(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-202854(P2016-202854A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】弁当箱二段式加熱装置
(51)【国際特許分類】
A47J 39/02 20060101AFI20161111BHJP
【FI】
A47J39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-100479(P2015-100479)
(22)【出願日】2015年4月23日
(71)【出願人】
【識別番号】504043392
【氏名又は名称】佐藤 明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明
【テーマコード(参考)】
4B066
【Fターム(参考)】
4B066AA11
4B066AB03
4B066BA11
4B066BC05
4B066BC15
4B066BD03
4B066BD13
(57)【要約】
【課題】 軽くて持ち運びが簡単で場所を取らない携帯型弁当箱を上下間で二段式に加熱する装置で駆動電源はAC−DCアダプター及び蓄電池が共用でき、更に一台の装置の一方では弁当箱を高温加熱、他一方では菜の低温加熱が同時にできるようにする。
【解決手段】ペルチェ素子の放熱部、吸熱部となる熱交換面に熱伝導性の良好な金属板で加工した蓄熱部材をペルチェ素子の上下に具備することで、弁当箱の一方では高温加熱、他方では低温加熱ができ、尚且つ装置内に設けた切り替えスイッチで印加電圧極性方向を選択することで、高温加熱機能と低温加熱機能を装置の上下段間で正反対にする事ができる画期的な二段式加熱装置を提供できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流の駆動電源より給電され印加電圧極性方向によって放熱部と吸熱部を入れ換えるペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の放熱部、吸熱部となる熱交換面に熱伝導性の良好な金属板を上下に位置し、前記金属板外面の上段には上向き、下段には下向きに熱的に接するように重装した上段蓄熱部材と下段蓄熱部材を有し、前記ペルチェ素子への印加電圧極性方向により前記放熱部側では高温加熱機能、前記吸熱部側では低温加熱機能となる蓄熱部材ユニットを具備し、前記蓄熱部材ユニット内に弁当箱、菜箱を収納することで、一方では高温加熱、他方では低温加熱ができることを特徴とした弁当箱二段式加熱装置。
【請求項2】
蓄熱部材ユニットの上段蓄熱部材側を高温加熱機能、下段蓄熱部材側を低温加熱機能の印加電圧極性方向では、赤色LEDで表示、逆の上段蓄熱部材側を低温加熱機能、下段蓄熱部材側を高温加熱機能の印加電圧極性方向では青色LEDで下容器直方面の何れかに表示した事を特徴とした請求項1記載の弁当箱二段式加熱装置。
【請求項3】
蓄熱部材ユニットの加熱に必要な直流電源はAC−DCアダプター及び蓄電池が共用して使用できることを特徴とした弁当箱二段式加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペルチェ素子を持ち得ることによって弁当箱の上下段で異なる温度で同時に加熱を可能にした弁当箱二段式加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弁当箱の保温技術として魔法瓶方式の外壁と内壁間を真空にする方式が知られている。
この方式の場合食物を容器に入れ収納するが食するまで長時間容器に入れっぱなしになることで衛生上の問題が懸念されている。
更に真空式のため円筒形が主のため収納する容器を数段に重ねる必要があった。
このため比較的大型化となる、温度コントロールが出来ない、携帯性に劣るなど避けられないものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
製品化され市場に出回っている保温式弁当箱は、真空方式を採用していることから、次のような問題点があった。
(イ)真空方式は円筒形が主のため容器を重ねて収納するため大型化となる、携帯性に劣 っている。
(ロ)食物を容器に入れ収納するが食するまで長時間弁当箱内に入れっぱなしとなること から食物によっては衛生上の問題が懸念されている。
(ハ)真空方式も時間の経過とともに外気温になってしまう。
(ニ)再加熱はできない。
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
直流の駆動電源より給電され印加電圧極性方向によって放熱部と吸熱部を入れ換えるペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の放熱部、吸熱部となる熱交換面に熱伝導性の良好な金属板を上下に位置し、前記金属板外面の上段は上向き、下段は下向きに熱的に接するように重装した上段蓄熱部材と下段蓄熱部材を有し、前記ペルチェ素子への印加電圧極性方向により前記放熱部側では高温加熱機能、前記吸熱部側では低温加熱機能となる蓄熱部材ユニットを具備し、前記蓄熱部材ユニット内に弁当箱、菜箱を収納することで、一方では高温加熱、他方では低温加熱ができることを特徴とした弁当箱二段式加熱装置である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】 この発明の一実施に係る二段式加熱装置の全体斜視図である。
【
図2】 この発明の一実施に係る二段式加熱装置の断面図である。
【
図5】 この発明の一実施に係る二段式蓄熱部材ユニットの斜視図である。
【
図6】 この発明の一実施に係る二段式蓄熱部材ユニットの断面図である。
【
図7】 この発明の一実施に係る二段式蓄熱部材ユニットの断熱性向上手段と機械的固定方法の実施例である。
【
図8】 この発明の一実施に係るペルチェ素子ユニットの部品構成とその斜視図である。
【
図9】 この発明の一実施に係るペルチェ素子ユニットの斜視図である。
【
図10】 この発明の一実施に係るペルチェ素子ユニットの断面図である。
【
図11-1】 この発明の一実施例に係る請求項2記載の上段蓄熱部材側高温加熱機能時の下容器の孔加工と電子部品配置図である。
【
図11-2】 この発明の一実施例に係る請求項2記載の上段蓄熱部材側高温加熱機能時の回路図である。
【
図12-1】 この発明の一実施例に係る請求項2記載の上段蓄熱部材側高温加熱、下段蓄熱部材側低温加熱、逆の上段蓄熱部材側低温加熱機能、下段蓄熱部材側高温加熱時の下容器の孔加工と電子部品配置図である。
【
図12-2】 この発明の一実施例に係る請求項2記載の上段蓄熱部材側高温加熱機能と逆の上段蓄熱部材側低温加熱機能両仕様時の回路図である。
【
図13】 この発明の一実施例に係る請求項1記載の高温加熱温度に対し約20℃以上の温度差で低温加熱ができる性能グラフである。
【発明を実施するための形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0006】
ペルチェ素子1の放熱、吸熱機能を有効に機能させるため、ペルチェ素子1の熱交換面に熱伝導性の良好な熱伝導シート3A,3Bを介しアルミ板4Aと4Bでペルチェ素子と断熱材スペーサー5をサンドイッチ状に固定したペルチェ素子ユニット2を形成する。
このペルチェ素子ユニット2の上段には放熱、吸熱用蓄熱部材6と下段側には吸熱、放熱用蓄熱部材7を上下に位置し熱的に接するように重装する事で高温加熱用と低温加熱用蓄熱部材を兼ね備えた蓄熱部材ユニット8が具備される。
【0007】
上段蓄熱部材6は弁当箱の加熱時の蓄熱に適した四直方面を有した構造である。
尚6aは高温加熱機能時熱せられた上段蓄熱部材6に手を直接触れることなく弁当箱19の蓋19aの開閉及び弁当箱全体を取り出すときの指先逃げである。
下段蓄熱部材7の構造は
図5の7bと
図6の7a、7cに示すとおり三直方面を有し、加熱時の蓄熱に適した構造とともに残る一端には電子部品を実装するプリント基板9を固定する取り付部10a,10bを有した構造となっている。
【0008】
プリント基板9にはペルチェ素子1への給電用DCソケット12、電源ON,OFF及び印加電圧極性方向切り替えスライドスイッチ13、高温加熱、低温加熱表示用LED14,15,抵抗(図示しない)が半田付けされる。
上段蓄熱部材6の高温加熱機能時は赤色発光LED14を点灯、上段蓄熱部材6を低温加熱機能の時は表示は青色とするため青色発光LED15とLED用抵抗(図示しない)が半田付けされる。
【0009】
ペルチェ素子1の放熱機能と吸熱機能を有効に活用する上段蓄熱部材6と下段蓄熱部材7とペルチェ素子ユニット2を一体化した蓄熱部材ユニット8は、熱伝導性の良好な例えばアルミ板で構成され、弁当箱を加熱するのに最適な構造に加工しても上下段で加熱できることから弁当箱容器全体の大きさを変えることなく蓄熱部材ユニット8内で高温加熱と低温加熱が同時にできる画期的な弁当箱二段式加熱装置が提供できる。
【0010】
更にペルチェ素子1は直流電源で駆動する素子のため、蓄熱部材ユニット8に給電する電源は、数ボルト仕様のAC−DCアダプター(図示しない)又は蓄電池(図示しない)等利便性が高く経済的で実用性にも優れた装置となっている。
本発明は以上のような構成である。
これを使用するときは、
【符号の説明】
【0011】
1 ベルェ素子
2 ペルチェ素子ユニット
3A,3B 熱伝導シート
4A,4B 蓄熱板
5 断熱材スペーサー
6 上段蓄熱部材
7 下段蓄熱部材
8 蓄熱部材ユニット
9 プリント基板
10a、10b プリント基板取り付部
11a 取り付けネジ、11b 取り付けナット
12 DCソケット
13 スライドスイッチ
14 赤色LED
15 青色LED
16 蓄熱部材ユニット固定ネジ
17 蓄熱部材ユニット固定ナット
18 上容器
19 弁当箱、19b ご飯、 19a 菜箱、 19c 菜
20 従来型仕切り板、20a この発明の仕切り板
21 従来型下容器、 21a 保冷剤
22 この発明の下容器
23 上容器ロック用爪
24 下容器ロック用爪受け
ペルチェ素子1の放熱部側と吸熱部側にほぼ同一の体積を有する上段蓄熱部材6と下段蓄熱部材7を熱的に接するように重装し、機械的に固定し蓄熱部材ユニット8を構成することにより発熱部側の異常な温度上昇を防止できる構造である。
上段側と下段側の加熱温度は上下蓄熱部材の体積と自然空冷が作用し約20℃以上の温度差をもって上下間で加熱できる性能が確保できる。(
図13参照)
【0012】
請求項1の発明の望ましい実施態様であって、上段蓄熱部材6と下段蓄熱部材7の動作モードを目視で確認できることから弁当箱への通電状態が自覚できることで使用者に安心を与えるものである。
【0013】
請求項1の発明の望ましい実施態様であって、弁当箱の携帯性を重視し、低電圧のAC−DCアダプター(図示しない)及び蓄電池(図示しない)でも共用して使用できる蓄熱部材ユニットを具備した経済的で利便性、実用性の高い弁当箱二段式加熱装置である。
【実施例1】
【0014】
本発明における各部材の配置は、
図1に示すとおりで以下に説明する。
【0015】
上容器18、弁当箱19、仕切り板20,下容器21の各々は従来型と全く同じ形状、寸法の場合を示した図である。
異なる点は本発明に係る仕切り板20aを蓄熱部材ユニット8の下段蓄熱部材7部分が通過できるように下容器上面の全周囲部に勘合するリブ状凹形状20bが形成され蓄熱部材ユニット8の上下方向及び全体の位置決めも兼ね備えた構造となっている。
下容器21aは従来型に対して、本発明の二段式加熱に必要なDCソケット用12a孔とスライドスイッチのつまみ突起逃げ孔13a、LED用孔14a,15aが形成されている。
図2は弁当箱組み付け後のA−A断面図である。
【実施例2】
図3に示す弁当箱は従来型弁当箱の一般的な構成である。上容器18、弁当箱19、仕切り板20、下容器21の構成となっている。
弁当箱19にはご飯19bが詰めてあり下容器21には主に夏場は保冷剤21aが収納され寒冷期には
図2の菜箱19aに菜19cが詰められることが多い。
図4は弁当箱組み付け後のB−B視の断面図である。
【0016】
図2は本発明の弁当箱組み付け後のA−A断面図で、上容器18、弁当箱19、ご飯19a、上段畜熱部材6、下段畜熱部材7、仕切り板20a、ペルチェ素子ユニット2、菜用器22、菜容器内菜22a,下容器21aである。
【0017】
図5は本発明の蓄熱部材ユニット8の斜視図であり、上段蓄熱部材6と下段蓄熱部材7とが熱的に接した状態で組み付けするため本図では断熱材で製作されたネジ16とナット17で固定される。
【0018】
図6は蓄熱部材ユニット8のD−D視の断面図であり、上部蓄熱部材6、ペルチェ素子ユニット2、下部蓄熱部材7、断熱材製ネジ16とナット17で蓄熱部材ユニット8を機械的に固定する。プリント基板9はネジ11a,ナット11bで固定される。
【0019】
図7は蓄熱部材ユニット8を固定するネジ16,ナット17以外の固定方法で、7−1は断熱材で製作されたネジ付き支柱16aで固定した状態図である。
7−2は断熱材スペーサー5自体に固定用カシメボスを設け畜熱板を上下に位置した後上下段蓄熱部材と一緒にカシメボスの凸部を潰し固定した状態図である。
【0020】
図8はペルチェ素子ユニット2の組み付け前の斜視図であり、ペルチェ素子1、熱伝導シート3A,3B、アルミ蓄熱板4A,4B、断熱材スペーサー5である。
【0021】
図9はペルチェ素子ユニット2の斜視図である。
【0022】
図10はペルチェ素子ユニット2のC−C視断面図である。
【0023】
図11−1は下容器21aの直方面に設けたDCソケット12、スライドスイッチ13、LED14用孔配置図で、特許請求項2の上段蓄熱部材側を高温加熱機能とした時のスライドスイッチ13と角孔13a、LED14と孔14aの配置図である。
【0024】
図11−2は特許請求項2の上段蓄熱部材側を高温加熱機能にする時の回路図である。
【0025】
図12−1は特許請求項2の上段蓄熱部材側を高温加熱及び低温加熱、下段蓄熱部材側を低温加熱及び高温加熱機能にする時のスライドスイッチ13と角孔13b、LED14,15と孔14a,14bの配置図である。
【0026】
図12−2は特許請求項2の上段蓄熱部材側高温加熱機能と逆の上段蓄熱部材側低温加熱機能両仕様時の回路図である。