【解決手段】状況検出装置3が、車両2の駐車中に、車両2周辺を撮影する複数のカメラ4(4a、4b、4c、4d)の撮影画像を取得し、車両2周辺の状況変化を示す撮影画像を選択し、選択された撮影画像を車両2のユーザUSの所有する表示装置5へ送信する。複数の撮影画像のうちから状況変化を示す撮影画像を選択して送信するので、車両2のユーザUSは、車両2周辺で生じた状況変化を少ない通信量で的確に把握できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.概要>
図1は、本発明の実施の形態に係る状況検出システム1の概要を示す。状況検出システム1は、車両2周辺の状況変化をユーザUSに通知するシステムである。すなわち、状況検出システム1は、車両2に備えた状況検出装置3が車両2の四方に配置されたカメラ4(フロントカメラ4a、リアカメラ4b、左サイドカメラ4c、右サイドカメラ4d)から取得した車両2周辺の画像を解析する。そして状況検出システム1は、例えば降雨や降雪等により車両2周辺の状況が変化したと判断すると、車両2から遠隔地に所在するユーザUSの所有する携帯機器5に、車両2周辺の状況を示す画像を表示させる。
【0023】
ユーザUSは画像を参照することで、車両2周辺の状況を把握できる。例えば、車両2周辺が大雨となり、路面を冠水した雨水WTが増加すると、車両2が損傷する恐れがある。この場合、ユーザUSは直ちに駐車位置に舞い戻り、車両2を安全な場所へ退避させることで、車両2の損傷を防止できる。
【0024】
この際、状況検出システム1は、4つのカメラで4つの画像を取得しつつも、状況変化を最もよく表す画像のみユーザUSに送信することが好ましい。画像をユーザへ常時送信する場合や、状況変化の少ない画像を含めて送信した場合に比較して、通信量を削減できるからである。また、ユーザは、適時に適切な画像を参照でき、画像を受信することに煩わしさを感じることがないからである。このような状況検出システム1を以下に詳細に説明する。なお、以下でカメラ4と述べた場合、フロントカメラ4a、リアカメラ4b、左サイドカメラ4c、及び右サイドカメラ4dの4つのカメラを指す。
【0025】
<1−2.構成>
図2は、状況検出システム1の構成を示す。状況検出システム1は、車両2に設置された状況検出装置3及びカメラ4、並びに車両外部のユーザが所持する携帯機器5を備える。
【0026】
状況検出装置3は、車両2に設置されたカメラ4から画像データを受信し、受信した画像データから車両2周辺の状況及び状況の変化を検出する電子制御装置である。状況検出装置3は、制御部31、通信部32、接続部33、及び記憶部34を備える。
【0027】
制御部31は、CPU、RAM、及びROMを備えたマイクロコンピュータである。制御部31は、状況検出装置3が備える他の構成と接続され、装置全体を制御する。制御部31の備える諸機能は後述する。
【0028】
通信部32は、無線通信を利用した通信機能を備え、ネットワークを介して携帯機器5等と情報通信を行う。通信機能は、例えば、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)やLTE(Long Term Evolution)等の無線通信技術を利用する。
【0029】
接続部33は、カメラ4と制御部31とを接続するスイッチ機構である。接続部33は、スイッチ機構を切り替え、カメラ4のいずれかと制御部31とを接続する。接続部33は、かかる切り替えを計時部31eの計時により所定時間毎に行う。所定時間は、例えば、30[秒]である。これにより、全てのカメラ4の撮影画像が、順次に制御部31へ送信される。なお、接続部33は、本発明において接続手段として機能する。
【0030】
記憶部34は、データを記憶するメモリである。例えば、EEPROM(Electrical Erasable Programmable Read-Only memory)や、フラッシュメモリ、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶部34は、パターンデータ34a、識別データ34b、及びプログラム34cを記憶している。なお、記憶部34は、本発明において記憶手段として機能する。
【0031】
パターンデータ34aは、画像処理におけるパターンマッチングの手法で用いられ、物体の形状を示すパターンデータである。物体の形状は、例えば、自動車のボディー、バンパー、タイヤ、ガードレール、信号機(交通信号灯器)、電柱(電信柱又は電力柱)等の形状である。車両が駐車される位置周辺に一般的に存在する物体の形状であればよい。ただし、路面の冠水や積雪の有無を判断するために利用する場合は、タイヤなど路面付近に存在する物体、特に路面に接地する物体の形状が好ましい。冠水や積雪は路面上に発生するからである。
【0032】
識別データ34bは、4つのカメラ4を識別するための画像データである。例えば、「フロントカメラ」、「リアカメラ」、「左サイドカメラ」、「右サイドカメラ」を示す文字の画像である。識別データ34bは、ユーザに送信される車両2の周辺状況を示す画像に重畳される。ユーザは周辺状況の画像とともに識別データ34bを参照することで、送信された画像が車両2のどの位置に配置されたカメラで取得されたか識別できる。これにより、ユーザは車両2の周辺状況をより詳細に把握できる。なお、識別データ34bは、文字のほか図形や記号でもよい。
【0033】
プログラム34cは、制御部31により読み出され、制御部31が状況検出装置3を制御するために実行されるファームウェアである。なお、プログラム34cは、メモリカード等の記憶媒体を介し、又は、外部装置と回線で接続され、状況検出装置3に入出力され得る。
【0034】
次に、前述の制御部31の備える諸機能を説明する。制御部31は、画像取得部31a、状況検出部31b、画像選択部31c、送受信部31d、計時部31e、画像処理部31f、及び判定部31gを備える。なお、画像取得部31a等の各部の機能は、制御部31の備えるCPUが記憶部34に記憶されたプログラム34cに従った演算処理で実現される。
【0035】
画像取得部31aは、カメラ4から送信される撮影画像データを取得し、取得した撮影画像データを制御部31で処理可能な形式に変換する。すなわち、画像取得部31aは、カメラ4で被写体を各々撮影した複数の撮影画像を取得する。なお、画像取得部31aは、本発明において取得手段として機能する。
【0036】
状況検出部31bは、パターンマッチングの手法を用い、車両2周辺の状況及びその変化を検出する。パターンマッチングとは、特定の形状に合致(マッチング)する画像領域を求める既知の手法である。これにより、車両周辺に存在する物体を検出できる。例えば、撮影画像中にタイヤの形状のパターンと合致する画像領域がある場合、撮影範囲内に車両の存在を検出できる。状況検出部31bは、記憶部34に記憶されているパターンデータ34aを読み出し、パターンマッチングを実行する。
【0037】
また、状況検出部31bは、パターンの部分毎にパターンと画像との合致度合いを検出する。パターンと画像との合致度合いとは、パターンマッチングを行った画像領域の全画素のうち、パターンデータ34aと合致した画素と合致しなかった画素との割合である。また、パターンと合致した画像領域のエッジ検出を行い、エッジが明確な領域と、不明確(欠損)な領域の割合としてもよい。
【0038】
また、状況検出部31bは、パターン上部が合致し、かつパターン下部が合致しない場合に、路面の冠水又は積雪の発生と判定する。すなわち、車両2の周辺状況を路面の冠水又は積雪のある状況と判定する。路面の冠水又は積雪があると、雨水や雪によりパターンの合致が妨げられ、パターン上部が合致し、かつパターン下部が合致し難くなるからである。また、状況検出部31bは、撮影画像の所定領域とパターンデータ34aとの合致の度合いが前回の検出時から変化した撮影画像が一つでもある場合に、車両2の周辺状況が変化したことを検出する。
【0039】
また、状況検出部31bは、撮影画像の合致度合いが全体的に低い場合は、降雨や降雪、濃霧と判定する。降雨等によりパターンの合致が全体的に妨げられるからである。また、撮影画像の度合いが全体的に得られない場合は、状況の検出が不能と判定する。この場合、車両2に隣接する壁や他車のボディー等で撮影範囲が妨げられているからである。なお、状況検出部31bは、本発明において検出手段として機能する。
【0040】
画像選択部31cは、制御部31のRAMに記憶されている合致度合いを示すデータを参照し、画像とパターンとの合致度合いが最も低い画像を選択する。なお、画像選択部31cは、本発明において選択手段として機能する。
【0041】
送受信部31dは、画像取得部31aがカメラ4から取得し、画像選択部31cが選択した画像データを通信部32を介して携帯機器5へ送信する。また、携帯機器5から送信される信号を受信する。なお、送受信部31dは、本発明において送信手段として機能する。
【0042】
計時部31eは、時間の経過を計るタイマーである。計時部31eは、車両2の駐車中に状況検出装置3が周期的に起動する間隔となる時間を計時する。これにより、画像取得部31aは、周期的に撮影画像を取得できる。また、接続部33がカメラ4と制御部31との接続を切り替える間隔となる時間を計測する。
【0043】
画像処理部31fは、4つのカメラ4を識別するための画像データである識別データ34bを記憶部34から読み出し、画像取得部31aが取得した車両2の周辺状況を示す画像に、識別データ34bを重畳するよう画像処理を施す。例えば、周辺状況を示す画像に「左サイドカメラ」を示す文字画像を重畳する。ユーザは周辺状況の画像とともに識別データ34bを参照することで、送信された画像が車両のどの位置に配置されたカメラで取得されたか識別できる。これにより、ユーザは車両の周辺状況をより詳細に把握できる。また、画像処理部31fは、ユーザに送信する画像データの容量を圧縮する。これにより、通信量を低減できる。なお、画像処理部31fは、本発明において画像処理手段として機能する。
【0044】
判定部31gは、車両2周辺の状況変化の度合いを判定する。判定部31gは、状況検出部31bが検出したパターンと画像との合致度合いに基づき、車両2周辺の状況変化の度合いを判定する。すなわち、判定部31gは、パターンと画像との合致度合いが低いと車両2周辺の状況変化の度合いが高いと判定し、パターンと画像との合致度合いが高いと車両2周辺の状況変化の度合いが低いと判定する。また、判定部31gは、前回撮影した画像に基づく状況変化の度合いと、今回撮影した画像に基づく状況変化の度合いとを比較し、度合いの変化の大きさを判定してもよい。
【0045】
車両2には、状況検出装置3のほか、カメラ4が設置される。カメラ4は、レンズと撮像素子とを備え、車両2の異なる位置に各々配置される。
【0046】
図3は、カメラ4が車両2に配置される位置と、カメラ4の光軸が向けられる方向とを示す。フロントカメラ4aは、車両2前端に設置され、光軸4aaが車両2の直進方向に向けられる。リアカメラ4bは、車両2後端に設置され、光軸4baが車両2の直進方向と反対方向、すなわち後進方向に向けられる。左サイドカメラ4cは、左側のサイドミラーMLに設置され、光軸4caが車両2の左方向(直進方向に対する直交方向)に向けられる。右サイドカメラ4dは、右側のサイドミラーMRに設置され、その光軸4daが車両2の右方向(直進方向に対する直交方向)に向けられる。
【0047】
カメラ4の各々は、車両2周辺の異なる方向を撮影し、撮影画像を電子的に取得する。カメラ4は、焦点距離の比較的短いレンズを備え、180度以上の画角θを有する。このため、4つのカメラ4を用いることで、車両2の全周囲を撮影できる。
【0048】
図2を再度参照し、携帯機器5を説明する。携帯機器5は、ユーザに携帯され、画像を表示する機能や情報ネットワークと接続する機能等を備える情報通信端末である。例えば、携帯電話やスマートフォンである。携帯機器5は、ディスプレイ5aを備える。なお、携帯機器5は、本発明において表示装置として機能する。
【0049】
ディスプレイ5aは、文字や図形等の各種情報を表示し、ユーザに情報を視覚的に提示する表示装置である。例えば、液晶ディスプレイや、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等である。ディスプレイ5aは、ユーザの入力操作を受付けるタッチパネル(図示せず)を備える。
【0050】
<1−3.表示画像の例>
次に、ユーザの所持する携帯機器5のディスプレイ5aに表示されるメッセージ及び車両2周辺の画像の例を説明する。
図4は、ディスプレイ5aに表示されるメッセージME及び車両2周辺の状況を示す周辺画像APを示す。
図4の左図は、周辺画像APが表示される前に、状況の変化の発生のみを提示するメッセージMEの例である。メッセージMEは、例えば、「車の周辺状況に変化がありました。画像を表示しますか?」である。ユーザは、車両周辺の状況変化を憂慮しない場合には、必ずしも画像の参照を希望しない。この場合にまで画像の表示を行うと、通信容量が増加するのみならずユーザは受信処理に煩わしさを感じることとなる。したがって、車両周辺に状況変化があった場合には、まずメッセージMEをユーザに送信し、画像の参照の要否をユーザが選択することが好ましい。
【0051】
図4の右図は、ユーザがメッセージMEを参照して画像の参照を希望し、車両の周辺状況を撮影した周辺画像APが携帯機器5のディスプレイ5aにメッセージMSと共に表示された例である。周辺画像APと共に表示されるメッセージMSは、例えば、「車の周辺状況の画像です。」である。メッセージMEを参照することで、ユーザは、表示されている画像が車の周辺状況であることを把握できる。
【0052】
また、周辺画像APは、車両2に搭載された複数のカメラのうちどのカメラで撮影されたかを明示する文字画像PPが重畳される。文字画像PPは、例えば、「左サイドカメラ」である。ユーザは、文字画像PPを参照することで、どのカメラで撮影された画像かを認識し、車両周辺の様子をより詳細に把握できる。なお、文字画像PPに代替し、どのカメラで撮影されたかを示す図形や記号を表示してもよい。要するに、どのカメラで撮影されたかをユーザに明示できればよい。
【0053】
ユーザは、車両の周辺状況を撮影した周辺画像APを参照することで、車両の周辺がどのような状況となっているか、又はどのような状況に変化したかを把握できる。例えば、自らの車両の周辺で強い雨RNが降っており、雨水WTで路面が冠水している様子を認識できる。このような場合、ユーザは即座に駐車位置に舞い戻り、車両を退避させることで、車両の損傷を防止できる。
【0054】
<1−4.工程>
次に、状況検出装置3の処理工程を説明する。
図5は、状況検出装置3の処理工程を示す。なお、かかる処理工程は車両が駐車中に実行される。すなわち、ユーザは車両を駐車させる際、状況検出装置3を起動させる。ただし、イグニッションスイッチがオフされるのに連動し、状況検出装置3が起動してもよい。なお、状況検出装置3の処理工程は、車両の駐車中に所定の周期で繰り返し実行される。
【0055】
まず、計時部31eが車両の駐車後、又は撮影画像の前回の取得後に10[分]経過したか否か判断する(ステップS101)。すなわち、状況検出装置3は、10[分]毎に車両周辺の撮影画像を取得する。
【0056】
計時部31eが10[分]経過していないと判断すると(ステップS101でNo)、処理は終了する。所定の時間が経過するまで待機し、電力消費を抑制するためである。
【0057】
一方、計時部31eが10[分]経過したと判断すると(ステップS101でYes)、接続部33は、フロントカメラ4aと制御部31とを接続する(ステップS102)。
【0058】
接続部33が制御部31とフロントカメラ4aとを接続すると、画像取得部31aが、フロントカメラ4aが撮影して得られた画像を取得し(ステップS103)、画像データを制御部31のRAMに記憶させる。
【0059】
画像取得部31aが画像を取得すると、接続部33は、全てのカメラ4を制御部31と接続させたか否か判断する(ステップS104)。
【0060】
接続部33が全てのカメラを制御部31と接続させていないと判断すると(ステップS104でNo)、処理はS102に戻り、接続部33はリアカメラ4bと制御部31とを接続する。以後、接続部33が順次に全てのカメラ4を制御部31と接続させるまで、ステップS102からステップS104までの処理が繰り返し実行される。
【0061】
一方、接続部33が全てのカメラを制御部31と接続させたと判断すると(ステップS104でYes)、画像認識処理が実行される(ステップS105)。画像認識処理は、パターンマッチングの手法を用い、撮影画像の所定領域とパターンデータ34aとの合致の度合い等を導出し、車両の周辺状況及びその変化を判断するための処理である。画像認識処理の詳細は後述する。
【0062】
画像認識処理(ステップS105)が実行されると、状況検出部31bは、処理結果に基づき車両の周辺状況が変化したか否か判断する(ステップS106)。すなわち、状況検出部31bは、撮影画像の所定領域とパターンデータ34aとの合致の度合いが前回の検出時から変化した撮影画像が一つでもある場合に、車両2の周辺状況が変化したことを検出する。
【0063】
状況検出部31bが車両の周辺状況が変化していないと判断すると(ステップS106でNo)、処理は終了する。車両の周辺状況が変化していない以上、ユーザへ撮影画像を送信する必要はないからである。処理が終了すると、状況検出装置3は次回の処理が開始されるまで待機する。すなわち、約10[分]間待機する。
【0064】
一方、状況検出部31bが車両の周辺状況が変化したと判断すると(ステップS106でYes)、送受信部31dは、メッセージMEを携帯機器5へ送信する(ステップS107)。この際、送受信部31dが送信するメッセージMEは、前述の通り、例えば「車の周辺状況に変化がありました。画像を表示しますが?」である。これにより、ユーザは、自らの車の周辺状況に変化があったことを把握できる。さらにユーザは、希望すれば画像により視覚的に車両の周辺状況を参照できることを認識できる。
【0065】
送受信部31dは、メッセージMEを携帯機器5へ送信すると、ユーザが画像の参照を希望するか否かを判断する(ステップS108)。かかる判断は、送受信部31dが携帯機器5から送信されるユーザの希望を示す信号を受信して行う。
【0066】
送受信部31dが、ユーザが画像の参照を希望しないと判断すると(ステップS108でNo)、処理は終了する。ユーザが画像の参照を希望しない以上、ユーザへ撮影画像を送信する処理は必要ないからである。
【0067】
一方、送受信部31dが、ユーザが画像の参照を希望すると判断すると(ステップS108でYes)、画像選択処理が実行される(ステップS109)。画像選択処理は、カメラ4が撮影した4つの画像のうち、どの撮影画像が最も明確に車両の周辺状況の変化を捉えているかを判断し、ユーザに送信すべき撮影画像を選択する処理である。カメラ4が撮影して得られた画像の全てを送信するのではなく、取捨選択して撮影画像を送信することで、送信の容量を低減できる。また、必ずしも明確に車両の周辺状況の変化を捉えていない撮影画像、すなわち車両に隣接する壁等を撮影して得られた画像等の送信を防止できる。ユーザはこのような画像を参照しても何ら車両の周辺状況の変化を把握できない。画像選択処理の詳細は後述する。
【0068】
画像選択処理(ステップS109)が実行されると、画像処理部31fは、選択された撮影画像に対応する識別データ34bを記憶部34から読み出し、選択された撮影画像に識別データ34bを重畳するよう画像処理を行う(ステップS110)。撮影画像に重畳される識別データ34bは、例えば、「左サイドカメラ」」である。なお、画像選択処理において選択された撮影画像には、後述の通り画像選択部31cによりフラグがセットされている。したがって、画像処理部31fは、フラグレジスタを参照し、どの撮影画像が選択されたか判別する。
【0069】
画像処理部31fは、選択された撮影画像に識別データ34bを重畳する画像処理を行うと、識別データ34bが重畳された撮影画像のデータ容量を圧縮する(ステップS111)。撮影画像のデータ容量の圧縮には、既知の静止画像の圧縮方式を用いればよい。例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やGIF(Graphics Interchange Format)等の画像圧縮方式である。
【0070】
画像処理部31fが撮影画像を圧縮すると、送受信部31dは、かかる撮影画像を携帯機器5へ送信する(ステップS112)。
【0071】
これにより、ユーザは、車両の周辺状況の変化を画像により視覚的に把握できる。また、車両の周辺状況に変化があった場合でも、撮影した全ての画像をユーザへ送信せず、最も状況変化を明確に示す画像をユーザへ送信するので、ユーザは状況変化を明確に把握できるうえ、送信すべきデータ容量を低減できる。
【0072】
次に、ステップS105で実行される画像認識処理を説明する。
図6は、画像認識処理の詳細な処理工程を示す。
【0073】
まず、状況検出部31bが、制御部31のRAMに記憶された撮影画像を読み出す(ステップS105a)。
【0074】
状況検出部31bは、撮影画像を読み出すと、記憶部34からパターンデータ34aを読み出す(ステップS105b)。
【0075】
状況検出部31bは、記憶部34からパターンデータ34aを読み出すと、撮影画像とパターンデータ34aとを対比する(ステップS105c)。
【0076】
状況検出部31bは、撮影画像とパターンデータ34aとを対比し、撮影画像の所定領域とパターンデータ34aとが合致するか否か判断する(ステップS105d)。
【0077】
状況検出部31bは、撮影画像の所定領域とパターンデータ34aとが合致しないと判断すると(ステップS105dでNo)、記憶部34に記憶されている全てのパターンデータ34aと撮影画像を対比させたか否か判断する(ステップS105e)。
【0078】
状況検出部31bは、記憶部34に記憶されている全てのパターンデータ34aと撮影画像とを対比させていないと判断すると(ステップS105eでNo)、ステップS105bに戻り、他のパターンデータ34aを読み出し、読み出したパターンデータ34aと撮影画像とを対比する。以後、撮影画像とパターンデータ34aとが合致するか、又は撮影画像と記憶部34に記憶されている全てのパターンデータ34aとの対比が完了するまで、ステップS105bからステップS105eまでの処理が繰り返し実行される。
【0079】
一方、状況検出部31bが、全てのパターンデータ34aと撮影画像を対比させたと判断すると(ステップS105eでYes)、処理はステップS105iに進む。なお、ステップS105iの処理内容は後述する。
【0080】
ステップS105dにおいて、状況検出部31bは、撮影画像の所定領域とパターンデータ34aとが合致すると判断する場合(ステップS105dでYes)、撮影画像の所定領域とパターンデータ34aとの合致の度合いを導出し、かかる合致の度合いをRAMに記憶する(ステップS105f)。
【0081】
状況検出部31bは、撮影画像とパターンデータ34aとの合致度合いを記憶させると、パターンマッチングの対象となった撮影画像をRAMに記憶させる(ステップS105g)。
【0082】
状況検出部31bは、パターンマッチングの対象となった撮影画像をRAMに記憶させると、全ての撮影画像、すなわちカメラ4の撮影した4つの画像全てについてパターンマッチングの処理を実行したか否か判断する(ステップS105h)。
【0083】
状況検出部31bは、全ての撮影画像についてパターンマッチングの処理を実行していないと判断すると(ステップS105hでNo)、ステップS105aの処理に戻り、パターンマッチングの処理を実行していない撮影画像を読み出し、ステップS105b以下の処理を実行する。以後、全ての撮影画像についてパターンマッチングの処理を実行するまで、ステップS105aからステップS105hまでの処理が繰り返し実行される。
【0084】
一方、状況検出部31bが全ての撮影画像についてパターンマッチングの処理を実行したと判断すると(ステップS105hでYes)、処理は
図5の処理工程に戻り、ステップS106が実行される。ステップS106以降の処理工程は、前述の通りである。
【0085】
次に、ステップS109で実行される画像選択処理を説明する。
図7は、画像選択処理の詳細な処理工程を示す。
【0086】
画像選択処理が実行されると、画像選択部31cが、状況検出部31bにより制御部31のRAMに記憶された合致度合いを示す4つのデータを読み出す(ステップS109a)。
【0087】
画像選択部31cは、合致度合いが最も低い撮影画像を選択する(ステップS109b)。画像選択部31cは、選択した撮影画像を示すフラグレジスタのアドレスにフラグをセットする(ステップS109c)。フラグレジスタを参照すれば、どの撮影画像が選択されたか判別できる。
【0088】
ステップS109bの処理工程が実行されると、処理は
図5の処理工程に戻り、ステップS110が実行される。ステップS110以降の処理工程は、前述の通りである。
【0089】
以上の通り、第1の実施の形態の状況検出装置3は、車両の駐車中に、車両周辺を撮影する複数のカメラの撮影画像を取得し、車両周辺の状況変化を示す撮影画像を選択し、選択した撮影画像を車両のユーザの所有する表示装置へ送信する。複数の撮影画像のうちから状況変化を示す撮影画像を選択して送信するので、車両のユーザは、車両から遠隔地に所在しても、車両周辺で生じた状況変化を少ない通信量で把握できる。
【0090】
<2.第2の実施の形態>
<2−1.概要>
次に、第2の実施の形態を説明する。前述の第1の実施の形態は、車両の周辺の状況変化の検出、及び状況変化を示す撮影画像の選択等を状況検出装置3が行った。第2の実施の形態は、これらを状況検出装置3でなく車両外部に設置されたサーバが行う。また、ユーザへの撮影画像の送信もサーバが行う。これにより、状況検出装置3の処理負荷を低減できる。第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様の構成及び処理工程を含む。このため、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0091】
<2−2.構成>
まず、第2の実施の形態に係る状況検出システム1の構成を説明する。
図8は、第2の実施の形態に係る状況検出システム1の構成を示す。第1の実施の形態との主な相違点は車両2の外部にサーバ6が設置される点である。また、状況検出装置3が備えた状況検出部、画像選択部、画像処理部、及び判定部を状況検出装置3ではなくサーバ6が備える点である。すなわち、状況検出装置3の制御部31は、画像取得部31a、送受信部31d、及び計時部31eを備える。記憶部34は、プログラム34cを備える。
【0092】
サーバ6は、車両2の外部に設置された情報処理装置である。サーバ6は、ネットワーク(図示せず)を介し、状況検出装置3及び携帯機器5と接続されている。サーバ6は、制御部61及び記憶部62を備える。
【0093】
制御部61は、状況検出部61b、画像選択部61c、送受信部61d、画像処理部61f、及び判定部61gを備える。制御部61が備える状況検出部61b等の各部は、第1の実施の形態において状況検出装置3の制御部31が備えた各部と略同様に機能する。
【0094】
記憶部62は、パターンデータ62a、識別データ62b、及びプログラム62cを記憶している。記憶部62が記憶するパターンデータ62a等は、第1の実施の形態で説明した各データ等と略同様に機能する。
【0095】
<2−3.工程>
次に、第2の実施の形態に係る状況検出システム1の処理工程を説明する。
図9は、第2の実施の形態に係る状況検出システム1の処理工程を示す。
図5ないし
図7で示した第1の実施の形態における処理工程との相違点は、第1の実施の形態(
図5)で説明したステップS105からステップS112までと同様の処理を状況検出装置3でなくサーバ6が実行する点である。
【0096】
状況検出装置3は、車両2の駐車後に10[分]経過すると、カメラ4の撮影画像を取得し、取得した撮影画像をサーバ6へ送信する(ステップS201、ステップS202、ステップS203、ステップS204、ステップS205)。撮影画像の送信は、送受信部31dが行う。
【0097】
送受信部31dが撮影画像を送信すると、サーバ6の制御部61に備わる送受信部61dが撮影画像を受信する(ステップS206)。
【0098】
送受信部61dが撮影画像を受信すると、制御部61の各部は、第1の実施の形態(
図5)で説明したステップS105からステップS112までと同様の処理をステップS207からステップS214までで実行し、携帯機器5へメッセージMEや周辺画像APを送信する。ユーザが撮影画像の受信を希望しない場合は、サーバ6は周辺画像APを送信せず、処理は終了する。
【0099】
以上、第2の実施の形態は、車両2外部に設置されたサーバ6が車両2の周辺の状況変化の検出、及び状況変化を示す撮影画像の選択等を行う。これにより、状況検出装置3の処理負荷を低減できる。特に、状況検出装置3は、パターンマッチングに伴う画像認識処理を省略できるので、処理負荷が低減される
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は上記実施の形態に限定されることはない。本発明は様々な変形が可能である。以下、変形例を説明する。なお、上記及び下記の実施の形態は、適宜組み合わせ可能である。
【0100】
上記実施の形態では、車両周辺に状況変化があった場合に、ユーザへメッセージを通知し、ユーザの希望に応じて撮影画像を送信した。しかし、車両周辺に状況変化がない場合に、ユーザへメッセージを通知し、ユーザの希望に応じて撮影画像を送信してもよい。すなわち、車両周辺に状況変化がなくとも、パターンと画像の合致度合いが一定以下の場合には、メッセージを通知してもよい。パターンと画像の合致度合いが一定以下の場合には、車両周辺は車両を安全に駐車することが困難な状況となっている恐れがある。このような状況下では、状況に変化がなくとも、ユーザに車両周辺の状況を定期的に通知すべきだからである。
【0101】
また、上記実施の形態では、車両周辺の状況変化の判断を計時部31eの計時により10[分]毎に行った。しかし、10[分]毎でなくともよい。車両周辺の状況変化に対応した時間間隔であればよい。例えば、天候の悪化等の状況変化が見込まれる場合には5[分]間隔とし、好転が見込まれる場合には1[時間]間隔とすればよい。また、ユーザが駐車中に間隔を変更できるようにしてもよい。例えば駐車位置付近で災害等の発生が判明した場合、ユーザは間隔を短縮して状況変化を把握したいと考えられるからである。
【0102】
また、上記実施の形態では、携帯機器5の例として携帯電話やスマートフォンを列挙した。しかし、携帯機器5は携帯電話やスマートフォンに限定されない。ノートパソコン等でもよい。要するに携帯機器5は、画像表示機能や情報ネットワークと接続する機能等を備える情報通信端末であればよい。
【0103】
また、上記実施の形態では、状況検出装置3及びカメラ4は車両2に設置されると説明した。しかし、車両2でなくともよい。住宅やビルディング等でもよい。要するに、周辺の状況を監視すべき土地や建物、物品であればよい。
【0104】
また、上記実施の形態では、状況検出装置3とカメラ4とを別体の装置として説明した。しかし、状況検出装置3とカメラ4とを一体の装置として構成してもよい。
【0105】
また、上記実施の形態では、各機能はプログラムに従ったソフトウェアとして実現されると説明した。しかし、ソフトウェアでなくともよい。電気的なハードウェア回路として実現されてもよい。