(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-199637(P2016-199637A)
(43)【公開日】2016年12月1日
(54)【発明の名称】樹脂製成形板
(51)【国際特許分類】
C08L 69/00 20060101AFI20161104BHJP
C08L 25/04 20060101ALI20161104BHJP
C08K 5/1525 20060101ALI20161104BHJP
C08K 5/3475 20060101ALI20161104BHJP
B29C 47/00 20060101ALI20161104BHJP
B29K 69/00 20060101ALN20161104BHJP
B29L 7/00 20060101ALN20161104BHJP
【FI】
C08L69/00
C08L25/04
C08K5/1525
C08K5/3475
B29C47/00
B29K69:00
B29L7:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-78918(P2015-78918)
(22)【出願日】2015年4月8日
(71)【出願人】
【識別番号】396001175
【氏名又は名称】住化スタイロンポリカーボネート株式会社
(72)【発明者】
【氏名】永野 圭哉
(72)【発明者】
【氏名】谷村 博之
【テーマコード(参考)】
4F207
4J002
【Fターム(参考)】
4F207AA13K
4F207AA28K
4F207AB06A
4F207AG01
4F207KA01
4F207KA17
4J002BC022
4J002CG011
4J002CG021
4J002CG031
4J002EL056
4J002EU177
4J002EU187
4J002FD057
4J002FD176
4J002FD206
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポリカーボネート樹脂本来の特性、すなわち、透明性と耐衝撃性を損なうことなく、特に、摺動性および必要に応じて耐候性にも優れ、樹脂製成形板を積層してもこれら成形板間が密着して取扱いがしにくいということがなく作業性に優れるものを提供する。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、ポリスチレン系粒子(B)0.01〜2.0重量%、および特定のアルキルケテンダイマー(C)0.01〜5重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物を押出成形してなることを特徴とする、樹脂製成形板。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、ポリスチレン系粒子(B)0.01〜2.0重量%、および下記一般式1で表されるアルキルケテンダイマー(C)0.01〜5重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物を押出成形してなることを特徴とする、樹脂製成形板。
一般式1:
【化1】
(一般式1において、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数6〜33のアルキル基をあらわす。)
【請求項2】
前記ポリカーボネート樹脂組成物が、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、紫外線吸収剤(D)0.1〜20重量部を含有する、請求項1記載の樹脂製成形板。
【請求項3】
前記ポリスチレン系粒子(B)の量が、前記ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、0.05〜1.0重量部である、請求項1記載の樹脂製成形板。
【請求項4】
前記アルキルケテンダイマー(C)の量が、前記ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.05〜3重量部である、請求項1記載の樹脂製成形板。
【請求項5】
前記紫外線吸収剤(D)がベンゾトリアゾール系化合物および/またはトリアジン系化合物である、請求項1記載の樹脂製成形板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物を押出成形してなる摺動性等に優れた樹脂製成形板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐衝撃性、耐熱性、熱安定性等に優れた熱可塑性樹脂であり、建築材料、道路用資材、自動車部品などの分野で広く用いられている。また、ポリカーボネート樹脂は、透明性および耐衝撃性に優れることから、屋根材や壁材として平型形状や波型形状の樹脂製成形板にも採用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂から得られたこのような樹脂製成形板を重ねた際、積層された樹脂製成形板の表面間が密着して取扱いがしにくいといった不具合が発生する場合があり、かかる不具合が発生しないように摺動性に優れた樹脂製成形板が要望されている。
【0003】
他方、上記欠点を改良する目的でポリカーボネート樹脂にポリテトラフルオロエチレン樹脂を配合した樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。しかしながら、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を配合することで摺動性は改良されるものの、
(1)ポリカーボネート樹脂の長所である透明性を大きく低下させると共に、
(2)ポリカーボネート樹脂の耐衝撃性が損なわれる、という問題があり、これらの改良が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−259059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ポリカーボネート樹脂が本来有する特性、透明性、耐衝撃性等を保持したまま、摺動性及び必要に応じて耐候性までも著しく改善したポリカーボネート樹脂組成物を押出成形してなる樹脂製成形板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、かかる課題に鑑み鋭意研究を行った結果、驚くべきことに、ポリカーボネート樹脂にポリスチレン系粒子、及び特定のアルキルケテンダイマーを含有させることにより、優れた摺動性、及び必要に応じて紫外線吸収剤を添加することにより、優れた耐候性を備えた樹脂製成形板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、ポリスチレン系粒子(B)0.01〜2.0重量%、および下式一般式1で表されるアルキルケテンダイマー(C)0.01〜5重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物を押出成形してなることを特徴とする、樹脂製成形板を提供するものである。
一般式1:
【0008】
【化1】
(一般式1において、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数6〜33のアルキル基をあらわす。)
【発明の効果】
【0009】
本発明の樹脂製成形板は、ポリカーボネート樹脂本来の特性、すなわち、透明性と耐衝撃性を損なうことなく、特に、摺動性および必要に応じて耐候性にも優れている。このため、例えば屋外においてこの樹脂製成形板を積層してもこれら樹脂製成形板間が密着して取扱いがしにくいということがなく作業性に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、発明者らは当業者が本発明を充分に理解するために以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
本発明の樹脂製成形板は、建材用樹脂製成形板やエクステリア用樹脂製成形板等、具体的には屋根材、壁材等、樹脂製窓等に好適に使用され得る平型や波型等の表面形状を備える樹脂製成形板を意味し、単一樹脂製成形板、および他の樹脂製成形板やガラス製成形板等との積層樹脂製成形板をも包含するものである。
【0013】
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0014】
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類が挙げられる。
【0015】
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
【0016】
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−〔4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル〕−プロパンなどが挙げられる。
【0017】
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、特に制限はないが、成形加工性、強度の面より通常10000〜100000、より好ましくは15000〜35000、さらに好ましくは18000〜30000の範囲である。また、かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
【0018】
本発明にて使用されるポリスチレン系粒子(B)は、スチレン重合体またはスチレン共重合体の粒子があげられる。なかでもスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等の架橋ポリスチレン粒子が好適に用いられ、市販品としては松浦(株)社製ファインパールPB−3011Eまたは積水化成品工業(株)社製テクポリマーSBX等として入手可能である。
【0019】
ポリスチレン系粒子(B)の平均粒子径は、5〜30μmである。好ましい平均粒子径は、8〜20μmの範囲である。平均粒子径が5μm未満では得られた樹脂製成形板の透明性と摺動性に劣り、また30μmを超えるとやはり透明性に劣るので好ましくない。
【0020】
ポリスチレン系粒子(B)の屈折率は、1.58〜1.60の範囲が好ましい。より好ましくは1.585〜1.595の範囲である。ポリカーボネート樹脂( A ) の屈折率が1.58〜1.59であることから、より近い屈折率であることが望ましい。ポリスチレン系粒子(B)の屈折率が1.58未満では、ヘーズが発生して透過率等透明性が低下する場合がある。また、1.60を超えると、ヘーズが発生して透明性が低下する場合がある。
【0021】
ポリスチレン系粒子(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)あたり0.01〜2.0重量部の範囲である。より好ましくは、0.05〜1.0重量部の範囲である。
0.01重量部未満では滑り性に劣り、かつ2.0重量部を超えると透明性が損なわれるので好ましくない。
【0022】
本発明にて使用されるアルキルケテンダイマー(C)は下記一般式1にて示される化合物である。
一般式1:
【0024】
一般式1において、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数6〜33のアルキル基、好ましくは炭素数10〜21のアルキル基である。
【0025】
一般式1において、更に好ましくは、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数が10〜21のアルキル基である化合物が使用できる。
【0026】
アルキルケテンダイマー(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.01〜5重量部である。好ましい含有量は、0.05〜3重量部、更に好ましくは0.1〜2重量部である。0.01重量部未満では摺動性に劣り、5重量部を越えると造粒加工が困難になり樹脂組成物のペレットを得ることができなくなることから好ましくない。
【0027】
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤(D)を含有することができる。本発明にて使用される紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、またはベンゾフェノン系の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。特に、下記一般式2および下記一般式3で表されるベンゾトリアゾール系化合物、および/または並びに下記一般式4で表されるトリアジン系化合物からなる紫外線吸収剤が好ましい。
一般式2:
【0031】
本発明にて使用される紫外線吸収剤(D)の分子量は、400以上のものが好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、例えばBASF社製TINUVIN234或いはADEKA社製LA31が商業的に入手可能であり、トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えばBASF社製TINUVIN1577FFが商業的に入手可能である。
【0032】
本発明にて使用される紫外線吸収剤(D)の含有量は、ポリカーボネート樹脂組成物に対して0.1〜20重量部である。より好ましくは、1〜12重量部の範囲である。0.1重量部未満では成形板の耐候性が不足し、20重量部を超えるとポリカーボネート樹脂組成物の造粒加工が困難になり樹脂組成物のペレットを得ることができなくなることから好ましくない。
【0033】
本発明の各種成分(A)、(B)、及び(C)、必要に応じて成分(D)の配合方法には特に制限はなく、任意の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等によりこれらを混合し、通常の単軸または二軸押出機等で溶融混練することができる。また、これら配合成分の配合順序や一括混合、分割混合を採用することについても特に制限はない。
【0034】
また、混合時、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば離型剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、染顔料、展着剤(エポキシ大豆油、流動パラフィン等)や強化材(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ等)等、又、他の樹脂を配合することができる。
【0035】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を押出成形してなる成形板を成形する方法としては、フラットダイ(Tダイ)や多層Tダイにより単層又は多層の少なくとも一層として板状に成形する方法が挙げられる。押出成形温度は、押出機への負荷の観点から250〜300℃が好ましく、260〜280℃が特に好ましい。冷却ロールの設定温度は、成形板の反りを低減させる観点から100〜170℃が好ましく、120〜170℃が特に好ましい。
【0036】
本発明の樹脂製成形板の厚みは、特に制限はないが、成形板の取り扱いのしやすさの観点から0.5〜5mmが好ましい。
【0037】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲においては、任意に変更乃至改変して実施することができる。なお、特に断りのない限り、実施例中の「%」及び「部」は、それぞれ重量基準に基づく「重量%」及び「重量部」を示す。
【実施例】
【0038】
使用した配合成分は、以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂(A):
ビスフェノールAとホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂
(住化スタイロンポリカーボネート社製 カリバー200−3
粘度平均分子量:28000、以下、「PC」と略記)
ポリスチレン系粒子(B):
松浦社製 PB−3011E (以下、「PS」と略記)
アルキルケテンダイマー(C):
永恒化工社製 AKD1840(以下、「AKD」と略記)
紫外線吸収剤(D):
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:
アデカ社製 LA−31(以下、「UVA」と略記)
【0039】
前述の各種配合成分を表1及び表2に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(JSW製TEX−30α)を用いて、溶融温度280℃にて混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
【0040】
(成形品の摺動性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、押出成型機(田辺プラスチック社製VS40単軸押出機)を用いて設定温度300℃で、押出し、1.0mm厚のポリカーボネート押出成形板を得た。この樹脂製押出成形板の中央部から試験片(63x63x1mm)を切り出した。押出成形板から切りだした試験片の動摩擦係数を、荷重は用いず押出成形板を2枚重ねてJIS K7125に準拠して測定し、0.30以下を良好とした。当該相手材も上記方法で作成した押成形板を用いた。
【0041】
(成形品の透明性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物の試験片を用いてJIS K7361に準じ、試験片厚み1mmの光線透過率を測定し、光線透過率が86%以上を良好とした。
【0042】
(初期着色:初期YI)
上記で得られた各種樹脂組成物の試験片の黄変度をASTM D1925に準拠して測定し、10以下を良好とした。
【0043】
(耐候性:耐候性ΔYI)
上記で得られた各種樹脂組成物の試験片をスガ試験機製スーパーキセノンウェザーメーターSX−75で600時間照射した後、上記と同じ方法で黄変度を測定し、その上昇値(△YI)を算出し、6以下を良好とした。尚、試験は照射強度150W/m
2、雨有りの条件下で実施した。
【0044】
【表1】
表中「判定」は ○: 良好 、×:不良 を表す。
【0045】
【表2】
表中「判定」は ○: 良好 、×:不良 を表す。
【0046】
ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を満足する場合(実施例1〜7)にあっては、全ての評価項目に対して良好な結果を示した。
【0047】
一方、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を満足しない場合においては、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例1は、ポリスチレン系粒子(PS)が本発明の定める範囲よりも少ない場合で摺動性に劣っていた。
比較例2は、ポリスチレン系粒子(PS)が本発明の定める範囲よりも多い場合で、透明性に劣っていた。
比較例3は、アルキルケテンダイマー(AKD)が本発明の定める範囲より少ない場合で、摺動性に劣っていた。
比較例4は、アルキルケテンダイマー(AKD)が本発明の定める範囲より多い場合であるが、この場合は、造粒困難によりペレットが作成出来なかった。
比較例5は、紫外線吸収剤(UVA)が本発明の定める範囲より少ない場合で、耐候性に劣っていた。
比較例6は紫外線吸収剤(UVA)が本発明の定める範囲より多い場合で、初期YIに劣っていた。
【0048】
以上のように、本発明における技術の例示として実施の形態を説明した。そのために、詳細な説明を提供した。
【0049】
したがって、詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0050】
また、上述の実施の形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の樹脂製成形板は、ポリカーボネート樹脂本来の特性、すなわち、透明性と耐衝撃性を損なうことなく、特に、摺動性および必要に応じて耐候性にも優れている。このため、この樹脂製成形板を積層してもこれら樹脂製成形板間が密着して取扱いがしにくいということがなく作業性に優れるものであり、例えば、建材用樹脂製成形板やエクステリア用樹脂製成形板などとして産業上の利用価値が極めて高いものである。