特開2016-201583(P2016-201583A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-201583(P2016-201583A)
(43)【公開日】2016年12月1日
(54)【発明の名称】マイクロホン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20161104BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20161104BHJP
【FI】
   H04R1/00 320A
   H04R1/02 106
   H04R1/00 328A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-78217(P2015-78217)
(22)【出願日】2015年4月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】秋野 裕
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017BB01
5D017BC19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】動作状態を視認しやすくするために発光するマイクロホンにおいて、使用環境下の照明度合いに応じて任意の発光色を容易に選択できるマイクロホンを提供する。
【解決手段】マイクロホン100は、マイクロホンユニット311の動作状態に応じて発光する発光部材(LED321)を備える回路基板30と、中空管状部材(マイクロホンケース10)の内部に回路基板を固定する固定部材(固定部40)と、光を透過する弾性部材からなり、固定部材を覆うカバー部材(固定部カバー20)と、を有する。固定部材には、孔41が形成されていて、発光部材からの光は孔を通じてカバー部材に至るように構成されていて、孔とカバー部材との間には、調光部材(調光部品)を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロホンユニットの動作状態に応じて発光する発光部材を備える回路基板と、
中空管状部材の内部に前記回路基板を固定する固定部材と、
光を透過する弾性部材からなり、前記固定部材を覆うカバー部材と、を有し、
前記固定部材には、孔が形成されていて、
前記発光部材からの光は前記孔を通じて前記カバー部材に至るように構成されていて、
前記孔と前記カバー部材との間には、調光部材を備える、
ことを特徴とするマイクロホン。
【請求項2】
前記カバー部材は、半透明のシリコンゴムからなる、
請求項1記載のマイクロホン。
【請求項3】
前記調光部材は、前記固定部材の面を覆うリング状の部材である、
請求項1または2記載のマイクロホン。
【請求項4】
前記固定部材は、前記回路基板が固定される皿状部と、前記皿状部における前記回路基板の固定側の反対方向に形成されている管状部と、を有してなり、
前記管状部には可撓性支持体が固定されている、
請求項1乃至3のいずれかに記載のマイクロホン。
【請求項5】
前記調光部材は、半円形の2つの部品を組み合わせたリング状の部材である、
請求項1乃至3のいずれかに記載のマイクロホン。
【請求項6】
前記調光部材は、リング状の部材が半径方向の線に沿って切断されている、
請求項1乃至3のいずれかに記載のマイクロホン。
【請求項7】
前記回路基板は、少なくとも前記発光部材が取り付けられる発光部基板を含み、前記発光部基板は前記発光部材が前記固定部材の孔に対向するように配置されている、
請求項1乃至3のいずれかに記載のマイクロホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロホンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多人数での会議の進行を円滑にするために、会議出席者の発言を収音するマイクロホンの動作を個別に制御する会議装置が知られている。会議装置は、会議出席者がそれぞれ使用できるように設置される複数のマイクロホンと、各マイクロホンの収音オン・オフ等を制御する制御装置と、を有してなる。
【0003】
上に示した会議装置に用いられるマイクロホンは、それぞれのマイクロホンが収音可能状態であるか否かを視認できるように、マイクロホンの動作状態を表示する発光表示機能を備えるものがある(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載されている会議装置のマイクロホンのような発光表示機能には、電球や発光ダイオード(LED)などが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−288999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイクロホンの発光表示は視認しやすいものがよい。発光表示の視認性は、マイクロホンの使用環境によって左右される。会議室の明るさや色調は様々であるから、マイクロホンの使用環境下において最適な発光表示を選択できることが望ましい。発光表示をLEDによって行う場合、このLEDの駆動電流を増やすことで光量を増して明るくすることができる。しかし、LEDの駆動電流を増やすと消費電力を増やすことになり、エネルギー効率が下がる。
【0006】
また、LEDからの光の色調を変化させることで発光表示の視認性を高めることもできる。そのためには、LEDからの光の色調を変化させる部品を取り付ければよい。しかし、このような部品は、マイクロホンの製造時において取り付けられるものであるから、マイクロホンを使用環境に持ち込んでから任意に取り替えることは困難である。すなわち、マイクロホンの使用環境において、発光表示の色調を調整して最適な視認性を得るようにすることは困難である。したがって、従来のマイクロホンは、予め設計された光の拡散度合いと色調の発光表示を有するマイクロホンを複数用意しておくしかなかった。
【0007】
そこで本発明は、発光部からの光を調整する取り替え可能な調光部品を備え、使用環境下において最適な発光状態にできるマイクロホンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、マイクロホンに関するものであって、マイクロホンユニットの動作状態に応じて発光する発光部材を備える回路基板と、中空管状部材の内部に前記回路基板を固定する固定部材と、光を透過する弾性部材からなり、前記固定部材を覆うカバー部材と、を有し、前記固定部材には、孔が形成されていて、前記発光部材からの光は前記孔を通じて前記カバー部材に至るように構成されていて、前記孔と前記カバー部材との間には、調光部材を備える、ことを最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用環境下において最適な発光状態にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るマイクロホンの例の全体像を示す平面図である。
図2】上記マイクロホンが備えるマイクロホンユニット部分を拡大した、(a)拡大図、(b)拡大縦断面図である。
図3】上記マイクロホンが備える回路基板の例を示す(a)平面図、(b)底面図、(c)側面図である。
図4】上記マイクロホンの特徴部分を拡大した拡大断面図である。
図5】上記マイクロホンに用いられるカラーフィルターの例を示す平面図である。
図6】上記マイクロホンに上記カラーフィルターを取り付ける様子を示す拡大縦断面図である。
図7】上記マイクロホンに用いられるカラーフィルターの別の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るマイクロホンの実施形態であるグースネックマイクロホン1について、図面を参照しながら説明する。グースネックマイクロホン1は、マイクロホン100と、マイクロホン端子を含むマイクロホン固定部300と、マイクブーム200と、を有してなる。マイクブーム200は長尺の部材であって、長手方向の一方の端部には、マイクロホン100が固定され、他方の端部には、マイクロホン固定部300が固定されている。
【0012】
また、マイクブーム200は、可撓性支持体である上部フレキシブルパイプ201および下部フレキシブルパイプ203と、これらをつなぎ合わせる中間パイプ202と、を有してなる。上部フレキシブルパイプ201の先端にはマイクロホン100が固定されていて、後端には中間パイプ202の先端側が固定されている。また、下部フレキシブルパイプ203の後端にはマイクロホン固定部300が固定されていて、前端には中間パイプ202の後端側が固定されている。
【0013】
次に、本願発明の特徴部分を備えるマイクロホン100について説明する。図2は、図1に示す矩形領域Aの部分を拡大した図である。図2(a)はマイクロホン100の外観を示し、図2(b)はマイクロホン100の内部構造を示している。図2に示すように、マイクロホン100は、大きく分けるとマイクロホンケース10と、固定部カバー20と、を有してなる。
【0014】
マイクロホンケース10は、中空管状部材であって、その外形は例えば、円筒状である。マイクロホンケース10の長手方向の端部のうちの一方(図2紙面における左側)の端部と、マイクロホンケース10の壁面には、音孔11が形成されている。マイクロホンケース10の長手方向の端部に形成されている音孔11は、音源がある方向に向けられる収音口である。壁面に形成されている音孔11は、壁面の周方向において一定の間隔を空けて複数形成されている。壁面に形成されている音孔11は、音源とは異なる方向から到来する周囲音が後述するマイクロホンユニット311の振動板に到来したときに、これを打ち消すように作用する。すなわち、マイクロホン100は、いわゆる単一指向性マイクロホンである。
【0015】
マイクロホンケース10の内部には、回路基板30が固定されている。回路基板30は、固定部材である固定部40を介してマイクロホンケース10に固定されている。回路基板30は、2つの基板が結合されて形成されている。一つは、外形が矩形であって長手方向の一方の端部にマイクロホンユニット311を有するマイクロホン基板31である。もう一つは、マイクロホン基板31の他方の端部に電気的に接続され固定される発光部基板32である。
【0016】
ここで、回路基板30の詳細について説明する。図3(a)に示すように、回路基板30の平面視の形状は、ほぼ矩形である。マイクロホン基板31の端部には、マイクロホンユニット311が固定されている。マイクロホンユニット311は、例えば、コンデンサマイクロホンユニットであって、振動板の振動方向がマイクロホン基板31の長手方向に向いている。マイクロホン基板31の長手方向の長さがマイクロホンケース10に収納できる長さになっていて、短手方向の長さは、マイクロホンケース10の内径とほぼ同じになっている。また、マイクロホン基板31には、マイクロホンユニット311の固定端の反対側の端部に発光部基板32が固定されている。
【0017】
図3(b)は、図3(a)における回路基板30を矢印Bの方向からみた場合の底面図である。図3(b)に示すように、発光部基板32の外形は円形であって、発光部材であるLED321と、これを発光させる駆動回路と、を備えている(取り付けされている)。LED321は、当該マイクロホン100が動作中に点灯するように制御される。LED321は、発光部基板32の円周方向において約90度間隔で複数配置されている。なお、LED321の配置間隔はこの例に限るものではなく、60度間隔で配置されてもよいし、120度間隔で配置されてもよい。LED321は、発光部基板32におけるマイクロホン基板31へ固定面とは反対側の面から光を出射するように固定されている。
【0018】
図3(c)に示すように、回路基板30の側面視の形状は、横に倒したT字状になっていて、円形の発光部基板32の直径に相当する位置にマイクロホン基板31の短辺が固定されている。具体的には、発光部基板32の上にマイクロホン基板31が起立した状態で取り付けられていて、マイクロホン基板31の短辺と発光部基板32が固定されて電気的に接続されている。
【0019】
図2に戻る。発光部基板32は、固定部40に固定されている。固定部40は、皿状部42と管状部43とを有してなる。皿状部42は、発光部基板32の外形に合うように、中心部から外周端部に向かう平面部分と、平面部分の外周端部を管状部43とは反対方向に立ち上げた壁部分と、を有してなる。皿状部42の平面部分には、孔41が形成されている。孔41は、LED321に対向する位置において形成されている。発光部基板32の外周は、皿状部42の壁部分の内壁に嵌合している。
【0020】
管状部43は、発光部基板32の固定側とは反対方向に形成されていて、マイクブーム200の一部である上部フレキシブルパイプ201が挿入されようになっている。上部フレキシブルパイプ201を挿入した状態で管状部43の外周面をかしめると、固定部40は上部フレキシブルパイプ201に固定される。
【0021】
固定部40と上部フレキシブルパイプ201の一部は、固定部カバー20によって覆われて保護される。固定部カバー20は、弾性部材からなるカバー部材であって、固定部40とマイクロホンケース10に密着する。固定部カバー20は、例えば、乳白色または半透明の光透過性シリコンゴムであって、皿状部42に形成されている孔41を覆い、LED321からの光を外部に向けて拡散する光拡散部品である。
【0022】
次に、マイクロホン100の特徴部分についてさらに詳細に説明する。図4に示す部分拡大断面図は、マイクロホン100と上部フレキシブルパイプ201との固定部分を拡大して示している。図4に示すように、固定部40の皿状部42の壁部分の外側は、マイクロホンケース10の内壁に嵌合している。これによって、回路基板30はマイクロホンケース10の内部に固定される。なお、固定部40のマイクロホンケース10への固定は、固定部40の皿状部42の外周壁面の外側と、マイクロホンケース10の端部の内周面にネジを切り、固定部40をマイクロホンケース10に螺入させればよい。
【0023】
発光部基板32は、孔41にLED321が相対するように位置が調整されて固定部40に固定されている。LED321から出射された光は、孔41を通過して固定部カバー20に至る。LED321は、マイクロホン100が動作状態にあるとき点灯し、動作状態でないとき点灯しない。すなわち、LED321の点灯によって固定部カバー20が光れば、マイクロホン100が動作状態にあることを容易に視認することができる。
【0024】
固定部40の孔41の外側と固定部カバー20との間には、調光部品50が取り付けられている。図5に示すように、調光部材である調光部品50は、半円形の2つの部品を組み合わせたリング状の部材である。調光部品50は、光を拡散させる作用を有するカラーフィルターである。調光部品50は、不燃性のポリカーボネートに色素を練り込んで形成された素材からなる。LED321が発した光は、調光部品50によって、所定の色に変換されてから固定部カバー20の内部に拡散される。固定部カバー20は光を透過し光を拡散させる部品であるから、LED321からの光によって固定部カバー20が全体的に発光した状態になる。
【0025】
すなわち、マイクロホンユニット311が動作をしてLED321が点灯すると、外部からマイクロホン100を見ると、固定部カバー20が所定の色で発光しているように見える。これによって、当該マイクロホン100が動作中、すなわち、当該マイクロホン100の仕様者が発言中であることを容易に視認することができる。
【0026】
また、回路基板30のうち、少なくとも発光部基板32は調光部品50および固定部カバー20の近傍に配置することができ、LED321を調光部品50および固定部カバー20に近接させることができる。これにより、固定部カバー20よりの発光量が低下を防ぐことができ、また、LED321からの光を導光部材などで引き回して調光部品50や固定部カバー20に導くなどの構成が不要となる。
【0027】
次に、調光部品50の取り付け方法について説明する。図6に示すように、固定部カバー20は、弾力性のある素材で形成されているので、固定部40と固定部カバー20の間を広げるように変形させて、孔41と固定部カバー20との隙間に調光部品50の一方を挿入し平面上に取り付ける。同様にして調光部品50の他方を上記隙間に挿入し、固定部カバー20を弾性により復帰させる。これによって、孔41と固定部カバー20との間に、容易に調光部品50を取り付けることができる。
【0028】
すでに説明したとおり、調光部品50はLED321から出射された光の色を変化させて固定部カバー20内に拡散させる部品である。したがって、調光部品50は発光部基板32の孔41と固定部カバー20に密着できるものが望ましい。調光部品50はフィルム状の部材なので、発光部基板32側にも固定部カバー20にも密着できる。なお、調光部品50の密着は、固定部カバー20の弾性力によってもたらされる。
【0029】
色調の異なる調光部品50を複数用意し、任意の調光部品50を選択して、上に示したようにマイクロホン100に取り付ければ、任意の色で固定部カバー20を発光させることができる。グースネックマイクロホン1の設置場所における明るさや照明度合いによって、発光している固定部カバー20が視認しやすくなるように、任意の色を選択することができる。LED321の発光色を白色とし、任意の色調の調光部品50を用いることで、幅広い色相の発光表示をすることができる。
【0030】
調光部品50の別の例について説明する。図7に示す調光部品50aのようにリング状であって、一部を半径方向の線にそって切断し、この切断部分を広げることができるように構成してもよい。図7に示す調光部品50aを取り付ける場合は、固定部カバー20を変形させて、上に示したような隙間を形成し、その隙間に調光部品50aの切れ込みの一端を挟み込む。その後、隙間に調光部品50aの内側を当てながら徐々に、固定部カバー20の全周に渡って挟み込むようにすればよい。
【符号の説明】
【0031】
10 :マイクロホンケース
20 :固定部カバー
30 :回路基板
31 :マイクロホン基板
32 :発光部基板
40 :固定部
41 :孔
42 :皿状部
43 :管状部
50 :調光部品
100 :マイクロホン
201 :上部フレキシブルパイプ
311 :マイクロホンユニット
321 :LED
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7