【課題】十分な通風性の確保、また車両への確実な組付け性を確保しつつ、作業工数を増やさず、且つ車両への組付け作業を車両外側からなすことのできるクォーターベントを提供する。
【解決手段】筒部2の外鍔4から離れた排気口20における該筒部の上板部側に括れ部5を介して延設された凸部65付き結束帯6と、該括れ部から外鍔4へ向かう筒部2に、順に形成された通孔31と突起26と透孔33と、突起26の両側で車両内外方向に設けたスリット34と、外鍔4に設けた挿通孔40内へ突出形成した係合体45と、をさらに具備し、凸部65付き結束帯6を枠本体1の外側に折り返し、結束帯6の先端部61が通孔31を潜った後、透孔33から取り出され、さらに挿通孔40を通って車外側へ引き出されることにより、係合体45に結束帯6が係止されると共に、凸部65で突起26を押圧して、突起26を上方に押し出すようにした。
車室内空気を車外へ排出する排気口を形成した筒部に外鍔を延在し、該外鍔が車両パネルの外側に配される枠本体と、前記排気口に蓋をし、車室内圧力の高まりに応じて排気口を開放するようにして前記枠本体に取着される弁体と、を具備するクォーターベントにおいて、
前記筒部の前記外鍔から離れた前記排気口における該筒部の上板部側に括れ部を介して延設された凸部付き結束帯と、該括れ部から外鍔へ向かう該筒部に、順に形成された通孔と突起と透孔と、該突起の両側で車両内外方向に設けたスリットと、前記外鍔に設けた挿通孔内へ突出形成した係合体と、をさらに具備し、
前記凸部付き結束帯を枠本体の外側に折り返し、該結束帯の先端部が前記通孔を潜った後、前記透孔から取り出され、さらに前記挿通孔を通って車外側へ引き出されることにより、前記係合体に結束帯が係止されると共に、前記凸部で前記突起を押圧して、該突起を上方に押し出すようにしたことを特徴とするクォーターベント。
前記結束帯の帯状バンド主部に鋸歯状の被係止部分を設ける一方、前記挿通孔の内壁から挿通孔内に突き出す突出部材に係止部を設けて前記係合体とし、前記挿通孔を通って車外側へ該結束帯を引き出すことにより、該係止部に前記被係止部分を係止させる請求項1又は2に記載のクォーターベント。
前記通孔の孔壁から孔内に張り出す薄肉扉が延在されてなるか、又は前記筒部の上面に、該通孔を覆った薄膜が二色成形で設けられてなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクォーターベント。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るクォーターベントについて詳述する。
図1〜
図9は本発明に係るクォーターベントの一形態で、
図1はその斜視図、
図2は
図1のクォーターベントを車両パネルに組付けた縦断面図、
図3は
図2の要部拡大図、
図4は他態様の結束帯を用いたクォーターベントの要部縦断面図、
図5は
図1に代わる他態様のクォーターベントの斜視図、
図6は
図1,
図5に代わる別態様のクォーターベントの斜視図、
図7は
図6の要部を拡大図示した縦断面図、
図8は成形終了時における枠本体の縦断面図、
図9は(イ)が
図8の成形後に、さらに二色成形膜を成形した枠本体の部分縦断面、(ロ)が(イ)の枠本体の斜視図である。尚、図面を判り易くするため、各図は全体形状を簡略化し、且つ各部の厚み、スリット34、括れ部5、及び薄肉扉DR等を強調して大きめに描く。
【0010】
クォーターベントは、枠本体1と弁体8とを備える(
図1〜
図3)。
枠本体1は、車室内空気を車外へ排出する排気口20を形成した筒部2に、外鍔4を該筒部外方へ延在し、該外鍔4が車両パネル9の外側にシール部材Sを介して配される。そして、シート状弁体8が、排気口20に蓋をし、車室内圧力の高まりに応じて排気口20を開放するようにして該枠本体1に取着される。
【0011】
枠本体1は、筒部2、結束帯6、括れ部5、外鍔4が一体成形された合成樹脂成形品である。
筒部2は、車両パネル9の開口90に挿入できる四角短筒状にして、筒部2内が車室内空気を車外へ排出する排気口20になる。排気口20に弁体8で蓋をした時の密閉性を確実にするため、筒部2を構成する上板部21、下板部22、及び側板部23は、排気口20の周縁部位に弁体8との当接用の幅小面を形成する。
図2中、符号28は水切り部、符号281は車外側から車両パネル9の開口90へ筒部2を挿入して枠本体1を組付ける際、車両パネル9に枠本体1の下部を係止させるための隆起部281を示す。
筒部2には車外側に配される一端側の開口縁から開口90を囲む外鍔4が外方に張り出し、該筒部2は他端側に向けて上板部21が庇状に張り出す。筒部2の上板部21で、車室側に配される部位に結束帯6と括れ部5が設けられる。
【0012】
結束帯6は、筒部2の外鍔4から離れた排気口20における前記筒部2の上板部21側に括れ部5を介して延設された屈曲可能な帯状バンド形状体である(
図1)。本発明でいう「上板部21」,「上方」とは、
図2でいえば「紙面上方側の板部」,「紙面上方」を指す。上板部21の車室側にあたる端縁部分211に、インテグラルヒンジからなる薄肉状の括れ部5を介在させて結束帯6が延在する。結束帯6,括れ部5は枠本体1と一体成形される。具体的には、結束帯6が、排気口20を形成する上板部21に係る車室側の端縁から、括れ部5を介して、
図8のような排気口20内の型割り面域で筒部2に一体成形される。
結束帯6のテール部たる先端部61は帯状のままとする一方、該先端部61よりも括れ部5へ向かうバンド主部62には、係合体45(詳細後述)に係止可能な被係止部分621が設けられる。ここでの被係止部分621は、
図1〜
図3ごとくの鋸状のギザギザ部を形成する。
また、被係止部分621よりも括れ部5側の結束帯6に係る帯状バンド面に、瘤状の凸部65が隆起形成される。凸部65や被係止部分621は、上板部21から垂れ下がった状態にある結束帯6を、
図1,
図4のように枠本体1の外側に折り返し、上板部21上に載せた時、上方側に現れる位置に配設される。
【0013】
そして、結束帯6が延在した本発明に係る前記筒部2には、それぞれ、括れ部5から外鍔4(車両外方)へ向かう上板部21に、順に通孔31と突起26と透孔33と、該突起26の両側で車両内外方向に走るスリット34とが形成される。二つの結束帯6は、それぞれに形成される通孔31と突起26と透孔33、及び外鍔4に形成される挿通孔40とが、車両外方向に
図1のごとく一直線状に並ぶ。
通孔31は、括れ部5近くの上板部21に、前記凸部65が通過し得る矩形状の孔に形成される。突起26は該通孔31よりも外鍔4(車両外方)側に設けられる。透孔33は該突起26よりも外鍔4側に形成される。透孔33は凸部65が通らないので、通孔31よりも小さな矩形状の孔になっている。本実施形態は、
図1,
図2のように、透孔33の両端から前記スリット34を通孔31側に延在させてコ字状切欠き32とする。突起26が該切欠き32に囲まれた舌片部分25に配設される。
【0014】
外鍔4は前記筒部2の車外側外周縁を筒部外方に所定幅だけ延在した外向きフランジである。クォーターベントが車両パネル9に組付けられると、外鍔4が、その背面4bに四角枠状シール部材Sを介在させて車両パネル9の外側に配される。この外鍔4の上部に挿通孔40が形成される。
既述のごとく、二つの結束帯6のそれぞれに形成される通孔31と突起26と透孔33とが一直線状に並ぶが、その先の延長線上にある外鍔4に、挿通孔40が設けられる。挿通孔40は、結束帯6の先端部61や被係止部分621が在るバンド主部62を通過させ得る孔の大きさとする。挿通孔40にはその内壁41から張り出す係合体45が配される。
係合体45は、挿通孔40内へ突出形成して、結束帯6の先端部61を挿通孔40に通した後、その先端部61を引っ張ることにより、バンド主部62の被係止部分621を係止できる構造体である。例えば挿通孔40の内壁41から該挿通孔40内に突き出す可撓性を有する突出部材451に、
図3ごとくの鉤状係止部452を設けて係合体45とし、挿通孔40を通って外鍔外面4a側(車外側)へ結束帯6を引き出すことにより、該係止部452に鋸状の被係止部分621を係止する。符号KはL形の剛性板片で、突出部材451が可撓性を有して車両外方側(
図3の紙面左側)へ傾倒できるが、車両内方側(
図3の紙面右側)へは傾倒困難にしている。
【0015】
こうして、通常、上板部21から垂れ下がった状態にある結束帯6を、まず
図7の矢印のごとく枠本体1の外側に折り返し、該結束帯6の先端部61を通孔31に潜らせる。その後、透孔33から取り出し、さらに挿通孔40に通して外鍔外面4a側へ引き出すことにより、係合体45に結束帯6の被係止部分621を係止させると共に、凸部65で突起26を押圧して、該突起26を上方に押し出すようにしている。凸部65は、突起26の在る舌片部分25の略真下にくるように、結束帯6に予め設けられている。舌片部分25が凸部65の押圧で、舌片部分25が
図2のようにしなり、その上面に在る突起26が上方移動する。
クォーターベントの取付けは、基本的に車両外側からのみ行うことが前提なので、凸部65が突起26を押圧しない程度に、結束帯6を折り返して先端部61を通孔31、透孔33、挿通孔40に通して、係合体45に被係止部分621を仮止めする工程を、クォーターベントの枠本体1を車両に取付ける前に行う必要がある。車両パネル9の開口90へのクォーターベントの取付けは、予め、上板部21から垂れ下がった状態にある結束帯6を、枠本体1の外側に折り返し、該結束帯6の先端部61を通孔31に潜らせ、透孔33から取り出し、さらに挿通孔40に通して外鍔外面4a側へ引き出すことにより、係合体45に結束帯6の被係止部分621を仮係止させる。このときは、まだ凸部65は突起26を押圧していない。その後、車外側から枠本体1の隆起部281を車両パネル9の下側開口縁に係止させるようにして、開口90に筒部2を潜らせる。次に、
図7のように、結束帯先端部61を引っ張って更に車外側へ引き出す。この結束帯6の引き出しによって、係合体45に該結束帯6が係止されると共に、凸部65で突起26を押圧し、該突起26を車両パネル9の上側開口縁に係止固定させることができる。
【0016】
係合体45と被係止部分621については、
図1〜
図3の形状に限られず、
図4のような形状とすることもできる。
図4の係合体45は、外鍔4に設けた挿通孔40を形成する孔壁から挿通孔40内へ向けて孔を絞り込む内鍔からなる。被係止部分621は襞状体で、結束帯6の帯状長手方向に向けて、そのバンド主部62に複数設けられる。
図2と同様、予め、結束帯6を枠本体1の外側に折り返し、その後、
図4のごとく通孔31,透孔33を経た後、挿通孔40を通った結束帯6の先端部61を、車外側へ引き出すことにより、係合体45に結束帯6の被係止部分621を仮係止させる。その後、車外側から枠本体1の隆起部281を車両パネル9の下側開口縁に係止させるようにして、開口90に筒部2を挿入し、結束帯先端部61を引く。凸部65で突起26を押圧し、該突起26が車両パネル9の上側開口縁に係止固定されるようになるとともに、係合体45に結束帯6の被係止部分621が係止する。尚、係合体45と被係止部分621は、公知のインシュロック(登録商標)等の商品構造体に頼ってもよい。
【0017】
前記透孔33は切欠き32の一部を構成していたが、透孔33は突起26の位置よりも外鍔4側の上板部21に設ければ足りる。切欠き32を構成する透孔33から結束帯6の先端部61を取り出さずに、例えば
図5のように切欠き32の透孔33とは別に、該透孔33よりも外鍔4寄りで別に設けた透孔38から取り出した後、さらに挿通孔40を通って車外側へ引き出す構成とすることもできる。
また、コ字状切欠き32とせず、透孔33とスリット34とを切り離した
図6,
図7のような枠本体1としてもよい。
図6の枠本体1は、括れ部5から外鍔4へ向かう上板部21に、順に形成された通孔31と突起26と透孔33と、該突起26の両側で車両内外方向に設けたスリット34が形成されるが、
図1のように透孔33とスリット34がつながっていない。そのため、スリット34に挟まれた平行板部27がある上板部21の部分を薄肉部分215にして撓みやすくしている(
図7)。結束帯6を枠本体1の外側に折り返し、結束帯先端部61が通孔31を潜って、透孔33,挿通孔40を通って車外側へ引き出されることにより、係合体45に結束帯6を係止させ、且つ凸部65で突起26を押圧して、
図7の鎖線図示のごとく、突起26が上方に押し出される構成を保つ。
【0018】
弁体8は、排気口20に蓋をし、車室内圧力の高まりに応じて排気口20を開放するようにして取着される薄板状体である。
ここでの弁体8は、矩形の蓋部81の上縁部分の三箇所に吊足部82を介して三角状傘部83を延在したゴム製シート板になっている。前記枠本体1に係る上板部21の車室側端縁に設けた吊設孔29へ、筒部2内から傘部83を挿入し、吊設孔29を通過した傘部83の底辺がゴムの弾性復元によって抜脱不能とする。傘部83が吊設孔29周りに載った状態で、弁体8が吊るされる。
走行等で車室内圧力が車外圧より高くなると、傘部83の下縁を支点に弁体8が傾動して排気口20から離れ(
図2の鎖線)、車室内の通風が行える。一方、蓋部81は排気口20を覆う大きさがあり、車両停止時等にあっては弁体8が垂れ下がり、蓋部81が排気口20に蓋をする所望のクォーターベントに仕上がる。
【0019】
さらに、前記枠本体1に関しては、
図4のように通孔31の孔壁から孔内に張り出す薄肉扉DRが、枠本体1の成形で延在されるようにすると、より好ましくなる。薄肉扉DRを設けることによって、通孔31を通って車室側と車外側との空気の行き来を抑えることができるからである。車両停止時等に蓋部81で排気口20に蓋をする実効性を高めることができる。通孔31にとどまらず、切欠き32,透孔33,スリット34,透孔38,挿通孔40等にも薄肉扉DRを設けると、一層好ましい。
また、薄肉扉DRに代え、薄膜7を設けた枠本体1とすることもできる。
図9は、通孔31、さらに切欠き32(透孔33,スリット34),透孔38,挿通孔40を覆う二色成形薄膜7を設けた枠本体1を示す。例えば、
図1、
図8の枠本体1を成形した後、
図9(イ)のごとく二次成形用型を用いてTPO材等による二色成形薄膜7を、外鍔4の上端面4dから筒部2の上面2aに成形する。図中、符号RNはランナー、符号GTはゲートである。
図9(ロ)のような通孔31,切欠き32,透孔38、及び挿通孔40を覆った薄肉状扉付き枠本体1とし、結束帯6の先端部61を通孔31,透孔33,挿通孔40に通して車外側へ引き出す際は、これらを覆った薄肉状扉を必要最低限の大きさで孔開けして、これらを経由する車室側と車外側との空気の行き来を抑えるようにする。大きな孔になる通孔31だけ二色成形薄膜7を設けるのでも十分であるが、図示のごとく、切欠き32,透孔38,挿通孔40等の全てを覆う二色成形薄膜7を設けるとより一層好ましい。
【0020】
さらに、車両パネル9の開口90への本クォーターベントの取付けに際して、結束帯6の先端部61を挿通孔40に通して車外側へ引き出すことになるが、引き出しに伴う上下限位置を示す罫書き線が結束帯6に設けられると好都合となる。クォーターベントの組付け作業の目安になるからである。また、結束帯6の先端部61に、必要以上に引っ張ったとき自動カット可能なカット用破断線を入れると、より好ましくなる。車両後部のバンパーで隠れるパネル開口90に取付けられるクォーターベントでは、結束帯6を引き出した後、該結束帯6とバンパーとの隙が狭いと両者が干渉し異音の原因になるが、干渉部分をカットし易くなり、異音原因を簡便除去できるからである。
【0021】
このように構成したクォーターベントは、結束帯6の先端部61を通孔31に潜らせた後、透孔33から取り出し、さらに挿通孔40に通して車外側へ引き出すことにより、係合体45に結束帯6を係止させると共に、凸部65が突起26を押圧して、該突起26を上方に押し出すので、突起26に従来の爪と同様の役割を担わせることができる。例えば、
図2のごとく、予め排気口20側に垂れていた結束帯6を枠本体1の外側に折り返し、結束帯先端部61を通孔31に潜らせ、透孔33、挿通孔40に通して車外(外鍔外面4a)側へ軽く引き出すことによって、係合体45に結束帯6の被係止部分621を仮係止させる。その後、枠本体1を、車外側から隆起部281が車両パネル9の開口90に係る車室側開口下縁に係止するようにして、開口90に筒部2を挿入させる。しかる後、結束帯先端部61を車外(外鍔外面4a)側へさらに引き出すことによって、係合体45に結束帯6の被係止部分621を係止させると共に、凸部65で突起26を押圧する。すると、突起26が上方に押し出されるので、該突起26が車両パネル9の開口縁に係止し、枠本体1を車両パネル9の開口90に確実に取付け固定できる。
一方、クォーターベントは自動車部品であり、サービス性、故障時の円滑な交換が要求されるが、本クォーターベントは結束帯6を切断すれば、車両パネル9から簡単に取り外しができる。
図10の爪構造の従来品のように、必要以上の荷重を与えて車両パネル9を損傷させるようなこともない。
【0022】
そして、透孔33の両端からスリット34を通孔31側へ延在させてコ字状切欠き32とし、突起26が切欠き32に囲まれた舌片部分25に設けられるようにすると、凸部65の押圧で、舌片部分25が上方へスムーズに押し上げられるので、舌片部分25上に設けた突起26による車両パネル9の開口90へのクォーターベントの取付け固定をより円滑且つ確実にできる。また、帯状バンド主部62に鋸歯状の被係止部分621を設ける一方、挿通孔40の内壁41から挿通孔40内に突き出す突出部材451に係止部452を設けて係合体45にすると、挿通孔40を通って車外側へ結束帯6を引き出せば、係止部452に被係止部分621が係止されるので、簡便な構造で、係合体45に結束帯6を楽に係止固定できる。
【0023】
また、クォーターベントの枠本体1が、従来の爪jに代えて、凸部65付き結束帯6,通孔31,透孔33,挿通孔40,係合体45を設ける構成であるので、特許文献1と同じように実質的排気口20の開口面積を大きくでき、通気効率を向上させ、十分な通風性確保ができる。
さらに、結束帯6を枠本体1の外側に折り返し、その先端部61を通孔31に潜らせた後、透孔33、挿通孔40に通して車外側へ引き出すと、突起26を押し上げて車両パネル9の開口90に枠本体1が取付け固定されるので、車両へのクォーターベントの取付け作業を車両外側からできる。特許文献1の問題点であったボディの内側からの作業がなくなり、作業工数が増える問題も解決し、極めて実用的なクォーターベントになる。
さらにいえば、枠本体1の成形で、結束帯6は上板部21に係る車室側の端縁から括れ部5を介して排気口20内の型割り面域に設けて、
図8のごとく一体成形できるので、特許文献1の枠本体1の金型に比べて、金型をコンパクトにでき、低コスト化が図れる。
【0024】
加えて、爪jがある従来のクォーターベントは、開口90の寸法が微妙に異なり、時に
図10(ハ)のように車外側から押し込んで装着しようとしても、爪の弾性変形が困難で、爪jにパネルの開口縁による削り込みj2が発生し、装着困難になる場合があったが、本クォーターベントはこうした事態に陥らない。本クォーターベントは車外側から押し込んで装着する際、突起26周りに切欠き32やスリット34が在るので、装着容易である。例えば、
図1〜
図3のような切欠き32のある枠本体1であれば、筒部2が開口90を潜って装着される時、突起26周囲に切欠き32やスリット34があるので、突起26をたやすく押し沈め、筒部2が開口90を潜り易くなる。車両パネル9の開口90への装着が簡単になる。
【0025】
さらに、通孔31の孔壁から孔内に張り出す薄肉扉DRが延在されるか、又は筒部上面2a側で、通孔31を覆った薄膜7が二色成形で設けられると、通孔31の孔開き部分を薄肉扉DRや薄膜7が塞ぐので、車両停止時等で、弁体8が排気口20に蓋をした時、車室内と車外との空気の行き来を効果的に抑えることができる。通孔31に加え、切欠き32,透孔33,スリット34,透孔38,挿通孔40にも薄肉扉DR又は薄膜7を設けると、一段と効果を高めることができる。
このように本クォーターベントは上述した数々の優れた効果を発揮し、極めて有益である。
【0026】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。枠本体1,筒部2,外鍔4,括れ部5,結束帯6,弁体8等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。