【解決手段】本発明の部品供給装置10は、部品71を収納する収納部20を鉛直な中心軸J1の回りに複数並べてなる環状収納部群20Gを複数段積みにして備える回転ラック11と、回転ラック11を一方向に回転駆動する回転駆動源30と、を有する。複数の環状収納部群20Gは、各環状収納部群20Gに設定された第1の収納部21が段積み方向の一端側へ向かうに従って回転ラック11の回転方向Xと反対の逆回転方向に一定距離ΔLだけずれると共に、段積み方向の他端に配置される環状収納部群20Gのうち第1の収納部21に対して逆回転方向で隣に位置する第2の収納部22が段積み方向の一端に配置される環状収納部群20Gの第1の収納部21に対して逆回転方向に一定距離ΔLだけずれるように配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の部品供給装置では、必要な部品を収納する収納部が作業者から遠く離れた位置にあると、その収納部まで作業者が部品を取りに行ったり、その収納部を作業者の位置まで移動させたりする必要が生じ、組み付け作業の効率が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、部品の組み付け作業の効率化を図ることが可能な部品供給装置及びそれを有する部品組付ラインの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、鉛直な回転中心軸を有し且つ部品を収納する収納部を前記回転中心軸の回りに複数並べてなる環状収納部群を複数段積みにして備える多段式の回転ラックと、前記回転ラックを一方向に回転駆動する回転駆動源と、を有し、複数の前記環状収納部群は、各前記環状収納部群に設定された第1の前記収納部が段積み方向の一端側へ向かうに従って前記回転ラックの回転方向と反対の逆回転方向に一定距離だけずれると共に、前記段積み方向の他端に配置される前記環状収納部群のうち前記第1の収納部に対して前記逆回転方向で隣に位置する第2の前記収納部が前記段積み方向の一端に配置される前記環状収納部群の前記第1の収納部に対して前記逆回転方向に前記一定距離だけずれるように配置されている部品供給装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の部品供給装置と、前記部品供給装置の側方に配設され、前記部品が組み付けられる複数の組付対象物を一定の間隔をあけて、順次、搬送するコンベアと、を有する部品組付ラインであって、前記回転駆動源は、前記組付対象物が前記一定の間隔分の距離だけ搬送される間に前記収納部が前記回転方向に前記一定距離だけ移動するように、前記回転ラックを一定速度で回転駆動し、複数の前記収納部には、前記組付対象物が前記コンベア上の搬送路に設定された組付作業領域を通過するときに、その組付対象物に組み付けられる前記部品が前記回転ラックの周方向に設定された部品取出位置に配置されるように、複数の前記部品が収納される部品組付ラインである。
【0008】
請求項3の発明は、前記コンベアの駆動源と前記回転駆動源とは、互いに独立して作動する請求項2に記載の部品組付ラインである。
【発明の効果】
【0009】
[請求項1の発明]
請求項1の発明によれば、回転ラックの周方向の所定位置に配置された収納部から部品を取り出して組み付け作業を行う間に回転ラックを一定距離だけ回転させることで、前記所定位置に、随時、次の組み付け作業に必要となる部品を配置することが可能となる。このように、本発明によれば、回転ラックの周方向の所定位置に、順次、必要となる部品を配置することが可能となるので、従来の部品供給装置のように、所定位置から遠く離れた収納部まで作業者が部品を取りに行ったり、必要な部品を収納する収納部を所定位置までわざわざ移動させる必要がなくなり、部品の組み付け作業の効率化が図られる。
【0010】
[請求項2の発明]
請求項2の発明では、回転ラックの側方に配設されたコンベアが、部品が組み付けられる複数の組付対象物を一定の間隔をあけて、順次、搬送し、回転ラックは、組付対象物が一定の間隔分の距離だけ搬送される間に、収納部が回転方向に一定距離だけ移動するように一定速度で回転する。そして、回転ラックの複数の収納部には、コンベア上に設定された組付作業領域を組付対象物が通過するときに、その組付対象物に組み付けられる部品が回転ラックの周方向に設定された部品取出位置に配置されるように、部品が収納されている。本発明によれば、組付作業領域を順次通過する組付対象物に必要な部品が、順次、部品取出位置に配置されるので、部品取出位置から遠く離れた収納部まで作業者が部品を取りに行ったり、必要な部品を収納する収納部を部品取出位置までわざわざ移動させる必要がなくなり、部品の組み付け作業の効率化が図られる。
【0011】
[請求項3の発明]
請求項3の発明によれば、回転ラックの回転速度の制御及びコンベアの搬送速度の制御が容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を
図1〜
図6に基づいて説明する。
図1及び
図4に示すように、本実施形態の部品供給装置10は、回転ラック11と、回転ラック11を回転駆動するための回転駆動源30と、を備えている。回転ラック11は、円板状の回転ベース12と、回転ベース12の中心部から起立した支持柱13と、を有し、回転駆動源30からの動力を受けて、回転ベース12及び支持柱13が支持柱13の中心軸J1(本発明の「回転中心軸」に相当する。)の回りを回転方向Xに一定速度で回転する。
【0014】
図1に示すように、回転ラック11には、後述する成形金型52に組み付ける部品71(
図4参照)を収納する複数の収納部20が備えられている。具体的には、回転ラック11は、複数の収納部20を支持柱13の回りに等間隔に複数並べてなる環状収納部群20Gを上下に段積みにして備える多段式のラックになっている。
【0015】
複数の環状収納部群20Gは、以下のようにして形成されている。即ち、回転ベース12の上には、複数の環状階層壁15が間隔をあけて並べられ、それら複数の環状階層壁15が支持柱13に固定されている。そして、上下方向で隣り合う環状階層壁15,15同士の間に形成される環状の空間が区画壁16によって等分されることで、複数の環状収納部群20Gが形成されている。なお、一番下に配置される環状階層壁15は、回転ベース12の上に固定されている。
【0016】
図1及び
図2に示すように、段積み方向で隣り合う環状収納部群20G,20G同士は、周方向にずれて配置されている。具体的には、各環状収納部群20Gでは、第1の収納部21、第2の収納部22、第3の収納部23、・・・が、回転ラック11の回転方向Xと反対の逆回転方向(
図2では、左へ向かう方向)に並べて配置されている。そして、
図2に示すように、段積み方向で隣り合う環状収納部群20G,20Gのうち下側の環状収納部群20Gの第1の収納部21が、上側の環状収納部群20Gの第1の収納部21に対して逆回転方向に一定距離ΔLだけずれて配置されている。また、
図2に示されるように、最上段の環状収納部群20Gにおける第2の収納部22は、最下段の環状収納部群20Gにおける第1の収納部21に対して、逆回転方向に一定距離ΔLだけずれて配置されている。
【0017】
次に、部品供給装置10を備えた部品組付ライン70について説明する。
図3には、部品組付ライン70を一部に含む生産ライン50が示されている。本実施形態では、生産ライン50は、複数種類の発泡樹脂成形品を生産する多品種生産ラインとなっている。
【0018】
生産ライン50は、環状のコンベア51と、コンベア51を一方向(
図3では、時計方向)に周回させる搬送用駆動源51Aと、を備えている。コンベア51には、複数種類の成形金型52(本発明の「組付対象物」に相当する。)が一定の間隔Kをあけて固定されている。生産ライン50には、前処理部55、部品組付部56、原料注入部57、発泡成形部58及び脱型部59が備えられている。前処理部55では、成形金型52に離型剤が塗布される。部品組付部56では、成形金型52に補強用シート材やワイヤ等の部品71(
図4参照)が組み付けられる。原料注入部57では、成形金型52に発泡樹脂原料(例えば、ウレタン)が注入される。発泡成形部58では、発泡樹脂の加熱、発泡が行われる。脱型部59では、成形金型52から成形品が取り出される。なお、本実施形態では、部品組付部56と部品供給装置10とよって、上述の部品組付ライン70が構成されている。
【0019】
図4に示すように、部品組付ライン70では、コンベア51の側方に部品供給装置10が配置されている。部品供給装置10における回転ラック11の複数の収納部20には、成形金型52に組み付けられる複数種類の部品71が収納されている。また、部品組付ライン70では、コンベア51上の搬送路53に組付作業領域70Rが設定されている。そして、この組付作業領域70Rを通過する成形金型52に、作業者90によって部品71が組み付けられる。
【0020】
本実施形態の部品組付ライン70では、コンベア51が組付作業領域70Rに成形金型52を順次送給し、部品供給装置10は、組付作業領域70Rを通過する成形金型52に組み付ける部品71を順次供給する。以下、部品供給装置10による部品71の供給について説明する。
【0021】
図4に示すように、部品供給装置10の回転ラック11は、回転ラック11のうちコンベア51側を向く部分がコンベア51と同じ方向(
図4の例では、右方向)へ移動するように回転する。回転ラック11の回転速度は、成形金型52が搬送路53上を一定の間隔K(即ち、隣り合う成形金型52,52同士の間隔)だけ進む間に、一定距離ΔL(
図2参照)だけ回転するように設定されている。
【0022】
ここで、複数の成形金型52には、搬送順に対応した識別番号が割り当てられている。また、複数の部品71にも識別番号が割り当てられていて、成形金型52と、その成形金型52に組み付けられる部品71とには、同じ識別番号が割り当てられている。また、
図1及び
図2に示すように、複数の収納部20にはラベル20Aが付されていて、各ラベル20Aには、収納する部品71の識別番号に対応した番号が表示されている。具体的には、複数の第1の収納部21のラベル20Aには、上側から順番に「1」〜「7」の番号が表示され、複数の第2の収納部22のラベル20Aに、上側から順番に「8」〜「14」の番号が表示されている。以下、第3の収納部23以降のラベル20Aについても同様に番号が付されている。本実施形態の例では、56個の成形金型52が搬送されると共に、回転ラック11には、8個の収納部20からなる環状収納部群20Gが7段備えられている。そして、全56個のラベル20Aに、「1」〜「56」の番号が表示されている。なお、以下では、識別番号「n」の成形金型52を「n番の成形金型52」と、識別番号「n」の部品71を「n番の部品71」と、番号「n」のラベル20Aが付された収納部20を「n番の収納部20」と、適宜、称することにする。
【0023】
図5(A)及び
図5(B)には、3番の成形金型52が組付作業領域70Rを通過するときの、部品組付ライン70の様子が示されている。回転ラック11の周方向に設定された部品取出位置11Pには、3番の収納部20の中心が配置されている。なお、部品取出位置11Pは、回転ラック11の周方向のうち組付作業領域70R側を向く部分に設定されていて、部品取出位置11Pに中心が配置された収納部20から部品71を取り出した作業者90が組付作業領域70Rまで移動する距離が短くなっている。
【0024】
図6(A)には、
図5(A)に示す状態から成形金型52が一定の間隔Kだけ進んだ状態が示されている。この状態では、4番の成形金型52が組付作業領域70Rを通過する。また、このとき、回転ラック11は、回転方向Xに一定距離ΔLだけ回転し、
図5(B)から
図6(B)への変化に示すように、3番の収納部20が、部品取出位置11Pから回転方向Xに一定距離ΔLだけ移動する。そして、3番の収納部20に対して逆回転方向に一定距離ΔLだけずれて配置された4番の収納部20の中心が、3番の収納部20の代わりに部品取出位置11Pに配置される。このように、4番の成形金型52が組付作業領域70Rを通過するときには、4番の部品71を収納する4番の収納部20の中心が部品取出位置11Pに配置される。
【0025】
このように、本実施形態の部品組付ライン70では、部品供給装置10の回転ラック11が、成形金型52が一定の間隔Kだけ搬送される間に、回転方向Xに一定距離ΔLだけ移動するように一定速度で回転すると共に、回転ラック11の複数の収納部20には、組付作業領域70Rを通過する成形金型52に組み付けられる部品71が部品取出位置11Pに配置されるように、部品71が収納されている。これにより、部品組付ライン70では、組付作業領域70Rを順次通過する成形金型52に必要な部品71を、順次、部品取出位置11Pに配置することが可能となっている。なお、詳細には、回転ラック11の回転速度は、作業者90が部品71を容易に取り出すことができるように、ゆっくりな速度に設定されている。
【0026】
なお、コンベア51を駆動する搬送用駆動源51Aと、回転ラック11を駆動する回転駆動源30とは、互いに独立して作動するようになっている。従って、本実施形態では、コンベア51の搬送速度を一定値に設定しておけば、そのコンベア51の搬送速度に合わせて回転ラック11の回転速度を設定するだけで上記した構成を達成することが可能となり、回転ラック11の回転速度とコンベア51の搬送速度との同期が容易となる。
【0027】
本実施形態の部品供給装置10及び部品組付ライン70の構成に関する説明は、以上である。次に、部品供給装置10及び部品組付ライン70の作用効果について説明する。
【0028】
本実施形態の部品供給装置10によれば、回転ラック11の周方向の所定位置に配置された収納部20から部品71(
図5(A)及び
図5(B)の例では、3番の部品71)を取り出して組み付け作業を行う間に、回転ラック11を一定距離ΔLだけ回転させることで、前記所定位置に、随時、次の組み付け作業に必要となる部品71(
図6(A)及び
図6(B)の例では、4番の部品71)を配置することが可能となる。このように、本実施形態の部品供給装置10によれば、回転ラック11の周方向の所定位置に、順次、必要となる部品71を配置することが可能となるので、従来の部品供給装置のように、所定位置から遠く離れた収納部20まで作業者90が部品71を取りに行ったり、必要な部品71を収納する収納部20を所定位置までわざわざ移動させる必要がなくなり、部品71の組み付け作業の効率化が図られる。
【0029】
また、本実施形態の部品供給装置10を有する部品組付ライン70では、コンベア51が、複数の成形金型52を一定の間隔Kをあけて、順次、搬送すると共に、回転ラック11は、コンベア51の側方に配置されて、成形金型52が一定の間隔Kだけ搬送される間に、収納部20が回転方向Xに一定距離ΔLだけ移動するように一定速度で回転する。ここで、回転ラック11の複数の収納部20には、搬送路53に設定された組付作業領域70Rを成形金型52が通過するときに、その成形金型52に組み付けられる部品71が回転ラック11の周方向に設定された部品取出位置11Pに配置されるように、部品71が収納されている。これにより、本実施形態の部品組付ライン70では、組付作業領域70Rを順次通過する成形金型52に必要な部品71を、順次、部品取出位置11Pに配置することが可能となり、部品取出位置11Pから遠く離れた収納部20まで作業者90が部品71を取りに行ったり、必要な部品71を収納する収納部20を部品取出位置11Pまでわざわざ移動させる必要がなくなり、部品71の組み付け作業の効率化が図られる。
【0030】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0031】
(1)上記実施形態では、複数の環状収納部群20Gは、下側の環状収納部群20Gが逆回転方向へ一定距離ΔLずつずれるように配置されていたが、
図7に示すように、上側の環状収納部群20Gが逆回転方向へ一定距離ΔLずつずれるように配置されていてもよい。なお、この構成では、複数の第1の収納部21には、下から順番に「1」〜「7」の番号を表示するラベル20Aが付される。第2の収納部22以降についても、同様にしてラベル20Aが付される。
【0032】
(2)上記実施形態では、成形金型52が搬送路53を一周する間に、回転ラック11が一回転するように構成されていたが、成形金型52が搬送路53を一周する間に回転ラック11が複数回、回転するように構成されていてもよい。また、成形金型52が複数回、搬送路53を循環する間に、回転ラック11が一回転するように構成されていてもよい。
【0033】
(3)上記実施形態では、部品組付ライン70が、回転ラック11とコンベア51とを、一つずつ備えた構成であったが、回転ラック11とコンベア51とを複数ずつ備えた構成であってもよいし、回転ラック11とコンベア51のうち何れか一方のみを複数備えた構成であってもよい。
【0034】
(4)上記実施形態の回転ラック11は、全ての収納部20に部品71を収納する構成であったが、一部の収納部20に部品71を収納する構成、言い換えれば、部品71を収納しない収納部20を有する構成であってもよい。具体的には、部品71の組み付けが不要な成形金型52がある場合に、その成形金型52が組付作業領域70Rを通過するときに部品取出位置11Pに配置される収納部20に部品71が収納されない構成や、コンベア51から一部の成形金型52が外された場合に、その一部の成形金型52が組付作業領域70Rを通過するときに部品取出位置11Pに配置されていた収納部20に部品71が収納されない構成等が挙げられる。
【0035】
(5)
図8に示すように、固定された組付対象物52Vに複数の部品71Vが順次組み付けられる組付作業に、部品供給装置10Vが用いられてもよい。具体的には、組付対象物52Vは、回転ラック11の側方に配設された作業台100の上に固定され、部品供給装置10Vは、組付対象物52Vに組み付けられる複数の部品71Vを順次供給する。複数の収納部20には、組み付けの順番に部品71Vが部品取出位置11Pに配置されるように、複数の部品71Vが収納されている。
図8には、3番の収納部20に収納されていた3番の部品71Vが作業者90によって組付対象物52Vに組み付けられる状態が示されている。このとき、次に組み付けられる4番の部品71Vを収納する4番の収納部20が部品取出位置11Pに対して逆回転方向にずれた位置に配置されている。そして、3番の部品71Vの組み付けが終了するときに、4番の部品71Vが部品取出位置11Pに配置される。本構成によっても、部品取出位置11Pに、随時、次の組み付け作業に必要となる部品71Vを配置させることが可能となり、組付け作業の効率化が図られる。
【0036】
(6)上記実施形態では、回転ラック11の回転速度が一定である構成であったが、回転ラック11の回転速度が変動する構成であってもよい。なお、この場合、回転ラック11が連続的に回転駆動される構成であることが好ましい。