【解決手段】疲労検出装置10は、車両の運転者の心拍間隔のゆらぎを検出する心拍検出部12と、運転者の心拍間隔のゆらぎの基準波形を記憶する基準波形記憶部15と、心拍検出部12によって検出される心拍間隔のゆらぎの波形における一部の変化量と、基準波形記憶部15に記憶される基準波形の一部の変化量とに基づいて、運転者の疲労度合いを判定する疲労判定部14と、疲労判定部14によって判定される運転者の疲労度合いに応じて運転者に報知を行う報知制御部16、表示器20、およびスピーカ21と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る疲労検出装置について添付図面を参照しながら説明する。
【0012】
本実施形態による疲労検出装置10は、車両に搭載されている。疲労検出装置10は、
図1に示すように、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rと、心拍検知部12と、舵角センサ13と、疲労判定部14と、基準波形記憶部15と、報知制御部16と、表示器20と、スピーカ21とを備えている。
【0013】
第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々は、
図2に示すように、直進位置(中立位置)におけるステアリングホイール22の左右それぞれの内部に設けられている。第1センサ(L)11Lは、中立位置であるステアリングホイール22の左側の部位、つまり運転者の左手により把持される部位に設けられている。第2センサ(R)11Rは、中立位置であるステアリングホイール22の右側の部位、つまり運転者の右手により把持される部位に設けられている。
第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rは、導電性を有する材料であればどのような材料から形成されてもよい。第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rは、例えば、ステアリングホイール22の表皮の内側に塗布される導電性材料または導電性の革材などである。
第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rは、人体などの誘電体との距離および面積によって静電容量が変化するアンテナ電極である。第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rは、心拍検出部12から供給される所定周波数の高周波信号(電波放射電力)を放射する。第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rは、例えば車体などの接地部とによって静電容量センサを形成する。
【0014】
心拍検出部12は、
図3に示すように、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々に接続されるシールド線30と、駆動回路31と、発振回路32と、送信選択回路33と、受信回路35と、受信選択回路36と、処理回路37と、メモリ38とを備えている。
【0015】
シールド線30は、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々に接続される導線を被覆する。シールド線30は、駆動回路31からシールド用電流が供給される。シールド線30は、駆動回路31から第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々の導線に供給される電波放射電力が外部磁場などの影響を受けないように導線を遮蔽する。
【0016】
駆動回路31は、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々に対して、第1増幅器41と、抵抗42と、第2増幅器43と、第3増幅器44とを備えている。
第1増幅器41は、送信選択回路33と抵抗42との間に設けられている。第1増幅器41は、送信選択回路33から供給される電流を増幅して抵抗42に出力する。
抵抗42は、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々の導線と、第2増幅器43および第3増幅器44の各々に接続されている。抵抗42は、第1増幅器41から供給される電流を、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々と、第2増幅器43および第3増幅器44の各々とに分岐して供給する。
第2増幅器43は、抵抗42と第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々との間に設けられる分岐点と、シールド線30との間に設けられている。第2増幅器43は、抵抗42から供給される電流を増幅してシールド用電流としてシールド線30に供給する。
第3増幅器44は、抵抗42と第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々との間に設けられる分岐点と、受信選択回路36との間に設けられている。第3増幅器44は、抵抗42から供給される電流を増幅して受信選択回路36に供給する。
【0017】
発振回路32は、送信選択回路33を介して駆動回路31の第1増幅器41に接続されている。発振回路32は、所定周波数の高周波信号(電波放射電力)を送信選択回路33に出力する。
送信選択回路33は、処理回路37から入力される選択信号に応じて作動し、発振回路32からの電波放射電力を駆動回路31の2つの第1増幅器41の各々に供給する。
【0018】
受信回路35は、受信選択回路36を介して駆動回路31の第3増幅器44に接続されている。受信回路35は、全波整流回路51と、フィルタ回路52とを備えている。全波整流回路51は、受信選択回路36からの出力電圧を全波整流して、フィルタ回路52に供給する。フィルタ回路52は、例えば平滑フィルタ回路であり、全波整流回路51からの信号を平滑処理することによって、出力電圧の平均出力の信号を出力する。フィルタ回路52は、処理後の信号を処理回路37に供給する。
受信選択回路36は、処理回路37から入力される選択信号に応じて作動し、駆動回路31の第3増幅器44からの信号を受信回路35の全波整流回路51に供給する。
【0019】
処理回路37は、受信回路35から供給される出力電圧の平均出力の信号と、メモリ38に予め記憶されている出力電圧の閾値とを比較することによって、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々によって所定値以上の静電容量が検出されたか否かを判定する。処理回路37は、例えば、受信回路35からの平均出力が閾値よりも小さいか否かを判定することによって、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々に運転者の手が接近または接触(つまり、ステアリングホイール22を両手で把持)したか否かを判定する。処理回路37は、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々に運転者の手が接近または接触していると判定した場合には、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々に対する受信回路35からの出力電圧の平均出力の信号を、疲労判定部14に出力する。
【0020】
第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々に人体などの誘電体が接近または接触していない場合には、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々から放射される電波に応じて系外に流れる電流は小さい。これにより第3増幅器44から受信回路35に流れる電流が大きくなり、受信回路35から出力される出力電圧の平均出力が大きくなる。
これに対して、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々に人体などの誘電体が接近または接触した場合には、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々から放射される電波に応じて誘電体を介して系外に流れる電流は大きい。これにより第3増幅器44から受信回路35に流れる電流が小さくなり、受信回路35から出力される出力電圧の平均出力が小さくなる。
したがって、メモリ38は、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々に人体などの誘電体が接近または接触する場合と、接近または接触しない場合との各々において、受信回路35からの平均出力を判別するための閾値のデータを記憶している。
【0021】
舵角センサ13は、ステアリングホイール22の舵角(操舵角)を検出して、検出した操舵角の信号を疲労判定部14に出力する。
【0022】
疲労判定部14は、心拍検出部12によって検出される心拍間隔のゆらぎと、舵角センサ13によって検出される修正操舵の大きさおよび頻度の少なくとも何れかと、に基づいて、運転者の疲労度合いを判定する。
疲労判定部14は、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々に対する心拍検出部12からの平均出力の差を用いて、
図4に示すように、四肢誘導(つまり、第I誘導)により得られる心拍のR波の波形パターンから運転者の心拍間隔Yを検出する。疲労判定部14は、連続的に検出する心拍間隔Yの前回値から今回値への変化と、基準波形記憶部15から読み込む心拍間隔のゆらぎの基準波形とを比較することによって、運転者の疲労度が所定の程度以上に大きいか否かを判定する。
基準波形記憶部15は、例えば
図5に示すように、予め運転者ごとに固有である心拍間隔のゆらぎの基準波形のデータを記憶している。心拍間隔のゆらぎの基準波形は、運転者の疲労度合いが所定の程度未満である場合に実測された心拍間隔Yの波形パターンであり、例えば下記数式(1)に示すように、運転者ごとに固有の係数A,Bを用いた時間tの関数によって記述されている。
心拍間隔Y=A+B×sin(t)…(1)
【0023】
運転者の疲労度合いが所定の程度未満である場合における心拍間隔Yのゆらぎの基準波形に比べて、運転者の疲労度合いが増大すると、心拍間隔Yのゆらぎが低下傾向に変化し、心拍間隔Yが均一化傾向に変化する。これにより疲労判定部14は、例えば、連続的に検出する心拍間隔Yの前回値および今回値と、前回値から今回値への変化量とが、所定の誤差範囲で基準波形に当てはまる場合には、運転者の疲労度合いが所定の程度未満に小さいと判定する。一方、疲労判定部14は、例えば、心拍間隔Yの前回値および今回値と、前回値から今回値への変化量とが、所定の誤差範囲で基準波形に当てはまらない場合には、運転者の疲労度合いが所定の程度以上に大きいと判定する。
【0024】
疲労判定部14は、舵角センサ13によって検出されるステアリングホイール22の操舵角の履歴における修正操舵の大きさおよび頻度の少なくとも何れかに基づいて、運転者の疲労度合いを判定する。疲労判定部14は、
図6に示すように、運転者による意図的な車線変更などのゆっくりとした操舵に対応する舵角変化の一次成分を基準として、ふらつき運転などの急操舵に対応する舵角変化の高次成分が舵角閾値以上となるか否かを判定する。疲労判定部14は、例えば、舵角変化の高次成分の絶対値が舵角閾値a以上となる頻度が頻度閾値以上である場合には、運転者の疲労度合いが所定の程度以上に大きいと判定する。一方、疲労判定部14は、例えば、舵角変化の高次成分の絶対値が舵角閾値a以上となる頻度が頻度閾値未満である場合には、運転者疲労度合いが所定の程度未満に小さいと判定する。
【0025】
報知制御部16は、疲労判定部14によって判定される運転者の疲労度合いに応じて、表示器20およびスピーカ21から運転者に報知を行う。
【0026】
本実施の形態による疲労検出装置10は上記構成を備えており、次に、この疲労検出装置10の動作について、
図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0027】
先ず、疲労判定部14は、運転者がステアリングホイール22を両手で把持していることが心拍検出部12によって検出されたか否かを判定する(ステップS01)。
この判定結果が「YES」の場合(ステップS01:YES)には、疲労判定部14は、処理をステップS02に進める。
一方、この判定結果が「NO」の場合(ステップS01:NO)には、疲労判定部14は、処理をステップS03に進める。
【0028】
次に、疲労判定部14は、舵角閾値に第1閾値を設定する(ステップS02)。
また、疲労判定部14は、舵角閾値に第1閾値よりも大きい第2閾値を設定する(ステップS03)。
次に、疲労判定部14は、舵角センサ13によって検出されるステアリングホイール22の舵角(操舵角)を取得する(ステップS04)。
【0029】
次に、疲労判定部14は、運転者による修正操舵の舵角変化の高次成分が舵角閾値以上となる頻度が頻度閾値以上であるか否かを判定する(ステップS05)。
この判定結果が「NO」の場合(ステップS05:NO)には、疲労判定部14は、処理をエンドに進める。
一方、この判定結果が「YES」の場合(ステップS05:YES)には、疲労判定部14は、処理をステップS06に進める。
【0030】
次に、疲労判定部14は、第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rの各々に対する心拍検出部12からの平均出力の差を用いて、四肢誘導(つまり、第I誘導)により得られる心拍のR波の波形パターンを検出する(ステップS06)。
次に、疲労判定部14は、例えば、前回の心拍検出から所定時間(例えば、数秒など)以内に今回の心拍検出が行われたか否かなどを判定することによって、心拍のR波が連続的に検出されたか否かを判定する(ステップS07)。
この判定結果が「YES」の場合(ステップS07:YES)には、疲労判定部14は、処理をステップS08に進める。
一方、この判定結果が「NO」の場合(ステップS07:NO)には、疲労判定部14は、処理をステップS09に進める。
【0031】
次に、疲労判定部14は、前回に検出した心拍のR波と今回に検出した心拍のR波との間の時間間隔(心拍間隔Y)を算出して、内蔵のRAMなどに記憶する(ステップS08)。
また、疲労判定部14は、内蔵のRAMなどに記憶している心拍間隔Yのデータを消去する(ステップS09)。そして、疲労判定部14は、処理をエンドに進める。
【0032】
次に、疲労判定部14は、内蔵のRAMなどに記憶した心拍間隔Yの前回値のデータが存在するか否かを判定する(ステップS10)。
この判定結果が「YES」の場合(ステップS10:YES)には、疲労判定部14は、処理をステップS11に進める。
一方、この判定結果が「NO」の場合(ステップS10:NO)には、疲労判定部14は、処理をエンドに進める。
【0033】
次に、疲労判定部14は、基準波形記憶部15から運転者ごとに固有である心拍間隔Yのゆらぎの基準波形のデータを読み込む。そして、疲労判定部14は、内蔵のRAMなどに記憶した心拍間隔Yの前回値および今回値と、心拍間隔Yの前回値から今回値への変化量とが、所定の誤差範囲で基準波形に当てはまるか否かを判定する(ステップS11)。
この判定結果が「YES」の場合(ステップS11:YES)には、疲労判定部14は、処理をステップS12に進める。
一方、この判定結果が「NO」の場合(ステップS11:NO)には、疲労判定部14は、処理をステップS13に進める。
【0034】
次に、報知制御部16は、運転者の疲労度合いが所定の程度未満であることを、表示器20およびスピーカ21から運転者に報知する(ステップS12)。そして、疲労判定部14は、処理をエンドに進める。
また、報知制御部16は、運転者の疲労度合いが所定の程度以上であることを、表示器20およびスピーカ21から運転者に報知する(ステップS13)。そして、疲労判定部14は、処理をエンドに進める。
【0035】
上述したように、本実施の形態による疲労検出装置10によれば、心拍間隔Yのゆらぎの基準波形の一部と、心拍検出部12によって検出される心拍間隔Yのゆらぎの波形の一部とを比較することによって、運転者の疲労度合いを迅速かつ容易に判定することができる。
さらに、心拍間隔Yのゆらぎに加えて、運転者による修正操舵の大きさおよび頻度の少なくとも何れかを用いることによって、運転者の疲労度合いの判定精度を向上させることができる。
【0036】
以下、上述した実施形態の変形例について説明する。
上述した実施形態において、心拍検出部12は、静電容量センサを形成するアンテナ電極としての第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rを用いて、運転者の心拍に関連する信号を出力するとしたが、これに限定されない。
実施形態の変形例において、心拍検出部12は、例えば、運転者の手に直接的に接触する電極としての第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rを用いて、運転者の心拍に関連する信号を出力してもよい。この変形例における第1センサ(L)11Lおよび第2センサ(R)11Rは、例えば、ステアリングホイール22の左右それぞれの表面上に設けられる電極などであってもよい。
【0037】
なお、上述した実施形態において、疲労判定部14は、運転者による修正操舵の舵角変化の高次成分が舵角閾値以上となる頻度が頻度閾値以上であるか否かを判定するとしたが、これに限定されない。疲労判定部14は、例えば、頻度の判定を省略して、運転者による修正操舵の舵角変化の高次成分が舵角閾値以上となるか否かを判定してもよい。
【0038】
なお、上述した実施形態において、報知制御部16は、表示器20およびスピーカ21に加えて、ステアリング振動またはシート振動による報知を行ってもよい。
【0039】
上述した実施形態において、心拍検出部12、疲労判定部14、および報知制御部16の一部、または全部は、CPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することにより機能する機能部であってもよい。また、これら構成を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよく、これら構成の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0040】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。