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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-200048(P2016-200048A)
(43)【公開日】2016年12月1日
(54)【発明の名称】熱エネルギー回収装置
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/10 20060101AFI20161104BHJP
   F01K 23/08 20060101ALI20161104BHJP
   F02G 5/02 20060101ALI20161104BHJP
   F01D 19/00 20060101ALI20161104BHJP
   F01D 21/00 20060101ALI20161104BHJP
【FI】
   F01K23/10 R
   F01K23/08
   F01K23/10 Q
   F02G5/02 B
   F01D19/00 K
   F01D19/00 Q
   F01D21/00 T
   F01D21/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-80238(P2015-80238)
(22)【出願日】2015年4月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(71)【出願人】
【識別番号】304018646
【氏名又は名称】旭海運 株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511161362
【氏名又は名称】常石造船株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】足立 成人
(72)【発明者】
【氏名】成川 裕
(72)【発明者】
【氏名】藤井 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】荒平 一也
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅一
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕
(72)【発明者】
【氏名】提島 利雄
【テーマコード(参考)】
3G071
3G081
【Fターム(参考)】
3G071AA01
3G071AB01
3G071BA07
3G071CA01
3G071CA02
3G071FA03
3G071HA03
3G081BA02
3G081BA20
3G081BC03
3G081BC07
3G081DA01
3G081DA03
(57)【要約】
【課題】熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで停止させる熱エネルギー回収装置を提供する。
【解決手段】熱エネルギー回収装置1は、循環ポンプ11により作動媒体を循環させて、第1加熱器12を通じて過給機32からの過給空気と作動媒体との熱交換を行い、さらに第2加熱器13を通じて排ガスエコノマイザ40からの蒸気と作動媒体との熱交換を行ったうえでタービン15を発電機16と一体に駆動させる熱エネルギー回収回路10と、排ガスエコノマイザ40からスートブロー装置50に蒸気を流通させる第1蒸気流通経路42における蒸気の流通状態に基づいて循環ポンプ11を停止させる停止制御を実行する制御部19とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に搭載され、内燃機関の過給機からの過給空気の熱エネルギーを作動媒体を介して回収するとともに、前記船舶における蒸気の需要先への蒸気の供給が優先される条件の下に、エコノマイザからの蒸気の熱エネルギーを前記作動媒体を介して回収する熱エネルギー回収装置であって、
前記過給空気と前記作動媒体との間の熱交換により前記作動媒体を加熱する第1加熱器、および前記第1加熱器と直列に接続され、前記エコノマイザからの蒸気と前記作動媒体との間の熱交換により前記作動媒体を加熱する第2加熱器、
前記第1加熱器および前記第2加熱器により加熱された前記作動媒体の膨張に基づき動力を発生する膨張機、
前記膨張機から流出される前記作動媒体を凝縮させる凝縮器、
ならびに、前記凝縮器からの前記作動媒体を搬送するためのポンプ
が順に接続された密閉型の媒体循環経路を備える熱エネルギー回収回路と、
前記膨張機に接続されて同膨張機の動力を回収する動力回収機と、
前記エコノマイザから前記需要先へ蒸気を流通させる第1蒸気流通経路と、
前記第1蒸気流通経路から分岐して、前記エコノマイザから前記第2加熱器へ蒸気を流通させる第2蒸気流通経路と、
前記第1蒸気流通経路における蒸気の流通状態および前記第2蒸気流通経路における蒸気の流通状態の少なくとも一方に基づいて、前記ポンプの運転を停止する停止制御を実行する制御部と、
を備える熱エネルギー回収装置。
【請求項2】
前記第1蒸気流通経路において前記第2蒸気流通経路との分岐点よりも下流側に設けられた開閉弁と、
前記開閉弁よりも前記第1蒸気流通経路下流の蒸気の温度を検出する温度検出部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記温度検出部の検出温度が前記需要先に蒸気が優先的に供給されていると判定できる所定温度以上であるときに前記停止制御を実行する
請求項1に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記停止制御により前記ポンプの運転が停止した状態において、前記検出温度が低下して前記所定温度未満となったときに前記ポンプの運転を再び開始する再開制御を実行する
請求項2に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項4】
前記第1蒸気流通経路において前記第2蒸気流通経路との分岐点よりも下流側に設けられた開閉弁と、
前記開閉弁の開弁および閉弁を検出する弁検出部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記弁検出部により前記開閉弁の開弁が検出されるときに前記停止制御を実行する
請求項1に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記停止制御により前記ポンプの運転が停止した状態において、前記開閉弁の閉弁が検出されたときに前記ポンプの運転を再び開始する再開制御を実行する
請求項4に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項6】
前記第2蒸気流通経路を流れる蒸気の圧力を検出する圧力検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記圧力検出部の検出圧力が前記需要先に蒸気が優先的に供給されていると判定できる所定圧力未満であるときに前記停止制御を実行する
請求項1に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記停止制御により前記ポンプが停止した状態において、前記検出圧力が上昇して前記所定圧力以上となったときに前記ポンプの運転を再び開始する再開制御を実行する
請求項6に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項8】
前記第1蒸気流通経路において前記第2蒸気流通経路との分岐点よりも下流側に設けられた開閉弁と、
前記開閉弁よりも前記第1蒸気流通経路下流の蒸気の圧力を検出する圧力検出部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記圧力検出部の検出圧力が前記需要先に蒸気が優先的に供給されていると判定できる所定圧力以上であるときに前記停止制御を実行する
請求項1に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記停止制御により前記ポンプの運転が停止した状態において、前記検出圧力が低下して前記所定圧力未満となったときに前記ポンプの運転を再び開始する再開制御を実行する
請求項8に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項10】
前記第2蒸気流通経路を流れる蒸気の温度を検出する温度検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記温度検出部の検出温度が前記需要先に蒸気が優先的に供給されていると判定できる所定温度未満であるときに前記停止制御を実行する
請求項1に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記停止制御により前記ポンプが停止した状態において、前記検出温度が上昇して前記所定温度以上となったときに前記ポンプの運転を再び開始する再開制御を実行する
請求項10に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項12】
前記第1蒸気流通経路において前記第2蒸気流通経路との分岐点よりも下流側に設けられた開閉弁と、
前記開閉弁よりも前記第1蒸気流通経路下流の蒸気の流量を検出する流量検出部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記流量検出部の検出流量が前記需要先に蒸気が優先的に供給されていると判定できる所定流量以上であるときに前記停止制御を実行する
請求項1に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記停止制御により前記ポンプの運転が停止した状態において、前記検出流量が低下して前記所定流量未満となったときに前記ポンプの運転を再び開始する再開制御を実行する
請求項12に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項14】
前記第2蒸気流通経路を流れる蒸気の流量を検出する流量検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記流量検出部の検出流量が前記需要先に蒸気が優先的に供給されていると判定できる所定流量未満であるときに前記停止制御を実行する
請求項1に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記停止制御により前記ポンプが停止した状態において、前記検出流量が上昇して前記所定流量以上となったときに前記ポンプの運転を再び開始する再開制御を実行する
請求項14に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記内燃機関の負荷が設定負荷以上であるときに前記停止制御を無効にする
請求項1〜15のいずれか一項に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項17】
前記第2加熱器は、前記作動媒体と熱交換することにより蒸気の潜熱を回収し、
前記第2加熱器から排出される蒸気を前記エコノマイザに戻すための戻し通路を備える
請求項1〜16のいずれか一項に記載の熱エネルギー回収装置。
【請求項18】
前記動力回収機を迂回して前記作動媒体を流すための迂回装置をさらに備え、
前記制御部は、前記停止制御において、前記迂回装置により前記作動媒体が前記動力回収機を迂回するように前記迂回装置を制御する
請求項1〜17のいずれか一項に記載の熱エネルギー回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動媒体を介して熱媒体の熱エネルギーを回収する熱エネルギー回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶用の内燃機関が発生する熱エネルギーを回収する装置が知られている。この装置の一例として、特許文献1の排熱回収型船舶推進装置は、第1循環ポンプにより、高圧蒸発器、発電用のパワータービン、および凝縮器の順に有機流体を循環させる第1サイクルと、第2循環ポンプにより、低圧蒸発器、上記パワータービン、および上記凝縮器の順に有機流体を循環させる第2サイクルとからなる排熱回収発電装置を備える。低圧蒸発器は、ディーゼルエンジンのジャケットを冷却するジャケット冷却水により第2循環ポンプからの有機流体を加熱し、高圧蒸発器は、排ガスエコノマイザから供給され、ディーゼルエンジンからの排ガスとの熱交換により第1循環ポンプからの有機流体を加熱する。そして排熱回収発電装置では、低圧蒸発器からの有機流体の熱落差と高圧蒸発器からの有機流体の熱落差とによってパワータービンが回転駆動することにより、パワータービンに接続された発電機による電力の生成が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−180625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、排ガスエコノマイザが生成する蒸気は、排熱回収発電装置とは異なる船舶の蒸気の需要先、例えばバラストタンク、積荷室、甲板等の洗浄を行うスートブロー装置などに優先的に供給される。これにより、排ガスエコノマイザから排熱回収発電装置いわゆる熱エネルギー回収装置の蒸発器への蒸気の供給量が低下し、有機流体が十分に加熱されずにパワータービンに供給されるおそれがある。そのため、このような場合には、作業者が停止操作を行うことで熱エネルギー回収装置の動作を停止させる。
【0005】
しかし、作業者が熱エネルギー回収装置の停止操作を適切なタイミングで行うことは難しく、また作業者が熱エネルギー回収装置の動作を停止し忘れるおそれもある。
【0006】
本発明は、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで確実に停止させることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決する熱エネルギー回収装置は、船舶に搭載され、内燃機関の過給機からの過給空気の熱エネルギーを作動媒体を介して回収するとともに、前記船舶における蒸気の需要先への蒸気の供給が優先される条件の下に、エコノマイザからの蒸気の熱エネルギーを前記作動媒体を介して回収する熱エネルギー回収装置であって、前記過給空気と前記作動媒体との間の熱交換により前記作動媒体を加熱する第1加熱器、および前記第1加熱器と直列に接続され、前記エコノマイザからの蒸気と前記作動媒体との間の熱交換により前記作動媒体を加熱する第2加熱器、前記第1加熱器および前記第2加熱器により加熱された前記作動媒体の膨張に基づき動力を発生する膨張機、前記膨張機から流出される前記作動媒体を凝縮させる凝縮器、ならびに、前記凝縮器からの前記作動媒体を搬送するためのポンプが順に接続された密閉型の媒体循環経路を備える熱エネルギー回収回路と、前記膨張機に接続されて同膨張機の動力を回収する動力回収機と、前記エコノマイザから前記需要先へ蒸気を流通させる第1蒸気流通経路と、前記第1蒸気流通経路から分岐して、前記エコノマイザから前記第2加熱器へ蒸気を流通させる第2蒸気流通経路と、前記第1蒸気流通経路における蒸気の流通状態および前記第2蒸気流通経路における蒸気の流通状態の少なくとも一方に基づいて、前記ポンプの運転を停止する停止制御を実行する制御部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
上記構成において、「船舶における蒸気の需要先」とは、船舶に搭載され、蒸気を用いて仕事を行う装置をいう。その一例は、バラストタンク、積荷室、甲板等の洗浄を行うスートブロー装置である。
【0009】
エコノマイザからの蒸気の大半が船舶における蒸気の需要先に供給されるときには、エコノマイザから第2加熱器に供給される蒸気が少なくなり、熱エネルギー回収装置の熱エネルギー回収効率が低下することになる。したがって、熱エネルギー回収装置の消費エネルギーを低減するためには、その動作を停止させることが好ましい。
【0010】
この点、この構成によれば、第1蒸気流通経路における蒸気の流通状態や第2蒸気流通経路における蒸気の流通状態、すなわちエコノマイザから船舶における蒸気の需要先への蒸気の供給状態や、エコノマイザから第2加熱器への蒸気の供給状態に基づいて停止制御が実行される。このため、熱エネルギー回収装置の熱エネルギー回収効率が低下した状況に至ったときに、自動でポンプの運転を停止させ、熱エネルギー回収装置の動作を停止させることができる。したがって、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで確実に停止させることができる。
【0011】
また、上記熱エネルギー回収装置は、前記第1蒸気流通経路において前記第2蒸気流通経路との分岐点よりも下流側に設けられた開閉弁と、前記開閉弁よりも前記第1蒸気流通経路下流の蒸気の温度を検出する温度検出部と、をさらに備え、前記制御部は、前記温度検出部の検出温度が前記需要先に蒸気が優先的に供給されていると判定できる所定温度以上であるときに前記停止制御を実行することが好ましい。
【0012】
第1蒸気流通経路、すなわちエコノマイザと船舶における蒸気の需要先との間の流通経路における蒸気の温度は、エコノマイザからの蒸気が第1蒸気流通経路に流通しはじめたとき、そのときの第1蒸気流通経路における蒸気の流通状態を示す一つの指標である蒸気量が多くなるにつれて高くなる傾向がある。そしてエコノマイザからの蒸気が第1蒸気流通経路に十分に流通したとき、第1蒸気流通経路における蒸気の温度は、エコノマイザからの蒸気が第1蒸気流通経路に流通する前の第1蒸気流通経路内の温度よりも十分に高い状態が維持される。
【0013】
上記構成によれば、温度検出部により第1蒸気流通経路の蒸気の温度を検出するようにし、需要先に優先的に蒸気が供給されていることを蒸気の検出温度と所定温度との比較結果に基づき適正に把握することができる。そして、その把握された蒸気の流通状態に基づいてポンプの運転を停止させて熱エネルギー回収装置の動作を停止させることができる。したがって、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで停止させることができる。
【0014】
また、上記熱エネルギー回収装置において、前記制御部は、前記停止制御により前記ポンプの運転が停止した状態において、前記検出温度が低下して前記所定温度未満となったときに前記ポンプの運転を再び開始する再開制御を実行することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、スートブロー装置などの蒸気の需要先が蒸気を必要としていない状況にあることを蒸気の検出温度と所定温度との比較結果に基づき把握したうえで、停止されているポンプの運転を再開させることができる。このため、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで再開させることができ、作業者が熱エネルギー回収装置の再開操作をし忘れる、あるいは再開操作が遅れることなどによって、熱エネルギー回収装置の熱エネルギー回収効率が不必要に低下してしまうことを抑制することができる。
【0016】
また、上記熱エネルギー回収装置は、前記第1蒸気流通経路において前記第2蒸気流通経路との分岐点よりも下流側に設けられた開閉弁と、前記開閉弁の開弁および閉弁を検出する弁検出部と、をさらに備え、前記制御部は、前記弁検出部により前記開閉弁の開弁が検出されるときに前記停止制御を実行することが好ましい。
【0017】
第1蒸気流通経路に開閉弁が設けられている場合、この開閉弁が開弁すると、エコノマイザから船舶における蒸気の需要先に向けて蒸気が供給されるようになる。
【0018】
上記構成によれば、弁検出部により開閉弁の開弁を検出するようにしているため、その検出結果に基づいて第1蒸気流通経路における蒸気の流通状態を把握することができる。したがって、その把握された蒸気の流通状態に基づいてポンプの運転を停止させることで熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで停止させることができる。
【0019】
また、上記熱エネルギー回収装置において、前記制御部は、前記停止制御により前記ポンプの運転が停止した状態において、前記開閉弁の閉弁が検出されたときに前記ポンプの運転を再び開始する再開制御を実行することが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、スートブロー装置などの蒸気の需要先が蒸気を必要としていない状況にあることを開閉弁が閉弁していることに基づき把握したうえで、停止されているポンプの運転を再開させることができる。このため、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで再開させることができ、作業者が熱エネルギー回収装置の再開操作をし忘れる、あるいは再開操作が遅れることなどによって、熱エネルギー回収装置の熱エネルギー回収効率が不必要に低下してしまうことを抑制することができる。
【0021】
また、上記熱エネルギー回収装置は、前記第2蒸気流通経路を流れる蒸気の圧力を検出する圧力検出部をさらに備え、前記制御部は、前記圧力検出部の検出圧力が前記需要先に蒸気が優先的に供給されていると判定できる所定圧力未満であるときに前記停止制御を実行することが好ましい。
【0022】
第2蒸気流通経路、すなわちエコノマイザと第2加熱器との間の流通経路における蒸気の圧力は、エコノマイザからの蒸気が第2蒸気流通経路に流通しはじめたとき、そのときの第2蒸気流通経路における蒸気の流通状態を示す一つの指標である蒸気量が多くなるにつれて高くなる傾向がある。そしてエコノマイザからの蒸気が第2蒸気流通経路に十分に流通したとき、第2蒸気流通経路における蒸気の圧力は、エコノマイザからの蒸気が第2蒸気流通経路に流通する前の第2蒸気流通経路内の圧力よりも十分に高い状態が維持される。さらに、第2蒸気流通経路における蒸気の流通量が多くなれば、それにともなって第1蒸気流通経路における蒸気の流通量が少なくなる。
【0023】
上記構成によれば、圧力検出部により第2蒸気流通経路における蒸気の圧力を検出するようにしているため、その検出圧力に基づいて、第2蒸気流通経路における蒸気の流通状態、さらに第1蒸気流通経路における蒸気の流通状態を把握することができる。そして需要先に優先的に蒸気が供給されていることを蒸気の検出圧力と所定圧力との比較結果に基づき適正に把握したうえで、ポンプの運転を停止させて熱エネルギー回収装置の動作を停止させることができる。したがって、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで停止させることができる。
【0024】
また、上記熱エネルギー回収装置において、前記制御部は、前記停止制御により前記ポンプが停止した状態において、前記検出圧力が上昇して前記所定圧力以上となったときに前記ポンプの運転を再び開始する再開制御を実行することが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、スートブロー装置などの蒸気の需要先が蒸気を必要としていない状況になることを蒸気の検出圧力と所定圧力との比較結果に基づき把握したうえで、停止されているポンプの運転を再開させることができる。このため、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで再開させることができ、作業者が熱エネルギー回収装置の再開操作をし忘れる、あるいは作業者の再開操作が遅れることなどによって、熱エネルギー回収装置の熱エネルギー回収効率が不必要に低下してしまうことを抑制することができる。
【0026】
また、上記熱エネルギー回収装置は、前記第1蒸気流通経路において前記第2蒸気流通経路との分岐点よりも下流側に設けられた開閉弁と、前記開閉弁よりも前記第1蒸気流通経路下流の蒸気の圧力を検出する圧力検出部と、をさらに備え、前記制御部は、前記圧力検出部の検出圧力が前記需要先に蒸気が優先的に供給されていると判定できる所定圧力以上であるときに前記停止制御を実行することが好ましい。
【0027】
第1蒸気流通経路、すなわちエコノマイザと船舶における蒸気の需要先との間の流通経路における蒸気の圧力は、エコノマイザからの蒸気が第1蒸気流通経路に流通しはじめたとき、そのときの第1蒸気流通経路における蒸気の流通状態を示す一つの指標である蒸気量が多くなるにつれて高くなる傾向がある。そしてエコノマイザからの蒸気が第1蒸気流通経路に十分に流通したとき、第1蒸気流通経路における蒸気の圧力は、エコノマイザからの蒸気が第1蒸気流通経路に流通する前の第1蒸気流通経路内の圧力よりも十分に高い状態が維持される。
【0028】
上記構成によれば、圧力検出部により第1蒸気流通経路における蒸気の圧力を検出するようにしているため、その検出圧力に基づいて第1蒸気流通経路における蒸気の流通状態を把握することができる。そして、需要先に優先的に蒸気が供給されていることを蒸気の検出圧力と所定圧力との比較結果に基づき適切に把握したうえで、ポンプの運転を停止させて熱エネルギー回収装置の動作を停止させることができる。したがって、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで停止させることができる。
【0029】
また、上記熱エネルギー回収装置において、前記制御部は、前記停止制御により前記ポンプの運転が停止した状態において、前記検出圧力が低下して前記所定圧力未満となったときに前記ポンプの運転を再び開始する再開制御を実行することが好ましい。
【0030】
上記構成によれば、スートブロー装置などの蒸気の需要先が蒸気を必要としていない状況にあることを蒸気の検出圧力と所定圧力との比較結果に基づき把握したうえで、停止されているポンプの運転を再開させることができる。このため、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで再開させることができ、作業者が熱エネルギー回収装置の再開操作をし忘れる、あるいは再開操作が遅れることなどによって、熱エネルギー回収装置の熱エネルギー回収効率が不必要に低下してしまうことを抑制することができる。
【0031】
また、上記熱エネルギー回収装置は、前記第2蒸気流通経路を流れる蒸気の温度を検出する温度検出部をさらに備え、前記制御部は、前記温度検出部の検出温度が前記需要先に蒸気が優先的に供給されていると判定できる所定温度未満であるときに前記停止制御を実行することが好ましい。
【0032】
第2蒸気流通経路、すなわちエコノマイザと第2加熱器との間の流通経路における蒸気の温度は、エコノマイザからの蒸気が第2蒸気流通経路に流通しはじめたとき、そのときの第2蒸気流通経路における蒸気の流通状態を示す一つの指標である蒸気量が多くなるにつれて高くなる傾向がある。そしてエコノマイザからの蒸気が第2蒸気流通経路に十分に流通したとき、第2蒸気流通経路における蒸気の温度は、エコノマイザからの蒸気が第2蒸気流通経路に流通する前の第2蒸気流通経路内の温度よりも十分に高い状態が維持される。さらに、第2蒸気流通経路における蒸気の流通量が多くなれば、それにともなって第1蒸気流通経路における蒸気の流通量が少なくなる。
【0033】
上記構成によれば、温度検出部により第2蒸気流通経路における蒸気の温度を検出するようにしているため、その検出温度に基づいて第2蒸気流通経路における蒸気の流通状態、さらに第1蒸気流通経路における蒸気の流通状態を把握することができる。そして、需要先に優先的に蒸気が供給されていることを蒸気の検出温度と所定温度との比較結果に基づき適切に把握したうえで、ポンプの運転を停止させて熱エネルギー回収装置の動作を停止させることができる。したがって、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで停止させることができる。
【0034】
また、上記熱エネルギー回収装置において、前記制御部は、前記停止制御により前記ポンプが停止した状態において、前記検出温度が上昇して前記所定温度以上となったときに前記ポンプの運転を再び開始する再開制御を実行することが好ましい。
【0035】
上記構成によれば、スートブロー装置などの蒸気の需要先が蒸気を必要としていない状況にあることを蒸気の検出温度と所定温度との比較結果に基づき適切に把握したうえで、停止されているポンプの運転を再開させることができる。このため、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで再開させることができ、作業者が熱エネルギー回収装置の再開操作をし忘れる、あるいは再開操作が遅れることなどによって、熱エネルギー回収装置の熱エネルギー回収効率が不必要に低下してしまうことを抑制することができる。
【0036】
また、上記熱エネルギー回収装置は、前記第1蒸気流通経路において前記第2蒸気流通経路との分岐点よりも下流側に設けられた開閉弁と、前記開閉弁よりも前記第1蒸気流通経路下流の蒸気の流量を検出する流量検出部と、をさらに備え、前記制御部は、前記流量検出部の検出流量が、前記需要先に蒸気が優先的に供給されていると判定できる所定流量以上であるときに前記停止制御を実行することが好ましい。
【0037】
第1蒸気流通経路、すなわちエコノマイザと船舶における蒸気の需要先との間の流通経路における蒸気の流量は、第1蒸気流通経路における蒸気の流通状態を示す一つの指標である蒸気量が多くなるにつれて多くなる傾向がある。
【0038】
上記構成によれば、流量検出部により第1蒸気流通経路の蒸気の流量を検出するようにしているため、その検出流量に基づいて第1蒸気流通経路における蒸気の流通状態を把握することができる。そして、需要先に優先的に蒸気が供給されていることを蒸気の検出流量と所定流量との比較結果に基づき適切に把握したうえで、ポンプの運転を停止させて熱エネルギー回収装置の動作を停止させることができる。したがって、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで停止させることができる。
【0039】
また、上記熱エネルギー回収装置において、前記制御部は、前記停止制御により前記ポンプの運転が停止した状態において、前記検出流量が低下して前記所定流量未満となったときに前記ポンプの運転を再び開始する再開制御を実行することが好ましい。
【0040】
上記構成によれば、スートブロー装置などの蒸気の需要先が蒸気を必要としていない状況にあることを蒸気の検出流量と所定流量との比較結果に基づき把握したうえで、停止されているポンプの運転を再開させることができる。このため、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで再開させることができ、作業者が熱エネルギー回収装置の再開操作をし忘れる、あるいは再開操作が遅れることなどによって、熱エネルギー回収装置の熱エネルギー回収効率が不必要に低下してしまうことを抑制することができる。
【0041】
また、上記熱エネルギー回収装置は、前記第2蒸気流通経路を流れる蒸気の流量を検出する流量検出部をさらに備え、前記制御部は、前記流量検出部の検出流量が前記需要先に蒸気が優先的に供給されていると判定できる所定流量未満であるときに前記停止制御を実行することが好ましい。
【0042】
第2蒸気流通経路、すなわちエコノマイザと第2加熱器との間の流通経路における蒸気の流量は、第2蒸気流通経路における蒸気の流通状態を示す一つの指標である蒸気量が多くなるにつれて多くなる傾向がある。さらに、第2蒸気流通経路における蒸気の流通量が多くなれば、それにともなって第1蒸気流通経路における蒸気の流通量が少なくなる。
【0043】
上記構成によれば、流量検出部により第2蒸気流通経路における蒸気の流量を検出するようにしているため、その検出流量に基づいて、第2蒸気流通経路における蒸気の流通状態、さらに第1蒸気流通経路における蒸気の流通状態を把握することができる。そして需要先に優先的に蒸気が供給されていることを蒸気の検出流量と所定流量との比較結果に基づき適正に把握したうえで、ポンプの運転を停止させて熱エネルギー回収装置の動作を停止させることができる。したがって、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで停止させることができる。
【0044】
また、上記熱エネルギー回収装置において、前記制御部は、前記停止制御により前記ポンプが停止した状態において、前記検出流量が上昇して前記所定流量以上となったときに前記ポンプの運転を再び開始する再開制御を実行することが好ましい。
【0045】
上記構成によれば、スートブロー装置などの蒸気の需要先が蒸気を必要としていない状況にあることを蒸気の検出流量と所定流量との比較結果に基づき適切に把握したうえで、停止されているポンプの運転を再開させることができる。このため、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで再開させることができ、作業者が熱エネルギー回収装置の再開操作をし忘れる、あるいは再開操作が遅れることなどによって、熱エネルギー回収装置の熱エネルギー回収効率が不必要に低下してしまうことを抑制することができる。
【0046】
また、上記熱エネルギー回収装置において、前記制御部は、前記内燃機関の負荷が設定負荷以上であるときに前記停止制御を無効にすることが好ましい。
【0047】
上述したように、エコノマイザからの蒸気が船舶における蒸気の需要先に向けて多量に供給されるときには、それにともなってエコノマイザから第2加熱器に供給される蒸気が少なくなるため、第2加熱器における作動媒体の温度上昇量が低下する。しかしこのような場合であっても、内燃機関の負荷が高ければ、過給機の過給圧が高くなり、過給空気の温度も高くなるため、その高温の過給空気の熱により第1加熱器において作動媒体を十分に温度上昇させることができ、動力回収機による動力の回収が見込めるようになる。
【0048】
上記構成によれば、内燃機関の負荷が、内燃機関の負荷が高いと判定できる設定負荷以上であるときには、停止制御が無効にされるため、熱エネルギー回収装置の熱エネルギー回収効率が不必要に低下してしまうことを抑制することができる。
【0049】
また、上記熱エネルギー回収装置において、前記第2加熱器は、前記作動媒体と熱交換することにより蒸気の潜熱を回収し、前記第2加熱器から排出される蒸気を前記エコノマイザに戻すための戻し通路を備えることが好ましい。
【0050】
上記構成によれば、第2加熱器によりエコノマイザからの蒸気の潜熱が回収されるとともに第2加熱器から排出される蒸気が戻し通路を通じてエコノマイザに戻されるようになるため、アトモスコンデンサが不要となり、熱エネルギー回収装置の構成の簡素化を図ることが可能になる。
【0051】
また、上記熱エネルギー回収装置は、前前記動力回収機を迂回して前記作動媒体を流すための迂回装置をさらに備え、前記制御部は、前記停止制御において、前記迂回装置により前記作動媒体が前記動力回収機を迂回するように前記迂回装置を制御することが好ましい。
【0052】
上記構成によれば、作動媒体が膨張機および動力回収機を迂回して流れるようになり、作動媒体が媒体循環経路を流れる際の作動媒体の圧損が低下するため、ポンプの吐出圧が低下するようになる。したがって、ポンプを運転して膨張機および動力回収機を迂回して作動媒体を流通させる場合には、ポンプの消費エネルギーを低減させることができる。
【発明の効果】
【0053】
上記発明によれば、熱エネルギー回収装置の動作を適切なタイミングで確実に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】熱エネルギー回収装置の第1実施形態のシステム構成を示す概略構成図。
図2】同実施形態の熱エネルギー回収装置の制御部が実行する停止制御処理の手順を示すフローチャート。
図3】同実施形態の熱エネルギー回収装置の制御部が実行する再開制御処理の手順を示すフローチャート。
図4】熱エネルギー回収装置の第2実施形態のシステム構成の一部を示す概略構成図。
図5】同実施形態の熱エネルギー回収装置の制御部が実行する停止制御処理の手順を示すフローチャート。
図6】同実施形態の熱エネルギー回収装置の制御部が実行する再開制御処理の手順を示すフローチャート。
図7】熱エネルギー回収装置の第3実施形態のシステム構成の一部を示す概略構成図。
図8】同実施形態の熱エネルギー回収装置の制御部が実行する停止制御処理の手順を示すフローチャート。
図9】同実施形態の熱エネルギー回収装置の制御部が実行する再開制御処理の手順を示すフローチャート。
図10】熱エネルギー回収装置の第4実施形態の制御部が実行する停止制御処理の手順を示すフローチャート。
図11】同実施形態の熱エネルギー回収装置の制御部が実行する再開制御処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0055】
(第1実施形態)
以下、熱エネルギー回収装置の第1実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態の熱エネルギー回収装置は、船舶の推進用内燃機関としての過給機付ディーゼルエンジンの排ガスの熱エネルギーおよび過給機の過給空気の熱エネルギーを回収して発電を行うバイナリー発電装置である。
【0056】
図1に示すように、熱エネルギー回収装置1は、循環ポンプ11、第1加熱器12、第2加熱器13、発電装置14、凝縮器17、およびリザーバタンク18を順に接続するとともに作動媒体が流通する密閉型の媒体循環経路20を含む熱エネルギー回収回路10を備える。熱エネルギー回収回路10は、作動媒体として、例えばR245fa等のフロン系媒体を用いたオーガニックランキンサイクル熱機関である。
【0057】
熱エネルギー回収装置1は、第1加熱器12に過給機付ディーゼルエンジン30の過給機32の過給空気が供給され、第2加熱器13に内燃機関31の排ガスにより蒸気を生成する排ガスエコノマイザ40の蒸気が供給されることにより、これら過給空気および蒸気と作動媒体とが熱交換して熱エネルギーを回収する。
【0058】
媒体循環経路20は、循環ポンプ11が吐出した作動媒体を熱エネルギー回収回路10の各機器を経て再び循環ポンプ11に吸入させるため、第1配管21〜第6配管26により各機器を接続する。詳細には、第1配管21は循環ポンプ11と第1加熱器12とを接続し、第2配管22は第1加熱器12と第2加熱器13とを接続し、第3配管23は第2加熱器13と発電装置14とを接続する。また、第4配管24は発電装置14と凝縮器17とを接続し、第5配管25は凝縮器17とリザーバタンク18とを接続し、第6配管26はリザーバタンク18と循環ポンプ11とを接続する。
【0059】
循環ポンプ11は、例えば電動ポンプであり、リザーバタンク18の作動媒体を第1加熱器12に供給する。
【0060】
第1加熱器12は、シェル&チューブ式の熱交換器であり、循環ポンプ11からの作動媒体が流通する第1流路12Aと、過給機32からの過給空気が流通する第2流路12Bとを備える。第1加熱器12は、第1流路12Aを流通する作動媒体と、第2流路12Bを流通する過給空気との間で熱交換を行う。
【0061】
第2加熱器13は、シェル&チューブ式の熱交換器であり、第1加熱器12からの作動媒体が流通する第1流路13Aと、排ガスエコノマイザ40からの蒸気が流通する第2流路13Bとを備える。第2加熱器13は、第1流路13Aを流通する作動媒体と、第2流路13Bを流通する蒸気との間で熱交換を行う。
【0062】
発電装置14は、膨張機の一例であるスクリュー式のタービン15と、タービン15に接続され、タービン15の回転により発電する動力回収機の一例である発電機16とが共通のハウジング(図示略)により収容された構成を有する。タービン15は、第3配管23を通じて第2加熱器13から流入する作動媒体の圧力と第4配管24を通じて凝縮器17に向けて流出する作動媒体の圧力との差に基づいて回転駆動する。なお、タービン15としては、スクロール式等の他の容積型のタービンや、遠心型ガスタービン等の非容積型のタービンを用いることもできる。
【0063】
凝縮器17は、発電装置14からの作動媒体が流通する第1流路17Aと、冷却水タンク(図示略)からの冷却水が流通する第2流路17Bとを備える。凝縮器17は、第1流路17Aを流通する作動媒体と、第2流路17Bを流通する冷却水との間で熱交換を行う。
【0064】
リザーバタンク18は、凝縮器17により冷却された作動媒体を貯留し、循環ポンプ11の運転にともない作動媒体を循環ポンプ11に供給する。
【0065】
また、熱エネルギー回収装置1は、発電装置14を迂回して作動媒体を凝縮器17に流通させるための迂回装置27をさらに備える。迂回装置27は、発電装置14を迂回して第3配管23と第4配管24とを接続するバイパス通路28と、バイパス通路28の作動媒体の流通および遮断を切り替えるバイパス弁29とを備える。バイパス弁29が閉弁しているとき、第3配管23からの作動媒体は、発電装置14のタービン15に流通する。一方、バイパス弁29が開弁しているとき、第3配管23からの作動媒体は、バイパス通路28を通じて第4配管24に流通する。すなわち、作動媒体は、タービン15に流通しない。
【0066】
次に、熱エネルギー回収回路10、過給機付ディーゼルエンジン30、および排ガスエコノマイザ40等の接続構造について説明する。
【0067】
過給機付ディーゼルエンジン30の内燃機関31の排気側に接続された過給機32のタービン33は、排気管41を通じて排ガスエコノマイザ40に接続されている。一方、過給機32の圧縮機34は、第1掃気管36Aを通じて第1加熱器12に接続される。第1加熱器12は、第2掃気管36Bと、第2掃気管36Bの途中に設けられたエアクーラー37とを通じて内燃機関31の吸気側に接続されている。
【0068】
排ガスエコノマイザ40は、船舶における蒸気の需要先の一例であるスートブロー装置50と第1蒸気流通経路42を通じて接続されている。スートブロー装置50は、排ガスエコノマイザ40からの蒸気を用いて、バラストタンク、積荷室、甲板等の洗浄を行う装置である。また、排ガスエコノマイザ40は、第1蒸気流通経路42の途中に設けられた分岐点44から分岐した第2蒸気流通経路43を通じて第2加熱器13と接続されている。このため、排ガスエコノマイザ40からの蒸気は全て、スートブロー装置50および第2加熱器13のいずれかに流れ込む。したがって、排ガスエコノマイザ40が生成する蒸気の量が変化しなければ、スートブロー装置50に供給される蒸気量と第2加熱器13に供給される蒸気量との総和は一定になる。
【0069】
第1蒸気流通経路42において分岐点44よりも下流側には、スートブロー弁51が設けられている。スートブロー弁51は、第1蒸気流通経路42においてスートブロー弁51よりも上流側(排ガスエコノマイザ40側)の流通経路である1次側流通経路42Aから、第1蒸気流通経路42においてスートブロー弁51よりも下流側(スートブロー装置50側)の流通経路である2次側流通経路42Bへの蒸気の流通および遮断を切り替える開閉弁である。
【0070】
スートブロー弁51よりも下流側となる2次側流通経路42Bには、第1蒸気流通経路42の蒸気の流通状態の一つの指標である蒸気量を把握するため、2次側流通経路42Bの蒸気の温度を検出する温度検出部の一例である温度センサー52が設けられている。
【0071】
また排ガスエコノマイザ40は、戻し通路45を通じて第2加熱器13と接続されている。すなわち排ガスエコノマイザ40からの蒸気が第2加熱器13により蒸気の潜熱を回収して生成された復水を戻し通路45を通じて排ガスエコノマイザ40に戻す。この戻し通路45の途中には、復水を貯留するリザーバタンク46と、リザーバタンク46の復水を排ガスエコノマイザ40に供給するための吐出ポンプ47とが設けられている。
【0072】
このような構成の熱エネルギー回収装置1は、次のように作動媒体を流通させて発電を行うことにより、過給機32からの過給空気および排ガスエコノマイザ40からの蒸気の熱エネルギーを電気エネルギーとして回収する。
【0073】
循環ポンプ11の運転によりリザーバタンク18の液化した作動媒体が第6配管26を通じて循環ポンプ11に供給されるとともに、その作動媒体が第1配管21を通じて第1加熱器12に供給される。第1加熱器12に流入した作動媒体は、内燃機関31の機関運転にともない駆動する過給機32の高温の過給空気と熱交換されることにより加熱され、蒸発する。第1加熱器12において蒸発した作動媒体は、第2配管22を通じて第2加熱器13に供給される。そして第2加熱器13に流入した作動媒体は、排ガスエコノマイザ40の高温の蒸気と熱交換されることによりさらに加熱され、第3配管23を通じて発電装置14のタービン15に供給される。そして、タービン15は、第3配管23から流入する作動媒体と、第4配管24に流出する作動媒体との圧力差に基づいて回転する。これにより、タービン15に接続された発電機16のロータ部が発電機16の電機子に対して回転することにより発電する。タービン15から第4配管24に流出する作動媒体は、タービン15により低圧となった状態で凝縮器17に供給される。そして凝縮器17に流入した作動媒体は、冷却水により冷却されて液化し、第5配管25を通じてリザーバタンク18に流入する。このような作動媒体の循環が繰り返されることにより発電装置14が駆動して発電装置14による発電が行われる。すなわち、熱エネルギー回収装置1による熱エネルギーの回収が行われる。
【0074】
また、熱エネルギー回収装置1は、上述のような作動媒体の循環を実現するため、循環ポンプ11および発電装置14の動作を制御する制御部19を備える。制御部19は、CPU、ROM、RAMなどから構成され、ROMまたはRAMに記憶された制御プログラムに基づいて循環ポンプ11および発電装置14の動作を制御する。また制御部19には、温度センサー52の検出信号が入力される。
【0075】
制御部19は、熱エネルギー回収装置1を停止させる必要があるとき、排ガスエコノマイザ40からの蒸気の流通状態に基づいて循環ポンプ11の運転を停止し、バイパス弁29を開弁する停止制御を実行する。また制御部19は、循環ポンプ11の運転が停止した状態およびバイパス弁29が開弁した状態において、熱エネルギー回収装置1の発電を再開させる必要があるとき、排ガスエコノマイザ40からの蒸気の流通状態に基づいて循環ポンプ11の運転を再開し、バイパス弁29を閉弁する再開制御を実行する。
【0076】
停止制御の詳細な内容についてその作用とともに説明する。なお、図2のフローチャートの説明において、符号が付された熱エネルギー回収装置1の各構成要素は、図1の熱エネルギー回収装置1の各構成要素を示す。
【0077】
排ガスエコノマイザ40は、第2加熱器13およびスートブロー装置50に蒸気を供給可能であるが、本来はスートブロー装置50に蒸気を供給するための装置であり、スートブロー装置50が駆動しないときに第2加熱器13を蒸気で加熱するものであるため、第2加熱器13よりもスートブロー装置50に優先的に蒸気を供給する。このため、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に供給されているとき、第2蒸気流通経路43を通じて第2加熱器13に供給される余剰蒸気が少なくなり、第2加熱器13に流通する作動媒体を十分に加熱することができない場合がある。
【0078】
そして第2加熱器13により作動媒体が十分に加熱されない場合、発電装置14のタービン15においてタービン15に流入する作動媒体とタービン15から流出する作動媒体との圧力差が十分に確保できない。その結果、発電機16の発電効率が低下し、ひいてはタービン15に作動媒体が供給されているにもかかわらず、タービン15の回転が停止してしまう場合がある。
【0079】
このため、排ガスエコノマイザ40からの蒸気が第2加熱器13に十分に供給されていない場合、すなわち排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給される場合には、熱エネルギー回収装置1による発電を停止することが好ましい。
【0080】
このように熱エネルギー回収装置1による発電を停止するためには、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されていることを把握する必要がある。そしてスートブロー装置50に蒸気が優先的に供給されていることを把握する原理については以下のとおりである。
【0081】
排ガスエコノマイザ40からの蒸気は高温であるため、スートブロー装置50に接続される第1蒸気流通経路42に蒸気が流通したとき、第1蒸気流通経路42内の温度が上昇する。この温度は、第1蒸気流通経路42に蒸気が流通しはじめたとき、第1蒸気流通経路42に流通する蒸気量が多くなるにつれて高くなる。このため、2次側流通経路42Bに蒸気が流通しはじめたとき、2次側流通経路42Bの蒸気量が多くなるにつれて2次側流通経路42Bの温度が高くなる。そして2次側流通経路42Bに蒸気が十分に流通した状態における2次側流通経路42Bの蒸気の温度は、2次側流通経路42Bに蒸気が流通する前の温度と比較して高温の状態が維持される。したがって、スートブロー弁51よりも下流側となる2次側流通経路42Bの温度が高くなれば、スートブロー弁51が開弁して排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されたことを把握できる。
【0082】
そしてこのような考えのもと、停止制御は、図2のフローチャートに示すように、2次側流通経路42Bの蒸気の温度に基づいて循環ポンプ11の運転の停止およびバイパス弁29の開弁を実行するか否かを制御している。なお、停止制御は、循環ポンプ11が運転し、バイパス弁29が閉弁している状態において、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0083】
図2に示すように、制御部19は、まずステップS11において2次側流通経路42Bの蒸気の温度である温度センサー52の検出温度が所定温度以上か否かを判定する。
【0084】
ここで、所定温度は、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されているときの2次側流通経路42Bの蒸気の温度であり、例えば、スートブロー装置50の使用時における2次側流通経路42Bの蒸気の温度の下限値である。この所定温度は試験等により予め設定されている。
【0085】
そして制御部19は、検出温度が所定温度以上と判定したとき(ステップS11:YES)、すなわち排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されていると判定したとき、ステップS12においてバイパス弁29を開弁し、循環ポンプ11の運転を停止する。これにより、熱エネルギー回収装置1の発電が停止する。
【0086】
一方、制御部19は、検出温度が所定温度未満と判定したとき(ステップS11:NO)、すなわち排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されていないと判定したとき、循環ポンプ11の運転およびバイパス弁29の閉弁を維持しつつ、処理を一旦終了する。すなわち、熱エネルギー回収装置1の発電が維持される。
【0087】
次に再開制御の詳細な内容についてその作用とともに説明する。なお、図3のフローチャートの説明において、符号が付された熱エネルギー回収装置1の各構成要素は、図1の熱エネルギー回収装置1の各構成要素を示す。
【0088】
上記停止制御において、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に供給されなくなったとき、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50よりも第2加熱器13に供給されていることが予測される。そして第2加熱器13により作動媒体が十分に加熱可能な状況であれば、熱エネルギー回収装置1による発電を再開しても発電機16の発電効率の低下やタービン15に作動媒体が供給されているにもかかわらず、タービン15の回転が停止することが抑制される。
【0089】
また、上述のように温度センサー52の検出温度に基づいて排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されているか否かが把握できるため、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されていれば、排ガスエコノマイザ40からの蒸気が第2加熱器13に殆ど供給されていないことが把握できる。一方、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されていなければ、その蒸気が第2加熱器13に優先的に供給されていることが把握できる。したがって、温度センサー52の検出温度に基づいて排ガスエコノマイザ40からの蒸気が第2加熱器13に優先的に供給されているか否かを把握できる。
【0090】
また、停止制御が実行されてから長時間経過したとき、すなわち長時間にわたり熱エネルギー回収装置1の発電が停止していたとき、タービン15のロータ部や発電機16のロータ部を円滑に回転させるための潤滑剤(例えばオイル)の温度が低く、潤滑剤の粘度が高い状態となる。そしてその状態でタービン15のロータ部および発電機16のロータ部を駆動させた場合、それらロータ部の機械損失が大きく、効率的に発電することができない場合がある。このため、媒体循環経路20において循環ポンプ11により作動媒体を迂回装置27により発電装置14を迂回させて循環させることにより各加熱器12,13により加熱した作動媒体の熱をタービン15および発電機16に与える暖機運転を実行することが好ましい。
【0091】
上述の事項に基づいて、制御部19は、第2加熱器13に排ガスエコノマイザ40からの蒸気が優先的に供給される状況であり、第2加熱器13により作動媒体および発電装置14の潤滑剤が十分に加熱したことを確認したうえで停止制御の実行から再開制御の実行に切り替える。
【0092】
図3のフローチャートに示すように、制御部19は、まずステップS21において温度センサー52の検出温度が所定温度未満か否かを判定する。制御部19は、検出温度が所定温度未満と判定したとき(ステップS21:YES)、すなわち排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されていないと判定したとき、循環ポンプ11の運転を再開して所定時間にわたり暖機運転し(ステップS22)、その後、バイパス弁29を閉弁する(ステップS23)。これにより、熱エネルギー回収装置1の発電が再開される。
【0093】
なお、所定時間とは、暖機運転により、第2加熱器13や作動媒体により発電装置14に供給される潤滑剤の粘度がタービン15のロータ部や発電機16のロータ部の回転性能を低下させないような粘度に達するまでの時間であり、試験等により予め設定される。またこの所定時間は、制御部19内のタイマー(図示略)により計測され、温度センサー52の検出温度が所定温度未満と判定されたときに計測が開始される。
【0094】
一方、制御部19は、検出温度が所定温度以上と判定したとき(ステップS21:NO)、すなわち排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されていると判定したとき、循環ポンプ11の運転を再開せず、かつバイパス弁29を開弁した状態に維持した状態で、処理を一旦終了する。すなわち、熱エネルギー回収装置1の発電は再開されない。
【0095】
本実施形態の熱エネルギー回収装置1によれば、以下に示す効果が得られる。
【0096】
(1)制御部19は、温度センサー52の検出温度である、第1蒸気流通経路42の2次側流通経路42Bの蒸気の温度に基づいて停止制御を実行する。このため、排ガスエコノマイザ40からの蒸気が第2加熱器13に殆ど供給されない状況、すなわち熱エネルギー回収装置1の発電効率が低下した状況に至ったときに、自動で循環ポンプ11の運転を停止させて熱エネルギー回収装置1の発電を停止する。したがって、作業者が手動で熱エネルギー回収装置1の発電を停止する必要がない。このため、作業者の手動操作によらずとも、熱エネルギー回収装置1の発電を適切なタイミングで停止させることができる。
【0097】
(2)また制御部19は、温度センサー52の検出温度に基づいて、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に対して優先的に蒸気が供給されていることを適正に把握することができる。そして、その把握された蒸気の流通状態に基づいて熱エネルギー回収装置1の発電を停止させることができる。したがって、熱エネルギー回収装置1の発電を適切なタイミングで停止させることができる。
【0098】
(3)制御部19は、温度センサー52の検出温度に基づいて再開制御を実行するため、検出温度に基づいて排ガスエコノマイザ40からの蒸気をスートブロー装置50が必要としていない状況にあることを把握したうえで、停止された循環ポンプ11の運転を再開させることができる。このため、作業者の手動操作によらずとも、熱エネルギー回収装置1の発電を適切なタイミングで再開させることができ、作業者が熱エネルギー回収装置1の再開操作をし忘れる、あるいは再開操作が遅れることなどによって、熱エネルギー回収装置1の発電効率が不必要に低下してしまうことを抑制することができる。
【0099】
(4)排ガスエコノマイザ40からの蒸気が供給される第2加熱器13は、その蒸気の潜熱を回収する。そして第2加熱器13から排出される復水は、戻し通路45を通じて排ガスエコノマイザ40に戻される。このため、アトモスコンデンサが不要となり、熱エネルギー回収装置1の構成の簡素化を図ることができる。
【0100】
(5)熱エネルギー回収装置1は、迂回装置27を備える。このため、再開制御において、迂回装置27を通じて発電装置14を暖機させる暖機運転を、タービン15を回転駆動させずに実現することができる。また迂回装置27により、作動媒体が発電装置14を迂回して流通するようになり、作動媒体が媒体循環経路20を流通する際の作動媒体の圧損が低下するため、循環ポンプ11の吐出圧が低下するようになる。このため、暖気運転時のように迂回装置27により作動媒体が発電装置14を迂回するときに循環ポンプ11の消費エネルギーを低減することができる。
【0101】
(第2実施形態)
図4図6を参照して、第2実施形態の熱エネルギー回収装置1の構成について説明する。なお、第2実施形態の熱エネルギー回収装置1において第1実施形態の熱エネルギー回収装置1の構成と共通する構成要素には、共通の符号を用い、その説明の一部または全部を省略する。なお、図5および図6のフローチャートの説明において、符号が付された熱エネルギー回収装置1の各構成要素は、図4の熱エネルギー回収装置1の各構成要素を示す。
【0102】
図4に示すように、本実施形態の熱エネルギー回収装置1は、2次側流通経路42Bの温度を検出する温度センサー52が省略される一方、スートブロー弁51の開閉状態を検出する弁検出部の一例であるリミットスイッチ53が設けられた点で第1実施形態の熱エネルギー回収装置1とは異なる。リミットスイッチ53は、スートブロー弁51内に設けられ、スートブロー弁51の開閉動作に応じた開閉信号を制御部19に出力する。
【0103】
次に、停止制御および再開制御の詳細な内容について説明する。
【0104】
排ガスエコノマイザ40からの蒸気が第2加熱器13よりもスートブロー装置50に優先的に供給されるため、スートブロー弁51が開弁されていれば、排ガスエコノマイザ40からスートブロー装置50に蒸気が優先的に供給されるようになる。
【0105】
また、スートブロー装置50が排ガスエコノマイザ40からの蒸気を必要としていない状況のとき、スートブロー弁51が閉弁される。このように、スートブロー弁51の開閉状態に基づいて、スートブロー装置50が排ガスエコノマイザ40からの蒸気を必要としていない状況か否かを把握することができる。
【0106】
そこで、制御部19は、図5および図6のフローチャートに示すように、第1実施形態の温度センサー52の検出温度に代えて、スートブロー弁51の開閉状態に基づいて停止制御および再開制御を実行する。
【0107】
図5に示す停止制御処理において、制御部19は、まずステップS31においてスートブロー弁51が開弁しているか否かを判定する。この判定は、リミットスイッチ53の開閉信号に基づいて行われる。
【0108】
制御部19は、スートブロー弁51が開弁していると判定したとき(ステップS31:YES)、ステップS32においてバイパス弁29を開弁し、循環ポンプ11の運転を停止する。これにより、熱エネルギー回収装置1の発電が停止する。
【0109】
一方、制御部19は、スートブロー弁51が閉弁していると判定したとき(ステップS31:NO)、循環ポンプ11の運転およびバイパス弁29の閉弁を維持しつつ、処理を一旦終了する。すなわち、熱エネルギー回収装置1の発電が維持される。
【0110】
図6に示す再開制御処理において、制御部19は、まずステップS41においてスートブロー弁51が閉弁しているか否かを判定する。制御部19は、スートブロー弁51が閉弁していると判定したとき(ステップS41:YES)、循環ポンプ11の運転を再開して所定時間にわたり暖機運転し(ステップS42)、その後、バイパス弁29を閉弁する(ステップS43)。これにより、熱エネルギー回収装置1の発電が再開される。
【0111】
一方、制御部19は、スートブロー弁51が開弁していると判定したとき(ステップS41:NO)、循環ポンプ11の運転の停止およびバイパス弁29の開弁を維持しつつ、処理を一旦終了する。すなわち、熱エネルギー回収装置1の発電は再開されない。
【0112】
このように、本実施形態の熱エネルギー回収装置1によれば、第1実施形態の(4)および(5)の効果に加え、第1実施形態の(1)〜(3)に準じた効果を得ることができる。
【0113】
(第3実施形態)
図7図9を参照して、第3実施形態の熱エネルギー回収装置1の構成について説明する。なお、第3実施形態の熱エネルギー回収装置1において第1実施形態の熱エネルギー回収装置1の構成と共通する構成要素には、共通の符号を用い、その説明の一部または全部を省略する。なお、図8および図9のフローチャートの説明において、符号が付された熱エネルギー回収装置1の各構成要素は、図7の熱エネルギー回収装置1の各構成要素を示す。
【0114】
図7に示すように、本実施形態の熱エネルギー回収装置1は、2次側流通経路42Bの温度を検出する温度センサー52が省略される一方、第2蒸気流通経路43に圧力検出部の一例である圧力センサー54が設けられた点で第1実施形態の熱エネルギー回収装置1とは異なる。圧力センサー54は、第2蒸気流通経路43の蒸気の圧力を検出し、その検出結果である検出圧力を圧力信号として制御部19に出力する。
【0115】
次に、停止制御および再開制御の詳細な内容について説明する。
【0116】
第2蒸気流通経路43の蒸気の圧力は、排ガスエコノマイザ40からの蒸気が第2蒸気流通経路43に流通しはじめたとき、第2蒸気流通経路43における蒸気の流通量、すなわち排ガスエコノマイザ40からの蒸気の第2加熱器13への供給量が多くなるにつれて高くなる傾向がある。そして第2蒸気流通経路43に蒸気が十分に流通した状態における第2蒸気流通経路43の蒸気の圧力は、第2蒸気流通経路43に蒸気が流通する前の圧力よりも高い状態が維持される。さらに、内燃機関31(図1参照)の負荷が一定であるとき、第2蒸気流通経路43の蒸気の流通量が多くなれば、それにともなって第1蒸気流通経路42の2次側流通経路42Bへの蒸気の流通量が少なくなる。
【0117】
このため、第2蒸気流通経路43の蒸気の圧力に基づいて、第2蒸気流通経路43における蒸気の流通量および第1蒸気流通経路42の2次側流通経路42Bの蒸気の流通量を把握することができ、これにより排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されているか否かを把握することができる。そしてこのことに基づいて、熱エネルギー回収装置1による発電を停止する必要があるか否か、および熱エネルギー回収装置1が停止しているときにはスートブロー装置50が蒸気を必要としない状況か否かを把握することができる。
【0118】
そこで、制御部19は、図8および図9のフローチャートに示すように、第1実施形態の温度センサー52の検出温度に代えて、第2蒸気流通経路43の蒸気の圧力に基づいて停止制御および再開制御を実行する。
【0119】
図8に示す停止制御処理において、制御部19は、まずステップS51において第2蒸気流通経路43の蒸気の圧力、すなわち圧力センサー54の検出圧力が所定圧力未満か否かを判定する。
【0120】
ここで、所定圧力は、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されているときの第2蒸気流通経路43の蒸気の圧力であり、例えばスートブロー装置50が使用されていないときの第2蒸気流通経路43の蒸気の圧力の下限値である。この所定圧力は試験等により予め設定されている。
【0121】
制御部19は、検出圧力が所定圧力未満と判定したとき(ステップS51:YES)、すなわち排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されていると判定したとき、ステップS52においてバイパス弁29を開弁し、循環ポンプ11の運転を停止する。これにより、熱エネルギー回収装置1の発電が停止する。
【0122】
一方、制御部19は、検出圧力が所定圧力以上と判定したとき(ステップS51:NO)、すなわち排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されていないと判定したとき、循環ポンプ11の運転およびバイパス弁29の閉弁を維持しつつ、処理を一旦終了する。すなわち、熱エネルギー回収装置1の発電が維持される。
【0123】
図9に示す再開制御処理において、制御部19は、まずステップS61において作業終了時間を経過したか否かを判定する。なお、作業終了時間は、例えばスートブロー装置50による洗浄作業の作業時間であり、予め設定されている。また制御部19に設けられたタイマーが、停止制御が開始されたときに作業終了時間の計測を開始する。
【0124】
制御部19は、作業終了時間に達していないと判定したとき(ステップS61:NO)、再びステップS61の判定に戻る。一方、制御部19は、作業終了時間に達したと判定したとき(ステップS61:YES)、ステップS62において圧力センサー54の検出圧力が所定圧力以上か否かを判定する。
【0125】
制御部19は、検出圧力が所定圧力以上と判定したとき(ステップS62:YES)、循環ポンプ11の運転を再開して所定時間にわたり暖機運転し(ステップS63)、その後、バイパス弁29を閉弁する(ステップS64)。これにより、熱エネルギー回収装置1の発電が再開する。
【0126】
一方、制御部19は、検出圧力が所定圧力未満と判定したとき(ステップS62:NO)、循環ポンプ11の運転を再開せず、かつバイパス弁29を開弁した状態に維持しつつ、処理を一旦終了する。すなわち、熱エネルギー回収装置1の発電が再開されない。
【0127】
本実施形態の熱エネルギー回収装置1によれば、第1実施形態の(4)および(5)の効果、および第1実施形態の(1)に準じた効果に加え、以下に示す効果が得られる。
【0128】
(6)制御部19は、第2蒸気流通経路43の蒸気の圧力を検出する圧力センサー54の検出圧力に基づいて停止制御を実行する。このため、制御部19は、検出圧力に基づいて第2蒸気流通経路43の蒸気の流通状態、さらに第1蒸気流通経路42の蒸気の流通状態を把握することにより、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されていることを適正に把握したうえで、熱エネルギー回収装置1の発電を停止することができる。したがって、熱エネルギー回収装置1の発電を適切なタイミングで停止させることができる。
【0129】
(7)制御部19は、圧力センサー54の検出圧力に基づいて再開制御を実行する。このため、制御部19は、検出圧力に基づいてスートブロー装置50が蒸気を必要としていない状況にあることを適正に把握したうえで、停止されている循環ポンプ11の運転を再開させることができる。このため、作業者の手動操作によらずとも、熱エネルギー回収装置1の発電を適切なタイミングで再開させることができ、作業者が熱エネルギー回収装置1の再開操作をし忘れる、あるいは作業者の再開操作が遅れることなどによって、熱エネルギー回収装置1の発電効率が不必要に低下してしまうことを抑制することができる。
【0130】
(第4実施形態)
図10および図11を参照して、第4実施形態の熱エネルギー回収装置1の構成について説明する。第4実施形態の熱エネルギー回収装置1では、停止制御および再開制御がさらに内燃機関31の負荷に基づいて制御される点で第1実施形態の熱エネルギー回収装置1とは異なる。なお、図10および図11のフローチャートの説明において、符号が付された熱エネルギー回収装置1の各構成要素は、図1の熱エネルギー回収装置1の各構成要素を示す。
【0131】
停止制御および再開制御の詳細な内容について説明する。
【0132】
第1実施形態で説明したように、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に向けて多量に供給されるときには、それにともなって排ガスエコノマイザ40から第2加熱器13に供給される蒸気が少なくなるため、第2加熱器13における作動媒体の温度上昇量が低下する。しかしこのような場合であっても、内燃機関31の負荷が高ければ、過給機32の過給圧が高くなり、過給空気の温度も高くなるため、その高温の過給空気の熱により第1加熱器12において作動媒体を十分に温度上昇させることができ、発電機16による発電が見込めるようになる。
【0133】
このため、内燃機関31が高負荷のとき、熱エネルギー回収装置1は発電機16による十分な発電が可能であるため、熱エネルギー回収装置1を停止させる必要がない。そこで、制御部19は、内燃機関31が高負荷のときに停止制御を無効にする一方、停止制御が実行されている状態において内燃機関31が高負荷のときに再開制御を実行する。この具体的な処理手順は以下のとおりである。
【0134】
図10に示す停止制御処理において、制御部19は、第1実施形態のステップS21に相当するステップS71において温度センサー52の検出温度が所定温度以上と判定したとき(ステップS71:YES)、ステップS72において内燃機関31が低負荷か否かを判定する。
【0135】
ここで、内燃機関31が低負荷とは、内燃機関31が高負荷と判定できる設定負荷未満であることをいう。設定負荷は、内燃機関31の運転により駆動する過給機32からの過給空気が第1加熱器12において作動媒体と熱交換することにより加熱された作動媒体の温度が、発電装置14の発電が見込めるようになる作動媒体の温度以上となる内燃機関31の負荷であり、試験等により予め設定される。この設定負荷の一例としては、内燃機関31の定格負荷の60%である。
【0136】
制御部19は、内燃機関31が低負荷と判定したとき(ステップS72:YES)、ステップS73においてバイパス弁29を開弁し、循環ポンプ11の運転を停止する。これにより、熱エネルギー回収装置1の発電が停止する。
【0137】
一方、制御部19は、内燃機関31が低負荷ではないと判定したとき(ステップS72:NO)、すなわち内燃機関31が高負荷と判定したとき、循環ポンプ11の運転を維持し、バイパス弁29が閉弁した状態を維持しつつ、処理を一旦終了する。すなわち、熱エネルギー回収装置1の発電を停止しない。
【0138】
図11に示す再開制御処理において、制御部19は、第1実施形態のステップS31に相当するステップS81において温度センサー52の検出温度が所定温度以上と判定したとき(ステップS81:NO)の処理手順が第1実施形態と異なる。すなわち、制御部19は、検出温度が所定温度以上と判定したとき、ステップS84において内燃機関31が高負荷か否かを判定する。なお、内燃機関31が高負荷とは、内燃機関31の負荷が設定負荷以上であることをいう。
【0139】
そして制御部19は、内燃機関31が高負荷と判定したとき(ステップS84:YES)、ステップS82において所定時間にわたり暖機運転し、ステップS83においてバイパス弁29を閉弁する。これにより、熱エネルギー回収装置1の発電が再開する。
【0140】
一方、制御部19は、内燃機関31が高負荷ではないとき(ステップS84:NO)、循環ポンプ11の停止およびバイパス弁29を開弁した状態を維持しつつ、処理を一旦終了する。すなわち、熱エネルギー回収装置1の発電が再開されない。
【0141】
本実施形態の熱エネルギー回収装置1によれば、第1実施形態の(1)〜(5)の効果に加え、以下に示す効果が得られる。
【0142】
(8)制御部19は、内燃機関31が高負荷のとき、停止制御を無効にする。このため、熱エネルギー回収装置1の発電効率が不必要に低下してしまうことを抑制することができる。
【0143】
(変形例)
上記の各実施形態に関する説明は、本発明に従う熱エネルギー回収装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う熱エネルギー回収装置は、例えば以下に示される上記の各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0144】
・上記第1実施形態において、温度センサー52に代えて、圧力センサーまたは流量センサーを2次側流通経路42Bに設けてもよい。2次側流通経路42Bに圧力センサーが設けられた場合、圧力センサーの検出圧力に基づいて2次側流通経路42Bの蒸気の流通状態、ひいては排ガスエコノマイザ40からの蒸気のスートブロー装置50への供給状態を間接的に把握することができる。このため、制御部19は、2次側流通経路42Bの圧力(検出圧力)に基づいて停止制御および再開制御を実行することができる。そして、停止制御処理における図2のステップS21の内容を検出圧力が所定圧力以上か否かを判定する処理に変更し、再開制御処理における図3のステップS31の内容を検出圧力が所定圧力未満か否かを判定する処理に変更する。ここで、所定圧力は、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されているときの2次側流通経路42Bの圧力であり、例えばスートブロー装置50の使用時における2次側流通経路42Bの蒸気の圧力の下限値である。この所定圧力は試験等により予め設定されている。そしてこのような構成によれば、第1実施形態の(1)〜(3)と同様の効果を得ることができる。
【0145】
また、2次側流通経路42Bに流量センサーが設けられた場合、流量センサーの検出流量に基づいて2次側流通経路42Bの蒸気の流通状態、ひいては排ガスエコノマイザ40からの蒸気のスートブロー装置50への供給状態を間接的に把握することができる。このため、制御部19は、2次側流通経路42Bの流量(検出流量)に基づいて停止制御および再開制御を実行することができる。制御部19は、停止制御処理における図2のステップS21の内容を検出流量が所定流量以上か否かを判定する処理に変更し、再開制御処理における図3のステップS31の内容を検出流量が所定流量未満か否かを判定する処理に変更する。ここで、所定流量は、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されているときの2次側流通経路42Bの流量であり、例えばスートブロー装置50の使用時における2次側流通経路42Bの蒸気量の下限値である。この所定流量は試験等により予め設定されている。そしてこのような構成によれば、第1実施形態の(1)〜(3)と同様の効果を得ることができる。
【0146】
・上記第3実施形態において、圧力センサー54に代えて、温度センサーまたは流量センサーを第2蒸気流通経路43に設けてもよい。第2蒸気流通経路43に温度センサーが設けられた場合、温度センサーの検出温度に基づいて第2蒸気流通経路43の流通状態、ひいては排ガスエコノマイザ40からの蒸気の第2加熱器13への供給状態を間接的に把握することができる。このため、制御部19は、第2蒸気流通経路43の蒸気の温度(検出温度)に基づいて停止制御および再開制御を実行することができる。制御部19は、図8の停止制御処理におけるステップS51の内容を検出温度が所定温度未満か否かを判定する処理に変更し、図9の再開制御処理におけるステップS62の内容を検出温度が所定温度以上か否かを判定する処理に変更する。ここで、所定温度は、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されているときの第2蒸気流通経路43の温度であり、例えばスートブロー装置50の使用時における第2蒸気流通経路43の蒸気の温度の下限値である。この所定温度は試験等により予め設定されている。そしてこのような構成によれば、第3実施形態の(6)および(7)に準じた効果を得ることができる。
【0147】
また、第2蒸気流通経路43に流量センサーが設けられた場合、流量センサーの検出流量に基づいて第2蒸気流通経路43の流通状態、ひいては排ガスエコノマイザ40からの蒸気の第2加熱器13への供給状態を間接的に把握することができる。このため、制御部19は、第2蒸気流通経路43の蒸気の流量(検出流量)に基づいて停止制御および再開制御を実行することができる。制御部19は、図8の停止制御処理におけるステップS51の内容を検出流量が所定流量以下か否かに変更し、図9の再開制御処理におけるステップS62の内容を検出流量が所定流量よりも多いか否かに変更する。ここで、所定流量は、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されているときの第2蒸気流通経路43の流量であり、例えばスートブロー装置50の使用時における第2蒸気流通経路43の蒸気量の下限値である。この所定流量は試験等により予め設定されている。そしてこのような構成によれば、第3実施形態の(6)および(7)に準じた効果を得ることができる。
【0148】
・上記第1実施形態において、制御部19は、第1蒸気流通経路42の2次側流通経路42Bにおける蒸気の温度と、第2蒸気流通経路43における蒸気の温度との差に基づいて、停止制御および再開制御を実行してもよい。この場合、第2蒸気流通経路43に温度センサーが設けられる。
【0149】
具体的な停止制御としては、2次側流通経路42Bの蒸気の温度から第2蒸気流通経路43の蒸気の温度を減算した値が所定値以上のとき、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されていると判断し、熱エネルギー回収装置1の発電を停止する。また再開制御としては、2次側流通経路42Bの蒸気の温度から第2蒸気流通経路43の蒸気の温度を減算した値が所定値未満のとき、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されていないと判断し、熱エネルギー回収装置1の運転を再開する。なお、所定値とは、排ガスエコノマイザ40からの蒸気がスートブロー装置50に優先的に供給されていると判定できる温度差の下限値であり、試験等により予め設定される。また、制御部19は、2次側流通経路42Bの蒸気の温度および第2蒸気流通経路43の蒸気の温度に代えて、各経路42B,43の蒸気の圧力または流量に基づいて停止制御および再開制御を実行してもよい。この場合、必要に応じて各経路42B,43に圧力センサーや流量センサーが設けられる。また上記第3実施形態についても同様に変更することができる。こうした変形例によれば、第1蒸気流通経路42における蒸気の流通状態を示す指標(温度、圧力、流量)、および第2蒸気流通経路43における蒸気の流通状態を示す指標(温度、圧力、流量)の双方に基づいて停止制御および再開制御が行われることとなる。
【0150】
・上記第1実施形態において、制御部19は、2次側流通経路42Bの蒸気の温度や圧力のうちの1つの指標に基づいて停止制御および再開制御を実行したが、これに限られず、蒸気の温度、圧力、および流量のうちの複数の指標に基づいて停止制御および再開制御を実行する構成を採用してもよい。こうした構成の一例では、制御部19には、2次側流通経路42Bの蒸気の温度と圧力として停止制御を実行する停止制御実行領域を定めた2次元マップが記憶される。そして制御部19は、熱エネルギー回収装置1が運転されている状態において、2次元マップを用いて、2次側流通経路42Bの蒸気の温度および圧力により特定される熱エネルギー回収装置1の運転状態が停止制御実行領域に存在するか否かを判定し、同運転状態が停止制御実行領域に存在する場合、停止制御を実行する。また制御部19は、熱エネルギー回収装置1の運転が停止されている状態において、2次元マップを用いて、2次側流通経路42Bの蒸気の温度および圧力により特定される熱エネルギー回収装置1の運転状態が停止制御実行領域に存在するか否かを判定し、同運転状態が停止制御実行領域に存在しない場合、再開制御を実行してもよい。なお、上記第3実施形態についても、第2蒸気流通経路43の蒸気の温度、圧力および流量のうちの複数の指標に基づいて同様に、停止制御および再開制御の実行態様を変更することもできる。
【0151】
・上記各実施形態およびその変形例において、スートブロー装置50以外の装置に排ガスエコノマイザ40からの蒸気を供給してもよい。このような構成においても、第2加熱器13以外の装置に供給される蒸気が多くなるほど第2加熱器13に供給される蒸気が少なくなり、第2加熱器13以外の装置に供給される蒸気が少なくなるほど第2加熱器13に供給される蒸気が多くなる関係を有していれば、本発明を適用することができる。
【0152】
・上記各実施形態およびその変形例の停止制御処理において、循環ポンプ11の運転の停止のみを実行してもよい。これによっても熱エネルギー回収装置1の発電を停止することができる。
【0153】
・上記各実施形態およびその変形例において、第2加熱器13から排ガスエコノマイザ40に液化した蒸気を供給する戻し通路45を省略してもよい。
【0154】
・上記各実施形態およびその変形例において、媒体循環経路20に流通する作動媒体としてR245faを用いたが、これに代えて、イソペンタン、ブタン、プロパン等の低分子炭化水素や、冷媒として用いられるR134a等を用いてもよい。
【0155】
・上記各実施形態およびその変形例において、停止制御および再開制御のうち、停止制御のみを実行するようにし、循環ポンプ11の運転の再開やバイパス弁29の閉弁については作業者の手動操作によって行うこととしてもよい。また、制御部19は、第1蒸気流通経路42における蒸気の流通状態および第2蒸気流通経路43における蒸気の流通状態の少なくとも一方に基づいて蒸気の需要先に蒸気が優先的に供給されていると判定した場合には、作業者に向けてアラームを発してもよい。制御部19では、作業者からの指示を受けた後、停止制御が実行される。
【0156】
・上記各実施形態およびその変形例において、排ガスエコノマイザ40のような内燃機関31の排ガスから蒸気を生成するものに代えて、船舶における別の熱源から蒸気を生成するエコノマイザを用いてもよい。
【0157】
・上記各実施形態およびその変形例において、熱エネルギー回収装置1は、作動媒体を介して回収した熱エネルギーをタービン15の動力に変換し、動力回収機としての発電機16の発電に用いたが、タービン15の動力は、発電機16以外の装置を動作させる動力として用いてもよい。この場合、発電機16以外の装置が動力回収機に相当する。
【符号の説明】
【0158】
1…熱エネルギー回収装置、10…熱エネルギー回収回路、11…循環ポンプ(ポンプ)、12…第1加熱器、13…第2加熱器、15…タービン(膨張機)、16…発電機(動力回収機)、17…凝縮器、19…制御部、20…媒体循環経路、27…迂回装置、31…内燃機関、32…過給機、40…排ガスエコノマイザ(エコノマイザ)、42…第1蒸気流通経路、42A…1次側流通経路、42B…2次側流通経路、43…第2蒸気流通経路、44…分岐点、45…戻し通路、50…スートブロー装置(船舶における蒸気の需要先)、51…スートブロー弁(開閉弁)、52…温度センサー(温度検出部)、53…リミットスイッチ(弁検出部)、54…圧力センサー(圧力検出部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11