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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-202387(P2016-202387A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】超音波プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20161111BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20161111BHJP
【FI】
   A61B8/14
   H01L23/12 H
   H01L23/12 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-85196(P2015-85196)
(22)【出願日】2015年4月17日
(71)【出願人】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100105407
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 正人
(72)【発明者】
【氏名】金指 和幸
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE02
4C601GA04
4C601GA40
4C601GD04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】信号に対する雑音混入を抑制する超音波プローブを提供する。
【解決手段】超音波プローブ2は、超音波を送受信し、かつ、超音波信号と電圧信号とを相互に変換するトランスデューサ10と、トランスデューサ10にパルス電圧信号を送信し、かつ、トランスデューサ10から電圧信号を受信する第1回路11と、第1回路11から受信した電圧信号をアナログ値からデジタル値に変換する第2回路12と、第1回路11及び第2回路12に電力を供給する電池ユニット18と、トランスデューサ10、第1回路11及び第2回路12が設けられた基板と、を備え、第1回路11は、基板の第1面に配置され、第2回路12は、基板の第1面の反対側の第2面に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信し、かつ、超音波信号と電圧信号とを相互に変換するトランスデューサと、
前記トランスデューサにパルス電圧信号を送信し、かつ、前記トランスデューサから前記電圧信号を受信する第1回路と、
前記第1回路から受信した前記電圧信号をアナログ値からデジタル値に変換する第2回路と、
前記第1回路及び前記第2回路に電力を供給する電池ユニットと、
前記トランスデューサ、前記第1回路及び前記第2回路が設けられた基板と、
を備え、
前記第1回路は、前記基板の第1面に配置され、
前記第2回路は、前記基板の前記第1面の反対側の第2面に配置されていることを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】
前記第1回路と前記第2回路とを接続する複数の第1接続配線を更に備え、
前記複数の第1接続配線の其々が、平面視で互いに交差しないようにして前記基板内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
デジタル値に変換された前記電圧信号を前記第2回路から受信する第3回路と、
前記第2回路と前記第3回路とを接続する第2接続配線と、
を更に備え、
前記第3回路は、前記基板の前記第1面又は前記第2面に配置され、
前記複数の第1接続配線と前記第2接続配線とが、平面視で互いに交差しないようにして前記基板内に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記第1回路及び前記第2回路に供給される電力を制御する第1電源回路と、
前記第3回路に供給される電力を制御する第2電源回路と、
を更に備える請求項3に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記第1電源回路は、DC−DCコンバータであり、
前記トランスデューサは、振動子を有し、
前記振動子の共振周波数を含む所定周波数と、前記DC−DCコンバータの動作周波数とを異ならせることを特徴とする請求項4に記載の超音波プローブ。
【請求項6】
前記基板と対向して配置され、前記電池ユニットが設けられた第2基板を更に備え、
前記電池ユニットは、前記第1回路と向かい合うようにして前記第2基板に配置されていることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の超音波プローブ。
【請求項7】
前記基板と対向して配置され、前記電池ユニットが設けられた第2基板を更に備え、
前記電池ユニットは、前記第2回路と向かい合うようにして前記第2基板に配置されていることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の超音波プローブ。
【請求項8】
前記基板の前記第1面に配置された前記第1回路との複数の接続端子は、前記基板の前記第2面に配置された前記第2回路との複数の接続端子を平面視で囲むように形成されていることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の超音波プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
被検体、例えば、人体内の超音波画像を取得して、診断に供する超音波画像診断装置が用いられている。図11は、超音波画像診断装置90のブロック図である。超音波画像診断装置90は、トランスデューサ91、IC(Integrated Circuit)チップ92〜94及びモニタ95を備える。
【0003】
トランスデューサ91は、超音波を送信し、被検体によって反射された超音波(エコー)を受信する。ICチップ92は、高電圧のパルスをトランスデューサ91に送信し、トランスデューサ91からエコーに応じた電圧信号(以下、エコー信号)を受信する。ICチップ92は、エコー信号をICチップ93に送信する。ICチップ93は、エコー信号を受信し、エコー信号をアンプで増幅した後、デジタル値に変換する。ICチップ93は、デジタル値に変換されたエコー信号をICチップ94に送信する。ICチップ94は、デジタル値に変換されたエコー信号を受信し、デジタル値に変換されたエコー信号に基づいて画像処理を行って画像を生成し、モニタ95に画像を表示する。
【0004】
トランスデューサ91とICチップ92との接続はアナログケーブルが用いられている。このアナログケーブルは、N−chの同軸ケーブルの束である。アナログケーブルは、高電圧(例えば、100V以上の電圧)の信号を伝達する一方で、トランスデューサ91からの微弱な信号を低雑音で伝搬させるためコストが高い。トランスデューサ91はプローブ内に設けられ、ICチップ92〜94及びモニタ95は装置本体に設けられる。プローブを診断箇所に当てて超音波診断が行われるため、ケーブルの長さによって診断箇所が制限される場合がある。また、ケーブルと人体とが接触することによる衛生面を考慮する必要がある。そのため、トランスデューサ91及びICチップ92〜94をプローブ内に収容し、プローブとモニタ95とを無線接続することにより、プローブとモニタ95との間をケーブルレスとする技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002−530142号公報
【特許文献2】特表2010−528696号公報
【特許文献3】特表2003−506172号公報
【特許文献4】特開2007−244580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プローブとモニタ95との間をケーブルレスとする場合、トランスデューサ91及びICチップ92〜94に電力を供給する電源をプローブ内に収容することになる。したがって、プローブの低電力化が要求されている。パルスの電圧を大幅に下げる(例えば、電圧を100Vから25Vに変更する)ことにより、低電力化が図られる。しかし、パルスの電圧を下げると、超音波の送受信パワーも減衰するため、エコー信号に雑音が混入すると、エコー信号に基づいて生成される画像が劣化するおそれがある。
【0007】
本願の一つの側面では、信号に対する雑音混入を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の一つの側面による超音波プローブは、超音波を送受信し、かつ、超音波信号と電圧信号とを相互に変換するトランスデューサと、前記トランスデューサにパルス電圧信号を送信し、かつ、前記トランスデューサから前記電圧信号を受信する第1回路と、前記第1回路から受信した前記電圧信号をアナログ値からデジタル値に変換する第2回路と、前記第1回路及び前記第2回路に電力を供給する電池ユニットと、前記トランスデューサ、前記第1回路及び前記第2回路が設けられた基板と、を備え、前記第1回路は、前記基板の第1面に配置され、前記第2回路は、前記基板の前記第1面の反対側の第2面に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本願の一つの側面によれば、信号に対する雑音混入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、超音波画像診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、超音波プローブの構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、ICチップ(第1のIC)の構成の一例を示す図である。
図4図4は、ICチップ(第2のIC)の構成の一例を示す図である。
図5A図5Aは、超音波プローブの部分断面図である。
図5B図5Bは、超音波プローブの部分断面図である。
図5C図5Cは、超音波プローブの部分断面図である。
図6図6は、ICチップ(第1のIC、第2のIC)の配置の一例を示す図である。
図7図7は、電池ユニットの配置の一例を示す図である。
図8図8は、電池ユニットの配置の一例を示す図である。
図9図9は、超音波プローブの部分断面図である。
図10図10は、ICチップ(第1のIC、第2のIC)の配置の一例を示す図である。
図11図11は、超音波画像診断装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態に係る超音波プローブについて説明する。以下に示す超音波プローブの構成は例示であり、実施形態に係る超音波プローブの構成は、以下に示す構成に限定されない。
【0012】
図1は、超音波画像診断装置1の構成の一例を示すブロック図である。超音波画像診断装置1は、超音波プローブ2、画像処理部3及びモニタ4を備える。超音波プローブ2と画像処理部3とは無線により相互に通信が可能である。すなわち、超音波プローブ2と画像処理部3との間はケーブルレスとなっている。画像処理部3とモニタ4との間はケーブルを介して有線接続されている。ただし、画像処理部3とモニタ4との間を無線接続してもよい。
【0013】
図2は、超音波プローブ2の構成の一例を示すブロック図である。超音波プローブ2は、トランスデューサ10、ICチップ(第1のIC)11、ICチップ(第2のIC)12、ICチップ(第3のIC)13、無線モジュール14、アンテナ15、電源IC16、17及び電池ユニット18を備える。超音波プローブ2内に、トランスデューサ10、ICチップ11〜13、無線モジュール14、アンテナ15、電源IC16、17及び電池ユニット18が収容されている。ICチップ11は、第1回路の一例である。ICチップ12は、第2回路の一例である。ICチップ13は、第3回路の一例である。
【0014】
トランスデューサ10は、超音波を送信し、被検体によって反射された超音波(エコー)を受信する。また、トランスデューサ10は、超音波信号と電圧信号とを相互に変換する。トランスデューサ10は、短冊状に配列された複数の振動子を有している。振動子は、圧電素子等の圧電体と、圧電体の両側に形成された電極とを有している。電極に電圧が印加され、圧電体が伸縮することにより各振動子から超音波が発生する。また、各振動子が超音波を受信することにより伸縮して電気信号を発生する。トランスデューサ10は、各振動子が発生した電気信号に基づいて、エコーに応じた電圧信号(以下、エコー信号)をICチップ11に送信する。
【0015】
ICチップ11は、高電圧のパルス(パルス電圧信号)をトランスデューサ10に送信し、トランスデューサ10からエコー信号を受信する。ICチップ11は、エコー信号をICチップ12に送信する。図3は、ICチップ11の構成の一例を示す図である。ICチップ11は複数の接続端子111及び複数の送受信回路112を有する。接続端子111は、トランスデューサ10との接続に用いられる。送受信回路112は、接続端子111を介して、トランスデューサ10へパルス電圧信号を送信し、トランスデューサ10からのエコー信号を受信する。ICチップ11の1辺又は複数辺に沿って、複数の接続端子111がICチップ11に配置されている。図3に示す例では、ICチップ11の3辺に沿って、複数の接続端子111がICチップ11に配置されている。
【0016】
また、ICチップ11は、制御回路113、出力セレクタ回路114、複数の制御端子115及び複数の出力端子116を有する。制御回路113は、制御端子115を介してICチップ13からの制御信号を受信し、制御信号に基づいて、ICチップ11の動作を制御する。制御回路113に入力される制御信号に基づいて、任意のチャネル(接続端子111及び送受信回路112を含む送信経路)が選択され、ICチップ11からトランスデューサ10にパルス電圧信号が送信される。
【0017】
出力セレクタ回路114は、制御回路113に入力される制御信号に基づいて、出力セレクタ回路114に入力されるエコー信号を選択し、選択されたエコー信号を複数の出力端子116を介してICチップ12に出力する。したがって、制御回路113に入力される制御信号に基づいて、任意のチャネル(接続端子111及び送受信回路112を含む送信経路)が選択され、ICチップ11からICチップ12にエコー信号が送信される。出力端子116は、ICチップ12との接続に用いられる。図3に示す例では、ICチップ11の1辺に沿って、複数の出力端子116がICチップ11に配置されている。出力端子116は、ICチップ11の接続端子111が配置されている辺とは異なる辺に配置されている。図3に示す例では、最大8チャネル分のエコー信号が、複数の出力端子116(a1〜a8)を介してICチップ12に送信される。
【0018】
ICチップ12は、ICチップ11からエコー信号を受信し、エコー信号をアンプで増幅し、増幅されたエコー信号をアナログ値からデジタル値に変換する。図4は、ICチップ12の構成の一例を示す図である。ICチップ12は、複数の接続端子121、複数の信号調整回路122、制御回路123、複数の制御端子124、出力バッファ125及び複数の出力端子126を備える。複数の接続端子121は、ICチップ11との接続に用いられる。複数の出力端子126は、ICチップ13との接続に用いられる。また、ICチップ12は、ICチップ11からエコー信号を受信し、エコー信号をアナログ値からデジタル値に変換してもよい。すなわち、ICチップ12は、エコー信号を増幅させずに、エコー信号をアナログ値からデジタル値に変換してもよい。
【0019】
信号調整回路122は、例えば、AFE(Analog Front End)である。信号調整回路122は、アンプ127及びADC(Analog to Digital Converter)128を有する。ア
ンプ127は、入力されるエコー信号を増幅する。ADC128は、入力されるエコー信
号をアナログ値からデジタル値に変換して出力する。すなわち、ADC128は、アナログのエコー信号をデジタルのエコー信号に変換する。ADC128から出力されるエコー信号は、出力バッファ125及び出力端子126を介してICチップ13に送信される。ICチップ12が、エコー信号を増幅させずに、エコー信号をアナログ値からデジタル値に変換する場合、アンプ127を省略してもよい。
【0020】
制御回路123は、制御端子124を介してICチップ13からの制御信号を受信し、制御信号に基づいて、ICチップ12の動作を制御する。制御端子124を介して入力される制御信号は、アンプ127のゲインを制御する信号を含む。
【0021】
図4に示す例では、信号調整回路122が各チャネルに対して配置されており、最大8チャネル分のエコー信号が増幅及びA/D変換される。図4に示す例では、ICチップ12の対向する2辺の其々に沿って4つの接続端子121が配置されている。したがって、ICチップ12の対向する2辺の其々に対して4チャネル分のエコー信号が入力される。図4に示す例では、ICチップ12の接続端子が配置されている辺とは異なる1辺に沿って制御端子124が配置され、ICチップ12の制御端子124が配置されている辺と対向する辺に沿って出力端子126が配置されている。したがって、ICチップ12は、アナログのエコー信号が入力される部分と、デジタルのエコー信号が出力される部分とが分離されている。また、ICチップ12は、アナログのエコー信号が入力される部分と、制御信号が入力される部分とが分離されている。
【0022】
ICチップ13は、ICチップ11、12に制御信号を送信する。ICチップ13は、ICチップ12からデジタルのエコー信号を受信する。ICチップ13は、エコー信号に基づいて画像処理を行い、画像信号を生成する。ICチップ13は、画像信号を無線モジュール14に送信する。無線モジュール14は、ICチップ13から画像信号を受信する。無線モジュール14は、アンテナ15を介して画像処理部3が有する無線モジュールに、画像信号を無線送信する。画像処理部3は、画像信号に基づいて画像をモニタ4に表示する。画像処理部3は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、ROM
(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ(記憶装置)とを備えるコンピュータである。モニタ4は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ及び有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等
の表示装置である。
【0023】
ICチップ13が、エコー信号を無線モジュール14に送信し、無線モジュール14は、ICチップ13からエコー信号を受信してもよい。この場合、無線モジュール14は、アンテナ15を介して画像処理部3が有する無線モジュールに、エコー信号を無線送信する。画像処理部3は、エコー信号に基づいて画像処理を行い、画像信号を生成し、画像信号に基づいて画像をモニタ4に表示する。
【0024】
トランスデューサ10とICチップ11とを接続する接続配線(信号線)、及びICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線は、微弱なエコー信号が送受信される配線である。そのため、トランスデューサ10とICチップ11とを接続する接続配線、及びICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線は、十分な雑音対策が要求されている。トランスデューサ10とICチップ11とを接続する接続配線、及びICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線における雑音対策について説明する。トランスデューサ10とICチップ11とを接続する接続配線は、第1接続配線の一例である。ICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線は、第2接続配線の一例である。
【0025】
雑音対策として、超音波プローブ2が備える基板において、雑音源となり得る信号配線との交差を避けたり、シールドを行ったりすることが挙げられる。雑音源は、例えば、ス
イッチング雑音や外部からの輻射雑音である。
【0026】
図5A図5Cは、超音波プローブ2の部分断面図である。図5A図5Cに示すように、配線板20にトランスデューサ10及びICチップ11〜13が設けられ、トランスデューサ10及びICチップ11〜13は、配線板(基板)20の内層配線及びスルーホールを用いて接続されている。内層配線は、例えば、銅(Cu)等で形成された金属配線である。スルーホールは、配線板20に設けられた孔と、孔の側壁に形成された銅めっきとを有する。スルーホールは、ビアとも呼ばれる。トランスデューサ10は、配線板20の側面に取り付けられている。配線板20は、例えば、PCB(Printed Circuit Board
)である。配線板20は、基板の一例である。配線板20を2層以上の多層配線とすることで、配線板20の内部における上下左右の層でのクロストークの発生を抑制することができる。また、配線板20の内層配線の周囲をグランドシールドすることにより、超音波プローブ2の外部からの雑音混入を抑制することができる。
【0027】
図5Aは、トランスデューサ10とICチップ11とを接続する接続配線を示している。配線板20の上面(第1面)にICチップ11が配置されている。配線板20の上面にコネクタ21及びパッド(電極)22が形成されている。配線板20の内部にスルーホール23、24及び内層配線25が形成されている。コネクタ21とスルーホール23とが電気的に接続され、パッド22とスルーホール24とが電気的に接続されている。内層配線25は、スルーホール23、24の其々と電気的に接続されている。ICチップ11の接続端子111とパッド22とが電気的に接続されている。
【0028】
トランスデューサ10の接続端子101がコネクタ21に接触し、トランスデューサ10の接続端子101とコネクタ21とが電気的に接続することにより、トランスデューサ10とICチップ11とが電気的に接続される。スルーホール23、24及び内層配線25の周囲には、グランドに接続されたグランド線が形成され、スルーホール23、24及び内層配線25の周囲がグランドシールドされている。したがって、トランスデューサ10とICチップ11とを接続する接続配線(図5Aに示す例では、スルーホール23、24及び内層配線25を含む配線)を伝播する(通る)エコー信号に対する雑音混入が抑制される。
【0029】
図5Bは、ICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線を示している。配線板20の上面にICチップ11が配置され、配線板20の下面(第2面)にICチップ12が配置されている。配線板20の下面は、配線板20の上面の反対側の面である。配線板20の上面にパッド(電極)26が形成されている。配線板20の下面にパッド(電極)27が形成されている。配線板20の内部にスルーホール28、29及び内層配線30が形成されている。
【0030】
パッド26とスルーホール28とが電気的に接続され、パッド27とスルーホール29とが電気的に接続されている。内層配線30は、スルーホール28、29の其々と電気的に接続されている。ICチップ11の出力端子116とパッド26とが電気的に接続されている。ICチップ12の接続端子121とパッド27とが電気的に接続されている。これらの電気的な接続により、ICチップ11とICチップ12とが電気的に接続される。
【0031】
図5Bに示すように、配線板20の上面にICチップ11が配置され、配線板20の下面にICチップ12が配置されている。すなわち、ICチップ11とICチップ12とが、配線板20の上下面(表裏面)に配置されている。そのため、ICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線(図5Bに示す例では、スルーホール28、29及び内層配線30を含む配線)を短くすることができる。ICチップ11、12の両方を配線板20の同一面に配置する場合と比較して、ICチップ11とICチップ12とを接続する接
続配線を短くすることができる。ICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線を短くすることにより、ICチップ11とICチップ12を接続する接続配線を伝播するエコー信号に対する雑音混入が抑制される。また、ICチップ11、12の両方を配線板20の同一面に配置する場合と比較して、ICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線の領域を小さくすることができる。
【0032】
スルーホール28、29及び内層配線30の周囲には、グランドに接続されたグランド線が形成され、スルーホール28、29及び内層配線30の周囲がグランドシールドされている。したがって、ICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線を伝播するエコー信号に対する雑音混入が抑制される。
【0033】
図5Cは、ICチップ11とICチップ13とを接続する接続配線及びICチップ12とICチップ13とを接続する接続配線を示している。配線板20の上面にICチップ11が配置され、配線板20の下面にICチップ12、13が配置されている。図5Cに示す例では、配線板20の下面にICチップ13を配置しているが、配線板20の上面にICチップ13を配置してもよい。配線板20の上面にパッド(電極)31が形成されている。配線板20の下面にパッド(電極)32、33が形成されている。配線板20の内部にスルーホール34、35、36及び内層配線37が形成されている。
【0034】
パッド31とスルーホール34とが電気的に接続され、パッド32とスルーホール35とが電気的に接続され、パッド33とスルーホール36とが電気的に接続されている。内層配線37は、スルーホール34、35、36の其々と電気的に接続されている。ICチップ11の制御端子115とパッド31とが電気的に接続されている。ICチップ12は、複数の外部端子129を有する。外部端子129は、制御端子124又は出力端子126である。ICチップ12の外部端子129とパッド32とが電気的に接続されている。ICチップ13は、複数の外部端子131を有する。外部端子131は、制御端子又は信号端子である。ICチップ13の外部端子131とパッド33とが電気的に接続されている。ICチップ11とICチップ13とが電気的に接続され、ICチップ12とICチップ13とが電気的に接続されている。これらの電気的な接続により、ICチップ11とICチップ13とが電気的に接続され、ICチップ12とICチップ13とが電気的に接続される。
【0035】
スルーホール34、35、36及び内層配線37の周囲には、グランドに接続されたグランド線が形成され、スルーホール34、35、36及び内層配線37の周囲がグランドシールドされている。したがって、ICチップ11とICチップ13とを接続する接続配線(図5Cに示す例では、スルーホール34、36及び内層配線37を含む配線)を伝播する制御信号に対する雑音混入が抑制される。また、ICチップ12とICチップ13とを接続する接続配線(図5Cに示す例では、スルーホール34、35及び内層配線37を含む配線)を伝播する制御信号又はエコー信号に対する雑音混入が抑制される。
【0036】
図6は、ICチップ11、12の配置の一例を示す図である。図6では、配線板20におけるICチップ11の配置位置と、配線板20におけるICチップ12の配置位置とを平面視で透視的に示している。図6に示すように、ICチップ11の出力端子116及びICチップ12の接続端子121を繋ぐ複数の配線が図示されている。ICチップ11の出力端子116及びICチップ12の接続端子121を繋ぐ配線が、ICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線である。ICチップ11とICチップ12とを接続する複数の接続配線の其々が、平面視で互いに交差しないようにして配線板20内に形成されている。したがって、ICチップ11とICチップ12とを接続する複数の接続配線におけるクロストークの発生が抑制される。また、ICチップ11の接続端子111はICチップ12の接続端子121を平面視で囲むように形成されている。このようにICチッ
プ11とICチップ12の接続端子を交差させないことにより接続端子部分でのクロストークの発生が抑制される。
【0037】
図6に示すように、ICチップ11とICチップ12とを接続する複数の接続配線が、ICチップ12の出力端子126に繋がっている複数の配線と平面視で交差しないようにして配線板20内に形成されている。ICチップ12の出力端子126に繋がっている配線は、ICチップ12とICチップ13とを接続する接続配線であって、ICチップ12からICチップ13に送信されるデジタル信号が伝播する配線である。ICチップ12とICチップ13とを接続する接続配線は、第2接続配線の一例である。
【0038】
ICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線は、ICチップ11からICチップ12に送信されるエコー信号が伝播する。ICチップ12の出力端子126に繋がっている接続配線は、ICチップ12からICチップ13に送信されるエコー信号が伝播する。ICチップ11からICチップ12に送信されるエコー信号は、微弱なアナログ信号である。一方、ICチップ12からICチップ13に送信されるエコー信号は、高速なデジタル信号であり、スイッチングノイズの影響を考慮する必要がある。そのため、ICチップ11からICチップ12に送信されるエコー信号が伝播する接続配線と、ICチップ12からICチップ13に送信されるエコー信号が伝播する接続配線とが、平面視で交差しないようにして配線板20内に形成されている。これにより、ICチップ11からICチップ12に送信されるエコー信号に対する雑音混入が抑制される。したがって、雑音感度の高い配線に対する雑音対策を施すことができる。
【0039】
ICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線と、ICチップ12の制御端子124に繋がっている配線とが配線板20の異なる層に配置されている。そのため、図6に示すように、ICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線と、ICチップ12の制御端子124に繋がっている配線とが、平面視で部分的に交差している。ICチップ12の制御端子124に繋がっている配線は、ICチップ13からICチップ12に送信される制御信号が伝播する。ICチップ13からICチップ12に送信される制御信号は、低速なデジタル信号であるため、ICチップ11からICチップ12に送信されるエコー信号に対する雑音混入の影響が小さい。
【0040】
図2に戻り、電源IC16、17及び電池ユニット18について説明する。電源IC16は、ICチップ11、12に供給される電力を制御する。すなわち、電源IC16は、電池ユニット18から入力される電力の電圧を昇圧又は降圧して、ICチップ11、12に電力を供給する。電源IC17は、ICチップ13に供給される電力を制御する。すなわち、電源IC17は、電池ユニット18から入力される電力の電圧を昇圧又は降圧して、ICチップ13に電力を供給する。電池ユニット18は、外部電源に接続され、外部電源からの電力供給を受けて、電力を蓄積する。電池ユニット18は、電源IC16を介して、ICチップ11、12に電力を供給し、電源IC17を介して、ICチップ13に電力を供給する。
【0041】
図2に示すように、ICチップ11、12には、電源IC16を介して、電源ユニット18から電力が供給され、ICチップ13には、電源IC17を介して、電源ユニット18から電力が供給される。ICチップ11、12には、アナログのエコー信号が入力されるため、電源IC16を介して、電池ユニット18からICチップ11、12に電力が供給されている。一方、ICチップ13には、デジタルのエコー信号が入力されるため、電源IC16とは異なる電源IC17を介して、電池ユニット18からICチップ13に電力が供給されている。ICチップ11、12を同じ電源IC(図2では電源IC16)で駆動し、ICチップ13を別の電源IC(図2では電源IC17)で駆動する。これにより、ICチップ13の電源ノイズが、電源ICを介してICチップ11、12に伝達され
ることを抑制できる。したがって、ICチップ11、12に入力されるエコー信号に対する雑音混入が抑制される。
【0042】
電源IC16、17は、例えば、DC−DCコンバータ又はLDO(Low Drop Out)である。DC−DCコンバータは、スイッチングレギュレータとも呼ばれ、LDOは、リニアレギュレータ又はシリーズレギュレータとも呼ばれる。DC−DCコンバータは、半導体素子による高速スイッチングで電力変換(電圧や電流の変換)を行うため、スイッチングノイズが発生する。トランスデューサ10の各振動子は、固有の周波数(例えば、6.5MHz)で共振する。
【0043】
電源IC16が、DC−DCコンバータである場合、電源IC16のスイッチング動作の動作周波数(スイッチング周波数)を、トランスデューサ10の各振動子の共振周波数からずらす。例えば、トランスデューサ10の各振動子の共振周波数を含む所定周波数帯域(所定周波数の幅)と、電源IC16のスイッチング動作の動作周波数とを異ならせる。これにより、トランスデューサ10からICチップ11に送信されるエコー信号及びICチップ11からICチップ12に送信されるエコー信号に対する雑音混入を抑制することができる。例えば、トランスデューサ10の各振動子の共振周波数を含む所定周波数帯域を6.5MHz以上9.5MHz以下とし、電源IC16のスイッチング動作の動作周波数を10MHzとしてもよい。なお、電源IC17が、DC−DCコンバータである場合、電源IC17のスイッチング動作の動作周波数を、トランスデューサ10の各振動子の共振周波数からずらしてもよい。
【0044】
図7は、電池ユニット18の配置の一例を示す図である。図7に示すように、超音波プローブ2は、配線板20と、配線板20と対向して配置された配線板(基板)40と、配線板20と配線板40との間に配置されたコネクタ41とを備える。配線板40は、第2基板の一例である。配線板40に電源IC16、17及び電池ユニット18が設けられている。配線板20の上面(主面)に支柱(図示せず)が設けられており、配線板20の支柱に配線板40が固定されている。配線板40の上面に電源IC16、17及び電池ユニット18が配置されている。なお、図7では、電源IC17の図示が省略されている。配線板40の上面は、配線板20の上面と対向する側の面である。配線板40の上面にパッド(電極)42、43が形成されている。
【0045】
電源IC16、17は、パッド42と電気的に接続され、電池ユニット18は、パッド43と電気的に接続されている。電源IC16、17及び電池ユニット18は、コネクタ41を介して配線板20と接続されている。すなわち、ICチップ11、12には、電源IC16及びコネクタ41を介して、電源ユニット18から電力が供給され、ICチップ13には、電源IC17及びコネクタ41を介して、電源ユニット18から電力が供給される。
【0046】
図7に示すように、電池ユニット18が、ICチップ11と向かい合うようにして配置され、ICチップ11と電池ユニット18との間には空間が設けられている。すなわち、図7に示す超音波プローブ2では、ICチップ11と電池ユニット18とが向かい合わせになるように、ICチップ11及び電池ユニット18が3次元的に実装されている。電池ユニット18は、雑音が小さく雑音源となり難い特徴を有する。そのため、電池ユニット18を、ICチップ11と向かい合うようにして配置することにより、電池ユニット18がシールドとして機能し、ICチップ11に対する超音波プローブ2の外部からの輻射雑音を低減できる。
【0047】
図7に示す電池ユニット18の配置例に限らず、図8に示すように、電池ユニット18を、ICチップ12と向かい合うようにして配置してもよい。図8は、電池ユニット18
の配置の一例を示す図である。配線板20の下面に支柱(図示せず)が設けられており、配線板20の支柱に配線板40が固定されている。配線板40の上面(主面)に電源IC16、17及び電池ユニット18が配置されている。なお、図8では、電源IC17の図示が省略されている。配線板40の上面は、配線板20の下面と対向する側の面である。
【0048】
図8に示すように、電池ユニット18が、ICチップ12と向かい合うようにして配置され、ICチップ12と電池ユニット18との間には空間が設けられている。すなわち、図8に示す超音波プローブ2では、ICチップ12と電池ユニット18とが向かい合わせになるように、ICチップ12及び電池ユニット18が3次元的に実装されている。電池ユニット18を、ICチップ12と向かい合うようにして配置することにより、電池ユニット18がシールドとして機能し、ICチップ12に対する超音波プローブ2の外部からの輻射雑音を低減できる。
【0049】
トランスデューサ10によって超音波が送受信されている間、トランスデューサ10からICチップ11にエコー信号を送信する間、及びICチップ11からICチップ12にエコー信号を送信する間、電池ユニット18への充電を停止する。電池ユニット18の充電中は、充電用IC(図示せず)が動作するため、充電用ICによるスイッチングノイズがエコー信号に影響を与える可能性がある。したがって、上記の期間、電池ユニット18への充電を停止することにより、充電用ICが発生するスイッチングノイズがエコー信号に混入することを抑止することができる。
【0050】
上記では、ICチップ11〜13の端子を用いて、ICチップ11〜13の相互間の電気的な接続を行う例を示している。この例に限らず、図9に示すように、BGA(Ball Grid Array)の半田ボールを用いて、ICチップ11〜13の相互間の電気的な接続を行
ってもよい。図9は、超音波プローブ2の部分断面図である。図9に示すように、ICチップ11〜13と配線板20との間に半田ボール50を設けることにより、ICチップ11〜13の相互間の電気的な接続が行われている。
【0051】
図4は、ICチップ12の対向する2辺の其々に沿って4つの接続端子121を配置する例を示している。図4に示す例に限らず、ICチップ12の1辺に沿って8つの接続端子121を配置してもよい。図10は、ICチップ12の1辺に沿って8つの接続端子121を配置した場合におけるICチップ11、12の配置の一例を示す図である。図10では、配線板20におけるICチップ11の配置位置と、配線板20におけるICチップ12の配置位置とを平面視で透視的に示している。
【0052】
ICチップ11とICチップ12とを接続する複数の接続配線の其々が、平面視で互いに交差しないようにして配線板20内に形成されている。したがって、ICチップ11とICチップ12とを接続する複数の接続配線におけるクロストークの発生が抑制される。また、図10に示すように、ICチップ11とICチップ12とを接続する複数の接続配線が、ICチップ12の制御端子124に繋がっている配線と平面視で交差しないようにして配線板20内に配置されている。したがって、ICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線及びICチップ12の制御端子124に繋がっている配線におけるクロストークの発生が抑制される。ICチップ12の制御端子124に繋がっている配線は、ICチップ12とICチップ13とを接続する接続配線であって、ICチップ13からICチップ12に送信される制御信号が伝播する配線である。
【0053】
超音波プローブ2によれば、トランスデューサ10とICチップ11とを接続する接続配線を伝播するエコー信号に対する雑音混入を抑制することができ、また、ICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線を伝播するエコー信号に対する雑音混入を抑制することができる。そのため、トランスデューサ10に送信されるパルスの電圧を下げ、
超音波の送受信パワーが減衰しても、エコー信号に対する雑音混入を抑制することができる。したがって、トランスデューサ10に送信されるパルスの電圧を下げることが可能となり、超音波プローブ2の低電力化が向上する。超音波プローブ2によれば、ICチップ11とICチップ12とを接続する接続配線の領域を小さくすることができるため、配線板20の実装面積が小さくなり、超音波プローブ2の小型化が向上する。
【符号の説明】
【0054】
1 超音波画像診断装置
2 超音波プローブ
3 画像処理部
4 モニタ
10 トランスデューサ
11〜13 ICチップ
14 無線モジュール
15 アンテナ
16、17 電源IC
18 電池ユニット
20、40 配線板
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11