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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-202487(P2016-202487A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】着脱可能なカバーのボタン留め具
(51)【国際特許分類】
   A47C 31/11 20060101AFI20161111BHJP
【FI】
   A47C31/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-86862(P2015-86862)
(22)【出願日】2015年4月21日
(71)【出願人】
【識別番号】591285789
【氏名又は名称】株式会社高畑
(74)【代理人】
【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和弘
(57)【要約】
【課題】カバーリング方式のソファーを覆う生地カバーを容易に着脱可能に保持する様々なボタンに対応可能なボタン留め具を提供する。
【解決手段】ボタン留め具100は、2つの略半円形状の平板110と、平面上に載置された2つの平板110を互いの略半円の直径が対向させて所定の間隔T(1)を開けて接続する、平面に平行な方向から見た側面視で略U字形状の接続部120とが、一体的に形成され、接続部120は、脚付きボタンの脚部に設けられた穴部に係合する略円形の突起状に形成された係止部130を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーリング方式の椅子自体のクッション材または椅子に付けるクッション材を覆う生地カバーを着脱可能に保持する脚付きボタンを留める樹脂製の留め具であって、
2つの平板と、
平面上に載置された前記2つの平板を互いの端面を対向させて所定の間隔を開けて接続する、前記平面に平行な方向から見た側面視で略U字形状の接続部とが、一体的に形成され、
前記平板または前記接続部は、前記脚付きボタンの脚部に設けられた穴部を係止する係止部を備える、着脱可能なカバーのボタン留め具。
【請求項2】
前記係止部は、前記接続部における略U字形状の互いに向かい合う面の少なくとも一方の面に突起状に形成される、請求項1に記載の着脱可能なカバーのボタン留め具。
【請求項3】
前記接続部は、前記略U字形状の開放側が前記平板の一方の面よりも突出するとともに、前記略U字形状の底側が前記平板の他方の面よりも突出するように、前記平板と一体的に形成され、
前記係止部は、前記接続部における略U字形状の開放側の互いに向かい合う面の少なくとも一方の面に前記穴部に係合する略円形の突起状に形成される、請求項1に記載の着脱可能なカバーのボタン留め具。
【請求項4】
前記平板は、略半円形状であって、前記略半円の直径が対向するように所定の間隔を開けて前記接続部により接続され、
前記接続部の前記直径方向長さは前記直径よりも短い、請求項3に記載の着脱可能なカバーのボタン留め具。
【請求項5】
前記略U字形状の開放側の端部は丸みを帯びている、請求項3または請求項4に記載の着脱可能なカバーのボタン留め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子自体の背部および座部のクッション材または椅子に付けるクッション材を覆う生地カバー(綿、ウール、ポリエステル、アクリル等の布、牛革等の革、合成皮革を含む)を保持する留め具に関し、特に、生地カバーを保持するボタンを容易に着脱可能に留めるボタン留め具に関する。
【背景技術】
【0002】
ソファー等の椅子自体の背部または/および座部には座り心地を向上させるために、クッションがソファー自体と一体化されて設けられていたり、ソファーの背部または座部にクッションが付けられていたりすることがある。これらのクッションは、その中身(充填材)としてクッション性を備えたウレタンフォーム、ポリエステル綿、羽毛等のクッション材が、生地カバーで覆われているものが多い。この場合において、クッションの中身のクッション材(充填材)が自由に動き回ることができてしまうと、クッションの保形性が低下してしまい、ソファーの形状が保持できなかったりクッションの形状が保持できなかったりする。このため、クッションの表面と裏面とを紐状物(紐、伸縮性を備えた紐等)で結ばれた飾りボタン(くるみボタン)等により、数ヶ所を接続することがある。クッション内部において、数ヶ所において表面と裏面とを接続した紐状物により中身のクッション材が保持されて、ソファーの形状が保持できるようになったり、クッションの形状が保持できるようになったりする。また、このような数ヶ所の飾りボタンでソファーやクッションの表面(と裏面と)を加飾することは、ソファーやクッションのデザイン性を高めることにも繋がっている。
【0003】
ところで、ソファーにおいて、上述した表面と裏面とを接続する紐状物は、取り外すことができないことが多く、表面が汚れた場合にはソファーを分解して紐状物を切断しないと、生地カバーが選択できるものであるとしても、この生地カバーを取り外して洗濯することができないという問題がある。
このような問題に対して、生地カバーを着脱自在にすることにより、表面が汚れた場合にはソファーを分解することなく生地カバーを取り外して洗濯することが考えられる。このような、椅子の背部または座部、ピローのクッション等において、表面が汚れた場合の対策として、カバー(表層部)を着脱式として洗濯可能としたカバーリング方式が一般化している。
【0004】
実用新案登録第3195016号公報(特許文献1)は、ソファーに適用されるものではなくクッションに適用されるものであるが、このようなカバーリング方式に適用可能な着脱式カバーを開示する。この着脱式カバーは、ボタン付きクッションのボタン位置に対応する場所に予め切り込みを入れられており、その周囲が布地のほつれがでないようにかがり縫いが施されたボタン穴が設けられている。そして、この着脱式カバーは、ウレタンフォーム等の充填材が布地等で包まれて、かつ、その表面にボタンが取り付けられたボタン付きクッションに、着脱自在に装着される。この着脱式カバーをボタン付きクッションに装着する場合には、ボタン付きクッションのボタンを、着脱式カバーの裏面よりボタン穴を通して着脱式カバーの表面に出す。このように、クッションとカバーとの関係が一体化されるので収まりが良く、使用時のズレによる変形を起こしにくい(保形性が良い)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3195016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された着脱式カバーは、ボタンを表面に備えるという特殊な形態のボタン付きクッションと必ず組み合わせて使用しなければならない。このため、充填材であるクッションにボタンが必ず付いていなければならないために汎用性が低いという問題がある。また、着脱式カバーの色合いとボタン付きクッションのボタンの色合いとを合わせておいても(同じ色合いで合わせる場合も異なる色合いで合わせる場合も含む)着脱式カバーを替えてしまうと、ボタン付きクッションのボタンの色合いとが合わなくなることもあって(デザイン的に好ましくなくなって)、そのような場合にはボタン付きクッションのボタンを取り替えなければならないという問題がある。
【0007】
本発明は、従来技術の上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、カバーリング方式の椅子自体または椅子に付ける、背部のクッション材または座部のクッション材を覆う生地カバーを着脱可能に保持するボタンを留める留め具であって、様々なボタンを使用できかつクッション(充填材)にボタンが付いている必要がない点で汎用性が高く、安価で、着脱作業が容易な、着脱可能なカバーのボタン留め具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る着脱可能なカバーのボタン留め具は以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明に係る着脱可能なカバーのボタン留め具は、カバーリング方式の椅子自体のクッション材または椅子に付けるクッション材を覆う生地カバーを着脱可能に保持する脚付きボタンを留める樹脂製の留め具であって、2つの平板と、平面上に載置された前記2つの平板を互いの端面を対向させて所定の間隔を開けて接続する、前記平面に平行な方向から見た側面視で略U字形状の接続部とが、一体的に形成され、前記平板または前記接続部は、前記脚付きボタンの脚部に設けられた穴部を係止する係止部を備える。
【0009】
好ましくは、前記係止部は、前記接続部における略U字形状の互いに向かい合う面の少なくとも一方の面に突起状に形成されるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記接続部は、前記略U字形状の開放側が前記平板の一方の面よりも突出するとともに、前記略U字形状の底側が前記平板の他方の面よりも突出するように、前記平板と一体的に形成され、前記係止部は、前記接続部における略U字形状の開放側の互いに向かい合う面の少なくとも一方の面に前記穴部に係合する略円形の突起状に形成されるように構成することができる。
【0010】
さらに好ましくは、前記平板は、略半円形状であって、前記略半円の直径が対向するように所定の間隔を開けて前記接続部により接続され、前記接続部の前記直径方向長さは前記直径よりも短いように構成することができる。
さらに好ましくは、前記略U字形状の開放側の端部は丸みを帯びているように構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カバーリング方式の椅子自体または椅子に付ける、背部のクッション材または座部のクッション材を覆う生地カバーを着脱可能に保持するボタンを留める場合において、様々なボタンを使用できかつクッション(充填材)にボタンが付いている必要がない点で汎用性が高く、安価で、着脱作業が容易な、着脱可能なカバーのボタン留め具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係るボタン留め具が適用されるソファーを示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係るボタン留め具が適用されるクッションを示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係るボタン留め具の三面図である。
図4図3に示したボタン留め具の斜視図である。
図5図3に示したボタン留め具を用いた、着脱可能なカバーの取付方法を説明するための図(その1)である。
図6図3に示したボタン留め具を用いた、着脱可能なカバーの取付方法を説明するための図(その2)である。
図7図3に示したボタン留め具を用いた、着脱可能なカバーの取付方法を説明するための斜視図である。
図8】本発明の第1の変形例に係るボタン留め具を用いた、着脱可能なカバーの取付方法を説明するための図である。
図9】本発明の第2の変形例に係るボタン留め具を用いた、着脱可能なカバーの取付方法を説明するための図である。
図10】本発明の第3の変形例に係るボタン留め具の二面図である。
図11図10に示したボタン留め具の斜視図である。
図12図10に示したボタン留め具を用いた、着脱可能なカバーの取付方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係るボタン留め具100を、図面に基づき詳しく説明する。このボタン留め具100ならびにこのボタン留め具100を用いた着脱可能な生地カバーの取り付け方法および取り外し方法を説明する前に、このボタン留め具100が好適に使用される、カバーリング方式の椅子自体(本実施の形態においてはソファー10とする)またはカバーリング方式のクッション20(たとえばソファー10の背部または座部に付するクッション)について、図1および図2を用いて説明する。
【0014】
このボタン留め具100が好適に使用されるソファー10の正面図を図1(A)に、その背面図を図1(B)にそれぞれ示す。このソファー10は、限定されるものではないが2人用のソファーであって、着座者の背中が当接する背部および臀部が当接する座部を含み、左右の肘掛け部、4本の脚等を含む構成を備える。
背部は、背部表生地カバー12Fおよび背部裏生地カバー12Bから構成される着脱可能な背部生地カバー12でクッション材が覆われている。座部は、座部表生地カバー14Fおよび座部裏生地カバー(図示しない)から構成される着脱可能な座部生地カバー14でクッション材が覆われている。ここで、クッション材は、生地カバーに覆われる充填材としてのクッション性を備えたウレタンフォーム等である。
【0015】
そして、背部生地カバー12は、背部表生地カバー12F側に脚付きボタン(裏側ボタン500に対する表側ボタン)200が表出して、背部裏生地カバー12B側に裏側ボタン500が表出して、脚付きボタン200と裏側ボタン500とが、後述するボタン留め具100および紐状物400により接続されている。このように数ヶ所(図1の背部では12ヶ所)において表面と裏面とを接続した紐状物により中身のクッション材が保持されて、ソファー10の背部形状が保持できるようになっていたり、デザイン性が高められていたりする。
【0016】
なお、座部も背部と同じように、座部表生地カバー14F側に脚付きボタン200が表出して、座部裏生地カバー側に裏側ボタン500が表出して、脚付きボタン200と裏側ボタン500とが後述するボタン留め具100および紐状物400により接続されている。このように数ヶ所(図1の座部では12ヶ所)において表面と裏面とを接続した紐状物により中身のクッション材が保持されて、ソファー10の座部形状が保持できるようになっている。
【0017】
さらに、このボタン留め具100が好適に使用されるクッション20の表面図およびその背面図を図2に示す。このクッション20は、限定されるものではないが、1人用のクッションであって、使用者の背中または臀部が当接する。
クッション表生地カバー22Fおよびクッション裏生地カバー22Bから構成される袋状の着脱可能なクッション生地カバー22でクッション材が覆われている。ここで、クッション材は、生地カバーに覆われる充填材としてのクッション性を備えたウレタンフォーム、ポリエステル綿、羽毛等である。
【0018】
そして、クッション生地カバー22は、クッション表生地カバー22F側に脚付きボタン200が表出して、クッション裏生地カバー22B側に裏側ボタン500が表出して、脚付きボタン200と裏側ボタン500とが後述するボタン留め具100および紐状物400により接続されている。このように数ヶ所(図2のクッション20では6ヶ所)において表面と裏面とを接続した紐状物により中身のクッション材が保持されて、クッション20の形状が保持できるようになっていたり、デザイン性が高められていたりする。
【0019】
なお、詳しくは後述するが、脚付きボタン200は一般的に衣類または家具に用いられる脚付きボタン(たとえばくるみボタン)であって、裏側ボタン500はボタン留め具100と類似する構成を備えた留め具である。
[ボタン留め具(専用品)の構成およびその他の汎用品の構成]
図3に示す本実施の形態に係るボタン留め具100の三面図、図4に示すこのボタン留め具100の斜視図、図5図7に示すボタン留め具100を用いた着脱可能な生地カバー300の取付方法を説明するための図を参照して、ボタン留め具100(専用品)の構成およびその他の汎用品の構成について説明する。なお、図3図5および図6におけるそれぞれの(A)と(B)とでは、ボタン留め具100が90°回転している。
【0020】
まず、本実施の形態に係るボタン留め具100の構成について説明して、その後にこのボタン留め具100を用いて着脱可能な生地カバー300の取り付ける場合に使用する汎用品(脚付きボタン200、紐状物400、裏側ボタン500)の構成について説明する。
・ボタン留め具100(専用品)
これらの図に示すように、このボタン留め具100は、大略的には、2つの平板110と、平面上に載置された2つの平板110を互いの端面を対向させて所定の間隔T(1)を開けて接続する、平面に平行な方向から見た側面視(図4参照)で略U字形状の接続部120とが、一体的に形成されている。そして、接続部120は、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212を係止する係止部130を備える。このボタン留め具100は、特に限定されるものではないが、高分子化合物からなる合成樹脂製であって、たとえばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等である。これらの樹脂でボタン留め具100を形成すると、樹脂が備える弾性により、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212に係止部130の略円形の突起を係合(嵌合)するときに接続部120の上方立設部126が弾性により広がり、穴部212に係止部130の略円形の突起が係合(嵌合)した後は接続部120の上方立設部126が弾性により元に戻ってボタン留め具100から脚付きボタン200が容易に外れない。
【0021】
さらに、接続部120は、略U字形状の開放側が平板110の一方の面よりも突出するとともに、略U字形状の底側が平板110の他方の面よりも突出するように、平板110と一体的に形成されている。そして、係止部130は、接続部120における略U字形状の開放側の互いに向かい合う面の少なくとも一方の面(本実施の形態においては両面であるが片面でも構わない)に、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212に係合する略円形の突起状に形成されている。
【0022】
さらに、この平板110は、略半円形状であって、略半円の直径が対向するように所定の間隔T(1)を開けて接続部120により接続され、接続部120の直径方向長さL(2)またはL(3)は、平板110の略半円の直径L(1)よりも短い。ここで、接続部120の直径方向長さは、図3(B)の中段に示すように、L(2)またはL(3)であるが、いずれにしても直径L(1)よりも短い。
【0023】
さらに、接続部120の略U字形状の開放側120Uの端部128は丸みを帯びた半球状としている。このボタン留め具100が繰り返し使用される場合に、丸みがないと脚付きボタン200の脚部210が上方立設部126に当たると切り欠かれてしまう可能性があるのに対して、端部128が丸みを帯びているので脚付きボタン200の脚部210が上方立設部126に当たってもこのような切り欠きが発生しないために耐久性の点で好ましい。
【0024】
大略的にはこのような構成を備えた本実施の形態に係るボタン留め具100についてさらに詳しく説明する。
図3(A)および図3(B)の上段または下段に示すように、このボタン留め具100の平板は、略半円形状であって、略半円の直径が対向するように所定の間隔T(1)を開けて、平板110の表裏を貫くようにして(上述したように略U字形状の開放側が平板110の一方の面(ここでは表面側)よりも突出するとともに、略U字形状の底側が平板110の他方の面(ここでは裏面側)よりも突出するようにして)設けられる、図4に示す
側面視で略U字形状の接続部120により接続されている。
【0025】
この接続部120は、側面視において平板110の表裏を貫くような略U字形状であって、平板110の表面110Fに接続部120の上方立設部126が設けられることにより接続部120の略U字形状の開放側120Uが平板110の表面110Fよりも突出して、略U字形状の底側120Dが平板110の裏面110Bよりも突出して、平板110の裏面110Bに接続部120の下方立設部124が設けられることにより接続部120の略U字形状の底側120Dが平板110の裏面110Bよりも突出している。2つの下方立設部124は底部122により接続されている。この場合において、接続部120の底部122は2つの平板110を間隔T(1)を開けて接続している。
【0026】
図5(A)に示すように、この間隔T(1)は、脚付きボタン200の脚部210の厚みT(2)より若干狭くなっており、樹脂製の略U字形状の接続部120の上方立設部126を広げて、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212に係止部130の略円形の突起が係合(嵌合)するように、ボタン留め具100に脚付きボタン200を嵌め込む。
【0027】
このとき、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212に係止部130の略円形の突起が容易に係合(嵌合)するとともに、係合(嵌合)後は容易に外れないように、係止部130の略円形突起の直径D(1)は、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212の直径D(2)よりも若干小さくなっている。
このように、ボタン留め具100自体の素材が樹脂であることに加えて、ボタン留め具100における平板110の間隔T(1)と脚付きボタン200の脚部210の厚みT(2)との関係、および、ボタン留め具100における係止部130の略円形突起の直径D(1)と脚付きボタン200の脚部210の穴部212の直径D(2)との関係が成立しているので、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212に係止部130の略円形の突起が容易に係合(嵌合)するとともに、穴部212に係止部130の略円形の突起が係合(嵌合)した後は、ボタン留め具100から脚付きボタン200が容易に外れない。
【0028】
さらに、このボタン留め具100の接続部120の直径方向長さL(2)またはL(3)は、平板110の略半円の直径L(1)よりも短い。上述したようにボタン留め具100に脚付きボタン200を嵌め込む場合には、接続部120の直径方向長さL(2)またはL(3)(ここでは特にL(3))が長いと接続部120の開放側120Uを広げにくくなりボタン留め具100に脚付きボタン200を嵌め込みにくくなる。一方、ボタン留め具100自体の強度を考慮した場合には、接続部120の直径方向長さL(2)またはL(3)(ここでは特にL(2))が短いと接続部120の底側120Dにおいて2つの平板110を接続している底部122の強度が低くなり、ボタン留め具100に脚付きボタン200を嵌め込む際に底部122が破損したり、ボタン留め具100に脚付きボタン200を嵌め込んだ後に脚付きボタン200の脚部210が2つの平板110の間隔T(1)を広げようとする力が作用して底部122が破損したりして、ボタン留め具100が破損する場合がある。
【0029】
上述したこのように相反する作用を実現するために、少なくとも、接続部120の直径方向長さL(2)またはL(3)は平板110の略半円の直径L(1)よりも短い必要がある。さらに、平板110の略半円の直径L(1)に対して接続部120の直径方向長さL(2)またはL(3)は1/2〜1/4であることが好ましく、1/3程度が特に好ましい。
【0030】
なお、接続部120の直径方向長さについては、接続部120の略U字形状の底側120Dの底部122の長さL(2)と、接続部120の略U字形状の開放側120Uの上方立設部126の長さL(3)とがある。本実施の形態においては、L(2)≒L(3)とするが、上方立設部126は端部128の丸みのためにL(2)>L(3)となることが多い。また、上述した相反する作用を実現するために、ボタン留め具100自体の強度を維持しつつ脚付きボタン200を嵌め込みやすくするためにL(2)>L(3)とすることも好ましく、この場合、L(1)>>L(2)>L(3)となる。
【0031】
なお、接続部120の略U字形状の開放側120Uの上方立設部126の断面形状は2つの平板110の間隔T(1)を開けた略円形(直径はL(3)の略円形)である。これは、後述するハトメ310が略円形の生地穴部312(直径T(3))を形成していることに対応しており、T(3)>L(3)となっている。ただし、後述するようにハトメ310を用いない生地穴部であっても構わないので、接続部120の略U字形状の開放側120Uの上方立設部126の断面形状が略円形に限定されるものではない。
【0032】
なお、上述したように上方立設部126の断面形状が略円形に限定されるものではないが、上方立設部126の断面形状が略円形の場合には、図4に示すように本実施の形態に係るボタン留め具100においては上面直径D(3)<下面直径D(4)となっている(この点は後述する第3の変形例に係るボタン留め具900との大きな相違点である)。
以上のような構成を備えたボタン留め具100とともに使用される汎用品の構成について、図5図7を参照して説明する。
【0033】
・汎用品(脚付きボタン200、紐状物400、裏側ボタン500)
脚付きボタン200は、特に限定されるものではなく、衣類や家具に使用される脚付きの一般的な(くるみ)ボタンである。この脚付きボタン200は、図5図7に示すように、本体部220の裏面中央近傍に立設された略平板状の脚部210を備え、その脚部210は穴部212が設けられている。上述したように、この穴部212に、ボタン留め具100の係止部130の略円形の突起が係合(嵌合)することにより、ボタン留め具100に脚付きボタン200が嵌め込まれる。
【0034】
裏側ボタン500は、特に限定されるものではなく、たとえば、ボタン留め具100の底側のみを備える構成を備える。この裏側ボタン500は、図5図6に示すように、平面上に載置された2つの略半円形状の平板510を互いの端面を対向させて所定の間隔を開けて接続する、平面に平行な方向から見た側面視で略U字形状の接続部520とが、一体的に形成されている。ただし、この点でボタン留め具100と類似するが、裏側ボタン500はボタン留め具100の上方立設部126(その端部128を含む)および係止部130を備えない。
【0035】
紐状物400は、ボタン留め具100の接続部120の底側120Dの底部122と裏側ボタン500の接続部520の底部522とを、エンドレスループ状で接続する、一般的な伸縮性を備えない紐または伸縮性を備えた紐状物である。なお、このように紐状物400がボタン留め具100と裏側ボタン500とを接続するが、裏側ボタン500を脚付きボタン200と同じように、穴部212を有する脚部210を備えたボタンであってもよく、この場合には、紐状物400をエンドレスループ状にする前に、紐状物400を脚部210の穴部212に通した後にエンドレスループ状にして、ボタン留め具100の接続部120の底側120Dの底部122に係止するようにしても構わない。このようにすると、図2に示すクッション20の表裏で同じボタンを使用することができる。さらに、表裏で同じボタンを使用するという観点では、ボタン留め具100と脚付きボタン200との組合せを、表側および裏側で1組ずつ使用するようにしても構わない。
【0036】
なお、生地カバー300(背部生地カバー12、座部生地カバー14、クッション生地カバー22)は、ボタン留め具100と脚付きボタン200との組合せが設けられる位置およびこの位置に対応して紐状物400を介してボタン留め具100と接続される裏側ボタン500が設けられる位置には、生地穴部312を形成するハトメ310が設けられている。このハトメの内径(生地穴部312の直径T(3))は、ボタン留め具100の上方立設部126および脚付きボタン200の脚部210が少なくとも通る大きさであって、ハトメの外径は、好ましくは脚付きボタン200の本体部220の最大径よりも小さくして脚付きボタン200をボタン留め具100に係合させるとハトメ310が見えなくなる点で意匠上好ましい。
【0037】
ただし、生地カバー300に設ける穴部はハトメ310により形成されるものに限定されるものではなく、ボタンホールにより形成した穴部、熱加工により形成した穴部、テープ加工により形成した穴部であっても構わない。
[生地カバーの取り付け方法および取り外し方法]
以上のような、本実施の形態に係るボタン留め具100を用いたこのボタン留め具100を用いた着脱可能な生地カバーの取り付け方法および取り外し方法について、上述した図1図7を参照して説明する。なお、図6に示すように、表側生地カバー300Fと裏側生地カバー300Bとの間には、充填材としてのクッション性を備えたウレタンフォーム600が設けられている。
【0038】
・取り付け方法
図5および図7に示すように、ボタン留め具100と脚付きボタン200とを、表側生地カバー300Fに予め設けられたハトメ310により形成された生地穴部312に近接させる。このとき、ボタン留め具100の接続部120の底部122には紐状物400が通されて、紐状物400はエンドレスループ状で、裏側ボタン500の接続部520の底部522に通されているものとする。
【0039】
このように、ボタン留め具100と脚付きボタン200とを近接させた状態から、脚付きボタン200の脚部210をハトメ310の生地穴部312に通して(ボタン留め具100の略U字形状の接続部120の上方立設部126をハトメ310の生地穴部312に通しても構わない)、樹脂製のボタン留め具100の略U字形状の接続部120の上方立設部126を広げて、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212に係止部130の略円形の突起を係合(嵌合)させる。このとき、具体的には、脚付きボタン200の脚部210をボタン留め具100の略U字形状の接続部120の上方立設部126に押し当てて上方立設部126を広げて、穴部212に係止部130の略円形の突起を係合(嵌合)させる。このようにして、このボタン留め具100に脚付きボタン200を繰り返し取り付けおよび取り外しして使用するとしても、上方立設部126の端部128が丸みを帯びているので脚付きボタン200の脚部210が上方立設部126に押し当てても切り欠きが発生しない。
【0040】
これにより、図5に示す状態から図6に示す状態になり、穴部212に係止部130の略円形の突起が係合(嵌合)しており、ボタン留め具100から脚付きボタン200が容易に外れない。このため、紐状物400を介してボタン留め具100と裏側ボタン500とが接続されているので、表側から裏側へ向けて、脚付きボタン200、ボタン留め具100、紐状物400および裏側ボタン500が接続されて、生地カバー300とウレタンフォーム600とを一体化することができる。
【0041】
・取り外し方法
基本的には取り付け方法の逆の手順で、生地カバー300をウレタンフォーム600から取り外すことができる。
図6に示す状態から、樹脂製のボタン留め具100の略U字形状の接続部120の上方立設部126を広げて、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212に係止している係止部130の略円形の突起の係合(嵌合)を取り外す。このとき、具体的には、脚付きボタン200を傾けて脚付きボタン200の本体部220の下縁をハトメ310の上縁に当接させて当接した部分を支点として脚付きボタン200をひねるように脚付きボタン200を持ち上げる(脚付きボタン200をハトメ310から離隔させる)と、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212と係止部130の略円形の突起との係合(嵌合)が開放されて、図5および図7に示す状態になる。
【0042】
次に、裏側ボタン500の接続部520の底部522にエンドレスループ状で通されている紐状物400を、底部522から取り外す。このとき、ウレタンフォーム600を押し付けると、紐状物400を裏側ボタン500から取り外しやすい。
これにより、クッション内部にはボタン留め具100、紐状物400およびウレタンフォーム600が残り、脚付きボタン200および裏側ボタン500がクッションから取り外され、生地カバー300をクッションから取り外すことができる。
【0043】
なお、生地カバー300を再度取り付ける際までに脚付きボタン200および裏側ボタン500を紛失することを防止するために、脚付きボタン200を生地カバー300が取り外されたクッションに残っているボタン留め具100に取り付けて(取り付け時と同じように接続部120の上方立設部126を広げて穴部212に係止部130の略円形の突起を係合(嵌合)させて)、裏側ボタン500を生地カバー300が取り外されたクッションに残っている紐状物400に取り付ける(エンドレスループ状の紐状物400を裏側ボタン500の接続部520の底部522に通す)ことも好ましい。
【0044】
以上のようにして、本実施の形態に係るボタン留め具100によると、カバーリング方式の椅子自体または椅子に付ける、背部のクッション材または座部のクッション材を覆う生地カバーを着脱可能に保持する様々なボタンをクッション(充填材)にボタンを設ける必要なく、汎用性が高く、安価で、容易に着脱させることができる。
上述したように本実施の形態に係るボタン留め具100によって特段の作用効果を発現し得るわけであるが、このような特段の作用効果を発現し得る3つの変形例について以下に説明する。以下における3つの変形例の説明においては、特に説明しない点は、上述した実施の形態と同じである。
【0045】
・第1の変形例
図8を参照して、本実施の形態の第1の変形例に係るボタン留め具700について説明する。なお、図8(A)はボタン留め具100に脚付きボタン200が係合する前の状態を示す図5(A)に対応し、図8(B)はボタン留め具100に脚付きボタン200が係合した後の状態を示す図6(A)に対応する。
【0046】
図8に示すように、第1の変形例に係るボタン留め具700は、ボタン留め具100における上方立設部126(その端部128を含む)および係止部130を備えず、ボタン留め具100における係止部130に対応する係止部730を平板710の端面に備える。
すなわち、このボタン留め具700は、大略的には、2つの平板710(平板110に対応)と、平面上に載置された2つの平板710を互いの端面を対向させて所定の間隔(T(1)に対応)を開けて接続する、平面に平行な方向から見た側面視(図4参照)で略U字形状の接続部720(接続部120に対応)とが、一体的に形成されている。そして、平板710の端面は、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212を係止する係止部730(係止部130に対応)を備える。また、このボタン留め具700は、略U字形状の底側120Dに対応する底側720Dには、底部122に対応する底部722および下方立設部124に対応する下方立設部724を備える。
【0047】
このような構成を備えた第1の変形例に係るボタン留め具700であっても、ボタン留め具100と同様の作用効果を発現することができる。
・第2の変形例
次に、図9を参照して、本実施の形態の第2の変形例に係るボタン留め具800について説明する。なお、図9(A)は、ボタン留め具100に脚付きボタン200が係合する前の状態を示す図5(A)に対応し、図9(B)は、ボタン留め具100に脚付きボタン200が係合した後の状態を示す図6(A)に対応する。
【0048】
図9に示すように、第2の変形例に係るボタン留め具800は、ボタン留め具100における上方立設部126(その端部128を含む)および係止部130を備えず、ボタン留め具100における係止部130に対応する係止フック部830を平板710の上面に備える。
すなわち、このボタン留め具800は、大略的には、2つの平板810(平板110に対応)と、平面上に載置された2つの平板810を互いの端面を対向させて所定の間隔(T(1)に対応)を開けて接続する、平面に平行な方向から見た側面視(図4参照)で略U字形状の接続部820(接続部120に対応)とが、一体的に形成されている。そして、平板810の上面は、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212を係止する係止フック部830(係止部130に対応)を備える。また、このボタン留め具800は、略U字形状の底側120Dに対応する底側820Dには、底部122に対応する底部822および下方立設部124に対応する下方立設部824を備える。
【0049】
なお、第2の変形例に係るボタン留め具800は、第1の変形例に係るボタン留め具700を、係止部730を備えないようにして、係止フック部830を備えるようにしたものとも言える。
このような構成を備えた第2の変形例に係るボタン留め具800であっても、ボタン留め具100と同様の作用効果を発現することができる。
【0050】
・第3の変形例
図10図12を参照して、本実施の形態の第3の変形例に係るボタン留め具900について説明する。なお、図10(A)および図10(B)の上段および中段はボタン留め具900の2面図であってボタン留め具100の3面図を示した図3(A)および図3(B)の上段および中段に対応し、図11はボタン留め具100の斜視図を示した図4に対応し、図12(A)はボタン留め具100に脚付きボタン200が係合する前の状態を示した図5(A)に対応し、図12(B)および図12(C)はボタン留め具100に脚付きボタン200が係合した後の状態を示した図6に対応する。また、図10(A)および図10(B)の下段は、それぞれ図10(A)および図10(B)におけるボタン留め具100の上方立設部926を部分的に拡大した図である。また、図10(A)と図10(B)とでは、ボタン留め具900が90°回転しており、図12(B)および図12(C)における左側と右側とでは、ボタン留め具900が90°回転している。
【0051】
図10および図11(さらには比較のための図4)に示すように、ボタン留め具100においては上方立設部126の上面直径D(3)<下面直径D(4)であること(下方広がりの略円錐台形状であること)に対して、第3の変形例に係るボタン留め具900においては上方立設部926の上面直径D(3)>下面直径D(4)であること(上方広がりの略円錐台形状であること)が特徴的な構成である。
【0052】
すなわち、このボタン留め具900は、大略的には、2つの平板910(平板110に対応)と、平面上に載置された2つの平板910を互いの端面を対向させて所定の間隔(T(1)に対応)を開けて接続する、平面に平行な方向から見た側面視(図11参照)で略U字形状の接続部920(接続部120に対応)とが、一体的に形成されている。そして、接続部920は、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212を係止する係止部930(係止部130に対応)を備える。また、このボタン留め具900は、略U字形状の開放側120Uに対応する開放側920Uには、上方立設部126に対応する上方立設部926および端部128に対応する端部928を備え、略U字形状の底側120Dに対応する底側920Dには、底部122に対応する底部922および下方立設部124に対応する下方立設部924を備える。
【0053】
そして、このボタン留め具900の上方立設部926は、図10(A)の下段および図10(B)の下段の部分拡大図に示すように、上面直径D(3)>下面直径D(4)であるとともに、高さH(1)の形状を備える。
このボタン留め具900は、好ましくは、図11に示すハトメ350と組み合わせて使用される。このハトメ350は、ボタン留め具100と組み合わせて使用されたハトメ310と基本的には同じ構造であって、ハトメ350の内径(生地穴部352の直径T(3))は、ボタン留め具900の上方立設部926および脚付きボタン200の脚部210が少なくとも通る大きさであって(直径T(3)>上面直径D(3)(>下面直径D(4))となる)、より詳しくは、直径T(3)は上面直径D(3)よりもわずかに大きいことが好ましい。このように直径T(3)が上面直径D(3)よりもわずかに大きいことにより、後述するように、ハトメ350の表面350Fが脚付きボタン200の本体部210の裏面222に当接している状態では、ハトメ350の内径(生地穴部352の直径T(3))の周壁と上方立設部926の上方側(上面直径D(3)側)とがわずかな間隙で対向しているために、上方立設部926の上方側(上面直径D(3)側)が広がることを抑制できる。
【0054】
また、ボタン留め具100と組み合わせて使用されたハトメ310の厚みは詳細には説明されていなかったが、図6に示すように脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212に係止部130の略円形の突起が係合(嵌合)してボタン留め具100に脚付きボタン200を嵌め込むことができる厚みである。このことに加えて、ボタン留め具900と組み合わせて使用されるハトメ350は、厚みH(2)を備える。そして、この厚みH(2)は、ボタン留め具900の上方立設部926における高さH(1)よりも小さい(H(1)>H(2))。
【0055】
そして、このボタン留め具900の上方立設部926における上面直径D(3)、下面直径D(4)および高さH(1)と、ハトメ350の内径(生地穴部352の直径T(3))および厚みH(2)とは、以下の作用効果を発現するように設定されている。
ボタン留め具900と脚付きボタン200とを取り付ける場合には、図12(A)に示すように、ボタン留め具900と脚付きボタン200とを、表側生地カバー300Fに予め設けられたハトメ350により形成された生地穴部352に近接させる。ボタン留め具900と脚付きボタン200とを取り付ける方法および取り外す方法は、基本的には上述したボタン留め具100と脚付きボタン200とを取り付ける方法および取り外す方法と同じであるが、以下の点において、ボタン留め具100よりもボタン留め具900の方が特に好ましい。
【0056】
ボタン留め具900と脚付きボタン200とを取り付ける場合および取り外す場合には、図12(B)に示すように矢示D方向へハトメ350を下げて、ハトメ350の裏面350Bが平板910の表面910Fに当接させるようにする。
係止部930を備えた上方立設部926の高さH(1)がハトメ350の厚みH(2)よりも大きく(H(1)>H(2))、かつ、上方立設部926の下面直径D(4)が上方立設部926の上面直径D(3)よりも小さい(D(3)>D(4))ために、ハトメ350の裏面350Bが平板910の表面910Fに当接すると、ハトメ350の内径(生地穴部352の直径T(3))の周壁によっては、上方立設部926の上方側(上面直径D(3)側)が広がることを抑制されなくなる。このように抑制されなくなると、樹脂製の略U字形状の接続部920の上方立設部926を広げて、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212に係止部930の略円形の突起が係合(嵌合)しやすくなったり、その係合(嵌合)を外しやすくなったりする。このように、接続部920の開放側920Uを広げやすくなるために、ボタン留め具900に脚付きボタン200を嵌め込みやすくなったり、その嵌め込みを外しやすくなったりする。
【0057】
このようにしてボタン留め具900と脚付きボタン200とを取り付けた後の使用時には、図12(C)に示すように矢示U方向へハトメ350を上げて、ハトメ350の表面350Fを脚付きボタン200の本体部210の裏面222に当接させるようにする。なお、図1または図2に示すようにクッション材600を絞り込むようにして(紐状物400を短めにして)、ボタン留め具900に脚付きボタン200が取り付けられることが通常の態様であるので、使用時にはクッション材600の膨らみにより通常はハトメ350が上がっている。
【0058】
係止部930を備えた上方立設部926の高さH(1)がハトメ350の厚みH(2)よりも大きく(H(1)>H(2))、かつ、上方立設部926の下面直径D(4)が上方立設部926の上面直径D(3)よりも小さい(D(3)>D(4))ために、ハトメ350の表面350Fが脚付きボタン200の本体部210の裏面222に当接すると、ハトメ350の内径(生地穴部352の直径T(3))の周壁によって、上方立設部926の上方側(上面直径D(3)側)が広がることが抑制される。このように抑制されると、樹脂製であっても略U字形状の接続部920の上方立設部926が広がらなくて、脚付きボタン200の脚部210に設けられた穴部212に係合(嵌合)した係止部930の略円形の突起が外れにくく(外れなく)なる。このように、接続部920の開放側920Uが広がりにくくなるために、ボタン留め具900に嵌め込まれた脚付きボタン200が外れにくく(外れなく)なる。
【0059】
このような構成を備えた第3の変形例に係るボタン留め具900は、ボタン留め具100と同様の作用効果を発現することができる上に、取り付け時においてボタン留め具900に脚付きボタン200を嵌め込みやすくなったり、取り外し時においてボタン留め具900に嵌め込まれた脚付きボタン200を取り外しやすくなったり、使用時においてボタン留め具900に嵌め込まれた脚付きボタン200が外れにくく(外れなく)なったりする点において、さらに好ましい。
【0060】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、カバーリング方式の椅子自体または椅子に付ける、背部のクッション材または座部のクッション材を覆う生地カバーを着脱可能に保持するボタンを留めるボタン留め具に好ましく、様々なボタンを使用できかつクッション(充填材)にボタンが付いている必要がない点で汎用性が高く、安価で、着脱作業が容易な点で特に好ましい。
【符号の説明】
【0062】
100 ボタン留め具(実施の形態)
200 脚付きボタン
300 生地カバー
400 紐状物
500 裏側ボタン
600 ウレタンフォーム
700 ボタン留め具(第1の変形例)
800 ボタン留め具(第2の変形例)
900 ボタン留め具(第3の変形例)
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図1