特開2016-197985(P2016-197985A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイテクトの特許一覧
<>
  • 特開2016197985-パワーモジュール 図000003
  • 特開2016197985-パワーモジュール 図000004
  • 特開2016197985-パワーモジュール 図000005
  • 特開2016197985-パワーモジュール 図000006
  • 特開2016197985-パワーモジュール 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-197985(P2016-197985A)
(43)【公開日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】パワーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20161028BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-119446(P2015-119446)
(22)【出願日】2015年6月12日
(31)【優先権主張番号】特願2015-76775(P2015-76775)
(32)【優先日】2015年4月3日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小島 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】山下 学
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA17
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA41
5H770HA02W
5H770HA02X
5H770HA02Z
5H770HA03W
5H770HA03X
5H770HA04W
5H770HA04Y
5H770HA07Z
5H770JA17W
5H770JA17Y
5H770LA05X
5H770LA07X
5H770QA01
5H770QA12
5H770QA14
(57)【要約】
【課題】より寿命を延ばすことができるパワーモジュールを提供する。
【解決手段】電源バスバー41とグランドバスバー42との間において、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wは基板31の長手方向に沿ってそれぞれ並列に配置されている。電源バスバー41とグランドバスバー42の間には、基板31の長手方向における一端(図2の左端)から順に、U相のハーフブリッジ13u、T字状の電源バスバー41の一部(延長部41b)、V相のハーフブリッジ13v、およびW相のハーフブリッジ13wが配置されている。各相のモータ端子52u,52v,52wは、基板31における入力端子50および出力端子51の設けられた端部と同じ端部(図2の下部)に配置されている。入力端子50は、U相モータ端子52uとV相モータ端子52vの間に設けられている。また、出力端子51は、V相モータ端子52vとW相モータ端子52wの間に設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのスイッチング素子が直列に接続されてなり、互いに並列に接続される複数のハーフブリッジと、
前記複数のハーフブリッジの第1の端部にそれぞれ直流電力を供給するための入力端子と、
前記複数のハーフブリッジの第2の端部をそれぞれグランドへ接続するための出力端子と、
各スイッチング素子のスイッチングに基づき生成される交流電力をそれぞれモータに供給する複数のモータ端子と、を備え、
前記入力端子および前記出力端子ならびに前記複数のモータ端子は、前記ハーフブリッジの並んだ方向に対して垂直な方向に配置され、
前記入力端子および前記出力端子は、前記複数のモータ端子の間に配置されているパワーモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のパワーモジュールにおいて、
前記入力端子および前記出力端子の間には、前記モータ端子が少なくとも1つ配置されているパワーモジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパワーモジュールにおいて、
前記複数のハーフブリッジの第1の端部同士を接続するバスバーを有し、
当該バスバーには互いに隣り合う前記ハーフブリッジの間に延長される延長部が設けられ、
前記延長部には前記入力端子が接続されているパワーモジュール。
【請求項4】
請求項3に記載のパワーモジュールにおいて、
前記延長部には、前記入力端子と前記複数のハーフブリッジとの間の給電経路を開閉する電源リレーが設けられているパワーモジュール。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のパワーモジュールにおいて、
前記入力端子と前記複数のハーフブリッジとの間の給電経路を開閉する電源リレーと、
前記ハーフブリッジの並んだ方向における、前記入力端子および前記出力端子と反対側に設けられて、前記複数のハーフブリッジのスイッチング素子および前記電源リレーにそれぞれ制御信号を印加する複数の制御端子とを有し、
前記複数のハーフブリッジのうち、一のハーフブリッジのスイッチング素子と接続された前記制御端子と、他のハーフブリッジのスイッチング素子と接続された前記制御端子との間に、前記電源リレーと接続された前記制御端子が配置されているパワーモジュール。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のパワーモジュールにおいて、
前記ハーフブリッジの並んだ方向における、前記入力端子および前記出力端子と反対側に設けられて、前記複数のハーフブリッジのスイッチング素子にそれぞれ制御信号を印加する複数の制御端子を有し、
前記複数のハーフブリッジのうち、一のハーフブリッジのスイッチング素子が接続された前記制御端子と、他のハーフブリッジのスイッチング素子が接続された前記制御端子との間に、実際には機能しない制御端子であるダミー端子または当該ダミー端子に代わる隙間が設けられているパワーモジュール。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のパワーモジュールにおいて、
前記モータは3相モータであり、
前記ハーフブリッジおよび前記モータ端子はそれぞれ前記モータの3相に対応して3つずつ設けられ、
3相のうちの1相に対応する前記モータ端子は、前記入力端子と前記出力端子との間に配置され、
他の2相に対応する2つの前記モータ端子は、前記入力端子および前記出力端子を挟むように配置されているパワーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電動パワーステアリング装置は、アシスト力の発生源である電動モータを有している。電動モータは、たとえばモータ駆動用のインバータ回路を含むパワーモジュールによって駆動される。たとえば、特許文献1に記載されるように、3相交流電力を生成する半導体素子群、正極直流端子、負極直流端子、電源入力端子、電源出力端子等を一体化したパワーモジュールが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−72316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示されるパワーモジュールでは、電源入力端子、電源出力端子がそれぞれ1つ設けられており、3相(U,V,W)のインバータ回路のブロックはそれぞれ隣り合っている。ちなみに、当該ブロックとは、3相のインバータ回路を相ごとに分けて見たときの構成部分である。各ブロックと電源入力端子との間の距離は全て異なるところ、各ブロックと電源入力端子の間の距離が大きくなるほど、パワーモジュールのインダクタンスは大きくなる。パワーモジュールのインダクタンスが大きくなるほど、パワーモジュールのサージ電圧も大きくなるので、パワーモジュールの寿命が短くなるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、より寿命を延ばすことができるパワーモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成しうるパワーモジュールは、2つのスイッチング素子が直列に接続されてなり、互いに並列に接続される複数のハーフブリッジと、前記複数のハーフブリッジの第1の端部にそれぞれ直流電力を供給するための入力端子と、前記複数のハーフブリッジの第2の端部をそれぞれグランドへ接続するための出力端子と、各スイッチング素子のスイッチングに基づき生成される交流電力をそれぞれモータに供給する複数のモータ端子と、を備え、前記入力端子および前記出力端子ならびに前記複数のモータ端子は、前記ハーフブリッジの並んだ方向に対して垂直な方向に配置され、前記入力端子および前記出力端子は、前記複数のモータ端子の間に配置されている。
【0007】
この構成によれば、入力端子および出力端子ならびにモータ端子は、基板の各ハーフブリッジの並ぶ方向に対して垂直な方向に配置されているため、より各ハーフブリッジを介した給電経路の距離の差を小さくできる。このため、各ハーフブリッジのインダクタンス差は低減され、パワーモジュールの寿命を延ばすことができる。
【0008】
上記のパワーモジュールにおいて、前記入力端子および前記出力端子の間には、前記モータ端子が少なくとも1つ配置されていることが好ましい。
この構成によれば、入力端子と出力端子の間にモータ端子が配置されることにより、入力端子と出力端子がショートした場合でも、より確実にモータを駆動することができる。
【0009】
上記のパワーモジュールにおいて、前記複数のハーフブリッジの第1の端部同士を接続するバスバーを有し、当該バスバーには互いに隣り合う前記ハーフブリッジの間に延長される延長部が設けられ、前記延長部には前記入力端子が接続されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、隣り合うハーフブリッジの間に延長部が設けられるため、各ハーフブリッジの並んだ方向における端部に延長部が配置される場合に比べて、より各ハーフブリッジのインダクタンスの差を低減できる。
【0011】
上記のパワーモジュールにおいて、前記延長部には、前記入力端子と前記複数のハーフブリッジとの間の給電経路を開閉する電源リレーが設けられていてもよい。
この構成によれば、延長部に電源リレーが設けられることにより、電源リレーを配置するためのバスバーを別個に設ける必要がない。また、延長部に電源リレーを配置するため、パワーモジュールの規模を小さくするのに寄与する。
【0012】
上記のパワーモジュールにおいて、前記入力端子と前記複数のハーフブリッジとの間の給電経路を開閉する電源リレーと、前記ハーフブリッジの並んだ方向における、前記入力端子および前記出力端子と反対側に設けられて、前記複数のハーフブリッジのスイッチング素子および前記電源リレーにそれぞれ制御信号を印加する複数の制御端子とを有し、前記複数のハーフブリッジのうち、一のハーフブリッジのスイッチング素子と接続された前記制御端子と、他のハーフブリッジのスイッチング素子と接続された前記制御端子との間に、前記電源リレーと接続された前記制御端子が配置されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、一のハーフブリッジのスイッチング素子と接続された制御端子と他のハーフブリッジのスイッチング素子と接続された制御端子との間に電源リレーと接続された制御端子を配置することにより、一のハーフブリッジの制御端子と他のハーフブリッジの制御端子がショートすることを抑制できる。このため、より確実にモータを駆動することができる。
【0014】
上記のパワーモジュールにおいて、前記ハーフブリッジの並んだ方向における、前記入力端子および前記出力端子と反対側に設けられて、前記複数のハーフブリッジのスイッチング素子にそれぞれ制御信号を印加する複数の制御端子を有し、前記複数のハーフブリッジのうち、一のハーフブリッジのスイッチング素子が接続された前記制御端子と、他のハーフブリッジのスイッチング素子が接続された前記制御端子との間に、実際には機能しない制御端子であるダミー端子または当該ダミー端子に代わる隙間が設けられていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、一のハーフブリッジのスイッチング素子の制御端子と他のハーフブリッジのスイッチング素子の制御端子との間にダミー端子またはダミー端子に代わる隙間を設けることにより、一のハーフブリッジのスイッチング素子の制御端子と他のハーフブリッジのスイッチング素子の制御端子がショートすることを抑制できる。このため、より確実にモータを制御することができる。
【0016】
上記のパワーモジュールにおいて、前記モータは3相モータであり、前記ハーフブリッジおよび前記モータ端子はそれぞれ前記モータの3相に対応して3つずつ設けられ、3相のうちの1相に対応する前記モータ端子は、前記入力端子と前記出力端子との間に配置され、他の2相に対応する2つの前記モータ端子は、前記入力端子および前記出力端子を挟むように配置されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、各ハーフブリッジのインダクタンス差は低減され、パワーモジュールの寿命を延ばすことができる。第1の相と他の2相との間の給電経路の距離の差が小さくなるためである。また、入力端子と出力端子の間に第1の相のモータ端子が配置されることにより、入力端子と出力端子がショートした場合でも、より確実にモータを駆動することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のパワーモジュールによれば、より寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態のパワーモジュールを用いた駆動装置の概略構成を示す回路図。
図2】第1の実施形態のパワーモジュールについて、その概略構成を示す構造図。
図3】第2の実施形態のパワーモジュールを用いた駆動装置の概略構成を示す回路図。
図4】第2の実施形態のパワーモジュールについて、その概略構成を示す構造図。
図5】他の実施形態のパワーモジュールについて、その概略構成を示す構造図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
以下、パワーモジュールを車両用駆動装置に適用した一実施形態を図面に従って説明する。
【0021】
図1に示す駆動装置1は、車両の操舵系にアシスト力を付与するためのモータ2に電力を供給するためのものである。モータ2には、3相(U相,V相,W相)のブラシレスモータが採用されている。駆動装置1は、モータ2に電力を供給するパワーモジュール3と、パワーモジュール3の動作を制御するマイクロコンピュータ(マイコン)4とを備えている。パワーモジュール3は、モータ2へ3相交流電力を供給するインバータ回路10と、異常時にバッテリ11からインバータ回路10への給電経路を遮断する電源リレー5を有している。
【0022】
電源リレー5は、バッテリ11とインバータ回路10(上側FET12Hu,12Hv,12Hw)との間の給電経路上に設けられている。電源リレー5は、電源リレー用の2つのFET5a,5bを有している。これらFET5a,5bは互いに直列に接続されている。通常、FET5a,5bはオン状態に維持される。たとえば、給電経路において、断線故障やショート故障などの異常が生じた場合、FET5a,5bはオフへ切り替えられる。バッテリ11とインバータ回路10との間の給電経路が遮断されることにより、バッテリ11からモータ2への給電も遮断される。なお、FET5a,5bのオンオフはマイコン4により制御される。FET5aには、バッテリ11からインバータ回路10への通電を規制する寄生ダイオードDが設けられている。また、FET5bには、インバータ回路10からバッテリ11への通電を規制する寄生ダイオードDが設けられている。
【0023】
インバータ回路10は、複数のスイッチング素子を有し、それらのスイッチング素子をオンまたはオフすることにより、車載されるバッテリ11からの直流電力を3相交流電力に変換する。すなわち、インバータ回路10は、バッテリ11側に接続される第1スイッチング素子としての上側FET(電界効果型トランジスタ)12Hu,12Hv,12Hwと、グランド側に接続される第2スイッチング素子としての下側FET12Lu,12Lv,12Lwとを有している。インバータ回路10は、上側FET12Huと下側FET12Luを直列に接続したハーフブリッジ(スイッチングアーム)13uと、上側FET12Hvと下側FET12Lvを直列に接続したハーフブリッジ13vと、上側FET12Hwと下側FET12Lwを直列に接続したハーフブリッジ13wとを並列に接続することにより形成されている。
【0024】
上側FET12Hu,12Hv,12Hwのドレイン電極deは、ドレイン配線15u,15v,15wを介してバッテリ11にそれぞれ接続されている。下側FET12Lu,12Lv,12Lwのソース電極seは、ソース配線16u,16v,16wを介してグランドにそれぞれ接続されている。また、上側FET12Hu,12Hv,12Hwのソース電極seと、下側FET12Lu,12Lv,12Lwのドレイン電極deは、中間配線17u,17v,17wを介して互いに接続されている。そして、中間配線17u,17v,17w(ハーフブリッジ13u,13v,13wの中点)は、動力線18u,18v,18wを介してそれぞれ各相のモータコイル2u,2v,2wに接続されている。なお、上側FET12Hu,12Hv,12Hw及び下側FET12Lu,12Lv,12Lwには、ソース電極se側からドレイン電極de側への通電を許容する寄生ダイオードDが設けられている。
【0025】
マイコン4は、ゲート配線19u,19v,19wを介して上側FET12Hu,12Hv,12Hw及び下側FET12Lu,12Lv,12Lwのゲート電極geにそれぞれ接続されている。マイコン4はたとえば車載される各種のセンサにより検出される操舵トルクやモータ2の回転角などの状態量を取り込み、これらの状態量に基づいてモータ制御信号を生成する。そして、マイコン4は、各ゲート電極geにモータ制御信号(電圧信号)を印加することにより、上側FET12Hu,12Hv,12Hw及び下側FET12Lu,12Lv,12Lwのオンオフを制御する。モータ制御信号に応じて上側FET12Hu,12Hv,12Hw及び下側FET12Lu,12Lv,12Lwがオンオフすることにより、バッテリ11の直流電力が3相交流電力に変換される。当該変換される3相の交流電力は、動力線18u,18v,18wを介してモータ2へと供給される。
【0026】
また、インバータ回路10において、動力線18u,18v,18wには、モータリレー用のFET14u,14v,14wが設けられている。マイコン4は、動力線18u,18v,18wにおいて、各ハーフブリッジ13u,13v,13wと各FET14u,14v,14wとの間に設けられる検出線22u,22v,22wを介して、各相の交流電力を検出する。通常、FET14u,14v,14wは、オン状態に維持される。これらFET14u,14v,14wは、たとえばインバータ回路において断線故障やショート故障が生じた場合に、オフへと切り替えられる。インバータ回路10とモータ2との間の給電経路(動力線18u,18v,18w)が遮断されることにより、インバータ回路10からモータ2への給電が遮断される。各FET14u,14v,14wのゲート電極geはそれぞれゲート配線20u,20v,20wを介して、マイコン4に接続されている。マイコン4は、各FET14u,14v,14wのオンオフを制御する。
【0027】
また、マイコン4は、ゲート配線6a,6bを介して電源リレー用のFET5a,5bのゲート電極geにそれぞれ接続されている。マイコン4は、FET5a,5bのオンオフを制御する。また、マイコン4は、検出線6cを介してバッテリ11とインバータ回路10との間の給電経路に接続されている。ここでは、一例として、マイコン4は給電経路における電源リレー5とインバータ回路10との間に接続されている。マイコン4は、検出線6cを介して、バッテリ11からインバータ回路10へ供給される直流電力を検出する。
【0028】
また、本実施形態では、モータ2に実際に付与される電流の検出方式として、3シャント方式が採用されている。3シャント方式では、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wとグランドとの間に、それぞれシャント抵抗21u,21v,21wが設けられる。マイコン4は、シャント抵抗21u,21v,21wに電流が流れる際の両端電圧を検出することで、モータ2の各相に流れる実電流値を検出する。
【0029】
つぎに、パワーモジュール3の内部構造について説明する。
図2に示すように、パワーモジュール3は長方形状の基板31を有している。基板31の周縁部はモールド樹脂30で覆われている。基板31上には導電体としてのバスバー群40と、インバータ回路10を構成する各FETと、シャント抵抗21u,21v,21wと、制御端子群60とが配置されている。
【0030】
図2に示すように、バスバー群40は、電源バスバー41およびグランドバスバー42を含んでいる。基板31をその面に直交する方向から見たとき、電源バスバー41およびグランドバスバー42は全体としてH字状を呈している。電源バスバー41は、基板31の長手方向に沿う方向に延びる端部41aと、短手方向に沿う延長部41bとからT字状をなしている。延長部41bは、第1延長部41cと第2延長部41dにより構成されている。第2延長部41dは、端部41aに連結されている。第1延長部41cと第2延長部41dは、基板31の短手方向においてわずかに離れた状態で配置されている。グランドバスバー42は基板31の長手方向に沿って線状に形成されている。また、電源バスバー41(正確には、延長部41b)とグランドバスバー42は、それぞれ基板31の短手方向においてわずかに離れている。
【0031】
第1延長部41cには電源リレー用のFET5aが配置されている。第2延長部41dには電源リレー用のFET5bが配置されている。FET5aとFET5bの間はクリップリード5cを介して相互に接続されている。なお、延長部41b(第1延長部41cおよび第2延長部41d)には各相のハーフブリッジ13u,13v,13wに供給される電流が全て集中するため、延長部41bの幅(基板31の長手方向における長さ)は大きく設定されている。なお、延長部41bの幅は、延長部41bに集中する電流を流すために必要とされる断面積が確保される程度の大きさに設定される。
【0032】
電源バスバー41(正確には、電源バスバー41の基板31の短手方向に沿って延びる延長部41b)には、バッテリ11の正極端子に接続される入力端子(電源端子)50が取り付けられている。入力端子50は、基板31の短手方向に沿って延び、入力端子50における電源バスバー41と反対側の端部(図2中の下端)は、モールド樹脂30を貫通して外部に突出している。また、グランドバスバー42には、グランドに接続される出力端子(グランド端子)51が取り付けられている。出力端子51も基板31の短手方向に沿って延び、出力端子51におけるグランドバスバー42と反対側の端部(図2中の下端)は、モールド樹脂30を貫通して外部に突出している。なお、入力端子50は、電源バスバー41には接触するが、グランドバスバー42には接触していない。
【0033】
また、制御端子群60は、モールド樹脂30における、入力端子50および出力端子51の設けられた端部と反対側の端部(図2の上部)に設けられている。制御端子群60の一端(図2中の下端)はモールド樹脂30に埋設され、他端(図2中の上端)はモールド樹脂30の外部に突出している。制御端子群60を介して、基板31上のFETなどの電子部品はマイコン4に接続される。マイコン4は、制御端子群60を介して、FETなどの電子部品に制御信号を印加することにより、FETなどの電子部品を制御する。
【0034】
なお、制御端子群60は、U相の制御端子61u〜66uと、V相の制御端子61v〜66vと、W相の制御端子61w〜66wと、電源リレー5の制御端子70〜72とを有している。基板31の長手方向において、U相の制御端子61u〜66u、電源リレー用の制御端子70〜72、V相の制御端子61v〜66v、W相の制御端子61w〜66wの順に配置されている。すなわち、U相の制御端子61u〜66uとV相の制御端子61v〜66vとの間には、電源リレー用の制御端子70〜72が配置されている。
【0035】
バッテリ11からの直流電力は、入力端子50および電源バスバー41を介して、各相(U相、V相、W相)のハーフブリッジ13u,13v,13wへ供給される。この直流電力は、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wにより交流電力へ変換され、この変換された交流電力は、各相のモータ端子52u,52v,52wを介して、モータ2へ供給される。
【0036】
電源バスバー41とグランドバスバー42との間において、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wは基板31の長手方向に沿ってそれぞれ並列に配置されている。具体的に、電源バスバー41(正確には、基板31の長手方向に沿って延びる端部41a)とグランドバスバー42の間には、基板31の長手方向における一端(図2の左端)から順に、U相のハーフブリッジ13u、T字状の電源バスバー41の一部(正確には、基板31の短手方向に沿って延びる延長部41b)、V相のハーフブリッジ13v、およびW相のハーフブリッジ13wが配置されている。電源バスバー41には、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wの配置に応じて、上側FET12Hu,12Hv,12Hwが、基板31の長手方向に沿ってそれぞれ並列に配置されている。上側FET12Hu,12Hv,12Hwのゲート電極geは、制御端子63u,63v,63wに接続されている。また、上側FET12Hu,12Hv,12Hwのソース電極seは、制御端子62u,62v,62wに接続されている。なお、これは図1において、検出線22u,22v,22wが動力線18u,18v,18wに接続されていることと対応している。
【0037】
なお、一例として、上側FET12Hu,12Hv,12Hw、下側FET12Lu,12Lv,12Lw、およびモータリレー用のFET14u,14v,14wにおいて、それぞれのドレイン電極deは各FETの裏面(基板31側の面)に形成され、ソース電極seおよびゲート電極geは各FETの表面(基板31と反対側の面)に形成されている。図2においては、図面を簡略化するために、ドレイン電極de、ソース電極se、およびゲート電極geの図示を省略する。各FETのゲート電極geは、制御端子群60を介してマイコン4に接続される(図1参照)。
【0038】
つぎに、U相のハーフブリッジ13uについて詳しく説明する。
U相のハーフブリッジ13uは、いくつかのバスバーを有している。これらのバスバーには、中間ブロック43u、モータ端子ブロック44u、グランドブロック45u、および2つのシャント抵抗ブロック46u,47uが含まれる。各ブロックは、いずれも平板状の導電体である。
【0039】
中間ブロック43uには、下側FET12Luが配置されている。下側FET12Luのゲート電極geは、制御端子64uに接続されている。また、モータ端子ブロック44uには、モータリレー用のFET14uが配置されている。FET14uのゲート電極geは、制御端子61uに接続されている。電源バスバー41上の上側FET12Hu(そのソース電極se)、中間ブロック43u、およびFET14uの間はクリップリード48uを介して相互に接続されている。中間ブロック43uに配置された下側FET12Luとグランドブロック45uは、クリップリード49uを介して接続されている。そして、グランドブロック45uとグランドバスバー42とは、シャント抵抗21uを介して接続されている。なお、グランドブロック45uとグランドバスバー42の間において、シャント抵抗21uにはシャント抵抗ブロック46u,47uが接続されている。これらシャント抵抗ブロック46u,47uは、シャント抵抗21uの両端電圧を検出するためのものであって、制御端子65u,66uを介してマイコン4に接続される。モータ端子ブロック44uには、U相モータ端子52uが接続されている。U相モータ端子52uは、基板31における入力端子50および出力端子51の設けられた端部と同じ端部(図2の下部)に配置されている。U相モータ端子52uは、基板31の短手方向に沿って延び、U相モータ端子52uにおけるモータ端子ブロック44uと反対側の端部は、モールド樹脂30を貫通して外部に突出している。なお、U相モータ端子52uとグランドバスバー42とは接触していない。
【0040】
つぎに、U相のハーフブリッジ13uへの給電経路を詳しく説明する。バッテリ11から入力端子50を介して電源バスバー41へと供給された電力は、電源バスバー41を通って、上側FET12Huのドレイン電極de(上側FET12Huの裏面)へと伝達される。上側FET12Huのドレイン電極deへと供給された電力は、上側FET12Huがオンしているとき、その内部を通って上側FET12Huのソース電極se(上側FET12Luの表面)へと伝達される。
【0041】
上側FET12Huのソース電極seへと供給された電力は、クリップリード48uを介して、中間ブロック43uおよびモータリレー用のFET14uのソース電極seへと伝達される。
【0042】
中間ブロック43uへと供給された電力は、下側FET12Luのドレイン電極deへと伝達される。そして、下側FET12Luのドレイン電極deへと供給された電力は、下側FET12Luがオンしているとき、その内部を通って下側FET12Luのソース電極seへと伝達される。そして、下側FET12Luのソース電極seへと供給された電力は、クリップリード49u、グランドブロック45u、およびシャント抵抗21uを介して、グランドバスバー42へと伝達される。そして、グランドバスバー42に供給された電力は、出力端子51を介してグランドに戻る。
【0043】
モータリレー用のFET14uのソース電極seへと供給された電力は、FET14uがオンしているとき、その内部を通ってFET14uのドレイン電極deへと伝達される。そして、FET14uのドレイン電極deへと供給された電力は、モータ端子ブロック44uおよびU相モータ端子52uを介して、モータ2(正確にはモータコイル2u)へと出力される。
【0044】
つぎに、V相のハーフブリッジ13vについて説明する。ただし、U相と同様の構成については、その詳細な説明を割愛する。
V相のハーフブリッジ13vは、U相のハーフブリッジ13uと同様に、中間ブロック43v、モータ端子ブロック44v、グランドブロック45v、およびシャント抵抗ブロック46v,47vを有している。中間ブロック43vには、下側FET12Lvが配置されている。下側FET12Lvのゲート電極geは、制御端子64vに接続されている。また、モータ端子ブロック44vには、モータリレー用のFET14vが配置されている。FET14vのゲート電極geは、制御端子61vに接続されている。上側FET12Hvは、クリップリード48vを介して、中間ブロック43vおよびモータリレー用のFET14vと接続されている。中間ブロック43vに配置された下側FET12Lvとグランドブロック45vは、クリップリード49vを介して接続されている。そして、グランドブロック45vとグランドバスバー42とは、シャント抵抗21vを介して接続されている。なお、グランドブロック45vとグランドバスバー42の間において、シャント抵抗21vにはシャント抵抗ブロック46v,47vが接続されている。シャント抵抗ブロック46v,47vは、制御端子65v,66vを介してマイコン4に接続される。モータ端子ブロック44vには、V相モータ端子52vが接続されている。V相モータ端子52vも、基板31における入力端子50および出力端子51の設けられた端部と同じ端部(図2の下部)に配置されている。なお、V相モータ端子52vは、グランドバスバー42とは接触していない。V相の給電経路は、U相と同様である。
【0045】
つぎに、W相のハーフブリッジ13wについて説明する。
W相のハーフブリッジ13wも、U相のハーフブリッジ13uと同様に、中間ブロック43w、モータ端子ブロック44w、グランドブロック45w、およびシャント抵抗ブロック46w,47wを有している。中間ブロック43wには、下側FET12Lwが配置されている。下側FET12Lwのゲート電極geは、制御端子64wに接続されている。また、モータ端子ブロック44wには、モータリレー用のFET14wが配置されている。FET14wのゲート電極geは、制御端子61wに接続されている。上側FET12Hwは、クリップリード48wを介して、中間ブロック43wおよびモータリレー用のFET14wと接続されている。中間ブロック43wに配置された下側FET12Lwとグランドブロック45wは、クリップリード49wを介して接続されている。そして、グランドブロック45wとグランドバスバー42とは、シャント抵抗21wを介して接続されている。なお、グランドブロック45wとグランドバスバー42の間において、シャント抵抗21wにはシャント抵抗ブロック46w,47wが接続されている。シャント抵抗ブロック46w,47wは、制御端子65w,66wを介してマイコン4に接続される。モータ端子ブロック44wには、W相モータ端子52wが接続されている。W相モータ端子52wも、基板31における入力端子50および出力端子51の設けられた端部と同じ端部(図2の下部)に配置されている。なお、W相モータ端子52wは、グランドバスバー42とは接触していない。W相の給電経路は、U相と同様である。
【0046】
なお、入力端子50は、U相モータ端子52uとV相モータ端子52vの間に設けられている。また、出力端子51は、V相モータ端子52vとW相モータ端子52wの間に設けられている。
【0047】
電源リレー用のFET5aのゲート電極geは、制御端子70に接続されている。電源リレー用のFET5bのゲート電極geは、制御端子71に接続されている。第2延長部41dは制御端子72を介してマイコン4に接続されている。これは、FET5bのドレイン電極deに制御端子72が接続されていることに等しく、図1における検出線6cに対応する。
【0048】
つぎに、本実施形態の作用を、比較例を交えて説明する。
さて、各相(U相、V相、W相)のハーフブリッジ13u,13v,13wの配置に起因して、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wごとに給電経路の距離、ひいてはインダクタンスおよびインピーダンスが異なる。すなわち、入力端子50から出力端子51までの各相のハーフブリッジ13u,13v,13wを介した給電経路の距離に比例して、インピーダンスおよびインダクタンスは大きくなる。インダクタンスが大きいほど、インバータ回路10(ハーフブリッジ13u,13v,13w)がスイッチングする際に発生する、スイッチングノイズが大きくなる。
【0049】
また、インダクタンスが大きくなるほど、各FETをオンオフしたときのサージ電圧が大きくなる。サージ電圧は、インダクタンスの大きさと単位時間あたりの電流値の変化に比例しているためである。サージ電圧が大きくなるほど、その給電経路で発生する発熱量が大きくなる。これは、サージ電圧が印加されている分だけ、余分に電圧が印加されるためである。給電経路での発熱量の増大は、パワーモジュール3の寿命を短くする一因となる。また、サージ電圧が大きくなるほど、各FETのドレイン電極deおよびソース電極seの電圧が大きくなるため、各FETの寿命も短くなるおそれがある。また、パワーモジュール3を車載した場合のラジオノイズも大きくなる。
【0050】
また、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wに応じたインダクタンスの差が大きくなるほど、インピーダンスのバランス差も大きくなる。各相のハーフブリッジ13u,13v,13wの間でのインピーダンスの差が大きいほど、いわゆるトルクリップルと呼ばれるトルクの脈動が生じやすい。大きなトルクリップルは、たとえば振動騒音特性(NV特性)を悪化させるため、振動、騒音、共振などの現象を引き起こす一因となる。したがって、ハーフブリッジ13u,13v,13wのインダクタンスおよびインダクタンスの差をより小さくすることが好ましい。
【0051】
ここで、比較例として、たとえば入力端子50および出力端子51が、基板31の各相のハーフブリッジ13u,13v,13wの並んでいる方向におけるW相側の端部に設けられる場合について検討する。この場合、入力端子50および出力端子51に最も近いW相のハーフブリッジ13wでのインダクタンスが最も小さくなり、入力端子50および出力端子51から最も遠いU相のハーフブリッジ13uでのインダクタンスが最も大きくなる。インダクタンスの差を小さくするためには、入力端子50および出力端子51と、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wとの距離の差を短くすればよい。しかし、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wを並列配置する前提の下では、入力端子50および出力端子51を基板31におけるW相側の端部に設けたままでは、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wの間のインダクタンスの差を低減することには限度がある。W相のハーフブリッジ13wが最も入力端子50および出力端子51に近く、U相のハーフブリッジが入力端子50および出力端子51から最も遠いという位置関係は変わらないからである。なお、入力端子50および出力端子51が、基板31の各相のハーフブリッジ13u,13v,13wの並んでいる方向におけるU相側の端部に設けられる場合についても同様である。
【0052】
この点、本実施形態では、入力端子50および出力端子51は、基板31の各相のハーフブリッジ13u,13v,13wの並ぶ方向に垂直な端部に設けられているため、よりインダクタンスの差が低減されている。これは、基板31の各相のハーフブリッジ13u,13v,13wの並んでいる方向の端部に入力端子50および出力端子51を設けた場合に比べて、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wを介した給電経路の距離の差が小さくなっているためである。各相のハーフブリッジ13u,13v,13wのインダクタンスの差をより小さくすることができるため、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wの間でのインピーダンス差を小さくすること、ひいてはトルクリップルをより小さくすることができる。
【0053】
さらに、入力端子50がU相モータ端子52uとV相モータ端子52vの間に設けられ、出力端子51がV相モータ端子52vとW相モータ端子52wの間に設けられているため、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wのインダクタンスの差をより小さくすることができる。これは、たとえば入力端子50および出力端子51がU相モータ端子52uとV相モータ端子52vの間に設けられた場合には、U相およびV相のハーフブリッジ13u,13vは同程度のインダクタンスであるが、W相のハーフブリッジ13wはU相およびV相のハーフブリッジ13u,13vに比べて大きいインダクタンスになってしまうためである。この点、本実施形態では、入力端子50および出力端子51は、基板31の各相のハーフブリッジ13u,13v,13wの並ぶ方向に垂直な端部に設けられているため、よりインダクタンスは低減されている。比較例のように、入力端子50および出力端子51から最も遠いU相のハーフブリッジ13uの給電経路の距離が小さくなるためである。このため、スイッチングノイズが低減されることで、各FETで発生する熱量を抑えることができ、各FETの製品寿命を延ばすことができる。また、各FETに限らず、パワーモジュール3全体としての発熱量が抑えられるため、パワーモジュール3の寿命も延ばすことができる。
【0054】
本実施形態の効果を説明する。
(1)各相のハーフブリッジ13u,13v,13wへ電源を供給する際のインダクタンスを低減することができるため、スイッチングノイズが低減され、各FETの製品寿命を延ばすことができる。また、パワーモジュール3の寿命も延ばすことができる。
【0055】
(2)各相のハーフブリッジ13u,13v,13wの間でのインピーダンスの差を小さくすることができるため、トルクリップルを小さくすることができる。このため、NV特性をより向上させることができ、車両走行の際の静寂性が高められる。
【0056】
(3)入力端子50がU相モータ端子52uとV相モータ端子52vの間に設けられ、出力端子51がV相モータ端子52vとW相モータ端子52wの間に設けられているため、より確実にモータ2を駆動することができる。すなわち、入力端子50と出力端子51が隣接している場合、入力端子50と出力端子51がショートしてしまうと、十分にモータ2を駆動することができず、アシスト力が急激に変動してしまう。この点、本実施形態では、入力端子50と出力端子51の間にV相モータ端子52vが配置されているため、入力端子50とV相モータ端子52vがショートしても、残るU相モータ端子52uとW相モータ端子52wを用いて2相駆動すればよい。また、出力端子51とV相モータ端子52vがショートした場合であっても、残るU相モータ端子52uとW相モータ端子52wを用いて2相駆動すればよい。
【0057】
(4)何らかの原因により、U相の制御端子61u〜66uとV相の制御端子61v〜66vがショートしたとき、十分にモータ2を駆動することができず、アシスト力が急激に変化するおそれがある。この点、本実施形態では、U相の制御端子61u〜66uとV相の制御端子61v〜66vの間に電源リレー用の制御端子70〜72が配置されている。このため、U相の制御端子61u〜66uと電源リレー用の制御端子70〜72がショートした場合であっても、U相を除いた残りの2相でモータ2を駆動することができる。
【0058】
(5)延長部41bに電源リレー用のFET5a,5bを配置した。電源リレー用のFET5a,5bを配置するためのバスバーを別個に設ける必要がないため、パワーモジュール3の規模を小さくすることができる。また、大電流が流れる延長部41bは、断面積を確保するためにその幅が大きく設定される。このため、電源リレー用のFET5a,5bを配置するスペースを確保することが容易である。また、電源リレー5の有無によって、パワーモジュール3の形状が大きく変化することはないので、パワーモジュール3の部品の共通化および製造方法の共通化が可能であり、コストの低減も期待できる。
【0059】
<第2の実施形態>
つぎに、パワーモジュールを駆動装置に適用した第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との違いを中心に説明する。
【0060】
図3に示すように、パワーモジュール3には、電源リレー5が設けられていないものもある。たとえば、パワーモジュール3を冗長化せず、1つだけ設ける場合(1系統)、電源リレー5は必須ではない。電源リレー5が設けられないので、ゲート配線6a,6bおよび検出線6cも設けられない。
【0061】
図4に示すように、制御端子群60は、各FETのどの部分にも電気的に接続されない3つのダミー端子170,171,172を有している。図2に示されるパワーモジュール3において、電源リレー5を割愛した構成を採用する場合、電源リレー用のFET5aのゲート電極geと接続される制御端子70、電源リレー用のFET5bのゲート電極geと接続される制御端子71、および第2延長部41dと接続される制御端子72は、どの部分にも電気的に接続されずに余ることとなる。ここでは、これらの余る3つの制御端子70,71,72をダミー端子170,171,172として利用する。ダミー端子は、次のように配置される。
【0062】
基板31の長手方向において、制御端子61u〜66uの制御端子61v〜66vと反対側の部位には、ダミー端子170が設けられている。U相の制御端子61u〜66uとV相の制御端子61v〜66vとの間には、ダミー端子171が配置されている。また、V相の制御端子61v〜66vとW相の制御端子61w〜66wとの間には、ダミー端子172が配置されている。すなわち、基板31の長手方向において、制御端子群60は、図4の左側からダミー端子170、U相の制御端子61u〜66u、ダミー端子171、V相の制御端子61v〜66v、ダミー端子172、W相の制御端子61w〜66wの順に配置されている。
【0063】
本実施形態の作用および効果を説明する。
たとえばダミー端子171が存在せず、制御端子61vおよび制御端子66uが互いに隣接する場合、制御端子61vが折れ曲がることにより制御端子66uに接触するときには、制御端子61vと制御端子66uとの間でショートすることとなる。このため、マイコン4が制御端子61vを介してモータリレー用のFET14vを制御しようとしても、制御端子66uとショートしているために、その制御は困難である。すなわち、ある相の制御端子が折れ曲がるなどの要因により、他の相の制御端子に接触すると、モータ2の駆動制御が困難になる。
【0064】
この点、本実施形態では、U相の制御端子61u〜66uとV相の制御端子61v〜66vとの間には、ダミー端子171が配置されているため、たとえばV相の制御端子61v〜66vがU相の制御端子61u〜66uと接触することを抑制できる。たとえば、制御端子61vがU相の制御端子61u〜66uの側へ折れ曲がった場合でも、制御端子61vはまずダミー端子171に接触することとなる。ダミー端子171はどの部分にも接続されていない部分であるため、制御端子61vとダミー端子171とがショートしても、モータ2を駆動することが可能である。また、制御端子61vがU相の他の制御端子61u〜65uに接触するには、ダミー端子171を越えてさらに変形しなければならない。このため、U相の制御端子61u〜66uとV相の制御端子61v〜66vとの間にダミー端子171を設けることにより、より確実にモータ2を制御することができる。同様にV相の制御端子61v〜66vとW相の制御端子61w〜66wとの間にダミー端子172を設けることにより、より確実にモータ2を制御することができる。
【0065】
なお、各実施形態は次のように変更してもよい。
・各実施形態では、電子部品を電気的に接続する配線手段として、クリップリード48u,48v,48w,49u,49v,49wが用いられたが、電子部品を電気的に接続できればどのようなものであってもよい。たとえば、リード線などを採用してもよい。
【0066】
・各実施形態では、基板31の長手方向における一端から順に、U相のハーフブリッジ13u、V相のハーフブリッジ13v、およびW相のハーフブリッジ13wが配置されたが、これに限らない。すなわち、この順番を入れ替えてもよく、たとえば、V相のハーフブリッジ13v、W相のハーフブリッジ13w、およびU相のハーフブリッジ13uの順に配置されてもよい。
【0067】
・各実施形態では、各相のモータ端子52u,52v,52wは、基板31における入力端子50および出力端子51の設けられた端部と同じ端部(図2の下部)に配置されたが、これに限らない。すなわち、各相のモータ端子52u,52v,52wは、基板31における入力端子50および出力端子51の設けられた端部と反対側の端部(図2の上部)に設けられてもよい。
【0068】
・マイコン4の内部で、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wのグランドをとってもよい。
・各実施形態では、各相のハーフブリッジ13u,13v,13wは3つ設けられたが、これに限らない。たとえば、2相であってもよい。
【0069】
・各実施形態では、モータリレー用のFET14u,14v,14wが設けられたが、設けなくてもよい。
・第1の実施形態では、電源リレー5が設けられたが、設けなくてもよい。たとえばモータ2に対してインバータ回路10を冗長化する場合などには電源リレー5が設けられることが好ましいが、モータ2に対してインバータ回路10を1つ設ける場合には電源リレー5は必ずしも設けなくてよい。また、第2の実施形態では、電源リレー5が設けられなかったが、設けてもよい。たとえば図5に示すように、ダミー端子170〜172を設けた場合であっても、電源リレー5(FET5a,5b)を設けてもよい。
【0070】
・第1の実施形態では、U相の制御端子61u〜66uとV相の制御端子61v〜66vとの間に、電源リレー用の制御端子70〜72が配置されたが、これに限らない。たとえば、V相の制御端子61v〜66vとW相の制御端子61w〜66wとの間に、電源リレー用の制御端子70〜72が配置されてもよい。
【0071】
・第2の実施形態では、U相の制御端子61u〜66uとV相の制御端子61v〜66vの間にダミー端子が1つ設けられたが、これに限らない。たとえば、U相の制御端子61u〜66uとV相の制御端子61v〜66vの間に複数のダミー端子が設けられてもよい。また、ダミー端子ではなく、制御端子そのものを設けないようにして、U相の制御端子61u〜66uとV相の制御端子61v〜66vの間に隙間を設けるようにしてもよい。
【0072】
・各実施形態では、シャント抵抗21u,21v,21wを用いた3シャント方式を採用したが、これに限らない。たとえば、シャント抵抗を1つだけ設けた1シャント方式であってもよい。また、シャント抵抗を用いた電流検出手段に限らない。
【0073】
・各実施形態では、スイッチング素子として各FETが用いられたがこれに限らない。たとえば、スイッチング素子として、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…駆動装置、2…モータ、3…パワーモジュール、4…マイコン、5…電源リレー、5a,5b…電源リレー用のFET、5c…クリップリード、6a,6b…ゲート配線、6c…検出線、10…インバータ回路、11…バッテリ、12Hu,12Hv,12Hw…上側FET、12Lu,12Lv,12Lw…下側FET、13u,13v,13w…ハーフブリッジ、14u,14v,14w…モータリレー用のFET、15u,15v,15w…ドレイン配線、16u,16v,16w…ソース配線、17u,17v,17w…中間配線、18u,18v,18w…動力線、19u,19v,19w…ゲート配線、20u,20v,20w…ゲート配線、21u,21v,21w…シャント抵抗、22u,22v,22w…検出線、30…モールド樹脂、31…基板、40…バスバー群、41…電源バスバー、41a…端部、41b…延長部、42…グランドバスバー、43u,43v,43w…中間ブロック、44u,44v,44w…モータ端子ブロック、45u,45v,45w…グランドブロック、46u,46v,46w,47u,47v,47w…シャント抵抗ブロック、48u,48v,48w,49u,49v,49w…クリップリード、50…入力端子、51…出力端子、52u,52v,52w…モータ端子、60…制御端子群、61u〜66u,61v〜66v,61w〜66w…制御端子、70,71,72…制御端子、170,171,172…ダミー端子、D…寄生ダイオード。
図1
図2
図3
図4
図5