(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-197063(P2016-197063A)
(43)【公開日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20161028BHJP
【FI】
G01R31/28 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-77279(P2015-77279)
(22)【出願日】2015年4月4日
(71)【出願人】
【識別番号】511198841
【氏名又は名称】平 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】平 豊
【テーマコード(参考)】
2G132
【Fターム(参考)】
2G132AA20
2G132AB01
2G132AC01
2G132AD01
2G132AD10
2G132AE14
2G132AE16
2G132AE18
2G132AE22
2G132AG02
2G132AL33
(57)【要約】
【課題】検査対象の電気回路の詳細を知らなくても検査手順を作成可能な検査装置を提供する。
【解決手段】 電気回路を有した検査対象に対し、予め決められた複数種類の信号を順次に入力する信号入力部と、前記検査対象で生じた消費電力およびノイズのうち少なくとも一方を前記複数種類の信号それぞれの入力に対応して測定する測定部と、消費電力およびノイズのうち前記測定部で測定されたものを、前記検査対象に対する良品におけるそれと比較することで、該検査対象の良否を判定する判定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路を有した検査対象に対し、予め決められた複数種類の信号を順次に入力する信号入力部と、
前記検査対象で生じた消費電力およびノイズのうち少なくとも一方を前記複数種類の信号それぞれの入力に対応して測定する測定部と、
消費電力およびノイズのうち前記測定部で測定されたものを、前記検査対象に対する良品におけるそれと比較することで、該検査対象の良否を判定する判定部と、
を備えたことを特徴とする検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に代表される、電気回路を有した検査対象の良否を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板を検査する検査装置としてファンクションテスタが知られている。
例えば特許文献1には、検査手順を変更可能なファンクションテスタが開示されており、例えば特許文献2には、スピーカ音量の調整機能を自動的に検査可能とする遊技機用のファンクションテスタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−198357号公報
【特許文献2】特開2004−267487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファンクションテスタは、検査対象が有している電気回路がどのような入力に対してどのような出力を生じるのか詳細に理解して検査手順を作成する必要があるが、開発者はそのような詳細な理解を有していても、検査者は一般にはそのような詳細な理解を有さず、開発者の協力を得なければ検査手順を作ることができない。しかしながら、そのような協力は必ずしも得られるものでは無く、開発者の協力無しでも検査が可能なように、検査対象の電気回路の詳細を知らなくても検査手順を作成可能な検査装置が望まれている。
本発明は、検査対象の電気回路の詳細を知らなくても検査手順を作成可能な検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の検査装置は、
電気回路を有した検査対象に対し、予め決められた複数種類の信号を順次に入力する信号入力部と、
前記検査対象で生じた消費電力およびノイズのうち少なくとも一方を前記複数種類の信号それぞれの入力に対応して測定する測定部と、
消費電力およびノイズのうち前記測定部で測定されたものを、前記検査対象に対する良品におけるそれと比較することで、該検査対象の良否を判定する判定部と、
を備えている。
【0006】
ここで、「良品におけるそれ」とは、測定部で消費電力が測定される場合には消費電力を意味し、測定部でノイズが測定される場合にはノイズを意味し、測定部で消費電力とノイズの双方が測定される場合には消費電力とノイズの双方を意味する。
検査対象の消費電力やノイズは、良品と不良品とでは値やパターンなどが異なり、良品同士では値やパターンなどが一致することが期待できる。また、消費電力やノイズは、検査対象に対する入力信号の変化で値やパターンなどが変化することも期待できる。このため、既存の良品が1つあれば、種々の入力信号に対して良品で生じる消費電力やノイズと検査対象で生じる消費電力やノイズとを比較することによって検査対象の良否を判断することができる。そして、消費電力やノイズが変化するような入力信号のバリエーション(即ち検査手順)は、検査対象が有する電気回路の詳細を理解していなくても、既存の良品に対して入力を試すことで作成することができる。
【0007】
本発明の検査装置は、
前記測定部が、消費電力およびノイズの双方を測定するものであり、
前記判定部が、消費電力の比較とノイズの比較とを行って検査対象の良否を複合的に判断するものであることが好ましい。
このような好ましい検査装置によれば、消費電力およびノイズによる複合判断により、より正確な検査が可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の検査装置によれば、検査対象の電気回路の詳細を知らなくても検査手順を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の検査装置の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の検査装置の実施形態を示す図である。
本実施形態の検査装置1は、測定機10と判定機20とが接続された構成を有し、判定機20はパーソナルコンピュータである。
測定機10には、検査対象である基板2を搭載し、基板2の電気回路とピン11で接続する載置台12が備えられている。本実施形態では、図示を省略した電源装置から載置台12のピン11を介して基板2の電源ラインに電力が供給されて基板2が動作するものとするが、本発明における検査対象は、内部電源で動作するものであってもよい。また、本実施形態における検査対象の基板2は、例えば、ユーザによるスイッチ操作などを表した操作信号や、センサによる検知結果を表したセンサ信号などの入力を受け、内部で演算処理を行い、画面表示やモータ駆動などを表した出力信号を出力する基板であるものとする。但し、本発明における検査対象は、操作子やセンサが搭載された基板であっても良く、表示画面やモータなどが搭載された基板であっても良い。更に、本発明における検査対象は、電気回路を有するが基板ではない機器であってもよい。
【0011】
測定機10の内部には、基板2に信号を入力する信号入力部13と、基板2の消費電力(消費電流)を測定する電力測定部14と、基板2で生じるノイズを測定するノイズ測定部15が備えられている。これら信号入力部13、電力測定部14、およびノイズ測定部15それぞれによる入力や測定は、本実施形態では載置台12のピン11を介して実行されるものとするが、電力やノイズは、例えば既知のセンサを用いて非接触で測定してもよい。
【0012】
信号入力部13は、例えば基板2に入力されるセンサー信号を模擬した信号パターンや基板2の動作を操作するための操作信号を模擬した信号パターンなど予め決められた複数の入力信号パターンを順次に基板2に入力する。この信号入力部13が、本発明にいう信号入力部の一例に相当する。
【0013】
電力測定部14は、信号入力部13が入力する入力信号パターン毎に消費電力を測定する。ノイズ測定部15は、例えば電源ラインに基板2の動作に伴って発生する電圧ノイズなどを入力信号パターン毎に測定する。ここで測定されるノイズは、例えば、本来一定である電源ラインの電圧に対して重畳された電圧変動である。これら電力測定部14とノイズ測定部15とを併せたものが、本発明にいう測定部の一例に相当する。
【0014】
電力測定部14およびノイズ測定部15による測定結果は判定機20へと送られる。判定機20は上述したようにパーソナルコンピュータであり、判定ソフトウェアがインストールされて実行されることで判定機20として動作する。
判定機20は内蔵したハードディスクなどの記憶装置に、基板2の良品における入力信号パターン毎の消費電力やノイズを記憶しており、測定機10から送られてきた消費電力やノイズの測定値を取り込んで記憶装置に記憶する。そして、判定機20は、良品における消費電力やノイズと、検査対象における測定値とをディスプレイ21上にグラフ22として重ねて表示する。この表示されたグラフ22を見ることで、良品と検査対象とで消費電力やノイズがどの程度一致しているかを視覚的に確認することができる。
【0015】
また、判定機20は、良品における消費電力やノイズと検査対象における測定値とを数値として比較し、差分値を算出する。差分値は、良品における消費電力やノイズの値に対する比率として算出され、例えば5%というように予め決められた閾値を超えているか否かが確認される。そして、判定機20は、消費電力やノイズの少なくとも一方で差分値が閾値を超えている場合には、検査対象の基板2が不良品であると判定する。このように、消費電力とノイズで複合的に良否が判断されることにより、消費電力かノイズの一方のみで良否が判断される場合に較べて精度のよい判断が実現する。
【0016】
なお、消費電力の場合には、例えば、1つの入力信号パターンの入力中における平均値やピーク値で差分値が算出されるのが好ましく、ノイズの場合には、例えば、ノイズの周波数毎に差分値が算出されるのが好ましい。
判定機20でこのように判定された結果は、ディスプレイ21上に表示されるとともに記憶装置にも記憶される。
【0017】
なお、上記説明では、良品について消費電力やノイズが予め記憶されている例が示されているが、本発明の検査装置は、良品と検査対象とを同時並行で測定して比較するものであってもよい。
また、上記説明では、本発明の検査装置を単独で使用する例が示されているが、本発明の検査装置はファンクションテスタと併用してもよい。ファンクションテストであっても、例えば、検査対象に接続されるオンオフスイッチからの信号でオンオフされる出力信号などのように、検査対象の電気回路の詳細を理解していなくても、検査対象の基本的機能などから作成可能な検査手順があるため、そのような検査手順も使って複合的に良否判定を行うことでより一層検査精度を向上させることができる。
【0018】
また、上記説明では、消費電力とノイズの双方について測定する例が示されているが、本発明にいう測定部は、消費電力およびノイズの一方だけを測定するものであっても良い。
また、上記説明では、本発明の検査装置の一部がパーソナルコンピュータで実現された例が示されているが、本発明の検査装置は、全体がパーソナルコンピュータで実現されても良いし、全体が専用のハードウェアで実現されても良い。
【符号の説明】
【0019】
1 検査装置
2 基板
10 測定機
11 ピン
12 載置台
13 信号入力部
14 電力測定部
15 ノイズ測定部
20 判定機