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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-202004(P2016-202004A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】長芋等の根菜掘り取り機
(51)【国際特許分類】
   A01D 13/00 20060101AFI20161111BHJP
【FI】
   A01D13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-83011(P2015-83011)
(22)【出願日】2015年4月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】三戸 実
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072AA10
2B072BA04
2B072BA05
(57)【要約】
【課題】牽引抵抗を少なくして、スムーズに掘り取り作業を行うことが可能で耐久性がある長芋等の根菜掘り取り機を提供する。
【解決手段】掘り取り体3のベルトコンベア後端部にはベルトコンベアの傾斜面を延長するための延長板4が設けられ、延長板4はベルトコンベアの傾斜面に対し角度を変更可能に取付けられているとともに、取付け取外し可能である長芋等の根菜堀り取り機による。また、延長板4の取付部である内側板4bと外側板4cのコンベア側板3f上縁部に近接する上縁部には外側板突設部4eと内側板突設部をそれぞれ有し、シール材3hの延長部がこの突設部に支えられて延長板4の平面部に当接し、延長板4非取付時は、ベルトコンベア外周に沿ってベルトコンベアにシール材3hが当接する構成の長芋等の根菜堀り取り機による。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜面を有する掘り取り体を長芋等の根菜の下方部に通過させて長芋等の根菜を浮き上がらせて掘り上げる長芋等の根菜掘り取り機であって、
前記掘り取り体は、前部に備えられた後ろ上がり傾斜の刃部と、
該刃部後端部から後方側に延びて上面は前方から後方に至るに従って上昇する傾斜面を有するベルトコンベアと、
該ベルトコンベア後端部にベルトコンベアの前記傾斜面を延長するための延長板を備え、該延長板は前記ベルトコンベアの傾斜面に対し角度を変更可能に取付けられているとともに、取付け取外し可能に設けられていることを特徴とした長芋等の根菜掘り取り機。
【請求項2】
前記掘り取り体のベルトコンベアには、ベルトコンベアを保持する複数のローラと、
ベルトコンベア左右に立設してローラを保持するコンベア側板が備えられ、
前記延長板は、前記コンベア側板に保持されていて、前記ベルトコンベアの傾斜面を延長するための上方を向いた平面部と、
該平面部左右側端に固着された平面部と直交する面を有した内側板と、
該内側板の外側面に当接して内側板と前記コンベア側板を連結する外側板を備え、
前記内側板は外側板に対し側面視平面部の取付け角度を変えるために取付けを変更可能であり、前記外側板はコンベア側板に対し取付け取外し自在に構成されていることを特徴とした請求項1記載の長芋等の根菜掘り取り機。
【請求項3】
前記外側板と内側板のコンベア側板上縁部に近接する前方上縁部は、前記延長板平面部より上方に突設するとともに、前方上縁部がコンベア側板上縁部と略同一の高さに突設し後方側は側面視前記延長板平面部に向け後傾斜して設けられた外側板突設部と内側板突設部をそれぞれ有していて、
前記コンベア側板の上縁部にはベルトコンベア左右端部とコンベア側板との隙間を塞ぐように帯状平板のシール材がベルトコンベア側に張り出して取付けられているとともに、シール材の後端部はベルトコンベア後端部ローラ中心より後方に片持ち状に延長されていて、前記延長板の取付角度の変更に関わらず、前記シール材の延長部が前記外側板突設部と内側板突設部とに支えられて延長板平面部に当接し、延長板非取付時は、ベルトコンベア外周に沿ってベルトコンベアにシール材が当接する構成であることを特徴とした請求項1又は請求項2記載の長芋等の根菜掘り取り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに装着されて使用される農作業機であり、牽引される機枠に取付けられ、前端部に後部が上方へ傾斜した刃部を有し、この刃部の後部に駆動される無端コンベアベルトを設けた掘り取り体を、植えつけられた長芋等の下方部を通過させ長芋等の根菜を浮き上がらせ掘り取る長芋等の根菜の掘り取り機の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長芋等の根菜の掘り取り機は、根菜を損傷することが無く効率よくスムーズに掘り取ることが可能で、耐久性がある機械が要求されている。従来、このような掘り取り機械として、特許第2966411号公報(特許文献1)の「根菜等の堀取り機」、特許第2710030号公報(特許文献2)の「掘り取りトレンチャー」、特開2008−29230号公報(特許文献3)の「長いも掘取り装置」が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された「根菜等の堀取り機」は、掘り取り体のコンベヤベルトの駆動プーリをコンベヤベルトの上面が後方に向けて回転する方向にのみ空転可能に設け、土圧がかかった際にコンベヤベルトがブレーキ作用をしないでスムーズに掘り取れるようにした構造のものである。また、特許文献2に開示された「掘り取りトレンチャー」は、掘り取り体の平ベルトを券回させたローラを支えるサイド板の上面にシール材を固着して、平ベルト側縁部への土砂の侵入を防止して耐久性の向上を図ったものである。特許文献3に開示された「長いも掘取り装置」は、掘り取り体のコンベアベルトの後部に振動板を設け上下に揺動する振動板揺動機構を設け、長芋に付着する栽培土を振り落とすようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2966411号公報
【特許文献2】特許第2710030号公報
【特許文献3】特開2008−29230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
長芋等の根菜掘り取り機は、根菜を損傷することが無くスムーズに掘り取ることが可能で、耐久性があることが要求される。また、作業時の牽引抵抗をできるだけ小さくすることにより、装着できるトラクタを小型化することができるとともに、作業速度を早くすることが可能で作業効率も向上することができる。さらに、掘り取り体によって上昇させた根菜をスムーズに補助作業者が抜き取れるようにすることにより作業効率が向上する。
【0006】
このことから本発明の目的は、牽引抵抗を少なくして、スムーズに掘り取り作業を行うことが可能で耐久性がある長芋等の根菜掘り取り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、傾斜面を有する掘り取り体を長芋等の根菜の下方部に通過させて長芋等の根菜を浮き上がらせて掘り上げる長芋等の根菜掘り取り機であって、前記掘り取り体は、前部に備えられた後ろ上がり傾斜の刃部と、該刃部後端部から後方側に延びて上面は前方から後方に至るに従って上昇する傾斜面を有するベルトコンベアと、該ベルトコンベア後端部にベルトコンベアの前記傾斜面を延長するための延長板を備え、該延長板は前記ベルトコンベアの傾斜面に対し角度を変更可能に取付けられているとともに、取付け取外し可能に設けられていることを特徴とした長芋等の根菜掘り取り機である。
【0008】
また、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明は、前記掘り取り体のベルトコンベアには、ベルトコンベアを保持する複数のローラと、ベルトコンベア左右に立設してローラを保持するコンベア側板が備えられ、前記延長板は、前記コンベア側板に保持されていて、前記ベルトコンベアの傾斜面を延長するための上方を向いた平面部と、該平面部左右側端に固着された平面部と直交する面を有した内側板と、該内側板の外側面に当接して内側板と前記コンベア側板を連結する外側板を備え、前記内側板は外側板に対し側面視平面部の取付け角度を変えるために取付けを変更可能であり、前記外側板はコンベア側板に対し取付け取外し自在に構成されていることを特徴とした請求項1記載の長芋等の根菜掘り取り機である。
【0009】
さらに、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明は、前記外側板と内側板のコンベア側板上縁部に近接する前方上縁部は、前記延長板平面部より上方に突設するとともに、前方上縁部がコンベア側板上縁部と略同一の高さに突設し後方側は側面視前記延長板平面部に向け後傾斜して設けられた外側板突設部と内側板突設部をそれぞれ有していて、前記コンベア側板の上縁部にはベルトコンベア左右端部とコンベア側板との隙間を塞ぐように帯状平板のシール材がベルトコンベア側に張り出して取付けられているとともに、シール材の後端部はベルトコンベア後端部ローラ中心より後方に片持ち状に延長されていて、前記延長板の取付角度の変更に関わらず、前記シール材の延長部が前記外側板突設部と内側板突設部とに支えられて延長板平面部に当接し、延長板非取付時は、ベルトコンベア外周に沿ってベルトコンベアにシール材が当接する構成であることを特徴とした請求項1又は請求項2記載の長芋等の根菜掘り取り機である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、掘り取り体のベルトコンベア後端部にベルトコンベアの傾斜面を延長するための延長板が設けられていて、延長板はベルトコンベアの傾斜面に対し角度を変更可能に取付けられているとともに、取付け取外し可能に設けられている構成によって、ベルトコンベアの傾斜面を延長板によって延長することにより、長芋等の根菜をより上方に持ち上げることができるため、抜取り作業がスムーズに行える。また、延長板の下方部に空間部が形成されるため、根菜と一緒に持ち上げられた土壌が延長板後端から空間部に落ちて根菜が露出しやすくなり抜き取り作業が効率よく行える。また、延長板の角度を変更可能であり、取外しもできるため、牽引抵抗が大きい時には角度変更や取外しにより抵抗を少なくして対応可能である。さらに、シール材が延長板の有無に関係なく土砂の侵入を防止し、土砂を誘導する構造の為、耐久性が良い長芋等の根菜掘り取り機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例の長芋等の根菜掘り取り機の左側面図である。
図2】本発明の実施例の長芋等の根菜掘り取り機の一部断面した前方正面図である。
図3】本発明の実施例の長芋等の根菜掘り取り機の後面図である。
図4】本発明の実施例の長芋等の根菜掘り取り機の駆動部を説明するための断面した要部左側面図である。
図5】本発明の掘り取り体の延長板をベルトコンベア傾斜面と平行にした状態の掘り取り体の左側面図である。
図6】本発明の掘り取り体の延長板をベルトコンベア傾斜面より角度を緩くした状態の掘り取り体の左側面図である。
図7】本発明の掘り取り体の延長板を水平にした状態の掘り取り体の左側面図である。
図8】本発明の掘り取り体の延長板を取外した状態の掘り取り体の左側面図である。
図9】本発明の掘り取り体の延長板をベルトコンベア傾斜面と平行にした状態の外側板突設部と内側板突設部を示した要部左側面断面図である。
図10】本発明の掘り取り体の延長板をベルトコンベア傾斜面より角度を緩くした状態の外側板突設部と内側板突設部を示した要部左側面断面図である。
図11】本発明の掘り取り体の延長板を水平にした状態の外側板突設部と内側板突設部を示した要部左側面断面図である。
図12】本発明の延長板の後面図である。
図13】本発明の掘り取り体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の一形態を、図1乃至図12に基づいて説明する。図1乃至図3は本発明の根菜掘り取り機の作業姿勢の状態の外観を示した左側面図と前方正面図及び後面図を示したものである。走行作業車両であるトラクタ(図示せず)の後部には昇降リンクである3点リンク機構が設けられていて、本発明の根菜掘り取り機前方部の装着部と昇降自在に連結されるとともに、トラクタ側から出力される動力によって駆動される。本例の説明においては、図1に示す左側を進行方向前側として説明する。
【0013】
1は、機枠である。機枠1は、板状体を相互に左右対向させた状態に形成する。そして、機枠1の前方先端には板状体相互間に固定され左右先端部にロアリンクピン1fを設けた丸棒状フレームが板状体を連結固定し、更に機枠1の後端にはブラケット1bを上方へ向け突設する。このように機枠1は、根菜掘り取り機のメインフレームを構成する。
【0014】
機枠1の前方部には、マストフレーム1aが設けられている。マストフレーム1aは板状体からなり、左右対向させた状態に機枠1に連結されている。マストフレーム1aの下端である基部は、機枠1の前記ロアリンクピン1fを設けた丸棒状フレーム近傍に前後回動自在に回動軸1cによって保持されていて、マストフレーム1aの上部先端前方にはトップリンクピン1eを左右方向水平に設けている。また、マストフレーム1aの後方は油圧シリンダ1dの一端と連結され、油圧シリンダ1dの他端は機枠1の後部に設けたブラケット1bと連結される。そして、トップリンクピン1eと前記機枠1に設けたロアリンクピン1fによってトラクタの昇降リンクである3点リンク機構に取付けられる。従って、油圧シリンダ1dを伸縮させることで、前記回動軸1cを中心に機枠1を上下に回動することが可能となる。
【0015】
機枠1には、掘削部2とビーム1gが下方に延設され左右一組ずつ設けられている。掘削部2は、ビーム1gの前方側に位置し、掘り上げる長芋等の根菜の左右側方の土壌を掘削するものである。ビーム1gの下方端部には後述する掘り取り体3が備えられている。
【0016】
掘削部2は、機枠1に下方へ向けて設けられる。掘削部2は、根菜掘り取り機を掘り取り作業状態にした時に、土中に位置し、掘り上げる長芋等の根菜の左右側方の土壌を掘削し根菜を引き抜きやすくする。掘削部2は、ブーム2aとその周囲に巻架された掘削チェーン20からなる。掘削チェーン20は、ローラーチェーン2eとその外周に複数取付けられた掘削刃2fによって構成されている。掘削チェーン20は、ブーム2aの機枠1側の基部に設けた駆動スプロケット2bと他端部に設けたテンションスプロケット2cとブーム2aの中間部の前方に張り出して設けたアイドラスプロケット2dに側面視三角状に巻架されている。ブーム2aは進行方向左右に対向して夫々上端を機枠1に固定される。従って、掘削チェーン20は対向する各ブーム2aに設けられ、掘り取り作業時には、対向するブーム2a間に掘り取り対象である長芋等の根菜を位置させて、掛け渡された掘削チェーン20を上下に駆動することで、掘起し対象である根菜の左右側方の土壌を上下にかき分け膨軟にすることができる。ブーム2a先端側は長さ方向に伸縮可能で、掘削チェーン20の張り調整が行える。また、掘り取り作業中に土中から露出する掘削部2の上方部は、掘削部カバー7によって覆われている。さらに、左右側方と後方に丸パイプで成型されたサイドガード7aとリヤガード7bが設けられていて、掘削部2の可動部への接触や巻き込まれによる事故の防止がされている。
【0017】
掘削部2の掘削チェーン20後方には、掘削チェーン20に近接してビーム1gが機枠1から下方に延設され左右に対向して設けられ、前方視において掘削チェーン20後方に重合した位置に設けられる。ビーム1gの下端部は掘削チェーン20下端部近傍まで延設されている。ビーム1gは、上下に長い帯板状で板厚端縁が進行方向を向いた状態で機枠1に上方部を固定されている。すなわち、前記ブーム2aとビーム1gは位置関係が固定されている。
【0018】
ビーム1gの下端部には、掘り取り体3が取付けられている。掘り取り体3は、前部に後ろ上がり傾斜の刃部3dを備え、該刃部後端部から後方側に延びて上面は前方から後方に至るに従って上昇する傾斜面を有するベルトコンベア3aと、該ベルトコンベア3a後端部に設けられ、ベルトコンベア3aの幅と約同一の平面部を有した前記傾斜面を延長するように作用する延長板4を備えている。
【0019】
掘り取り体3は、前記左右に位置するビーム1gの間に設けられ、ビーム1gに刃部3d近傍を固着して取り付けられている。掘り取り作業時の掘り取り体3は、掘り取り対象である長芋等の根菜の下方部を通過して、掘削部2によって掘削され左右側部の土が膨軟になった内側の根菜周辺の土壌と根菜をベルトコンベア3aの傾斜面に載せて移動させ、根菜を上方に浮き上がらせるものである。
【0020】
刃部3dは、鋼板製でベルトコンベア3aの幅と略同じに設けられ、根菜の下方部の土中をトラクタの進行によって切削していく。ベルトコンベア3aは、後方端側に側面視径が大きい駆動ローラ3bを位置させ、刃部3d側の前端部から後方側に駆動ローラ3bより径が小さいサポートローラ3cを複数配置して、ベルトを巻付けベルコンベア3aの上面が後ろ上がりの傾斜となるように構成されている。ベルトコンベア3aは、駆動ローラ3bを掘り取り体3内に設けた油圧モータ3eによって回転駆動され、ベルトコンベア3aの上面の傾斜面が前方側から後方側に移動するように駆動される。
【0021】
ベルトコンベア3aの駆動ローラ3bとサポートローラ3cは、ベルトコンベア3aの左右に立設しているコンベア側板3fにより回転自在に保持されている。図13に示すようにコンベア側板3fの上縁部3gには、ベルトコンベア3a左右端部とコンベア側板3fとの隙間を塞ぐように帯状の平板のシール材3hがベルトコンベア3a側に張り出して取付けられている。また、シール材3hの後端部はベルトコンベア3a後端部駆動ローラ3b中心より後方に片持ち状に延長されている。シール材3hは、ベルトコンベア3a左右端部とコンベア側板3fとの隙間に土砂等が侵入するのを防止して、土砂等が侵入することによるベルトコンベア3aの駆動抵抗の増加を軽減するとともに、駆動部の耐久性を向上させる。
【0022】
ベルトコンベア3a後端部の駆動ローラ3b後方には、ベルトコンベア3aの幅と約同一の平面部を有したベルトコンベア3aの傾斜面を延長するように作用する延長板4が設けられている。延長板4は、前記コンベア側板3fに保持されていて、ベルトコンベア3aの傾斜面を延長するように設けた上方を向いた平面部4aと、平面部4a左右側端に固着された平面部4aと直交する面を有した内側板4bと、内側板4bの外側面に当接して内側板4bとコンベア側板3fを連結する外側板4cを備え、内側板4bは外側板4cに対し側面視平面部4aの取付け角度を変えるために取付けを変更可能であり、外側板4cはコンベア側板3fに対し取付け取外し自在に取付けされている。取付はボルト及びナットによって締結され行われる。
【0023】
延長板4は、ベルトコンベア3aの傾斜面に対し平面部4aの角度を変更して取り付け可能で、本例においては図5に示すベルトコンベア3aの傾斜面と平行の状態と、図6に示す傾斜面の角度より緩い角度に取付けた状態と、図7に示す進行方向に対し水平の状態に取付けた状態とに変更可能である。また、図8に示すように延長板4を取外して使用可能である。
【0024】
図5に示すベルトコンベア3aの傾斜面と平面部4aが平行の状態に延長板4を取付けると、傾斜面が上方に延長された状態となり、根菜と根菜周辺の土壌をより上方に持ち上げることができる。そして、延長板4下方は空間が設けられ、さらに、ベルトコンベア3a下方部に空間部が設けられていて、持ち上げられた根菜周辺の土壌の一部が延長板4後端部から空間部に流れ込み、根菜上部が土壌から露出する。露出した根菜は、補助作業者によって抜き取られ掘り取りが行われる。
【0025】
掘り取り体3は、掘り取り作業時に土中に位置していて、前方に位置する刃部3dとベルトコンベア3aの前方に向けた傾斜面が、土壌の圧力によってトラクタの進行方向の抵抗となる。即ち、図5に示すような傾斜面が長い状態にするほど抵抗が大きくなる。そのため、図6図7に示すように延長板4の角度を変更すると抵抗を少なくすることができる。また、土質によっても抵抗の大きさが変化するため、小型のトラクタに装着した場合等に、圃場条件によって様々対応が可能である。
【0026】
さらに、流動性の良い土壌の場合、延長板4下方やベルトコンベア3a下方部の空間部に土壌が流れすぎて、土壌とともに下方に根菜も落ち込んでいき補助作業者が抜き取れない状況となる場合がある。この場合には、延長板4の角度を変更することや、延長板4を図8のように取外すことで対処することができる。
【0027】
外側板4cのコンベア側板上縁部3gに近接する前方の上縁部は側面視延長板平面部4aより上方に突設するとともに、前方側上縁部がコンベア側板上縁部3gと略同一の高さに突設し後方側は延長板平面部4aに向け後傾斜して設けられた外側板突設部4eを有している。また、内側板4bのコンベア側板上縁部3gに近接する前方の側方上縁部は側面視延長板平面部4aより上方に突設するとともに、前方の側方上縁部がコンベア側板上縁部3gと略同一の高さに突設し後方側は延長板平面部4aに向け後傾斜して設けられた内側板突設部4dを有している。外側板4cに対する内側板4bの取付角度を変更しても、外側板突設部4eと内側板突設部4dの上縁部は、凹凸部が少なく滑らかに連続するような形状となっている。
【0028】
延長板4が取付けられた状態では、コンベア側板3fの上縁部3gに取付けられたシール材3hの後方に片持ち状に延長されたシール材延長部30hは、延長板4の平面部4aに当接して保持される。該シール材延長部30hが前記外側板突設部4eと内側板突設部4dとに支えられて延長板平面部4aに当接し、延長板非取付時は、ベルトコンベア3a外周に沿ってベルトコンベア3aにシール材3hが当接する構成である。尚、掘り取り体3が土中にあるときは、図12に示すように土砂の圧力によりシール材延長部30hは、外側板突設部4eと内側板突設部4dの上縁部から延長板4の平面部4aに垂れ下がるように内側に傾斜した状態となる。このことにより、ベルトコンベア3aの後端部から延長板4に移動する土砂が側方に移動せずに後方に移動され、根菜の姿勢の変化が起こりにくくなり、補助作業者が根菜を抜き取りやすくなる。図8は、延長板4を取外した状態を示したもので、シール材延長部30hは、土圧によってベルトコンベア3aの外周に巻付くようにして土砂の侵入を防止する。
【0029】
左右のビーム1gの中間位置の上方部の後方側には、土崩し手段8が設けられている。土崩し手段8は、掘り取り体3によって上昇してきた根菜と土砂から土砂を左右に払い崩して根菜の上端部を露出させるためのものである。土崩し手段8は、進行方向に複数の丸棒状のかき分け棒が間隔を置いて直線状に並べられ、上方部を中心に下方部が進行方向と直交する方向に揺動して、土砂を払い崩す。
【0030】
図1に示す状態は、掘り取り作業状態の姿勢を示したもので、本例の場合、掘り取り体3は地下1.2mくらいの深さに位置する。トラクタによって掘り取り機を移動等させる場合は、油圧シリンダ1を縮ませることによって、回動軸1cを中心に機枠1が図1の状態から反時計方向に回動する。これによって、機枠1に固定された掘削部2下方部と掘り取り体3は回動して上昇する。さらに、トラクタの昇降リンクである3点リンク機構を上昇させると、掘削部2の下方部及び掘り取り体が地上より上に位置してトラクタ等によって移動させることができる。
【0031】
図4によって本発明の長芋等の根菜掘り取り機の駆動部を説明する。機枠1中央部にはトラクタからの動力が入力される入力ギヤケース5bが設けられている。入力ギヤケース5b前方には入力軸5cが前方に向け突設されていて、トラクタのPTO軸(図示せず)と入力軸5cをユニバーサルジョイント等で連結されてトラクタからの動力が入力される。入力ギヤケース5bには、入力軸5cと直交する方向の左右に出力軸が突設されていて、駆動スプロケット2bがそれぞれ固着されている。駆動スプロケット2bには、掘削部2の掘削チェーン20が巻架されていて、入力軸5cに入力された動力によって掘削チェーン20が駆動される。また、入力ギヤケース5bの上部には、油圧ポンプ5aが設けられ、入力軸5cに固着したスプロケットと油圧ポンプ5aの入力軸に固着したスプロケットとにローラーチェーンが巻架され油圧ポンプ5aが駆動される。油圧ポンプ5aで発生した油圧は、配管を通じて掘り取り体3の油圧モータ3eに送られ油圧モータ3eを駆動する。油圧モータ3eが駆動されると、掘り取り体3のベルトコンベア3aの駆動ローラ3bが回転してベルトコンベア3aが作動する。入力ギヤケース5bの後方には土崩し手段8を駆動する出力部が設けられ、土崩し手段8を駆動する。機枠1を回動させる油圧シリンダ1dはトラクタ側にバルブを設けトラクタ側の油圧によって作動させる。
【0032】
本発明の実施例の長芋等の根菜掘り取り機によって掘り取り作業を行う方法を説明する。機枠1の前方左右に設けたロアリンクピン1fをトラクタの3点リンク機構のロアリンクに連結し、機枠1前方上方部に設けたマストフレーム1aの前方側に位置するトップリンクピン1eをトラクタの3点リンク機構のトップリンクに連結して掘り取り機をトラクタに装着する。トラクタのPTO軸と入力ギヤケース5bの入力軸5cにユニバーサルジョイント等の動力伝達軸を連結してトラクタからの動力を入力できる状態にする。
【0033】
掘り取りする長芋等の根菜が植えられている畝をトラクタを跨がせた状態に位置させ、すなわち、掘削部2の左右の掘削チェーン20の中央部に根菜が位置するように位置させて、掘削部2及び掘り取り体3のベルトコンベア3aを駆動させる。そして、トラクタ側に設けたバルブを操作して油圧シリンダ1dを伸ばしていくと、機枠1が図1に示す状態の時計方向に回動して、これに固定された掘削部2と掘り取り体3が地中に入り込んでいく。掘り取り体3の前方の刃部3dを所定の掘り取り根菜の下方部に位置させたら、トラクタを前進させて掘り取り作業を開始する。
【0034】
トラクタが前進することにより、掘削部2によって根菜の左右側方を掘削して土壌を膨軟にしていく、そして、その後方に位置する掘り取り体3のベルトコンベア3aの傾斜面に、左右の掘削チェーン20の内側に位置する土壌が載せられ根菜とともに後方に移動する。移動することにより根菜と土壌は上方に浮き上げられる。浮き上がった土壌が掘り取り体3後端の延長板4後端部に移動すると、延長板4下方部と掘り取り体3下方部の空間部に根菜周辺の土壌の一部が流れ込み、根菜の上方の先端部が圃場面から露出する。露出した根菜の先端部を補助作業者が把持して抜き取ることによって掘り取りができる。
【0035】
掘り取り作業において、トラクタの牽引抵抗を変更したい場合や、補助作業者の抜取り作業性を変更したい場合等は、延長板4の取り付け角度を変更又は取り付け取り外しすることによって調整することができる。
【0036】
本例の場合、掘り取り体3の前方に掘削部2を設けているが、必ずしも掘削部2を設けた掘り取り機でなくても本発明は実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明は、トラクタ等の走行機後方に装着されて長芋等の根菜を掘り取るための掘り取り機に適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 機枠
1a マストフレーム
1b ブラケット
1c 回動軸
1d 油圧シリンダ
1e トップリンクピン
1f ロアリンクピン
1g ビーム
2 掘削部
20 掘削チェーン
2a ブーム
2b 駆動スプロケット
2c テンションスプロケット
2d アイドラスプロケット
2e ローラーチェーン
2f 掘削刃
3 掘り取り体
3a ベルトコンベア
3b 駆動ローラ
3c サポートローラ
3d 刃部
3e 油圧モータ
3f コンベア側板
3g 上縁部
3h シール材
4 延長板
4a 平面部
4b 内側板
4c 外側板
4d 内側板突設部
4e 外側板突設部
5a 油圧ポンプ
5b 入力ギヤケース
5c 入力軸
7 掘削部カバー
7a サイドガード
7b リヤガード
図1
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