【解決手段】供給水W1を透過水W2と濃縮水W3とに分離する逆浸透膜モジュール4と、供給水W1を逆浸透膜モジュール4に供給する供給水ラインL1と、逆浸透膜モジュール4で分離された透過水W2を送出する透過水ラインL2と、逆浸透膜モジュール4で分離された濃縮水W3を装置外へ排出する排水ラインL5と、排水ラインL5に設けられ装置外へ排出する濃縮水W3の排水流量を調整可能な排水流量調整手段8と、逆浸透膜モジュール4の一次側を洗浄するためのフラッシング運転が実行され、透過水W2の製造を再開した後に、供給水W1の流量に対する透過水W2の流量の比率である回収率を、濃縮水の濃縮が平衡状態にあるときの回収率よりも高くするように、排水流量調整手段8を制御する制御部10と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る逆浸透膜分離装置1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る逆浸透膜分離装置1の全体構成図である。本実施形態に係る逆浸透膜分離装置1は、例えば、淡水から純水を製造する純水製造システムに適用される。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る逆浸透膜分離装置1は、加圧ポンプ2と、インバータ3と、逆浸透膜モジュールとしてのRO膜モジュール4と、定流量手段としての定流量弁5と、逆止弁6と、圧力調整手段としての圧力調整弁7と、排水流量調整手段としての比例制御排水弁8(比例制御バルブ)と、制御部10と、を備える。また、逆浸透膜分離装置1は、温度検出手段としての温度センサTEと、硬度センサSと、第1圧力センサPS1と、流量検出手段としての第1流量センサFM1と、圧力検出手段としての第2圧力センサPS2と、第2流量検出手段としての第2流量センサFM2と、第1電気伝導率センサEC1と、電気伝導率測定手段としての第2電気伝導率センサEC2と、を備える。
図1では、電気的な接続の経路を破線で示す(後述する
図8についても同じ)。
【0016】
また、逆浸透膜分離装置1は、供給水ラインL1と、透過水ラインL2と、濃縮水ラインL3と、循環水ラインL4と、排水ラインL5と、を備える。本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0017】
供給水ラインL1は、供給水W1をRO膜モジュール4に供給するラインである。供給水ラインL1の上流側の端部は、供給水W1の供給源(不図示)に接続されている。供給水ラインL1の下流側の端部は、RO膜モジュール4の一次側入口ポートに接続されている。供給水ラインL1には、上流側から下流側に向けて順に、硬度センサS、接続部J2、温度センサTE、加圧ポンプ2、第1圧力センサPS1、RO膜モジュール4が設けられている。
【0018】
加圧ポンプ2は、供給水ラインL1を流通する供給水W1を吸入し、RO膜モジュール4へ向けて圧送(吐出)する装置である。加圧ポンプ2には、インバータ3から周波数が変換された駆動電力が供給される。加圧ポンプ2は、供給(入力)された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
【0019】
インバータ3は、加圧ポンプ2に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。インバータ3は、制御部10と電気的に接続されている。インバータ3には、制御部10から指令信号が入力される。インバータ3は、制御部10により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を加圧ポンプ2に出力する。
【0020】
RO膜モジュール4は、加圧ポンプ2から吐出された供給水W1を、溶存塩類が除去された透過水W2と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W3とに膜分離処理する設備である。RO膜モジュール4は、単一又は複数のRO膜エレメント(不図示)を備える。RO膜モジュール4は、これらRO膜エレメントにより供給水W1を膜分離処理し、透過水W2及び濃縮水W3を製造する。
【0021】
透過水ラインL2は、RO膜モジュール4で分離された透過水W2を送出するラインである。透過水ラインL2の上流側の端部は、RO膜モジュール4の二次側ポートに接続されている。透過水ラインL2の下流側の端部は、需要先の装置等(不図示)や処理水タンク(不図示)や電気脱イオン装置(不図示)などに接続されている。透過水ラインL2には、上流側から下流側に向けて順に、RO膜モジュール4、第1流量センサFM1、第1電気伝導率センサEC1が設けられている。
【0022】
濃縮水ラインL3は、RO膜モジュール4で分離された濃縮水W3を送出するラインである。濃縮水ラインL3の上流側の端部は、RO膜モジュール4の一次側出口ポートに接続されている。また、濃縮水ラインL3の下流側は、接続部J1において、循環水ラインL4及び排水ラインL5に分岐している。
【0023】
濃縮水ラインL3には、上流側から下流側に向けて順に、定流量弁5、第2電気伝導率センサEC2、接続部J1が設けられている。
定流量弁5は、濃縮水ラインL3を流通する濃縮水W3の流量を所定の一定流量値に保持するように調節する機器である。定流量弁5において保持される一定流量値は、一定流量値に幅がある概念であり、定流量弁における目標流量値のみに限られない。例えば、定流量機構の特性(例えば、材質や構造に起因する温度特性等)を考慮して、定流量弁における目標流量値に対して、±10%程度の調節誤差を有するものを含む。定流量弁5は、補助動力や外部操作を必要とせずに一定流量値を保持するものであり、例えば、水ガバナの名称で呼ばれるものが挙げられる。なお、定流量弁5は、補助動力や外部操作により動作して、一定流量値を保持するものでもよい。
【0024】
循環水ラインL4は、濃縮水ラインL3から分岐するラインであって、RO膜モジュール4で分離された濃縮水W3の一部W31を、供給水ラインL1におけるRO膜モジュール4及び加圧ポンプ2よりも上流側に返送するラインである。循環水ラインL4の上流側の端部は、接続部J1において、濃縮水ラインL3に接続されている。また、循環水ラインL4の下流側の端部は、接続部J2において、供給水ラインL1に接続されている。循環水ラインL4には、上流側から下流側に向けて順に、逆止弁6、圧力調整手段としての圧力調整弁7が設けられている。
【0025】
圧力調整弁7は、定流量弁5の二次側の圧力であって比例制御排水弁8の一次側の圧力である中間圧力を、所定の設定圧力値に調整する弁である。圧力調整弁7は、循環水ラインL4を流通する濃縮水W31の流動抵抗を調整することによって、接続部J1(定流量弁5と比例制御排水弁8との間の部分)における中間圧力を調整可能に構成される。
【0026】
本実施形態においては、中間圧力は、接続部J1(濃縮水ラインL3及び排水ラインL5における定流量弁5と比例制御排水弁8との間の部分)における濃縮水W3の圧力である。所定の設定圧力値は、排水ラインL5における比例制御排水弁8の二次側の背圧が高くなった場合や、供給水ラインL1を流通する供給水W1の圧力が低い場合においても、比例制御排水弁8の一次側と二次側との間で所定の圧力差(一次側圧力>二次側圧力)が得られる圧力値に設定される。
【0027】
圧力調整弁7は、制御部10と電気的に接続されている。圧力調整弁7の弁開度は、制御部10から送信される駆動信号により制御される。制御部10から電流値信号(例えば、4〜20mA)を圧力調整弁7に送信して、流路断面積を調整することにより、流動抵抗(すなわち、圧力損失)を変化させることができる。この調節により、接続部J1における中間圧力(定流量弁5の二次側の圧力であって比例制御排水弁8の一次側の圧力)を、予め設定された所定の設定圧力値に保つことができる。
【0028】
排水ラインL5は、接続部J1において濃縮水ラインL3から分岐され、RO膜モジュール4で分離された濃縮水W32を装置外(系外)に排出するラインである。排水ラインL5には、排水流量調整手段としての比例制御排水弁8が設けられている。
【0029】
比例制御排水弁8は、排水ラインL5から装置外へ排出する濃縮水W3の残部W32の排水流量を調節する弁である。比例制御排水弁8は、制御部10と電気的に接続されている。比例制御排水弁8の弁開度は、制御部10から送信される駆動信号により制御される。制御部10から電流値信号(例えば、4〜20mA)を比例制御排水弁8に送信して、弁開度を制御することにより、濃縮水W32の排水流量を調節することができる。
比例制御排水弁8における制御部10による制御の詳細は後述する。
【0030】
温度センサTEは、供給水W1の温度を検出する機器である。温度センサTEは、供給水W1の供給源(不図示)と加圧ポンプ2との間に配置されている。温度センサTEは、制御部10と電気的に接続されている。温度センサTEで検出された供給水W1の温度(以下、「検出温度値」ともいう)は、制御部10へ検出信号として送信される。
【0031】
硬度センサSは、供給水ラインL1を流通する供給水W1のカルシウム硬度(例えば、前段に設置された硬水軟化装置の硬度リーク量:炭酸カルシウム換算値)を測定する機器である。硬度センサSは、接続部J2の上流側に配置されている。硬度センサSは、制御部10と電気的に接続されている。硬度センサSで測定された供給水W1のカルシウム硬度(以下、「測定硬度値」ともいう)は、制御部10へ検出信号として送信される。
【0032】
第1圧力センサPS1は、加圧ポンプ2の吐出圧力(運転圧力)を検出する機器である。第1圧力センサPS1は、加圧ポンプ2の吐出側近傍に配置されている。本実施形態では、加圧ポンプ2から吐出された直後の供給水W1の圧力を、加圧ポンプ2の吐出圧力とする。第1圧力センサPS1は、制御部10と電気的に接続されている。第1圧力センサPS1で検出された供給水W1の圧力(以下、「検出圧力値」ともいう)は、制御部10へ検出信号として送信される。
【0033】
第2圧力センサPS2は、接続部J1における中間圧力(定流量弁5の二次側の圧力であって比例制御排水弁8の一次側の圧力)を検出する機器である。第2圧力センサPS2は、接続部J1において、濃縮水ラインL3、排水ラインL5及び循環水ラインL4に接続されている。接続部J1は、濃縮水ラインL3が、排水ラインL5及び循環水ラインL4に分岐する部分であり、濃縮水ラインL3の下流側の端部、循環水ラインL4の上流側の端部、及び、排水ラインL5の上流側の端部が、接続される部分である。第2圧力センサPS2は、制御部10と電気的に接続されている。第2圧力センサPS2で検出された濃縮水W3(W31,W32)の圧力(以下、「検出圧力値」ともいう)は、制御部10へ検出信号として送信される。
【0034】
なお、本実施形態においては、第2圧力センサPS2の接続位置を接続部J1としたが、これに制限されない。第2圧力センサPS2の接続位置は、定流量弁5の二次側の圧力であって比例制御排水弁8の一次側の圧力を検出できる位置であれば、濃縮水ラインL3、循環水ラインL4又は排水ラインL5でもよい。
【0035】
第1流量センサFM1は、透過水ラインL2を流通する透過水W2の流量を検出する機器である。第1流量センサFM1は、透過水ラインL2に接続されている。第1流量センサFM1は、制御部10と電気的に接続されている。第1流量センサFM1で検出された透過水W2の流量(以下、「検出流量値」ともいう)は、制御部10へパルス信号として送信される。
【0036】
第2流量センサFM2は、排水ラインL5を流通する濃縮水W32の流量を検出する機器である。第2流量センサFM2は、排水ラインL5における比例制御排水弁8よりも下流側に配置されている。第2流量センサFM2は、制御部10と電気的に接続されている。第2流量センサFM2で検出された濃縮水W32の流量(以下、「検出流量値」ともいう)は、制御部10へパルス信号として送信される。
第1流量センサFM1及び第2流量センサFM2として、例えば、流路ハウジング内に軸流羽根車又は接線羽根車(不図示)を配置したパルス発信式の流量センサを用いることができる。
【0037】
第1電気伝導率センサEC1は、透過水ラインL2を流通する透過水W2の電気伝導率を測定する機器である。第1電気伝導率センサEC1は、透過水ラインL2に接続されている。第1電気伝導率センサEC1は、制御部10と電気的に接続されている。第1電気伝導率センサEC1で測定された透過水W2の電気伝導率(以下、「測定電気伝導率値」ともいう)は、制御部10へ検出信号として送信される。
第2電気伝導率センサEC2は、濃縮水ラインL3を流通する濃縮水W3(RO膜モジュール4により分離された濃縮水W3)の電気伝導率を測定する機器である。第2電気伝導率センサEC2は、濃縮水ラインL3に接続されている。第2電気伝導率センサEC2は、制御部10と電気的に接続されている。第2電気伝導率センサEC2で測定された濃縮水W3の電気伝導率(以下、「測定電気伝導率値」ともいう)は、制御部10へ検出信号として送信される。
【0038】
制御部10は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。以下、制御部10の機能について説明する。
【0039】
<透過水W2の水量制御>
制御部10は、透過水W2の水量制御として、例えば、流量フィードバック水量制御、圧力フィードバック水量制御、又は温度フィードフォワード水量制御のいずれかを選択して実行できる。各水量制御の概要は、次の通りである。
【0040】
流量フィードバック水量制御
制御部10(ポンプ駆動制御部)は、透過水W2の流量が予め設定された目標流量値(後述する第1目標流量値又は第2目標流量値)となるように、第1流量センサFM1の検出流量値(系内の物理量)をフィードバック値として、加圧ポンプ2を駆動するための駆動周波数を演算する。そして、制御部10は、駆動周波数の演算値に対応する指令信号(電流値信号又は電圧値信号)をインバータ3に出力する(以下、「流量フィードバック水量制御」ともいう)。なお、本水量制御における駆動周波数の演算には、例えば、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いることができる。
【0041】
圧力フィードバック水量制御
制御部10(ポンプ駆動制御部)は、透過水W2の流量が予め設定された目標流量値(後述する第1目標流量値又は第2目標流量値)となるように、加圧ポンプ2の検出圧力値(系内の物理量)をフィードバック値として、加圧ポンプ2の駆動周波数を演算する。そして、制御部10は、駆動周波数の演算値に対応する指令信号(電流値信号又は電圧値信号)をインバータ3に出力する(以下、「圧力フィードバック水量制御」ともいう)。なお、本水量制御における駆動周波数の演算には、例えば、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いることができる。
【0042】
温度フィードフォワード水量制御
制御部10(ポンプ駆動制御部)は、透過水W2の流量が予め設定された目標流量値(後述する第1目標流量値又は第2目標流量値)となるように、温度センサTEの検出温度値(系内の物理量)をフィードフォワード値として、加圧ポンプ2の駆動周波数を演算する。そして、制御部10は、駆動周波数の演算値に対応する指令信号(電流値信号又は電圧値信号)をインバータ3に出力する(以下、「温度フィードフォワード水量制御」ともいう)。
【0043】
濃縮水W3の循環比の調節
濃縮水W3の循環比とは、RO膜モジュール4の二次側ポートから流出する透過水W2の流量と一次側出口ポートから流出する濃縮水W3の流量との比率(濃縮水W3の流量/透過水W2の流量)である。循環比の所定値は、“5”程度が目安となる。
ここで、本実施形態においては、濃縮水ラインL3には、定流量弁5が設けられている。そのため、定流量弁5で濃縮水W3の流量を一定に保持しながら、前述したいずれかの水量制御により透過水W2の流量を一定に保持することで、濃縮水W3の循環比は、所定値に調節されることになる。
【0044】
<透過水W2の回収率制御>
透過水W2の回収率とは、RO膜モジュール4に供給される供給水W1の流量に対する透過水W2の流量の比率(透過水W2の流量/供給水W1の流量)である。
制御部10は、透過水W2の回収率制御として、例えば、温度フィードフォワード回収率制御、水質フィードフォワード、又は水質フィードバック回収率制御のいずれかを選択して実行できる。各回収率制御の概要は、次の通りである。
【0045】
温度フィードフォワード回収率制御
制御部10は、予め取得された供給水W1のシリカ濃度、及び温度センサTEの検出温度値から決定したシリカ溶解度に基づいて、濃縮水W3におけるシリカの許容濃縮倍率を演算する。そして、制御部10は、許容濃縮倍率の演算値、及び透過水W2の目標流量値(後述する第1目標流量値又は第2目標流量値)から排水流量を演算し、濃縮水W3の実際排水量(第2流量センサFM2の検出流量値)が排水流量の演算値(目標排水流量)となるように、比例制御排水弁8の弁開度を制御する(以下、「温度フィードフォワード回収率制御」ともいう)。
【0046】
水質フィードフォワード回収率制御
制御部10は、予め取得された炭酸カルシウムの溶解度、及び硬度センサSの測定硬度値に基づいて、濃縮水W3における炭酸カルシウムの許容濃縮倍率を演算する。そして、制御部10は、許容濃縮倍率の演算値、及び透過水W2の目標流量値(後述する第1目標流量値又は第2目標流量値)から排水流量を演算し、濃縮水W3の実際排水量(第2流量センサFM2の検出流量値)が排水流量の演算値(目標排水流量)となるように、比例制御排水弁8の弁開度を制御する(以下、「水質フィードフォワード回収率制御」ともいう)。
【0047】
<比例制御排水弁8による排水流量の調節制御>
本調節制御は、前述した回収率制御のうち、温度フィードフォワード回収率制御又は水質フィードフォワード回収率制御に付随して実行される。
制御部10(排水制御部)は、第2流量センサFM2の検出流量値が、前述した回収率制御で決定した排水流量の演算値(目標排水流量)となるように、排水流量調整手段としての比例制御排水弁8の弁開度を流量フィードバック制御する。なお、本調節制御における弁開度の演算には、例えば、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いることができる。
【0048】
<圧力調整弁7による流動抵抗の調整制御>
制御部10(圧力調整制御部)は、第2圧力センサPS2により検出された検出圧力値が所定の設定圧力値(目標圧力値)になるように、圧力調整弁7の弁開度(流路断面積)を調整するように制御する。これにより、循環水ラインL4における流動抵抗が調整される。この調整により、接続部J1における中間圧力(定流量弁5の二次側の圧力であって比例制御排水弁8の一次側の圧力)を調整することができる。なお、本調整制御における弁開度の演算には、例えば、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いることができる。
また、本調整制御では、比例制御排水弁8の二次側に第3圧力センサ(図示せず)を設け、第2圧力センサ及び第3圧力センサの検出圧力値の差分が所定の設定圧力値(目標圧力値)になるように、圧力調整弁7の弁開度を調整することもできる。
【0049】
本実施形態においては、濃縮水ラインL3を流通する濃縮水W3の流量は、定流量弁5により一定流量値に保持される。また、前述した回収率制御により、排水ラインL5を流通する濃縮水W32の流量は、比例制御排水弁8により増減される。これにより、循環水ラインL4を流通する濃縮水W31の流量も増減されるが、濃縮水W3の循環比は一定に保たれる。
【0050】
本実施形態においては、圧力調整弁7は、循環水ラインL4を流通する濃縮水W31の流量を調整しようとするものではなく、接続部J1における中間圧力(定流量弁5の二次側の圧力であって比例制御排水弁8の一次側の圧力)を調整しようとするものである。制御部10は、圧力調整弁7の弁開度(流路断面積)を変化させることで、接続部J1における中間圧力(定流量弁5の二次側の圧力であって比例制御排水弁8の一次側の圧力)を調整する。
【0051】
本実施形態においては、制御部10が圧力調整弁7の弁開度(流路断面積)を調整するように制御することで、接続部J1における中間圧力を、比例制御排水弁8の一次側と二次側との間で所定の圧力差(一次側圧力>二次側圧力)が得られる圧力とすることができる。これにより、排水ラインL5における比例制御排水弁8の二次側の背圧が高くなった場合や、供給水ラインL1を流通する供給水W1の圧力が低い場合においても、比例制御排水弁8の一次側と二次側との間で所定の圧力差が得られ、比例制御排水弁8を介して、濃縮水W32を装置外へ排出できる。
また、供給水ラインL1を流通する供給水W1の圧力や比例制御排水弁8の背圧が変動した場合においても、制御部10により、接続部J1における中間圧力を所定の圧力値に制御することができ、より確実な排水流量の調節を実現することができる。
【0052】
<フラッシング運転制御>
制御部10は、所定の条件を充足した場合に、フラッシング運転制御を実行する。所定の条件としては、例えば、以下の〔a〕〜〔d〕が列挙される。
〔a〕透過水W2の製造を終了した場合(装置の運転を終了した場合)
〔b〕前回のフラッシング運転の終了後、透過水W2を製造しない継続時間が設定時間(例:1時間)となった場合
〔c〕前回のフラッシング運転の終了後、透過水W2の製造積算時間が設定時間(例:30分)に達した場合
〔d〕RO膜モジュール4の膜の汚染度が許容値を超えた場合
RO膜の汚染度は、例えば、RO膜モジュール4の一次側入口ポートと一次側出口ポートの間の圧力差を差圧計(図示せず)で計測すること等により求められる。
フラッシング運転制御は、例えば、〔a〕,〔d〕の条件では、120秒実行される。また、例えば、〔b〕,〔c〕の条件では、60秒実行される。
【0053】
フラッシング運転制御においては、制御部10は、RO膜モジュール4の一次側の洗浄を実行する。フラッシング運転制御では、供給水W1がRO膜モジュール4の一次側に供給される。フラッシング運転制御において、加圧ポンプ2は、最大駆動周波数(50Hz又は60Hz)よりも低い駆動周波数(例えば、30Hz)に固定される。このとき、供給水W1のほとんどは、RO膜を透過することなく、RO膜の表面を流れ、フラッシング洗浄排水として、濃縮水ラインL3を介して、排水ラインL5から外部に排出される。このフラッシング運転制御により、RO膜の表面に析出したスケール核や沈着した懸濁物質が除去される。フラッシング運転制御が所定時間(例えば、120秒,60秒)実行されると、透過水W2の製造が可能とされる。
【0054】
<フラッシング運転実行後の回収率制御>
制御部10は、RO膜モジュール4の一次側を洗浄するためのフラッシング運転が実行され、透過水W2の製造を再開した後に、透過水W2の回収率を、濃縮水W3の濃縮が平衡状態にあるときの回収率(以下「平衡時回収率」ともいう)よりも高くするように、比例制御排水弁8の弁開度を制御する。
【0055】
ここで、「平衡時回収率」は、前述の温度フィードフォワード回収率制御、又は水質フィードフォワード回収率制御により決定されるものである。すなわち、「平衡時回収率」とは、透過水W2を所定の目標流量値で製造している運転状態において、シリカ系スケール又は炭酸カルシウム系スケールの析出が起こらない最大回収率を意味する。
制御部10が温度フィードフォワード回収率制御を実行する場合の平衡時回収率R
e[%]は、制御の過程で演算されるシリカの許容濃縮倍率N
sに対して次式で示される。
R
e=(1−1/N
s)×100 (1a)
また、制御部10が水質フィードフォワード回収率制御を実行する場合の平衡時回収率R
e[%]は、制御の過程で演算される炭酸カルシウムの許容濃縮倍率N
cに対して次式で示される。
R
e=(1−1/N
c)×100 (1b)
従って、例えば、各許容濃縮倍率N
s,N
cが“5”である場合、平衡時回収率R
eは、80%となる。なお、各許容濃縮倍率N
s,N
cの具体的な求め方については後述する。
【0056】
制御部10は、透過水W2の製造を再開した時点の回収率R
0(以下「再開時回収率」ともいう)を平衡時回収率R
eよりも高く設定する。そして、制御部10は、再開時回収率R
0を起点として回収率を平衡時回収率R
eに向かって徐々に下げるように、比例制御排水弁8の弁開度を制御する。本実施形態においては、例えば、90%の再開時回収率R
0から、80%の平衡時回収率R
eとなるまで、回収率を90%、85%、80%の順に、徐々に下げていく。回収率を徐々に下げる態様としては、例えば、回収率を無段階に緩やかに下げてもよいし、段階的に徐々に下げてもよい。
【0057】
制御部10は、例えば、濃縮水W3の電気伝導率又は経過時間に基づいて、回収率を徐々に下げるように、比例制御排水弁8の弁開度を制御する。
【0058】
具体的には、制御部10は、第2電気伝導率センサEC2により測定された濃縮水W3の電気伝導率(測定EC値)が予め設定された1つ以上の設定伝導率閾値(設定EC閾値)に達する毎に回収率を徐々に下げるように、比例制御排水弁8の弁開度を制御する。1つ以上の設定伝導率閾値(設定EC閾値)は、例えば、透過水W2の製造を再開した時点の電気伝導率よりも高い値に設定される。1つ以上の設定伝導率閾値を複数設定する場合には、例えば、電気伝導率が低い値から高い値になるように複数設定する(例えば、第1設定EC閾値>第2設定EC閾値>・・・)。1つ以上の設定伝導率閾値(設定EC閾値)は、例えば、濃縮速度に関するシミュレーションや実験等の結果に基づいて設定される。1つ以上の設定伝導率閾値(設定EC閾値)は、記憶部(不図示)に記憶される。
【0059】
また、制御部10は、経過時間が予め設定された1つ以上の設定時間に達する毎に、回収率を徐々に下げるように、比例制御排水弁8の弁開度を制御する。1つ以上の設定時間は、例えば、透過水W2の製造を再開した時点からの経過時間により設定される。1つ以上の設定時間は、例えば、濃縮速度に関するシミュレーションや実験等の結果に基づいて設定される。1つ以上の設定時間は、記憶部(不図示)に記憶される。
【0060】
<透過水W2の水量制御及び回収率制御の制御例>
次に、透過水W2の水量制御及び回収率制御について、具体的な制御例を説明する。
ここでは、「流量フィードバック水量制御」と「温度フィードフォワード回収率制御」とが組み合わされて実行されるパターン(制御例1)、「圧力フィードバック水量制御」と「水質フィードフォワード回収率制御」とが組み合わされて実行されるパターン(制御例2)、「温度フィードフォワード水量制御」と「温度フィードフォワード回収率制御」とが組み合わされて実行されるパターン(制御例3)を例示する。なお、本願では、制御例1〜3以外の組み合わせを排除するものではない。
【0061】
制御例1
制御部10による流量フィードバック水量制御について、
図2を参照して説明する。また、制御部10による温度フィードフォワード回収率制御について、
図3を参照して説明する。この温度フィードフォワード回収率制御は、流量フィードバック水量制御と並行して実行される。
図2は、制御部10が流量フィードバック水量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図3は、制御部10が温度フィードフォワード回収率制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図2及び
図3に示すフローチャートの処理は、逆浸透膜分離装置1の運転中において、繰り返し実行される。
【0062】
まず、制御部10による流量フィードバック水量制御について説明する。
図2に示すステップST101において、制御部10は、透過水W2の目標流量値Q
p´を取得する。この目標流量値Q
p´は、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。
【0063】
ステップST102において、制御部10は、第1流量センサFM1で検出された透過水W2の検出流量値Q
pを取得する。
【0064】
ステップST103において、制御部10は、ステップST102で取得した検出流量値(フィードバック値)Q
pとステップST201で取得した目標流量値Q
p´との偏差がゼロとなるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより操作量U(後述するU
n)を演算する。なお、速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期(例えば、100ms)毎に操作量の変化分ΔUを演算し、これを前回の操作量U
n−1に加算することで今回の操作量U
nを決定する(nは、演算回数)。
【0065】
ステップST104において、制御部10は、操作量U、目標流量値Q
p´及び加圧ポンプ2の最大駆動周波数(50Hz又は60Hzの設定値)に基づいて、加圧ポンプ2の駆動周波数Fを演算する。
【0066】
ステップST105において、制御部10は、駆動周波数Fの演算値を、対応する電流値信号(4〜20mA)に変換する。
ステップST106において、制御部10は、変換した電流値信号をインバータ3に出力する。以上により本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする)。
【0067】
次に、流量フィードバック水量制御と並行して実行される温度フィードフォワード回収率制御について説明する。
図3に示すステップST201において、制御部10は、透過水W2の目標流量値Q
p´を取得する。この目標流量値Q
p´は、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。
【0068】
ステップST202において、制御部10は、供給水W1のシリカ(SiO
2)濃度C
sを取得する。このシリカ濃度C
sは、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。供給水W1のシリカ濃度は、事前に供給水W1を水質分析することにより得ることができる。なお、供給水ラインL1において、不図示の水質センサ(例えば、モリブデンイエロー法を応用した比色式の水質センサ)により供給水W1のシリカ濃度を計測してもよい。
【0069】
ステップST203において、制御部10は、温度センサTEから供給水W1の検出温度値Tを取得する。
ステップST204において、制御部10は、取得した検出温度値Tに基づいて、水に対するシリカ溶解度S
sを決定する。
【0070】
ステップST205において、制御部10は、前のステップで取得又は決定したシリカ濃度C
s、及びシリカ溶解度S
sに基づいて、濃縮水W3におけるシリカの許容濃縮倍率N
sを演算する。シリカの許容濃縮倍率N
sは、下記の式(2)により求めることができる。
N
s=S
s/C
s (2)
【0071】
例えば、シリカ濃度C
sが20mgSiO
2/L、25℃におけるシリカ溶解度S
sが100mgSiO
2/Lであれば、許容濃縮倍率N
sは“5”となる。
【0072】
ステップST206において、制御部10は、前のステップで取得又は演算した目標流量値Q
p´、及び許容濃縮倍率N
sに基づいて、回収率が最大となる排水流量(目標排水流量Q
d´)を演算する。目標排水流量Q
d´は、下記の式(3)により求めることができる。
Q
d´=Q
p´/(N
s−1) (3)
【0073】
ステップST207において、制御部10は、濃縮水W3の実際排水流量Q
dがステップST206で演算した目標排水流量Q
d´となるように、比例制御排水弁8の弁開度を調節する。具体的には、制御部10は、第2流量センサFM2の検出流量値が、目標排水流量Q
d´となるように、比例制御排水弁8の弁開度を流量フィードバック制御する。弁開度(操作量)の演算には、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いることが好ましい。以上により本フローチャートの処理は終了する(ステップST201へリターンする)。
【0074】
制御例2
制御部10による圧力フィードバック水量制御について、
図4を参照して説明する。また、制御部10による水質フィードフォワード回収率制御について、
図5を参照して説明する。この温度フィードフォワード回収率制御は、圧力フィードバック水量制御と並行して実行される。
図4は、制御部10が圧力フィードバック水量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図5は、制御部10が水質フィードフォワード回収率制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図4及び
図5に示すフローチャートの処理は、逆浸透膜分離装置1の運転中において、繰り返し実行される。
【0075】
まず、制御部10による圧力フィードバック水量制御について説明する。
図4に示すステップST301において、制御部10は、透過水W2の目標流量値Q
p´を取得する。この目標流量値Q
p´は、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。
【0076】
ステップST302において、制御部10は、RO膜モジュール4の基準温度(25℃)における水透過係数L
pを取得する。この水透過係数L
pは、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。
【0077】
なお、この圧力フィードバック水量制御を、前述の流量フィードバック水量制御のバックアップとして実行することができる。その場合、水透過係数L
pは、第1流量センサFM1(
図1参照)の故障が発生する直前の演算値でもよい。
【0078】
基準温度における水透過係数L
pの演算値は、下記の式(4)及び(5)に基づいて求めることができる。
L
p=Q
p/(K・A・P
e) (4)
(但し、K:温度補正係数、A:RO膜モジュール4の膜面積、P
e:有効圧力)
P
e=P
d−(ΔP
1/2)−P
2−Δπ+P
s (5)
(但し、P
d:加圧ポンプ2の吐出圧力、ΔP
1:RO膜モジュール4の一次側における差圧、P
2:RO膜モジュール4の二次側における背圧、Δπ:RO膜モジュール4の浸透圧差、P
s:加圧ポンプ2の吸入側における圧力)
【0079】
式(4)において、温度補正係数Kは、温度センサTEの検出温度値Tの関数である。膜面積Aは、逆浸透膜エレメントの使用本数により定まるので、予め設定した値を使用することができる。式(5)による有効圧力P
eの計算において、ΔP
1、P
2、Δπ、及びP
sの各値は、定常運転中は、ほぼ一定と看做せるため、予め設定した値を使用することができる。従って、逆浸透膜分離装置の運転中に、温度センサTEの検出温度値T、第1流量センサFM1の検出流量値Q
p、及び第1圧力センサPS1の検出圧力値P
dからなる少なくとも3つのパラメータを取得すれば、基準温度における水透過係数L
pを演算することができる。
【0080】
ステップST303において、制御部10は、温度センサTEで検出された供給水W1の検出温度値Tを取得する。
ステップST304において、制御部10は、ステップST303で取得した検出温度値Tに基づいて、温度補正係数Kを演算する。
【0081】
ステップST305において、制御部10は、前のステップで取得又は演算した目標流量値Q
p´、水透過係数L
p、温度補正係数K、及び所要の設定値(A、ΔP
1、P
2、Δπ、P
s)を用いて、上記の式(4)及び(5)に基づいて、加圧ポンプ2の吐出圧力P
d´を演算する。そして、この吐出圧力P
d´の演算値を目標圧力値として設定する。
【0082】
ステップST306において、制御部10は、第1圧力センサPS1で検出された加圧ポンプ2の検出圧力値P
dを取得する。
【0083】
ステップST307において、制御部10は、ステップST306で取得した検出圧力値(フィードバック値)P
dとステップST305で設定した目標圧力値P
d´との偏差がゼロとなるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより操作量U(後述するU
n)を演算する。なお、速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期(例えば、100ms)毎に操作量の変化分ΔUを演算し、これを前回の操作量U
n−1に加算することで今回の操作量U
nを決定する(nは、演算回数)。
【0084】
ステップST308において、制御部10は、操作量U、目標圧力値P
d´及び加圧ポンプ2の最大駆動周波数(50Hz又は60Hzの設定値)に基づいて、加圧ポンプ2の駆動周波数Fを演算する。
【0085】
ステップST309において、制御部10は、駆動周波数Fの演算値を、対応する電流値信号(4〜20mA)に変換する。
ステップST310において、制御部10は、変換した電流値信号をインバータ3に出力する。以上により本フローチャートの処理は終了する(ステップST301へリターンする)。
【0086】
次に、圧力フィードバック水量制御と並行して実行される水質フィードフォワード回収率制御について説明する。
図5に示すステップST401において、制御部10は、透過水W2の目標流量値Q
p´を取得する。この目標流量値Q
p´は、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。
ステップST402において、制御部10は、硬度センサSで測定された供給水W1の測定硬度値C
cを取得する。
【0087】
ステップST403において、制御部10は、水に対する炭酸カルシウム溶解度S
cを取得する。この炭酸カルシウム溶解度S
cは、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。尚、水に対する炭酸カルシウム溶解度は、通常の運転温度(5〜35℃)では、ほぼ一定値と看做せる。
【0088】
ステップST404において、制御部10は、前のステップで取得した測定硬度値C
c、及び炭酸カルシウム溶解度S
cに基づいて、濃縮水W3における炭酸カルシウムの許容濃縮倍率N
cを演算する。炭酸カルシウムの許容濃縮倍率N
cは、下記の式(6)により求めることができる。
N
c=S
c/C
c (6)
【0089】
例えば、測定硬度値C
cが3mgCaCO
3/L、25℃における炭酸カルシウム溶解度S
cが15mgCaCO
3/Lであれば、許容濃縮倍率N
cは“5”となる。
【0090】
ステップST405において、制御部10は、前のステップで取得又は演算した目標流量値Q
p´、及び許容濃縮倍率N
cに基づいて、回収率が最大となる排水流量(目標排水流量Q
d´)を演算する。目標排水流量Q
d´は、下記の式(7)により求めることができる。
Q
d´=Q
p´/(N
c−1) (7)
【0091】
ステップST406において、制御部10は、濃縮水W3の実際排水流量Q
dがステップST405で演算した目標排水流量Q
d´となるように、比例制御排水弁8の弁開度を調節する。具体的には、制御部10は、第2流量センサFM2の検出流量値が、目標排水流量Q
d´となるように、比例制御排水弁8の弁開度を流量フィードバック制御する。弁開度(操作量)の演算には、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いることが好ましい。以上により本フローチャートの処理は終了する(ステップST401へリターンする)。
【0092】
制御例3
制御部10による温度フィードフォワード水量制御について、
図6を参照して説明する。なお、制御部10による温度フィードバック回収率制御については、前述の説明(
図3参照)を引用して説明を省略する。この水質フィードバック回収率制御は、温度フィードフォワード水量制御と並行して実行される。
図6は、制御部10が温度フィードフォワード水量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図6及び
図3に示すフローチャートの処理は、逆浸透膜分離装置1の運転中において、繰り返し実行される。
【0093】
以下、制御部10による温度フィードフォワード水量制御について説明する。
図6に示すステップST501において、制御部10は、透過水W2の目標流量値Q
p´を取得する。この目標流量値Q
p´は、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。
【0094】
ステップST502において、制御部10は、RO膜モジュール4の基準温度(25℃)における水透過係数L
pを取得する。この水透過係数L
pは、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。
【0095】
なお、この温度フィードフォワード水量制御を、前述の流量フィードバック水量制御のバックアップとして実行することができる。その場合、水透過係数L
pは、第1流量センサFM1(
図1参照)の故障が発生する直前の演算値でもよい。基準温度における水透過係数L
pは、前述の圧力フィードバック水量制御の説明で説明した手法により演算することができる。
【0096】
ステップST503において、制御部10は、温度センサTEで検出された供給水W1の検出温度値Tを取得する。
ステップST504において、制御部10は、ステップST503で取得した検出温度値Tに基づいて、温度補正係数Kを演算する。
【0097】
ステップST505において、制御部10は、前のステップで取得又は演算した目標流量値Q
p´、水透過係数L
p、温度補正係数K、及び所要の設定値(A、ΔP
1、P
2、Δπ、P
s)を用いて、前述の説明で説明した式(4)及び(5)に基づいて、加圧ポンプ2の吐出圧力P
d´を演算する。
【0098】
ステップST506において、制御部10は、吐出圧力P
d´の演算値を用いて、下記の式(7)に基づいて、加圧ポンプ2の駆動周波数Fを演算する。
F=a・P
d´
2+b・P
d´+c (8)
(但し、a,b,c:加圧ポンプ2の仕様により定まる係数)
【0099】
ステップST507において、制御部10は、駆動周波数Fの演算値を、対応する電流値信号(4〜20mA)に変換する。
ステップST508において、制御部10は、変換した電流値信号をインバータ3に出力する。以上により本フローチャートの処理は終了する(ステップST501へリターンする)。
【0100】
<フラッシング運転実行後の回収率制御の制御例>
次に、フラッシング運転実行後の回収率制御について、具体的な制御例を説明する。
ここでは、再開時回収率R
0を起点として回収率を平衡時回収率R
eに向かって徐々に下げる制御として、制御例A及び制御例Bについて説明する。
【0101】
制御例A
まず、制御例Aについて説明する。
図7は、制御部10が制御例Aを実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図8は、制御部10が制御例Aを実行する場合の濃縮水W3の電気伝導率の変化を示すグラフである。
図8において、実線は、制御例Aを実行した場合(すなわち、再開時回収率R
0>平衡時回収率R
eの場合)における濃縮水の電気伝導率の時間変化を示したものである。一方、
図8において、破線は、制御例Aを実行しない場合(すなわち、再開時回収率R
0=平衡時回収率R
eの場合)における濃縮水の電気伝導率の時間変化を示したものである。
図7に示すフローチャートの処理は、逆浸透膜分離装置1の運転中において、繰り返し実行される。
【0102】
制御例Aは、濃縮水W3の電気伝導率の変化に応じて、回収率を徐々に下げる制御である。制御例Aにおいて、制御部10は、濃縮水W3の電気伝導率が予め設定された1つ以上の設定伝導率閾値に達する毎に、回収率を徐々に下げるように、比例制御排水弁8の弁開度を制御する。
【0103】
制御例Aを実行する前段階として、装置の運転が終了(透過水W2の製造の終了)されており、装置が再起動される場合について説明する。装置の運転の終了時に、フラッシング運転が所定時間(例えば、120秒)実行されている。これにより、RO膜モジュール4の一次側が洗浄されると共に、水の濃縮がリセットされた初期状態となっている。
【0104】
図7に示すステップST601において、装置の再起動時(すなわち、透過水W2の製造再開時)に、制御部10は、第2電気伝導率センサEC2で測定された測定電気伝導率値を取得する。
【0105】
ステップST602において、透過水W2の製造を再開した時点の再開時回収率R
0を平衡時回収率R
eよりも高く設定し、再開時回収率R
0に応じて比例制御排水弁8の弁開度を制御する。例えば、前述の温度フィードフォワード回収率制御、又は水質フィードフォワード回収率制御の演算により決定された平衡時回収率R
eが80%であったとすると、再開時回収率R
0を90%に設定する。
【0106】
そのため、本実施形態においては、透過水W2の製造を再開した時点では、平衡時回収率R
eの演算のみが行われ、濃縮水W3が所定の濃縮度合に達するまでは、温度フィードフォワード回収率制御や水質フィードフォワード回収率制御が無効状態とされる。これにより、濃縮水W3の電気伝導率(EC)は、
図8に示すように、タイミングt10からt11において、時間の経過とともに、濃縮水W3の電気伝導率が上昇する。
【0107】
なお、タイミングt10は、透過水W2の製造の終了時に、フラッシング運転が所定時間(例えば、120秒)実行され、その後の装置の再起動時により、透過水W2の製造が再開されるタイミングである。そのため、濃縮水W3の電気伝導率EC
xは供給水W1の電気伝導率とほぼ同じ値である。例えば、供給水W1の電気伝導率が330μS/cm程度である場合において、装置の再起動時における濃縮水W3の電気伝導率ECxは、供給水W1の電気伝導率とほぼ同じ330μS/cm程度である(厳密には、装置停止中の透過水W2の浸透現象により、RO膜モジュール4の一次側の存在する水の電気伝導率は、330μS/cmよりも低下する)。また、本実施形態においては、装置の運転状態が定常状態(温度フィードフォワード回収率制御や水質フィードフォワード回収率制御が有効状態)になったときには、濃縮水W3の電気伝導率は平衡状態となり、EC
yとなる。本実施形態においては、例えば、平衡状態の濃縮水W3の電気伝導率EC
yは、1650μS/cm程度(平衡時回収率R
eが80%なので5倍濃縮)である。
【0108】
ステップST603において、制御部10は、濃縮水W3の測定EC値が第1設定EC閾値EC
a(
図8参照)に達したか否かを判定する。濃縮水W3の測定EC値が第1設定EC閾値EC
aに達したと判定された場合(YES)には、処理は、ステップST604へ移行する。また、濃縮水W3の測定EC値が第1設定EC閾値EC
aに達していないと判定された場合(NO)には、処理は、ステップST603を繰り返す。
【0109】
ステップST604において、制御部10は、現時点の回収率を再開時回収率R
0からこれよりも低い回収率に下げるように、比例制御排水弁8の弁開度を制御する。制御部10は、例えば、現時点の回収率を、90%から85%に下げるように、比例制御排水弁8の弁開度を制御する。これにより、濃縮水W3の電気伝導率(EC)は、
図8に示すように、タイミングt11からt12において、回収率が90%の場合よりも、時間当たりの上昇度合が小さくなるように緩やかに上昇して、装置の運転状態が定常状態になったときの濃縮水W3の電気伝導率EC
yに近づくように推移する。
【0110】
ステップST605おいて、制御部10は、濃縮水W3の測定EC値が第2設定EC閾値EC
b(
図8参照)に達したか否かを判定する。第2設定EC閾値EC
bは、第1設定EC閾値EC
aよりも高い値である。濃縮水W3の測定EC値が第2設定EC閾値EC
bに達したと判定された場合(YES)には、処理は、ステップST606へ移行する。また、濃縮水W3の測定EC値が第2設定EC閾値EC
bに達していないと判定された場合(NO)には、処理は、ステップST605を繰り返す。
【0111】
ステップST606において、制御部10は、現時点の回収率を前回設定した回収率から平衡時回収率R
eに下げるように、比例制御排水弁8の弁開度を制御する。制御部10は、現時点の回収率を、例えば、85%から80%に下げるように、比例制御排水弁8の弁開度を制御する。これにより、回収率は、定常運転時の回収率80%と同じ回収率となる。そして、濃縮水W3の電気伝導率(EC)は、
図8に示すように、タイミングt12からt13において、回収率が85%の場合よりも、時間当たりの上昇度合が小さくなるように緩やかに上昇して、装置の運転状態が定常状態になったときの濃縮水W3の電気伝導率EC
yに近づくように推移する。
【0112】
制御部10は、以上のような制御を実行することで、透過水W2の回収率を、90%、85%、80%の順に下げながら装置を運転する。これにより、制御例Aでは、平衡時回収率R
eに設定して運転する前に、これよりも高い再開時回収率R
0で運転させるため、透過水W2の製造を再開した時点から平衡時回収率R
eに固定して運転した場合(
図8における破線のグラフ)よりも、濃縮水W3の廃棄量を低減できる。その結果、水を節約することができる。
【0113】
ステップST607において、制御部10は、所定のフラッシング間隔に達したか否か(すなわち、透過水W2の製造積算時間が設定時間に達したか否か:前述のフラッシング条件b)を判定する。フラッシング間隔に達したと判定された場合(YES)には、処理は、ステップST608へ移行する。また、フラッシング間隔に達していないと判定された場合(NO)には、処理は、ステップST607を繰り返す。
【0114】
ステップST608において、制御部10は、装置の運転の途中に、
図8に示すタイミングt13において、フラッシング運転を実行する。ここで、例えば、制御部10は、フラッシング運転を60秒実行する。これにより、RO膜モジュール4の一次側が供給水W1で希釈され、濃縮水W3の電気伝導率が低下する。ここでは、短時間で透過水W2の製造を再開するため、フラッシング運転の実行時間を、運転終了時に実行されるフラッシング運転の実行時間の半分としている。
図8に示すように、タイミングt13における濃縮水W3の電気伝導率は、タイミングt10における濃縮水W3の電気伝導率よりも高いためである。
ステップST608の後に、処理は、ステップST602へ移行する。
【0115】
ここで、装置の運転の途中にフラッシング運転を実行した後における
図8に示すタイミングt13,t14,t15については、前述したステップST602〜ST606の説明を援用する。前述の説明におけるタイミングt10,t11,t12は、それぞれタイミングt13,t14,t15と読み替えるものとする。また、前述の説明において、「装置の再起動時」に代えて、「フラッシング運転の終了時」とする。
【0116】
制御例B
次に、制御例Bについて説明する。
図9は、制御部10が制御例Bを実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図10は、制御部10が制御例Bを実行する場合の濃縮水W3の電気伝導率の変化を示すグラフである。
図9において、実線は、制御例Bを実行した場合(すなわち、再開時回収率R
0>平衡時回収率R
eの場合)における濃縮水の電気伝導率の時間変化を示したものである。一方、
図10において、破線は、制御例Bを実行しない場合(すなわち、再開時回収率R
0=平衡時回収率R
eの場合)における濃縮水の電気伝導率の時間変化を示したものである。
図9に示すフローチャートの処理は、逆浸透膜分離装置1の運転中において、繰り返し実行される。
【0117】
制御例Bは、経過時間に応じて、回収率を徐々に下げる制御である。制御例Bにおいて、制御部10は、経過時間が予め設定された1つ以上の設定時間に達する毎に、回収率を徐々に下げるように、比例制御排水弁8の弁開度を制御する。なお、制御例Aと同じ内容の説明を適宜に省略する。
【0118】
制御例Bを実行する前段階として、装置の運転が終了(透過水W2の製造の終了)されており、装置が再起動される場合について説明する。装置の運転の終了時に、フラッシング運転が所定時間(例えば、120秒)実行されている。これにより、RO膜モジュール4の一次側が洗浄されると共に、水の濃縮がリセットされた初期状態となっている。
【0119】
図9に示すステップST701において、装置の再起動時(すなわち、透過水W2の製造再開時)において、制御部10は、制御部10の内部タイマ(不図示)により、装置の再起動時からの経過時間の計時を開始する。
ステップST701の後に、処理は、ステップST702へ移行する。
【0120】
ここで、制御例Bにおける
図9に示すステップST702〜ST708の説明は、
図7に示すステップST602〜ST608の説明における「第1設定EC閾値(EC
a)」及び「第2設定EC閾値(EC
b)」に代えて、それぞれ、「第1A設定時間(T1A)」及び「第1B設定時間(T1B)」とすると共に、
図8におけるタイミングt10,t11,t12に代えて、
図10におけるタイミングt20,t21,t22として、制御例Aの説明を援用する。
【0121】
これにより、制御部10は、以上のような制御を実行することで、透過水W2の回収率を、90%、85%、80%の順に下げながら装置を運転する。これにより、制御例Bでは、平衡時回収率R
eに設定して運転する前に、これよりも高い再開時回収率R
0で運転させるため、透過水W2の製造を再開した時点から平衡時回収率R
eに固定して運転した場合(
図10における破線のグラフ)よりも、濃縮水W3の廃棄量を低減できる。その結果、水を節約することができる。
【0122】
また、制御例BにおけるステップST709〜ST713の説明は、
図7に示すステップST602〜ST606の説明における「第1設定EC閾値(EC
a)」及び「第2設定EC閾値(EC
b)」に代えて、それぞれ、「第2A設定時間(T2A)」及び「第2B設定時間(T2B)」とすると共に、
図8におけるタイミングt13,t14,t15に代えて、
図10におけるタイミングt23,t24,t25として、制御例Aの説明を援用する。また、制御例BにおけるステップST709〜ST713の説明は、
図7に示すステップST602〜ST606の説明における「装置の再起動時」に代えて、「フラッシング運転の終了時」とする。
【0123】
なお、ステップST710において、制御部10は、透過水W2の製造を再開した時点からのタイマの計時時間が第2A設定時間T2A(
図10参照)に達したか否かを判定する。第2A設定時間T2Aは、ステップST703における第1A設定時間T1Aよりも短い時間である。この理由は、装置の運転の途中に実行されるフラッシング運転の実行時間を、運転終了時に実行されるフラッシング運転の実行時間の半分としているためである。
図10に示すように、タイミングt23における濃縮水W3の電気伝導率は、タイミングt20における濃縮水W3の電気伝導率よりも高い。そのため、第2A設定時間T2Aは、ステップST703における第1A設定時間T1Aよりも短い時間に設定される。
【0124】
これにより、制御部10は、以上のような制御を実行することで、回収率を、90%、85%、80%の順に下げながら装置を運転する。よって、装置の運転の途中に実行されるフラッシング運転の終了後(
図10のタイミングt23以降)においても、透過水W2の製造を再開した時点から平衡時回収率R
eに固定して運転した場合(
図10における破線のグラフ)よりも、濃縮水W3の廃棄量を低減できる。その結果、水を節約することができる。
【0125】
上述した実施形態に係る逆浸透膜分離装置1によれば、例えば、以下のような効果が得られる。
本実施形態に係る逆浸透膜分離装置1においては、供給水W1を透過水W2と濃縮水W3とに分離する逆浸透膜モジュール4と、供給水W1を逆浸透膜モジュール4に供給する供給水ラインL1と、逆浸透膜モジュール4で分離された透過水W2を送出する透過水ラインL2と、逆浸透膜モジュール4で分離された濃縮水W3を装置外へ排出する排水ラインL5と、排水ラインL5に設けられ装置外へ排出する濃縮水W3の排水流量を調整可能な排水流量調整手段8と、逆浸透膜モジュール4の一次側を洗浄するためのフラッシング運転が実行され、透過水W2の製造を再開した後に、供給水W1の流量に対する透過水W2の流量の比率である回収率を、平衡時回収率R
eよりも高くするように、比例制御排水弁8を制御する制御部10と、を備える。
【0126】
そのため、フラッシング運転を実行し、透過水W2の製造を再開した後において、平衡時回収率R
eに設定して運転する前に、これよりも高い再開時回収率R
0で運転させるため、濃縮度の低い濃縮水W3が廃棄されるのを抑制できる。その結果、水を節約することができる。
【0127】
また、本実施形態に係る逆浸透膜分離装置1においては、制御部10は、透過水W2の製造を再開した時点から回収率を徐々に下げるように、比例制御排水弁8を制御する。そのため、シリカの濃縮倍率が許容濃縮倍率N
sを超えたり、炭酸カルシウムの濃縮倍率が許容濃縮倍率N
cを超えたりすることを回避しながら、濃縮を促進させることができる。
【0128】
また、本実施形態に係る逆浸透膜分離装置1においては、RO膜モジュールにより分離された濃縮水W3の電気伝導率を測定する第2電気伝導率センサEC2を備え、制御部10は、濃縮水W3の電気伝導率が予め設定された1つ以上の設定伝導率閾値に達する毎に、回収率を徐々に下げるように、比例制御排水弁8を制御する。そのため、シリカ系スケールや炭酸カルシウム系スケールの析出を抑制しながら、速やかに最大回収率に到達させることができる。
【0129】
また、本実施形態に係る逆浸透膜分離装置1においては、制御部10は、経過時間が予め設定された1つ以上の設定時間に達する毎に、回収率を徐々に下げるように、比例制御排水弁8を制御する。そのため、シリカ系スケールや炭酸カルシウム系スケールの析出を抑制しながら、速やかに最大回収率に到達させることができる。
【0130】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、本実施形態では、圧力調整手段として、圧力調整弁7を制御部10により弁開度制御できるように構成したが、これに制限されない。例えば、圧力調整手段は、補助動力や外部操作を必要とせずに流路断面積を一定面積に維持する弁やオリフィスなどでもよく、例えば、「絞り」の名称で呼ばれるものでもよい。また、圧力調整手段は、使用前に流路断面積を調整しておき、使用時には流路断面積を一定面積に維持した状態で使用されるものでもよい。
【0131】
本実施形態では、温度フィードフォワード回収率制御において、供給水W1の温度を検出する例について説明した。これに限らず、例えば、RO膜モジュール4で得られた透過水W2又は濃縮水W3(W31,W32)の温度を検出してもよい。
【0132】
本実施形態では、各回収率制御において、比例制御排水弁8の弁開度を制御することにより、濃縮水W3の排水流量を調節する例について説明した。これに限らず、複数の排水バルブを並列に設けた構成とし、排水バルブの開弁数を増減することにより、濃縮水W3の排水流量を段階的に調節するように制御してもよい。これにより、濃縮水W3の排水流量を調節することができる。
【0133】
また、本実施形態においては、濃縮水ラインL3に第2電気伝導率センサEC2を設けたが、これに制限されない。第2電気伝導率センサEC2を設ける位置は、濃縮水W3を検出できる位置であればよく、例えば、第2電気伝導率センサEC2を、排水ラインL5や循環水ラインL4に設けてもよい。
【0134】
また、本実施形態では、透過水W2の製造を再開した時点の再開時回収率R
0を平衡時回収率R
eよりも高く設定し、回収率を徐々に下げる(上げることなく下げ続ける)ように、比例制御排水弁8の弁開度を制御した。しかし、これに制限されず、再開時回収率R
0を平衡時回収率R
eよりも高く設定した後に、回収率を徐々に下げる制御を行わなくてもよい。例えば、再開時回収率R
0を平衡時回収率R
eよりも高く設定した後に、回収率を下げる途中で回収率を一旦上げる制御を行ってもよい。