(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-201298(P2016-201298A)
(43)【公開日】2016年12月1日
(54)【発明の名称】マイクロホンスイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 25/00 20060101AFI20161104BHJP
【FI】
H01H25/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-81610(P2015-81610)
(22)【出願日】2015年4月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】秋野 裕
【テーマコード(参考)】
5G031
【Fターム(参考)】
5G031AS33H
5G031AS33J
5G031CS01H
5G031CS05J
5G031GS11
5G031HU41
5G031KS16
5G031KS24
5G031KS57
(57)【要約】
【課題】節度感を損なうこと無く、振動雑音を低減することのできるマイクロホンスイッチを提供する。
【解決手段】ノブ本体4と、前記ノブ本体の側面及び上面を覆う化粧ノブ2とを具備し、前記化粧ノブを押し込んだ状態からスライドすることによりスイッチオフに切り替えを行うマイクロホンスイッチ1であって、前記ノブ本体の上面側に設けられるとともに前記化粧ノブを前記ノブ本体の上面から引き離す方向に付勢する弾性部材3を有し、前記化粧ノブを押し込み、前記弾性部材を圧縮させることにより接点が閉じる第1のスイッチ1Aと、前記化粧ノブを押し込んだ状態で該ノブ本体をスライドさせることにより接点が閉じる第2のスイッチ1Bとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノブ本体と、前記ノブ本体の側面及び上面を覆う化粧ノブとを具備し、前記化粧ノブを押し込んだ状態からスライドすることによりスイッチオフに切り替えを行うマイクロホンスイッチであって、
前記ノブ本体の上面側に設けられるとともに前記化粧ノブを前記ノブ本体の上面から引き離す方向に付勢する弾性部材を有し、前記化粧ノブを押し込み、前記弾性部材を圧縮させることにより接点が閉じる第1のスイッチと、
前記化粧ノブを押し込んだ状態で該ノブ本体をスライドさせることにより接点が閉じる第2のスイッチとを備えることを特徴とするマイクロホンスイッチ。
【請求項2】
前記第1のスイッチが有する接点は、導電布を含むことを特徴とする請求項1に記載されたマイクロホンスイッチ。
【請求項3】
前記第1のスイッチが有する接点は、圧力の印加により抵抗値が低下し導通する抵抗部材を含むことを特徴とする請求項1に記載されたマイクロホンスイッチ。
【請求項4】
前記弾性部材は、スポンジにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたマイクロホンスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロホンスイッチに関し、特にスイッチ操作時における節度感(クリック感)を損なうことなく、振動雑音を防止することのできるマイクロホンスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカラオケ店においては、手持ち用のダイナミックマイクロホンが用いられるが、不使用時には、マイクロホンの機能をオフにするためのスイッチが用いられる(例えば特許文献1参照)。
図8の回路に示すように、スイッチ51を用い、不使用時にダイナミックマイクロホン60の出力を短絡して音声信号が出力されないようにしている。一般に、前記スイッチには、
図7に示すようなスライドスイッチ51が多く用いられている。
【0003】
前記スライドスイッチ51にあっては、ノブ52をスライドすることにより、端子53と端子54との接続、或いは端子54と端子55との接続を切り替えるようになっている。このノブ52のスライド動作にあっては、使用者に確実にスイッチを操作した感覚を与えるために、節度感(クリック感)を持たせた構造になされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−045357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記ノブ52をスライド移動させる際に節度感があると、マイクロホンのケースに振動が生じ、スイッチオフの際に振動雑音を発生させるという課題があった。
反対に、前記ノブ52をスライドする際の節度感を弱くして振動雑音を低減すると、使用者自身がスイッチの操作を確実に行えたか否かを確信できないという課題があった。
【0006】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、スイッチ操作の際に節度感を損なうこと無く、振動雑音を低減することのできるマイクロホンスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために、本発明に係るマイクロホンスイッチは、ノブ本体と、前記ノブ本体の側面及び上面を覆う化粧ノブとを具備し、前記化粧ノブを押し込んだ状態からスライドすることによりスイッチオフに切り替えを行うマイクロホンスイッチであって、前記ノブ本体の上面側に設けられるとともに前記化粧ノブを前記ノブ本体の上面から引き離す方向に付勢する弾性部材を有し、前記化粧ノブを押し込み、前記弾性部材を圧縮させることにより接点が閉じる第1のスイッチと、前記化粧ノブを押し込んだ状態で該ノブ本体をスライドさせることにより接点が閉じる第2のスイッチとを備えることに特徴を有する。
尚、前記第1のスイッチが有する接点は、導電布を含むことが望ましい。或いは、前記第1のスイッチが有する接点は、圧力の印加により抵抗値が低下し導通する抵抗部材を含むようにしてもよい。
また、前記弾性部材は、スポンジにより形成されていることが望ましい。
【0008】
このように本発明によれば、プッシュスイッチ(第1のスイッチ)の操作、即ち化粧ノブを押し込んで音声出力を短絡させた状態でスライドスイッチ(第2のスイッチ)を操作する構造であるため、節度感を得ることができ、操作感を失うこと無く振動雑音の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マイクロホンスイッチにおいて、スイッチオフの際に節度感を損なうこと無く、振動雑音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明に係るマイクロホンスイッチの断面図である。
【
図2】
図2は、
図1のマイクロホンスイッチの状態を示す等価回路である。
【
図3】
図3は、
図1のマイクロホンスイッチの異なる状態(ノブを押した状態)を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図3のマイクロホンスイッチの状態を示す等価回路である。
【
図5】
図5は、
図1のマイクロホンスイッチの異なる状態(ノブをスライドした状態)を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図5のマイクロホンスイッチの異なる状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、従来のスライドスイッチの側面図である。
【
図8】
図8は、従来のスライドスイッチの等価回路である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係るマイクロホンスイッチの断面図である。
図2は、
図1のマイクロホンスイッチの状態を示す等価回路である。
図3は、
図1のマイクロホンスイッチの異なる状態(ノブを押した状態)を示す断面図である。
図4は、
図3のマイクロホンスイッチの状態を示す等価回路である。
図5は、
図1のマイクロホンスイッチの異なる状態(ノブをスライドした状態)を示す断面図である。また、
図6は、
図5のマイクロホンスイッチの異なる状態を示す断面図である。
【0012】
図1、
図3、
図5に示すように、本発明に係るマイクロホンスイッチ1は、マイクボディ10の側面に設けられたスリット状のスイッチ用孔10aに沿ってスライド自在に設けられる。
具体的には、前記スイッチ用孔10aの裏側からプラスチック素材等からなる硬質の化粧ノブ2が挿入され、表側に突出するように配置される。また、この化粧ノブ2の下端から周囲に拡がるように板状のスライダ5が形成されている。化粧ノブ2を押し込むと、前記スライダ5も下方に沈んでマイクボディ10裏面との間に隙間が生じ、マイクロホンスイッチ1は、マイクボディ10の裏面に沿ってスイッチ用孔10aの長手方向にスライドできるようになっている。
【0013】
また、化粧ノブ2の内部は空洞に形成され、その中にプラスチック素材等からなる硬質のノブ本体4が配置されている(ノブ本体4の側面及び上面を化粧ノブ2が覆っている)。また、ノブ本体4の上面側、即ち化粧ノブ2内部の天井部には、例えばスポンジからなる所定厚さの弾性部材3が設けられている。前記弾性部材3は、化粧ノブ2をノブ本体4から引き離す方向に付勢している。
前記化粧ノブ2は、ノブ本体4に対し上下方向に摺動可能となされているため、化粧ノブ2を下方に指先で押し込むと弾性部材3が圧縮されて、化粧ノブ2及びスライダ5が下方に移動し、指先を化粧ノブ2から離すと、弾性部材3の弾性力によって化粧ノブ2が上方に移動するようになっている。
【0014】
また、前記スイッチ用孔10aの下方には、前記ノブ本体4がスライド可能なスリット(図示せず)が形成された基板6と、基板6の下面側(裏面側)に固定されたスイッチケーシング7とが設けられている。スイッチケーシング7内においては、前記ノブ本体4のスライド動作によって接点の切り替えを行うスライドスイッチ構造となっている。
具体的には、例えば
図1の状態においては、
図2の回路に示すように端子12と端子13とが接続され接点は開き、
図5のようにノブをスライドさせた状態においては、
図6の回路に示すように端子11と端子12とが接続され、接点が閉じるようになっている。
【0015】
また、前記基板6の上面には、板状接点22が設けられている。
一方、前記化粧ノブ2を押し込んだ際にスライド可能となるスライダ5の裏面には導電布21が設けられている。
【0016】
化粧ノブ2を押し込まない状態では、
図1、
図2(
図2において符号30はダイナミックマイクロホン)に示すように導電布21と板状接点22とは非接触の状態である。この状態から、
図3、
図4に示すように化粧ノブ2を押し込むと弾性部材3が圧縮され、スライダ5が下方に沈むことによって導電布21と板状接点22とが接触し、プッシュスイッチの接点が閉じる構成となっている(第1のスイッチ1A)。
また、
図3のように化粧ノブ2を押し込んだ状態から
図5、
図6に示すように化粧ノブ2(ノブ本体4)をスライドさせることにより、スライドスイッチの端子12と端子11とが接続され、接点が閉じる構成となっている(第2のスイッチ1B)。
【0017】
このように構成されたマイクロホンスイッチ1において、例えば
図1、
図2に示すスイッチオフの状態(第1のスイッチ1Aの接点が開き、第2のスイッチ1Bの端子12と端子13が接続される状態)から、
図5、
図6に示すスイッチオンの状態(第1のスイッチ1Aの接点が閉じ、第2のスイッチ1Bの端子11と端子12が接続される状態)までの操作を行う場合、使用者は先ずマイクボディ10を握り、指先で化粧ノブ2を押し込む。これにより弾性部材3が圧縮され、
図3に示すようにスライダ5が下方に沈んで、スライダ5裏面側の導電布21と基板6上の板状接点22とが電気的に接続され、短絡状態となされる。ここで、板状接点22に対し導電布21が接触するにあたり、導電布21が操作時の振動を吸収するため、接点が閉じる際の雑音が抑制される。また、弾性部材3により化粧ノブ2とノブ本体4とが直接当接しないようにして当接音の発生が抑制される。
【0018】
次いで、前記のように化粧ノブ2が押し込まれた状態から、
図5に示すように化粧ノブ2(ノブ本体4)をスライドさせると、スライドスイッチの端子11と端子12とが接続される。尚、このスライドスイッチに操作にあっては、化粧ノブ2を押し込んだ状態でスライド操作するため、節度感を得ることができる。
ここで、操作者が指先を離すと、化粧ノブ2とともにスライダ5は上昇し、導電布21と板状接点22との接続は解除されるが、スライドスイッチの端子11,12が接続されているため、短絡状態が維持される。これにより、スイッチオフ操作の際の振動雑音の発生が防止される。
【0019】
以上のように、本発明に係る実施の形態によれば、プッシュスイッチ(第1のスイッチ1A)の操作、即ち化粧ノブ2を押し込んで音声出力を短絡させた状態でスライドスイッチ(第2のスイッチ1B)を操作し、短絡状態を維持する構造であるため、節度感を得ることができ、操作感を失うこと無く振動雑音の発生を防止することができる。
【0020】
尚、前記実施の形態にあっては、スライダ5の裏側に接点を構成するために導電布22を設けたが、本発明にあっては、その構成に限定されるものではない。
例えば、前記導電布22に替えて、圧力の印加により抵抗値が低下し導通する抵抗部材(例えばカーボン素材)を用いてもよい。その場合、化粧ノブ2を押し込む圧力が大きくなると抵抗値が低下するため、不用意なスイッチオフ動作を防止することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 マイクロホンスイッチ
1A 第1のスイッチ
1B 第2のスイッチ
2 化粧ノブ
3 弾性部材
4 ノブ本体
5 スライダ
6 基板
7 スイッチケーシング
10 マイクボディ
21 導電布
22 板状接点