【課題】 空気圧を用いた簡略な施療子移動機構として、施療子の移動範囲を十分に確保しつつ、施療手段及びこれが上下動する背もたれ部の大きさをコンパクト化できるマッサージ機を提供する。
【解決手段】 施療子を背もたれ部前後方向に移動させる手段として、空気の給排で膨縮するエアセル64を設け、このエアセル64の膨縮に伴ってリンク部材68を背もたれ部前後方向とは異なる向きに移動させ、このリンク部材68を介して施療子支持部材が傾動するようにして、支持部材端部の施療子を背もたれ部前後方向に進退移動させることから、施療子でのマッサージ実行や施療子の位置調整に係り、使用者の身体に対し施療子を進退させる動きを、エアセルの膨縮により生じさせて、施療子の駆動機構部60を簡略化できると共に、施療手段の前後方向の寸法をコンパクト化でき、施療手段及びこれを内蔵する背もたれ部の小型化、軽量化が図れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマッサージ機における施療子としての揉み玉を使用者に対し進退させる機構は、前記特許文献に示されるように、傾動機構としての揉み玉ユニットに歯部(ラック)を設けると共に、これと噛合して駆動源からの駆動力を伝達する歯車(ピニオンギヤ)を配設し、これらの歯車列を用いて、揉み玉及びその駆動用ユニットを傾動させて、揉み玉を進退可能とする構成とされている。
【0005】
こうした従来の機構では、揉み玉の駆動機構部分を前後に傾動させて揉み玉位置の進退調整を行うため、調整に係り駆動機構部分全体が動くための十分なスペースが背もたれ部の前後方向に必要であり、その結果揉み玉のメカユニット及びこれが内部で移動する背もたれ部をその前後方向にコンパクト化できないという課題を有していた。
【0006】
また、進退させるための傾動機構の駆動源としては一般に電動機が用いられ、これらが駆動力伝達の関係から傾動機構の直近、すなわち揉み玉の駆動機構部分又はこの駆動機構部分を傾動可能に支持する部材に配置されるため、背もたれ部を上下する機構部分全体の重量が大きくなり、それを支える背もたれ部をはじめとするマッサージ機のフレーム部分も一定の強度が必要となり、全体的な重量増を招いていた。
【0007】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、空気圧を用いた簡略な施療子移動機構として、施療子の移動範囲を十分に確保しつつ、施療手段及びこれが上下動する背もたれ部の大きさをコンパクト化できるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の開示に係るマッサージ機は、座部と背もたれ部とを備えると共に、背もたれ部に内蔵されて、使用者の身体に対し所定のマッサージを実行する施療手段を有する、マッサージ機において、前記施療手段が、マッサージに係る刺激を使用者に与える施療子と、所定の傾動軸を中心に傾動可能に配設され、傾動軸位置に対し外方へ突出する端部に前記施療子を取り付けられる施療子支持部材と、当該施療子支持部材を傾動可能に支持し、マッサージに際し施療子支持部材を傾動させて施療子を使用者に対し動かす駆動機構部とを備え、当該駆動機構部は、前記施療子支持部材の前記傾動軸位置から離れた所定箇所で施療子支持部材に対して少なくとも傾動可能に連結され、施療子支持部材と連動して移動可能に配設されるリンク部材と、空気の給排による膨縮変形に伴わせて前記リンク部材を移動させる施療子移動用エアセルとを有し、当該施療子移動用エアセルが、膨縮によりリンク部材を少なくとも背もたれ部前後方向とは異なる向きに移動させ、リンク部材と連動する施療子支持部材を傾動させて、施療子の背もたれ部前後方向の位置を変化させるものである。
【0009】
このように本発明の開示によれば、施療子を背もたれ部前後方向に移動させる手段として、空気の給排で膨縮する施療子移動用エアセルを設け、このエアセルの膨縮に伴って所定のリンク部材を背もたれ部前後方向とは異なる向きに移動させ、このリンク部材を介して施療子支持部材が傾動するようにして、支持部材端部の施療子を背もたれ部前後方向に進退移動させることにより、施療子でのマッサージ実行や施療子の位置調整に係り、施療子の背もたれ部前後方向への移動、すなわち、使用者の身体に対し施療子を進退させる動きを、エアセルの膨縮により生じさせて、モータ及び減速機構を含む複雑な機構を用いずに済み、駆動機構部を簡略化できる。また、施療子移動用エアセルの膨縮に伴う動きを、リンク部材を用いて施療子支持部材の傾動に変換することで、エアセルの膨縮変形量と施療子の移動量を変えられるなど、施療子の動きの自由度を高くできると共に、エアセルの膨縮を直接的に施療子の背もたれ部前後方向への移動に用いる場合のように、施療子の移動量に相当するエアセルの膨縮スペースを背もたれ部前後方向に確保する必要がなく、施療手段の前後方向の寸法をコンパクト化でき、簡略化された必要最小限の機構構成と合わせて、施療手段及びこれを内蔵する背もたれ部の小型化、軽量化が図れ、マッサージ機全体としてのコストダウンも実現でき、使用者に対するマッサージをより低コストで効率よく行える。
【0010】
また、本発明の開示に係るマッサージ機は必要に応じて、前記駆動機構部が、施療子を外部に露出させた状態で施療子支持部材を傾動可能に支持する、少なくとも施療子移動用エアセルから膨縮に伴う力を受けても変形しない材質製のハウジングを有し、前記施療子移動用エアセルが、ハウジング外面所定位置に沿わせて配設され、膨縮に伴う変形でハウジングに対しリンク部材を移動させ、施療子支持部材を傾動させるものである。
【0011】
このように、本発明の開示によれば、容易に変形しない材質製のハウジングで施療子支持部材を傾動可能に支持する一方、ハウジングの外面に沿って施療子移動用エアセルを配置し、施療子移動用エアセルを用いてハウジングに対しリンク部材を動かすようにして、リンク部材と連結する施療子支持部材を傾動させることにより、ハウジングを起点としてエアセルの膨縮変形を生じさせて、リンク部材に膨縮に対応した動きを適切に与えることができ、エアセルの膨縮に伴う力をリンク部材から施療子支持部材に無理なく伝達してスムーズに施療子を移動させられる。
【0012】
また、本発明の開示に係るマッサージ機は必要に応じて、前記ハウジングの外側にハウジングに対し可動として設けられ、リンク部材の端部を連結される受圧部材を備え、前記施療子移動用エアセルが、ハウジング外面所定位置と受圧部材との間に配設され、膨縮に伴う変形で受圧部材をハウジングに対し動かし、受圧部材に取り付けられたリンク部材を背もたれ部上下方向に移動させ、施療子支持部材を傾動させるものである。
【0013】
このように、本発明の開示によれば、ハウジングの外面と受圧部材との間に施療子移動用エアセルを配置し、施療子移動用エアセルを用いてハウジングに対し受圧部材を動かすようにして、リンク部材の背もたれ部上下方向への移動を生じさせることにより、エアセルの膨縮がハウジングと受圧部材との間隔を変化させるものとなって、ハウジングを起点として生じるエアセルの膨縮変形を確実にリンク部材の動きに変換して利用でき、エアセルの圧力に起因する力の損失なくスムーズに施療子を移動させられる。また、エアセルの膨縮に伴わせてリンク部材を動かすためのスペースを、施療子を位置調整しようとする背もたれ部前後方向に対し直角をなす背もたれ部上下方向に設定でき、施療手段における前後方向の必要スペースを必要最小限とすることができ、施療手段をさらにコンパクト化して背もたれ部全体をより薄型化できる。
【0014】
また、本発明の開示に係るマッサージ機は必要に応じて、前記施療子移動用エアセルが、ハウジングの外側に複数段重ねて配設され、前記リンク部材端部が、重なる複数段のエアセルのいずれの膨縮によってもハウジングに対し移動可能とされ、前記施療手段が、少なくとも一つの段の施療子移動用エアセルを繰り返し膨縮させて、リンク部材を往復移動させ、リンク部材と連結する施療子支持部材を揺動させて、施療子を背もたれ部前後方向に繰り返し進退移動させ、使用者のマッサージ対象箇所を施療子で繰り返し叩く作動を実行するものである。
【0015】
このように本発明の開示によれば、施療子移動用エアセルを複数段配設し、施療子を背もたれ部前後方向へ移動させて位置調整等行う際には、いずれかの施療子移動用エアセルの膨縮に基づいて施療子支持部材を傾動させて、施療子の背もたれ部前後方向の動きを生じさせる一方、特に叩きのマッサージを行おうとする場合には、所定の施療子移動用エアセルの繰り返し膨縮でリンク部材を往復移動させ、このリンク部材の動きに連動して施療子支持部材が揺動するのに伴って、施療子の叩きに相当する繰り返しの動きを生じさせることにより、施療子の背もたれ部前後方向の位置調整等に係る単純移動と、叩きのマッサージ等に係る周期的に繰り返される移動とを、複数のエアセルの膨縮とそれぞれ対応させて同時に適切に行わせることができ、施療子を背もたれ部前後方向へ往復移動させる叩きのマッサージを行いながら、施療子の背もたれ部前後方向への位置調整で使用者の求めるマッサージ強度を得られ、調整に時間をかけることなく使用者にとって最適なマッサージ効果を与える状態にスムーズに移行でき、マッサージによる使用者のリラックス度合いを一層高められる。
【0016】
また、本発明の開示に係るマッサージ機は必要に応じて、前記施療子移動用エアセルに対し空気の給排を行う空気給排手段と、当該空気給排手段の作動を制御して施療子移動用エアセルへの空気給排状態を変化させ、施療子移動用エアセルの所定の膨縮状態を与える制御部とを備え、当該制御部が、あらかじめ与えられた設定又は使用者の操作に基づいて、空気給排手段の作動状態を制御調整し、空気給排に伴う施療子移動用エアセルの膨縮により施療子を移動させて、マッサージに係る施療子からの刺激の強度を調整するものである。
【0017】
このように本発明の開示によれば、制御部が、施療子移動用エアセルの膨縮に用いる空気給排手段の作動を制御し、使用者の操作等に基づく制御部の制御で、空気給排手段の空気給排に係る作動状態が変化すると、施療子移動用エアセルの膨縮状態も変わり、リンク部材や施療子支持部材を介して施療子も移動して、マッサージの際の施療子と使用者の身体との位置関係を変化させることにより、所定のマッサージ強度で施療子でのマッサージが行われる状態から、使用者の操作等に基づいて、制御部が空気給排手段に所定の変化を与えると、施療子が所定量移動して位置調整され、施療子による使用者への刺激の強さを所定の強度となるよう調整できることとなり、使用者の体格の個人差や使用者の姿勢等に伴う、マッサージ機上での施療子と使用者との位置関係の差異や、使用者の好みの違いによって、マッサージを受ける初期状態で使用者にとって所望のマッサージ強度とならない状況でも、制御部が空気給排手段を適宜制御すれば、施療子移動用エアセルの膨縮状態が調整され、施療子も位置調整されて使用者の望む強度でマッサージを行える状態が得られ、施療子の位置を別途センサ等で検出、把握して強度に係る施療子の特別な位置調整制御を行わなくても、使用者にとって適切で効率のよいマッサージを受けられる状態へ確実に移行できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るマッサージ機を前記
図1ないし
図10に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係るマッサージ機1は、座部12と背もたれ部13を有して、着座した使用者を支える椅子状のものであり、特に、背もたれ部13の内部に、前記施療子としての揉み玉51によるマッサージを実行可能な、前記施療手段としてのメカユニット50を備える構成である。
【0020】
この本実施形態に係るマッサージ機1の全体の構造は、床面上に載置されてマッサージ機全体を安定的に支持する基台部11と、この基台部11の上方で使用者の臀部を支える座部12と、この座部12の後側で使用者の背中を支える背もたれ部13と、座部12の左右両側で使用者の肘や前腕部を支える肘掛部14と、座部12の前側で使用者の脚や足を支える脚支持部15と、使用者の各種操作入力を受付ける操作部30と、メカユニット50をはじめ搭載された複数の施療手段におけるマッサージに係る作動を操作入力や記録情報等の内容に基づいて制御する制御部40とを備える構成である。
【0021】
前記基台部11は、椅子各部をなす前記座部12、背もたれ部13、肘掛部14、及び脚支持部15を一体に取付けられてこれらを支持するものである。また、前記座部12は、基台部11に対し座面の傾斜角度を調整可能として取付けられ、座面にて使用者の臀部や太腿部を支えつつ内蔵の施療手段でマッサージを実行するものである。この座部12の施療手段としては、空気の給排で膨縮する臀部用エアセル71、及び太腿用エアセル72を備える構成である。これらエアセルを空気の給排で膨縮作動させる前記空気給排手段としてのエアポンプ70が座部12下側のスペースに配設される。
【0022】
前記背もたれ部13は、人の背中形状に合せた表面形状とされて前記基台部11及び座部12に対し傾斜角度を調整可能として配設され、その内部に、マッサージを実行する施療手段を備える構成である。
【0023】
背もたれ部13内部には、施療子としての左右一対の揉み玉51とこれを動かす駆動機構部60が一体となったメカユニット50と、このメカユニット50を背もたれ部13上下方向に移動可能に支持しつつ、背もたれ部13の各部を内部から支える枠状の背もたれ部フレーム13aと、前記エアポンプ70による空気の給排で膨縮する背中用エアセル73及び腰用エアセル74とがそれぞれ配設される構成である。このうちメカユニット50、背中用エアセル73、及び腰用エアセル74が、それぞれマッサージを実行する施療手段をなす。
【0024】
なお、この背もたれ部13の左右両側部には、使用者に面する内面側にエアセル等の施療手段を設けた一対の側壁部を突出配設して、使用者の上腕部等に対して側方からマッサージを行えるようにすることもできる。
【0025】
前記背もたれ部フレーム13aは、メカユニット50を背もたれ部13上下方向に移動可能とし且つ他方向への動きは拘束して支持する左右一対のガイドフレーム13b間に、複数の横フレームを横方向に掛渡して一体に連結して、略梯子状のフレーム構造とされるものである。
【0026】
前記メカユニット50は、揉み、叩き等のマッサージに係る刺激を使用者に与える施療子としての左右一対の揉み玉51と、これら揉み玉51をそれぞれ突出状態で支持する施療子支持部材としての左右一対の揉み玉支持アーム52と、左右一対のガイドフレーム13b間に背もたれ部13上下方向に移動可能として配設され、揉み玉支持アーム52を傾動可能に支持しつつこれらを傾動させて、前記揉み玉51に揉み、叩き等のマッサージに対応する動きや位置調整等に係る移動を生じさせる駆動機構部60とを備える構成である。
【0027】
前記揉み玉支持アーム52は、駆動機構部60に所定の傾動軸を中心に傾動可能に支持され、傾動軸位置に対し外方へ突出する一端部に揉み玉51を取り付けられ、背もたれ部13の左右方向中心位置を挟んで左右に一対配設される構成である。
【0028】
前記駆動機構部60は、側端部を一対のガイドフレーム13bにそれぞれ上下走行可能に支持されるハウジング61と、このハウジング61と一体に配設され、制御部40の制御に基づいて揉み玉51に揉みに相当する動きを行わせるための駆動力を発生させる揉みモータ62と、ハウジング61の上部に揉み玉支持アーム52の傾動の中心軸と平行な軸を中心として傾動可能に配設される左右一対の第一受圧部材63と、ハウジング61と第一受圧部材63との間に配設され、制御部40の制御に基づく空気の給排で膨縮する、施療子移動用エアセルとしての第一エアセル64と、第一受圧部材63の上側に配設され、制御部40の制御に基づく空気の給排で膨縮する、他の施療子移動用エアセルとしての左右一対の第二エアセル66、67と、これら第二エアセル66、67の上側に取り付けられ、ハウジング61及び第一受圧部材63に対し移動可能として配設される第二受圧部材65と、一端部を第二受圧部材65に連結されると共に他端部を揉み玉支持アーム52に連結されてハウジング61近傍に可動状態で配設され、第一エアセル64及び第二エアセル66、67の膨縮に係る動きを揉み玉支持アーム52に伝達する左右一対のリンク部材68と、ハウジング61に内蔵されて、揉みモータ62からの駆動力を揉み玉支持アーム52に伝えて揉み玉支持アーム52及び揉み玉51を動かす揉み機構(図示を省略)とを備える構成である。
【0029】
なお、揉みモータ62及び揉み機構については、制御部40の制御に基づく揉みモータ62の回転駆動で、揉み玉支持アーム52を連続して左右や前後に揺動させ、アーム端部の揉み玉51に揉みの施療に相当する動きを生じさせる、公知のマッサージ機に用いられるものと同様の機構であり、詳細な説明を省略する。
【0030】
前記ハウジング61は、各エアセルの膨縮に伴う力を受けても変形しない強度を有する硬質の略箱状体で形成され、揉み玉支持アーム52をその揉み玉51のある一端部と反対側の他端部とはそれぞれ外部に露出させた状態として揉み玉支持アーム52を取り囲みつつ傾動可能に支持するものである。このハウジング61外面所定位置に沿わせて第一エアセル64が配設される。
【0031】
前記第一受圧部材63は、各エアセルの膨縮に伴う力を受けても変形しない強度を有する略板状体で形成され、揉み玉支持アーム52の傾動軸と平行な軸を中心に傾動可能としてハウジング61上部に取り付けられて、ハウジング61の外側でハウジング61に対し可動とされる構成である。
【0032】
前記第一エアセル64は、ハウジング61外面と第一受圧部材63との間に配設され、エアポンプ70と所定の空気給排管路で接続され、制御部40の制御に基づいたエアポンプ70による空気の給排で膨縮して、第一受圧部材63をハウジング61に対し傾動させるものである。
【0033】
この第一エアセル64は、膨縮変形を所定の向きに限定させて生じさせる構造とされ、ハウジング61やこれに傾動可能として取り付けられる第一受圧部材63に対し、第一エアセル64の膨縮変形方向をそれぞれ向かわせるようにして、ハウジング61と第一受圧部材63との間に第一エアセル64を配設する構造を採用することで、第一エアセル64の膨縮変形を第一受圧部材63の傾動に確実に変換できる。
【0034】
前記第二エアセル66、67は、第一受圧部材63の第一エアセル64のある側とは反対側に二つ並べて左右一対として配設され、エアポンプ70と所定の空気給排管路で接続され、制御部40の制御に基づいたエアポンプ70による空気の給排で膨縮して、これに重ねて設けられる第二受圧部材65を第一受圧部材63に対し遠ざけたり近付けたりするものである。
【0035】
前記第二受圧部材65は、エアセルの膨縮に伴う力を受けても変形しない強度を有する略板状体で形成され、各第二エアセル66、67の外面にそれぞれ一体に取り付けられ、リンク部材68の端部と連結されるものである。
【0036】
この第二受圧部材65は、左右の第二受圧部材65で共通となる略棒状の連絡部材65aを取り付けられて、左右の第二受圧部材65同士が連絡部材65aでつながれた状態とされる。ただし、左右の第二受圧部材65はそれぞれ連絡部材65aに対しこれを中心に傾動可能となっている。
【0037】
第二エアセル66、67及び第二受圧部材65は、背もたれ部13の左右方向中心位置を挟んで左右にそれぞれ配置され、第二エアセル66、67の膨縮で第一受圧部材63に対し第二受圧部材65を動かすことで、第二受圧部材65をハウジング61に対して移動可能とし、各第二受圧部材66、67と連結するリンク部材68をハウジング61に対し背もたれ部上下方向に移動させられる。
【0038】
二段重ねの第一エアセル64と第二エアセル66、67の間に硬質の第一受圧部材63を設けることで、直接エアセル同士が当接する場合のように、一方のエアセルの膨縮に伴う変形が他方のエアセルの変形を招いて変形分が吸収され、エアセル全体の変形量を小さくする事態を招かず、各エアセルの膨縮変形を確実にハウジング61に対する第二受圧部材65の移動に利用でき、第二受圧部材65に連結するリンク部材68を効率よく動かせる。
【0039】
前記リンク部材68は、揉み玉支持アーム52の傾動軸位置から離れた他端部の所定箇所に、揉み機構による揉み玉支持アーム52の各方向への動きに対応して前後左右各方向への傾動の自由度を有するジョイント部68aを用いて連結され、揉み玉支持アーム52と連動して移動可能に配設される略棒状部材であり、他の端部を第二受圧部材65に連結されるものである。
【0040】
リンク部材68は、揉み玉支持アーム52と同様に、背もたれ部の左右方向中心位置を挟んで左右に一対配設され、第一エアセル64や第二エアセル66、67の膨縮変形で第二受圧部材65がそれぞれ動くのに対応して移動し、連結する揉み玉支持アーム52を傾動させる。
【0041】
リンク部材68と第二受圧部材65との連結は、左右の第二受圧部材65同士をつなぐ連絡部材65aの左右両端部に、左右のリンク部材68端部が取り付けられる形でなされる。こうして、左右のリンク部材68端部も連絡部材65aで連結される状態となることで、第二エアセル66、67の膨縮変形に伴う第二受圧部材65の動きが適度に拘束され、仮に第二エアセル66、67の膨縮変形方向に制約がなくエアセルが不規則に膨縮変形し得る場合でも、第二受圧部材65に不規則な動きを生じさせず、第二エアセル66、67の膨縮変形を確実にリンク部材68の背もたれ部上下方向の移動に変換できる。
【0042】
第一エアセル64と第二エアセル66、67が、ハウジング61の外側に重ねて配設され、外方の第二エアセル66、67と一体に第二受圧部材65が設けられ、この第二受圧部材65にリンク部材98端部が連結する構造とされることで、リンク部材68が、重なる第一エアセル64と第二エアセル66、67のいずれの膨縮とも連動してハウジング61に対し移動可能とされる仕組みである。
【0043】
こうして、第一及び第二の各エアセルが、空気の給排による膨縮変形に伴わせて第二受圧部材65をそれぞれ動かし、第二受圧部材65に連結されるリンク部材68を背もたれ部上下方向に移動させることで、揉み玉支持アーム52を傾動させて、揉み玉51の背もたれ部前後方向の位置を変化させられる。
【0044】
メカユニット50として、第一エアセル64のみを膨縮させた場合、第一受圧部材63をその外側の第二エアセル66、67及び第二受圧部材65と共に傾動させて、リンク部材68端部を動かすことで、リンク部材68及び揉み玉支持アーム52を介して揉み玉51を背もたれ部前後方向に移動させられ(
図7参照)、揉み玉51の背もたれ部前後方向の位置調整、すなわち、揉み玉の使用者に対する進退方向突出量調整に係る移動の他に、例えば指圧のマッサージに相当するような比較的遅く且つ弱い圧力付与を行わせるような揉み玉51の移動に利用できる。
【0045】
また、メカユニット50として、左右の第二エアセル66、67を交互に繰り返し膨縮させる場合、膨縮変形に伴う第二受圧部材65の繰り返しの動きに対応させてリンク部材68を往復移動させることで、リンク部材68と連結する揉み玉支持アーム52を揺動させ、揉み玉51を背もたれ部前後方向に繰り返し進退移動させられ(
図10参照)、使用者のマッサージ対象箇所を揉み玉51で繰り返し叩く作動を実行できる。
【0046】
このような揉み玉51に叩きのマッサージに相当する動きや別の揉み等に相当する動きを繰り返し生じさせる場合において、前記第一エアセル64の膨縮に基づく揉み玉51の背もたれ部前後方向への位置調整を実行すると、揉み玉51の繰り返し移動する範囲が変化し、叩きや揉み等に相当する刺激が加わる際の、揉み玉51と使用者との位置関係が近くなったり離れたりなど変わることで、使用者に加わる刺激の強さ、すなわち、揉みや叩き等の強度を調整できる。
【0047】
揉み玉51の移動のために揉み玉支持アーム52を傾動させる機構が、第一エアセル64や第二エアセル66、67を固定状態のハウジング61に対し膨縮変形させてリンク部材68を動かし、このリンク部材68を介して揉み玉支持アーム52を傾動させるものとされ、エアセルと揉み玉支持アーム52間にリンク部材68が介在して、エアセルと揉み玉支持アームを直接連結せずエアセルの膨縮で直接揉み玉支持アーム52を動かさない仕組みとされることで、エアセルの膨縮の向きと揉み玉51の移動の向きを異ならせることができ、背もたれ部前後方向に移動する揉み玉51に対し、例えばエアセルの膨縮を背もたれ部上下方向に向けるようにすれば、エアセルの膨縮変形量を十分確保して揉み玉の移動変位を大きくしつつ、駆動機構部60を背もたれ部前後方向にコンパクト化できる。
【0048】
また、リンク部材68の形状や各部との連結位置の設定で、各エアセルの膨縮変形とそれに基づく揉み玉51の移動量や移動速度との関係を自由に変えられるなど、揉み玉51の動きの自由度を大きくすることができ、例えば各エアセルの膨縮変形より速やかに揉み玉51を動かしてマッサージを実行したり、エアセルの膨縮変形量より大きなストロークで揉み玉を往復移動させることもできる。
【0049】
この駆動機構部60は、この他に、ハウジング61と一体に配設され、制御部40の制御に基づいて、メカユニット昇降用の駆動力を発生させる昇降モータ53を備える構成である。メカユニット昇降に係る機構は、公知のマッサージ機に用いられるものと同様の機構であり、駆動機構部60におけるハウジング61側端部を、一対のガイドフレーム13bにそれぞれ上下走行可能に支持されることで、メカユニット50はガイドフレーム13bに挟まれる配置状態となり、メカユニット50全体としてガイドフレーム13bに沿って移動可能とされる。
【0050】
そして、制御部40による制御に基づき、昇降モータ53が作動して、駆動機構部60がガイドフレーム13bを走行する状態となることで、メカユニット50全体が、ガイドフレーム13bに沿って背もたれ部13の上下に移動することとなり、背もたれ部13における揉み玉51の位置(揉み玉によるマッサージの対象部位)を上下に変えられる仕組みである。
【0051】
こうした駆動機構部60を含むメカユニット50は、設定されたマッサージの内容に応じて、制御部40による制御で、背もたれ部13の上下方向に移動し、揉み玉51の上下位置を調整されると共に、第一エアセル64の膨縮による揉み玉支持アーム52の傾動で、揉み玉51の背もたれ部13前後方向の位置を調整されて、揉み玉51をマッサージの対象箇所に位置させる。揉み玉51の移動後、又はこうした揉み玉51の移動と並行して、制御部40が、マッサージの種類に応じて、メカユニット50における駆動機構部60の揉みモータ62を作動させたり、第二エアセル66、67を空気給排により膨縮させ、揉み玉支持アーム52に、揉み玉51に設定された揉みや叩き等のマッサージに対応した動きを行わせることとなる。
【0052】
なお、前記第一エアセル64や第二エアセル66、67をはじめとする各エアセルに対する空気給排は、具体的には、電磁弁80a、・・・、80gでエアポンプ70とエアセルとを流通させ、エアポンプ70を作動させてエアセルに空気を送り込んで、エアセルを膨張させる給気と、電磁弁80a、・・・、80gを切り替えてエアセルから外部に空気が排出されるようにして、エアセルを収縮させる排気との組合せであり、公知のマッサージ用のエアセルに対する給排機構同様になされるものであり、詳細な説明を省略する。
【0053】
ただし、エアポンプを複数設けて、第一エアセル64や第二エアセル66、67を他のエアセルとは別のエアポンプで膨縮させるようにしたり、エアセルごとに小型のエアポンプをエアセル近傍に設けて、エアセルに対し個別に空気給排を行って膨縮させる構成とすることもでき、エアセルに対する空気給排をより速やかに実行可能として、制御指示に対する反応性が向上し、膨縮を迅速化して膨縮に基づく揉み玉51からの刺激付与の質を高められる。
【0054】
前記肘掛部14は、座部12の両側に配設され、背もたれ部13がリクライニング角度を変化させたり、座部12が傾動した場合でも、使用者の前腕を安定的に支持するよう形成される構成である。この肘掛部14にも、前記エアポンプ70による空気の給排で動作するエアセルを配設して、使用者の前腕部に対しマッサージを行える構成としてかまわない。
【0055】
前記脚支持部15は、座部12の前側に位置し、座部12前端付近を中心として傾動可能に配設されるものである。この脚支持部15にも、前記エアポンプ70による空気の給排で動作する脚用エアセルや、上下に移動しつつ脚を押圧するローラ等の施療手段を配設するようにしてかまわない。
【0056】
前記操作部30は、マッサージ機に対する各種操作入力を受付ける多数のスイッチや表示部を備え、マッサージ機1の側部におけるスタンド31に着脱自在に設置され、マッサージに係る操作入力を制御部40に送信するものである。なお、操作部30のスイッチや表示部の位置を使用者にとって最適位置とするために、スタンド31の位置は調整可能となっている。
【0057】
前記制御部40は、あらかじめ使用者の身体各部位置検出を実行して得られた検出結果に基づいて、施療手段やマッサージ機の他の各可動部分を使用者に対応した状態に調整すると共に、施療手段や他の各可動部分に対し、操作部の操作やあらかじめ記録設定された施療内容、また前記検出結果の情報に基づいて、適切なマッサージの実行のための制御を行うものである。
【0058】
この制御部40は、そのハードウェア構成として、CPUやメモリ、入出力インターフェース等を備えるコンピュータとなっており、メモリ等に格納されるプログラムにより、コンピュータを制御部40として動作させる仕組みである。この制御部40をなすコンピュータは、CPUやメモリ、ROM等を一体的に形成されたマイクロコンピュータとしてもかまわない。
【0059】
この制御部40をなすコンピュータのユニットは、座部12直下等のマッサージ機1内部の所定のスペースに配設され、操作部30と通信可能な状態とされると共に、メカユニット50の各種モータや、座部12や背もたれ部13、脚支持部15を傾動させる各アクチュエータ、エアポンプ70、電磁弁80a、・・・、80gとそれぞれ電気的に接続され、使用者の身体各部位置検出の際にはあらかじめ設定された位置検出用プログラムに基づく制御信号出力により、また、マッサージ実行の際には設定されたマッサージのデータに基づく制御信号出力により、これらの駆動機構の作動を制御する。
【0060】
加えて、制御部40は、メカユニット50や各アクチュエータの変位量を出力するエンコーダ等の信号出力手段とも電気的に接続されており、メカユニット50の状態や、座部12、背もたれ部13、及び脚支持部15の傾斜等の状態を把握しつつ、モータやアクチュエータ等の駆動手段の作動制御を行うこととなる。
【0061】
制御部40は、前記第一エアセル64及び第二エアセル66、67に対しても、エアポンプ70の作動を制御することで、各エアセルの内部圧力をそれぞれ変化させ、各エアセルに所定の膨縮状態を与える。
【0062】
揉み玉支持アーム52の傾動した角度変位は、エアセルの膨縮に伴って生じ、このエアセルの膨縮はエアポンプ70の作動状態、すなわち、エアポンプ70からの空気供給の度合いに基づくことから、制御部40に、あらかじめエアポンプ70の作動状態と、揉み玉支持アーム52の傾動による揉み玉位置変化との関係を記憶させ、この関係に基づいて制御部40がエアポンプ70の作動を調整制御するようにすれば、制御部40はエアポンプ70の制御のみで揉み玉51による刺激付与状態を適切なものに調整可能である。
【0063】
そして、制御部40は、あらかじめ与えられた設定又は使用者の操作に基づいて、エアポンプ70の作動状態を制御調整することで、空気給排に伴う第一エアセル64の膨縮により、揉み玉51を背もたれ部前後方向に適宜移動させて、マッサージに係る揉み玉51からの刺激の強度を調整することとなる。
【0064】
この他、制御部40は、公知のマッサージ機と同様に、マッサージに先立つ使用者の身体各部位置検出として、メカユニット50を制御し、メカユニット50を背もたれ部13における初期位置からガイドフレーム13bに沿って移動させ、揉み玉51を使用者に沿って動かす過程で、背もたれ部13にもたれた使用者側からの揉み玉51に対する圧力の変化や揉み玉51の傾き変化等を順次取得し、この情報に基づいて、使用者の肩位置、背骨のライン、腰位置を検出することもできる。
【0065】
次に、本実施形態に係るマッサージ機のメカユニットの作動状態について説明する。前提として、マッサージ機1に使用者が着座して背中を背もたれ部13にもたれさせた状態で、マッサージ機1の主電源が入とされ、マッサージ機1が起動して、使用者の体重や体形検出などのマッサージ開始前の準備動作や、背もたれ部13等のリクライニング角度調整等が完了し、さらに、使用者によりマッサージコース等の実行指示が操作入力されて、制御部40が使用者に対する揉み玉51によるマッサージをこれから実行しようとしているものとする。
【0066】
揉み玉51による施療の場合、設定された施療内容に応じて、制御部40は、昇降モータ53を作動させて、ガイドフレーム13bに対しメカユニット50全体を上下に移動させ、揉み玉51の上下位置を調整する。
【0067】
この上下移動と共に、制御部40は、揉み玉51の背もたれ部前後方向の位置調整として、あらかじめ設定された量、又は、使用者による入力指示に従って調整された量だけ、揉み玉51を使用者側へ突出させたり、逆に使用者から離隔させる。具体的には、制御部40は、エアセルに空気を送給するエアポンプ70やエアセルへの空気流通状態を切り替える電磁弁を作動させ、第一エアセル64を膨張、収縮させて、第一受圧部材63を傾動させ、第一受圧部材63の外側の第二受圧部材65を移動させて、この第二受圧部材65に連結されたリンク部材68を介して揉み玉支持アーム52を傾動させ、揉み玉51の背もたれ部前後方向の位置を調整して、揉み玉51をマッサージの対象箇所に位置させる。
【0068】
例えば、揉み玉による施療を最初に行う場合など、揉み玉51は背もたれ部前後方向において最も使用者から離れた位置にある場合、制御部40は、エアポンプ70等を作動させて第一エアセル64を膨張させ、リンク部材68を上方へ移動させ、連結する揉み玉支持アーム52を傾動させ、揉み玉51を背もたれ部13にもたれた使用者側へ近付け突出させる(
図7(B)参照)。
【0069】
制御部40は、揉み玉51のあらかじめ設定された位置に対応する所定角度分、揉み玉支持アーム52が傾動したことをエアポンプ70の作動状態から取得すると、エアポンプ等の作動を停止させて第一エアセル64の膨張又は収縮を停止状態とし、揉み玉支持アーム52の傾動を止め、揉み玉51を適切な位置に保持する。
【0070】
この後、又は、こうした揉み玉51の移動と並行して、制御部40は、施療の種類に応じて、揉みモータ62を作動させ、及び/又は第二エアセル66、67を膨縮させ、揉み玉支持アーム52を揺動させて、設定された揉みや叩き等のマッサージに対応した動きを揉み玉51に行わせることとなる。
【0071】
例えば、左右の第二エアセル66、67を順次膨張、収縮させ、外側の第二受圧部材65を傾動させて駆動機構部のハウジング61に対し左右のリンク部材68を交互に上下動させ、これらリンク部材68に連結した各揉み玉支持アーム52をそれぞれ揺動させて、揉み玉51に叩きの施療に係る動きを生じさせる。
【0072】
揉み玉51の位置調整や移動に係り、制御部40は、エアセルを膨張させる場合、給気として、電磁弁80e、80f、80gでエアポンプ70とエアセルとを流通させ、エアポンプ70を作動させてエアセルに空気を送り込む。逆にエアセルを収縮させる場合、制御部40は、排気として、電磁弁80e、80f、80gを切り替えてエアセルから外部に空気が排出されるようにする。こうした空気給排は、マッサージ機の他のエアセルにも同じようになされるが、これは公知のエアセルに対するものと同様に行われるものである。
【0073】
マッサージとして揉み又は叩きに相当する揉み玉51の動きを生じさせている間に、使用者によるマッサージの強度調整に係る操作がなされた場合も、制御部は揉み玉51の背もたれ部前後方向の位置調整を行うこととなる。この場合、使用者の調整操作に応じて、制御部40がエアポンプ70等を作動させ、第一エアセル64を膨張または収縮させて第一受圧部材63を傾動させ、第二受圧部材65の位置を変えて、リンク部材68を上又は下に動かし、これらと連動する揉み玉支持アーム52を傾動させて揉み玉51位置を調整する。これにより、揉み玉の移動範囲を使用者に対し背もたれ部前後方向へ全体的に近付ける又は遠ざけるよう変更して、揉み玉51の移動に伴う刺激の強度を変化させることができる。
【0074】
例えば揉み等のマッサージに係る刺激を付与する中で、そうした刺激が弱すぎると感じた使用者により強度を上げる操作がなされた場合、制御部40は、揉み玉51を背もたれ部前後方向で使用者に近付く向きに移動させる制御を行う。具体的には、第一エアセル64を膨張させて第一受圧部材63を上向きに傾動させ、第二受圧部材65の位置を変えてリンク部材68を上げ、揉み玉支持アーム52他端部を上向きに傾動させる状態(
図7参照)となる。
【0075】
こうした揉み玉支持アーム52の傾動により、揉み玉51はマッサージに係る動きを行う中でより使用者に近付く側にずれる状態となる。これにより、揉みや叩きに係る押圧を行う揉み玉51からの刺激、すなわち使用者に揉みや叩きの押圧刺激をより強力に与えて効果的なマッサージが行えることとなる。
【0076】
逆に、揉みや叩き等の刺激が強すぎると感じた使用者により強度を下げる操作がなされた場合、制御部40は、揉み玉51を背もたれ部前後方向で使用者から離れる方向に移動させる制御を行う。具体的には、第一エアセル64を収縮させて第一受圧部材63を下向きに傾動させ、第二受圧部材65の位置を変えてリンク部材68を下げ、揉み玉支持アーム52他端部を下向きに傾動させる状態となる。
【0077】
こうした揉み玉支持アーム52の傾動により、揉み玉51はマッサージに係る動きを行う中でより使用者から離れる側にずれる状態となる。これにより、揉みや叩きに係る押圧を行う揉み玉51からの刺激、すなわち揉みや叩きの押圧刺激が弱まり、使用者の身体への負担が軽減されることとなる。
【0078】
この後、制御部40は、揉みモータ62の作動や第二エアセル66、67の膨縮を継続させ、揉み玉51の揉みや叩きに係る揺動を続行し、揉みや叩きの施療時間としてあらかじめ設定された所定時間が経過したら、揉みモータ62やエアポンプ70等を停止させて揉みや叩きの施療を終了させる。
【0079】
揉みや叩きの施療が終了し、他のマッサージ等に移行する場合には、制御部40は、揉み玉51の位置が次の施療に適さない場合、第一エアセル64や第二エアセル66、67を揉み玉51が背もたれ部前後方向で使用者から離れる側に移動するように収縮させると共に、昇降モータ53を作動させてメカユニット50を上又は下に移動させるなど、揉み玉51を施療に適した位置となるよう調整することとなる。
【0080】
このように本実施形態に係るマッサージ機においては、揉み玉51を背もたれ部前後方向に移動させる手段として、空気の給排で膨縮する第一及び第二のエアセルを設け、これらのエアセルの膨縮に伴ってリンク部材68を背もたれ部前後方向とは異なる向きに移動させ、このリンク部材68を介して揉み玉支持アーム52が傾動するようにして、揉み玉支持アーム52端部の揉み玉51を背もたれ部前後方向に進退移動させることから、揉み玉51でのマッサージ実行やマッサージ強度調整のための揉み玉51移動に係り、揉み玉51の背もたれ部前後方向への移動、すなわち、使用者の身体に対し揉み玉51を進退させる動きを、エアセルの膨縮により生じさせて、モータ及び減速機構を含む複雑な機構を用いずに済み、駆動機構部60を簡略化できる。
【0081】
また、エアセルの膨縮に伴う動きを、リンク部材68を用いて揉み玉支持アーム52の傾動に変換することで、エアセルの膨縮変形量と揉み玉51の移動量を変えられるなど、揉み玉51の動きの自由度を高くできると共に、エアセルの膨縮を直接的に揉み玉51の背もたれ部前後方向への移動に用いる場合のように、揉み玉51の移動量に相当するエアセルの膨縮スペースを背もたれ部前後方向に確保する必要がなく、メカユニット50の前後方向の寸法をコンパクト化でき、簡略化された必要最小限の機構構成と合わせて、メカユニット50及びこれを内蔵する背もたれ部13の小型化、軽量化が図れ、マッサージ機全体としてのコストダウンも実現でき、使用者に対するマッサージをより低コストで効率よく行える。
【0082】
なお、前記実施形態に係るマッサージ機において、各エアセルの膨縮に伴う力を受けても変形しない強度の受圧部材をハウジング61に対し可動として設け、各エアセルで受圧部材を動かすことで、受圧部材に取り付けられたリンク部材68を移動させる構成としているが、これに限らず、エアセル外面のうち膨縮により移動する部位を硬質としたり、この部位に変形しにくい板状部材を一体化する構成とすることもでき、この場合、膨縮により移動する部位にリンク部材端部を取り付けてエアセルで直接リンク部材を動かせることとなる。また、二段重ねで配設するエアセル間に第一受圧部材を介在させる代わりに、各エアセル外面のうち他のエアセルと向かい合う部位を前記同様に硬質としたり、変形しにくい板状部材を一体化した上で、エアセル同士を直接重ね合わせる構成とすることもでき、前記実施形態同様、一方のエアセルの膨縮に伴う変形が他方のエアセルの変形により吸収されてエアセル全体の変形量が小さくなるような事態を招かず、各エアセルの膨縮変形を確実にリンク部材68の移動に利用できる。
【0083】
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態に係るマッサージ機においては、第一エアセル64と第二エアセル66、67とを二段重ねで配置し、各エアセルごとに膨縮状態を制御して、第二エアセル66、67で叩きのマッサージに係る揉み玉51の動きを生じさせると共に、第一エアセル64で第二エアセル位置を変えられるようにして、揉み玉支持アーム52の左右一体の傾動を生じさせ、マッサージに係り揉み玉が動く範囲を背もたれ部前後方向に位置調整可能とし、刺激の強度を調整できる構成としているが、これに限らず、第2の実施形態として、
図11ないし
図13に示すように、揉み玉の背もたれ部前後方向への動きを生じさせるエアセル64a、64bを一段のみ、左右一対の揉み玉支持アーム52ごとに配設し、これらエアセル64a、64bが前記第1の実施形態における第一エアセル及び第二エアセルの役割を兼ねて、叩きのマッサージに係る揉み玉51の繰り返しの動きと、刺激強度の調整に係る揉み玉移動とをまとめて生じさせる構成とすることもできる。
【0084】
この場合、揉み玉支持アーム52同様に、左右一対の配置として設けられるエアセル64a、64bが、制御部40の制御に基づくエアポンプ70等による空気の給排を受けて左右それぞれ独立して膨縮する。これらエアセルの膨縮で、前記第1の実施形態同様、リンク部材68を動かして左右の揉み玉支持アーム52をそれぞれ傾動させ、揉み玉支持アーム52端部の揉み玉51を背もたれ部前後方向に移動させることとなる。
【0085】
例えば、叩きのマッサージに係る動きを揉み玉に行わせる場合、左右のエアセル64a、64bを順次膨張、収縮させ、外側の受圧部材65b、65cを傾動させて、駆動機構部のハウジング61に対し左右のリンク部材68を交互に上下動させ、これらリンク部材68に連結した各揉み玉支持アーム52をそれぞれ揺動させて、揉み玉51に叩きのマッサージに係る動きを生じさせる(
図12参照)。
【0086】
使用者に加わるマッサージに係る刺激の強度を調整するために揉み玉を移動させて位置調整する際には、同時にマッサージに係る揉み玉の繰り返しの動きを生じさせていない場合、左右のエアセルに対し同様に空気給排を行って膨縮させ、揉み玉支持アーム52を等しく傾動させて、左右の揉み玉51を背もたれ部前後方向いずれかの向きに等しく動かす位置調整を行える。前記実施形態同様、揉み玉51を前方に動かして揉み玉51と使用者との位置関係をより近くする場合は、マッサージに係る刺激が強まり、揉み玉51を後方に動かして揉み玉51と使用者との位置関係をより遠くする場合は、マッサージに係る刺激が弱まる。
【0087】
また、揉み玉51に揉みや叩き等のマッサージに係る繰り返しの動きを行わせるのと並行して、揉み玉の位置調整を実行する場合には、各揉み玉51にマッサージに係る動きを行わせるように左右のエアセルを所定の周期的な膨縮状態とする中、制御部40が各エアセルの膨縮量を調整して、マッサージに係る傾動中の各位置から揉み玉支持アーム52を背もたれ部前後方向の同じ向きに同じ所定変位だけ相対傾動させるようにし(
図13参照)、左右の揉み玉51のマッサージに係る動きにおける移動の範囲を背もたれ部前後方向にずらすことで、前記同様にマッサージに係る刺激の強度を調整できる。
【0088】
なお、前記各実施形態に係るマッサージ機において、リンク部材68を動かして揉み玉支持アーム52を傾動させる各エアセルは、刺激強度調整のための揉み玉51の背もたれ部前後方向位置調整と、叩きのマッサージに係る動きを揉み玉51に生じさせる目的のために設けられる構成としているが、これに限らず、刺激強度調整に係る背もたれ部前後方向の揉み玉位置調整のためにエアセルを唯一設け、叩きのマッサージに係る揉み玉の背もたれ部前後方向への繰り返しの動きは、従来同様にモータを駆動源とする機構により生じさせる構成としてもかまわない。
【0089】
(本発明の第3の実施形態)
前記第1及び第2の各実施形態に係るマッサージ機においては、エアセルからの力を受けて駆動機構部60のハウジング61に対し動く受圧部材を、ハウジング61に対し傾動可能に配設する構成としているが、これに限らず、受圧部材がハウジング61に対し可動であれば、他の配設形態、例えば、受圧部材をハウジング61の所定部位に対し直線移動して近接、離隔可能とするように配設する構成とすることもできる。
【0090】
特に、第3の実施形態として、
図14、
図15に示すように、受圧部材65dをハウジング61上部に対し上下動可能に配設し、ハウジング61と受圧部材65dとの間に設けたエアセルを膨縮させるようにすれば、リンク部材69を効率よく背もたれ部上下方向に動かして揉み玉支持アーム52をスムーズに傾動させられると共に、エアセルの膨縮を上下方向のみに生じさせて、エアセルの膨縮スペースを背もたれ部前後方向には一切設けずに済み、メカユニット50の背もたれ部前後方向の寸法を必要最小限に設定でき、メカユニット50を内蔵する背もたれ部についても小型化、軽量化が図れる。
【0091】
この場合、第一エアセル64cと、これに重ねて左右一対の配置として設けられる第二エアセル66a、67aが、制御部40の制御に基づくエアポンプ70等による空気の給排を受けてそれぞれ膨縮する。これらエアセルの膨縮で、前記第1の実施形態同様、リンク部材69を動かして左右の揉み玉支持アーム52をそれぞれ傾動させ、揉み玉支持アーム52端部の揉み玉51を背もたれ部前後方向に移動させることとなる。
【0092】
揉み玉51の背もたれ部前後方向への位置調整では、制御部40がエアポンプ70や電磁弁を作動させて、第一エアセル64cを膨張、収縮させ、上側の受圧部材65dを移動させる。この移動する受圧部材65dに連結されたリンク部材69を介して揉み玉支持アーム52が傾動し、揉み玉51を背もたれ部前後方向の所定位置に配置する仕組みである(
図14参照)。
【0093】
こうした位置調整と共に、制御部40は、マッサージの種類に応じて、揉みモータ62を作動させ、及び/又は第二エアセル66a、67aを膨縮させ、揉み玉支持アーム52を繰り返し傾動させて、設定された揉みや叩き等のマッサージに対応した動きを揉み玉51に行わせる。
【0094】
例えば、叩きのマッサージに係る動きを揉み玉に行わせる場合、左右の第二エアセル66a、67aを順次膨張、収縮させ、上側の受圧部材65dをその左右の高さを異ならせるように動かして、ハウジング61に対し左右のリンク部材69を交互に上下動させる。これによりリンク部材69に連結した各揉み玉支持アーム52をそれぞれ揺動させられ、揉み玉51に叩きのマッサージに係る動きを生じさせることができる(
図15参照)。