特開2016-203240(P2016-203240A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2016-203240コイリングマシンと、コイルばねの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-203240(P2016-203240A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】コイリングマシンと、コイルばねの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21F 35/00 20060101AFI20161111BHJP
【FI】
   B21F35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-91542(P2015-91542)
(22)【出願日】2015年4月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 武志
【テーマコード(参考)】
4E070
【Fターム(参考)】
4E070AB09
4E070AC01
4E070BC23
4E070BF03
4E070CA04
4E070DA02
4E070DB05
(57)【要約】
【課題】第1ピンによって曲げられた材料の先端部を第2ピンの溝に案内することができるコイリングマシンを提供する。
【解決手段】コイリングマシン10は、材料送りローラ11a,11bと、第1ピン13と、第2ピン14と、ピッチツール15と、カッティングツール16と、材料回転装置20とを有している。材料ガイド12から第1ピン13に向けて移動した材料2の先端部2aが第1ピン13によって曲げられる。材料回転装置20は、ピンチローラ21a,21bと、ピンチローラ21a,21bによって挟まれた材料2を軸線X1回りに回動させる回動機構とを有している。材料2の先端部2aが第1ピン13によって曲げられたのち、材料回転装置20は、材料送りローラ11a,11bがアンクランプ位置に移動した状態において、先端部2aが第2ピン14の溝14aに向かうように材料2を軸線X1回りに回転させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルばねの材料を移動させる材料送りローラと、
前記材料が挿入される材料ガイドと、
前記材料ガイドの先端から送り出された前記材料が接する第1ピンと、
前記第1ピンに対し前記材料の移動方向前側に配置され、前記第1ピンとの間で前記材料を曲げることにより前記第1ピンとの間に円弧部を形成する第2ピンと、
前記第2ピンに対し材料の移動方向前側に配置され前記材料が接するピッチツールと、
前記第2ピンと前記ピッチツールとの間に配置され、マンドレルとの間で前記材料を切断するカッティングツールと、
前記第1ピンによって曲げられた前記材料の先端部が前記第2ピンの溝の方向を向くように前記材料を軸線回りに回動させる材料回転装置と、
を具備したことを特徴とするコイリングマシン。
【請求項2】
前記材料回転装置は、
前記材料を挟むピンチローラを備えたピンチローラユニットと、
前記ピンチローラを前記材料の送り方向に回転させるピンチローラ回転機構と、
前記材料送りローラがアンクランプ位置に移動した状態において前記ピンチローラユニットを前記材料の軸線回りに回動させる回動機構とを有したことを特徴とする請求項1に記載のコイリングマシン。
【請求項3】
材料送りローラによって移動するコイルばねの材料を第1ピンと第2ピンとの間で曲げることにより円弧部を形成するコイリングマシンであって、
該コイリングマシンは前記材料の先端部整形作業を自動化する制御部を有し、
該制御部は、
前記材料の先端部を前記第1ピンに向かって前進させる手段と、
前記材料の先端部の位置を検出する検出手段と、
前記先端部が前記第1ピンに到達した状態において前記先端部を第1ピンによってマンドレルに近付ける方向に曲げる手段と、
前記材料送りローラをアンクランプ位置に移動させる手段と、
前記材料の先端部が第2ピンの溝の方向を向くように前記材料を軸線回り回動させる手段と、
前記材料送りローラをクランプ位置に移動させる手段と、
前記材料送りローラを回転させて前記材料を前進させることにより前記先端部を前記第2ピンの溝に入れる手段と、
前記先端部を前記第1ピンと前記第2ピンとの間で曲げることによって先端側円弧部を形成する手段と、
を具備したことを特徴とするコイリングマシン。
【請求項4】
前記マンドレルを第1の位置と第2の位置とに移動させる手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載のコイリングマシン。
【請求項5】
前記先端側円弧部から先のスクラップ部をカッティングツールによって切断する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載のコイリングマシン。
【請求項6】
材料送りローラによって移動するコイルばねの材料を第1ピンと第2ピンとの間で円弧状に曲げて円弧部を形成するコイルばねの製造方法において、
前記材料を材料ガイドに向かって移動させ、
前記材料の先端部の位置を検出し、
前記材料の先端部を第1ピンによってマンドレルに近付ける方向に曲げ、
材料送りローラをアンクランプ位置に移動させ、
前記材料の先端部が第2ピンの溝の方向を向くように前記材料を軸線回り回動させ、
前記材料送りローラをクランプ位置に移動させ、
前記材料送りローラによって材料を移動させることにより前記先端部を前記第2ピンの溝に入れ、
前記材料を前記第1ピンと前記第2ピンとの間で曲げることによって先端側円弧部を形成し、
前記先端側円弧部から先のスクラップ部をカッティングツールによって切断することを特徴とするコイルばねの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コイルばねを製造するためのコイリングマシンと、コイルばねの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コイルばねを製造するコイリングマシンとして、例えば特許文献1に開示されているように、芯金を有しないコイリングマシンが知られている。この種のコイリングマシンは、材料ガイドの先端から送り出されたコイルばねの材料を、第1ピンと第2ピンとによって円弧状に曲げ、かつ、ピッチツールによってピッチ付けを行なうようにしている。第1ピンの外周部と第2ピンの外周部には、材料が入る溝が各ピンの周方向に形成されている。
【0003】
前記第1ピンと第2ピンの位置は、制御部に格納されたコンピュータプログラムと、コイルばねの形状に応じた制御用データなどに基いて制御される。すなわちコイルばねの形状に応じた制御用データに基いてアクチュエータ等を駆動することにより、第1ピンおよび第2ピンをコイル径に応じた位置に移動させている。また特許文献2に開示されているコイリングマシンのように、第1ピンと第2ピンの位置を、マシンセンタを基準として制御する技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−197775号公報
【特許文献2】特開2013−226584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
成形前の材料は真っ直ぐであるため、コイルばねの成形を開始する際には、材料の先端部を第1ピンに向かって移動させつつ、マニュアル操作によって第1ピンを移動させながら材料の先端部をある程度曲げたのち、材料の先端部を第2ピンに向かって移動させ、第2ピンを移動させながら、材料を円弧状に曲げるという作業(先端部整形作業)が行われている。その際に、第1ピンの位置と第2ピンの位置とが各ピンの軸線方向にずれていることもあるし、第1ピンに対して第2ピンが傾いていることもある。
【0006】
このため、第1ピンの溝を通って第2ピンに向かう材料の先端部が第2ピンの溝に入りにくいことがある。材料の先端部が第2ピンの溝に入らない場合、材料の送りを一旦停止させ、材料の先端部が第2ピンの溝に入るように作業者が治具等を用いて材料の先端部の位置を矯正する作業を行うことがある。しかしそのような作業は安全上格別な配慮が必要であるばかりか、熟練を要する作業でもあるなど、改善の余地があった。
【0007】
従って本発明の目的は、コイルばねを製造する際に最初に行われる材料の先端部整形作業を安全にかつ能率良く行うことができるコイリングマシンと、コイルばねの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態は、材料送りローラによって移動するコイルばねの材料を第1ピンと第2ピンとの間で曲げることにより円弧部を形成するコイリングマシンであって、該コイリングマシンは前記材料の先端部を整形する作業(先端部整形作業)を自動化する制御部を有している。該制御部は、前記材料の先端部を前記第1ピンに向かって前進させる手段と、前記材料の先端部の位置を検出する検出手段と、前記先端部が前記第1ピンに到達した状態において前記先端部を第1ピンによって曲げる手段と、前記材料送りローラをアンクランプ位置に移動させる手段と、前記材料の先端部が第2ピンの溝の方向を向くように前記材料を軸線回り回動させる手段と、前記材料送りローラをクランプ位置に移動させる手段と、前記材料送りローラを回転させて前記材料を前進させることにより前記先端部を前記第2ピンの溝に入れる手段と、前記先端部を前記第1ピンと前記第2ピンとの間で曲げることによって先端側円弧部を形成する手段とを具備している。この制御部は、前記先端側円弧部から先のスクラップ部をカッティングツールによって切断する手段をさらに備えていてもよい。第1ピンと第2ピンとは、それぞれ、回転自在なローラ部材であってもよいし、あるいは回転しないピン部材であってもよい。
【0009】
本実施形態のコイリングマシンは、前記第1ピンによって曲げられた前記材料の先端部が前記第2ピンの溝の方向を向くように前記材料を軸線回りに回動させる材料回転装置を具備している。材料回転装置の一例は、前記材料を挟むピンチローラを備えたピンチローラユニットと、前記ピンチローラを前記材料の送り方向に回転させるピンチローラ回転機構と、前記材料送りローラがアンクランプ位置に移動した状態において前記ピンチローラユニットを前記材料の軸線回りに回動させる回動機構とを有している。また、第1の位置と第2の位置とにわたって移動可能(例えば上下方向に移動可能)なマンドレルを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1ピンによって曲げられた材料の先端部を第2ピンの溝に向けて案内することができるため、材料の先端部が第2ピン以外の部分と干渉する不具合を防止することができる。このため作業者が治具等を用いて材料の先端部の向きを手作業で矯正するといった熟練を要する危険な作業が不要となり、コイリング開始時に行われる材料の先端部整形作業を安全にかつ能率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】1つの実施例に係るコイリングマシンを模式的に示す正面図。
図2】同コイリングマシンの材料回転装置の側面図。
図3】同コイリングマシンの電気的構成を示すブロック図。
図4】同コイリングマシンの制御部の機能の一例を示すフローチャート。
図5】同コイリングマシンに材料が供給される前の状態の正面図。
図6】同コイリングマシンにおいて材料の先端部が材料ガイドから突出した状態を示す正面図。
図7】同コイリングマシンにおいて材料の先端部が第1ピンと接した状態を示す正面図。
図8】(A)(B)はそれぞれ同コイリングマシンの第1ピンと第2ピンとの位置関係の2つの例を示す側面図。
図9】材料の先端部が回動する方向の一例を示す断面図。
図10】同コイリングマシンにおいて材料の先端部が第2ピン付近まで移動した状態を示す正面図。
図11】同コイリングマシンにおいて材料の先端部がピッチツール付近まで移動した状態を示す正面図。
図12】同コイリングマシンにおいて材料のスクラップ部が切断された状態を示す正面図。
図13】コイルばねの一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、1つの実施形態に係るコイリングマシンとコイルばねの製造方法について、図1から図13を参照して説明する。
図13はコイルばね1の一例を示している。コイルばね1は、ばね鋼からなる材料2を所定のピッチP(一定とは限らない)で螺旋状に成形したものである。コイルばね1の形態は様々であり、例えばコイル径とピッチが巻数位置に応じて変化していてもよい。すなわち円筒コイルばねをはじめとして、たる形コイルばね、鼓形コイルばね、テーパコイルばね、不等ピッチコイルばね、マイナスピッチの部分を有するコイルばね等など、様々な形態のコイルばねであってもよい。
【0013】
図1は、コイリングマシン10の一部を模式的に表わしている。コイリングマシン10は、コイルばねの材料2を矢印Fで示す方向(材料2の軸線X1に沿う方向)に移動させる複数の材料送りローラ(フィードローラ)11a,11bを備えている。材料送りローラ11a,11bは、図1に示すクランプ位置(材料2を挟む位置)と、図5に示すアンクランプ位置(材料2を解放する位置)とに移動させることができる。
【0014】
またコイリングマシン10は、材料2が挿入される材料ガイド12と、材料ガイド12の先端12aから送り出された材料2が最初に接する第1ピン13と、第1ピン13によって曲げられた材料2が接する第2ピン14とを有している。第1ピン13の外周部と第2ピン14の外周部には、それぞれ、周方向に連続する溝13a,14aが形成されている。本実施形態の第1ピン13と第2ピン14とは、それぞれ、軸を中心に回転自在なローラ部材であるが、他の実施形態では、第1ピンと第2ピンとがそれぞれ回転しないピン部材からなるものであってもよい。
【0015】
またこのコイリングマシン10は、ピッチツール15と、カッティングツール16と、受け刃17aを有するマンドレル17などを有している。ピッチツール15は、第2ピン14に対して材料2の移動方向前側に配置され、第2ピン14によって曲げられた材料2に接することにより、コイルばねのピッチ付けをなすようになっている。カッティングツール16は刃部16aを有し、カッティングツール16がマンドレル17に向かって矢印Z1で示す方向(図1に示す)に移動したときに、刃部16aと受け刃17aとの間で材料2が切断(剪断)される。マンドレル17は、アクチュエータによって第1の位置(図1図5図6等に実線で示す上昇位置)と、第2の位置(図7に実線で示す下降位置)とに移動することができる。
【0016】
さらにこのコイリングマシン10は、材料2の先端部2a(図6に示す)の位置を検出する先端検出手段として機能するセンサ18と、材料2の移動方向に関して材料送りローラ11a,11bの上流側に配置された材料回転装置20とを備えている。以下に材料回転装置20について説明する。
【0017】
図2は、材料回転装置20の一例を示している。この材料回転装置20は、ピンチローラユニット21と、ピンチローラユニット21を材料2の軸線X1(図1に示す)回りに回転させる回動機構22とを含んでいる。ピンチローラユニット21は、材料2を径方向から挟みつけるピンチローラ21a,21bと、ピンチローラ21a,21bを支持するフレーム25と、ピンチローラ21a,21bを材料2の送り方向に回転させるアクチュエータ26と、ピンチローラ21a,21bを互いに近付ける方向に付勢する押圧機構27などを有している。ピンチローラ21a,21bは、図1に2点鎖線で示すクランプ位置V1と、実線で示すアンクランプ位置V2とにわたって移動することができる。
【0018】
回動機構22は、例えばボールねじとサーボモータとを用いるアクチュエータ30によって、ピンチローラユニット21を中立位置N(図2に示す)を境に、角度θ1,θ2をなす方向に回動させるように構成されている。ただしボールねじとサーボモータ以外のアクチュエータによってピンチローラユニット21を回動させるように構成してもよい。
【0019】
このように本実施形態の材料回転装置20は、材料2を挟むピンチローラユニット21を材料2の軸線X1回りに回動させる回動機構22とを備えており、材料2が比較的短い場合(短尺材)に適している。これに対し、数十メートルから数百メートル以上に及ぶ長尺な材料を丸めたフープ材を載置する材料供給部(線出し機)から材料をコイリングマシンに供給する場合には、材料回転装置の他の例として、フープ材を乗せた材料供給部を材料の軸線回りに回動させるように構成してもよい。
【0020】
第1ピン13は、材料ガイド12の先端12aに対して材料2の移動方向前側(移動方向下流側)に配置されている。第2ピン14は、第1ピン13に対して材料2の移動方向前側に配置されている。材料ガイド12の先端12aから第1ピン13に向かって送り出された材料2は、材料ガイド12の先端12aが実質的な曲げ開始点となって、第1ピン13との間で曲がる。
【0021】
図3は、コイリングマシン10の電気的構成を示すブロック図である。コイリングマシン10は、コントローラとして機能するCPU(Central Processing Unit)40を備えている。このCPU40に、バスライン41を介してROM(Reed Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、通信インタフェース部44、表示/操作用ドライバ45、材料送り用ドライバ46、第1ピン移動用ドライバ47、第2ピン移動用ドライバ48、ピッチツール用ドライバ49、カッティングツール用ドライバ50、ピンチローラ回転用ドライバ51、マンドレル移動用ドライバ52、回動機構用ドライバ53、センサ18などが接続されている。
【0022】
ROM42には、CPU40を制御するためのプログラムや各種の固定的データが格納されている。RAM43は、コイルばねを成形するのに必要な各種データ等が格納されるメモリエリアを備えている。通信インタフェース部44は、通信回線(ネットワーク)を介して外部機器との間で行なうデータ通信を制御する。表示/操作用ドライバ45は、表示部(ディスプレイパネル)を備えた表示操作部55を制御する。表示操作部55を操作することにより、コイルばねの成形に必要な情報をRAM43等のメモリに格納することができる。
【0023】
材料送り用ドライバ46は材料送りローラ11a,11bを回転させるためのモータ60を制御する。第1ピン移動用ドライバ47は、第1ピン13を駆動するためのアクチュエータを備えた第1ピン駆動機構61を制御する。第2ピン移動用ドライバ48は、第2ピン14を駆動するためのアクチュエータを備えた第2ピン駆動機構62を制御する。ピッチツール用ドライバ49は、ピッチツール15を駆動するためのアクチュエータを備えたピッチツール駆動機構63を制御する。カッティングツール用ドライバ50は、カッティングツール16を駆動するためのアクチュエータを備えたカッティングツール駆動機構64を制御する。ピンチローラ回転用ドライバ51は、ピンチローラユニット21(図2に示す)のアクチュエータ26を制御する。マンドレル移動用ドライバ52は、マンドレル17を移動(例えば上下方向に移動)させるためのマンドレル移動用アクチュエータ65を制御する。回動機構用ドライバ53は、材料回転装置20のアクチュエータ30を制御する。
【0024】
コイリングマシン10のCPU40を含む電気的構成は、材料送りローラ11a,11bの回転動作を制御する制御回路と、第1ピン13および第2ピン14の位置を第1ピン駆動機構61および第2ピン駆動機構62を介して制御する制御回路と、ピッチツール15の位置をピッチツール駆動機構63を介して制御する制御回路と、カッティングツール16の動作をカッティングツール駆動機構64を介して制御する制御回路などを含み、これらはコイリングマシン10の動作等を制御する制御部70として機能する。制御部70は、入力されたコイルばねの形状データ(例えばコイル径)に応じて、第1ピン13と第2ピン14のそれぞれの位置が変化するように、第1ピン駆動機構61と第2ピン駆動機構62を制御する。
【0025】
本実施形態の制御部70には、通信インタフェース部44を介してパーソナルコンピュータ80を接続することができる。パーソナルコンピュータ80は、ディスプレイパネルを備えた表示部81と、キーボードを備えた入力操作部82と、マウス等のポインティングデバイス83などを含んでいる。パーソナルコンピュータ80は、必要に応じて着脱可能な記憶媒体84を備えている。
【0026】
以下に、コイルばねの成形を開始する際に最初に行われる材料2の先端部2aを成形する作業(先端部整形作業)について、図4から図12を参照して説明する。この作業(先端部整形作業)は制御部70に格納されたコンピュータプログラムと制御用の形状データに基づいてCPU40によって自動化されている。
【0027】
図4は、制御部70に格納されているコンピュータプログラムの機能の一例を示すフローチャートである。このコンピュータプログラムは、コイルばねの先端部整形作業を行う際に起動される。しかし状況によっては、先端部整形作業の一部を作業員がマニュアル操作により行ってもよい。
【0028】
図5は、材料2が供給される前のコイリングマシン10を示している。材料送りローラ11a,11bは、材料2の移動を妨げないように、上下方向に互いに離れた位置(アンクランプ位置)にて待機している。
【0029】
図4に示されたステップS1では、材料2がピンチローラ21a,21bによって材料ガイド12に向けて移動することにより、先端部2aが第1ピン13向かって前進する。このときピンチローラ21a,21bは、クランプ位置に移動している。材料送りローラ11a,11bは、アンクランプ位置に移動している。材料2がピンチローラ21a,21bによって材料ガイド12に向かって前進すると、例えば図6に示されるように、材料2の先端部2aが材料ガイド12の先端12aから突き出る。
【0030】
ステップS2では、先端部2aが所定位置に達したか否かが判定される。先端部2aが所定位置に達していなければステップS1に戻って、材料2がさらに前進する。例えば検出手段(センサ18)によって材料2の先端部2aが検出されると、ステップS3に移行し、材料2の移動が停止する。このとき材料2の先端部2aが材料ガイド12の先端12aから所定距離L1だけ突き出た位置で停止してもよい。
【0031】
ステップS4では、材料送りローラ11a,11bがクランプ位置に移動することにより、材料2が材料送りローラ11a,11b間に挟まれるとともに、ピンチローラ21a,21bがアンクランプ位置に移動する。このため材料2は材料送りローラ11a,11bによって移動することになる。
【0032】
ステップS5では、図7に示されるように材料送りローラ11a,11b間に挟まれた材料2が第1ピン13に向かって移動し、材料2の先端部2aが第1ピン13に到達した状態において第1ピン13が駆動されることにより、先端部2aが第1ピン13によって曲げられる。たとえば材料2の先端部2aが第1ピン13によって、マンドレル17に近づく方向に曲げられる。このときマンドレル17は、図7に2点鎖線で示す第1の位置から矢印Z2で示す方向に移動することにより、マンドレル17の下面が材料ガイド12の先端12aの直近の第2の位置に切換わる。そして材料2の先端部2aが第1ピン13によって曲げられたのち、マンドレル17が再び2点鎖線で示す第1の位置に移動(上昇)する。
【0033】
図8(A)に示すように、第1ピン13と第2ピン14との位置が、ピンの軸線X2,X3に沿う方向に距離G分だけずれている場合、この状態のまま材料2の先端部2aを第2ピン14に向かって前進させると、材料2の先端部2aが第2ピン14の溝14aから外れてしまうことがある。特に第1ピン13と第2ピン14との間の距離L2が大きくなるほど、先端部2aが第2ピン14の溝14aから外れやすくなる。
【0034】
また図8(B)に示すように、第2ピン14が第1ピン13の前方に角度θ3をなして傾いていることもある。この場合も材料2の先端部2aを前進させると、材料2の先端部2aが第2ピン14の溝14aから外れてしまうことがある。このため従来は、作業者が治具等によって材料2の先端部2aの向きを矯正する必要があった。
【0035】
本実施形態の場合、図7に示されるように材料2の先端部2aが第1ピン13によって曲げられかつ第2の位置(2点鎖線に示す)に移動した状態において、ピンチローラ21a,21bによって挟まれている材料2を軸線X1回りに回転させる。このとき材料2の先端部2aは、第1ピン13と第2ピン14との間に位置している。
【0036】
ステップS6では、材料送りローラ11a,11bがアンクランプ位置(図7に2点鎖線Yで示す)に移動し、かつ、ピンチローラ21a,21bがクランプ位置に移動する。この状態のもとで材料回転装置20を駆動することにより、材料2の先端部2aが第2ピン14の溝14aの方向を向くようにピンチローラユニット21が回動する(ステップS7)。
【0037】
材料2が軸線X1回りに回動することにより、図9に示すように材料2の先端部2aが角度θだけ傾く。これにより、材料2の先端部2aが第1ピン13から第2ピン14に向かって移動したときに、先端部2aを第2ピン14の溝14aに入れることができるようになる。
【0038】
図4中のステップS8において、材料送りローラ11a,11bがクランプ位置に移動し、かつ、ピンチローラ21a,21bがアンクランプ位置に移動する。そして材料送りローラ11a,11bが回転し、材料2が前進することにより(ステップS9)、先端部2aが第2ピン14の溝14aに入る(ステップS10)。
【0039】
図10に示すように材料送りローラ11a,11bによって材料2をさらに移動させることにより、材料2の先端部2aを第2ピン14とマンドレル17との間に位置させる。そして材料2を移動させながら、第1ピン13と第2ピン14を駆動し、先端部2aを第1ピン13と第2ピン14との間で曲げることによって、図11に示すように先端側円弧部2b´を形成する(図4中のステップS11とS12)。
【0040】
所定形状の先端側円弧部2b´が形成されたら、図12に示すようにカッティングツール16を受け刃17aに向かって移動させることによって、先端側のスクラップ部2xを切り落とす(図4中のステップS13)。この切断作業(ステップS13)は、場合によっては作業者が状況を確認し、異常がなければマニュアル操作によりボタン等のスイッチを操作することにより、カッティングツール16を動作させてスクラップ部2xを切断することもある。以上の一連の工程により、コイルばね1の先端部整形作業が終了する。
【0041】
スクラップ部2xが切り落とされると先端側円弧部2b´が残る。この先端側円弧部2b´はコイルばねの一部(座巻部)となる。これ以降は、材料送りローラ11a,11bによって材料2を連続的に移動させることにより、コイルばね1の成形(コイリング)を行う。すなわち、材料ガイド12の先端12aから第1ピン13を経て第2ピン14に向けて移動する材料2が、第1ピン13と第2ピン14とによって円弧状に成形されることにより、図1に示されるように円弧部2bが連続的に形成される。
【0042】
円弧部2bの曲率半径は、第1ピン13と第2ピン14との間で最小になったあと、スプリングバックの影響により、ピッチツール15に近付くにつれて曲率半径が少しずつ増加してゆく。このためスプリングバックの影響を考慮して第2ピン14等の位置が制御される。こうして1個分のコイルばねが成形されたら、カッティングツール16が作動することによりコイルばねの後端(次に成形されるコイルばねの前端)が切断される。そののち、次の1個分のコイルばねの成形が連続して行われる。
【0043】
以上説明したように本実施形態のコイルばねの製造方法は下記の工程を含んでいる。
(1)材料2を材料ガイド12に向かって移動させ、
(2)材料ガイド12から送り出された材料2の先端部2aの位置を検出し、
(3)マンドレル17を第2の位置に移動させ、
(4)先端部2aを第1ピン13によってマンドレル17に近付ける方向に曲げ、
(5)マンドレル17を第1の位置に移動させ、
(6)材料送りローラ11a,11bをアンクランプ位置に移動させ、
(7)材料2の先端部2aが第2ピン14の溝14aに向かうように材料2を軸線X1回り回動させ、
(8)材料送りローラ11a,11bをクランプ位置に移動させ、
(9)材料送りローラ11a,11bによって材料2を移動させることにより、先端部2aを第2ピン14の溝14aに入れ、
(10)材料2を第1ピン13と第2ピン14との間で曲げることによって先端側円弧部2b´を形成し、
(11)先端側円弧部2b´から先のスクラップ部2xをカッティングツール16によって切り落とす。
【0044】
なお本発明を実施するに当たって、材料送りローラや材料ガイド、第1ピンおよび第2ピン、ピッチツール、カッティングツール、材料回転装置をはじめとして、コイリングマシンを構成する各要素の構成や配置等の態様を必要に応じて種々に変更して実施できることは言うまでもない。また、長尺な材料を巻いたフープ材から材料をコイリングマシンに供給する場合には、フープ材を載置した材料供給部(線出し機)を材料の軸線回りに回動させるように材料回転装置を構成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…コイルばね、2…材料、2a…先端部、2b…円弧部、2b´…先端側円弧部、10…コイリングマシン、11a,11b…材料送りローラ、12…材料ガイド、12a…材料ガイドの先端、13…第1ピン、13a…溝、14…第2ピン、14a…溝、15…ピッチツール、16…カッティングツール、17…マンドレル、18…センサ(先端検出手段)、20…材料回転装置、21…ピンチローラユニット、21a,21b…ピンチローラ、22…回動機構、70…制御部。
図1
図2
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13