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特開2016-198385自己拡張型ステントデリバリーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-198385(P2016-198385A)
(43)【公開日】2016年12月1日
(54)【発明の名称】自己拡張型ステントデリバリーシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20161104BHJP
【FI】
   A61F2/966
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-81955(P2015-81955)
(22)【出願日】2015年4月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】原田 金弥
【テーマコード(参考)】
4C167
【Fターム(参考)】
4C167AA56
4C167BB02
4C167BB10
4C167BB15
4C167BB43
4C167BB53
4C167BB63
4C167CC09
4C167CC20
4C167CC21
4C167CC22
4C167CC24
(57)【要約】
【課題】耐キンク性の向上を図りつつ、自己拡張型ステントの位置合わせを容易に行うことができる自己拡張型ステントデリバリーシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】自己拡張型ステントデリバリーシステム10は、補強体30cが配設された被補強部31と、被補強部よりもX線透過性が高く形成された窓部32と、を備える外管30と、間隙部40に収容され、X線造影性を備えるステントマーカ51を先端に有する自己拡張型ステント50と、X線造影性を備える先端マーカ60と、を有する。自己拡張型ステントが収容された状態において、先端マーカは、ステントマーカよりも先端側に配置され、ステントマーカおよび先端マーカは、窓部と内管との間に形成された間隙部に配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤルーメンが形成された内管と、補強体が配設された被補強部と、前記被補強部よりも先端側に設けられ前記被補強部よりもX線透過性が高く形成された窓部と、を備え、前記内管に対して相対的に移動可能となるように前記内管の外面側に配置された外管と、
前記内管と前記外管との間に形成された間隙部に収縮された状態で収容され、X線造影性を備える少なくとも1つのステントマーカを先端に有する自己拡張型ステントと、
前記内管の先端部に固定されたX線造影性を備える先端マーカと、を有し、
前記自己拡張型ステントが前記間隙部に収容された状態において、
前記先端マーカは、前記ステントマーカよりも先端側に配置され、
前記ステントマーカおよび前記先端マーカは、前記窓部と前記内管との間に形成された前記間隙部に配置される、自己拡張型ステントデリバリーシステム。
【請求項2】
前記窓部は、透明または半透明である、請求項1に記載の自己拡張型ステントデリバリーシステム。
【請求項3】
前記外管の基端よりも基端側に配置された手元操作部をさらに有し、
前記手元操作部は、前記内管を被覆する基部シャフトを有し、
前記基部シャフトは、前記内管に対する前記外管の移動量を示す目盛が設けられている、請求項1または請求項2に記載の自己拡張型ステントデリバリーシステム。
【請求項4】
前記補強体は、金属素線を網目状に編組して形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自己拡張型ステントデリバリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己拡張型ステントデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは、一般的に、血管、胆管、気管、食道、尿道等の生体管腔内に生じた狭窄部や閉塞部等の病変部位の拡張治療に使用される。
【0003】
ステントには、ステントをマウントしたバルーンによって拡張されるもの(バルーン拡張型ステント)と、外部からの拡張を抑制する部材を取り除くことによって自ら拡張するもの(自己拡張型ステント)とがある。
【0004】
自己拡張型ステントは、外部からの拘束が解かれた状態では自己拡張するため、バルーン拡張型ステントを留置する際に行うような拡張作業が不要である。自己拡張型ステントを病変部位に留置する際は、自己拡張型ステントを病変部位まで移送するための自己拡張型ステントデリバリーシステムを使用することがある。
【0005】
例えば、下記特許文献1には、内管と、当該内管の周囲に配置した外管とを備えるカテーテルの先端部分に自己拡張型ステントを収容した状態で生体管腔内に移送し、自己拡張型ステントをカテーテルから放出して拡張させ、病変部位に留置する自己拡張型ステントデリバリーシステムが開示されている。この自己拡張型ステントデリバリーシステムが備えるカテーテルの外管には、耐キンク性を高めるための補強体(金属ブレード)が配設されている。
【0006】
自己拡張型ステントデリバリーシステムにおいては、自己拡張型ステントを病変部に留置する際に術者等がステントの位置とカテーテルの先端部の位置とを容易に確認することができるようにするために、ステントおよびカテーテルの内管それぞれにX線造影性を有する造影マーカを配置することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2009−504345号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述した従来の自己拡張型ステントデリバリーシステムは、カテーテルが備える外管に補強体が配設されているため、当該補強体によってX線の透過が阻害される。このため、各造影マーカが、外管において補強体が配設された部分によって覆われるように配置されると、補強体の影響により、X線画像上で自己拡張型ステントの位置やカテーテルの先端部の位置を把握することが困難になり、円滑な手技の進行を妨げる要因となり得る。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、耐キンク性の向上を図りつつ、自己拡張型ステントの位置合わせを容易に行うことができる自己拡張型ステントデリバリーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明に係る自己拡張型ステントデリバリーシステムは、ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤルーメンが形成された内管と、補強体が配設された被補強部と、前記被補強部の先端側に設けられ前記被補強部よりもX線透過性が高く形成された窓部と、を備え、前記内管に対して相対的に移動可能となるように前記内管の外面側に配置された外管と、前記内管と前記外管との間に形成された間隙部に収縮された状態で収容され、X線造影性を備える少なくとも1つのステントマーカを先端に有する自己拡張型ステントと、前記内管の先端部に固定されたX線造影性を備える先端マーカと、を有する。前記自己拡張型ステントが前記間隙部に収容された状態において、前記先端マーカは、前記ステントマーカよりも先端側に配置され、前記ステントマーカおよび前記先端マーカは、前記窓部と前記内管との間に形成された前記間隙部に配置される。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した自己拡張型ステントデリバリーシステムによれば、被補強部の先端側に配置された窓部には補強体が配設されていないため、補強体の影響によりX線の透過が阻害されることがない。このため、自己拡張型ステントを病変部に留置する作業を行う際に、窓部に配置された先端マーカおよびステントマーカをX線画像上で明瞭に確認することができる。よって、生体管腔内において自己拡張型ステントの位置決めを正確かつ迅速に実施することができる。また、窓部が配置された部分以外は補強体により耐キンク性が向上されたものとなる一方で、窓部は比較的剛性の高い材料によって形成された先端マーカおよびステントマーカにより剛性がある程度高められたものとなるため、被補強部と窓部との間で極端な物性の差異が生じることがなく、物性の差異による折れ等の破損が生じるのを好適に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る自己拡張型ステントデリバリーシステムの全体構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る自己拡張型ステントデリバリーシステムの長手方向に沿う側断面図である。
図3図3(A)は、図2の3A−3A線に沿う断面図であり、図3(B)は、図2の3B−3B線に沿う断面図であり、図3(C)は、補強体の構造を説明するための図である。
図4図4(A)は、収縮状態の自己拡張型ステントを示す図であり、図4(B)は、拡張状態の自己拡張型ステントを示す図である。
図5図5は、手元操作部の部分拡大図であり、図5(A)は、外管を基端側に引く前の状態を示し、図5(B)は、外管を基端側に引いた後の状態を示す。
図6図6は、自己拡張型ステントを生体管腔内に留置する手順を説明するための図であり、図6(A)は、外管と内管との間の間隙部に自己拡張型ステントを収容した状態を示し、図6(B)は、外管が内管に対して基端側に移動して自己拡張型ステントの一部が放出された状態を示し、図6(C)は、自己拡張型ステントが外管から完全に放出された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る自己拡張型ステントデリバリーシステム10(以下、単に「ステントデリバリーシステム10」と称する)の全体構成図である。図2は、本発明の実施形態に係るステントデリバリーシステム10の長手方向に沿う側断面図である。図3(A)は、図2の3A−3A線に沿う断面図であり、図3(B)は、図2の3B−3B線に沿う断面図であり、図3(C)は、補強体30cの構造を説明するための図である。図4(A)は、収縮状態の自己拡張型ステント50(以下、単に「ステント50」と称する)を示す図であり、図4(B)は、拡張状態のステント50を示す図である。図5は、手元操作部100の部分拡大図であり、図5(A)は、外管30を基端側に引く前の状態を示し、図5(B)は、外管30を基端側に引いた後の状態を示す。図6は、ステント50を外管30から放出する動作を説明するための図であり、図6(A)は、ステント50が外管30に収容された状態を示し、図6(B)は、外管30が内管20に対して基端側に移動してステント50の一部が放出された状態を示し、図6(C)は、ステント50が外管30から完全に放出された状態を示す。
【0015】
本実施形態に係るステントデリバリーシステム10は、図1および図2に示すように、ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤルーメン21が形成された内管20と、補強体30cが配設された被補強部31と、被補強部31の先端側に設けられ被補強部31よりもX線透過性が高く形成された窓部32と、を備え、内管20に対して相対的に移動可能となるように内管20の外面側に配置された外管30と、内管20と外管30との間に形成された間隙部40に収縮された状態で収容され、X線造影性を備える少なくとも1つの先端側ステントマーカ51(ステントマーカ51に相当)を先端に有するステント50と、内管20の先端部に固定されたX線造影性を備える先端マーカ60と、を有する。
【0016】
なお、本明細書中では、体腔内に挿入される側を先端側(図中の矢印A方向)と称し、後述する手元操作部100が設けられる側を基端側(図中の矢印B方向)と称する。
【0017】
内管20は、図2に示すように、先端から基端まで貫通するガイドワイヤルーメン21が形成された長尺状の管状体によって構成している。ガイドワイヤルーメン21には、ステントデリバリーシステム10を生体管腔内の病変部に導くガイドワイヤ(図示せず)が挿通される。また、本実施形態におけるステントデリバリーシステム10は、ガイドワイヤルーメン21が全長に亘って形成されているいわゆるオーバーザワイヤ(OTW)タイプである。なお、ガイドワイヤは、ステンレス鋼等のような金属材料によって構成した医療分野において公知のものを使用することが可能である。
【0018】
ステントデリバリーシステム10の最先端には先端部材23が配置されている。先端部材23は、内管20の先端部分に留め具22によって固定されている。留め具22は、先端部材23内に埋設されており、先端部材23の離脱を防止している。留め具22は、ステンレス鋼等の金属材料によって形成することが好ましい。先端部材23は、生体管腔内への挿入性を考慮して、先端に向かって徐々に縮径するテーパー形状に形成している。先端部材23の先端には、図示省略するガイドワイヤが挿通される開口部23aが備えられている。なお、先端部材23は、内管20と別部材によって構成することができるし、内管20と同一部材によって一体的に構成することもできる。
【0019】
内管20の基端は、図2に示すように、後述する内管ハブ140に固定している。固定手段は、特に限定されず、接着剤等によって固着させてもよい。
【0020】
内管20を構成する材料としては、可撓性を有する材料を用いることが好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK、ポリイミド等を使用できる。上記の樹脂のうち、特に熱可塑性を有する樹脂を好適に使用できる。
【0021】
先端部材23を構成する材料としては、柔軟性を有する材料を用いることが好ましい。例えば、オレフィン系エラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、スチレン系エラストマー、ポリウレタン、ウレタン系エラストマー、フッ素樹脂系エラストマー等の合成樹脂エラストマー、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム等の合成ゴム、ラテックスゴム等の天然ゴム等のゴム類が使用される。
【0022】
外管30は、長尺状の管状体により構成している。また、外管30は、内管20に対して相対的に移動可能となるように内管20の外面側に配置している。内管20と外管30とを組み付けた状態において、内管20の先端部は、外管30の先端部から突出するように配置される。外管30は、補強体30cが配設された被補強部31と、被補強部31の先端側に設けられた窓部32と、を有する。
【0023】
また、内管20の先端部と外管30の先端部との間には、ステント50を収容するための間隙部40が形成される。具体的には、間隙部40は、ステントストッパ70、先端マーカ60、および外管30によって区画される空間によって形成される。ステント50は、生体管腔内の病変部に留置される前の段階においては、径方向内方に圧縮した状態で間隙部40内に収容される。
【0024】
図2および図3(A)に示すように、外管30の被補強部31は、内層30aと、内層30aの外表面を被覆する外層30bと、外層30bと内層30aとの間に配設された補強体30cとにより構成している。被補強部31は、内側から外側に向かって内層30a、補強体30c、および外層30bが同心的に互いに密着して積層された構造となっている。
【0025】
窓部32は、被補強部31の長手方向の先端側に設けられており、内層30aと、外層30bとにより構成している。つまり、外管30の先端部分において補強体30cが配設されない部分が窓部32である。図3(B)に示すように、窓部32は、内側から外側に向かって内層30aおよび外層30bが同心的に互いに密着して積層された構造となっている。窓部32は、補強体30cが配設されないので被補強部31よりもX線透過性が高く形成されている。
【0026】
窓部32の形成方法としては、外管30の全体に補強体30cを配設した後に補強体30cの先端部分を切断除去して形成してもよいし、予め先端部分に補強体30cを配設しないようすることにより形成してもよい。
【0027】
また、窓部32は、外部からその内腔を視認できるように透明に形成している。なお、窓部32は、透明に限定されず、半透明に形成してもよい。このように、窓部32を透明または半透明に形成することによって、以下のステント50の組み付け作業が可能となる。
【0028】
ステント50の組み付け作業手順としては、まず、ステント50を外管30の内腔に先端側より収容し、被補強部31と窓部32との境界部よりも先端側ステントマーカ51の先端が先端側に出る位置(窓部32)になるようにステント50を配置する。次に、外管30の基端側に固定された外管ハブ110から、ステントストッパ70が固定された内管20をステント50の内腔に挿通させて、ステント50の基端側にステントストッパ70が位置するように配置させる。その後、先端マーカ60を内管20の先端部に固定する。この際、内管20および外管30を先端側または基端側へ移動させて、その位置を調整することによって、内管20および外管30に対するステント50の位置合わせを精度よくできる。この際、窓部32の内腔を外部から視認できるので、先端マーカ60および先端側ステントマーカ51の位置を確認しながらステント50の位置合わせをより正確に行うことができる。
【0029】
内層30aを構成する材料としては、内層30aの内面の摩擦を低減できるものであれば特に制限されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、ポリエチレン等を好適に使用できる。上記の中でも、潤滑性の高いポリテトラフルオロエチレンを好適に使用できる。これによって、内面の摩擦抵抗が小さくなり、外管30に挿入されるステント50や内管20との操作性が向上できる。
【0030】
外層30bは、内層30aの外表面に、例えば、熱収縮されて内層30aの外表面と補強体30cの外表面に密着させて形成される。外層30bを構成する材料としては、可撓性を有するものであれば特に制限されないが、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、等のポリエステル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、シリコーンゴム等のゴム材料等を好適に使用できる。また、外層30bはさらに異なる樹脂を積層した多層構造であってもよい。
【0031】
補強体30cは、内層30aの外表面に接するように外管30の軸周り全周に亘って形成されている。外管30の長手方向に対しては、被補強部31の全長に亘って形成されている。なお、被補強部31は、例えば、軸方向の長さが250〜2000mmに形成することができ、窓部32は、例えば、2〜6mmに形成することができる。
【0032】
補強体30cとしては、図3(C)に示すように、金属素線を網目状に編組して形成する。なお、補強体30cは、網目状の編組構造に限定されず、内層30aの外表面にコイル状に巻回することによってコイル構造に形成してもよい。補強体30cの端部には、溶接や焼鈍し等の熱処理を施すことにより内層30aの外表面に固定する。ただし、補強体30cの固定方法はこれに限定されず、例えば、接着剤等を介在させてもよい。
【0033】
このような補強体30cを有することによって、外管30のキンクを防止することができる。また、外管30を回転させたときのトルク伝達性を向上させることができる。さらに、比較的薄い厚さで十分な補強効果が得られるため、外管30の細径化に有利である。
【0034】
金属素線としては、例えば、幅0.01〜0.2mm、好ましくは0.03〜0.1mmの線材を用いることができる。金属素線を構成する材料としては、ステンレス鋼、弾性金属、超弾性合金、形状記憶合金等を好適に使用できる。なお、補強体30cを構成する材料は、耐キンク性を有する材料であればこれに制限されず、例えば、アクリル樹脂等の樹脂材料に強化剤として金属材料を含有した複合材料等を使用することができる。また、本実施形態においては、補強体30cを構成する線材の断面は、長方形であるが、これに限定されず、円形、略楕円形でもよい。
【0035】
外管30の外径は、例えば、0.5〜4.0mmであり、下肢末梢血管などの細い管腔に適用する場合は、0.8〜2.0mmが好ましく、内径としては、例えば、0.2〜1.8mmである。
【0036】
ステント50は、自己拡張型であり、多数の開口を有したメッシュ状で略円筒形状に形成される。ステント50は、図2に一点鎖線で示すように、収縮状態で内管20と外管30との間に形成された間隙部40に収容される。この際、ステント50は、外管30の内面によって拘束されることにより、径方向外方への拡張変形が規制されるため、図4(A)に示すように収縮状態で収容される。ステント50は、外管30が内管20に対して基端側に移動して外管30の内面による拘束が解かれると、図4(B)に示すように径方向外方に拡張して収縮前の形状に復元する。
【0037】
ステント50の収縮(縮径)状態の外径は、外管30の内径に対応している。ステント50の拡張(復元)状態の外径は、例えば、2〜12mmである。ステント50の肉厚は、例えば、0.05〜0.25mmである。
【0038】
ステント50を構成する材料は、圧縮された状態から元の形状への復元力(自己拡張力)が必要であるため、チタンニッケル合金等の超弾性合金が好ましいが、必要に応じて、高分子材料や他の金属材料を好適に使用できる。高分子材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等の含フッ素ポリマーである。金属材料は、例えば、コバルト−クロム合金、ステンレス鋼、鉄、チタン、アルミニウム、スズ、亜鉛−タングステン合金等が挙げられる。
【0039】
ステント50は、先端および基端にX線造影性を備える先端側ステントマーカ51および基端側ステントマーカ52を有する。
【0040】
先端側ステントマーカ51および基端側ステントマーカ52は、例えば、X線造影性を備える材料により構成することが可能であるし、X線造影性を備えない樹脂材料等にX線造影性を備える材料を被覆や含有することによって構成することが可能である。X線造影性を備える材料としては、例えば、白金、金、銀、イリジウム、チタン、タングステン等の金属、またはこれらの合金等を好適に使用できる。
【0041】
先端マーカ60は、内管20の外表面に固定している。先端マーカ60は、例えば、接着剤等により内管20に固定することができる。先端マーカ60の外径は、外管30の内径と実質的に同一である。これによって、内管20の外表面と、外管30の内表面との間に摩擦力が作用するため、外管30が内管20に対して不用意に移動することを防止することができる。なお、先端マーカ60は、先端側ステントマーカ51および基端側ステントマーカ52と同様の材料によって形成することができる。
【0042】
ステント50が間隙部40に収容された状態において、先端マーカ60は、先端側ステントマーカ51よりも先端側に配置される。また、先端側ステントマーカ51および先端マーカ60は、窓部32と内管20との間に形成された間隙部40に配置される。補強体30cが配設されていない窓部32は、補強体30cによるX線透過性の影響を受けないため、被補強部31よりもX線透過性が高くなる。このため、ステント50を病変部に留置する作業を行う際に、窓部32に配置された先端マーカ60および先端側ステントマーカ51をX線画像上で明瞭に確認することができる。よって、生体管腔内においてステント50の位置決めを正確かつ迅速に実施することができる。また、窓部32が配置された部分以外は補強体30cにより耐キンク性が向上されたものとなる。一方で、窓部32は比較的剛性の高い材料によって形成された先端マーカ60および先端側ステントマーカ51により剛性がある程度高められたものとなるため、被補強部31と窓部32との間で極端な物性の差異が生じることがなく、物性の差異による折れ等の破損が生じるのを好適に防止することができる。
【0043】
また、本実施形態に係るステントデリバリーシステム10において、内管20および外管30によって形成されるカテーテル部分の最先端部分には、先端部材23が配置され、その基端側には窓部32が配置され、さらにその基端側には被補強部31が配置される。先端部材23は、比較的柔軟性が高い部分である。窓部32は、先端マーカ60および先端側ステントマーカ51が配置されることによって剛性が高められた部分である。被補強部31は、剛性が最も高い部分である。つまり、先端側から基端側へ向かって先端部材23、窓部32、被補強部31の順に剛性が段階的に高くなるようにすることによって、極端な物性の差異が生じることがなく、生体内での円滑な移動を実現することができる。
【0044】
本実施形態に係るステントデリバリーシステム10は、ステント50の基端側に配設されステント50の基端側への移動を制限するステントストッパ70と、外管30よりも基端側に配置された手元操作部100と、をさらに有する。
【0045】
ステントストッパ70は、内管20の外面に配置され、間隙部40に配置されるステント50より基端側に位置し、ステント50と当接自在に構成している。したがって、内管20に対して外管30を基端側に移動させると、ステント50の基端側端部は、ステントストッパ70と当接し、内管20に対して基端側への移動が制限される。これによって、ステント50は、外管30の移動に同伴されて移動しないため、外管30からステントストッパ70によって押し出されることによって放出される。これによって、ステント50は配置された病変部から移動することなく、病変部においてステント50を放出させることができる。
【0046】
手元操作部100は、図1および図2に示すように、外管30の基端が取り付けられる外管ハブ110と、コネクタ(Yコネクタ)120と、コネクタ120の基端側において内管20を被覆する基部シャフト130と、内管20の基端が取り付けられる内管ハブ140と、を有する。
【0047】
外管ハブ110は、外管30の基端部に液密に接続されている。外管ハブ110の構成材料は、例えば、ポリカーボネート、ポリオレフィン、スチレン系樹脂、ポリアミド、ポリエステルなどの合成樹脂、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金である。ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマーである。
【0048】
コネクタ120は、外管ハブ110に着脱可能に接続される。コネクタ120は、外管30のルーメンと連通し、内管20が挿通される本体部121と、本体部121から分岐されて設けられた分岐管122と、本体部121の内腔を開閉自在に配置された弁体123と、本体部121の基端部に設けられた蓋体124と、を有する。
【0049】
本体部121は、内管20と相対的に移動可能に設けられ、本体部121を内管20に対して基端側に移動させることによって外管30を内管20に対して基端側に移動させることができる。
【0050】
分岐管122には、例えば、薬剤や造影剤等のような液体が充填されたプレフィルドシリンジ等の公知の流体供給源(図示せず)と所定の流体チューブを介して連結される。流体供給源を連結することにより、流体チューブおよび分岐管122を介して、例えば、生理食塩水、造影剤、リンゲル液等の流体を外管30の内腔へ供給することができる。
【0051】
弁体123は、本体部121の内腔において基部シャフト130の外周を取り囲むよう配置され、基部シャフト130との隙間を開閉自在に設けられる。弁体123の開閉動作は、後述する蓋体124によって行う。弁体123を構成する材料は、可撓性および液密性を有する材料であれば特に限定されず、天然ゴム、合成ゴム、ポリアミド系、ポリエステル系等の各種熱可塑性エラストマー等の弾性材料等を使用することができる。中でも、広い温度範囲において圧縮や変形に対する復元性に優れたシリコーンゴムを好適に使用することができる。
【0052】
弁体123が開いた状態のとき、基部シャフト130をコネクタ120に対して相対的に移動可能となる。これによって、外管30を内管20に対して相対的に移動させることができる。
【0053】
弁体123が完全に閉じた状態のとき、基部シャフト130の外周が弁体123に圧接される(締め付けられる)ことによって、弁体123より先端側において本体部121の内腔は液密に保たれ、さらに、外管30の内管20に対する相対的な移動が制限される。これによって、分岐管122を介して液体を本体部121および外管30の内腔に供給した際に、その液体の漏れを防止することができる。また、ステントデリバリーシステム10を生体管腔内に挿入する際に、外管30と内管20の相対的な位置がずれることがないので操作性を向上させることができる。
【0054】
蓋体124は、本体部121の基端部の外表面に形成された雄ネジ部124aと螺合する雌ネジ部124bが形成されている。雌ネジ部124bが雄ネジ部124aに対して回転して、これらのネジ部同士が螺合することによって、弁体123を径方向内方に開閉可能に構成している。
【0055】
本体部121、分岐管122および蓋体124を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)等を使用できる。
【0056】
基部シャフト130は、中空のパイプ形状を有し、内管20が挿通される。図5(A)に示すように、基部シャフト130には、内管20に対する外管30の移動量を示す目盛が設けられている。これによって、図5(B)に示すように外管30を内管20に対して基端側へ移動する際に、移動量を手元側においても確認することができるので操作性をさらに向上することができる。基部シャフト130を構成する材料は、比較的剛性の高い材料、例えば、ステンレス鋼、ニチノール等を使用できる。
【0057】
内管ハブ140は、基部シャフト130および内管20の基端部に接続される。内管ハブ140にはポート140aが設けられ、内管20のガイドワイヤルーメン21に連通されている。ポート140aを通じてガイドワイヤを内管20のガイドワイヤルーメン21に挿通させることができるように形成されている。さらに、ポート140aは、分岐管122と同様に、例えば、生理食塩水、造影剤、リンゲル液等の流体の供給を行う流体供給源(図示せず)と連結される流体チューブ(図示せず)を液密・気密に接続させることも可能になっている。内管ハブ140を構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレートスチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0058】
また、基部シャフト130と内管ハブ140とが接続される部分の外周には把持部150が設けられる。把持部150は、手元操作部100の操作時に術者が把持する部分であり、その外周面に滑り止め用のローレット加工等を施してもよい。
【0059】
以下、ステント50を生体間腔内の病変部に留置する方法について説明する。
【0060】
まず、図1および図2に示すステントデリバリーシステム10の開口部23aにガイドワイヤを挿入させ、ポート140aからガイドワイヤ(図示せず)を導出させる。
【0061】
次に、生体管腔内にガイドワイヤに沿わせてステントデリバリーシステム10を押し進めて目的部位(留置部位)である狭窄部に位置決めする。この際、X線照射によって、X線が窓部32を透過して、窓部32の内腔に配置された先端マーカ60および先端側ステントマーカ51がX線画像上に映し出される。これによって、先端マーカ60および先端側ステントマーカ51の位置を視認(確認)することによって、位置決めを正確かつ迅速に実施することができる。ステント50は、図6(A)に示すように、外管30の内面によって拘束された状態で間隙部40に収容される。
【0062】
次に、手元操作部100の把持部150を片手で掴んで保持した状態で、他方の手でコネクタ120のロックを解除して、外管30を内管20に対して基端側に移動させる。この際、図5(A)および(B)に示すように基部シャフト130の目盛を確認しながら外管30を内管20に対して基端側に移動させる。これによって、外管30の内管20に対する移動量を手元側においても確認することができるので操作性をさらに向上することができる。
【0063】
外管30を内管20に対して基端側に移動させると、図6(B)に示すように、ステント50の基端側はステントストッパ70と当接し、押し出されることによって、ステント50が外管30の先端から放出される。この際、再びX線画像上に映し出される先端マーカ60および先端側ステントマーカ51の位置を確認しながらステント50を放出する位置を調整することができる。さらに外管30を基端側に移動させると、図6(C)に示すように、ステント50は外管30の先端より放出され、外管30の内面による拘束が完全に解かれるため、収縮前の形状に復元して拡張する。
【0064】
拡張したステント50は、狭窄部の内壁に密着して固定(留置)されることで管腔形状を維持することとなる。ステント50が分離されたステントデリバリーシステム10は、生体管腔内から取り除かれる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係るステントデリバリーシステム10は、ステント50が間隙部40に収容された状態において、先端マーカ60は、先端側ステントマーカ51よりも先端側に配置され、先端側ステントマーカ51および先端マーカ60は、窓部32と内管20との間に形成された間隙部40に配置される。
【0066】
このように構成したステントデリバリーシステム10によれば、ステント50を病変部に留置する作業を行う際に、窓部32に配置された先端マーカ60および先端側ステントマーカ51をX線画像上で明瞭に確認することができる。よって、生体管腔内においてステント50の位置決めを正確かつ迅速に実施することができる。また、被補強部31と窓部32との間で極端な物性の差異が生じることがなく、物性の差異による折れ等の破損が生じるのを好適に防止することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る窓部32は、透明または半透明である。これによって、製造時において内管20に対するステント50の位置を外部から確認できるので、間隙部40におけるステント50の位置合わせをより正確に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態に係るステントデリバリーシステム10の手元操作部100における基部シャフト130は、内管20に対する外管30の移動量を示す目盛が設けられている。これによって、外管30を内管20に対して基端側に移動させる際に、外管30の内管20に対する移動量を手元側においても確認することができるので操作性をさらに向上することができる。
【0069】
また、本実施形態に係るステントデリバリーシステム10の補強体30cは、金属素線を網目状に編組して形成されている。これによって、外管30のキンクを防止することができる。したがって、生体管腔内に挿入した際に、蛇行や湾曲した部位において折れ曲がりを防止することができる。
【0070】
以上、実施形態を通じてステントデリバリーシステムを説明したが、本発明は実施形態において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0071】
例えば、外管の被補強部は内層と、外層と、補強体とからなる3層構造であるとしたが、外層30bと、補強体とからなる2層構造としてもよい。
【0072】
また、ステントは、先端および基端にステントマーカを有するとしたが、先端のみに有する構造であってもよい。また、ステントマーカの数も限定されず、少なくとも1つ有していればよい。
【0073】
また、手元操作部の構成は、本実施形態に記載したものに限定されず、例えば、コネクタを有さない構成として、外管および手元操作部を一体に形成してもよい。
【0074】
また、窓部は外管の最先端部分に設けられるとしたが、これに限定されず、先端側ステントマーカおよび先端マーカが配置される部分に形成すればよい。
【符号の説明】
【0075】
10 ステントデリバリーシステム(自己拡張型ステントデリバリーシステム)、
20 内管、
30 外管、
30a 内層、
30b 外層、
30c 補強体、
31 被補強部、
32 窓部、
40 間隙部、
50 ステント(自己拡張型ステント)、
51 先端側ステントマーカ(ステントマーカ)、
52 基端側ステントマーカ、
60 先端マーカ、
100 手元操作部
110 外管ハブ、
130 基部シャフト、
140 内管ハブ、
150 把持部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6