【解決手段】電動ボールねじ214A,214Bにてアキュムレータ204内溶融樹脂を押し出す方法において、電動モータ216A,216Bの回転運動により上プレート211を下プレート210から分離して上方に逃がした後、下プレート210及びピストン206の重さに抗して、充填スペース208内でピストン206を押し上げるに十分な充填圧で充填スペース208内に溶融樹脂を充填する段階と、電動モータ216A,216Bの回転運動により、上プレート211と下プレート210と面接触した状態で、上プレート211を下方に移動することにより、充填スペース208内でピストン206を下方に移動して、押出口202から溶融樹脂をパリソンとして押し出す段階とを有するブロー成形における溶融樹脂の押し出し方法。
電動モータの回転運動を、ボールねじを介してピストンの直線運動に変換することにより、内部に溶融樹脂を充填可能な充填スペースを設けたアキュムレータにおいて、充填スペース内に設けた前記ピストンを上下方向運動させ、下端に押出口を有するヘッドから充填スペース内の溶融樹脂を押し出す方法において、
前記アキュムレータの上方に設けられ、前記ピストンに対して上方から連結された下プレートと、
前記電動モーターに対して螺合関係を介して連結され、かつ、前記下プレートの上方で、前記下プレートに対して面接触可能に配置された上プレートと、を設け、
電動モーターの回転運動により前記上プレートを前記下プレートから分離して上方に逃がした後、前記下プレートおよび前記ピストンの重さに抗して、前記充填スペース内で前記ピストンを押し上げるに十分な充填圧で前記充填スペース内に溶融樹脂を充填する段階と、
電動モーターの回転運動により、前記上プレートと前記下プレートと面接触した状態で、前記上プレートを下方に移動することにより、充填スペース内でピストンを下方に移動して、押出口から溶融樹脂を押し出す段階とを、有することを特徴とする、溶融樹脂の押し出し方法。
前記ピストンは、前記アキュムレータ内のスペースに筒状に嵌合するように設けられ、それにより、前記充填スペースは、該スペースにおいて前記ピストンの下方に形成される、請求項1に記載の溶融樹脂の押し出し方法。
前記上プレートを目標レベルまで逃がし、前記下プレートが前記上プレートに面接触したら、前記電動モーターの駆動により前記上プレートの下降を開始する、請求項3に記載の溶融樹脂の押し出し方法。
前記スペースは、リング状スペースであり、前記ピストンは、前記リング状スペースと相補形状のリング状ピストンであり、充填される溶融樹脂は前記押出口よりパリソンとして下方に押し出される、請求項7に記載の溶融樹脂の押し出し装置。
前記上プレートおよび前記下プレートはそれぞれ、水平に配置され、面接触部が互いに同じ形状を有し、前記上下プレートは、前記上下プレートの該面接触部の周縁部同士が一致するように、配置される、請求項7または請求項8に記載の溶融樹脂の押し出し装置。
請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の前記溶融樹脂の押し出し装置と、前記溶融樹脂の押し出し装置の下方に配置された型締装置とを有し、該型締装置は、垂下する溶融パリソンを挟んで、開位置と閉位置との間で溶融パリソンの垂下方向に対して略直交する向きに可動であり、互いに対向する面にキャビティを形成した分割金型と、開位置と閉位置との間で、溶融パリソンの垂下方向に対して略直交する向きに分割金型を移動させる金型移動手段と、分割金型の型締めにより構成される密閉空間内をブロー加圧するブロー加圧手段とを有する、ことを特徴とする溶融樹脂のブロー成形装置。
請求項7ないし請求項11のいずれか1項に記載の前記溶融樹脂の押し出し装置と、押し出される溶融樹脂をシート状樹脂に形成するシート状樹脂形成装置と、前記溶融樹脂の押し出し装置の下方に配置された型締装置とを有し、該型締装置は、垂下する溶融シート状樹脂を挟んで、開位置と閉位置との間で溶融シート状樹脂の垂下方向に対して略直交する向きに可動であり、互いに対向する面にキャビティを形成した一対の分割金型と、開位置と閉位置との間で、溶融シート状樹脂の垂下方向に対して略直交する向きに一対の分割金型を移動させる金型移動手段と、開位置の一対の分割金型の間に配置される溶融シート状樹脂と一対の分割金型との間に形成される密閉空間を減圧する減圧手段とを有する、ことを特徴とする溶融樹脂の成形装置。
前記シート状樹脂形成装置は、請求項7に記載の前記溶融樹脂の押し出し装置の前記押し出し口の下方に連通するように設けられたTダイであり、該Tダイは、下端に扁平矩形状の押し出しスリットを有する、請求項13に記載の溶融樹脂の成形装置。
前記シート状樹脂形成装置の下方かつ前記一対の分割金型の上方の所定位置に位置決めされた一対のローラーであって、各々の回転軸が互いに平行に略水平に配置され、一方が回転駆動ローラーであり、他方が被駆動ローラーである一対のローラーと、
前記回転駆動ローラーを回転駆動するローラー回転駆動手段と、
前記一対のローラーのうち、いずれか一方のローラーを対応するローラーに対して、あるいは両ローラーを前記一対のローラーを包含する平面内で移動させるローラー移動手段と、
シート状樹脂を前記一対のローラー間に挟み込んだ状態で、シート状樹脂の押出速度に応じて、前記一対のローラーによるシート状樹脂の下方への送り出し速度が該押出速度以上となる範囲で、前記回転駆動ローラーの回転速度を調整するローラー回転速度調整手段とを、さらに有する、請求項13または請求項14に記載の溶融樹脂の成形装置。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、押し出し対象の溶融樹脂をアキュームレータの充填スペース内に隅々まで円滑に充填することが可能な溶融樹脂の押し出し方法および押し出し装置を提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、成形不良を引き起こすことなく、効率的な成形を可能とする溶融樹脂の成形方法および成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、本発明の溶融樹脂の押し出し方法は、
電動モータの回転運動を、ボールねじを介してピストンの直線運動に変換することにより、内部に溶融樹脂を充填可能な充填スペースを設けたアキュムレータにおいて、充填スペース内に設けた前記ピストンを上下方向運動させ、下端に押出口を有するヘッドから充填スペース内の溶融樹脂を押し出す方法において、
前記アキュムレータの上方に設けられ、前記ピストンに対して上方から連結された下プレートと、
前記電動モーターに対して螺合関係を介して連結され、かつ、前記下プレートの上方で、前記下プレートに対して面接触可能に配置された上プレートと、を設け、
電動モーターの回転運動により前記上プレートを前記下プレートから分離して上方に逃がした後、前記下プレートおよび前記ピストンの重さに抗して、前記充填スペース内で前記ピストンを押し上げるに十分な充填圧で前記充填スペース内に溶融樹脂を充填する段階と、
電動モーターの回転運動により、前記上プレートと前記下プレートと面接触した状態で、前記上プレートを下方に移動することにより、充填スペース内でピストンを下方に移動して、押出口から溶融樹脂を押し出す段階とを、有する構成としている。
【0010】
以上の構成を有する溶融樹脂の押し出し方法によれば、電動モーターの回転運動を、ボールねじを介してピストンの直線運動に変換することにより、内部に溶融樹脂を充填可能な充填スペースを設けたアキュムレータにおいて、充填スペース内に設けたピストンを上下方向運動させ、アキュムレータの充填スペース内に溶融樹脂を充填したり、充填した溶融樹脂を下端に設けた押出口から押し出すことが可能である。
より詳細には、アキュムレータの上方に設けられ、ピストンに対して上方から連結された下プレートと、電動モーターに対して螺合関係を介して連結され、かつ、下プレートの上方で、下プレートに対して面接触可能に配置された上プレートと、上プレートと下プレートとが非係合として設けられ、溶融樹脂の充填の際は、電動モータの回転運動により上プレートを下プレートから分離して上方に逃がすことにより、一方、溶融樹脂の押し出しの際は、電動モータの回転運動により、上プレートと下プレートと面接触した状態で、上プレートを下方に移動することにより、上プレートを介して下プレート、ピストンの下方への直線運動に変換している。
特に、溶融樹脂の充填スペースへの充填の際、充填スペース内の溶融樹脂は、下プレートおよびピストンの重さによる背圧を下方に向けて受けるところ、溶融樹脂の充填圧を下プレートを押し上げるに十分な値とすることにより、溶融樹脂は、抵抗を受けつつピストンを上方に押し退けながら充填スペース内に充填されるので、溶融樹脂をアキュムレータの充填スペース内に隅々まで円滑に充填することが可能である。
【0011】
さらに、前記ピストンは、前記アキュムレータ内のスペースに筒状に嵌合するように設けられ、それにより、前記充填スペースは、該スペースにおいて前記ピストンの下方に形成されるのがよい。
また、前記充填スペースへの溶融樹脂の充填段階は、前記下プレートのレベルを検出しながら、充填する段階を有するのがよい。
さらにまた、前記下プレートのレベルが目標レベルに達したら、前記電動モーターの駆動により前記上プレートの下降を開始するのがよい。
加えて、前記上プレートを目標レベルまで逃がし、前記下プレートが前記上プレートに面接触したら、前記電動モーターの駆動により前記上プレートの下降を開始するのがよい。
【0012】
また、前記充填スペースへの溶融樹脂の充填段階は、さらに、前記充填スペースへの溶融樹脂の充填圧力を調整する段階を有するのがよい。
【0013】
上記課題を達成するために、本発明の溶融樹脂の押し出し装置は、
上下方向に延在し、下端に押出口を具備するヘッドと連結するスペースを設けたアキュムレータと、
該スペースに嵌合し、該スペース内で上下方向に移動可能なピストンと、を有し、
それにより、該スペース内において、該ピストンの下方に溶融樹脂を充填可能な充填スペースが形成され、
前記アキュムレータの上方に設けられ、該ピストンに対して上方から連結された下プレートと、
該下プレートのレベルを検出するレベル検出手段と、
上下方向に延びるねじ軸と、
該ねじ軸を回転駆動する電動モータと、
該ねじ軸に螺合し、該電動モータにより上下方向を中心に回転する前記ねじ軸に沿って、上下方向に直線運動可能なナットと、
該ナットに連結され、かつ、前記下プレートの上方で、前記下プレートに対して面接触可能に配置された上プレートと、を有し、
前記充填スペースに溶融樹脂を充填する際、前記電動モータにより前記上プレートを上方に逃がした後、前記充填スペース内の溶融樹脂に対して、前記下プレートの自重による背圧をかけながら、充填可能に構成され、充填される溶融樹脂を前記押出口より下方に押し出す、構成としている。
【0014】
さらに、前記スペースは、リング状スペースであり、前記ピストンは、前記リング状スペースと相補形状のリング状ピストンであり、充填される溶融樹脂は前記押出口よりパリソンとして下方に押し出されるのがよい。
また、前記下プレートは、前記スペース内で上下方向に延びるピストンロッドを介して前記ピストンに連結され、
前記レベル検出手段は、前記ピストンロッドに設けられた磁石と、前記ピストンロッドの近傍に固定され、該磁石の磁界の変化を電気信号に変換して出力する磁気センサとを有するのがよい。
さらにまた、前記下プレートは、前記スペース内で上下方向に延びるピストンロッドを介して前記ピストンに連結され、
前記レベル検出手段は、前記ピストンロッドの近傍に固定され、前記ピストンロッドから放射される赤外線の放射エネルギが所定レベル以上であることを検出することにより前記ピストンロッドのレベルを検出するようにした赤外線センサーを有するのがよい。
【0015】
加えて、前記上プレートおよび前記下プレートはそれぞれ、水平に配置され、面接触部が互いに同じ形状を有し、前記上下プレートは、前記上下プレートの該面接触部の周縁部同士が一致するように、配置されるのがよい。
【0016】
上記課題を達成するために、本発明の溶融樹脂のブロー成形装置は、
請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の前記溶融樹脂の押し出し装置と、前記溶融樹脂の押し出し装置の下方に配置された型締装置とを有し、該型締装置は、垂下する溶融パリソンを挟んで、開位置と閉位置との間で溶融パリソンの垂下方向に対して略直交する向きに可動であり、互いに対向する面にキャビティを形成した分割金型と、開位置と閉位置との間で、溶融パリソンの垂下方向に対して略直交する向きに分割金型を移動させる金型移動手段と、分割金型の型締めにより構成される密閉空間内をブロー加圧するブロー加圧手段とを有する、構成としている。
【0017】
上記課題を達成するために、本発明の溶融樹脂の成形装置は、
請求項7ないし請求項11のいずれか1項に記載の前記溶融樹脂の押し出し装置と、押し出される溶融樹脂をシート状樹脂に形成するシート状樹脂形成装置と、前記溶融樹脂の押し出し装置の下方に配置された型締装置とを有し、該型締装置は、垂下する溶融シート状樹脂を挟んで、開位置と閉位置との間で溶融シート状樹脂の垂下方向に対して略直交する向きに可動であり、互いに対向する面にキャビティを形成した一対の分割金型と、開位置と閉位置との間で、溶融シート状樹脂の垂下方向に対して略直交する向きに一対の分割金型を移動させる金型移動手段と、開位置の一対の分割金型の間に配置される溶融シート状樹脂と一対の分割金型との間に形成される密閉空間を減圧する減圧手段とを有する、構成としている。
【0018】
さらに、前記シート状樹脂形成装置は、請求項7に記載の前記溶融樹脂の押し出し装置の前記押し出し口の下方に連通するように設けられたTダイであり、該Tダイは、下端に扁平矩形状の押し出しスリットを有するのがよい。
また、前記シート状樹脂形成装置の下方かつ前記一対の分割金型の上方の所定位置に位置決めされた一対のローラーであって、各々の回転軸が互いに平行に略水平に配置され、一方が回転駆動ローラーであり、他方が被駆動ローラーである一対のローラーと、
前記回転駆動ローラーを回転駆動するローラー回転駆動手段と、
前記一対のローラーのうち、いずれか一方のローラーを対応するローラーに対して、あるいは両ローラーを前記一対のローラーを包含する平面内で移動させるローラー移動手段と、
シート状樹脂を前記一対のローラー間に挟み込んだ状態で、シート状樹脂の押出速度に応じて、前記一対のローラーによるシート状樹脂の下方への送り出し速度が該押出速度以上となる範囲で、前記回転駆動ローラーの回転速度を調整するローラー回転速度調整手段とを、さらに有するのがよい。
【0019】
上記課題を達成するために、本発明の溶融樹脂のブロー成形方法は、
熱可塑性樹脂を溶融混練する段階と、
溶融混練した熱可塑性樹脂を所定量貯留する段階と、
請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の溶融樹脂の押し出し装置を用いて、押出口から溶融パリソンとして下方に垂下するように、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出す段階と、を有し、
それにより、押出口から溶融パリソンが所定押出速度で下方に押し出され、
押し出された溶融パリソンを分割金型の側方に配置する段階と、
溶融パリソンを挟み込むように分割金型を型締めして、金型内部に密閉空間を形成する段階と、
形成されたる密閉空間をブロー加圧して、溶融パリソンを金型に向かって押圧することによって金型形状に沿った形状に成形する段階とを有する、構成としている。
【0020】
上記課題を達成するために、本発明の溶融樹脂の成形方法は、
熱可塑性樹脂を溶融混練する段階と、
溶融混練した熱可塑性樹脂を所定量貯留する段階と、
請求項7ないし請求項11のいずれか1項に記載の溶融樹脂の押し出し装置を用いて、押出口から貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に下方に押し出す段階と、
それにより、押出口から溶融熱可塑性樹脂が所定押出速度で下方に押し出され、
押し出される溶融樹脂を溶融シート状樹脂に形成する段階と、
溶融シート状樹脂を型開きした一対の分割金型の間に配置する段階と、
溶融シート状樹脂と一対の分割金型との間に密閉空間を形成する段階と、
形成された密閉空間を減圧、および/または溶融シート状樹脂を金型に向かって加圧することによって金型形状に沿った形状に成形する段階とを有する、構成としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明による溶融樹脂の押し出し装置、押し出し方法、並びに溶融樹脂の成形装置および成形方法によれば、油圧駆動ではなく、電動モータの駆動力によって溶融樹脂を押し出して成形しているので、以下に例示するように、油圧駆動による技術的問題を引き起こすことなく、溶融樹脂の押し出しの前提条件として、押し出し対象の溶融樹脂をアキュームレータの充填スペース内に隅々まで円滑に充填することが可能である。
第1に、溶融樹脂の充填および押し出しの際、必要時にのみ電動モータを駆動させればよいので、大幅な省エネルギーが可能である。
第2に、溶融樹脂の充填および押し出しの際、オイル(作動油)を使用しないので、オイル漏れおよびオイルミストによる成形品の汚染の回避、および、オイルのヒータへの接触による火災事故の防止が可能である。
第3に、 油圧ユニットを使用しないので、低騒音化を図ることが可能である。
第4に、電動モータを使用しているので、フィードバック制御を行うことにより、成形品の精度向上が可能であるとともに、保守が容易であり、特に、オイルに係る消耗部品(パッキン、ガスケット、オイルシール等)の費用と交換時間が不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の第1実施形態を図面(
図1ないし
図6)を参照しながら、以下に詳細に説明する。
図1ないし
図3に示すように、溶融樹脂の押し出し装置は、固定プレート238の上方に設けた駆動部と、固定プレート238の下方に設けた溶融樹脂の押出し部とを有する。
駆動部について、それぞれ、上プレート211(後に説明)の上下方向往復直線運動に関係する一対の電動モータ216A,Bと、押し出し部の押し出し口202(後に説明)の押し出し面積を調整する電動パリコンモータ215とを有し、電動パリコンモータ215を中央に設け、電動パリコンモータ215の各側に、一対の電動モータ216A,Bの1つを配置している。電動モータ216A,Bおよび電動パリコンモータ215は、ACサーボモータなどからなるサーボモータが好ましい。
一対の電動モータ216A,Bにはそれぞれ、モータシャフトと連結され、下方に延びるシャフト222A,Bが設けられ、シャフト222A,Bの下部には、ボールねじ部214A,Bが設けられ、シャフト222A,Bは、ベアリング232を介してブラケット230により上下方向を中心に回転可能に支持されており、モータの回転によりボールねじ部214A,Bが回転するようにしている。シャフト222A,Bは、たとえば、キーおよびカップリングを介して一対の電動モータ216A,Bのモータシャフトに連結されるのでよい。なお、参照番号280は、精密減速機であり、モータの回転を減速するようにしている。
【0023】
電動パリコンモータ215は、一対の電動モータ216A,Bと同様に、モータシャフトと連結され、下方に延びるシャフト224が設けられる。シャフト224は、固定プレート238の中央開口を貫通し、押出し部まで及び、一対の電動モータ216A,Bと同様に、ベアリング232を介してブラケット230により上下方向を中心に回転可能に支持されており、モータの回転により回転するようにしている。
最下方のブラケット230と固定プレート238との間には、スペース258が設けられ、スペース258内に、一対の電動モータ216A,Bの回転を上プレート211(後に説明)を上下方向往復直線運動に変換する機構が設けられる。機構は、各ボールねじ214A,Bに螺合するボールナット218A,Bと、ボールナット218A,Bを支持するナット支持プレート260と、ナット支持プレート260の下面に同心状に固定された円筒部262と、円筒部262の下面に同心状に固定された上プレート211とを有する。
【0024】
ボールナット218A,Bはそれぞれ、内周面にボールねじ214A,Bとの螺合部を形成した螺合円筒部250A,Bの上部に環状フランジ部248A,Bを有し、ボールナット218A,Bの長さ、すなわち、螺合部の長さは、一対の電動モータ216A,Bの回転により、ボールナット218A,B、ナット支持プレート260、円筒部262、および上プレート211が一体で安定して上下方向に往復直線運動を行うように決定すればよい。
ナット支持プレート260は、中心部に電動パリコンモータ215のシャフト224が非接触で貫通する中央開口240が設けられるとともに、ボールナット218A,Bそれぞれを支持する開口が設けられる。開口の大きさは、螺合円筒部250A,Bがナット支持プレート260に対して回転不能に内嵌するように設けられ、環状フランジ部248A,Bにより、ボールナット218A,Bがナット支持プレート260により垂下支持されるようにしている。
また、シャフト222A,Bおよびシャフト224それぞれには、歯車260A,Bおよび歯車262が設けられ、互いに噛み合い、歯車262を介して、一対の電動モータ216A,Bが連動するようにしており、歯車262は、シャフト224に対して回転可能に支持されているのが好ましい。
これにより、一対の電動モータ216A,Bが連動して回転することにより、シャフト2222A,Bのボールねじ部222A,Bが回転し、それにより、対応するボールナット218A,B、ナット支持プレート260、円筒部262、および上プレート211が一体で安定して上下方向に往復直線運動するようにしている。
電動パリコンモータ215のシャフト224は、ナット支持プレート260の中央開口240、円筒部262の中空部256および上プレート211の中心に設けた開口242を非接触形態で貫通して、下方に延びるようにしている。
【0025】
次に、押し出し部について、中空部を有する円筒状ハウジング204と、円筒状ハウジング204と同心状に配置されたコア234とが設けられ、円筒状ハウジング204の内周面とコア234の外周面との間に上下方向に延びる環状スペース208が形成され、環状スペース208には、直径方向反対側に設けられた一対のピストンロッド220、一対のピストンロッド220それぞれの下端に連結されたリング状ピストン206が設けられる。
リング状ピストン206は、環状スペース208と相補形状をなし、環状スペース208には、リング状ピストン206が内嵌することにより、リング状ピストン206の下方に溶融樹脂を充填するための充填スペース208が形成される。
円筒状ハウジング204の側周面には、溶融樹脂の充填口236が設けられ、充填口236より充填された溶融樹脂が充填スペース208に流入し、リング状ピストン206が充填スペース208内を押出口202に向けて下方に移動することにより、充填スペース208内に充填される溶融樹脂が押出口202よりパリソンとして下方に押し出されるようにしている。
なお、円筒状ハウジング204の外周には、ヒータ(図示せず)が取り付けられる。
【0026】
円筒状ハウジング204の内部における溶融樹脂の充填部を構成するアキュムレータ205の上方には、リング状ピストン206に対して上方から連結された下プレート210と、下プレート210のレベルを検出するレベル検出手段212が設けられる。
より詳細には、下プレート210は、環状スペース208内で上下方向に延びるピストンロッド220を介してピストン206の上端に連結され、中心部には、電動パリコンモータ215のシャフト224が貫通する開口244が設けられ、スペース258内に配置される。
上プレート211および下プレート210はそれぞれ、水平に配置され、面接触部226が互いに同じ円形状を有し、上下プレート210、211は、上下プレート210の面接触部226の周縁部228同士が一致するように、位置決めされる。これにより、後に説明するように、一対の電動モータ216A,Bの回転により、上プレート211が下方に移動して、下プレート210に接触する際、上プレート211は下プレート210に対して面接触部226を介して密着した状態で完全に重なり合うようにしている(
図2参照)。
【0027】
レベル検出手段212は、ピストンロッド220に設けられた磁石222と、ピストンロッド220の近傍に固定され、磁石222の磁界の変化を電気信号に変換して出力する磁気センサ224とを有し、磁気センサ224が、ピストンロッド220、すなわち下プレート210の上下方向移動による磁石222の磁界の変化を検出することにより、下プレート210のレベルを検出するようにしている。
変形例として、レベル検出手段212は、ピストンロッド220の近傍に固定され、ピストンロッド220から放射される赤外線の放射エネルギが所定レベル以上であることを検出することによりピストンロッド220のレベルを検出するようにした赤外線センサーを有するのでもよい。
【0028】
コア234は、環状軸対象構造であり、電動パリコンモータ215のシャフト224の下端部に固定され、シャフト224は、円筒状ハウジング204の中心線上を上下方向に延びる。
円筒状ハウジング204の下端には、円筒状ハウジング204と同心状に押し出しヘッド203が固定され、押し出しヘッド203は、コア234の下端部と協働して、充填スペース208に連通する環状押出口202を構成し、電動パリコンモータ215の回転によりシャフト224、すなわち、コア234が上下方向に移動可能とされ、それにより、環状押出口202の開口面積が微調整されるようにしている。
【0029】
以上のように、押し出し装置200によれば、上下方向に延在し、下端201に押出口202を具備するヘッド203と連結するスペースを設けたアキュムレータ204と、スペースに嵌合し、スペース内で上下方向に移動可能なピストン206と、を有し、それにより、スペース内において、ピストン206の下方に溶融樹脂を充填可能な充填スペース208が形成され、アキュムレータ204の上方に設けられ、ピストン206に対して上方から連結された下プレート210と、 下プレート210のレベルを検出するレベル検出手段212と、上下方向に延びるねじ軸214と、ねじ軸214を回転駆動する電動モータ216と、ねじ軸214に螺合し、電動モータ216により上下方向を中心に回転するねじ軸214に沿って、上下方向に直線運動可能なナット218と、ナット218に連結され、かつ、下プレート210の上方で、下プレート210に対して面接触可能に配置された上プレート211と、を有し、充填スペース208に溶融樹脂を充填する際、電動モータ216により上プレート211を上方に逃がした後、充填スペース208内の溶融樹脂に対して、下プレート210の自重による背圧をかけながら、充填可能に構成され、充填される溶融樹脂を押出口202より下方に押し出すように構成している。
【0030】
本発明において、溶融樹脂により成形される表皮材シートは、ポリプロピレン、エンジニアリングプラスチックス、オレフィン系樹脂などから形成されたシートからなる。
より詳細には、表皮材シートは、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生することを防止する観点から溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましく、一方で金型73への転写性、追従性を良好とするため流動性の高い樹脂材料を用いることが好ましい。
具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)であって、230℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0g/10分以下、さらに好ましくは0.3〜1.5g/10分のもの、またはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等の非晶性樹脂であって、200℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度200℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0〜60g/10分、さらに好ましくは30〜50g/10分でかつ、230℃におけるメルトテンション(株式会社東洋精機製作所製メルトテンションテスターを用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラに巻き取り速度100rpmで巻き取ったときの張力を示す)が50mN以上、好ましくは120mN以上のものを用いて形成される。
【0031】
また、表皮材シートには衝撃により割れが生じることを防止するため、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが30wt%未満、好ましくは15wt%未満の範囲で添加されていることが好ましい。具体的には水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしてスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエンゴムおよびその混合物が好適であり、スチレン含有量が30wt%未満、好ましくは20wt%未満であり、230℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)は1.0〜10g/10分、好ましくは5.0g/10分以下で、かつ1.0g/10分以上あるものがよい。
【0032】
さらに、表皮材シートには添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
具体的にはシリカ、マイカ、ガラス繊維等を成形樹脂に対して50wt%以下、好ましくは30〜40wt%添加する。
【0033】
次に、成形装置は、溶融樹脂の押し出し装置200と、溶融樹脂の押し出し装置200の下方に配置された型締装置とを有し、型締装置は、垂下する溶融パリソンを挟んで、開位置と閉位置との間で溶融パリソンの垂下方向に対して略直交する向きに可動であり、互いに対向する面にキャビティを形成した分割金型73と、開位置と閉位置との間で、溶融パリソンの垂下方向に対して略直交する向きに分割金型73を移動させる金型移動手段(図示せず)と、分割金型73の型締めにより構成される密閉空間内をブロー加圧するブロー加圧手段(図示せず)とを有する。
【0034】
以上の構成を有する成形装置による作用について、ブロー成形方法として以下に説明する。
概略的には、電動モータ216の回転運動を、ボールねじを介してピストン206の直線運動に変換することにより、内部に溶融樹脂を充填可能な充填スペース208を設けたアキュムレータ204において、充填スペース208内に設けたリング状ピストン206を上下方向運動させ、下端201に押出口202を有するヘッド203から充填スペース208内の溶融樹脂を押し出す。
より詳細には、まず、電動パリコンモータ215の回転により環状押出口202を閉じておく。
次いで、アキュムレータ204の上方に設けられ、ピストン206に対して上方から連結された下プレート210と、電動モータ216に対して螺合関係を介して連結され、かつ、下プレート210の上方で、下プレート210に対して面接触可能に配置された上プレート211と、を設けることを前提として、上プレート211の上下方向運動を通じて、下プレート210、すなわち、リング状ピストン206を環状スペース内で移動する。
より具体的には、
図1に示すように、一対の電動モータ216A,Bの回転運動により上プレート211を下プレート210から分離して上方に逃がした後、下プレート210およびリング状ピストン206の重さに抗して、充填スペース208内でリング状ピストン206を押し上げるに十分な充填圧で、充填口236より充填スペース208内に溶融混練した溶融樹脂を充填する。
【0035】
特に、溶融樹脂の充填スペース208への充填の際、充填スペース208内の溶融樹脂は、下プレート210およびピストン206の重さによる背圧を下方に向けて受けるところ、溶融樹脂の充填圧を下プレート210を押し上げるに十分な値とすることにより、溶融樹脂は、抵抗を受けつつピストン206を上方に押し退けながら充填スペース208内に充填されるので、溶融樹脂をアキュムレータ204の充填スペース208内に隅々まで円滑に充填することが可能である。
その際、溶融樹脂の充填圧が下プレート210を押し上げるに十分な値となるように、充填スペース208への溶融樹脂の充填圧力を調整すればよい。
【0036】
次いで、
図2に示すように、充填スペース208への溶融樹脂の充填は、レベル検出手段212により下プレート210のレベルを位置検出しながら行い、下プレート210のレベルが目標レベルに達したら、一対の電動モータ216A,Bの駆動により上プレート211の下降を開始する。
なお、上プレート211を目標レベルまで逃がし、下プレート210が上プレート211に面接触したら、一対の電動モータ216A,Bの駆動により上プレート211の下降を開始してもよい。
【0037】
次いで、電動パリコンモータ215の回転により環状押出口202の開口面積を調整したうえで、
図3に示すように、一対の電動モータ216A,Bの回転運動により、上プレート211と下プレート210と面接触した状態で、上プレート211を下方に移動することにより、充填スペース208内でピストン206を下方に移動して、押出口202から溶融樹脂を押し出す。
より具体的には、一対の電動モータ216A,Bを回転し、ボールねじ部214A,Bを介して、ボールナット218A,B、ナット支持プレート260、円筒部262および上プレート211を押し下げる。すなわち、一対の電動モータ216A,Bの回転運動をボールねじ部214A,Bと、ナット支持プレート260に取り付けられた、ボールナット218A,Bとの螺合関係を通じて直線運動として上プレート211を押し下げる。この押し力を下プレート210、ピストンロッド220を介して、リング状ピストン206に伝え、下方に溶融樹脂を押し下げて環状押出口202から円筒状のパリソンを押し出す。
【0038】
次いで、成形方法について、概略的には、熱可塑性樹脂を溶融混練する段階と、溶融混練した熱可塑性樹脂を所定量貯留する段階と、溶融樹脂の押し出し装置200を用いて、押出口202から溶融パリソンとして下方に垂下するように、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出す段階と、を有し、それにより、押出口202から溶融パリソンが所定押出速度で下方に押し出され、押し出された溶融パリソンを分割金型73の側方に配置する段階と、溶融パリソンを挟み込むように分割金型73を型締めして、金型73内部に密閉空間を形成する段階と、形成されたる密閉空間をブロー加圧して、溶融パリソンを金型に向かって押圧することによって金型形状に沿った形状に成形する段階とから構成される。
【0039】
より詳細には、まず、
図4に示すように、溶融状態の筒状パリソンPを押し出し装置200の押し出し口202より鉛直下方に押出し、連続の溶融状態の筒状パリソンPを開位置にある2つの分割金型73の間に供給する。
次いで、
図5に示すように、2つの分割金型73を開位置から閉位置に移動し、2つの分割金型73を型締する。これにより、密閉空間80が構成される。
次いで、この密閉空間80を通じて、ブロー成形することにより、密閉空間内のパリソンPはキャビティ74に向かって押し付けられ、キャビティ74に沿って賦形される。
より詳細には、ブロー成形の場合、従来既知の方法と同様に、ブローピン(図示せず)を芯材13中に差し込んで内部に加圧流体を導入することにより、パリソンPをキャビティ74に向かって押し付け、パリソンPがキャビティ74に向かって押し付けられる。
これにより、溶融状態の連続的な筒状パリソンPにおいて、各金型73のピンチオフ部76が当接することにより、連続筒状パリソンPは、その周縁部にパーティングラインPLが形成されると同時に、溶着され、内部に中空部を有する成形品が成形される。
【0040】
次いで、
図6に示すように、金型駆動装置により2つの分割金型73を閉位置から開位置に移動し、2つの分割金型73を型開きする。バリ部Bを除去し、成形された成形品を2つの分割金型73の間から取り出す。
以上で、ブロー成形が完了する。
【0041】
以上のブロー成形方法によれば、押し出される溶融樹脂を利用して、ワンショットごとに繰り返し、成形品を成形する際、押し出し準備段階として、溶融樹脂の充填が不十分であったり、十分でも時間を要するのでは、後工程の成形において、効率的な成形を行うのが困難となったり、溶融樹脂の温度あるいは押出量に関連して、場合により成形不良を引き起こす一因となるところ、このような押し出し準備段階における不具合を生じることなしに、成形不良を引き起こすことなく、効率的な成形が可能である。
【0042】
以上の構成を有する溶融樹脂の押し出し方法によれば、電動モータ216の回転運動を、ボールねじを介してピストン206の直線運動に変換することにより、内部に溶融樹脂を充填可能な充填スペース208を設けたアキュムレータ204において、充填スペース208内に設けたピストン206を上下方向運動させ、アキュムレータ204の充填スペース208内に溶融樹脂を充填したり、充填した溶融樹脂を下端201に設けた押出口202から押し出すことが可能である。
より詳細には、アキュムレータ204の上方に設けられ、ピストン206に対して上方から連結された下プレート210と、電動モータ216に対して螺合関係を介して連結され、かつ、下プレート210の上方で、下プレート210に対して面接触可能に配置された上プレート211と、上プレート211と下プレート210とが非係合として設けられ、溶融樹脂の充填の際は、電動モータ216の回転運動により上プレート211を下プレート210から分離して上方に逃がすことにより、一方、溶融樹脂の押し出しの際は、電動モータ216の回転運動により、上プレート211と下プレート210と面接触した状態で、上プレート211を下方に移動することにより、上プレート211を介して下プレート210、ピストン206の下方への直線運動に変換している。
【0043】
特に、溶融樹脂の充填スペース208への充填の際、充填スペース208内の溶融樹脂は、下プレート210およびピストン206の重さによる背圧を下方に向けて受けるところ、溶融樹脂の充填圧を下プレート210を押し上げるに十分な値とすることにより、溶融樹脂は、抵抗を受けつつピストン206を上方に押し退けながら充填スペース208内に充填されるので、溶融樹脂をアキュムレータ204の充填スペース208内に隅々まで円滑に充填することが可能である。
【0044】
以下に、本発明の第2実施形態について、
図7ないし
図11を参照しながら説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本実施形態において、第1実施形態と同様な溶融樹脂の押し出し装置を用いて、溶融樹脂を下方に押し出して、成形を行う点では共通であり、本発明の第2実施形態の特徴は、溶融樹脂による成形方法および成形装置である。
より詳細には、第1実施形態においては、溶融状態のパリソンを下方に押し出して、分割金型により溶融状態のパリソンを挟み込んで型締することにより、金型内部に密閉空間を形成し、密閉空間をブロー加圧することにより、溶融状態のパリソンを金型に押圧して、ブロー成形するのに対して、本実施形態においては、溶融状態の2条のシート状樹脂それぞれを下方に押し出して、一対の分割金型と溶融状態のシート状樹脂との間で密閉空間を形成して、金型側から吸引することにより成形し、一対の分割金型を型締することにより2条のシート状樹脂の周縁部同士を溶着している。
よって、溶融樹脂の押し出し装置については、溶融樹脂がパリソンであるか、シート状樹脂であるかの違いのみであるから、その説明は省略し、以下では、溶融樹脂による成形方法および成形装置について、詳細に説明する。
【0045】
成形装置は、第1実施形態と同様な溶融樹脂の押し出し装置200と、押し出される溶融樹脂をシート状樹脂に形成するシート状樹脂形成装置と、溶融樹脂の押し出し装置200の下方に配置された型締装置とを有し、型締装置は、垂下する溶融シート状樹脂を挟んで、開位置と閉位置との間で溶融シート状樹脂の垂下方向に対して略直交する向きに可動であり、互いに対向する面にキャビティを形成した一対の分割金型と、開位置と閉位置との間で、溶融シート状樹脂の垂下方向に対して略直交する向きに一対の分割金型を移動させる金型移動手段と、開位置の一対の分割金型の間に配置される溶融シート状樹脂と一対の分割金型との間に形成される密閉空間を減圧する減圧手段とから概略構成され、シート状樹脂形成装置として、溶融樹脂の押し出し装置200の押し出し口の下方に連通するように設けられたTダイ71が設けられ、Tダイ71は、下端201に扁平矩形状の押し出しスリット34を有する。
【0046】
より詳細には、
図7に示すように、サンドイッチパネルの成形装置60は、押出装置200と、押出装置200の下方に配置された型締装置64とを有し、押出装置200から押出された溶融状態のパリソンPを型締装置64に送り、型締装置64により溶融状態のパリソンPを成形するようにしている。
押出装置200は、第1実施形態と同様であり、Tダイ71に向けて溶融樹脂を送り、ダイスリット(図示せず)を通じて連続的なシート状のパリソンPが押し出され、間隔を隔てて配置された一対のローラー79によって挟圧されながら下方へ向かって送り出されて分割金型73の間に垂下される。これにより、シート状のパリソンPはしわまたは弛みがなく張った状態で分割金型73の間に配置される。
【0047】
図12および
図13を参照して、一対のローラー79について説明すれば、一対のローラー79は、押出スリット34の下方において、各々の回転軸が互いに平行にほぼ水平に配置され、一方が回転駆動ローラー79Aであり、他方が被回転駆動ローラー79Bである。より詳細には、
図7に示すように、一対のローラー79は、押出スリット34から下方に垂下する形態で押し出されるシート状樹脂に関して、線対称となるように配置される。
それぞれのローラーの直径およびローラーの軸方向長さは、成形すべきシート状樹脂の押出速度、シートの押出方向長さおよび幅、ならびに樹脂の種類等に応じて適宜設定すればよいが、後に説明するように、一対のローラー79間にシート状樹脂を挟み込んだ状態で、ローラーの回転によりシート状樹脂を円滑に下方に送り出す観点から、回転駆動ローラー79Aの径は、被回転駆動ローラー79Bの径より若干大きいのが好ましい。ローラーの径は50〜300mmの範囲であることが好ましく、シート状パリソンとの接触においてローラーの曲率が大きすぎてもまた、小さすぎてもシート状パリソンがローラーへ巻き付く不具合の原因となる。
【0048】
回転駆動ローラー79Aには、ローラー回転駆動手段94およびローラー移動手段96が付設され、ローラー回転駆動手段94により、回転駆動ローラー79Aは、その軸線方向を中心に回転可能とされ、一方ローラー移動手段96により、回転駆動ローラー79Aは、一対のローラー79を包含する平面内で被回転駆動ローラー79Bとの平行な位置関係を保持しつつ、被回転駆動ローラー79Bに向かって近づき、あるいは被回転駆動ローラー79Bから離れるように移動されるようにしている。
【0049】
より詳細には、ローラー回転駆動手段94は、回転駆動ローラー79Aに連結した回転駆動モータ98であり、回転駆動モータ98の回転トルクをたとえば歯車減速機構(図示せず)を介して回転駆動ローラー79Aに伝達するようにしている。回転駆動モータ98は、従来既知のものであり、その回転数を調整可能なように回転数調整装置100が付設されている。この回転数調整装置100は、たとえば電動モーターに対する電流値を調整するものでよく、後に説明するように、シート状樹脂が押出スリット34から押し出される押出速度と、一対のローラー79の回転によりシート状樹脂が下方に送り出される送り出し速度との相対速度差を、シート状樹脂の押出速度に応じて、調整するようにしている。シート状パリソンPのローラーによる送り出し速度は、例えば直径100mmの一対のローラーを用いて、送り出し方向に長さ2000mmのシート状パリソンPを15秒間で送り出す場合、1ショット15秒間で約6.4回転することとなり、ローラーの回転速度は約25.5rpmと算出することができる。ローラーの回転速度を上げ下げすることでシート状樹脂であるパリソンPの送り出し速度を容易に調整することができる。
【0050】
図13に示すように、被回転駆動ローラー30Bが回転駆動ローラー30Aと同調して回転駆動するように、被回転駆動ローラー30Bは、その端周面102に亘ってローラーの回転軸を中心に回転可能な第1歯車104を有し、一方回転駆動ローラー30Aは、その端周面106に亘ってローラーの回転軸を中心に回転可能な、第1歯車104と噛み合う第2歯車108を有する。
図12に示すように、ローラー移動手段96は、ピストンーシリンダ機構97からなり、ピストンロッド109の先端が、回転駆動ローラー30Aをその軸線方向に回転可能に支持するカバー111に連結され、たとえば空気圧を調整することにより、ピストン113をシリンダー115に対して摺動させ、それにより回転駆動ローラー30Aを水平方向に移動するようにし、以て一対のローラー30同士の間隔を調整可能としている。この場合、後に説明するように、シート状樹脂の最下部が一対のローラー30の間に供給される前に、一対のローラー30同士の間隔を供給されるシート状樹脂の厚みより広げて(
図12(A)の間隔D1を構成する開位置)、シート状樹脂が円滑に一対のローラー30の間に供給されるようにし、その後に一対のローラー30同士の間隔を狭めて、一対のローラー30によりシート状樹脂を挟み込み(
図12(A)の間隔D2を構成する閉位置)、ローラーの回転によりシート状樹脂を下方に送り出すようにしている。ピストン113のストロークは、開位置と閉位置との距離となるように設定すればよい。また、空気圧を調整することにより、シート状樹脂が一対のローラー30の間を通過する際、ローラーからシート状樹脂に作用する押圧力を調整することも可能である。押圧力の範囲は、一対のローラー30が回転することにより、一対のローラー30の表面とシート状樹脂の表面との間に滑りが生じない一方で、一対のローラー30によりシート状樹脂が引きちぎられることのないようにしてシート状樹脂が確実に下方に送り出されるように定められ、樹脂の種類に依存するが、たとえば0.05MPAないし6MPAである。
【0051】
押出装置200の押出の能力は、成形する表皮材シート12の大きさ、パリソンPのドローダウン発生防止の観点から適宜選択する。より具体的には、実用的な観点から、ダイスリットからの樹脂の押出速度は、数百kg/時以上、より好ましくは700kg/時以上である。また、パリソンPのドローダウン発生防止の観点から、パリソンPの押出工程はなるべく短いのが好ましく、樹脂の種類、MFR値に依存するが、一般的に、押出工程は40秒以内、より好ましくは30秒以内に完了するのがよい。このため、熱可塑性樹脂のダイスリットからの単位面積、単位時間当たりの押出量は、50kg/時cm
2以上、より好ましくは60kg/時cm
2以上である。
ダイスリットは、鉛直下向きに配置され、ダイスリットから押し出された連続シート状のパソンは、そのままダイスリットから垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようにしている。ダイスリットは、その幅を可変とすることにより、連続シート状のパリソンPの厚みを変更することが可能である。
【0052】
一方、型締装置64も、押出装置200と同様に、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、2つの分割形式の金型73と、金型73を溶融状態のシート状パリソンPの供給方向に対して略直交する方向に、開位置と閉位置との間で移動させ金型駆動装置とを有する。
2つの分割形式の金型73は、キャビティ74を対向させた状態で配置され、それぞれキャビティ74が略鉛直方向を向くように配置される。それぞれのキャビティ74の表面には、溶融状態のシート状パリソンPに基づいて成形される表皮材シート12の外形、および表面形状に応じて凹凸部が設けられる。
【0053】
2つの分割形式の金型73それぞれにおいて、キャビティ74のまわりには、ピンチオフ部76が形成され、このピンチオフ部76は、キャビティ74のまわりに環状に形成され、対向する金型73に向かって突出する。これにより、2つの分割形式の金型73を型締する際、それぞれのピンチオフ部76の先端部が当接し、溶融状態のパリソンPの周縁にパーティングラインPLが形成されるようにしている。
2つの分割形式の金型73の間には、一対の金型73と入れ子式に、キャビティ74と略平行に一対の枠部材75が配置され、一対の枠部材75はそれぞれ、開口77を有し、図示しない枠部材駆動装置により一対の枠部材75を水平方向に移動させるようにしている。これにより、一対の枠部材75それぞれを対応する溶融状態のパリソンPに向かって移動して、パリソンPを保持し、その状態で逆向きに、対応する金型73のピンチオフ部76の先端が開口76を通じてパリソンPの表面に当接まで移動させることが可能としている。
【0054】
金型駆動装置については、従来と同様のものであり、その説明は省略するが、2つの分割形式の金型73はそれぞれ、金型駆動装置により駆動され、開位置において、2つの分割金型73の間に、2枚の溶融状態の連続シート状パリソンPが、互いに間隔を隔てて配置可能なようにされ、一方閉位置において、2つの分割金型73のピンチオフ部76が当接し、環状のピンチオフ部76が互いに当接することにより、2つの分割金型73内に密閉空間が形成されるようにしている。なお、開位置から閉位置への各金型73の移動について、閉位置は、2条の溶融状態の連続シート状パリソンPの中心線の位置とし、各金型73が金型駆動装置により駆動されてその位置に向かって移動するようにしている。
【0055】
本発明において、芯材13の材質としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のアクリル誘導体、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン−ジエン類等のターポリマー、ABS樹脂、ポリオレフィンオキサイド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0056】
なお、これらは一種類を単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。特に、熱可塑性樹脂のなかでもオレフィン系樹脂またはオレフィン系樹脂を主体にした樹脂、ポリプロピレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂を主体にした樹脂が、繊維層との溶着性、機械的強度および成形性のバランスに優れている点で好ましい。芯材13は、添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
【0057】
表皮材シート12の表面に化粧材シート14を設ける場合において、化粧材シート14とは、外観性向上、装飾性、成形品と接触する物(例えば、カーゴフロアボードの場合、ボード上面に載置される荷物など)の保護を目的として構成されるものである。化粧材シート14の材質は、繊維表皮材シート状表皮材、フィルム状表皮材等が適用される。かかる繊維表皮材の素材としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、アクリル、ビニロン等の合成繊維、アセテート、レーヨン等の半合成繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン等の再生繊維、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、又はこれらのブレンド繊維が挙げられる。
【0058】
これらの中でも、触感、耐久性及び成形性の観点から、ポリプロピレン又はポリエステルであることが好ましく、ポリエステルであることがより好ましい。繊維表皮材に用いられる糸は、例えば、ポリエステル:(3〜5)デニール×(50〜100)mm等の繊度が3〜15デニール、繊維長さが2〜5インチ程度のステープルの紡績糸と、細い柔軟なフィラメントを束にしたポリエステル:約150〜1000デニール/30〜200フィラメント=約5デニール×30〜200本等のマルチフィラメント、又は、ポリエステル:400〜800デニール/1フィラメント等の太いモノ・フィラメントと、を組み合わせて用いることが好ましい。
【0059】
化粧材シート14の組織としては、不織布、織物、編物、それらを起毛した布地等が挙げられる。なお、織物には、織組織が縦糸、横糸が順次上下に交絡する平組織のほか、何本かの糸を跳び越して交絡する種々の変化織も含まれる。これらの中でも、伸びに対する方向性がないため、立体形状に成形し易く、且つ表面の触感、風合いに優れることから、不織布であることが好ましい。ここで、不織布とは、繊維を平行に又は交互させて積上げるか又はランダムに散布してウエブを形成し、次いでウエブとなった繊維を接合してなる布状品を意味する。これらの中でも、成形品の立体形状再現性及び外観特性の観点から、ニードルパンチ法により製造された不織布であることが好ましい。また、ニードルパンチ法にて得られた不織布は、織物に比べて強度が小で伸度が大であり任意方向に対する変形度合いが大きいので、不織布としての強度を向上させると共に寸法の安定化を図るために、織布にバインダーを付着させる、又は、ウエブと不織布を重ね針でパンチさせておくことがより好ましい。これらのことから、化粧材シート14は、ポリプロピレン不織布又はポリエステル不織布であることがより好ましい。この場合、化粧材シート14自体が熱可塑性であるので、剥離回収後、加熱して変形させることによって、別の用途に用いることも可能である。例えば主体樹脂層をポリプロピレンにて構成し、化粧材シート14をポリプロピレン不織布で構成すると、成形品の主体樹脂層と化粧材シート14とが同じ素材であることから、リサイクルが容易になる。
【0060】
一方、化粧材シート14がポリエステル不織布であると、ポリプロピレンにて構成した主体樹脂層と繊維表皮材との融点が異なるので、成形品に化粧材シート14を接着する際、熱により変質、変形したり、正しい位置に接着できない等の不具合が生じるのを抑制できる。また、この場合、成形性、剛性、外観及び耐久性にも優れる。また、化粧材シート14の引張強度は、立体形状再現性及び成形性の観点から、15kg/cm
2以上であることが好ましく、伸度は、30%以上であることが好ましい。なお、かかる引張強度及び伸度の値は、温度20℃においてJIS−K−7113に準拠して測定したものである。シート状表皮材、フィルム状表皮材としては、熱可塑性エラストマ−、エンボス加工された樹脂層、印刷層が外面に付された樹脂層、合成皮革、滑り止め用メッシュ形状の表皮層等が使用できる。
【0061】
次に、サンドイッチパネル10を成形方法について説明すれば、概略的には、熱可塑性樹脂を溶融混練する段階と、溶融混練した熱可塑性樹脂を所定量貯留する段階と、溶融樹脂の押し出し装置200を用いて、押出口202から貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に下方に押し出す段階と、それにより、押出口202から溶融熱可塑性樹脂が所定押出速度で下方に押し出され、押し出される溶融樹脂を溶融シート状樹脂に形成する段階と、
溶融シート状樹脂を型開きした一対の分割金型の間に配置する段階と、溶融シート状樹脂と一対の分割金型との間に密閉空間を形成する段階と、形成された密閉空間を減圧、および/または溶融シート状樹脂を金型に向かって加圧することによって金型形状に沿った形状に成形する段階とから構成される。
【0062】
より具体的には、まず、シート状の化粧材シート14を2つの分割金型73の側方から一方の分割金型73と一方の枠部材75との間に挿入し、一方の分割金型73に設けた仮止ピン(図示せず)により、シート状の化粧材シート14を一方の分割金型73のキャビティ74を覆うように仮止めする。
【0063】
次いで、溶融状態の熱可塑性樹脂製パリソンPを各ダイスリットから鉛直下方に押し出して、2条の連続シート状パリソンPを2つの分割金型73の間に供給し、それとともに枠部材駆動装置により一対の枠部材75を対応する連続シート状パリソンPに向けて移動する。
【0064】
次いで、ピストンーシリンダー機構96を駆動することにより、一対のローラー79を開位置に移動し、押出スリット34の下方に配置された一対のローラー79同士の間隔をシート状樹脂の厚みより広げることにより、下方に押し出された溶融状態のシート状樹脂の最下部が一対のローラー79間に円滑に供給されるようにする。なお、ローラー79同士の間隔をシート状樹脂の厚みより広げるタイミングは、押し出し開始後でなく、ワンショットごとに二次成形が終了時点で行ってもよい。
次いで、ピストンーシリンダー機構96を駆動することにより、一対のローラー79同士を互いに近接させて閉位置に移動し、一対のローラー79同士の間隔を狭めてシート状樹脂を挟み込み、ローラーの回転によりシート状樹脂を下方に送り出す。その際、ローラー79の回転によりスウェルした状態のシート状樹脂が一対のローラー79に送られている間、一対のローラー79によるシート状樹脂の下方への送り出し速度が、熱可塑性樹脂製シートの押出速度以上となるようにローラーの回転速度を調整する。
【0065】
より詳細には、スウェルした状態のシート状樹脂が一対のローラー79に下方に送り出されるにつれて、鉛直方向に垂下するシート状樹脂の長さが長くなり、それに起因して垂下するシート状樹脂の上部ほどシート状樹脂の自重により薄肉化されるところ(ドローダウンあるいはネックイン)、その一方で一対のローラー79による送り出し速度を押出速度以上となるようにローラーの回転速度を調整することにより、シート状樹脂は一対のローラー79により下方に引っ張られ、シート状樹脂は延伸薄肉化される。
このとき、時間経過とともにローラーの回転速度を低下させて、送り出し速度を熱可塑性樹脂製シートの押出速度に近づけるように調整する。
【0066】
次いで、
図8に示すように、連続シート状パリソンPを保持した枠部材75を、対応する分割金型73に向かって枠部材75の開口77を通じて金型73のピンチオフ部76が連続シート状パリソンPのキャビティ74に対向する面に当接するまで移動する。これにより、連続シート状パリソンPのキャビティ74に対向する面、ピンチオフ部76およびキャビティ74により密閉空間が形成される。
【0067】
次いで、
図9に示すように、それぞれの分割金型73を通じて密閉空間内を吸引し、それにより対応する連続シート状パリソンPがキャビティ74に対して押圧され、キャビティ74に沿った形状に賦形される。なお、図面上左側の連続シート状パリソンPについては、賦形されるとともに、連続シート状パリソンPとキャビティ74との間に介在する化粧材シート14に溶着する。
次いで、
図10に示すように、マニピュレータ(図示せず)の吸着盤78により保持された芯材13を2つの分割金型73の間に側方より挿入する。
【0068】
次いで、マニピュレータを右側の分割金型73に向かって水平方向に移動させることにより、右側の分割金型73のキャビティ74に吸着された連続シート状パリソンPに対して芯材13を押し付ける。これにより、芯材13を連続シート状パリソンPに溶着する。次いで、吸着盤78を芯材13から脱着して、マニピュレータを2つの分割金型73の間から引き抜き、型締の準備を行う。
次いで、
図11に示すように、金型駆動装置により2つの分割金型73を開位置より互いに近づく向きに閉位置まで移動させて、型締する。これにより、一方の連続シート状パリソンP(図面右側)に溶着された芯材13は、他方のシート状パリソンPに溶着されるとともに、連続シート状パリソンP同士の周縁が溶着されてパーティングラインPLが形成される。なお、型締の際、芯材13自体は、表皮材シート12とは異なり、予め成形されたコールドな状態で溶融状態の表皮材シート12に対して溶着するため、芯材13自体は、型締により変形を受けないように予め位置決めされている。
【0069】
以上で、化粧材シート14、表皮材シート12、芯材13、および表皮材シート12が積層されたサンドイッチパネル10が完成する。
次いで、2つの分割金型73を型開きし、完成したサンドイッチパネル10からキャビティ74を離間させ、パーティングラインPLまわりに形成されたバリを除去する。
以上で、サンドイッチパネル10の成形が完了する。
【0070】
以上の成形方法によれば、第1実施形態におけるブロー成形方法と同様に、押し出される溶融樹脂を利用して、ワンショットごとに繰り返し、成形品を成形する際、押し出し準備段階として、溶融樹脂の充填が不十分であったり、十分でも時間を要するのでは、後工程の成形において、効率的な成形を行うのが困難となったり、溶融樹脂の温度あるいは押出量に関連して、場合により成形不良を引き起こす一因となるところ、このような押し出し準備段階における不具合を生じることなしに、成形不良を引き起こすことなく、効率的な成形が可能である。
【0071】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態において、上プレート211を上下方向に往復直線運動させるのに、一対の電動モータを同調させて駆動するものとして説明したが、それに限定されることなく、上プレート211を上下方向に往復直線運動可能である限り、単一の電動モータを採用してもよい。
たとえば、本実施形態において、中央のパリコンモータと、それぞれパリコンモータの各側に配置される一対の電動モータの各々に歯車を設け、3つの歯車を噛み合わせることにより、一対の電動モータを連動させるようにしているが、それに限定されることなく、上プレート211を上下方向に円滑に往復直線運動させることが可能である限り、歯車を設けずに、一対の電動モータを連動させてもよい。
【0072】
たとえば、本実施形態において、溶融樹脂を充填して下プレートが上方に押し退けられる際、下プレートが上プレート211に当たる前に、溶融樹脂の充填を停止するものとして説明したが、それに限定されることなく、下プレートが上プレート211に面接触した時点で溶融樹脂の充填を停止し、電動モータの回転により上プレート211と下プレートとが当たった状態で、下方に移動して、充填された溶融樹脂をヘッドの押出口から押し出してもよい。
たとえば、第2実施形態において、第1実施形態と同様に、溶融樹脂の押し出し装置200の充填スペースおよびそれに対応するピストンを環状として、押し出される溶融樹脂がパリソンであるものとして説明したが、それに限定されることなく、溶融樹脂の押し出し装置200の下流側(下方に)にTダイを設け、溶融樹脂の押し出し装置200から押し出された溶融樹脂がダイスリットからシート状に押し出す限り、溶融樹脂の押し出し装置200の充填スペースおよびそれに対応するピストンを環状として、パリソン形態でTダイに送る必要はない。
たとえば、第2実施形態において、ドローダウンあるいはネックインの発生を防止して樹脂成形品の厚みを一様にする場合を説明したが、それに限定されることなく、より積極的に、二次成形の型締前に樹脂成形品の厚みが押し出し方向に所望の厚み分布となるように、一対のローラーの回転速度を調整してもよい。
【0073】
また、第2実施形態において、化粧材シートを分割金型の間に配置し、分割金型の型締により表皮材シートに溶着する場合を説明したが、それに限定されることなく、表皮材シート用のシート状樹脂とともに化粧材シートを一対のローラー間に供給し、一対のローラーの回転速度を調整することによりシート状樹脂の厚みを調整するとともに、化粧材シートをシート状樹脂に圧着してもよい。
【0074】
さらに、第2実施形態において、ローラーの回転速度の調整を押出スリット34の間隔の調整と独立に行うものとして説明したが、ローラーの回転速度の調整と押出スリット34の間隔の調整とを連動させてもよい。より詳細には、時間経過とともに、ローラーの回転速度を低下することにより、一対のローラー79によるシート状樹脂の下方への送り出し速度を低下させるとともに、電動パリコンモータ215による回転量の調整により、押出スリット34の間隔を広げてもよい。これにより、一次成形の段階で、時間経過とともに、押出スリット34から下方に押し出されるシート状樹脂の厚みが厚肉化すると同時に、一対のローラー79によるシート状樹脂の延伸薄肉効果が低減することから、シート状樹脂の上部ほど、シート状樹脂の厚肉化およびシート状樹脂の延伸薄肉効果の低減の相乗効果により、より有効にドローダウンあるいはネックインを防止することが可能となる。