特開2016-202917(P2016-202917A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テルモ株式会社の特許一覧
特開2016-202917バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置
<>
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000003
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000004
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000005
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000006
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000007
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000008
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000009
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000010
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000011
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000012
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000013
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000014
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000015
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000016
  • 特開2016202917-バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-202917(P2016-202917A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】バルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20161111BHJP
   A61L 29/00 20060101ALN20161111BHJP
【FI】
   A61M25/10 500
   A61L29/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2016-86015(P2016-86015)
(22)【出願日】2016年4月22日
(31)【優先権主張番号】特願2015-88384(P2015-88384)
(32)【優先日】2015年4月23日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】後藤 博
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】古市 英資
【テーマコード(参考)】
4C081
4C167
【Fターム(参考)】
4C081AC10
4C081BB06
4C081EA06
4C167AA07
4C167BB06
4C167BB28
4C167CC07
4C167CC09
4C167FF01
4C167GG16
(57)【要約】
【課題】バルーンの外表面へコーティング液を適切に塗布することが可能であり、バルーンにコーティングされる薬剤の形態型などを適切に設定可能なバルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置を提供する。
【解決手段】バルーンカテーテル10のバルーン30の外表面に水不溶性薬剤を含むコート層32を形成するバルーンコーティング方法であって、バルーン30の軸心Xを中心として回転可能な支持部230にカテーテルシャフト20を保持する工程と、支持部230とともにバルーン30を回転させつつ、薬剤を含むコーティング液を供給するためのディスペンシングチューブ134をバルーン30の軸心方向Xへ当該バルーン30に対して相対的に移動させて、バルーン30の外表面にコーティング液を塗布する工程と、を有する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺なシャフトの先端部に拡張可能なバルーンが設けられたバルーンカテーテルのバルーンの外表面に水不溶性薬剤を含むコート層を形成するバルーンコーティング方法であって、
前記バルーンの軸心を中心として回転可能な支持部に前記シャフトを保持する工程と、
前記支持部とともに前記バルーンを回転させつつ、薬剤を含むコーティング液を供給するためのディスペンシングチューブを前記バルーンの軸心方向へ当該バルーンに対して相対的に移動させて、前記バルーンの外表面に前記コーティング液を塗布する工程と、を有するバルーンコーティング方法。
【請求項2】
前記支持部は、前記シャフトの少なくとも一部を収容可能な直線的な溝部が形成された支持台と、前記溝部の少なくとも一部を覆うことが可能な蓋部と、を有し、
前記シャフトを保持する工程において、前記溝部に前記シャフトを収容して前記蓋部により前記溝部を覆うことで、前記支持部と前記蓋部の間に前記シャフトを保持する請求項1に記載のバルーンコーティング方法。
【請求項3】
前記シャフトを保持する工程において、前記支持台および蓋部により前記シャフトを挟持する請求項2に記載のバルーンコーティング方法。
【請求項4】
前記シャフトを保持する工程において、前記シャフト内に芯材を挿入した状態で前記シャフトを前記支持部に保持する請求項1〜3のいずれか1項に記載のバルーンコーティング方法。
【請求項5】
上記バルーンコーティング方法は、前記塗布する工程において、前記支持部に回転力を作用させる回転駆動部により前記バルーンカテーテルを回転させつつ、前記回転駆動部よりも先端側に設けられる軸受部により回転可能に支持する請求項1〜4のいずれか1項に記載のバルーンコーティング方法。
【請求項6】
長尺なシャフトの先端部に拡張可能なバルーンが設けられたバルーンカテーテルを回転させるためのバルーン回転方法であって、
前記バルーンの軸心を中心として回転可能な支持部に前記シャフトを保持する工程と、
前記支持部とともに前記バルーンを回転させる工程と、を有するバルーン回転方法。
【請求項7】
前記支持部は、前記シャフトの少なくとも一部を収容可能な直線的な溝部が形成された支持台と、前記溝部の少なくとも一部を覆うことが可能な蓋部と、を有し、
前記シャフトを保持する工程において、前記溝部に前記シャフトを収容して前記蓋部により前記溝部を覆うことで、前記支持部に前記シャフトを保持する請求項6に記載のバルーン回転方法。
【請求項8】
前記シャフトを保持する工程において、前記支持部および蓋部により前記シャフトを挟持する請求項7に記載のバルーン回転方法。
【請求項9】
前記シャフトを保持する工程において、前記シャフト内に芯材を挿入した状態で前記シャフトを前記支持部に保持する請求項6〜8のいずれか1項に記載のバルーン回転方法。
【請求項10】
前記塗布する工程において、前記支持部に回転力を作用させる回転駆動部により前記バルーンカテーテルを回転させつつ、前記回転駆動部よりも先端側に設けられる軸受部により回転可能に支持する請求項6〜9のいずれか1項に記載のバルーン回転方法。
【請求項11】
長尺なシャフトの先端部に拡張可能なバルーンが設けられたバルーンカテーテルのバルーンの外表面に水不溶性薬剤を含むコート層を形成するバルーンコーティング装置であって、
前記シャフトを保持して前記バルーンの軸心を中心として回転可能な支持部と、
前記支持部を回転させる回転駆動部と、
薬剤を含むコーティング液を供給するためのディスペンシングチューブを前記バルーンの軸心方向へ当該バルーンに対して相対的に移動させて、前記バルーンの外表面に前記コーティング液を塗布する塗布部と、を有するバルーンコーティング装置。
【請求項12】
前記支持部は、前記シャフトの少なくとも一部を収容可能な直線的な溝部を有する支持台と、前記溝部の少なくとも一部を覆うことが可能な蓋部と、を有する請求項11に記載のバルーンコーティング装置。
【請求項13】
前記支持台および蓋部は、前記シャフトを挟持する請求項12に記載のバルーンコーティング装置。
【請求項14】
前記回転駆動部よりも先端側にて前記支持部を回転可能に支持する軸受部をさらに有する請求項11〜13のいずれか1項に記載のバルーンコーティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンの表面に薬剤を含むコート層を形成するバルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体管腔内に生じた病変部(狭窄部)の改善のために、バルーンカテーテルが用いられている。バルーンカテーテルは、通常、長尺なシャフト部と、シャフト部の先端側に設けられて径方向に拡張可能なバルーンとを備えており、収縮されているバルーンを、細い生体管腔を経由して体内の目的場所まで到達させた後に拡張させることで、病変部を押し広げることができる。
【0003】
しかしながら、病変部を強制的に押し広げると、平滑筋細胞が過剰に増殖して病変部に新たな狭窄(再狭窄)が発症する場合がある。このため、最近では、バルーンの外表面に狭窄を抑制するための薬剤をコーティングした薬剤溶出バルーン(Drug Eluting Balloon;DEB)が用いられている。薬剤溶出バルーンは、拡張することで外表面にコーティングされている薬剤を病変部へ瞬時に放出し、薬剤を生体組織へ移行させることができ、これにより、再狭窄を抑制することができる。
【0004】
近年では、バルーン表面にコーティングされる薬剤の形態型(morphological form)が、病変患部におけるバルーン表面からの薬剤の放出性や組織移行性に影響を及ぼすことが明らかになりつつあり、薬剤の結晶型もしくは非晶質(アモルファス)のコントロールが重要であると言われている。
【0005】
バルーンに薬剤をコーティングする方法として、種々の方法が提案されている。例えば特許文献1には、バルーンを回転させつつ、薬剤を含むコーティング液をバルーンの表面に供給し、コーティング液を乾燥させて薬剤を含むコート層を形成する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8597720号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、バルーンの外表面にコーティングされる薬剤は、溶媒を揮発させる際の時間の長短等の種々の条件によって、結晶型、非晶質(アモルファス)型、およびそれらの混合型などの異なる形態型となり得る。結晶および非晶質は、必ずしもどちらが望ましいというものではなく、目的に応じて選択できることが望まれる。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、バルーンの外表面へコーティング液を適切な量で塗布することが可能であり、バルーンにコーティングされる薬剤の形態型などを適切に設定可能なバルーンコーティング方法、バルーン回転方法およびバルーンコーティング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明に係るバルーンコーティング方法は、長尺なシャフトの先端部に拡張可能なバルーンが設けられたバルーンカテーテルのバルーンの外表面に水不溶性薬剤を含むコート層を形成するバルーンコーティング方法であって、前記バルーンの軸心を中心として回転可能な支持部に前記シャフトを保持する工程と、前記支持部とともに前記バルーンを回転させつつ、薬剤を含むコーティング液を供給するためのディスペンシングチューブを前記バルーンの軸心方向へ当該バルーンに対して相対的に移動させて、前記バルーンの外表面に前記コーティング液を塗布する工程と、を有する。
【0010】
上記のように構成したバルーンコーティング方法は、回転可能な支持部にシャフトを保持した状態でバルーンを回転させるため、シャフトの湾曲等がバルーンの回転に影響し難くなり、バルーンに捩れや偏心が生じ難くなる。このため、バルーンの外表面の位置が回転時に変動し難くなり、バルーンの外表面へコーティング液を適切な量で塗布することができる。また、バルーンの外表面の位置が回転時に変動し難くなることで、ディスペンシングチューブのバルーンに対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーンにコーティングされる薬剤の形態型などを適切に設定可能となる。
【0011】
前記バルーンコーティング方法は、前記支持部が、前記シャフトの少なくとも一部を収容可能な直線的な溝部が形成された支持台と、前記溝部の少なくとも一部を覆うことが可能な蓋部と、を有し、前記シャフトを保持する工程において、前記溝部に前記シャフトを収容して前記蓋部により前記溝部を覆うことで、前記支持部と前記蓋部の間に前記シャフトを保持するように構成してもよい。これにより、シャフトを溝部から脱落しないように容易かつ確実に保持することができる。
【0012】
前記バルーンコーティング方法は、前記シャフトを保持する工程において、前記支持台および蓋部により前記シャフトを挟持するように構成してもよい。これにより、シャフトを支持部に強固に保持でき、バルーンの回転が安定してバルーンに捩れや偏心が生じ難くなり、バルーンの外表面の位置が回転時に変動し難くなる。
【0013】
前記バルーンコーティング方法は、前記シャフトを保持する工程において、前記シャフト内に芯材を挿入した状態で前記シャフトを前記支持部に保持するように構成してもよい。これにより、シャフトを支持部に保持しても、シャフトの変形を抑制できる。
【0014】
上記バルーンコーティング方法は、前記塗布する工程において、前記支持部に回転力を作用させる回転駆動部により前記バルーンカテーテルを回転させつつ、前記回転駆動部よりも先端側に設けられる軸受部により回転可能に支持するように構成してもよい。これにより、駆動軸から先端方向へ延びる支持部の回転が安定するため、バルーンの回転が安定してバルーンに捩れや偏心が生じ難くなる。
【0015】
また、上記目的を達成する本発明に係るバルーン回転方法は、長尺なシャフトの先端部に拡張可能なバルーンが設けられたバルーンカテーテルを回転させるためのバルーン回転方法であって、前記バルーンの軸心を中心として回転可能な支持部に前記シャフトを保持する工程と、前記支持部とともに前記バルーンを回転させる工程と、を有する。
【0016】
上記のように構成したバルーン回転方法は、回転可能な支持部にシャフトを保持した状態でバルーンを回転させるため、シャフトの湾曲等がバルーンの回転に影響し難くなり、バルーンに捩れや偏心が生じ難くなる。このため、バルーンの外表面の位置が回転時に変動し難くなる。
【0017】
前記バルーン回転方法は、前記支持部が、前記シャフトの少なくとも一部を収容可能な直線的な溝部が形成された支持台と、前記溝部の少なくとも一部を覆うことが可能な蓋部と、を有し、前記シャフトを保持する工程において、前記溝部に前記シャフトを収容して前記蓋部により前記溝部を覆うことで、前記支持部に前記シャフトを保持するように構成してもよい。これにより、シャフトを溝部から脱落しないように容易かつ確実に保持することができる。
【0018】
前記バルーン回転方法は、前記シャフトを保持する工程において、前記支持部および蓋部により前記シャフトを挟持するように構成してもよい。これにより、シャフトを支持部に強固に保持でき、バルーンの回転が安定してバルーンに捩れや偏心が生じ難くなり、バルーンの外表面の位置が回転時に変動し難くなる。
【0019】
前記バルーン回転方法は、前記シャフトを保持する工程において、前記シャフト内に芯材を挿入した状態で前記シャフトを前記支持部に保持するように構成してもよい。これにより、シャフトを支持部に保持しても、シャフトの変形を抑制できる。
【0020】
前記バルーン回転方法は、前記塗布する工程において、前記支持部に回転力を作用させる回転駆動部により前記バルーンカテーテルを回転させつつ、前記回転駆動部よりも先端側に設けられる軸受部により回転可能に支持するように構成してもよい。これにより、回転駆動部から先端方向へ延びる支持部の回転が安定するため、バルーンの回転が安定してバルーンに捩れや偏心が生じ難くなり、バルーンの外表面の位置が回転時に変動し難くなる。
【0021】
また、上記目的を達成する本発明に係るバルーンコーティング装置は、長尺なシャフトの先端部に拡張可能なバルーンが設けられたバルーンカテーテルのバルーンの外表面に水不溶性薬剤を含むコート層を形成するバルーンコーティング装置であって、前記シャフトを保持して前記バルーンの軸心を中心として回転可能な支持部と、前記支持部を回転させる回転駆動部と、薬剤を含むコーティング液を供給するためのディスペンシングチューブを前記バルーンの軸心方向へ当該バルーンに対して相対的に移動させて、前記バルーンの外表面に前記コーティング液を塗布する塗布部と、を有する。
【0022】
上記のように構成したバルーンコーティング装置は、回転可能な支持部にシャフトを保持した状態でバルーンを回転させることができるため、シャフトの湾曲等がバルーンの回転に影響し難くなり、バルーンに捩れや偏心が生じ難くなる。このため、バルーンの外表面の位置が回転時に変動し難くなり、バルーンの外表面へコーティング液を適切な量で塗布することができる。また、バルーンの外表面の位置が回転時に変動し難くなることで、ディスペンシングチューブのバルーンに対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーンにコーティングされる薬剤の形態型などを適切に設定可能となる。
【0023】
前記バルーンコーティング装置は、前記支持部が、前記シャフトの少なくとも一部を収容可能な直線的な溝部を有する支持台と、前記溝部の少なくとも一部を覆うことが可能な蓋部と、を有するように構成してもよい。これにより、溝部に前記シャフトを収容して蓋部により溝部を覆うことで、シャフトを溝部から脱落しないように容易かつ確実に保持することができる。
【0024】
前記バルーンコーティング装置は、前記支持台および蓋部が、前記シャフトを挟持するように構成してもよい。これにより、シャフトを支持部に強固に保持でき、バルーンの回転が安定してバルーンに捩れや偏心が生じ難くなり、バルーンの外表面の位置が回転時に変動し難くなる。
【0025】
前記バルーンコーティング装置は、前記回転駆動部よりも先端側にて前記支持部を回転可能に支持する軸受部をさらに有するように構成してもよい。これにより、回転駆動部から先端方向へ延びる支持部の回転が安定するため、バルーンの回転が安定してバルーンに捩れや偏心が生じ難くなり、バルーンの外表面の位置が回転時に変動し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態に係るバルーンコーティング方法を行うための装置を示す概略図である。
図2】バルーンカテーテルを示す平面図である。
図3】バルーンカテーテルの先端部を示す断面図である。
図4】駆動軸を示す平面図であり、(A)は駆動軸を三方活栓に連結する前の状態、(B)は駆動軸を三方活栓に連結した状態を示す。
図5】支持部を示す斜視図である。
図6図5のA−A線に沿う断面図である。
図7】保持部を示す平面図である。
図8図7のB−B線に沿う断面図である。
図9】保持部にバルーンカテーテルを保持した状態を示す断面図である。
図10】バルーンの外表面にコーティング液を塗布する際のバルーンを示す断面図である。
図11】第2実施形態に係るバルーンコーティング方法を行うための装置を示す概略図である。
図12】第2実施形態に係るバルーンコーティング方法を行うための装置を上方から観た平面図である。
図13図12のC−C線に沿う断面図である。
図14】蓋部を開いた状態を示す断面図である。
図15】第1実施形態におけるバルーンコーティング装置の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
【0028】
本発明の第1実施形態に係るバルーンコーティング方法は、バルーンの表面に水不溶性薬剤を含むコート層を形成するものであり、図1に示すバルーンコーティング装置100により実施される。なお、本明細書では、バルーンカテーテル10の生体管腔に挿入する側を「先端」若しくは「先端側」、操作する手元側を「基端」若しくは「基端側」と称することとする。
【0029】
まず、バルーンカテーテル10の構造を説明する。バルーンカテーテル10は、いわゆるラピッドエクスチェンジ型のカテーテルであり、図2、3に示すように、長尺なカテーテルシャフト20(シャフト)と、カテーテルシャフト20の先端部に設けられるバルーン30と、カテーテルシャフト20の基端に固着されたハブ40と、カテーテルシャフト20およびハブ40の接続部に設けられる耐キンクチューブ50とを有している。
【0030】
カテーテルシャフト20は、基端側がハブ40に固着される管状の基端シャフト60と、基端シャフト60の先端側を覆う管状の中間シャフト70と、中間シャフト70の先端側に設けられる管状の先端シャフト80と、先端シャフト80の内部に配置される管状の内管90とを備えている。基端シャフト60、中間シャフト70および先端シャフト80の内部には、バルーン30を拡張させるための拡張用流体が流通する拡張ルーメン23が形成されている。
【0031】
内管90は、先端シャフト80及びバルーン30の内部を同軸状に貫通する内管シャフト95と、内管シャフト95の先端部に連結される柔軟な先端チップ96とを備えている。先端チップ96は、バルーン30の先端よりも先端方向へ延在しており、先端チップ96の基端部の外周面に、バルーン30の先端部が液密性を保った状態で接合されている。一方、内管シャフト95の基端は、中間シャフト70の外周方向における一部(側面に形成された側口)に液密性を保った状態で固着されており、この内管シャフト95の基端開口が中間シャフト70の外部に露出して、基端開口部92を構成している。内管90の先端から基端開口部92にかけての内部空間がガイドワイヤルーメン91となっており、ガイドワイヤは内管90を構成する先端チップ96の先端開口部93を入口とし、内管90を構成する内管シャフト95の基端開口部92を出口として、内管90内に挿通される。なお、基端開口部92は、中間シャフト70ではなく、基端シャフト60または先端シャフト80に設けられてもよく、また中間シャフト70と先端シャフト80の境界部に設けられてもよい。
【0032】
先端シャフト80、内管シャフト95、先端チップ96および中間シャフト70の構成材料は、特に限定されないが、例えばポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれら二種以上の混合物など)、ポリオレフィンの架橋体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、フッ素樹脂、ポリイミドなどの高分子材料またはこれらの混合物などを好適に使用できる。
【0033】
基端シャフト60の構成材料は、比較的剛性の高い材質であることが好ましく、例えばNi−Ti、真鍮、SUS、アルミ等の金属や、ポリイミド、塩化ビニル、ポリカーボネート等の樹脂を好適に使用できる。
【0034】
ハブ40は、カテーテルシャフト20の拡張ルーメン23と連通して拡張用流体を流入出させるポートとして機能するハブ基端開口部41を備えており、基端シャフト60と液密性を保った状態で固定されている。
【0035】
耐キンクチューブ50は、ハブ40の先端付近における基端シャフト60のキンク(折れ曲がり)を防止するために、基端シャフト60の外側に載置されている。
【0036】
バルーン30は、拡張することで狭窄部を押し広げるものである。バルーン30の軸心方向Xにおける中央部には、拡張させた際に外径が等しい円筒状の筒状部31が形成され、筒状部31の軸心方向Xの両側に、外径が徐々に変化するテーパ部33が形成される。筒状部31および両側のテーパ部33が、バルーン30が実際に拡張する領域である。そして、筒状部31の外表面の全体に、薬剤を含むコート層32が形成される。なお、バルーン30においてコート層32を形成する範囲は、筒状部31のみに限定されず、筒状部31に加えてテーパ部33の少なくとも一部が含まれてもよく、または、筒状部31の一部のみであってもよい。
【0037】
バルーン30の先端側のテーパ部33よりも先端側は、内管90を構成する先端チップ96の外周面に液密性を保った状態で接着または融着により接合されて先端接合部34(接合部)を構成している。バルーン30の基端側のテーパ部33よりも基端側は、先端シャフト80の先端部の外周面に液密性を保った状態で接着または融着により接合されて基端接合部35を構成する。バルーン30の内部は、カテーテルシャフト20に形成される拡張ルーメン23と連通し、この拡張ルーメン23を介して、基端側から拡張用流体を流入可能となっている。バルーン30は、拡張用流体の流入により拡張し、流入した拡張用流体を排出することにより折り畳まれた状態となる。なお、バルーン30の先端部が接合される部位は、内管90の先端チップ96でなくてもよく、内管シャフト95であってもよい。また、内管は、先端チップが設けられずに、内管シャフトのみで形成されてもよい。
【0038】
バルーン30は、ある程度の柔軟性と血管や組織等に到達した際に拡張されてその表面に有するコート層32から薬剤を放出できるようにある程度の硬度を有するものが好ましい。具体的には、金属や、樹脂で構成されるが、コート層32が設けられるバルーン30の少なくとも表面は、樹脂で構成されているのが好ましい。バルーン30の少なくとも表面の構成材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。そのなかでも、好適にはポリアミド類が挙げられる。すなわち、薬剤をコートする医療機器の拡張部の表面の少なくとも一部がポリアミド類である。ポリアミド類から構成された拡張部の表面は滑らかな表面を提供する。ポリアミド類としては、アミド結合を有する重合体であれば特に制限されないが、例えば、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカノラクタム(ナイロン11)、ポリドデカノラクタム(ナイロン12)などの単独重合体、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ナイロン6/11)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/ 66)などの共重合体、アジピン酸とメタキシレンジアミンとの共重合体、またはヘキサメチレンジアミンとm,p−フタル酸との共重合体などの芳香族ポリアミドなどが挙げられる。さらに、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などをハードセグメントとし、ポリアルキレングリコール、ポリエーテル、または脂肪族ポリエステルなどをソフトセグメントとするブロック共重合体であるポリアミドエラストマーも、本発明に係る医療用具の基材として用いられる。上記ポリアミド類は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
バルーン30は、その基材の表面上に、後述するコーティング方法によって、直接またはプライマー層等の前処理層を介してコート層32が形成される。
【0040】
次に、バルーンコーティング装置100について説明する。バルーンコーティング装置100は、図1に示すように、バルーン30の軸心Xを中心としてバルーン30を回転させる回転駆動部110(第1の回転駆動部)と、バルーンカテーテル10を支持する基礎部120と、バルーン30の外表面にコーティング液を塗布するディスペンシングチューブ134が設けられる塗布部130とを備えている。さらに、バルーンコーティング装置100は、ディスペンシングチューブ134をバルーン30に対して移動させるための直線移動部140と、バルーン30に引っ張り力を作用させる引張部150(第2の回転駆動部)と、バルーンコーティング装置100を制御する制御部160とを備えている。
【0041】
回転駆動部110は、図1、4に示すように、バルーンカテーテル10のハブ40のハブ基端開口部41(図2を参照)に取り付けられる三方活栓170に挿入される駆動軸111と、駆動軸111を回転させる第1モータ112と、第1モータ112の回転軸115と駆動軸111を連結する第1軸継手114とを備えている。ハブ40に三方活栓170が取り付けられることで、三方活栓170を開いてバルーン30内に拡張用流体を流入させてバルーン30を拡張させることができ、三方活栓170を閉じることで、バルーン30を拡張させた状態を維持することができる。
【0042】
第1モータ112は、基礎台121に固定されている。駆動軸111は、第1軸継手114により第1モータ112の回転軸115に連結されており、先端部に、先端方向に向かって縮径するオス・ルアーテーパ(凸状ルアーテーパ)116が形成されている。オス・ルアーテーパ116は、三方活栓170に形成されるメス・ルアーテーパ(凹状ルアーテーパ)171に挿入されて、摩擦力により嵌合可能である。オス・ルアーテーパ116およびメス・ルアーテーパ171のテーパ率は、ISO594やJIS(医療用具の規格基準解説)により規定されており、6%に規定されている。駆動軸111が挿入される範囲は、三方活栓170の範囲内であり、駆動軸111の三方活栓170に対する脱着が容易であるため、利便性が高い。
【0043】
なお、駆動軸111のオス・ルアーテーパ116は、三方活栓170ではなく、ハブ40のハブ基端開口部41に形成されるメス・ルアーテーパに挿入されて嵌合してもよい。この場合、駆動軸111は、ハブ40よりも先端側へは挿入されない。駆動軸111がハブよりも先端側へ挿入されないことで、カテーテルシャフト20が柔軟に曲がることができ、駆動軸111のバルーンカテーテル10に対する脱着が容易であり、利便性が高い。
【0044】
基礎部120は、基礎となる基礎台121と、基礎台121に固定されてカテーテルシャフト20を回転可能に支持する支持部180とを備えている。基礎部120は、引張部150を直線的に移動可能に保持する案内溝部122と、直線的に並ぶ歯を備えるラック123とを備えている。
【0045】
支持部180は、図1、5および6に示すように、カテーテルシャフト20が回転可能に収容される溝部182が形成される支持台181と、支持台181の溝部182が形成される支持面186を覆うことが可能な蓋部183と、蓋部183を支持台181に対して開閉可能に連結するヒンジ部184とを備えている。蓋部183には、開閉する際に把持しやすいようにハンドル185が設けられている。
【0046】
支持台181は、長尺なカテーテルシャフト20を支持できるように軸心方向Xに沿って長尺に形成されている。支持面186に形成される溝部182は、カテーテルシャフト20のバルーン30に近い部位を支持する第1溝部182Aと、カテーテルシャフト20の基端開口部92が形成される部位を含む範囲を支持する第2溝部182Bと、カテーテルシャフト20の基端開口部92よりも基端側を支持する第3溝部182Cとを備えている。第1溝部182A、第2溝部182Bおよび第3溝部182Cは、駆動軸111の延長線上に、先端側から並んで配置されている。なお、駆動軸111と支持台181の間でのカテーテルシャフト20の自重による撓みを考慮して、第1溝部182A、第2溝部182Bおよび第3溝部182Cは、駆動軸111の延長線よりも鉛直方向下側に多少ずれて位置してもよい。第2溝部182Bは、カテーテルシャフト20において周囲から部分的に突出する基端開口部92の近傍が摩擦により損傷することを抑制できるように、第1溝部182Aおよび第3溝部182Cよりも幅および深さが大きく形成されている。なお、支持台181に形成される溝部は、幅および深さが一定であってもよい。また、支持台181に形成される溝部は、幅および深さの一方のみが、部位によって異なってもよい。
【0047】
溝部182(第1溝部182A、第2溝部182Bおよび第3溝部182C)の幅および深さは、カテーテルシャフト20の外径よりも、1〜5mm程度大きいことが好ましい。溝部182の幅および深さが小さすぎると、カテーテルシャフト20が摩擦により損傷しやすくなり、かつ回転の負荷が大きくなってバルーン30の回転が不安定になり、コート層32を適切な量で形成することが困難となり、かつコート層32の薬剤の形態型などの調節が困難となる可能性がある。また、溝部182の幅および深さが大きすぎると、カテーテルシャフト20が回転することで溝部182内で暴れ、バルーン30の回転が不安定となることで、コート層32を適切な量で形成することが困難となり、かつコート層32の薬剤の形態型などの調節が困難となる可能性がある。
【0048】
なお、溝部182の形状は、本実施形態では、軸心方向Xと直交する断面において、底面が半円形状であるが、これに限定されず、例えばV字形状としたり、四角形状としてもよい。溝部182の形状は、カテーテルシャフト20が損傷し難いように、カテーテルシャフト20と面で接触する形状であることが好ましい。したがって溝部182の形状は、軸心方向Xと直交する断面においてW字形状のように、突出部が形成されないことが好ましい。
【0049】
蓋部183は、ヒンジ部184により支持台181に回動可能に保持されており、支持面186を覆って溝部182を塞ぐことができるとともに、支持面186から離れて溝部182を露出させることができる。蓋部183は、溝部182内で回転するカテーテルシャフト20を溝部182内に維持する役割を果たす。蓋部183は、回転するカテーテルシャフト20が溝部182から飛び出さないように、ある程度の重さを有することが好ましく、例えば、30g以上の重さを有している。なお、蓋部183は、支持台181に対して固定するためのロック機構(図示せず)が設けられてもよい。ロック機構は、例えばスナップフィット等である。
【0050】
支持台181および蓋部183の構成材料は、特に限定されないが、例えばPTFE(4フッ化エチレン)、硬質ポリエチレン等、摩擦係数が小さな素材である。
【0051】
引張部150(第2の回転駆動部)は、図1に示すように、基礎部120の案内溝部122に嵌合する摺動部151と、ラック123に噛み合うピニオン152と、ピニオン152を回転させるダイヤル153と、バルーンカテーテル10を保持する保持部190とを備えている。さらに、引張部150は、保持部190を回転させる第2モータ154と、第2モータ154の回転軸155と保持部190を連結する第2軸継手156とを備えている。
【0052】
摺動部151は、基礎部120の案内溝部122に摺動可能に嵌合しており、案内溝部122内を摺動することで、第2モータ154を直線的に移動させる。ピニオン152は、ダイヤル153を回転操作することで回転し、ラック123に噛み合うことで、摺動部151を案内溝部122に沿って移動させることができる。ダイヤル153を回転させることで、バルーン30に引っ張り力を作用させることができる。引っ張り力は、特に限定されないが、例えば5N〜15Nであることが好ましい。引っ張り力が小さ過ぎると、バルーン30の曲がり矯正することができず、引っ張り力が大き過ぎると、バルーン30が引っ張り力により損傷する可能性がある。なお、バルーン30に引っ張り力が作用すると、駆動軸111のオス・ルアーテーパ116が三方活栓170のメス・ルアーテーパ171から抜ける方向に力が作用する。したがって、駆動軸111と三方活栓170の固定強度は、作用させる引っ張り力に耐え得ることが好ましく、例えば、10〜50Nである。駆動軸111と三方活栓170の固定強度が強すぎると、バルーンカテーテル10を装置から取り外す際に、ハブ40が損傷する可能性がある。例えば、バルーン30の構成材料がポリアミド系樹脂、拡張時のバルーン30の外径が6mm、バルーン30の長さが150mmのバルーンカテーテル10の場合、25Nの力を作用させることで、バルーン30が損傷することが確認されている。また、駆動軸111と三方活栓170の固定強度が弱すぎると、バルーン30に引っ張り力を作用させることで、駆動軸111と三方活栓170の連結が外れる可能性がある。
【0053】
なお、ダイヤル153を手動で回転操作するのではなしに、モータ等を設けて制御することも可能である。
【0054】
保持部190は、図7、8に示すように、コレットチャック191と、コレットチャック191を保持するチャックホルダ200とを備えている。
【0055】
コレットチャック191は、把持する対象の形状に対応した形状の挟持面194を有する挟持部193が周方向に複数(本実施形態では4つ)並ぶように、スリット195が形成されている。コレットチャック191は、挟持部193が形成される端部側の外周面にテーパ面196が形成され、挟持部193が形成される側の反対側に、第2軸継手156に連結される連結部197が形成される。連結部197は、挟持部193よりも外径が小さく形成されている。挟持部193と連結部197の間には、外径が減少する段差部198が形成されている。挟持面194は、把持するバルーン30と内管90が結合された先端接合部34の軸心に沿って延びる溝状の曲面で形成されており、先端接合部34を極力変形させないように、面で把持することができる。なお、先端接合部34を極力変形させないように、面で把持することができるのであれば、コレットチャック191の代わりに、スクロールチャック、ドリルチャックまたはインデペンデントチャックを用いてもよい。また、挟持部の数は、2つ以上あれば、4つに限定されない。
【0056】
チャックホルダ200は、コレットチャック191の連結部197が貫通する第1ホルダ201と、コレットチャック191の挟持部193が接触する第2ホルダ202とを備えている。第1ホルダ201は、コレットチャック191の連結部197が貫通する管状の部材であり、一端側に、コレットチャック191の段差部198が引っ掛かるように段差部198と接触可能な当接部203を備え、当接部203の外周面に、第1ねじ部205が形成されている。第2ホルダ202は、第1ねじ部205と螺合する第2ねじ部206を有する管状の部材であり、内周面に、チャックホルダ200のテーパ面196と接触するテーパ状の押込面204が形成されている。第1ホルダ201の内部にコレットチャック191を配置して段差部198に当接部203を接触させ、第2ホルダ202の第2ねじ部206を第1ホルダ201の第1ねじ部205に螺合させて第2ホルダ202を回転させると、第2ホルダ202が第1ホルダ201に近接する方向に移動する。第2ホルダ202が第1ホルダ201に近接する方向に移動すると、第2ホルダ202の押込面204がコレットチャック191のテーパ面196を滑り、スリット195が狭まるように挟持部193が変形して、挟持面194同士が近づく。これにより、挟持面194の中心にバルーンカテーテル10の先端部を挟持することができる。挟持部193により挟持する部位は、バルーンカテーテル10のバルーン30と内管90が接合された先端接合部34であることが好ましいが、挟持することが可能であれば、これに限定されない。
【0057】
コレットチャック191およびチャックホルダ200の構成材料は、例えばステンレス、アルミニウム等の金属、フッ素樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリエチレン等の樹脂を用いることができる。
【0058】
コレットチャック191によりバルーンカテーテル10を把持する際には、図3、9に示すように、バルーンカテーテル10が潰れないように、ガイドワイヤルーメン91内に芯材207が配置される。芯材207は、先端部がガイドワイヤルーメン91の先端開口部93よりも先端側に突出し、基端部が、バルーン30の拡張する領域よりも基端側に位置している。芯材207の先端開口部93からの突出長さL1は、特に限定されないが、バルーンカテーテル10の潰れを抑制するために確実に突出させることができる長さであることが好ましく、例えば2〜50mmである。
【0059】
芯材207の先端部が、ガイドワイヤルーメン91の先端開口部93よりも先端側に突出し、基端部が、バルーン30の拡張する領域よりも基端側に位置しているため、挟持部193により挟持する部位の内側に芯材207が存在し、バルーンカテーテル10の潰れによる変形が抑制される。
【0060】
芯材207の基端部は、ガイドワイヤルーメン91の基端開口部92から基端方向へ突出せずに、基端開口部92付近または基端開口部92よりも先端側に位置している。芯材207の基端部の位置は、バルーン拡張部の基端(バルーン融着部35)の位置にあるか、バルーン拡張部の基端(バルーン融着部35)の位置を超えてさらに基端側である。芯材207の基端部は好ましくは、基端開口部92に近接している。芯材207の基端部の基端開口部92から先端方向への離間距離L2は、特に限定されないが、例えば0〜50mmである。芯材207の基端部が、基端開口部92から基端方向へ突出しない限り、芯材207の基端部が、基端開口部92付近に位置していてもよい。芯材207の基端部が、基端開口部92から基端方向へ突出しないため、バルーンカテーテル10が回転しても外部の部材と芯材207の干渉を抑制でき、回転時のバルーン30の外表面の位置を変動し難くすることができる。
【0061】
バルーンカテーテル10の潰れが抑制され、回転時のバルーン30の外表面の位置が変動し難くなると、バルーン30の外表面へコーティング液をより適切な量で塗布することが可能となる。さらに、回転時のバルーン30の外表面の位置が変動し難くなると、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーン30にコーティングされる薬剤の形態型などをより適切に設定可能となる。
【0062】
ガイドワイヤルーメン91の内径から芯材207の外径を減じた値は、0を超えて0.5mm以下であることが好ましい。芯材207がガイドワイヤルーメン91の内径に対して太すぎると、ガイドワイヤルーメン91が形成される内管90が芯材207により損傷を受けやすくなる。芯材207がガイドワイヤルーメン91の内径に対して細すぎると、内管90を挟持部93により挟持する際に内管90が変形しやすくなる。
【0063】
なお、本実施形態に係るバルーンカテーテル10は、ラピッドエクスチェンジ型であるため、ガイドワイヤルーメン91がハブ40まで存在せず、芯材207がハブ40に存在しない。
【0064】
直線移動部140は、図1に示すように、バルーン30の軸心Xと平行な方向へ直線的に移動可能な移動台141と、移動台141に載置され、軸心Xと直交するY軸方向およびZ軸方向(図10を参照)へディスペンシングチューブ134を移動させるためのチューブ位置決め部142とを備えている。移動台141は、内蔵されるモータ等の駆動源によって、直線的に移動可能である。移動台141には、塗布部130が載置されており、塗布部130をバルーンカテーテル10の軸心Xに沿う両方向へ直線的に移動させる。チューブ位置決め部142は、ディスペンシングチューブ134が固定されるチューブ固定部143と、チューブ固定部143をY軸方向およびZ軸方向へ移動させる駆動部144とを備えている。駆動部144は、例えば、内蔵されるモータやシリンダ等の駆動源によって移動可能な2軸のスライダ構造を備えることで、チューブ固定部143をY軸方向およびZ軸方向の両方へ移動させることが可能となっている。なお、ディスペンシングチューブ134がバルーンカテーテル10の軸心Xと直交する面で移動するY軸方向およびZ軸方向は、かならずしも鉛直方向および水平方向と定義されなくてもよい。
【0065】
塗布部130は、コーティング液を収容する容器131と、任意の送液量でコーティング液を送液する送液ポンプ132と、コーティング液をバルーン30に塗布するディスペンシングチューブ134とを備えている。
【0066】
送液ポンプ132は、例えばシリンジポンプであり、制御部160によって制御されて、容器131から吸引チューブ133を介してコーティング液を吸引し、供給チューブ135を介してディスペンシングチューブ134へコーティング液を任意の送液量で供給することができる。送液ポンプ132は、移動台141に設置され、移動台141の移動により直線的に移動可能である。なお、送液ポンプ132は、コーティング液を送液可能であればシリンジポンプに限定されず、例えばチューブポンプであってもよい。
【0067】
ディスペンシングチューブ134は、供給チューブ135と連通しており、送液ポンプ132から供給チューブ135を介して供給されるコーティング液を、バルーン30の外表面へ吐出する部材である。ディスペンシングチューブ134は、可撓性を備えた円管状の部材である。ディスペンシングチューブ134は、チューブ固定部143に上端が固定されており、チューブ固定部143から鉛直方向下方へ延在し、下端である吐出端136に開口部が形成されている。吐出端136に形成された開口部はディスペンシングチューブ134の軸心に対してほぼ鉛直に形成されている。ディスペンシングチューブ134は、移動台141を移動させることで、移動台141に設置される送液ポンプ132とともに、バルーンカテーテル10の軸心方向Xに沿う両方向へ直線的に移動可能である。また、ディスペンシングチューブ134は、図10に示すように、駆動部144によって、軸心方向Xと直交する面において異なる2方向(本実施形態では、鉛直方向であるY軸方向および水平方向であるZ軸方向)へ移動可能である。ディスペンシングチューブ134の端部側の側面の一部(ディスペンシングチューブ134の延在方向への連続した長さの部位)は、バルーン30の外表面に接触するように配置される。ディスペンシングチューブ134はバルーン30に押し付けられて撓んだ状態で、コーティング液をバルーン30の外表面に供給可能である。あるいはディスペンシングチューブ134の先端の端部側がディスペンシングチューブ134の長軸に対してある角度を形成するように予め形状づけられて屈曲し、屈曲したディスペンシングチューブ134の先端の側面又はその少なくとも一部がバルーン30の外表面に接触するように配置されてもよい。
【0068】
なお、ディスペンシングチューブ134は、コーティング液を供給可能であれば、円管状でなくてもよい。また、ディスペンシングチューブ134は、コーティング液を吐出可能であれば、鉛直方向に延在していなくてもよい。
【0069】
ディスペンシングチューブ134は、バルーン30への接触負担を低減し、かつバルーン30の回転に伴う接触位置の変化を撓みにより吸収できるように、柔軟な材料であることが好ましい。ディスペンシングチューブ134の構成材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)等のフッ素系樹脂等を適用できるが、可撓性を有して変形可能であれば、特に限定されない。
【0070】
ディスペンシングチューブ134の外径は、特に限定されないが、例えば0.1mm〜5.0mm、好ましくは0.15mm〜3.0mm、より好ましくは0.3mm〜2.5mmである。ディスペンシングチューブ134の内径は、特に限定されないが、例えば0.05mm〜3.0mm、好ましくは0.1mm〜2.0mm、より好ましくは0.15mm〜1.5mmである。ディスペンシングチューブ134の長さは、特に限定されないが、バルーン直径の5倍以内の長さであることがよく、例えば1.0mm〜50mm、好ましくは3mm〜40mm、より好ましくは5mm〜35mmである。
【0071】
制御部160は、例えばコンピュータにより構成され、回転駆動部110、直線移動部140、引張部150および塗布部130を統括的に制御する。制御部160は、回転駆動部110の第1モータ112と引張部150の第2モータ154を、同期させて同じ回転速度で回転させることができる。また、制御部160は、バルーン30の回転速度、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する初期の位置決め、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する軸心方向Xへの移動速度、ディスペンシングチューブ134からの薬剤吐出速度等を、統括的に制御することができる。
【0072】
コーティング液は、水不溶性薬剤および溶媒を含んでいる。コーティング液がバルーン30の外表面に供給された後、溶媒が揮発することで、バルーン30の外表面に、結晶層や非晶質層を有するコート層32が形成される。バルーン30およびコート層32は、生体内で薬剤を徐々に溶出させる薬剤溶出バルーンとして用いることができる。
【0073】
水不溶性薬剤とは、水に不溶または難溶性である薬剤を意味し、具体的には、水に対する溶解度が、pH5〜8で5mg/mL未満である。その溶解度は、1mg/mL未満、さらに、0.1mg/mL未満でもよい。水不溶性薬剤は脂溶性薬剤を含む。
【0074】
いくつかの好ましい水不溶性薬剤の例は、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリンを含むシクロスポリン類、ラパマイシン等の免疫活性剤、パクリタキセル等の抗がん剤、抗ウイルス剤または抗菌剤、抗新生組織剤、鎮痛剤および抗炎症剤、抗生物質、抗てんかん剤、不安緩解剤、抗麻痺剤、拮抗剤、ニューロンブロック剤、抗コリン作動剤およびコリン作動剤、抗ムスカリン剤およびムスカリン剤、抗アドレナリン作用剤、抗不整脈剤、抗高血圧剤、ホルモン剤ならびに栄養剤を含む。
【0075】
水不溶性薬剤は、好ましくは、ラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エベロリムスからなる群から選択される少なくとも1つが好ましい。本明細書においてラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エベロリムスとは、同様の薬効を有する限りそれらの類似体および/またはそれらの誘導体を含む。例えば、パクリタキセルとドセタキセルは類似体の関係にある。ラパマイシンとエベロリムスは誘導体の関係にある。これらのうちでは、パクリタキセルがさらに好ましい。
【0076】
水不溶性薬剤はさらに賦形剤を含んでもよい。賦形剤は、医薬として許容されるものであれば限定されないが、例えば、水可溶性ポリマー、糖、造影剤、クエン酸エステル、アミノ酸エステル、短鎖モノカルボン酸のグリセロールエステル、医薬として許容される塩および界面活性剤等があげられる。
【0077】
賦形剤は、水不溶性薬剤に対して少量であることが好ましく、マトリクスを形成しないことが好ましい。また、賦形剤は、ミセル、リポソーム、造影剤、乳化剤、界面活性剤を含まないことが好ましいが、含まれてもよい。また、賦形剤は、ポリマーを含まず低分子の化合物のみを含むことが好ましい。
【0078】
溶媒は、特に限定されず、テトラヒドロフラン、エタノール、グリセリン(グリセロールまたはプロパン−1,2,3−トリオールともいう)、アセトン、メタノール、ジクロロメタン、ヘキサン、エチルアセテートおよび水が例示できる。中でも、テトラヒドロフラン、エタノール、アセトン、水のうち、これらのいくつかの混合溶媒が好ましい。
【0079】
次に、上述したバルーンコーティング装置100を用いてバルーン30の表面に水不溶性薬剤を含むコート層32を形成するバルーンコーティング方法を説明する。
【0080】
初めに、バルーンカテーテル10のハブ40のハブ基端開口部41に三方活栓170を連結し、三方活栓170を開いてバルーン30内にシリンジ等を用いて拡張用流体を流入させてバルーン30を拡張させた後、三方活栓170を閉じることで、バルーン30を拡張させた状態を維持する。なお、バルーン30を拡張させずに、バルーン30の表面にコート層32を形成することもでき、その場合には、拡張用の流体をバルーン30内に供給する必要はない。
【0081】
次に、支持台181の蓋部183を開いて溝部182内にカテーテルシャフト20を収容し、蓋部183を閉じる。カテーテルシャフト20の基端開口部92は、幅および深さが第1溝部182Aおよび第3溝部182Cよりも大きい第2溝部182Bに収容される。
【0082】
次に、三方活栓170のメス・ルアーテーパ171に駆動軸111のオス・ルアーテーパ116を挿入して連結する。これにより、バルーンカテーテル10の基端部に第1モータ112から回転力を付与することが可能となる。
【0083】
次に、コレットチャック191の挟持部193をバルーンカテーテル10の先端接合部34よりも広く開いた状態で、先端接合部34を挟持部193の内側に差し込む。この後、第2ホルダ202を第1ホルダ201に対して回転させると、第2ホルダ202が第1ホルダ201に近接する方向に移動し、第2ホルダ202の押込面204がコレットチャック191のテーパ面196を滑り、挟持部193が中心に向かって移動するように変形する。これにより、挟持面194が近づき、挟持面194によってバルーンカテーテル10の先端接合部34が挟持される。これにより、バルーンカテーテル10の先端部に第2モータ154から回転力を付与することが可能となる。
【0084】
なお、バルーンカテーテル10を駆動軸111、コレットチャック191および支持台181に設置する順番は、特に限定されない。
【0085】
次に、ダイヤル153を回転させて第2モータ154およびコレットチャック191を先端方向へ移動させると、バルーン30に引っ張り力が作用し、バルーン30の湾曲が矯正される。
【0086】
次に、ディスペンシングチューブ134を、バルーン30に対して位置決めする。まず、移動台141の位置を調節して、ディスペンシングチューブ134のX軸方向への位置決めを行う。このとき、バルーン30においてコート層32を形成する最も先端側の位置に、ディスペンシングチューブ134を位置決めする。
【0087】
次に、駆動部144を作動させて、図10に示すように、ディスペンシングチューブ134を移動させて、バルーン30に接触させる。バルーン30は、ディスペンシングチューブ134を接触させた位置において、ディスペンシングチューブ134からのコーティング液の吐出方向と逆方向に回転する。
【0088】
ディスペンシングチューブ134は、バルーン30の外表面に近づき、バルーン30に押し付けられて撓み、または押し付けられず撓むことなしに、バルーン30に接触する。このとき、ディスペンシングチューブ134の端部側の側面がバルーン30の表面に接触するように配置される。
【0089】
次に、送液ポンプ132により送液量を調節しつつコーティング液をディスペンシングチューブ134へ供給し、第1モータ112および第2モータ154によりバルーンカテーテル10を先端部および基端部の両方に駆動力を作用させて回転させる。そして、移動台141を移動させて、ディスペンシングチューブ134をX方向に沿って徐々に基端方向へ移動させる。ディスペンシングチューブ134の開口部から吐出されるコーティング液は、ディスペンシングチューブ134がバルーン30に対して相対的に移動することで、バルーン30の外周面に螺旋を描きつつ塗布される。この際、バルーン30の外表面の、ディスペンシングチューブ134の吐出方向と逆方向(本実施形態では上方向)へ回転する位置でコーティング液を塗布した後に、コーティング液を塗布した部位が、他の部材(例えば、吐出方向が回転方向と逆方向となるディスペンシングチューブ134)と接触してもよい。ディスペンシングチューブ134のバルーンカテーテルの軸方向に沿った移動が緩やかである場合、ディスペンシングチューブ134の先端はコーティング液を塗布したバルーン表面の軸方向のほぼ同じ位置で接触する。その結果、ディスペンシングチューブ134はコーティング液を塗布した個所に複数回接触して、バルーン表面のコーティング液中に結晶核(種結晶)を生成し、結晶化の速度を速めることができ、結晶化が安定する。また、ココーティング液を塗布した部位に、例えば吐出方向が回転方向と順方向となるディスペンシングチューブ134が接触しないことで、「水不溶性薬剤の結晶が各々独立した長軸を有する複数の長尺体を含む形態型」の生成を阻害する可能性を防ぎ、生成後においては形態型の破壊の可能性を防ぐことができる。すなわち、バルーン表面に結晶が形成された後、ディスペンシングチューブ134は、結晶の破壊を避けるためバルーン表面との接触は避けることが好ましい。
【0090】
ディスペンシングチューブ134の移動速度は、特に限定されないが、例えば0.01〜2mm/sec、好ましくは0.03〜1.5mm/sec、より好ましくは0.05〜1.0mm/secである。コーティング液のディスペンシングチューブ134からの吐出速度は、特に限定されないが、例えば0.01〜1.5μL/sec、好ましくは0.01〜1.0μL/sec、より好ましくは0.03〜0.8μL/secである。バルーン30の回転速度は、特に限定されないが、例えば10〜300rpm、好ましくは30〜250rpm、より好ましくは50〜200rpmである。第1モータ112および第2モータ154は、これらの回転速度の範囲において、同期して回転可能である。コーティング液を塗布する際のバルーン30の直径は、特に限定されないが、例えば1〜10mm、好ましくは2〜7mmである。
【0091】
バルーンカテーテル10が回転すると、バルーン本体部が、支持台181の溝部182内で回転する。このとき、カテーテルシャフト20において周囲から部分的に突出する基端開口部92が、第1溝部182Aおよび第3溝部182Cよりも幅および深さが大きく形成される第2溝部182Bに収容されているため、基端開口部92が摩擦により損傷することを抑制できる。また、溝部182が蓋部183により覆われているため、カテーテルシャフト20が溝部182から飛び出すことを抑制でき、バルーン30を安定して回転させることができる。
【0092】
バルーンカテーテル10が回転すると、バルーン30の軸心方向Xに沿う湾曲によってバルーン30が偏心する場合があるが、ディスペンシングチューブ134が可撓性を備えているため、バルーン30が偏心しても、ディスペンシングチューブ134がバルーン30に追従して移動して接触が良好に維持される。これにより、塗布されるコーティング液の厚さのバラツキを抑制でき、コート層32の厚さや形態型の調節が容易となる。
【0093】
この後、バルーン30の表面に塗布されたコーティング液に含まれる溶媒が揮発して、バルーン30の表面に水不溶性薬剤を含むコート層32が形成される。揮発させる時間は、溶媒により適宜設定されるが、例えば、数秒〜数百秒程度である。
【0094】
コート層32に含まれる薬剤量は、特に限定されないが、0.1μg/mm〜10μg/mm、好ましくは0.5μg/mm〜5μg/mmの密度で、より好ましくは0.5μg/mm〜4μg/mm、さらに好ましくは1.0μg/mm〜3.5μg/mmの密度で含まれる。
【0095】
そして、ディスペンシングチューブ134の吐出端136へ向かう延在方向(吐出方向)が、バルーン30の回転方向と逆方向であることで、バルーン30の外表面に形成されるコート層32の水不溶性薬剤は、結晶が各々独立した長軸を有する複数の長尺体を含む形態型を含んで形成される。
【0096】
結晶が各々独立した長軸を有する複数の長尺体を含む形態を有するコート層32は、各々が独立した長尺体形状を形成した状態の複数の長尺体を基材(バルーン30の外表面)に含む。複数の長尺体は、バルーン表面に対してほぼ周方向外側に伸びていてもよいし、ほぼ周方向に平行な方向に配置されていてもよい。複数の長尺体はこれらが組み合された状態で存在していてもよいし、隣接する複数の長尺体同士が異なる角度を形成した状態で接触して存在してもよい。複数の長尺体はバルーン表面上で空間(結晶を含まない空間)をおいて位置していてもよい。具体的にコート層として好ましいのは、水不溶性薬剤の結晶からなる長軸を有する複数の長尺体がブラシ状に存在する層である。複数の長尺体は基材表面上で円周状にブラシ状として配置されている。各々の前記長尺体は独立して存在しており、ある長さを有し、その長さ部分の一端(基端)が基材表面に固定されている。前記長尺体は隣接する長尺体と複合的な構造を形成せず、連結していない。前記結晶の長軸は、ほぼ直線状である。前記長尺体はその長軸が交わる基材表面に対して所定の角度を形成している。所定の角度とは、45度〜135度の範囲である。好ましくは、所定の角度として70度〜110度の範囲があげられ、さらに好ましくは、所定の角度として80度〜100度の範囲があげられる。より好ましいのは、前記長尺体の長軸が、基材表面に対してほぼ90度の角度を形成している。前記長尺体は少なくともその先端付近は中空である。前記長尺体の長軸に直角な(垂直な)面における長尺体の断面は中空を有する。該中空を有する長尺体は長軸に直角な(垂直な)面における長尺体の断面が多角形である。当該多角形は、例えば4角形、5角形、6角形などである。したがって、長尺体は先端(または先端面)と基端(または基端面)とを有し、先端(または先端面)と基端(または基端面)との間の側面が複数のほぼ平面で構成された長尺多面体として形成される。この結晶形態型(中空長尺体結晶形態型)は基材表面において、ある平面の全体または少なくとも一部を構成する。
【0097】
中空長尺体結晶を含む形態型を有する層の特徴は以下である。
【0098】
(1)複数の、独立した長軸を有する長尺体(棒状体)で、長尺体は中空である。長尺体は棒状である。
【0099】
(2)長軸を有する長尺体であり、長軸に直角な面における長尺体の断面は多角形である多面体の場合が多い。前記長尺体結晶の50体積%以上は長尺多面体である。多面体の側面は、主として4面体である。前記長尺多面体は頂点が長軸方向に延びる凹角で形成された複数の面(溝)を有する場合もある。ここでいう凹角とは、長軸に直角な面における長尺体の断面の多角形の内角の少なくとも一つが180度より大きい角であることを意味する。
【0100】
(3)長軸を有する長尺体は、長尺多角体である場合が多い。長軸に垂直な断面でみたときにその断面が多角形であり、4角形、5角形、6角形として観察される。
【0101】
(4)複数の、独立した長軸を有する長尺体は、基材表面に対してその長軸を所定範囲の角度、好ましくは45度〜135度の範囲で複数の長尺体が並び立つ、すなわち、複数の、独立した長軸を有する長尺体は基材表面においてほぼ均一に林立する。林立した領域は、基材表面に周方向および軸方向に延びてほぼ均一に形成される。各々の独立した長尺体の基材表面に対する角度は、所定の範囲において各々異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0102】
(5)各々の独立した長軸を有する長尺体は、その長さ部分の一端(基端)が基材表面に固定されている。
【0103】
(6)基材表面に近い部分の形態は粒子状、短い棒状、短い曲線状の結晶が積層される場合がある。長軸を有する長尺体は、基材表面に直接的もしくは間接的に長軸を有する長尺体が存在する。したがって、前記積層の上に長軸を有する長尺体が林立する場合がある。
【0104】
(7)長軸を有する長尺体の軸方向の長さは5μm〜20μmが好ましく、9μm〜11μmがより好ましく、10μm前後であるのがさらに好ましい。長軸を有する長尺体の径は、0.01μm〜5μmであるのが好ましく、0.05μm〜4μmであるのがより好ましく、0.1μm〜3μmであるのがさらに好ましい。
【0105】
(8)中空長尺体結晶形態型を含む層の表面には他の形態型(例えばアモルファスである板状の形態型)は混在せず、結晶形態として50体積%以上、より好ましくは70体積%以上が上記(1)から(7)の結晶形態型を成している。より好ましくは、ほぼすべてが7)の結晶形態型を成している。
【0106】
(9)中空長尺体結晶形態型において、結晶を構成する水不溶性薬剤を含むコート層に他の化合物が存在することも可能である。その場合、その化合物は、バルーン基材表面上に林立する複数の水不溶性薬剤の結晶(長尺体)の間の空間に分配されて存在する。コート層を構成する物質の割合は、この場合水不溶性薬剤の結晶の方が、他の化合物よりもはるかに大きい体積を占める。
【0107】
(10)中空長尺体結晶形態型において、結晶を構成する水不溶性薬剤は、バルーンの基材表面上に存在する。結晶を構成する水不溶性薬剤を有するバルーン基材表面上のコート層には、賦形剤によるマトリックスは形成されない。したがって、結晶を構成する水不溶性薬剤はマトリックス物質中に付着していない。結晶を構成する水不溶性薬剤はマトリックス物質中に埋め込まれてもいない。
【0108】
(11)中空長尺体結晶形態型において、コート層は基材表面に規則性を持って配置された水不溶性薬剤の結晶粒子、および前記結晶粒子の間に不規則に配置された、賦形剤からなる賦形剤粒子を含んでもよい。この場合、前記賦形剤の分子量は水不溶性薬剤の分子量よりも小さい。したがって、基材の所定の面積あたり、賦形剤粒子が占める割合は前記結晶粒子が占める割合に対して少なく、前記賦形剤粒子はマトリクスを形成しない。ここで水不溶性薬剤の結晶粒子は上記長尺体の1つであってもよく、賦形剤粒子は水不溶性薬剤の結晶粒子よりはるかに小さい状態で存在し、かつ水不溶性薬剤の結晶粒子の間に分散するため、SEM像あるいはレーザー顕微鏡像で観察されない場合がある。
【0109】
中空長尺体の形態型の結晶層は、コート層として、医療機器の基材表面に薬剤をコートして体内に送達する際に、毒性が低く、狭窄抑制効果が高い。その理由として、発明者は、ある特定の結晶形態を有する薬剤の組織移行後の、溶解性と組織内滞流性が影響していると考える。中空長尺体結晶形態を含む水不溶性薬剤は、薬剤が組織に移行した時に結晶の一つの単位が小さくなるために組織への浸透性が良く、かつ、良好な溶解性を有するため、有効に作用して狭窄を抑制できる。また、薬剤が大きな塊として組織に残留することが少ないために毒性が低くなると考えられる。
【0110】
また、中空長尺体結晶形態型を含む層は、複数の、長軸を有するほぼ均一な長尺体であり、かつ基材表面に規則性を有してほぼ均一に並び立っている形態型である。したがって、組織に移行する結晶の大きさ(長軸方向の長さ)が約10μmと小さい。そのために病変患部に均一に作用し、組織浸透性が高まる。さらに、移行する結晶の寸法が小さいために過剰量の薬剤が、過剰時間、患部に留まることがなくなるために、毒性を発現することなく、高い狭窄抑制効果を示すことが可能であると考えられる。
【0111】
ディスペンシングチューブ134の吐出方向がバルーン30の回転方向と逆方向であることで、コート層32の水不溶性薬剤が中空長尺体結晶形態型を含む形態型で形成される原理としては、吐出端136からバルーン30上に吐出されたコーティング液が、回転に伴ってディスペンシングチューブ134から刺激を受けることなどが考えられる。そして、ディスペンシングチューブ134の端部側の側面の一部(ディスペンシングチューブ134の延在方向への連続した長さの部位)をバルーン30の外表面に接触させた状態で、吐出端136からバルーン30上にコーティング液を吐出するため、水不溶性薬剤の結晶が各々独立した長軸を有する複数の長尺体を含む形態型となるように、ディスペンシングチューブ134およびバルーン30の間に適切な接触を与えることができる。
【0112】
また、バルーン30が鉛直方向上側へ向かって回転する領域で、吐出端136からバルーン30に対してコーティング液を吐出するため、下方へ向かって延在することでコーティング液を吐出しやすいディスペンシングチューブ134の吐出方向を、バルーン30の回転方向と逆方向に設定することが容易となっている。
【0113】
そして、バルーン30に接触するディスペンシングチューブ134の構成材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン(フッ素を含まないポリオレフィン)であれば、PTFE等のフッ素系樹脂製のチューブと比較して、耐有機溶媒性が低いが、有機溶媒に対する親和性が高くかつ接触角が小さくなり、吐出端136やバルーン30に対する接触部位においてコーティング液が材料の特性によって弾かれ難くなる。このため、バルーン30の外表面にコーティング液の塗りムラが生じ難くなり、コート層32の均一度を高精度に調節することが可能となる。すなわち、フッ素系樹脂ほど耐有機溶媒性が高くない材料をディスペンシングチューブ134に敢えて使用することで、バルーン30の外表面へのコーティング液の塗りムラを、生じ難くすることが可能となる。また、ディスペンシングチューブ134の構成材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンの場合、ディスペンシングチューブ134の移動速度、コーティング液の吐出速度、およびバルーン30の回転速度の少なくとも1つを調節することで、バルーン30の外表面に、コーティング液の塗りムラを生じさせることも可能である。このため、ディスペンシングチューブ134をポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンにより形成することで、コート層32の均一度の高低を任意に制御することが可能となる。
【0114】
また、ディスペンシングチューブ134の構成材料が、PTFE、ETFE、PFA、FEP等のフッ素系樹脂であれば、有機溶媒に対する親和性が低くかつ接触角が大きくなり、吐出端136やバルーン30に対する接触部位においてコーティング液が材料の特性によって強く弾かれて、バルーン30の外表面にコーティング液の塗りムラ(不均一性)を容易に生じさせることが可能である。コーティング液の塗りムラが多い場合には、バルーン30に形成されるコート層32に含まれる薬剤の総量は等しくしつつ、実際に塗布される各箇所における薬剤量を多くすることが可能となり、生体への負担を増加させることなしに、薬剤を効果的に作用させることができる。そして、塗りムラは、規則性を有する不均一性であり、バルーン30の軸心方向Xに沿って線状に塗布された部位が並ぶ縞模様(螺旋状線条体)であることが好ましい。塗りムラがバルーン30をディスペンシングチューブ134に対して回転させつつコーティング液を塗布することで、縞模様の塗りムラを生じさせつつコート層32を容易に形成することができる。なお、塗りムラは、縞模様の形態に限定されず、例えば極端な濃淡相を形成する状態であってもよい。
【0115】
そして、塗布工程において、ポリオレフィンにより形成されるディスペンシングチューブ134、およびフッ素系樹脂により形成される他のディスペンシングチューブ134の両方を用いて、上述の異なる特性を利用して、コート層32の均一度を制御することもできる。異なる特性のディスペンシングチューブ134を両方使用する際には、例えば、複数のバルーンカテーテル10のバルーン30を順次コーティングする際に、バルーン30に応じて、ディスペンシングチューブ134を変更する制御を行うことができる。または、1つのバルーン30において、部位によってディスペンシングチューブ134を変更する制御を行うこともできる。
【0116】
バルーン30の外表面にコーティングされる薬剤は、結晶型、非結晶質(アモルファス)型、およびそれらの混合型などの異なる形態型となり得る。薬剤が結晶型となる場合でも、結晶構造が異なる種々の形態型が存在する。さらに、結晶や非晶質は、コート層32において規則性を有するように配置されてもよいが、不規則に配置されてもよい。
【0117】
そして、バルーン30を回転させつつディスペンシングチューブ134を徐々に軸心方向Xへ移動させることで、バルーン30の外表面に、軸心方向Xへ向かってコート層32を徐々に形成する。バルーン30のコーティングする範囲の全体にコート層32が形成された後、回転駆動部110、引張部150、直線移動部140および塗布部130を停止させる。
【0118】
この後、バルーンカテーテル10をバルーンコーティング装置100から取り外して、バルーン30のコーティングが完了する。
【0119】
以上のように、第1実施形態に係るバルーンコーティング方法は、バルーンカテーテル10のバルーン30の外表面に水不溶性薬剤を含むコート層32を形成するバルーンコーティング方法であって、バルーンカテーテル10のハブ40の基端部に取り付けられる三方活栓170(連結用部材)の開口部に、バルーンカテーテル10を回転させるための駆動軸111を嵌合させて摩擦力により固定する工程と、バルーン30を当該バルーン30の軸心Xを中心として駆動軸111により回転させ、バルーン30の外表面に薬剤を含むコーティング液を塗布する工程と、を有する。上記のように構成したバルーンコーティング方法は、三方活栓170に形成される開口部に駆動軸111を嵌合させて固定するため、ハブ40が駆動軸111の中心軸を中心に回転し、バルーン30を極力振れ回らせずに回転させることができる。このため、バルーン30の外表面の位置が回転時に変動し難くなり、バルーン30の外表面へコーティング液を適切な量で塗布することができる。また、バルーン30の外表面の位置が回転時に変動し難くなることで、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーン30にコーティングされる薬剤の形態型などを適切に設定可能となる。なお、連結用部材は、三方活栓170に限定されず、例えば専用に作製された部材であってもよい。
【0120】
また、三方活栓170(連結用部材)に対して駆動軸111が摩擦力で連結されているため、所定の引っ張り力が作用することで三方活栓170が駆動軸111から外れるため、バルーン30に過剰な力が作用して損傷する前に三方活栓170が駆動軸111から外れ、バルーン30の損傷を抑制できる。
【0121】
また、上記バルーンコーティング方法は、コーティング液を塗布する工程において、バルーン30に当該バルーン30の軸心方向Xへ引っ張り力を作用させつつ、バルーン30の外表面に薬剤を含むコーティング液を塗布する。これにより、バルーン30の湾曲が引っ張り力により矯正されて、安定して回転可能なハブ40から伝わる回転力をバルーン30へ安定して伝達させて、回転時のバルーン30の外表面の位置をより変動し難くすることができる。このため、バルーン30の外表面へコーティング液をより適切な量で塗布することが可能となるとともに、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーン30にコーティングされる薬剤の形態型などをより適切に設定可能となる。
【0122】
また、上記バルーンコーティング方法は、ハブ40の基端部を固定する工程において、三方活栓170(連結用部材)の開口部に形成されるメス・ルアーテーパ171に対応する形状のオス・ルアーテーパ116が形成された駆動軸111を、メス・ルアーテーパ171に嵌合させて固定する。これにより、駆動軸111に対して三方活栓170を高精度かつ容易に位置合わせすることができ、回転を安定させて、回転時のバルーン30の外表面の位置をより変動し難くすることができる。また、規格で規定されるオス・ルアーテーパ116を駆動軸111に適用することで、規格で規定されるメス・ルアーテーパ171が採用された多様なバルーンカテーテル10を、駆動軸111により回転させることができる。
【0123】
また、連結用部材は、三方活栓170であるため、三方活栓170の栓を切り換えることで、三方活栓170を介してバルーン30に流体を流入させたり排出させたりすることを可能としつつ、ハブ40に三方活栓170を介して駆動軸111を連結することができる。
【0124】
さらに、第1実施形態に係るバルーンコーティング方法は、バルーンカテーテル10のバルーン30の外表面に水不溶性薬剤を含むコート層32を形成するバルーンコーティング方法であって、バルーン30を貫通するガイドワイヤルーメン91に芯材207を挿入し、ガイドワイヤルーメン91の先端開口部93よりも先端側に芯材207の先端部を突出させつつバルーン30が拡張する領域(筒状部31および両側のテーパ部33)よりも基端側に芯材207の基端部を配置して、バルーンカテーテル10のバルーン30が拡張する領域よりも先端側の部位を芯材207とともに挟持して固定する工程と、バルーン30を当該バルーン30の軸心Xを中心として回転させつつ、薬剤を含むコーティング液を供給するためのディスペンシングチューブ134をバルーン30の軸心方向Xへ当該バルーン30に対して相対的に移動させて、バルーン30の外表面にコーティング液を塗布する工程と、を有する。上記のように構成したバルーンコーティング方法は、ガイドワイヤルーメン91の先端開口部93よりも先端側に芯材207の先端部を突出させ、バルーンカテーテル10のバルーン30が拡張する領域よりも先端側の部位を芯材207とともに挟持して固定するため、挟持する際にバルーンカテーテル10の潰れによる変形が抑制される。さらに、芯材207の基端部が、バルーン30が拡張する領域よりも基端側に位置するため、バルーン30の形状が芯材207によって効果的に矯正される。このため、バルーンカテーテル10の変形および損傷を抑制できるとともに、バルーン30の外表面の位置が回転時に変動し難くなり、バルーン30の外表面へコーティング液を適切な量で塗布することができる。また、バルーン30の外表面の位置が回転時に変動し難くなることで、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーン30にコーティングされる薬剤の形態型などを適切に設定可能となる。
【0125】
また、上記バルーンコーティング方法は、バルーンカテーテル10がラピッドエクスチェンジ型であり、バルーンカテーテル10を固定する工程において、芯材207の基端部をガイドワイヤルーメン91の基端開口部92から突出させずに当該基端開口部92よりも先端側に配置しつつ、バルーンカテーテル10を固定する。これにより、バルーンカテーテル10が回転する際に芯材207が周囲の部材等と干渉せず、回転時のバルーン30の外表面の位置をより変動し難くすることができる。このため、バルーン30の外表面へコーティング液をより適切な量で塗布することが可能となるとともに、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーン30にコーティングされる薬剤の形態型などをより適切に設定可能となる。
【0126】
また、上記バルーンコーティング方法は、芯材207の基端部の位置が、バルーン30の基端と一致またはバルーン30よりも基端側であり、基端開口部92から突出しない。これにより、芯材207を基端開口部92から突出させずに回転時における芯材207の周囲の部材等との干渉を防止しつつ、芯材207をバルーン30が設けられる位置に配置して、バルーン30の回転を安定させることができる。このため、バルーン30の外表面へコーティング液をより適切な量で塗布することが可能となるとともに、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーン30にコーティングされる薬剤の形態型などをより適切に設定可能となる。
【0127】
また、上記バルーンコーティング方法は、芯材207の基端部の基端開口部92からの離間距離が、50mm以内である。これにより、芯材207を基端開口部92から突出させずに回転時における芯材207の周囲の部材等との干渉を防止しつつ、芯材207をガイドワイヤルーメン91のできるだけ広い範囲に配置して、バルーン30の回転を安定させることができる。このため、バルーン30の外表面へコーティング液をより適切な量で塗布することが可能となるとともに、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーン30にコーティングされる薬剤の形態型などをより適切に設定可能となる。
【0128】
また、上記バルーンコーティング方法は、ガイドワイヤルーメン91の内径から芯材207の外径を減じた値が、0mmを超えて0.5mm以下である。これにより、芯材207がガイドワイヤルーメン91の内径に対して太過ぎず、ガイドワイヤルーメン91が形成される内管90の芯材207による損傷を効果的に抑制できる、さらに、芯材207がガイドワイヤルーメン91の内径に対して細過ぎないため、内管90を挟持する際に内管90の変形を効果的に抑制できる。
【0129】
さらに、第1実施形態に係るバルーンコーティング方法は、バルーンカテーテル10のバルーン30の外表面に水不溶性薬剤を含むコート層32を形成するバルーンコーティング方法であって、バルーン30の内側を貫通する内管90とバルーン30の先端接合部34(結合部)を、内管90の軸心Xに沿って延びる溝状の曲面を有する少なくとも2つの挟持部193により挟むように固定する工程と、バルーン30を当該バルーン30の軸心を中心として回転させつつ、薬剤を含むコーティング液を供給するためのディスペンシングチューブ134をバルーン30の軸心方向Xへ当該バルーン30に対して相対的に移動させて、バルーン30の外表面にコーティング液を塗布する工程と、を有する。上記のように構成したバルーンコーティング方法は、内管90とバルーン30を接合した先端接合部34を、溝状の曲面を有する挟持部193により挟むように固定するため、内管90やバルーン30の拡張する部位が損傷せず、かつ偏心を抑制でき、バルーン30の外表面の位置が回転時に変動し難くなる。このため、バルーン30の外表面へコーティング液を適切な量で塗布することができる。また、バルーン30の外表面の位置が回転時に変動し難くなることで、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーン30にコーティングされる薬剤の形態型などを適切に設定可能となる。
【0130】
また、上記バルーンコーティング方法は、コーティング液を塗布する工程において、挟持部193によりバルーン30を当該バルーン30の軸心方向Xへ引っ張りつつバルーン30を回転させてバルーン30の外表面に薬剤を含むコーティング液を塗布する。これにより、バルーン30の湾曲が引っ張り力により矯正されて、バルーン30の外表面の位置が回転時により変動し難くなる。このため、バルーン30の外表面へコーティング液をより適切な量で塗布することができる。また、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーン30にコーティングされる薬剤の形態型などをより適切に設定可能となる。また、引っ張り力を作用させるために挟持部193による把持力が強くなるが、溝状の曲面を有する挟持部193により先端接合部34を把持しているため、内管90やバルーン30の損傷を抑制できる。
【0131】
また、上記バルーンコーティング方法は、少なくとも2つの挟持部193が、コレットチャック191に設けられる。これにより、先端接合部34を、コレットチャック191により容易かつ確実に固定することができ、さらに、バルーン30に引っ張り力を効果的に作用させることが可能となる。
【0132】
さらに、第1実施形態に係るバルーンコーティング方法は、バルーンカテーテル10のバルーン30の外表面に水不溶性薬剤を含むコート層32を形成するバルーンコーティング方法であって、バルーンカテーテル10のバルーン30の拡張する領域(筒状部31および両側のテーパ部33)よりも基端側および先端側の両方に同じ回転数で回転力を作用させて、バルーン30を当該バルーン30の軸心Xを中心として回転させつつ、薬剤を含むコーティング液を供給するためのディスペンシングチューブ134をバルーン30の軸心方向Xへ当該バルーン30に対して相対的に移動させて、バルーン30の外表面にコーティング液を塗布する工程を有する。上記のように構成したバルーンコーティング方法は、バルーンカテーテル10のバルーン30の拡張する領域よりも基端側および先端側の両方に同じ回転数で回転力を作用させるため、バルーン30に捩れや偏心が生じ難くなる。このため、バルーン30の外表面の位置が回転時に変動し難くなり、バルーン30の外表面へコーティング液を適切な量で塗布することができる。また、バルーン30の外表面の位置が回転時に変動し難くなることで、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーン30にコーティングされる薬剤の形態型などを適切に設定可能となる。
【0133】
また、上記バルーンコーティング方法は、コーティング液を塗布する工程において、バルーン30を当該バルーン30の軸心方向Xへ引っ張りつつ回転させてバルーン30の外表面にコーティング液を塗布する。これにより、バルーンカテーテル10の撓みが引っ張り力によって矯正されるため、バルーンカテーテル10の基端部および先端部の両方からの回転力をバルーンカテーテル10に作用させやすくすることができる。
【0134】
また、上記バルーンコーティング方法は、コーティング液を塗布する工程において、バルーン30の内側を貫通する内管90とバルーン30の先端接合部34を挟持して引っ張ることでバルーン30の軸心方向Xへ引っ張り力を作用させる。これにより、周囲の部位と比較して厚く、かつ外周面がバルーン30の柔軟な材料で構成されることで挟持しやすく回転力を付与しやすい先端接合部34を介して、バルーンカテーテル10に回転力を効果的に作用させることができる。
【0135】
また、上記バルーンコーティング方法は、コーティング液を塗布する工程において、バルーン30を当該バルーン30の軸心Xを中心に回転させつつ、可撓性を備えるディスペンシングチューブ134のコーティング液を吐出する開口部が形成される端部側を、バルーン30の回転方向と逆方向へ向くようにバルーン30の外表面に接触させた状態で、ディスペンシングチューブ134をバルーン30の軸心方向へ当該バルーン30に対して相対的に移動させつつ、開口部からコーティング液を吐出させてバルーン30の外表面に塗布する。これにより、バルーン30の回転方向と逆方向へ向くディスペンシングチューブ134がバルーン30に接触して摩擦力が大きくなり、バルーン30に捩れや偏心が生じやすい状況となるが、バルーンカテーテル10の基端部および先端部の両方に同じ回転数で回転力を作用させることで、バルーン30に捩れや偏心を生じ難くすることができる。このため、バルーン30の回転方向と逆方向へ向くディスペンシングチューブ134により、水不溶性薬剤の結晶化を促しつつ、バルーン30の回転を安定させて、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーン30にコーティングされる薬剤の形態型などを適切に設定可能となる。
【0136】
さらに、第1実施形態に係るバルーンコーティング方法は、長尺なカテーテルシャフト20(シャフト)の先端部に拡張可能なバルーン30が設けられたバルーンカテーテル10のバルーン30の外表面に水不溶性薬剤を含むコート層32を形成するバルーンコーティング方法であって、直線的に延びる溝部182が形成される支持台181の溝部182にカテーテルシャフト20を収容して溝部182を蓋部132により塞ぎ、溝部182内でカテーテルシャフト20を回転可能に支持する工程と、バルーン30を当該バルーン30の軸心を中心として回転させつつ、薬剤を含むコーティング液を供給するためのディスペンシングチューブ134をバルーン30の軸心方向へ当該バルーン30に対して相対的に移動させて、バルーン30の外表面にコーティング液を塗布する工程と、を有する。上記のように構成したバルーンコーティング方法は、バルーンカテーテル10のカテーテルシャフト20(シャフト)が溝部182内で回転するため、カテーテルシャフト20の湾曲が矯正されて正確な回転運動が促進され、バルーン30に捩れや偏心が生じ難くなる。このため、バルーン30の外表面の位置が回転時に変動し難くなり、バルーン30の外表面へコーティング液を適切な量で塗布することができる。また、バルーン30の外表面の位置が回転時に変動し難くなることで、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーン30にコーティングされる薬剤の形態型などを適切に設定可能となる。また、溝部182にカテーテルシャフト20を収容して蓋部132で塞ぐだけで、カテーテルシャフト20の湾曲を矯正しつつ回転させることができ、操作が容易である。
【0137】
また、上記バルーンコーティング方法は、バルーンカテーテル10のハブ40に回転力を作用させる駆動軸111の延長線上に、溝部182が位置する。これにより、駆動軸111の軸心と溝部182内のカテーテルシャフト20の軸心が一致し、バルーンカテーテル10の回転が安定して、バルーン30に捩れや偏心が生じ難くなる。
【0138】
また、上記バルーンコーティング方法は、溝部182の幅および深さの少なくとも一方が部位により異なる。これにより、カテーテルシャフト20の形状や径が異なる部位を、異なる幅の溝部182に配置することができ、カテーテルシャフト20の摩耗や損傷を抑制しつつ、回転を安定させることができる。
【0139】
また、上記バルーンコーティング方法は、コーティング液を塗布する工程において、バルーンカテーテル10の基端側および先端側の両方に同じ回転数で回転力を作用させてバルーン30を回転させる。これにより、溝部182内で回転することで摩擦力により回転が不安定となりやすい状況であっても、バルーンカテーテル10の基端側および先端側の両方に同じ回転数で回転力を作用させるため、バルーン30に捩れや偏心が生じ難くなる。このため、バルーン30の外表面の位置が回転時に変動し難くなり、バルーン30の外表面へコーティング液を適切な量で塗布することができる。また、バルーン30の外表面の位置が回転時に変動し難くなることで、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーン30にコーティングされる薬剤の形態型などを適切に設定可能となる。
【0140】
そして、ディスペンシングチューブ134を、吐出端136がバルーン30の回転方向と逆方向へ向くようにバルーン30の外表面に接触させてコーティング液を吐出させるため、バルーン30の外表面に形成されるコート層32の水不溶性薬剤を、結晶が各々独立した長軸を有する複数の長尺体を含む形態型で形成することができる。また、上記のバルーンコーティング方法は、ディスペンシングチューブ134を、吐出端136がバルーン30の回転方向と逆方向へ向くようにバルーン30の外表面に接触させてコーティング液を吐出させることで、ディスペンシングチューブ134とバルーン30の間に適切な接触を与え、コート層32に含まれる薬剤の形態型や大きさなどをより自在に設定することが可能となる。
<第2実施形態>
【0141】
本発明の第2実施形態に係るバルーンコーティング方法は、バルーンカテーテル10とともに回転可能な支持部にバルーンカテーテル10を保持した状態でバルーンカテーテル10を回転させて、バルーン30の表面に水不溶性薬剤を含むコート層32を形成するものである。第2実施形態に係るバルーンコーティング方法は、図11、12に示すバルーンコーティング装置210により実施される。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0142】
バルーンコーティング装置210は、バルーンカテーテル10に回転力を作用させる回転駆動部220(第1の回転駆動部)と、バルーンカテーテル10を支持する支持部230と、支持部230を回転可能に支持する軸受部240とを備えている。さらに、バルーンコーティング装置210は、基礎台121と、ディスペンシングチューブ134が設けられる塗布部130と、ディスペンシングチューブ134を移動させる直線移動部140と、引張部150(第2の回転駆動部)と、バルーンコーティング装置210を制御する制御部160とを備えている。
【0143】
回転駆動部220は、基礎台121に固定され、支持部230を回転可能に保持する第1モータ221を備えている。
【0144】
支持部230は、第1モータ221を貫通して第1モータ221により回転可能に保持されている。支持部230は、バルーンカテーテル10を保持する支持台231と、バルーンカテーテル10を支持台231とともに挟持する蓋部250とを備えている。さらに、支持部230は、蓋部250を基礎台121に対して開閉可能に連結するヒンジ部251と、バルーンカテーテル10に取り付けられる三方活栓170に挿入される支持軸260とを備えている。
【0145】
支持台231は、第1モータ221を貫通する支持台基端部232と、蓋部250が連結される支持台先端部233と、支持台基端部232と支持台先端部233の間に形成される支持台中央部234とを備えている。
【0146】
支持台基端部232は、バルーンカテーテル10の基端部を支持する部位であり、第1モータ221を貫通するとともに、第1モータ221よりも基端側に支持軸260が固定されている。支持軸260は、バルーンカテーテル10に取り付けられる三方活栓170に挿入されて、バルーンカテーテル10の基端部を固定する。ハブ40に三方活栓170が取り付けられることで、三方活栓170を開いてバルーン30内に拡張用流体を流入させてバルーン30を拡張させることができ、三方活栓170を閉じることで、バルーン30を拡張させた状態を維持することができる。
【0147】
支持台先端部233は、カテーテルシャフト20の先端部を支持する部位であり、軸受部240よりも先端側に位置し、蓋部250がヒンジ部251により回動可能に連結されている。支持台先端部233は、カテーテルシャフト20を蓋部250との間に挟持するために柔軟な材料により形成された支持面235を有している。支持面235には、カテーテルシャフト20を適切な位置で挟持できるように、カテーテルシャフト20の一部が部分的に収容される溝部236が形成されている。蓋部250は、カテーテルシャフト20を支持面235との間に挟持するために柔軟な材料により形成された押圧面252を有している。支持面235および押圧面252は、その間にカテーテルシャフト20を挟持することで弾性的に変形し、カテーテルシャフト20を弾性力により保持する。支持面235および押圧面252を構成する材料は、例えば、発泡ポリウレタン、発砲ポリエチレン等である。支持台先端部233は、側面に、蓋部250を支持台先端部233に固定するために蓋部250に設けられるロック機構253を連結可能な凹部237が形成されている。ロック機構253は、例えばスナップフィットである。
【0148】
支持台中央部234は、カテーテルシャフト20を支持する支持面235が形成されており、軸受部240を貫通して軸受部240により回転可能に支持されている。
【0149】
溝部236の幅および深さは、カテーテルシャフト20を蓋部250との間に挟持できるように、カテーテルシャフト20の外径よりも、0.5〜3.5mm程度小さいことが好ましい。
【0150】
なお、溝部236の形状は、本実施形態では、X方向と直交する断面において、底面が半円形状であるが、これに限定されず、例えばV字形状としたり、四角形状としてもよい。溝部236の形状は、カテーテルシャフト20が損傷し難いように、カテーテルシャフト20と面で接触する形状であることが好ましい。したがって溝部236の形状は、X方向と直交する断面においてW字形状のように、突出部が形成されないことが好ましい。なお、溝部236は、形成されなくてもよい。
【0151】
蓋部250は、ヒンジ部251により支持台先端部233に回動可能に保持されており、支持面235を覆って溝部236を塞ぐことができるとともに、支持面235から離れて溝部236を露出させることができる。蓋部250は、支持面235に対してカテーテルシャフト20を挟持する押圧面252が形成されている。
【0152】
バルーンカテーテル10は、ガイドワイヤルーメン91内に芯材207が配置される。芯材207は、先端部がガイドワイヤルーメン91の先端開口部93よりも先端側に突出し、基端部が、支持面235および押圧面252により挟持される位置よりも基端側に位置する。芯材207の先端開口部93からの突出長さは、特に限定されないが、コレットチャック191により挟持する際にバルーンカテーテル10の潰れを抑制するために、確実に突出させることができる長さであることが好ましく、例えば2〜50mmである。
【0153】
芯材207の先端部が、ガイドワイヤルーメン91の先端開口部93よりも先端側に突出し、基端部が、バルーン30よりも基端側に位置しているため、挟持部193により挟持する部位の内側に芯材207が存在し、バルーンカテーテル10の潰れによる変形が抑制される。
【0154】
芯材207の基端部が、支持面235を有する支持台231および押圧面252を有する蓋部250により挟持される位置よりも基端側に位置するため、支持面235および押圧面252により挟持する部位の内側に芯材207が存在し、バルーンカテーテル10の潰れによる変形が抑制される。
【0155】
支持軸260は、先端部に、先端方向に向かって縮径するオス・ルアーテーパ261が形成されている。オス・ルアーテーパ261は、三方活栓170に形成されるメス・ルアーテーパ171に挿入されて、摩擦力により嵌合可能である。オス・ルアーテーパ261およびメス・ルアーテーパ171のテーパ率は、ISO594やJIS(医療用具の規格基準解説)により規定されており、6%に規定されている。支持軸260が挿入される範囲は、三方活栓170の範囲内である。このため、支持軸260の三方活栓170に対する脱着が容易であり、利便性が向上する。
【0156】
なお、支持軸260のオス・ルアーテーパ261は、三方活栓170ではなく、ハブ40のハブ基端開口部41に形成されるメス・ルアーテーパ171に挿入されて嵌合してもよい。支持軸260は、ハブ40よりも先端側へは挿入されない。これにより、支持軸260のハブ40に対する脱着が容易であり、利便性が向上する。
【0157】
制御部160は、例えばコンピュータにより構成され、回転駆動部220、直線移動部140、引張部150および塗布部130を統括的に制御する。制御部160は、回転駆動部220の第1モータ221と引張部150の第2モータ154を、同期させて同じ回転速度で回転させることができる。また、制御部160は、バルーン30の回転速度、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する初期の位置決め、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する軸心方向Xへの移動速度、ディスペンシングチューブ134からの薬剤吐出速度等を、統括的に制御することができる。
【0158】
次に、上述したバルーンコーティング装置210を用いてバルーン30の表面に水不溶性薬剤を含むコート層32を形成するバルーンコーティング方法を説明する。
【0159】
初めに、バルーンカテーテル10のハブ40のハブ基端開口部41に三方活栓170を連結し、三方活栓170を開いてバルーン30内にシリンジ等を用いて拡張用流体を流入させてバルーン30を拡張させた後、三方活栓170を閉じることで、バルーン30を拡張させた状態を維持する。なお、バルーン30を拡張させずに、バルーン30の表面にコート層32を形成することもでき、その場合には、拡張用の流体をバルーン30内に供給する必要はない。
【0160】
次に、支持台231に連結された蓋部250を開いて溝部236内にカテーテル本体20を収容し、蓋部250を閉じ、ロック機構253により閉じた状態を維持する。これにより、弾性的に変形可能な支持面235および押圧面252が柔軟に変形しつつ、支持面235および押圧面252の間にカテーテルシャフト20が挟持されて固定される。このとき、カテーテルシャフト20の支持面235および押圧面252の間に挟持される範囲に、芯材207が通されているため、カテーテルシャフト20の変形を抑制できる。
【0161】
次に、三方活栓170のメス・ルアーテーパ171に支持軸260のオス・ルアーテーパを挿入して連結する。これにより、回転時のハブ40を安定して支持台231に保持することができる。また、補助的に、輪ゴムや針金等の線材262により、カテーテルシャフト20を支持台基端部232に固定することもできる。
【0162】
次に、コレットチャック191の挟持部193によってバルーンカテーテル10の先端接合部34を挟持する。これにより、バルーンカテーテル10の先端部に第2モータ154から回転力を付与することが可能となる。
【0163】
なお、バルーンカテーテル10を支持軸260、コレットチャック191および支持台231に設置する順番は、特に限定されない。
【0164】
次に、ダイヤル153を回転させて第2モータ154およびコレットチャック191を先端方向へ移動させると、バルーンカテーテル10に引っ張り力が作用し、バルーン30の湾曲が矯正される。このとき、カテーテルシャフト20は、支持面235および押圧面252の間に挟持されているため、この挟持されている部位よりも基端側には、引っ張り力が作用しない。
【0165】
次に、駆動部144を作動させて、ディスペンシングチューブ134を、バルーン30に対して位置合わせする。ディスペンシングチューブ134は、バルーン30の外表面に近づき、バルーン30に押し付けられて撓み、バルーン30に接触する。このとき、ディスペンシングチューブ134の端部側の側面がバルーン20の外表面に接触するように配置される。
【0166】
次に、送液ポンプ132により送液量を調節しつつコーティング液をディスペンシングチューブ134へ供給し、第1モータ221および第2モータ154によりバルーンカテーテル10を支持台231とともに回転させる。そして、移動台141を移動させて、ディスペンシングチューブ134をX方向に沿って徐々に基端方向へ移動させる。ディスペンシングチューブ134の吐出端136から吐出されるコーティング液は、ディスペンシングチューブ134がバルーン30に対して相対的に移動することで、バルーン30の外周面に螺旋を描きつつ塗布される。
【0167】
バルーンカテーテル10は、押圧面252および支持面235の間に挟持されているため、挟持されている位置よりも基端側の部位は、バルーン30の回転に影響しない。このため、バルーンカテーテル10の押圧面252および支持面235の間に挟持されている位置よりも基端側の湾曲や偏心等を厳密に規制することなしに、バルーン30の安定した回転を実現できる。これにより、塗布されるコーティング液の厚さのバラツキを抑制でき、コート層32の厚さや形態型の調節が容易となる。
【0168】
この後、バルーン30の表面に塗布されたコーティング液に含まれる溶媒が揮発して、バルーン30の表面に水不溶性薬剤を含むコート層32が形成される。
【0169】
そして、ディスペンシングチューブ134の吐出端136へ向かう延在方向(吐出方向)が、バルーン30の回転方向と逆方向であることで、バルーン30の外表面に形成されるコート層32の水不溶性薬剤は、結晶が各々独立した長軸を有する複数の長尺体を含む形態型を含んで形成される。
【0170】
バルーン30の外表面にコーティングされる薬剤は、結晶型、非結晶質(アモルファス)型、およびそれらの混合型などの異なる形態型となり得る。薬剤が結晶型となる場合でも、結晶構造が異なる種々の形態型が存在する。さらに、結晶や非晶質は、コート層32において規則性を有するように配置されてもよいが、不規則に配置されてもよい。
【0171】
そして、バルーン30を回転させつつディスペンシングチューブ134を徐々に軸心方向Xへ移動させることで、バルーン30の外表面に、軸心方向Xへ向かってコート層32を徐々に形成する。バルーン30のコーティングする範囲の全体にコート層32が形成された後、回転駆動部220、直線移動部140、引張部150および塗布部130を停止させる。
【0172】
この後、バルーンカテーテル10をバルーンコーティング装置210から取り外して、バルーン30のコーティングが完了する。
【0173】
以上のように、第2実施形態に係るバルーンコーティング方法は、長尺なカテーテルシャフト20(シャフト)の先端部に拡張可能なバルーン30が設けられたバルーンカテーテル10のバルーン30の外表面に水不溶性薬剤を含むコート層32を形成するバルーンコーティング方法であって、バルーン30の軸心Xを中心として回転可能な支持部230にカテーテルシャフト20を保持する工程と、支持台231とともにバルーン30を回転させつつ、薬剤を含むコーティング液を供給するためのディスペンシングチューブ134をバルーン30の軸心方向Xへ当該バルーン30に対して相対的に移動させて、バルーン30の外表面にコーティング液を塗布する工程と、を有する。
【0174】
上記のように構成したバルーンコーティング方法は、回転可能な支持部230にカテーテルシャフト20を保持した状態でバルーン30を回転させるため、カテーテルシャフト20の湾曲等がバルーン30の回転に影響し難くなり、バルーン30に捩れや偏心が生じ難くなる。このため、バルーン30の外表面の位置が回転時に変動し難くなり、バルーン30の外表面へコーティング液を適切な量で塗布することができる。また、バルーン30の外表面の位置が回転時に変動し難くなることで、ディスペンシングチューブ134のバルーン30に対する接触力を望ましい値に設定することが容易となり、バルーン30にコーティングされる薬剤の形態型などを適切に設定可能となる。
【0175】
また、上記バルーンコーティング方法は、支持部230が、カテーテルシャフト20(シャフト)の少なくとも一部を収容可能な直線的な溝部236が形成された支持台231と、溝部236を覆うことが可能な蓋部250と、を有し、カテーテルシャフト20を保持する工程において、溝部236にカテーテルシャフト20を収容して蓋部250により溝部236を覆うことで、支持部230にカテーテルシャフト20を保持する。これにより、カテーテルシャフト20を溝部236から脱落しないように容易かつ確実に保持することができる。
【0176】
また、上記バルーンコーティング方法は、カテーテルシャフト20を保持する工程において、支持台231および蓋部250によりカテーテルシャフト20を挟持する。これにより、カテーテルシャフト20を支持部230に強固に保持でき、バルーン30の回転が安定してバルーン30に捩れや偏心が生じ難くなる。
【0177】
また、上記バルーンコーティング方法は、カテーテルシャフト20を保持する工程において、カテーテルシャフト20内に芯材207を挿入した状態でカテーテルシャフト20を支持部230により保持する。これにより、カテーテルシャフト20を支持部230に保持しても、カテーテルシャフト20の変形を抑制できる。
【0178】
また、上記バルーンコーティング方法は、コーティング液を塗布する工程において、支持部230に回転力を作用させる回転駆動部220によりバルーンカテーテル10を回転させつつ、回転駆動部220よりも先端側に設けられる軸受部240により回転可能に支持する。これにより、回転駆動部220から先端方向へ延びる支持部230の回転が安定するため、バルーン30の回転が安定してバルーン30に捩れや偏心が生じ難くなる。
【0179】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、上述した第1、第2実施形態では、バルーン30の先端側から基端側へ向かってコーティング液を塗布しているが、基端側から先端側へ向かって塗布してもよい。
【0180】
また、上述した第1、第2実施形態では、ディスペンシングチューブ134が鉛直方向に沿って下方へ延在してバルーン30に接触しているが、ディスペンシングチューブ134の延在方向は特に限定されず、例えば鉛直方向に対して傾いてもよく、または、側方や上方へ向かって延在してもよい。
【0181】
また、上述の各実施形態に係るバルーンコーティング方法では、バルーンカテーテル10は、ラピッドエクスチェンジ型(Rapid exchange type)のバルーンカテーテル10のバルーン30にコーティングを施しているが、ガイドワイヤルーメンがハブから先端部まで形成されるオーバーザワイヤ型(Over−the−wire type)のバルーンカテーテルのバルーンにコーティングを施してもよい。
【0182】
また、図15に示す第1実施形態の変形例のように、カテーテルシャフト20を回転可能に支持する支持部260が、複数(図15の例では2つ)設けられてもよい。そして、支持部260は、バルーン30の軸心Xに沿って、すなわち、各々の支持部260に設けられる溝部(図示せず)の延在方向に沿って任意に移動可能であってもよい。複数の支持部260は、各々の支持部260に設けられる溝部(図示せず)の延在方向に沿って並んで設けられる。
【0183】
このように、複数の支持部260によりカテーテルシャフト20を支持することで、支持部260とカテーテルシャフト20の摩擦を低減させてカテーテルシャフト20の摩耗や損傷を抑制しつつ、長いカテーテルシャフト20の回転を安定させることができる。
【0184】
そして、支持部260が移動可能であるため、支持部260によりカテーテルシャフト20を支持する工程の前に、支持部260を移動させることができる。これにより、カテーテルシャフト20を望ましい位置で支持でき、バルーンカテーテル10の回転を安定させることができる。
【0185】
また、1つの支持台に、複数の蓋部が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0186】
10 バルーンカテーテル、
20 カテーテルシャフト(シャフト)、
23 拡張ルーメン、
30 バルーン、
32 コート層、
34 先端接合部(接合部)、
40 ハブ、
41 ハブ基端開口部、
90 内管、
91 ガイドワイヤルーメン、
92 基端開口部、
93 先端開口部、
95 内管シャフト、
96 先端チップ、
100、210 バルーンコーティング装置、
110、220 回転駆動部(第1の回転駆動部)、
111 駆動軸、
116 オス・ルアーテーパ、
130 塗布部、
134 ディスペンシングチューブ、
136 吐出端、
150 引張部(第2の回転駆動部)、
170 三方活栓(連結用部材)、
171 メス・ルアーテーパ、
180、230 支持部、
181,231 支持台、
182、236 溝部、
182A 第1溝部、
182B 第2溝部、
182C 第3溝部、
183、250 蓋部、
186 支持面、
190 保持部、
191 コレットチャック、
193 挟持部、
194 挟持面、
207 芯材、
235 支持面、
240 軸受部、
252 押圧面、
253 ロック機構、
260 支持軸、
X バルーンの軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15