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  • 特開2016202805-遊技場用システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-202805(P2016-202805A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20161111BHJP
【FI】
   A63F7/02 328
   A63F7/02 352F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-91493(P2015-91493)
(22)【出願日】2015年4月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 浩之
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BB27
2C088BB34
2C088CA35
(57)【要約】
【課題】遊技場が端数残高の精算に対応するか否を考慮した上で、通常よりも少ない単位にて遊技価値を貸し出す遊技者へのサービスを適切に提供する。
【解決手段】遊技装置2は、端数残高(例えば100円未満の端数)が生ずる玉数の貸し出しを、遊技場が端数残高の精算に対応していれば許容する一方、対応していなければ抑制する。端数残高の精算に対応する遊技場ではちょっと貸しのサービス(1回の貸出操作に応じた払出玉数の上限よりも少ない玉数を貸し出すサービス)により遊技者の利便性が向上する一方、端数残高の精算に対応しない遊技場では端数残高の精算の対応に追われる虞を軽減することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣価値を受け付け可能な価値受付手段と、
遊技者による付与操作を受け付けた場合に、前記貨幣価値を対価として遊技者へと遊技価値を付与する付与処理を行う価値付与手段と、
前記価値受付手段により受け付けられた貨幣価値のうち前記付与処理の対価分を除いた残価値と、所定の価値情報とを対応付ける対応付け手段と、を備えた遊技装置、及び
前記価値情報を受け付けて、当該受け付けた価値情報により特定される前記残価値を精算する精算装置として、所定の基準残価値に対して端数となる残価値である端数残価値の精算に対応しない第1精算装置と、当該端数残価値の精算に対応する第2精算装置とのうち少なくとも一方が設けられた遊技場用システムであって、
遊技場が前記端数残価値の精算に対応するか否かを特定可能な設定情報を設定する設定手段と、
基準となる前記付与処理である基準付与処理以外の付与処理である特別付与処理を、前記設定情報により遊技場が前記端数残価値の精算に対応する旨を特定可能である場合には許容する一方、対応しない旨を特定可能である場合には抑制する抑制処理を行う抑制手段と、を備えたことを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
前記抑制手段は、前記設定情報により遊技場が前記端数残価値の精算に対応しない旨を特定可能である場合に、前記端数残価値が生ずる前記特別付与処理を抑制する一方、前記端数残価値が生じない前記特別付与処理を抑制しないことを特徴とする請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項3】
前記設定手段は、前記基準付与処理を行う場合に対価となる貨幣価値である基準対価を特定可能な情報を前記設定情報として設定し、
前記抑制手段は、前記基準対価が前記基準残価値の倍数を示す場合には遊技場が前記端数残価値の精算に対応しない旨を特定する一方、倍数を示さない場合には遊技場が前記端数残価値の精算に対応する旨を特定することを特徴とする請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【請求項4】
前記基準付与処理は、前記付与操作を受け付けた場合に予め設定される基準値分の遊技価値である基準価値分の付与処理の対価となる基準対価分の前記残価値が残存することを条件とした当該基準価値分を対象とする付与処理であり、
前記特別付与処理は、前記基準対価分の前記残価値が残存しない状態で前記付与操作を受け付けた場合における前記基準価値よりも少ない遊技価値である端数価値分を対象とした付与処理である第1特別処理と、前記付与操作とは異なる遊技者による特別付与操作を受け付けた場合に、前記端数価値分を対象とした付与処理である第2特別処理とのうち少なくとも一方であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載した遊技場用システム。
【請求項5】
前記第2特別処理は、複数の前記端数価値の選択候補のうちから前記端数価値を遊技者に選択させる選択第2特別処理、又は前記端数価値を遊技者に選択させない固定第2特別処理であり、
前記抑制手段は、前記端数残価値を対価とする前記端数価値である端数対価価値を前記選択第2特別処理の選択対象にしないこと、前記端数対価価値ではない端数価値を前記固定第2特別処理の付与対象に設定すること、又は前記端数対価価値を前記固定第2特別処理の付与対象に設定する設定処理を抑制することで、前記抑制処理を行うことを特徴とする請求項4に記載した遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場では遊技者から受け付けた貨幣価値を対価として遊技価値を付与することで遊技を許容しているが、最近では消費税を外税として徴収すべく、例えば特許文献1に開示されているように5度数を525円(125玉)とする等、1円単位の端数にて対価を徴収する遊技場も少なくない。しかしながら、このような端数が生ずると遊技者の利便性が低下すると共に、1円単位にて精算処理を行う必要が生ずる等、遊技場のデメリットも生ずるので、遊技場の中にはレートを調整することにより5度数を500円のままとして、付与する遊技価値を減少させたり(例えば120玉)、内税としたりし(例えば125玉とし、1玉約3.8円+税0.2円等)、精算処理を従来と同様に100円単位のままとする遊技場もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−121713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技場では遊技者へのサービスとして、大当たりが発生した場合等に通常の貸出操作が行われた場合よりも少ない単位にて遊技価値を付与する特別付与処理を行う場合もあるが、例えば後者のように100円単位の精算処理を前提とした遊技場では、精算装置も100円未満の準備金がないので、特別付与処理を行う場合に、例えば遊技価値の付与として10玉分を付与すると、40円分の対価を徴収することになり100円単位から60円分の端数が生じて精算処理が不能となる虞がある。このように遊技場が端数残高の精算に対応するか否かにより、特別付与処理を行うか否か等を調整する必要がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技場が端数残価値の精算に対応するか否を考慮した上で、通常よりも小さい単位にて遊技価値を付与する遊技者へのサービスを適切に提供することができる遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、基準付与処理以外の付与処理である特別付与処理を、遊技場が端数残価値の精算に対応する旨を特定可能である場合には許容する一方、対応しない旨を特定可能である場合には抑制するようにしたので、端数残価値の精算に対応する遊技場では特別付与処理により遊技者の利便性が向上する一方、端数残価値の精算に対応しない遊技場では端数残価値の対応に追われる虞を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図
図2】貸出区分一覧を示す図
図3】遊技装置の操作画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を示している。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して遊技装置2及び情報表示装置3が設置されている。これら遊技機1、遊技装置2(価値受付手段、価値付与手段、対応付け手段に相当)及び情報表示装置3は2台ずつ中継装置4と接続されており、中継装置4はLAN5を介して管理装置6(設定手段、抑制手段に相当)と接続されている。又、遊技場にはPOS7や精算装置8(第1精算装置、第2精算装置に相当)も設置されており、これらPOS7や精算装置8もLAN5を介して管理装置6と接続されている。尚、図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。
【0009】
管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード9、モニタ10、プリンタ(図示せず)等が接続されている。管理装置6は、遊技機側(遊技機1、遊技装置2等)から出力される遊技信号を入力することで、遊技機1毎の遊技データ、会員登録された会員毎の個人データ、遊技機1や遊技装置2等の稼動状態等を管理する。
【0010】
遊技機1は、CR(カードリーダ)パチンコ遊技機であり、盤面11に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル12、上部受皿13、下部受皿14を有すると共に、盤面11に、液晶表示部15、普図入賞口16、第1始動口17、第2始動口18、大入賞口19を有する。
遊技機1は以下に示すように動作する。
(1)第1始動口17は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口18は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。各始動口17、18への入賞(始動入賞)に応じて大当たり抽選を行い、抽選結果を液晶表示部15にて行う図柄変動にて報知し、その変動結果に応じて大当たりとなる。
(2)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0011】
(3)大当たり抽選の当選確率(大当たり確率)は1/360であり、大当たりがその後確変状態(確変)となる大当たり(確変大当たり)となる割合である確変率は(通常状態、確変状態共に)66.6%である。大当たりが発生すると15ラウンド(R)分だけ大入賞口19を開放する。尚、1Rの上限入賞数は10個であり、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合に1Rを終了する。
(4)確変中は大当たり確率が1/36に向上すると共に、各始動口17、18への入賞率が高くなる時短状態(時短)になる。尚、確変は次回大当たりまで継続するので、大当たり後に大当たりでも確変でもない状態である通常遊技状態(通常状態)となる大当たり(通常大当たり)が発生するまで継続し、その後は所定数(例えば100回)の図柄変動を行うまで時短状態となり、その後に通常状態となる。
(5)第2始動口18は普図入賞口16への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当たりとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普図1回の変動時間は通常状態では30秒であり時短状態では3秒となる。又、開放時間は通常状態では0.3秒であり時短状態では5秒となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動時間が短くなる一方、開放時間は長くなることで第2始動口18の入賞率が高くなる。尚、上記は単なる例示であり、例示した数値等のスペックは機種に応じて異なる数値等が採用される。
【0012】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打ち込みや各始動口17、18への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
アウト信号=消費玉を回収するアウトBOXから出力される消費価値(アウト)を特定可能な信号である。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、遊技機1から出力される信号でも良い。
セーフ信号=遊技機1から出力される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号である。払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。尚、補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。
始動信号=遊技機1から出力される始動入賞(特定の入賞)により変動(作動)する液晶表示部15(役物)におけるスタート処理(図柄変動、役物作動、単位遊技)を特定可能な信号である。図柄変動確定時に出力されるので、始動信号の入力に応じてスタート処理を特定し、「始動信号×1」をスタート回数(スタート処理数)として特定する。尚、第1始動口17又は第2始動口18への入賞を示す信号としても良い。
大当たり信号=遊技機1から出力される大当たり期間を特定可能な信号である。大当たり中にレベル出力される状態信号であるので、大当たり信号の入力中を大当たり中として特定する。
特別状態信号=遊技機1から出力される特別状態(甘中)を特定可能な信号である。第2始動口18の入賞率が向上する特別状態中(時短中)にレベル出力される状態信号であるので、特別状態信号の入力中を特別状態中として特定する。又、大当たり信号と特別状態信号の何れも入力していない期間を通常状態として特定する。
【0013】
遊技装置2は、所謂各台計数機能付の貸出機であり、遊技機1の遊技状態を示す状態表示灯20、貨幣(遊技者の貨幣価値、有価価値)が投入される貨幣投入口21、遊技者からの操作入力を受け付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当たり確率等の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部22、持玉(会員であれば貯玉も含む)を払い出すための払出釦23、払い出された玉が通過する払出ノズル24、記録媒体(一般カードや会員カード)27が挿入されるカード挿入口25、遊技機1の下部受皿14の下方に位置する着脱可能な計数受皿26等を有する。
【0014】
遊技装置2は、以下に示す機能を備えている。
(1)貨幣を受け付ける(貨幣受付処理)と、入金額を残高に加算して表示し、残高がある状態で遊技機1の貸出釦が押下(付与操作、貸出操作)されると、基準払出(例えば125玉)分の貸出玉(対価付与価値)を遊技機1又は払出ノズル24から払い出し(付与処理、対価付与処理、貸出処理)、その対価分を残高から引き落とす。尚、貨幣は複数回分の対価付与処理の対応分を受付可能であるが(例えば1万円まで)、1000円単位で受け付けられる。
【0015】
(2)消費税等を考慮して貸出レート(以下、レート)が設定され、そのレートに基づき貸出処理を行い、例えば内税の場合はレートが500円で125玉(1玉=4円)、外税の場合はレートが540円で125玉(1玉=4.32円)というように設定可能である。又、貸出玉数を調整して500円で120玉というような払い出しも可能であるが、120玉を払い出す場合には、遊技機1からの払い出しが25玉単位であるので、25玉の倍数である100玉を遊技機1から払い出し、残りの20玉を払出ノズル24から払い出す。尚、内税の場合と払出玉数を調整する場合とでは端数の残高(端数残高、端数残価値)が生ずる虞は同じであるので、払出玉数を調整する構成については省略して説明する。
【0016】
(3)上記以外のレートの異なる種別の遊技装置2では、例えば1パチであれば、上記した内税の場合は200円で200玉、外税の場合は216円で200玉の払い出しを行う。このような設定を行うことで内税の場合は、100円(基準残価値)単位で残高を更新し、貨幣の受け付けも1000円単位、即ち、100円の倍数単位としているので、100円以上の貨幣のみを返却準備金とする精算装置(端数残価値の精算に対応しない第1精算装置)を用意すれば良い。一方、外税の場合は、1円単位で残高を更新するので、100円以上の貨幣に加えて100円未満の貨幣(10円玉や1円玉)も返却準備金とする精算装置(端数残価値の精算に対応する第2精算装置)を用意する必要がある。
【0017】
(4)遊技者が獲得した玉(獲得玉)を計数部により受付可能であり、玉を受け付けた場合には持玉として管理し、その持玉を対価とした払出処理(価値付与処理)も可能とし、払い出した場合はその対価分(払い出した玉と同数)を持玉より減算する。
【0018】
(5)残高や持玉が残存する状態で遊技機1の返却釦が押下(発行操作)されると、残高や持玉を記録する等して対応付けた一般カード(価値情報)を発行する。又、一般カードを受け付けることでも残高や持玉を受け付け可能であり、一般カードを受け付けて残高や持玉を受け付けた場合には、その残高や持玉を引き継ぐ。
【0019】
(6)会員カードのIDに対応付けて遊技者が遊技場へと預け入れた持玉である貯玉を管理装置6にて管理しており、会員カードを受け付けると、管理装置6にて管理されている当該会員カードに対応する貯玉を特定し、その特定した貯玉を対価とした価値付与処理(当日貯玉又は前日貯玉を対象とする)も可能とする。
【0020】
遊技装置2は、中継装置4とのシリアル通信により管理装置6にて貨幣受付処理、貸出処理、価値付与処理、残高、持玉、貸出数、払出数、入金額、計数玉数や、貸出の対価となる売上額、及び一般カードの受付や発行処理等の各種情報を特定可能としても良い。尚、上記をパルス信号(例えば入金500円毎に1パルス等)にて特定しても良い。
【0021】
精算装置8は、記録媒体27が挿入されるカード挿入口28と、記録媒体27に対応付けられた(価値情報により特定される)残高(残価値)を払い出す(精算する)返却口29とを有する。精算装置8は、その種別として、前述したように100円以上の貨幣の返却のみに対応する第1精算装置と、100円以上の貨幣の返却に加えて100円未満の貨幣の返却にも対応する第2精算装置とがある。ここで、既設の第1精算装置に例えば返却準備金のホッパー等を追加する等して100円未満の貨幣の返却に対応させる(第1精算装置を第2精算装置に改良する)ことも可能であるが、別途初めから100円未満の貨幣の返却に対応する第2精算装置を設置しても良い。又、第2精算装置であるか等の区別について、例えば100円未満ではなく10円未満の返却準備金に対応するか否かにより特定する等、端数を特定する基準値についてはどのような数値を採用しても良い。又、第1精算装置のみが設置されている遊技場は端数残価値の精算に対応しない遊技場であるとして処理する一方、第1精算装置と第2精算装置とが混在して設置されている遊技場は端数残価値の精算に対応する遊技場であるとして処理する等、第2精算装置が設けられているか否かに基づいて遊技場が端数残価値の精算に対応するか否かを判定すれば良い。
【0022】
図2は遊技装置2の貨幣価値を対価とした払い出し(貸出処理)に関わる設定情報であり、管理装置6への設定操作に応じて各遊技装置2等へと設定される。図2に示す貸出区分一覧において、「税種」は内税(従来と同様に端数残高に対応しない)であるか外税(従来とは異なり端数残高に対応する)であるかを示し、「種別」はレートにより区分されるグループを示し、払出数別に対応する対価である金額と、払い出しを許容するか否かの区分を示している。「払出」は「○」が払い出しを許容する旨を示し、「◎」が1回の貸出操作に応じた払出玉数の上限(基準価値)であり、基準となる払い出しである基準払出(基準付与処理)である旨を示している。そして、その上限とその対価(基準対価)を特定可能な情報を設定することによりレート(基準対価を特定可能な情報)を設定するが、レートの設定は図2における何れか一組の払出数と金額とを特定可能であれば良い。
【0023】
「払出」の「○」について補足する。遊技装置2では貸出操作が行われると、残高が基準払出分(基準対価分の残価値)あるかを判定し、基準払出分あれば基準払出分の払い出しを行う一方、基準払出分なければ基準払出未満のうち最も多い払出数分の払い出し(第1特別処理)を行うが、それ以外にも、図3に示す「ちょっと貸し(第2特別処理)」という操作(特別付与操作)により、残高が基準払出分あるか否かに関わらず遊技者により選択された払出数による払い出し(対価となる残高は必要)を可能とする。ちょっと貸しは、大当たりが目前に迫っているとき等に持玉がなくなっている場合に基準払出よりも少ない払出数にて玉を貸し出すという遊技者向けのサービスの1つである。尚、第1特別処理及び第2特別処理の何れも対象となる払出数は「払出」が「○」であることを条件とする。
【0024】
図2では「税種」として「内税」と「外税」とを設定しているが、説明のために示しているだけであり、必ずしも双方を設定対象とする必要はなく対応する何れか一方の税種だけを設定対象とすれば良い。又、本実施形態では、「外税」を選択した場合には端数残高の精算に対応している一方、「内税」を選択した場合には端数残高の精算に対応していないとして払い出しの抑制(「○」としない、抑制処理)を行っているが、例えば500円で125玉等の100円未満に対応しない(端数残高の精算に対応しない)レート情報を設定することで、払い出しの抑制を行っても良い。
【0025】
100円未満に対応しないレート情報を特定する方法の一例を挙げる。即ち、採用される全ての種別の基準払出の金額が100円(基準価値)の倍数(等倍も含む整数倍)であれば100円未満に対応しておらず、倍数でなければ100円未満に対応する(端数残高の精算に対応する)と判定すれば良い。又、内税であっても端数残高に対応する精算装置8を採用して端数残高に対応する場合もあるので、端数残高に対応する精算装置8を採用している旨を設定することで払い出しの抑制を行っても良い。このようにどのような設定情報により端数残高に対応する精算装置8を採用しているか否かを特定しても良い。
【0026】
図2では、4パチでは「払出」の設定状況が内税と外税とでほぼ同じであるものの、2パチや1パチでは「払出」の設定状況が内税と外税とで異なり、外税では100円未満の端数となる払出数が許容されている一方、内税では100円未満の端数となる払出数が許容されていない。図2では、内税で100円単位での取り扱いとしており、2パチにて基準払出を「200」としているので、外税でも基準払出を同じ「200」としているが、外税の場合には100円未満の取り扱いが前提となるので、4パチと同様に125玉としても良いが、この場合も内税では選択が抑制される25玉等の払い出しが許容されることになる。この点、1パチも同様である。
【0027】
図2は、法令上の規制を考慮して、レートが変更するような払出数と金額との組み合わせを例示していないが、法令上の問題がクリアされるのであれば、払出数候補としても良い。以下、法令上で規制される組み合わせを例示する。即ち、4パチの外税の場合、540円の125玉なので1玉4.32円となるが、この場合、108円の25玉は1玉4.32円のままなので貸し出しが許容されるが、10玉の43円等は、1玉4.3円となり、レートの変更となるので貸し出しが規制される。
【0028】
又、図2では消費税8%を前提としているので、4パチは外税と内税とで選択対象が同じ玉数となっているが、10%の消費税を考慮した場合、外税では125玉で550円となり、1玉4.4円のレートを変更せずに5玉で22円の貸し出し等が規則等により許容されるが、その払い出しをシステム上でも許容する等して、上記規制を考慮した上で外税と内税とで選択対象を異なる対象としても良い。
【0029】
図3は、遊技装置2でのちょっと貸し操作時における液晶表示部22の表示画面例を示している。遊技装置2は、待機画面(図示せず)にて液晶表示部22の何れかが押下されると、遊技者により操作可能な項目を示すメニュー画面31を表示する。メニュー画面31では、タイトル表示部31aに「メニュー」が表示されると共に、持玉共有釦31b、安心ロック釦31c、入金残高取出釦31d、ちょっと貸し釦31e、次釦31f、終了釦31gが表示されている。この状態からちょっと貸し釦31eが押下されると、遊技装置2は、払出玉数(端数価値)を選択可能な第1選択画面32又は第2選択画面33を表示する。尚、遊技装置2は、メニュー画面31の表示が無操作のまま所定期間継続すると、残高や持玉が受け付け状態でないことを条件に所定期間の経過後に待機画面へと戻る。
【0030】
ここで、外税と内税とで図2にて説明した通り選択対象となる玉数が異なるので、ちょっと貸し釦31eが押下されると、遊技装置2は、外税の場合であれば第1選択画面32を表示し、内税の場合であれば第2選択画面33を表示する。第1選択画面32では、タイトル表示部32aに「ちょっと貸し」が表示されると共に、25玉選択釦32b、50玉選択釦32c、75玉選択釦32d、残高表示部32e、次釦32f、終了釦32gが表示されている。この状態では遊技者は25玉(2パチであれば54円)等の100円未満の端数が生じ得る玉数(端数対価価値)の貸し出しを選択可能となる。一方、第2選択画面33では、タイトル表示部33aに「ちょっと貸し」が表示されると共に、50玉選択釦33b、100玉選択釦33c、150玉選択釦33d、残高表示部33e、終了釦33fが表示されている。この状態では遊技者は25玉等の100円未満の端数が生じ得る玉数の貸し出しを選択不可能(端数対価価値を選択第2特別処理の選択対象にしない)とし、その100円未満の端数が生ずる玉数の貸し出しを抑制している。
【0031】
尚、第1選択画面32が表示されている状態から次釦32fが押下されると、遊技装置2は、25玉、50玉、75玉に代えて他の払出玉数である100玉、125玉、150玉のそれぞれに対応する100玉選択釦、125玉選択釦、150玉選択釦を表示する。又、第1選択画面32が表示されている状態から終了釦32gが押下されると、遊技装置2は、メニュー画面31を表示する(メニュー画面31へと戻る)。同様に、第2選択画面33が表示されている状態から終了釦33gが押下されると、遊技装置2は、メニュー画面31を表示する(メニュー画面31へと戻る)。
【0032】
第1選択画面32が表示されている状態から玉数の選択が行われると(図3の例示では25玉選択釦32bが押下されると)、遊技装置2は、確認画面34を表示する。確認画面34では、タイトル表示部34aに「ちょっと貸し」が継続して表示されると共に、払出数表示部34bに当該選択された払出数と金額(図3の例示では25玉、54円)が表示され、貸出釦(図3では「玉貸ボタン」と表記)の操作を案内する貸出釦案内情報34c、残高表示部34d、中止釦34eが表示されている。
【0033】
この状態から遊技機1の貸出釦が押下されると、遊技装置2は、貸出中画面35を表示する。貸出中画面35では、タイトル表示部35aに該当する種別と払出数(図3の例示では2パチ、25玉)が表示されると共に、貸出玉の払出中であることを報知する払出中報知情報35b、払出数表示部35c、残高表示部35dが表示されている。遊技装置2は、選択された玉数の払い出しを終了すると、確認画面34を表示する(確認画面34へと戻る)。このとき、遊技装置2は、払い出し分を減算した残高(図3の例示では1000円−54円=946円)を残高表示部34dに表示する。尚、確認画面34以降の画面の推移は対応する玉数が異なる等の違いはあるが内税も同様である。又、本実施形態では、ちょっと貸しを行う状態をちょっと貸しによる払い出し後も継続しているが、1回の払い出し等の所定回数の払い出しや、大当たり信号やセーフ信号等の入力に応じて成立する予め設定される終了条件の成立に応じて終了しても良い。
【0034】
本実施形態では、ちょっと貸しの玉数を複数の候補の中から遊技者が選択する構成(選択第2特別処理)を採用しているが、前述したようにちょっと貸しは大当たりが目前に迫っているとき等の鬼気迫っている状態が前提となり、遊技者の操作を簡素化した方が望ましい場合もあるので、払出数を遊技者に選択させるのではなく、図2等の設定にてちょっと貸しでの払出数を予め設定した上で、その払出数を対象としたちょっと貸し(固定第2特別処理)を行っても良く、第1選択画面32や第2選択画面33の表示を省略しても良い。即ち、メニュー画面31が表示されている状態からちょっと貸し釦31eが押下されると、遊技装置2は、第1選択画面32や第2選択画面33を表示せずに、その予め設定されている玉数の払い出しに対応する確認画面34を表示しても良い。尚、このようにちょっと貸しの玉数を予め設定する際には図2において「払出」が「○」である払出数の何れかが対象となる(端数対価価値ではない端数価値を固定第2特別処理の付与対象に設定する)。
【0035】
又、抑制処理として、例えば管理装置6における設定操作時等に「100円未満の精算はできませんが宜しいですか」や「100円未満の精算装置が必要となりますが宜しいですか」等の注意表示を行う(端数対価価値を固定第2特別処理の付与対象に設定する設定処理を抑制する)ことで、100円未満に対応する払出数の選択を抑制しても良い。更にちょっと貸しの玉数を予め設定する場合には、最小となる払出数(2パチの場合であれば、内税なら50玉、外税なら25玉)や特定の対価に対応する払出数(2パチの場合であれば、内税の100円又は外税の108円に対応する50玉)等、更に予め設定される条件に見合う玉数を選択する構成としても良い。
【0036】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す効果を得ることができる。
遊技装置2において、100円未満の端数が生ずる玉数の貸し出しを、遊技場が100円未満の端数の精算に対応していれば許容する一方、対応していなければ抑制するようにしたので、100円未満の端数の精算に対応する遊技場ではちょっと貸しのサービスにより遊技者の利便性が向上する(例えば目前に迫っている大当たりの恩恵を得易くなる等)一方、100円未満の端数の精算に対応しない遊技場では100円未満の端数の精算の対応に追われる虞を軽減する(従業員の負担を軽減する)ことができる。
【0037】
100円未満の端数の精算に対応していなくとも、100円未満の端数が生ずるちょっと貸しのサービスを抑制する一方、100円未満の端数が生じないちょっと貸しのサービスを許容するようにしたので、100円未満の端数の精算に対応しない遊技場でも、貸し出す玉数に制約はあるもののちょっと貸しのサービスにより遊技者の利便性が向上する。
【0038】
基準対価が100円の倍数を示す場合には100円未満の端数の精算に対応しない旨を特定する一方、倍数を示さない場合には100円未満の端数の精算に対応する旨を特定するようにしたので、基準対価を特定可能な情報の設定はレートを特定するための情報であり、付与処理を行う上で必須とも言える設定情報であることから、別途端数残価値に対応するか否か等の設定情報を設定するか否かに関わらずに抑制処理を行うことができる。
【0039】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
従来と同様に端数が生じ難いレートを「内税」とし、従来とは異なり端数が生じ易いレートを「外税」としたが、540円と示していることから「内税」と捉えることも可能であるので、「外税」の場合に必ずしも所謂外税になるとは限らず、「税種」は単なる遊技場が端数残高に対応しているか否かを示す一例に過ぎない。
【0040】
内税の場合に、端数残高が生じない特別付与処理を許容する一方、端数が生ずる特別付与処理を抑制する構成を例示したが、端数残高が生じるか否かに関係なく特別付与処理を抑制する構成でも良い。
【0041】
精算装置8として貨幣の払い出しにより残高を精算する構成を例示したが、端数残高の精算に対応する第2精算装置では、貨幣の払い出し以外で精算しても良く、例えば残高分を電子データとして記録媒体に記録して発行したり遊技者の電子マネーにチャージしたりする等の方法で精算しても良い。記録媒体に記録して発行する場合、記録媒体を遊技場の係員に提示する等して遊技場の係員が精算の操作を行う運用を採用することができる。上記したように記録媒体により端数残高の精算を行う精算装置であっても、上記のような遊技場の係員による精算の運用を嫌う遊技場もあり、この場合は、第2精算装置が設置されたとしてもレートは端数未満の貨幣の精算に対応しないレートが設定されることから、端数残高の精算に対応しない遊技場として判定しても良い。このように端数残高に対応する遊技場であるか否かは、直接的な設定であっても良いし、第2精算装置が設定されている否か、又は端数残高に対応するレートが設定されるか否か等の間接的な設定であっても良いし、どのような設定情報により特定しても良い。
【0042】
獲得価値や残高等の有価価値を特定可能な一般カード等の記録媒体を発行することで有価価値と価値情報(記録媒体又は記録媒体の識別情報)とを対応付ける構成(発行処理)を例示したが、記録媒体としてカード以外のコイン等の他の記録媒体を採用しても良いし、発行処理として遊技者の指紋等の生体認証可能な価値情報を受け付け、その受け付けた価値情報と有価価値とを対応付ける構成としても良い。又、価値情報と有価価値とを対応付ける際に、記録媒体に情報を記録しても良いし、別途管理装置6にて記録媒体の識別情報に対応付けて有価価値を管理することで対応付けても良い。又、貨幣価値は直接受け付けるだけでなく、価値情報を受け付けることで間接的に受け付けても良い。
【0043】
以上等の表現は、基準値との比較において、以上だけなく超過とならないかを判定する構成も包含するが、以下等の表現も同様であり、以下だけでなく未満とならないかを判定する構成を包含する。尚、両者を包含する表現として、「達する」又は「達しない」を用いる場合もある。
遊技装置2として持玉の計数や払い出しを行う所謂各台計数機能を備えた構成を例示したが、貨幣受付処理や、その貨幣による対価付与処理等の所謂貸出機の機能を備えていれば、必ずしも各台計数機能を備えていなくとも良い。
【0044】
対象となる遊技機1は遊技媒体をデータのみで管理する所謂封入式等の例示したパチンコ遊技機以外のパチンコ遊技機やスロットマシン等も採用することができ、スロットマシンの場合であれば遊技媒体はメダルとなる。尚、上記した封入式等を考慮して遊技媒体は必要に応じて遊技価値と表現する。又、封入式等の場合、有価価値を遊技に消費可能な状態とすることが遊技に使用可能な遊技価値を付与する価値付与処理となる。
例示した設定値は予め設定されれば、遊技場の管理者が任意に設定しても良いし、管理装置6の製造メーカにて設定しても良いし、外部(例えばチェーン店本部等)の管理サーバから設定情報をダウンロードして設定しても良い。
【0045】
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用する等して間接的に特定しても良い。又、数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。例えば特別付与処理として基準価値よりも少ない端数価値分を付与対象とすることを例示したが、基準価値よりも多い付与価値を付与対象とする等しても良い。
例示した処理は管理装置6や遊技装置2にてどのように分担しても良く、更に、中継装置4や情報表示装置3や精算装置8等を含めて、どのような機器により行っても良い。又、変形例を含む例示した構成をどのように組み合わせても良いし、適宜採用しなくとも良い。
【符号の説明】
【0046】
図面中、2は遊技装置(価値受付手段、価値付与手段、対応付け手段)、6は管理装置(設定手段、抑制手段)、8は精算装置(第1精算装置、第2精算装置)である。
図1
図2
図3