特開2016-201002(P2016-201002A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-201002(P2016-201002A)
(43)【公開日】2016年12月1日
(54)【発明の名称】位置検出装置及び空間入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0346 20130101AFI20161104BHJP
   G06F 3/042 20060101ALI20161104BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20161104BHJP
【FI】
   G06F3/033 422
   G06F3/042 473
   G06F3/041 580
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-81199(P2015-81199)
(22)【出願日】2015年4月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近岡 篤彦
(72)【発明者】
【氏名】西岡 謙
(72)【発明者】
【氏名】長島 賢治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和浩
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA07
5B087BC32
(57)【要約】
【課題】部材の配置の自由度を高めることができるとともに、検出領域内の検出対象体の位置を精度よく検出することができる位置検出装置を提供する。
【解決手段】複数の異なる出光位置から出射した検査光で検出領域Saを走査し、検出領域Sa内の検出対象体Fgで反射又は散乱された検出光を受光して検出対象体Fgの位置を算出し、処理部400が、受光信号がいずれの出光位置から出射された検査光に基づく検出光を受光したものであるかを判別する位置検出装置A。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる出光位置から検査光を出射させるとともに各出光位置から出射した検査光で検出領域を走査する走査光源部と、
前記検出領域内に位置する検出対象体で反射又は散乱された検出光を受光して受光信号を出力する受光部と、
前記走査光源部を制御するとともに前記受光信号に基づいて前記検出対象体の位置を算出する処理部とを有し、
前記処理部が、前記受光信号がいずれの出光位置から出射された検査光に基づく検出光を受光したものであるかを判別し、判別した検査光の光路に基づいて前記検出対象体の位置を演算にて検出する位置検出装置。
【請求項2】
前記走査光源部は、光を出射する光源と、前記光の光路を第1方向と前記第1方向と交差する第2方向とに移動させて検査光を生成する検査光生成部とを含んでおり、
前記処理部は、前記光源と前記検査光生成部との駆動を制御する請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記出光位置の少なくとも1つには、前記検査光生成部で生成された検査光を前記検出領域に向けて反射する反射部が設けられている請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記走査光源部には、前記出光位置と同数の前記光源及び前記検査光生成部が設けられている請求項2又は請求項3に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記処理部が、1の前記出光位置から検査光が出射しているときは他の出光位置からの検査光の出射を停止し、前記処理部は受光部が検出光を受光したときの時間の情報を取得する請求項4に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記処理部は、1の出光位置から出射される検査光で前記検出領域全体の走査が終了した後に、次の出光位置から出射される検査光で前記検出領域の走査を開始する請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記出光位置が2個設けられており、
前記処理部は、各出光位置から出射される検査光による走査の帰線期間をずらすとともに、前記検査光で1ライン走査するごとに検査光が出射される前記出光位置を切り替えて光を出射させて、一方の出光位置が帰線期間にあるときに他方の出光位置からの検査光で往復走査を行うように前記走査光源部を制御する請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記走査光源部が各出光位置からそれぞれ異なる波長の検査光を出射するように形成されるとともに前記受光部が前記出光位置と同数備えられており、
前記受光部はそれぞれ対応した出光位置から出射された光と同じ波長の光を受光する請求項1から請求項4のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記走査光源部には、前記出光位置と同数の前記光源が設けられているとともに、前記光源よりも少ない数の前記検査光生成部が設けられており、
前記光源のそれぞれは前記検査光生成部に対して異なる角度で光を入射するように配置されるとともに、検査光が対応する前記出光位置に入射するように配置されている請求項3に記載の位置検出装置。
【請求項10】
前記走査光源部には、1個の前記光源と、1個の前記検査光生成部と、前記検査光の光路を前記出光位置のいずれかに択一的に切り替える光路切替部とを備えている請求項3に記載の位置検出装置。
【請求項11】
前記光路切替部は、前記光源と前記検査光生成部の間に配置されて光の偏光方向を切り替える偏光切替部と、前記検査光生成部と前記出光位置との間の前記検査光の光路上に設けられて前記偏光方向によって反射又は透過させて前記検査光の光路を切り替える偏光ビームスプリッタとを備えている請求項10に記載の位置検出装置。
【請求項12】
前記光路切替部は、前記検査光の前記第1方向の入射位置によって複数個の反射部のいずれかに選択的に前記検査光を反射する反射面を含む反射部材を備えている請求項10に記載の位置検出装置。
【請求項13】
前記反射面は、前記第1方向に分割されている請求項12に記載の位置検出装置。
【請求項14】
前記処理部は、前記検査光が入射する前記出光位置が切り替わる前後で光の出射を停止するように前記光源の出光制御を行う請求項12又は13に記載の位置検出装置。
【請求項15】
前記反射面は、前記検査光の前記検出領域での走査速度が等速となるような形状を有している請求項12から請求項14のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の位置検出装置と、
前記検出領域に画像を形成する画像形成部を備えている空間入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査光で検出領域を走査し、前記検出領域内の検出対象体での反射光及び(又は)散乱光を検出することで前記検出対象体の位置を検出する位置検出装置及び空間内に形成された空間像に対する入力を検出する空間入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定の領域を検出波で走査し、前記所定の領域内の手や指等の動きを検出する位置検出装置が提案されている(例えば、特開2013−80516号公報、特開2014−154063号公報等参照)。
【0003】
また、特開2013−80516号公報では、座標入力面を走査する照射光を出射する光源ユニットを2箇所に設け、前記座両入力面に挿入された座標支持物(例えば、指や電子ペン)に取り付けられている再帰反射部材からの再起反射を受光し、受光のタイミングから座標支持物の位置(座標)を検知している。
【0004】
特開2014−154063号公報には、所定の走査領域を検出波(例えば、波長780nmの赤外光)で走査し、ユーザの指に入力装置を取り付けておき、前記入力装置に備えられた受光素子で前記赤外光を検出することで、前記入力装置が前記操作領域内にあることを検知するとともに、圧電素子を振動させて前記入力装置が前記走査領域内にあることをユーザに通知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−80516号公報
【特許文献2】特開2014−154063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、2013-80516号公報に記載の構成では、前記座標入力面内の二次元座標を検出しているが、三次元空間における位置(座標)を検知することはできない。
【0007】
また、特開2014−154063号公報に記載の構成では、三次元空間に想定された走査領域内に入力装置が有るか否かを確認できるが、所定領域内の任意の点における三次元の位置(座標)を検知することができるものではない。また、前記走査領域の入力装置の位置を検知するものであるため、前記入力装置が必要になる。
【0008】
そこで、本発明は、部材の配置の自由度を高めることができるとともに、検出領域内の検出対象体の位置を精度よく検出することができる位置検出装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、簡単な構成で、空間像に対する使用者の指による入力を確実に検出する空間入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、複数の異なる出光位置から検査光を出射させるとともに各出光位置から出射した検査光で検出領域を走査する走査光源部と、前記検出領域内に位置する検出対象体で反射又は散乱された検出光を受光して受光信号を出力する受光部と、前記走査光源部を制御するとともに前記受光信号に基づいて前記検出対象体の位置を算出する処理部とを有し、前記処理部が、前記受光信号がいずれの出光位置から出射された検査光に基づく検出光を受光したものであるかを判別し、判別した検査光の光路に基づいて前記検出対象体の位置を演算にて検出する位置検出装置を提供する。
【0011】
この構成によると、複数の出光位置から出射された検査光で検出領域を走査し、検出領域内に位置する検出対象体で反射又は散乱した光を検出することで、検出対象体の位置を算出できるため、受光部の取り付け位置の自由度が高くなる。そのため、位置検出装置の形状の設置場所の制限が抑制されるとともに、小型化も可能である。
【0012】
上記構成において、前記走査光源部は、光を出射する光源と、前記光の光路を第1方向と前記第1方向と交差する第2方向とに移動させて検査光を生成する検査光生成部とを含んでおり、前記処理部は、前記光源と前記検査光生成部との駆動を制御してもよい。この構成によると、光源と検査光生成部とを同期させて駆動させることが容易である。これにより、検出対象体の位置を正確に検出することができる。
【0013】
上記構成において、前記出光位置の少なくとも1つには、前記検査光生成部で生成された検査光を前記検出領域に向けて反射する反射部が設けられていてもよい。この構成によると、反射部で検査光の光路を変更することができるため、位置検出装置の部材の配置の自由度を高めることができる。なお、前記部材としては、光源、検査光生成部等を挙げることができるが、これに限定されない。
【0014】
上記構成において、前記走査光源部には、前記出光位置と同数の前記光源及び前記検査光生成部が設けられていてもよい。光源及び検査光生成部を同数備えていることで、検出領域に検査光を正確に照射させ、検出領域を検査光で隙間なく走査することができる。
【0015】
上記構成において、前記処理部が、1の前記出光位置から検査光が出射しているときは他の出光位置からの検査光の出射を停止し、前記処理部は受光部が検出光を受光したときの時間の情報を取得してもよい。このような構成とすることで、検査光の出射が時分割で排他的に行われるため、受光部の数が少なくても、検出光が出射された出光位置を特定することができる。これにより、構成を簡略化することができるとともに、検出領域内の検出対象体を精度よく検出することが可能である。
【0016】
上記構成において、前記処理部は、1の出光位置から出射される検査光で前記検出領域全体の走査が終了した後に、次の出光位置から出射される検査光で前記検出領域の走査を開始するようにしてもよい。この構成とすることで、走査の同期をとりやすく制御を簡単にすることができる。
【0017】
上記構成において、前記出光位置が2個設けられており、前記処理部は、各出光位置から出射される検査光による走査の帰線期間をずらすとともに、前記検査光で1ライン走査するごとに検査光が出射される前記出光位置を切り替えて光を出射させて、一方の出光位置が帰線期間にあるときに他方の出光位置からの検査光で往復走査を行うように前記走査光源部を制御するようにしてもよい。この構成によると、2個の検査光生成部を同期させて動作させる必要はなく、簡単且つ精度よく検出対象体を検出することができる。また、制御が簡単であることから、制御部を簡略化することで、製造コストを低減することができる。さらに、異なる駆動周波数の検査光生成部を利用することができる。これにより、駆動周波数の精度が高くない検査光生成部も使用することができる。
【0018】
上記構成において、前記走査光源部が各出光位置からそれぞれ異なる波長の検査光を出射するように形成されるとともに前記受光部が前記出光位置と同数備えられており、前記受光部はそれぞれ対応した出光位置から出射された光と同じ波長の光を受光するようにしてもよい。この構成によると、同時に2箇所以上から検査光が照射されたとしても、いずれの出光位置から出射された検査光であるか判別できる。これにより、複数の出光位置からの検査光で走査するときの時間のずれを減らし、検出対象体の検出精度を高めることができる。また、複数の検査光が同時に照射されてもよいので、複数個の検査光生成部及び複数個の光源を同期させる必要がなく、走査光源制御部を簡略化することができる。これにより、検出対象体の検出精度が低減することなく、製造コストを低減することができる。
【0019】
上記構成において、前記走査光源部には、前記出光位置と同数の前記光源が設けられているとともに、前記光源よりも少ない数の前記検査光生成部が設けられており、前記光源のそれぞれは前記検査光生成部に対して異なる角度で光を入射するように配置されるとともに、検査光が対応する前記出光位置に入射するように配置されていてもよい。
【0020】
上記構成において、前記走査光源部には、1個の前記光源と、1個の前記検査光生成部と、前記検査光の光路を前記出光位置のいずれかに択一的に切り替える光路切替部とを備えていてもよい。このように構成することで、光源及び検査光生成部の数を減らすことができ、製造コストを低減することができる。また、検査光の光路を変換する部材の配置次第で光源及び検査光生成部の配置の自由度を高めることが可能である。
【0021】
上記構成において、前記光路切替部は、前記光源と前記検査光生成部の間に配置されて光の偏光方向を切り替える偏光切替部と、前記検査光生成部と前記出光位置との間の前記検査光の光路上に設けられて前記偏光方向によって反射又は透過させて前記検査光の光路を切り替える偏光ビームスプリッタとを備えていてもよい。
【0022】
上記構成において、前記光路切替部は、前記検査光の前記第1方向の入射位置によって複数個の反射部のいずれかに選択的に前記検査光を反射する反射面を含む反射部材を備えていてもよい。
【0023】
上記構成において、前記反射面は、前記第1方向に分割された分割面を有していてもよい。
【0024】
上記構成において、前記反射面は、前記検査光の前記検出領域での走査速度が等速となるような形状を有していてもよい。
【0025】
上記構成において、前記走査光源制御部は、前記検査光が入射する前記反射部が切り替わる前後で光の出射を停止するように前記光源の出光制御を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、部材の配置の自由度を高めることができるとともに、検出領域内の検出対象体の位置を精度よく検出することができる位置検出装置を提供することができる。
【0027】
また、本発明によると、簡単な構成で、空間像に対する使用者の指による入力を確実に検出する空間入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明にかかる空間入力装置の概略図である。
図2】本発明にかかる位置検出装置の一例の概略構成図である。
図3図2に示す位置検出装置の電気的な接続を示すブロック図である。
図4】圧電型のアクチュエータを備えたMEMSの概略平面図である。
図5A】本発明にかかる位置検出装置の第1検査光生成部の動作を示す図である。
図5B】本発明にかかる位置検出装置の第2検査光生成部の動作を示す図である。
図6】走査光源部の動作を示すタイミングチャートである。
図7】本発明にかかる位置検出装置の動作を示すフローチャートである。
図8A】第1出光位置から出射された検査光の検出対象体における反射光又は散乱光を受光した位置を示す図である。
図8B】第2出光位置から出射された検査光の検出対象体における反射光又は散乱光を受光した位置を示す図である。
図9A】座標と検査光の光路を関係付けたテーブルである。
図9B】光路の情報から3次元座標を演算していることを示す図である。
図10】検出対象体が移動しているときの座標を示す図である。
図11】本発明にかかる位置検出装置の他の例の動作を示すタイミングチャートである。
図12】本発明にかかる位置検出装置の一例の概略構成図である。
図13】本発明にかかる位置検出装置の一例の概略構成図である。
図14A】第1出光位置からの検査光の2次元走査を示す図である。
図14B】第2出光位置からの検査光の2次元走査を示す図である。
図15】本発明にかかる位置検出装置の他の例の概略配置図である。
図16図15に示す位置検出装置の動作を示すタイミングチャートである。
図17】本発明にかかる位置検出装置のさらに他の例の概略配置図である。
図18図17に示す位置検出装置の動作を示すタイミングチャートである。
図19】本発明にかかる位置検出装置のさらに他の例の概略配置図である。
図20図19に示す位置検出装置の動作を示すタイミングチャートである。
図21】検査光生成部の反射面の揺動状態と検査光の光路変更ミラーへの光の照射状態を示す図である。
図22】位置検出装置の光路を示す平面図である。
図23】検査光が検査領域を走査している状態を示す概略図である。
図24】本発明にかかる位置検出装置のさらに他の例の動作を示すタイミングチャートである。
図25】本発明にかかる位置検出装置に用いられる光路変更ミラーの平面図である。
図26】本発明にかかる位置検出装置のさらに他の例の概略配置図である。
図27図26に示す位置検出装置の接続状態を示すブロック図である。
図28図26に示す位置検出装置の受光部に備えられているフィルタの透過波長を示す図である。
図29】本発明にかかる位置検出装置の一例の概略構成図である。
図30図29に示す位置検出装置の電気的な接続を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明にかかる発明について図面を参照して説明する。
【0030】
<第1実施形態>
図1は本発明にかかる空間入力装置の概略図である。図1に示すように、空間入力装置Ipは、空中結像プレートPtによって操作入力空間Iaに表示された空中像Ivを操作対象体(使用者の指Fg)による操作入力を検出する装置である。空間入力装置Ipは、本発明にかかる位置検出装置Aと、制御装置Cntとを備えている。また、空間入力装置Ipで検出された操作入力は、パソコン、ゲーム機等のホスト装置Htに送られる。
【0031】
位置検出装置Aは、操作入力空間Iaに使用者の指Fgが挿入されたことを検出すると、使用者の指Fgの3次元座標を演算により算出し、外部機器である制御装置Cntに引き渡す。制御装置Cntは、引き渡された3次元座標のデータから使用者の指Fgの操作を判別する操作判別部Opを備えている。操作判別部Opでは、例えば、位置の時間変化、座標の変化によるジェスチャの認識や、基準面の通過を検知することによるタッチ認識等を行い、どのような操作入力が行われたかの情報の入力イベントと3次元座標のデータを組みにした入力操作情報を生成する。そして、操作判別部Opは入力操作情報をホスト装置Htに受け渡す。
【0032】
空間入力装置Ipを用いることで空間に表示された仮想の操作装置(空中像Iv)でホスト装置Htの操作入力を行うことができる。なお、空間入力装置Ipでは、位置検出装置Aと制御装置Cnt(主に、操作判別部Op)とを別体として記載しているが、一体になっていても構わない。
【0033】
次に、本発明にかかる位置検出装置について図面を参照して説明する。図2は本発明にかかる位置検出装置の一例の概略構成図であり、図3図2に示す位置検出装置の電気的な接続を示すブロック図である。図2図3に示す位置検出装置Aは、走査光源部100と、受光部300と、処理部400とを備えている。
【0034】
位置検出装置Aは、走査光源部100から出射される検査光で検出領域Saを走査する。そして、検出領域Saに進入した被検出物(例えば、使用者の指Fg)に検査光が照射されたときに、使用者の指Fgで反射された又は散乱された光を受光部300で受光する。受光部300は反射光又は散乱光を受光したことを示す受光情報を処理部400に送信しており、処理装置400は受光情報に基づいて位置情報(所定の基準、例えば、受光部300に対する座標情報)を取得している。以下に、各部の詳細について説明する。
【0035】
走査光源部100は、検出領域Saを2次元走査する検査光を出射するものである。走査光源部100は、検査光を出光する出光位置を2個含んでいる。なお、出光位置は図1に示す走査光源部100において左側を第1出光位置101、右側を第2出光位置102として説明する。
【0036】
走査光源部100は、第1出光位置101から検出領域Saに向けて検査光を出射する第1光学系10と、第2出光位置102から検出領域Saに向けて検査光を出射する第2光学系20とを有している。
【0037】
第1光学系10は、第1光源部11と第1検査光生成部12とを備えている。第1光源部11は赤外領域の波長の赤外光(レーザ光)を出射する光源を含む。赤外光は使用者が視認できない波長の光であるため、使用者に気付かれることなく、使用者の指Fgの位置を検出することが可能である。図2図3に示すように、第1光源部11は、レーザ発光素子(LD:Laser Diode)111と、ドライバ112と、第1レンズ13と、第1ビームスプリッタ14と、第1モニタ用受光部15とを備えている。
【0038】
第1光源部11は、レーザ発光素子111を備えている構成を挙げているがこれに限定されるものではなく、所定波長の赤外光を一定の出力以上で出光できる構成を広く採用することができる。
【0039】
第1光源部11は走査光源制御部41の後述する光源制御部411によって出射制御されている。レーザ発光素子111は、ドライバ112からの信号(電力)で駆動されるものであり、ドライバ112は光源制御部411からの制御信号(発光信号)に基づいて、レーザ発光素子111を駆動するための駆動信号を生成する。これにより、レーザ発光素子111から出射される赤外光の発光タイミング、強度等が調整される。
【0040】
レーザ発光素子111は点光源であり出射された赤外光は発散光である。そのため、第1光源部11では、レーザ発光素子111から出射された赤外光を第1レンズ13に透過させて平行光又は略平行光に変換している。なお、第1レンズ13はコリメータレンズである。
【0041】
第1レンズ13から出射された赤外光は、第1ビームスプリッタ14に入射される。第1ビームスプリッタ14は入射した赤外光のうち一部を反射して、残りを透過させる。第1ビームスプリッタ14で反射された光は、第1モニタ用受光部15に入射する。第1モニタ用受光部15は入射した光に基づいたモニタ信号を走査光源制御部41の光源制御部411に送信する。
【0042】
第1ビームスプリッタ14を透過した光は、第1検査光生成部12に入射する。第1検査光生成部12は、入射した光を反射するとともに、反射光の光軸を第1方向(図2では水平方向H)及び第1方向と直交する第2方向(図2では鉛直方向V)に移動させて、検査光を生成している。検査光は第1方向及び第2方向に光軸が移動するものであり、検出領域Saは検査光によって2次元走査される。検査光による検出領域Saの走査については後述する。
【0043】
第1検査光生成部12は、入射光を反射する反射面120を第1方向及び第2方向に揺動することで検査光を生成する。第1検査光生成部12は反射面120を揺動する素子(MEMS:Micro Electro Mechanical System)121、ドライバ122及び信号処理部123を備えている。以下にMEMSについて図面を参照して説明する。図4は圧電型のアクチュエータを備えたMEMSの概略平面図である。
【0044】
図4に示すように、MEMS121は、反射面120を備えた鏡体1200を第1方向(H方向)と第2方向(V方向)に揺動することで、反射光の光軸を偏向させている。MEMS121は、鏡体1200、第1弾性変形部1211、揺動支持部1212、第2弾性変形部1213、枠体1214、第1アクチュエータ1215及び第2アクチュエータ1216を備えている。なお、図4において横方向を第1方向(H方向)、縦方向を第2方向(V方向)として説明する。
【0045】
鏡体1200は、主面の一方(ここでは、紙面手前側の面)に反射面120が形成された、円板状の部材である。鏡体1200には、第2方向の先端部分の両方を第1弾性変形部1211が連結されている。つまり、第1弾性変形部1211の第2方向の中心部分に鏡体1200が連結されている。揺動支持部1212は、弾性的にねじることができる構成であり、鏡体1200及び揺動支持部1212は第2方向に延びる第1軸C1周りに揺動可能となっている。また、平面視において、第1軸C1と直交する第2軸C2は鏡体1200の中心と重なっている。鏡体1200及び第1弾性変形部1211は第1軸C1及び第2軸C2のそれぞれに線対称になるように構成されている。
【0046】
揺動支持部1212は第2方向に延びる板状の部材であり、鏡体1200を挟んで対をなすとともに第1軸C1及び第2軸C2に対して対称となるように設けられる。揺動支持部1212の第2方向の両端部と第1弾性変形部1211の第2方向の両端部とが第1アクチュエータ1215で連結されている。第1アクチュエータ1215も、第1軸C1及び第2軸C2に対して対称となるように、4個設けられている。
【0047】
第1アクチュエータ1215は圧電素材を備えたものであり、電力が供給されることで、変形する。4個の第1アクチュエータ1215を適切に駆動させることで、第1弾性変形部1211に第1軸C1を中心としてねじれる方向の力を付与する。この力が鏡体1200に伝達されて鏡体1200が第1軸C1周りに回転する。鏡体1200が回転することで、鏡体1200に連結されている第1弾性変形部1211が弾性的にねじれる。この第1アクチュエータ1215からの力及び第1弾性変形部1211の弾性力によって、鏡体1200が第1軸C1周りに揺動する。
【0048】
揺動支持部1212の第2方向の中心部分には、外側に第1方向沿って延びる第2弾性変形部1213が連結している。枠体1214は中央部に矩形の開口窓が設けられており、第2弾性変形部1213の先端部分が枠体1214の開口窓の内面と連結している。そして、第2弾性変形部1213の中間部分には、第2方向に延びる第2アクチュエータ1216が連結されている。第2アクチュエータ1216は第2弾性変形部1213を挟んで、第2方向の反対側に延びている。第2アクチュエータ1216は第2弾性変形部1213と枠体1214とに連結されている。第2アクチュエータ1216は4個備えられているとともに、第1軸C1及び第2軸C2に対して対称となるように設けられている。
【0049】
第2アクチュエータ1216は第1アクチュエータ1215と同じ圧電素材を利用したものであり、電力が供給されることで変形する。4個の第2アクチュエータ1216を適切に駆動させることで、第2弾性変形部1213に第2軸C2を中心としてねじれる方向の力を付与する。この力によって揺動支持部1212に伝達されて揺動支持部1212が第2軸C2周りに回転する。第2軸C2周りに回動する場合、鏡体1200、第1弾性変形部1211、揺動支持部1212、第1アクチュエータ1215は一体的に回動する。
【0050】
鏡体1200、第1弾性変形部1211、揺動支持部1212、第1アクチュエータ1215が回動することで、第2弾性変形部1213が弾性的にねじれる。この第2アクチュエータ1216からの力及び第2弾性変形部1213の弾性力によって、鏡体1200が第2軸C2周りに揺動する。
【0051】
MEMS121は以上のような構成を有しており、鏡体1200の反射面120を第1方向及び第2方向に揺動させることができる。なお、MEMS121では圧電型のアクチュエータを用いたものを例に説明しているが、静電型、磁気型等異なる構成のものであってもよい。なお、MEMS121は、例えば、第1軸C1周りに24kHz、第2軸C2周りに60Hzの周波数で動作するものを挙げることができるがこれに限らない。
【0052】
また、反射面120を駆動する素子としては、MEMSに限定されるものではなく、反射光の光軸を交差する2軸周りに移動させることができる構成のもの、例えば、ポリゴンミラーやガルバノミラーを組み合わせたものであってもよい。第1方向と第2方向とは直交するものとしているが、これに限定されず、交差する方向であればよい。なお、検査光で検出領域Saを精度よく2次元走査するためには、直交或いは略直交であることが好ましい。
【0053】
第1検査光生成部12のMEMS121は、走査光源制御部41の後述する走査制御部412によって駆動制御されており、走査制御部412からの制御信号(走査信号)はドライバ122に入力する。ドライバ122は走査制御部412からの制御信号に基づいてMEMS121のアクチュエータを駆動する駆動信号を生成し、アクチュエータを駆動する。ドライバ122の駆動信号によって、MEMS121は、第1方向H及び第2方向Vのそれぞれの方向に所定の周波数及びねじれ角度で揺動する。また、信号処理部123はMEMS121から出力されたセンサ信号に基づいて、反射面120の変位(角度)の情報を含む変位信号を生成し、変位信号を走査光源制御部41の走査制御部412に送信する。
【0054】
第2光学系20は、第1光学系10と同様の構成を有している。すなわち、第2光学系20は、第2光源部21と第2検査光生成部22とを備えている。第2光源部21は、レーザ発光素子211、ドライバ212、第2レンズ23、第2ビームスプリッタ24及び第2モニタ用受光部25を備えている。なお、第2光学系20の各構成は、第1光学系10と同じ構成を有しているため、実質上同じ部分の説明は省略する。なお、第1光源部11と第2光源部21とは、同じ波長の赤外光を出射する構成であってもよいし、異なる波長の赤外光を照射するようになっていてもよい。
【0055】
第1光学系10及び第2光学系20は、それぞれ、第1出光位置101及び第2出光位置102から検査光を出光する。位置検出装置Aでは検出領域Sa内に位置する検出対象体(例えば、使用者の指Fg)に検査光が照射されたときの反射光又は散乱光を受光部300で受光している。次に、受光部300について説明する。
【0056】
受光部300は、第1出光位置101及び(又は)第2出光位置102から出射された検査光である赤外波長域の赤外光の反射光を受光して受光信号を出力する。受光部300は、受光素子31と、フィルタ32と、レンズ33とを備えている。受光部300は、検出領域Saに対して、第1出光位置101及び第2出光位置102からの検査光が入射する側と対向するように配置されている。しかしながら、これに限定されるものではなく、第1出光位置101及び第2出光位置102から出射された検査光が、検出対象体で反射した反射光及び(又は)散乱光を検出できる位置を広く採用することができる。第1出光位置101と第2出光位置102の間の領域に配置することで、受光部300を小型化することができるとともに、走査光源部100と受光部300とを共通の筐体に収めることが容易となり、位置検出装置Aを小型化することが可能である。
【0057】
受光素子31は、所定波長域(ここでは、走査光源部100から出射された赤外光が含まれる波長域)の光を受光すると、電気信号である受光信号を出射する光電素子である。受光素子31では、受光する光の強度が高いほど強い信号を出射するものである。受光部300では、使用者の指Fgで反射された又は散乱された検出光がレンズ33を通過するように配置されている。そして、検出光はレンズ33を透過することで、集光され受光素子31に正確に照射される。これにより、高強度の光が受光素子31に入射するため、強い受光信号を出力できる。
【0058】
受光部300では、レンズ33の受光素子31と反対側にフィルタ32が備えられている。フィルタ32は、検出光が含まれる波長域以外の波長の光を遮断するバンドパスフィルタである。フィルタ32を用いることで、環境光が受光素子31に入射するのを抑制するため、受光信号に環境光によるノイズが含まれるのを抑制することができる。これにより、受光素子31が正確で高強度の受光信号を出力することができる。
【0059】
なお、本発明において受光部300は、フィルタ32と受光素子31との間にレンズ33を配置しているが、これに限定されるものではなく、レンズ33と受光素子31との間にフィルタ32を備える構成であってもよい。受光素子31に入射する光から、不要光、すなわち、検出光が含まれる波長域以外の波長の光を取り除くことができる構成を広く採用することができる。
【0060】
次に処理部400について説明する。処理部400は走査光源部100の各部の制御を行うとともに、受光部300からの受光信号に基づいて、検出領域Sa内にある使用者の指Fgの位置の演算による検出も行っている。
【0061】
処理部400は、CPU、MPU等の演算処理回路を含む構成であり、図3に示すように、走査光源制御部41、演算処理部42、記憶部43、同期信号生成部44及び外部出力部45を備えている。
【0062】
走査光源制御部41は、走査光源部100からの光の出力、検査光の移動の範囲、速度等を制御する制御部である。走査光源制御部41は、光源制御部411と、走査制御部412とを備えている。
【0063】
光源制御部411は、第1光学系10の第1光源部11及び第2光源部20の第2光源部21の駆動を制御する制御回路である。光源制御部411は第1光学系10の第1モニタ用受光部15からモニタ信号を受信している。光源制御部411はモニタ信号に基づいて、第1光源部11のレーザ発光素子111の出力、出光タイミング、出光時間等を制御する制御信号を生成してドライバ112に送信している。光源制御部411は、第2光学系30の第2モニタ用受光部25からもモニタ信号を受信している。光源制御部411はモニタ信号に基づいて、第2光源部21のレーザ発光素子211の出力、出光タイミング、出光時間等を制御する制御信号を生成してドライバ212に送信している。
【0064】
また、光源制御部411は、第1光源部11のレーザ発光素子111からの赤外光の出光と、第2光源部21のレーザ発光素子211からの赤外光の出光とが同時に行われないように第1光源部11及び第2光源部21を制御する。駆動のタイミングについての詳細は後述する。
【0065】
走査制御部412は、第1光学系10の第1検査光生成部12及び第2光学系20の第2検査光生成部22の駆動を制御する制御回路である。走査制御部412は第1検査光生成部12の信号処理部123からの変位信号を受信する。そして、変位信号に基づいて反射面120を適切に揺動するための制御信号を生成してドライバ122に送信する。走査制御部412は第2検査光生成部22の信号処理部223からの変位信号を受信する。そして、変位信号に基づいて反射面220を適切に揺動するための制御信号を生成してドライバ222に送信する。
【0066】
光源制御部411と走査制御部412とは第1光源部11、第1検査光生成部12、第2光源部21及び第2検査光生成部22を同期させて駆動させることで、検査光で検出領域Saを2次元走査する。走査光源制御部41は、記憶部43にアクセスできるようになっている。走査光源制御部41は、記憶部43に記憶されている光走査パターン情報に基づいて第1光学系10及び第2光学系20を駆動する。
【0067】
記憶部43は、読み出し専用のROM、読書き可能なRAM、フラッシュメモリ等の記憶装置を備えている。記憶部43は、第1光源部11の出光のタイミング、第1検査光生成部12の反射面120の揺動角度、第2光源部21の出光のタイミング、第2検査光生成部22の反射面220の揺動角度の情報を時系列に並べた制御テーブルを備えている。なお、制御テーブルは、これら以外のデータを扱うようになっていてもよい。そして、任意の時間における、第1光源部11の出光の有無、反射面120(MEMS121)の揺動角度、第2光源部21の出光の有無及び反射面220(MEMS221)の揺動角度が光走査パターン情報である。
【0068】
演算処理部42は、受信部421及び演算部422を含んでいる。受信部421は受光部300の受光素子31からの受光信号を受信する回路である。また受信部421は同期信号生成部44から同期信号を受信している。受信部421は受光素子31からの受光信号と同期信号とを関連付けて演算部422に送信する。
【0069】
演算部422は、受信信号と同期信号とから、検出領域Sa内の使用者の指Fgの位置データ(座標データ)を演算により検出する回路である。演算部422は、記憶部43にアクセスし、受信信号及び同期信号と制御テーブルとから使用者の指Fgで反射又は拡散された検査光の光路を特定する。そして、特定した検査光の光路から、使用者の指Fgの3次元座標を算出する。3次元座標の算出方法については後述する。
【0070】
同期信号生成部44は、同期信号を生成するための信号生成回路を備えている。同期信号に基づいて動作することで、光源制御部411及び走査制御部412が同期して駆動する。また、同期信号は演算処理部42にも送信されており、受光信号と関連付けられた同期信号から、走査光源部100からの検査光の出光の時間と受光部300による検出光の受光の時間を取得することができる。
【0071】
外部出力部45は、外部機器と接続し、外部機器に使用者の指Fgの位置情報(3次元座標)を送信するための通信回路を含む。外部出力部45は有線によるデータ通信を行う構成であってもよいし、無線によるデータ通信を行う構成であってもよい。
【0072】
次に、位置検出装置Aの動作について図面を参照して説明する。図5Aは本発明にかかる位置検出装置の第1検査光生成部の動作を示す図であり、図5Bは本発明にかかる位置検出装置の第2検査光生成部の動作を示す図である。
【0073】
図5Aは、第1検査光生成部12のMEMS121の動作を示している。図5Aの矩形は検出領域Saを示しており、検出領域Saに検査光のスポットSptで検出領域Saを2次元走査している。図5Aは、検査光生成部12の反射面120の第1軸C1周りの揺動、すなわち、第1方向の揺動Os1と、第2軸C2周りの揺動、すなわち、第2方向の揺動Os2とを示している。なお、図5Aにおける第1方向及び第2方向は図2における第1方向(水平方向)及び第2方向(鉛直方向)と対応している。
【0074】
図5Aにおいて、第1方向の揺動Os1は横軸を反射面120の揺動角度(法線の位置)、縦軸を時間としており、第2方向の揺動Os2は横軸を時間、縦軸を反射面220の揺動角度(法線の位置)としている。位置検出装置Aでは、光源制御部411が生成する制御信号と走査制御部412の制御信号とに基づいて、第1光源部11と第1検査光生成部12、第2光源部21と第2検査光生成部22とを駆動させている。反射面120は、第1方向に一定の周波数で揺動するとともに、第2方向に一定の周波数で揺動している。
【0075】
位置検出装置Aでは、スポットSptを第1方向の1方向への移動を第2方向にずらして繰り返すことで検出領域Saの2次元走査を行っている。このような走査を行う場合、走査光源制御部41は、以下のような制御を行っている。走査光源制御部41は、図5Aに示すように、反射面120の角度が第1方向の一方(ここでは左から右)に移動するとき、レーザ発光素子111から赤外光を出光する。そして、反射面120の角度が第1方向の他方(右から左)に移動するときに、レーザ発光素子111からの赤外光の出射を停止する。このレーザ発光素子111からの光の出射を停止する期間が第1方向の帰線期間(水平帰線期間)である。図5Aでは第1方向の揺動Os1の帰線期間を破線で示している。なお、本実施形態では、スポットSptが第1方向の一方に走査するときにだけ、レーザ発光素子111から発光させているが、これに限定されるものではない。スポットSptで第1方向に往復するように、レーザ発光素子111を発光させてもよい。
【0076】
反射面120は、第1方向の揺動の周波数よりも低い周波数で第2方向にも揺動している。そして、位置検出装置Aにおいて、走査光源制御部41は反射面120の角度が第2方向の一方(ここでは、上から下)に移動する間で、第1方向の一方(左から右)に移動しているときにレーザ発光素子111から赤外光を出光する制御を行う。そのため、実際に検出領域Saに照射される検査光のスポットSptは、第1方向と第2方向の両方に移動する、すなわち、斜めに移動する。
【0077】
走査光源制御部41は、反射面120の角度が、第1方向に1往復移動するときに、第2方向に検査光のスポットSptの直径分又は直径よりもわずかに小さい幅分(1ライン分とする)に移動するように、第1方向及び第2方向の周波数を調整する。これにより、検査光のスポットSptの第1方向の一方への移動が、第2方向に1ラインずつずらして繰り返され、検出領域Saは検査光のスポットSptで隙間なく走査される。なお、スポットSptの移動を走査と称し、第1方向の移動を第1方向の走査、第2方向の移動を第2方向の走査と称する場合がある。
【0078】
そして、反射面120の角度が第2方向の他方(下から上)に移動するときに、レーザ発光素子111からの赤外光の出射を停止する。この反射面120の角度が第2方向の他方に移動する期間が第2方向の帰線期間(垂直帰線期間)である。図5Aでは第1方向の揺動Os1の帰線期間を破線で示している。
【0079】
走査光源制御部41が以上のように走査光源部100の第1光学系10を以上のように制御することで、第1出光位置101から出射される検査光のスポットSptの左から右へ1ラインずつ上から下に移動する走査が繰り返し行われる。
【0080】
また、図5Bに示すように第2光学系20も第1光学系10と同様の動作が行われており、第2光学系20からの検査光でも同様に操作領域Saを検査光のスポットSptで2次元走査する。
【0081】
位置検出装置Aにおいて、走査光源制御部41は、第1出光位置101からの検査光と第2出光位置102からの検査光とが同時に検出領域Saに対して出射されないように走査光源部100を制御している。走査光源制御部41による走査光源部100の制御について図面を参照して説明する。図6は走査光源部の動作を示すタイミングチャートである。
【0082】
図6において、横軸は時間であり、最上段は、第1検査光生成部12の反射面120の第1方向及び第2方向の揺動角度を示している。その下の段は、第2検査光生成部22の反射面220の第1方向及び第2方向の揺動角度を示している。さらにその下の段は、第1光源部11のレーザ発光素子111からの赤外光の出射を示している。その下の段は、第1光源部21のレーザ発光素子211からの赤外光の出射を示している。最も下の段は、受光部300の受光素子31からの受光信号である。また、受光素子31が受光している部分の拡大図も示している。
【0083】
図6に示すように、走査制御部422は反射光(検査光)が第1方向の照射範囲を超えるように反射面120(MEMS121)を揺動している。そして、光源制御部421は第1光源部111から出射される光の出射タイミングを制御することで、検査光が検出領域Saの照射範囲内に照射させている。
【0084】
そして、走査制御部422は反射光(検査光)が第2方向の照射範囲を超えるように反射面120を揺動している。そして、光源制御部421は第1光源部111から出射される光の出射タイミングを制御することで、検査光が検出領域Saの照射範囲内に照射させている。第1光学系10では、反射面120の第1方向への移動を示す線が右上がりの期間(期間Tm2)が帰線期間(垂直帰線期間)であり、右下がりの期間(期間Tm1)である走査期間にレーザ発光素子111から赤外光を出射している。詳しく説明すると、第1光学系10では、期間Tm1でなおかつ反射面120が第1方向の一方(左から右)に移動するときに、第1光源部11のレーザ発光素子111から赤外光を出射する。
【0085】
走査光源制御部41は、第1光学系10の第1検査光生成部12と第2光学系20の第2検査光生成部22とが交互に第2方向の帰線期間を迎えるように走査光源部100を制御している。図5に示すように、期間Tm1では第2検査光生成部22が帰線期間(垂直帰線期間)となっており、期間Tm2では第1検査光生成部12が帰線期間(垂直帰線期間)となっている。位置検出装置Aでは、期間Tm1では、第1出光位置101からの検査光で検出領域Saを2次元走査し、期間Tm2では、第2出光位置102からの検査光で検出領域Saを2次元走査している。これにより、第1出光位置101からの検査光と第2出光位置102からの検査光が同時に検出領域Saに照射されないようにしている。
【0086】
次に本発明にかかる位置検出装置Aによる検出対象体(使用者の指Fg)を検出する手順について図面を参照して説明する。図7は本発明にかかる位置検出装置の動作を示すフローチャートである。図8Aは第1出光位置から出射された検査光の検出対象体における反射光又は散乱光を受光した位置を示す図であり、図8Bは第2出光位置から出射された検査光の検出対象体における反射光又は散乱光を受光した位置を示す図である。図9Aは座標と検査光の光路を関係付けたテーブルであり、図9Bは光路の情報から3次元座標を演算していることを示す図である。
【0087】
図7に示すように、走査光源制御部41は、記憶部43の制御テーブルから第1光学系10及び第2光学系20の駆動のタイミングの情報を取得する(ステップS101)。走査光源制御部41の走査制御部412は、同期信号生成部44からの同期信号と駆動タイミングの情報とに基づいて、第1検査光生成部12のMEMS121の第1方向及び第2方向の揺動タイミングを示す走査信号(制御信号)を生成してドライバ122に送る。また、光源制御部411は、MEMS121が検査光を照射角度のときに第1光源部11のレーザ発光素子111が出光するように、ドライバ112に発光信号(制御信号)を送信する。このように、第1光学系10に制御信号を送信することで、第1出光位置101から検査光を出射する(ステップS102)。
【0088】
受光部300の受光素子31は一定の間隔で処理部400に受信信号を送信しており、演算処理部42の受信部421は受光素子31からの受光信号を取得する(ステップS103)。受信部421は、同期信号生成部44からの同期信号を受けており、受光信号と同期信号とを関連付けて演算部422に送る。演算部422は、受光信号と同期信号に含まれる受信情報を記憶部43に記憶する(ステップS104)。
【0089】
そして、走査光源制御部41は、走査が終了したか否か確認する(ステップS105)。走査の終了は、第1検査光生成部12の信号処理部123からの変位信号に基づいて、反射面120(MEMS121)が帰線期間に有るかどうかを判断することで行っている。
【0090】
走査が終了していない場合(ステップS105でNoの場合)、第1出光位置101からの検査光の出射を継続する(ステップS102に戻る)。走査が終了した場合(ステップS105でYesの場合)、演算処理部42は検出領域Saに使用者の指Fgが検出されたか否か確認する(ステップS106)。
【0091】
なお、使用者の指Fgが検出領域Sa内にあるか否かの確認は、受光素子31が予め決められた閾値以上であるか否かで判断するものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0092】
検出領域Sa内に使用者の指Fgが検出された場合(ステップS106でYesの場合)、演算部422は、受光情報を呼び出し使用者の指Fgの第1出光位置101に対する検出位置の情報(座標)を取得し記憶部43に記憶する(ステップS107)。
【0093】
演算部422は、第1出光位置101に対する検出位置の座標の取得は、受光信号と関連付けられた同期信号を取得する。同期信号と制御テーブルに基づいて、第1光源部11のレーザ発光素子111の発光開始からの時間t1(図6の拡大部分参照)を取得する。レーザ発光素子111は、反射面120の揺動に同期して発行するためレーザ発光素子111の発光開始からの時間t1を取得することで、使用者の指Fgの第1出光位置101に対する第1方向の位置x1を確認できる。
【0094】
同様に演算部422は第1検査光生成部12の信号処理部123からの変位信号に基づいて、反射面120の第2方向の揺動角度L1(図6の拡大部分を参照)を取得する。第2方向の揺動角度L1から、使用者の指Fgの第1出光位置101に対する第2方向の位置y1を確認できる。このことから、第1出光位置101から見た検査領域Sa内での使用者の指Fgの座標(x1、y1)を取得する(図8A参照)。
【0095】
第1出光位置101からの検査光で検出領域Saに使用者の指Fgが検出されなかった場合(ステップS106でNoの場合)、光学位置検出部Aで検出領域Sa内の使用者の指Fgの検出が終了されているか否か確認する(ステップS117)。なお、検出の終了としては、例えば、外部機器からの終了の信号の受信や図示を省略した操作部(例えば、スイッチ)に使用者による操作を検出したときに行われるものを挙げることができるが、これに限定されない。
【0096】
処理部400が、検出領域Sa内の使用者の指Fgの検出を終了することを確認した場合(ステップS117でYesの場合)、検出領域Sa内の使用者の指Fgの検出を終了する。処理部400が検出領域Saの検出を継続することを確認した場合(ステップS117でYesの場合)、第1出光位置101からの検査光による検出領域Sa内の使用者の指Fgの検出を行う(ステップS101に戻る)。なお、上述のように、第1出光位置101からの検査光で使用者の指Fgを検出しない場合、第1出光位置101からの検査光の出射を繰り返す。そのため、第2出光位置102からの検査光の出射を停止するため、消費電力を低減することができる。また、第1出光位置101が、使用者に直接照射しないような角度で検査光を検出領域Saに照射する位置に配置されることで、故障時等の安全性を高めることができる。
【0097】
第1出光位置101からの検査光による検出領域Saの走査によって使用者の指Fgを検出した場合(ステップS106でYesの場合)、走査光源制御部41は第2出光位置102からの検査光の出射を行う(ステップS108)。具体的には以下のとおりである。走査制御部412は、同期信号生成部44からの同期信号と駆動タイミングの情報とに基づいて、第2検査光生成部22のMEMS221の第1方向及び第2方向の揺動タイミングを示す走査信号(制御信号)を生成してドライバ222に送る。また、光源制御部411は、MEMS221が検査光を照射角度のときに第2光源部21のレーザ発光素子211が出光するように、ドライバ212に発光信号(制御信号)を送信する。
【0098】
受光部300の受光素子31は一定の間隔で処理部400に受信信号を送信しており、演算処理部42の受信部421は受光素子31からの受光信号を取得する(ステップS109)。上述のとおり、同期信号から受光信号を受光した光が第1出光位置101から出射されているか第2出光位置102から出射されているかを確認することができる。
【0099】
受信部421は、同期信号生成部44からの同期信号を受けており、受光信号と同期信号とを関連付けて演算部422に送る。演算部422は、受光信号と同期信号に含まれる受信情報を記憶部43に記憶する(ステップS110)。
【0100】
そして、走査光源制御部41は、走査が終了したか否か確認する(ステップS111)。走査の終了は、第2検査光生成部22の信号処理部223からの変位信号に基づいて、反射面220(MEMS221)が帰線期間に有るかどうかを判断することで行っている。
【0101】
走査が終了していない場合(ステップS111でNoの場合)、第2出光位置102からの検査光の出射を継続する(ステップS108に戻る)。走査が終了した場合(ステップS111でYesの場合)、演算処理部42は検出領域Saに使用者の指Fgが検出されたか否か確認する(ステップS112)。使用者の指Fgが検出領域Sa内にあるか否かの確認は上述と同じである。
【0102】
なお、使用者の指Fgが検出領域Sa内にあるか否かの確認は、受光素子31が予め決められた閾値以上であるか否かで判断するものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0103】
検出領域Sa内に使用者の指Fgが検出された場合(ステップS112でYesの場合)、演算部422は、受光情報を呼び出し使用者の指Fgの第2出光位置102に対する検出位置の情報(座標)を取得し記憶部43に記憶する(ステップS113)。
【0104】
演算部422の第2出光位置102に対する検出位置の座標の取得は、受光信号と関連付けられた同期信号を取得する。同期信号と制御テーブルに基づいて、第2光源部21のレーザ発光素子211の発光開始からの時間t2(図6の拡大部分参照)を取得する。レーザ発光素子211は、反射面220の揺動に同期して発行するためレーザ発光素子211の発光開始からの時間t2を取得することで、使用者の指Fgの第2出光位置102に対する第1方向の位置x2を確認できる。
【0105】
同様に演算部422は第2検査光生成部22の信号処理部223からの変位信号に基づいて、反射面220の第2方向の揺動角度L2(図6の拡大部分を参照)を取得する。第2方向の揺動角度L2から、使用者の指Fgの第2出光位置102に対する第2方向の位置y2を確認できる。このことから、第2出光位置102から見た検査領域Sa内での使用者の指Fgの座標(x2、y2)を取得する(図8B参照)。
【0106】
第2出光位置102からの検査光で検出領域Saに使用者の指Fgが検出されなかった場合(ステップS113でNoの場合)、光学位置検出部Aで検出領域Sa内の使用者の指Fgの検出が終了されているか否か確認する(ステップS117)。ステップS117以降は、同じ動作であるため省略する。
【0107】
演算部422は記憶部43に記憶している第1出光位置101から見た使用者の指Fgの座標及び第2出光位置102から見た使用者の指Fgの座標から第1出射位置101から及び第2出光位置から出射された検査光の光路を特定する(ステップS114)。検査光の特定の方法としては、例えば、次の方法を挙げることができる。演算部422は検出された使用者の指Fgの第1出光位置101に対する座標情報と第2出光位置102に対する座標情報に基づいて検査光の光路を特定する。
【0108】
位置検出装置Aでは、第1出光位置101及び第2出光位置102からの検査光で検出領域Saを第1方向及び第2方向に走査しているため、第1出光位置101及び第2出光位置102に対する使用者の指Fgの座標から検査光の光路を特定することができる。図9Aに示すように、演算部422は、検査光の光路を関連付けた光路テーブルを参照して、第1出光位置101から使用者の指Fgに照射された検査光の光路B11及び第2出光位置102から使用者の指Fgに照射された検査光の光路B22の情報を取得する。
【0109】
図9Bに示すように、光路の交点に基づいて使用者の指Fgの3次元座標を取得する。なお、光路が交差しない場合、最近点同士の中間点とする等の近似演算を行う。また、制御テーブル及び受光信号と関連付けられた同期信号とから、反射面120及び反射面220の角度を取得し、反射面120及び反射面220の角度から検査光の光路を特定するようにしてもよい。
【0110】
そして、第1出光位置101からの検査光の光路と第2出光位置102からの検査光の光路とから検査領域Sa内での使用者の指Fgの3次元座標を演算によって算出する(ステップS115)。演算部422は演算により算出した使用者の指Fgの3次元座標を外部出力部45に引き渡し、外部出力部45は外部機器に使用者の指Fgの3次元座標を送信する(ステップS116)。3次元座標の送信を行った後、検出領域Saの検出を継続するか否か確認する(ステップS117)。ステップS117以降は、同じ動作であるため省略する。
【0111】
以上のように、本発明にかかる位置検出装置Aでは、異なる位置に話して配置されている第1出光位置101と第2出光位置102の両方から検出領域Saに出射された検査光の検査対象体で反射及び(又は)散乱された光を受光部300で検知する。そして、受光部300で検知した反射光及び(又は)散乱光に基づいて、第1出光位置101から出射された検査光の光路と第2出光位置102から出射された検査光の光路を特定し、検出対象体の3次元座標を演算にて算出する。このような構成を有しているため、受光部300は、第1出光部101から出射された検査光及び第2出光部102から出射された検査光が検査対象体で反射及び(又は)散乱された光を受光できればよく、受光部300の位置の自由度が高くなる。これにより、位置検出装置Aの検出精度を高めることが可能である。
【0112】
また、受光部300は、反射光又は散乱光を検出することができればよく、簡単な構成とすることができる。
【0113】
また、本発明において、検出対象体として使用者の指Fgを挙げているが、これに限定されるものではなく、検査光を反射することができる表面を有するものを広く挙げることができる。検出対象体については、以下の実施形態でも同様である。
【0114】
<第2実施形態>
検出対象体である使用者の指Fgが移動する場合もある。このような場合について、図面を参照して説明する。図10は検出対象体が移動しているときの座標を示す図である。図10は横軸にフレームを示しており、上段は第1出光位置101に対する検出対象体の検出座標であり、下段は第2出光位置102に対する検出対象体の検出座標である。また、位置検出装置Aは、第1出光位置101からの検査光での検査領域Saの全体走査と、第2出光位置102からの検査光での検査領域Saの全体走査を交互に行う。
【0115】
図10に示すように、フレームF1、F3、F5では、演算部422は、第1出光位置101からの検査光で2次元走査を行ったときの第1出光位置101に対する使用者の指Fgの位置の実測座標Pf1、Pf3、Pf5を取得する。また、フレームF2、F4では、演算部422は、第2出光位置102からの検査光で2次元走査を行ったときの第2出光位置102に対する使用者の指Fgの位置の実測座標Pf2、Pf4を取得する。
【0116】
また、演算部422はフレームF1の実測座標Pf1とフレームF3の実測座標Pf3とから推測したフレームF2の推測座標Pv2を演算にて取得する。なお、推測座標Pv2の演算は実測座標Pf1と実測座標Pf3との中間点としている。同様に、フレームF3の実測座標Pf3とフレームF5の実測座標Pf5とから推測した推測座標Pv4を演算にて取得する。さらに、演算部422は、フレームF2の実測座標Pf2とフレームF4の実測座標Pf4とから推測したフレームF3の推定座標Pv3を演算にて取得する。
【0117】
そして、演算部422は、実測座標と推定座標とで各フレームにおける使用者の指Fgの3次元座標を算出する。例えば、フレームF2における使用者の指Fgの第1出光位置101に対する推定座標Pv2と第2出光位置102に対す実測座標Pf2とからフレームF2における使用者の指Fgの3次元座標を取得する。このように、実測座標と推定座標とを用いることで、使用者の指Fgが移動するときの3次元座標を正確に取得することが可能である。
【0118】
<第3実施形態>
本発明にかかる位置検出装置の他の例について図面を参照して説明する。図11は本発明にかかる位置検出装置の他の例の動作を示すタイミングチャートである。本実施形態にかかる位置検出装置Aは、走査光源部100による走査光源制御部400の制御が異なる以外、第1実施形態の位置検出装置Aと同じである。すなわち、基本構成は位置検出装置Aと同じ構成であるため、同じ符号で説明するとともに、詳細な説明者省略する。
【0119】
図11に示すように、第1光学系10の第1検査光生成部12の反射面120(MEMS121)の第2方向の揺動の速度は上から下に揺動する期間(走査期間)に比べて下から上に揺動する期間(帰線期間)が速い。また、同様に、第2光学系20の第2検査光生成部22の反射面220(MEMS221)の第2方向の揺動の速度は上から下に揺動する期間(走査期間)に比べて下から上に揺動する期間(帰線期間)が速い。
【0120】
そして、第1検査光生成部12の反射面120(MEMS121)と第2検査光生成部22の反射面220(MEMS220)との第2方向の揺動の切り替わりのタイミングがずれている。例えば、走査光源制御部41は、第1検査光生成部12の反射面120(MEMS121)が走査期間の中間部分で、第2検査光生成部22の反射面220(MEMS221)が帰線期間となるように第1光学系10及び第2光学系20を駆動している。
【0121】
そして、図11に示すように、走査光源制御部41は第1出光位置101からの検査光による検出領域Saの走査と第2出光位置10からの検査光による検出領域Saの走査とを1ラインごとに切り替えるように第1光学系10及び第2光学系20を制御している。
【0122】
図11に示すように、走査光源制御部41は第1検査光生成部12の反射面120(MEMS121)が走査期間の略中央で第2検査光生成部22の反射面220(MEMS221)が帰線期間になるように第1光学系10及び第2光学系20を制御している。このとき、反射面12(MEMS121)は検査光で検査領域Saの第2方向の中央の領域を走査するときに検査光で往復走査している。検査光で第1方向に往復走査することで、走査の分解能を高めることができる。
【0123】
図11に示すように、走査光源制御部41は第2検査光生成部22の反射面220(MEMS221)が走査期間の略中央で第1検査光生成部12の反射面120(MEMS121)が帰線期間になるように第2光学系20及び第1光学系10を制御している。このとき、反射面22(MEMS221)は検査光で検査領域Saの第2方向の中央の領域を走査するときに検査光で往復走査している。検査光で第1方向に往復走査することで、走査の分解能を高めることができる。
【0124】
走査光源制御部41が第1光学系10及び第2光学系20を図11に示すように制御することで、検査領域Saの第2方向の中央領域を検査光で往復走査するため、検査領域Saの第2方向の中央領域での検出の分解能を高め、検出精度を上げることができる。
【0125】
なお、本実施形態の位置検出装置Aでは、第1検出光生成部12の反射面120(MEMS121)と第2検出光生成部22の反射面220(MEMS221)とはずれているが同じ周波数を有している。しかしながら、同じ周波数でなくてもよい。
【0126】
<第4実施形態>
本発明にかかる位置検出装置のその他の例について図面を参照して説明する。図12は本発明にかかる位置検出装置の一例の概略構成図である。図12に示す位置検出装置A1は、走査光源部100aと、受光部300とを備えている。光源位置検出装置A1は、第1出光位置101及び第2出光位置102の相対位置が異なる以外は、光源位置検出装置Aと同じ構成を有しており、実質上同じ部分は同じ符号を付すとともに詳細な説明は省略する。また、図示は省略しているが処理部400と同様の処理部を備えている。
【0127】
上述のとおり、検査光の第1方向の走査周波数は第2方向の走査周波数よりも高い。そのため、2次元走査において、第1方向(H方向)が主走査方向となり、第2方向(V方向)が副走査方向である。そして、位置検出装置Aは、第1出光位置101と第2出光位置102は検査光の走査方向のうち第1方向(H方向)に離れて配置した構成を有している。そのため、位置検出装置Aは第1出光位置101と第2出光位置102とが主走査方向に並んで配置されている。
【0128】
位置検出装置A1では、第1出光位置101と第2出光位置102を第2方向(V方向)である副走査方向に並んで配置している。このように配置することで、位置検出装置A1の第1出光位置101と第2出光位置102の配置の自由度を上げることができる。
【0129】
なお、位置検出装置A1では、対比を容易にするため、主走査方向と副走査方向とを位置検出装置Aと同じ主走査方向を第1方向(水平方向)、副走査方向を第2方向(鉛直方向)としているがこれに限定されない。第1方向(水平方向)を副走査方向、第2方向(鉛直方向)を主走査方向とすることで、第1出光位置101、第2出光位置102を第1方向(水平方向)に配列した位置検出装置A1同じ構成とすることも可能である。
【0130】
<第5実施形態>
本発明にかかる位置検出装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図13は本発明にかかる位置検出装置の一例の概略構成図であり、図14Aは第1出光位置からの検査光の2次元走査を示す図であり、図14Bは第2出光位置からの検査光の2次元走査を示す図である。図13に示す位置検出装置A2は、走査光源部100bと、受光部300とを備えている。光源位置検出装置A1は、第1出光位置101及び第2出光位置102の相対位置が異なる以外は、光源位置検出装置Aと同じ構成を有しており、実質上同じ部分は同じ符号を付すとともに詳細な説明は省略する。また、図示は省略しているが処理部400と同様の処理部を備えている。
【0131】
位置検出装置Aや位置検出装置A1では、検査光で検出領域Saを2次元走査する走査方向(主走査方向、副走査方向)に並べて配置されているものとしている。図13に示す位置検出装置A2は、検出領域Saから見て、第1出光位置101と第2出光位置102とが第1方向及び第2方向の両方にずれて配置されている。
【0132】
図14Aは第1出光位置101からの検査光で検出領域Saを2次元走査している状態を示しており、第1方向(水平方向)を周波数が高い主走査方向であり、第2方向(鉛直方向)を周波数が低い副走査方向としている。
【0133】
図14Bは第2出光位置102からの検査光で検出領域Saを2次元走査している状態を示しており、第1方向(水平方向)を周波数が低い副走査方向であり、第2方向(鉛直方向)を周波数が高い主走査方向としている。
【0134】
このように、第1出光位置101からの検査光の走査方向と第2出光位置102からの検査光の走査方向とが異なるような構成とすることもできる。
【0135】
なお、主走査方向と副走査方向とが直交しないような構成の場合、第1出光位置101からの検査光による走査領域と第2出光位置102からの検査光による操作領域が検出領域Saで重なるような構成である。
【0136】
<第6実施形態>
本発明にかかる位置検出装置の他の例について図面を参照して説明する。図15は本発明にかかる位置検出装置の他の例の概略配置図であり、図16図15に示す位置検出装置の動作を示すタイミングチャートである。
【0137】
図15に示すように位置検出装置Bは走査光源部500と、受光部300とを備えている。また、図示は省略しているが処理部400と同様の処理部を備えている。走査光源部500は、光学位置検出部Aと同じ構成の第1光源部11及び第2光源部21と、反射面510を含む検査光生成部51とを備えている。走査光源部500の第1出光位置101及び第2出光位置102には、検査光生成部51で生成された検査光を検出領域Saに向けて反射する第1反射部61及び第2反射部62が設けられている。また、図16に示すタイミングチャートは最上段に検査光生成部の反射面の第2方向の揺動角度を示しており、その下に、第1光源部及び第2光源部の発光のタイミングを示している。
【0138】
図15に示すように、位置検出装置Bは検査光生成部51に向けて第1光源部11及び第2光源部21から光を出射する。図16に示すように、第1光源部11は検査光生成部51の反射面510が第2方向の中間位置から上側に向けて揺動しているときに光を照射する。そして、第1光源部11から出射された光は、第1方向及び第2方向に走査された検査光として第1反射部61に入射し反射される。第1反射部61で反射された検査光は、検出領域Saに照射され検出領域Saを走査する。
【0139】
同様に、図16に示すように、第2光源部21は検査光生成部51の反射面510が第2方向の中間位置から下側に向けて揺動しているときに光を照射する。そして、第2光源部21から出射された光は、第1方向及び第2方向に走査された検査光として第2反射部62に入射し反射される。第2反射部62で反射された検査光は、検出領域Saに照射され検出領域Saを走査する。
【0140】
すなわち、光学位置検出部Bでは、第1出光位置101に第1反射部61が設けられ第1反射部61で反射された光が第1出光位置101から検査光として出射される。また、第2出光位置102に第2反射部62が設けられ第2反射部62で反射された光が第2出光位置102から検査光として出射される。
【0141】
以上のように、光学位置検出部Bでは、走査光源制御部41が走査光源部500を上述のように制御することで、1個の検査光生成部51で2個の出光位置から検査光を出射することが可能である。これにより、検査光生成部51の個数を減らすことができるため、光学位置検出部Bの構造を簡略化することができる。
【0142】
検査光生成部51の反射面510の第2方向の揺動角度によって第1光源部11からの光を第1反射部61に入射させる及び第2光源部21からの光を第2反射部62に入射させる構成となっている。このため、第1反射部61が配置される第1出光位置101と第2反射部62が配置される第2出光位置102とは、少なくとも第2方向に離れた構成となっている。なお、第1光源部11及び第2光源部21の角度によっては、第1出光位置101と第2出光位置102とが第1方向及び第2方向の両方にずれた位置とすることも可能である。
【0143】
なお、本実施形態では、検査光生成部51の反射面510の第2方向の揺動角度を2分割することで、2箇所の出光位置から検査光を出射する構成としているが、これに限定される者ではなく、揺動角度を3個以上に分割して3箇所以上の出光位置から検査光を出射する構成としてもよい。
【0144】
なお、本実施形態では、第1出光位置101に第1反射部61、第2出光位置102に第2反射部62が配置されており、複数個の出光位置ごとに反射部を配置しているが、これに限定されない。反射部を配置している出光位置と配置していない出光位置を備えておき、反射部で反射された検査光が出射される出光位置と光学系からの検査光をそのまま出射する出射位置を備えていてもよい。
【0145】
また、出光位置ごとに反射部を設けておくとともに、反射部を移動(例えば、摺動可能或いは角度変更可能)としておき、任意の出光位置では光学系からの検査光が直接出射するように形成されていてもよい。また、反射部を移動させて、検査光の照射角度を調整し、検出領域を変更できるようになっていてもよい。
【0146】
<第7実施形態>
本発明にかかる位置検出装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図17は本発明にかかる位置検出装置のさらに他の例の概略配置図であり、図18図17に示す位置検出装置の動作を示すタイミングチャートである。図17に示すように、位置検出装置Cは、走査光源部600と、受光部300とを備えている。また、図示は省略しているが処理部400と同様の処理部を備えている。走査光源部600の第1出光位置101には第1反射部61が、第2出光位置102には第2反射部62が設けられている。また、走査光源部600は、光源部601と、光源部601に含まれる偏光部602と、検査光生成部603と、偏光ビームスプリッタ604(光路切替部)とを備えている。光源部601は、偏光部602を備えている以外、位置検出装置Aの第1光源部11と同じ構成を有しており、同じ部分には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。また、検査光生成部603は第1検査光生成部12と同じ構成を有しているため、詳細な説明は省略する。
【0147】
光源部601は直線偏光の赤外光を出射している。なお、光源部601から出射される赤外光はP偏光の光とする。光源部601から出射されたレーザ光は、偏光部602に入射する。偏光部602は透過する光の偏光方向を変換する素子である。偏光部602としては、ここでは偏光フィルタ6021と液晶素子6022を組み合わせたものを用いたものとしているが、これに限定されず、偏光方向を変えることができるものを広く採用することができる。
【0148】
偏光部602を透過した赤外光は、検査光生成部603に入射する。検査光生成部603は、第1方向と第2方向に揺動する反射面630を備えており、反射面630で入射した赤外光を第1方向及び第2方向に走査した検査光を生成する。検査光生成部603で生成された検査光は、偏光ビームスプリッタ604に入射する。偏光ビームスプリッタ604は、P偏光を透過し、S偏光を反射する反射面を有している。偏光ビームスプリッタ604に入射した検査光がP偏光の場合、偏光ビームスプリッタ604を透過し、第1反射部61に入射し、第1反射部61で反射された検査光は検査領域Saを走査する。また、偏光ビームスプリッタ604に入射した検査光がS偏光の場合、偏光ビームスプリッタ604の反射面で反射されて第2反射部62に入射し、第2反射部62で反射された検査光は検査領域Saを走査する。
【0149】
位置検出装置Cでは、処理部400が透過する光の偏光をP偏光又はS偏光に切り替えるように偏光部602を制御している。そして、偏光部602を透過する光を反射面630の第2方向の帰線期間から走査期間に切り替わるタイミングでP偏光に切り替えることで、第1反射部61が設けられた第1出光位置101からの検査光で検出領域Saの走査を行う。また、同様に、偏光部602を透過する光を反射面630の第2方向の帰線期間から走査期間に切り替わるタイミングでS偏光に切り替えることで、第2反射部62が設けられた第2出光位置102からの検査光で検出領域Saの走査を行う。
【0150】
以上のような、位置検出装置Cでは、1個の光源部601と1個の検査光生成部603を含む構成であり、構成を簡略化することができ、位置検出装置Cを小型化することが可能である。
【0151】
<第8実施形態>
本発明にかかる位置検出装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図19は本発明にかかる位置検出装置のさらに他の例の概略配置図であり、図20図19に示す位置検出装置の動作を示すタイミングチャートである。
【0152】
図19に示す位置検出装置Dは、走査光源部700が異なる以外、位置検出装置Bと同じ構成を有している。そのため、位置検出装置Dにおいて、位置検出装置Bと実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0153】
図19に示すように、位置検出装置Dは、走査光源部700と、受光部300とを備えている。また、図示は省略しているが処理部400と同様の処理部を備えている。走査光源部700の第1出光位置101には第1反射部61が、第2出光位置102には第2反射部62が設けられている。また、走査光源部700は、光源部71と、検査光生成部72と、光路変更ミラー73(光路切替部)とを備えている。光源部71及び検査光生成部72は位置検出装置Aの第1光源部11及び第1検査光生成部12と同じ構成を有しており、詳細な説明は省略する。
【0154】
図19に示すように光路変更ミラー73は、第1ミラー部731と第2ミラー部732とを有している。第1ミラー部731及び第2ミラー部732は、第1方向に並んで配置されている。そして、検査光生成部72で生成される検査光は、第1方向にそうされることで、第1ミラー部731又は第2ミラー部732に入射する。
【0155】
検査光生成部72の反射面720が揺動し、検査光が第1ミラー部731に入射すると第1ミラー部731で反射されて(光路が変更されて)第1反射部61に入射する。検査光は第1反射部61で反射され第1出光位置101から出射されて検出領域Saを2次元走査する。
【0156】
また、検査光生成部72の反射面720が揺動し、検査光が第2ミラー部732に入射すると第2ミラー部732で反射されて(光路が変更されて)第2反射部62に入射する。検査光は第2反射部62で反射され第2出光位置102から出射されて検出領域Saを2次元走査する。
【0157】
本発明にかかる位置検出装置の動作について図面を参照して説明する。図21は検査光生成部の反射面の揺動状態と検査光の光路変更ミラーへの光の照射状態を示す図であり、図22は位置検出装置の光路を示す平面図であり、図23は検査光が検査領域を走査している状態を示す概略図である。
【0158】
図21図5Aと同様、上部に第1方向の揺動角度の時間変化を示し、左部に第2方向の揺動角度の時間変化を示している。また、長方形は検査光生成部72側から見た光路変更ミラー73を示しており、中央の境界から左側が第1ミラー部731、右側が第2ミラー部732である。
【0159】
図22に示すように、検査光生成部72は揺動する光源部71からの光を第1方向及び第2方向に走査して光路変更ミラー73に入射する。光路変更ミラー73は、第1方向の中央で第1ミラー部731及び第2ミラー部732に分割されており、図22において、反射面720が反時計回りに揺動すると、検査光は第1ミラー部731を走査する。
【0160】
図21に示すように、検査光が光路変更ミラー73を左から中央部に揺動するとき、検査光は、左端のk0から中央部分のk1までの間、第1反射部61に向けて反射される。なお、反射により左右が逆転するため、検出領域Saは、第1出光位置101からの検査光で右から左に走査される。
【0161】
そして、反射面720が中央部から右端に揺動するとき、検査光は、中央部のk2から右端のk3までの間、第2反射部62に向けて反射される。なお、反射により左右が逆転するため、検出領域Saは、第2出光位置102からの検査光で左から右に走査される。すなわち、光路変更ミラー73の第1ミラー部731と第2ミラー部732とが主走査方向である第1方向に配置されることで、第1出光位置101からの検査光と第2出光位置102からの検査光とで往復1ラインずつ検査領域Saの走査を行うようになる。
【0162】
図23に示すように、走査制御部412は検査光が光路変更ミラー73の第1方向及び第2方向の光照射範囲を超えるように検査光生成部72の反射面を揺動している。そして、光源制御部411は検査光が光路変更ミラー73の範囲から外れるときには光の出射を停止するように光源部71を制御している。
【0163】
走査光源制御部41は、検査光を光路変更ミラー73内に収まるように光源部71及び検査光生成部72の制御を行うだけでよく、制御が簡単になる。また、光源部71及び検査光生成部72を1つずつ備える構成であるため、構成を簡略化でき、小型化することも可能である。
【0164】
なお、本実施形態では光路変更ミラー73が第1ミラー部731と第2ミラー部732の2個のミラーを備えた構成を例に説明しているが、これに限定されるものではない。3個以上のミラー部を走査方向に並べて配置した光路変更ミラーを利用することで、3個以上の出光位置から検査光を出射することが可能である。
【0165】
また、本実施形態では、光路変更ミラー73が第1ミラー部731と第2ミラー部732の2個のミラーとを主走査方向である第1方向に並べた構成としているが、これに限定されるものではなく、副走査方向の第2方向に並べた構成であってもよい。副走査方向に複数個のミラー部を並べる構成の場合、1つのミラー部で反射された検査光による検査領域Saの走査を2回完了するごとに、ミラー部が切り替わる。例えば、第1出光位置101からの検査光で検出領域Saの全体を2回走査した後、第2出射位置102からの検査光で検出領域Saの全体の2回走査が行われる。そして、このような走査が繰り返される。
【0166】
なお、使用者の指Fgの第1出光位置101に対する座標及び第2出光位置102に対する座標は、第1実施形態に示す方法と同様の方法を利用して決定される。なお、光路変更ミラー73の中央で光路が変更される構成であるため、光源部71の出射開始からの時間と座標の関係は、第1実施形態とは異なる。
【0167】
<第9実施形態>
本発明にかかる位置検出装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図24は本発明にかかる位置検出装置のさらに他の例の動作を示すタイミングチャートである。本実施形態にかかる位置検出装置Dの構成は第8実施形態と同じ構成であるため、構成についての説明は省略する。
【0168】
位置検出装置Dでは、検査光生成部72で生成された検査光の光路変更ミラー73に照射されるスポットは、中央の境界部分で第1ミラー部731と第2ミラー部732の両方に照射される期間がある。そのため、図24に示すように、光源制御部411は検査光のスポットが第1ミラー部731と第2ミラー部732の境界を越えるときに光源部71からの赤外光の出光を停止する。このようにすることで、第1出光位置101及び第2出光位置102から同時に検査光が出射されるのを抑制し、検出の精度を高めることができる。
【0169】
<第10実施形態>
本発明にかかる位置検出装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図25は本発明にかかる位置検出装置に用いられる光路変更ミラーの平面図である。本実施形態にかかる位置検出装置Dの構成は光路変更ミラー73の形状が異なる以外、第8実施形態と同じ構成であるため、構成についての説明は省略する。
【0170】
本発明にかかる位置検出装置Dでは、検査光生成部72の反射面720を揺動するためにMEMSを用いている。MEMSは上述しているように、アクチュエータの力と弾性支持部の弾性力によって揺動する。弾性力による揺動は、ねじれ角によって発生する力が変化し、これにより揺動の速度も変化する。これにより、検査光のスポットの移動速度にむらができてしまい、検出領域Sa内で対象物の検出精度が低下する。そこで、図25に示すように、第1ミラー部731及び第2ミラー部732を凸面形状として、一定時間ごとの反射光の光路が等間隔に並ぶようにしている。
【0171】
このような構成とすることで、第1出光位置101及び第2出光位置102から出射される検査光の主走査方向の移動を等速又は略等速とすることができ、検出対象体を精度よく検出することが可能である。なお、第1ミラー部731及び第2ミラー部732として凸面形状のものとしているが、これに限定されるものではない。
【0172】
<第11実施形態>
本発明にかかる位置検出装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図26は本発明にかかる位置検出装置のさらに他の例の概略配置図であり、図27図26に示す位置検出装置の接続状態を示すブロック図である。図28図26に示す位置検出装置の受光部に備えられているフィルタの透過波長を示す図である。なお、図26に示す位置検出装置A3は走査光源部100e及び受光部300aが異なる以外は、位置検出装置Aと同じ構成を有している。そのため、位置検出装置A3において、位置検出装置Aと実質的に同じ部分は同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0173】
走査光源部100eは第1光学系10eと第2光学系20eとを備えている。第1光学系10eは、波長R1の赤外光を出射するレーザ発光素子111eを含む第1光源部11eと、第1検査光生成部12とを備えている。なお 、第1光源部11eは波長R1の赤外光に最適化されているが、基本構成は、第1光源部11と同じであり同じ部分には同じ符号を付し、詳細は省略する。
【0174】
一方、第2光学系20eは、波長R1と異なる(ここでは、長い)波長R2の赤外光を出射するレーザ発光素子211eを含む第2光源部21eと、第2検査光生成部22とを備えている。なお 、第2光源部21eは波長R2の赤外光に最適化されているが、基本構成は、第2光源部21と同じであり同じ部分には同じ符号を付し、詳細は省略する。
【0175】
すなわち、位置検出装置A3において、走査光源部100eは、第1出光位置101から波長R1の検査光を出射し、第2出光位置102から波長R2の赤外光を出射する。
【0176】
そして、受光部300aは、第1受光素子31a、第2受光素子31bが並べて配置されている。第1受光素子31aの受光面に隣接してレンズ33a、第2受光素子31bに隣接してレンズ33bが設けてられている。さらに、第1レンズ33aの第1受光素子31aと反対側に近接して、波長R1の赤外光を透過し、波長R2の赤外光を遮断する第1フィルタ32aが設けられている。また、第2レンズ33bの第2受光素子31bと反対側に近接して、波長R2の赤外光を透過し、波長R1の赤外光を遮断する第2フィルタ32bが設けられている。
【0177】
図28は縦軸が透過率、横軸が波長である。波長R1<波長R2の条件であるとすると、第1フィルタ32aは、図28に示すように、波長R3(R1<R3<R2)以上の波長をカットするローパスフィルタとすることができる。また、第2フィルタ32bは波長R3以下の波長をカットするハイパスフィルタとすることができる。これに限定されるものではなく、それぞれの受光波長を透過するバンドパスフィルタを備えていてもよい。
【0178】
そして、図27に示すように、第1受光素子31aと第2受光素子31bとは、それぞれ、個別に受信部421に対して受光信号を送信する。受信部421は第1受光素子31aからの受光信号及び第2受光素子31bからの受光信号のそれぞれを同期信号と関連付けて演算部422に送る。
【0179】
第1光源部11e及び第2光源部21eが異なる波長の光を出射し、それぞれの波長の光を第1受光素子31a及び第2受光素子31bで選択的に受光するので、光が第1出光位置101又は第2出光位置102のいずれから出射されたものか判断が容易である。
【0180】
また、異なる波長の光を照射するため検出領域Saに第1光源部11e及び第2光源部21eから出射された光が同時に照射されてもいずれの光源(出光位置)から出射された光か判断することができる。そのため、位置検出装置A3では、第1出光位置101からの検査光と第2出光位置102からの検査光との出射のタイミングを同期させなくてもよい。例えば、第1出光位置101からの検査光と第2出光位置102からの検査光を検出領域Saに同時照射してもよい。
【0181】
本実施形態では、検査光を識別するため、波長の異なる検査光を照射するものとしているが、これに限定されない。例えば、偏光方向が異なる光を検出領域に入射させるような走査光源部と、バンドパスフィルタに替えて或いはバンドパスフィルタに加えて偏光方向に応じて透過或いは遮断する偏光フィルタを備えるような構成であってもよい。
【0182】
<第12実施形態>
図29は本発明にかかる位置検出装置の一例の概略構成図であり、図30図29に示す位置検出装置の電気的な接続を示すブロック図である。図29図30に示す位置検出装置A4は、走査光源部100fと、受光部300と、受光部310とを備えている。また、図示は省略しているが処理部400と同様の処理部を備えている。光源位置検出装置A4は、出光位置が3個備えられているとともに、受光部310が2個備えられている以外、位置検出装置Aと実質上、同じ構成を有しており、実質上同じ部分は同じ符号を付すとともに詳細な説明は省略する。
【0183】
図29及び図30に示す位置検出装置A4の走査光源部100fは、第1出光位置101、第2出光位置102及び第3出光位置103を備えている。第1出光部101、第2出光位置102及び第3出光位置103には、それぞれ、第1光学系10、第2光学系20及び第3光学系30が設けられている。なお、第1光学系10、第2光学系20及び第3光学系30は実質的に同じ構成を有しているため、詳細は省略する。
【0184】
位置検出装置Aでは、第1出光位置101及び第2出光位置102からの検査光で検出領域Saの2次元走査を行っており、第1出光位置101及び第2出光位置102の位置を基準として検出対象体の3次元座標を演算にて算出している。検出対象体の移動や変形によって、2個の出光位置では、検出対象体の3次元座標を取得できない場合がある。そのため、第1出光位置101及び第2出光位置102からの検査光では照射が困難な位置に検査光を照射するように第3出光位置103を配置する。そして、受光部300に加えて受光部310を配置する。受光部310は、受光部300と同じ構成を有しており、受光部300では受光できない反射光及び(又は)散乱光を受光できる位置に配置されている。
【0185】
受光部300及び受光部310はいずれも受信部421に接続されており、受光部300及び受光部310からの受光信号は受信部421で受信される。走査光源制御部400は、第1出光部101、第2出光部102及び第3出光部103から出射される検査光での検出領域Saの走査を時系列で行うように、第1光学系10、第2光学系20及び第3光学系30を制御している。そのため、演算部422は同期信号と受光信号とから第1光学系10、第2光学系20及び第3光学系30のいずれから検査光が出射されたかを確認できる。
【0186】
また、3個の出光位置を備えることで、検出領域Sa内の検出対象体の形状を取得することも可能である。
【0187】
なお、本実施形態の光学位置検出部A4では、3個の出光位置と2個の受光部を備えた構成としているが、これに限定されるものではなく、出光位置が3個以上あってもよい。また、受光部も1個でもよいし、2個以上であってもよい。
【0188】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。また、上記各実施形態は適宜組み合わせて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0189】
A 位置検出装置
100 走査光源部
10 第1光学系
11 第1光源部
111 レーザ発光素子(LD)
112 ドライバ
12 第1検査光生成部
120 反射面
1200 鏡体
121 MEMS
1211 第1弾性変形部
1212 揺動支持部
1213 第2弾性変形部
1214 枠体
1215 第1アクチュエータ
1216 第2アクチュエータ
122 ドライバ
123 信号処理部
13 第1レンズ
14 第1ビームスプリッタ
15 第1モニタ用受光素子
20 第2光学系
21 第2光源部
211 レーザ発光素子(LD)
212 ドライバ
22 第2検査光生成部
220 反射面
221 MEMS
222 ドライバ
223 信号処理部
23 第2レンズ
24 第2ビームスプリッタ
25 第2モニタ用受光素子
300 受光部
31 受光素子
32 フィルタ
33 レンズ
400 処理部
41 走査光源制御部
411 光源制御部
412 走査制御部
42 演算処理部
421 受信部
422 演算部
43 記憶部
44 同期信号生成部
45 外部出力部
Ip 空間入力装置
Ia 操作入力空間
Iv 空中像
Pt 空中結像プレート
Ht ホスト装置
Op 操作判別装部
Cnt 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30