pa・sまでである。(この粘度は、例えば、190℃における発振周波数掃引回転レオロジー(oscillatory frequency sweep rotational rheology)から推定されうる。)
【0036】
記載の型の被覆された生分解性フィルムは、(例えば、約60℃から約180℃までのシール温度で)ヒートシール可能であって、一方のジョーを加熱して135℃、10psi、1/2秒間の停止時間でシールしたときに、300gを超える、好ましくは400gを超える、より好ましくは500gを超える、最も好ましくは600gを超えるシール強度を示すことが見出されている。好ましくは、該被覆フィルムのシール強度は、300g/25mmより大きく、より好ましくは400g/25mmより大きく、さらにより好ましくは約500g/25mmを超え、最も好ましくは約600g/25mmを超える。
【0037】
本発明のパッケージング物品中に使用される被覆フィルムは、好ましくは透明であるが、色素沈着、着色または金属化されたフィルムを含みうる。透明な場合、該フィルムは、約10%未満、より好ましくは約8%未満、最も好ましくは約6%未満の広角曇り度(wide angle haze)を有する。
【0038】
本発明のフィルムは、良好なバリア性を示す。好ましくは、本発明のフィルムは、20gsm/日未満、より好ましくは18gsm/日未満、最も好ましくは15gsm/日未満のWVTR(熱帯、38℃、90%RH)を示す。
【0039】
さらに、本発明者らは、本発明のフィルムが、被覆されていない基材と比較して著しく改良されたシール強度を可能にすることも見出している。したがって、本発明のフィルムは、好ましくは、被覆されていない生分解性基材よりも少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約50%、最も好ましくは少なくとも約100%高いシール強度を示す。
【0040】
本発明によってさらに提供されるのは、本発明の生分解性被覆フィルムを少なくとも部分的に含むパッケージの中にシールされた有用な物品である。
【0041】
本発明のパッケージング物品中に使用される被覆フィルムの特性、例えば、防湿性、芳香バリア性、シール強度、透明度、コーティング接着性、アンチミスト性および他の特性などは、該コポリマーを選択することもしくは適切な比率で混合することによって、またはそのコーティング組成物中に1種もしくは複数のさらなる添加物を組み込むことによって、改良または調整されうる。
【0042】
本発明のフィルム基材および/または被覆フィルムは、ポリ塩化ビニリデン、ニトロセルロース、パラフィンワックス、シリカ、チャイナクレイ、ポリエステル、キャンデリラワックス、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、水添ヒマシ油、ベヘン酸
、酸化ポリエチレンワックス、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリン、カルナバワックス、マレイン酸、エチルセルロース、スチレン無水マレイン酸、ポリ酢酸ビニル、ステアリン酸亜鉛、フタル酸ジシクロヘキシル、クエン酸アセチルトリブチル、ポリ塩化ビニル/ポリ酢酸ビニルコポリマー、アミドワックス、ロジンのグリセロールエステルおよびダイメレックス重合ロジンのうちの1種または複数から選択される、任意の数の好適な機能的または審美的な添加物を含んでいてもよい。
【0043】
該生分解性コーティングは、1種または複数の機能的または審美的な添加物、例えば、スリップ剤および/または粘着防止剤などと共に提供されてもよい。
【0044】
本発明による1つの被覆フィルムは、さらにまたは代わりに、そのコーティング組成物中に少なくとも1種のスチレン系コポリマーをそのコーティング組成物の乾燥重量の好ましくは約3%w/w未満、より好ましくは約2%w/w未満、最も好ましくは約1%w/w未満の量で含む。
【0045】
好ましくは、本発明のフィルムは、保証可能(certifiably)に生分解性である。これ
は、該フィルムが完全に生分解性であるか、または該フィルム中の非生分解性成分の総重量が現時点における従来の基準によって該フィルムが全体として生分解性であるとみなされるのに十分に低いかのいずれかを意味する。
【0046】
ここで、以下の実施例によって本発明をより詳細に説明する。
【0047】
実施例
実施例1および実施例2では、商品名Natureflexの下でInnovia Films Ltdから入手可能な23μmの食品認可されたセルロース系基材(23NK)を使用した。このNatureflex基材を、ホットメルトカーテンコーティングプロセスによって多様な生分解性コーティングで被覆した。コーティングは、Inatec
GMbH、Schneiderstrasse 73、D−40764、Langenfeld、Germanyによって供給された機械を使用して実施した。
【0048】
実験では、1社の販売業者から供給された2種の生分解性ポリマーを流した。これらのポリマーを、3つの異なるコーティング重量を目標として、23NKフィルム上に被覆した。これらのコーティング重量の目標は、12〜10gsm、6〜5gsmおよび3〜2gsmであった。この実験中に評価した2つの主な特性は、i)ベースフィルム(23NK)に対する接着性、ならびに、ii)A−AおよびA−Bの双方の、フィルムのシール性であった。ヒートシールは、温度計を使用して試験して120℃を測定した設定上で行った。
【0049】
ポリマー
2種のバイオポリマーコーティングをこれらの実施例において使用した。バイオポリマー1は植物油モノマーを有する生分解性ポリエステルであって、バイオポリマー2は生分解性ポリエステルであった。
【0050】
ポリマーを、ダイを通して押出し、次いで、約50mm滴下した後に、フィルムと接触させてニップローラーを通して流した。
【実施例1】
【0051】
バイオポリマー2
【0052】
【表1】
【0053】
温度を220℃から210℃まで低下させて、3および6gsmのコーティング重量を流した。
【0054】
観察:該ポリマーは、よく流れて良好なカーテンを示した。該ポリマーは、NKに対するテープ試験の下で良好な接着性、ならびにバイオポリマー−バイオポリマーおよびバイオポリマー−NKの双方についてヒートシールの引裂きを示した。
【実施例2】
【0055】
バイオポリマー1
【0056】
【表2】
【0057】
観察:該ポリマーは、NKに対するテープ試験の下でおそらくこれまでのところ最良の良好な接着性、ならびにバイオポリマー−バイオポリマーおよびバイオポリマー−NKの双方についてヒートシールの引裂きを示した。
【0058】
評価した試料は、
Bio−Polymer1は、3gsm、6gsm、および12gsmにつき
Bio−Polymer2は、3gsm、6gsm、および12gsmにつき
【0059】
これらの試料を、ヒートシール強度、ホットタック性、ジョーレリース性(jaw release)、およびWVPについて試験した。
【0060】
これらの実験についての最終的なフィルムの目標は、どのポリマーが1000g/25mmのヒートシールを達成したか決定すること、第2に、そうするのに必要とされた最低コーティング重量はどのくらいか、およびさらに他のフィルム特性に対する何らかの潜在的な影響を評価することであった。
【0061】
双方のポリマーに関して、いずれもスリップ剤またはアンチブロック剤などのいかなるさらなる添加物も含有していないが、本明細書中で述べているように、必要に応じて1種または複数の添加物を組み込むことは可能である。
【0062】
1)ヒートシール強度(NK規格値−225g/25mm、135℃において)
a)ヒートシール強度から、BIO−POLYMER1においては110℃および135℃の双方で12gsmで、BIO−POLYMER2においては110℃のみで、ポリマー−ポリマーヒートシールについて1000g/25mmより大きい平均が達成された。
b)BIO−POLYMER1においては3および6gsmの双方のコーティング重量で、ポリマー−ポリマーについて1000g/25mm超の個々のヒートシール性が認められた。
c)100g/25mm未満のきわめて低いヒートシール性が認められた。破壊モードは、これが、引裂きを伝播し、したがって、人為的に低い結果を伝える、シールにおける欠陥によるものであったことを示すはずである。
d)NK−ポリマーについて、平均ヒートシール強度は、ポリマーコーティング重量によってそれほど影響されず、BIO−POLYMER2では、双方の温度で約400g/25mmであり、BIO−POLYMER1では、110℃で約400g/25mm、135℃で約550〜600g/25mmである。
e)ヒートシール強度を、10シールの平均として記録した。各ヒートシールについて破壊モードを書き留めた。
f)破壊モードは、以下の3つの大まかなカテゴリーに分けられた:
i)層間剥離のない伝統的なシールの剥離(結果中のタイプg)。(この目的では、層間剥離は、ポリマー押出コーティングがセロハン基材から離れる場合を説明するのに使用される)
ii)シールが破壊されている溶着シール(タイプeおよびf)
iii)セロハン基材からのポリマーの層間剥離を有するシールの剥離。この場合、いくつかのシールは、シールの全長にわたって剥離されて開き、その他の場合には、シールの引裂きのように溶着への前兆となった。(タイプa〜d)
g)大半のヒートシールは、シールの引裂きまたはポリマー層の層間剥離のいずれかによってフィルムを破壊する結果となった。
h)結果より、BIO−POLYMER1ポリマーの主な破壊モードは上記のカテゴリーii)であるとみなされうる。一方、BIO−POLYMER2では、それはカテゴリーiii)である。
i)ピリジンを使用して、引き離されたヒートシールを分析することにより、PVdCは、層間剥離されたポリマー上に認められ、セロハンフィルム上にはないので、破壊点は、セロハン−PVdC境界面にあることが示唆される。
2)ホットタック性
a)すべての場合において、フィルム試料は150gの重量で合格し、良好なホットタック性を示した。
3)ホットシールジョーレリース性、典型的な規格値−30g/5cm2以下
a)JRは、双方のポリマーについて所与の温度で、コーティング重量の増加と共に上昇した。
b)BIO−POLYMER1は、対応するBIO−POLYMER2の試料よりも良好に機能した。
c)JRは、双方のポリマーについて所与のコーティング重量で、温度の上昇と共に低下した。
【0063】
結果
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】
【表6】
【0068】
破壊モード
a.バイオポリマーがヒートシールの両面上のNKから層間剥離しているシールの剥離。
b.片面の端から残りのシール領域へと引き裂かれ始めているシールの剥離。
c.シールが引き裂かれ始めているが、外側のバイオポリマー層が層間剥離して1枚の完全なフィルムとして離れているような完全な引裂きは達成されていない。
d.シールが完全に引き裂かれる前に該NKの両面からバイオポリマーが層間剥離している。
e.シールが開口部の最初の10%の範囲内で完全に引き裂かれている(溶着シール)。
f.シールが最初に剥離した後に完全に引き裂かれている(溶着シール)。
g.通常のタイプのシールの剥離。
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】
【0071】
【表9】
【実施例3】
【0072】
バイオポリマー3および4
40μmの食品認可された再生セルロース系フィルム基材を使用した。このフィルム基材を、標準的な押出被覆プロセスによって多様な生分解性コーティングで被覆した。使用したコーティング機械は、該フィルム基材の上方に吊着された平ダイに、溶融したポリマーを供給している押出機で構成されていた。このダイから押出されたポリマーのカーテンは、2つのローラーの間のニップの直前に該フィルム基材と接触した。これらのローラーうちの1つは、水で冷却された平滑仕上げのクロムローラーであった。ポリマーコーティングは、冷却されたローラーと接触して、固体化した。
【0073】
この実験では、以下の2種の市販の生分解性ポリマーを流した:
BIO−POLYMER3:Danimer Scientificによって供給されたDanimer26806
BIO−POLYMER4:BASFによって供給されたEcoflex SBX7025
【0074】
これらのポリマーを、7gsmから11gsmまでの範囲に及ぶ多様なコーティング重量で該フィルム基材上へ被覆した。
【0075】
この実験中に評価した特性には、ベースフィルムに対する接着性、広角曇り度(WAH)、100℃および135℃におけるヒートシール強度、ホットタック性、WVPならびに縦方向(MD)および横方向(TD)における引裂抵抗性が含まれていた。
【0076】
結果
【0077】
【表10】
【0078】
上記は、本発明の特定の例を示しているものであって、添付の特許請求の範囲において
より詳細に定義されることが理解されよう。