【解決手段】紙葉類6の搬送路となる搬送管12内に、その延設方向Fの空気流を空気流発生装置で発生させ、その搬送管12内に紙葉類6をその紙面が搬送管に沿う姿勢にして挿入した後にこの紙葉類の上流に、断面円形の柱形状をなした搬送補助体16を挿入し、空気流によって移動する搬送補助体16で紙葉類6の後端を押し動かして搬送する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る紙葉類搬送装置10の概略構成を示す平面図、
図2は紙葉類搬送装置10の正面図である。本実施の形態では、紙葉類搬送装置10は、紙幣の投入を受けて遊技者に遊技球(パチンコ球)を貸し出す遊技球貸機3とパチンコ機などの遊技機4とを一組にしたものを、互いが背中合わせになるようにして表裏面に複数組併設収容した遊技機島2内に設けられ、各遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を取り込んで遊技機島の端部に設けられた金庫5まで搬送する紙幣搬送装置として構成されている。
【0014】
紙葉類搬送装置10は、紙幣(紙葉類)の搬送路となる搬送管12と、搬送管12内にその延設方向に流れる空気流を発生させる空気流発生装置14とを備えている。紙葉類搬送装置10では、空気流を受けて搬送管12内を移動可能な搬送補助体16を、搬送対象の紙幣より上流側で搬送管12内へ挿入し、該搬送補助体16で搬送管12内の紙幣を後方から押し動かして下流へ搬送するようになっている。
【0015】
本例では、
図2に示すように、遊技機島2の一方の端部に、空気流発生装置14と金庫5が配置されており、紙葉類搬送装置10の搬送管12は、空気流発生装置14が設置された側の遊技機島2の端部にその始端部と終端部を備え、始端部から遊技機島2の他方の端部まで延設された往路12aと、他方の端部でU字状に折り返すターン部12bと、ターン部12bで折り返した後、終端部まで延設された復路12cで構成されている。
【0016】
空気流発生装置14の吹き出し口14aは、搬送管12(往路12a)の始端部側に接続され、空気流発生装置14の吸い込み口14bは搬送管12(復路12c)の終端部側に接続されている。空気流発生装置14はモータでファンを回転させることによって、始端部側から搬送管12内へ空気を吹き出すと共に、終端部側から搬送管12内の空気を吸い出すことで、搬送管12内にその始端部から終端部へ向かう(搬送管12の延設方向に沿って流れる)空気流を発生させる。なお、空気流発生装置14は吸い込み口14bから吸い出した搬送管12内の空気の一部を吹き出し口14aから再び搬送管12内へ送り出して循環させるようになっている。
【0017】
搬送管12の始端部には、搬送補助体16を搬送管12内へ送り出す搬送補助体挿入装置18が設けてある。また、搬送管12の終端部には紙幣分離装置20が配置され、紙幣分離装置20のやや上流には搬送補助体分離装置22が配置されている。また、搬送管12の復路12cの途中には、各遊技球貸機3に対応する位置に、遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を搬送管12内へ取り込む紙幣取込装置24が配設されている。紙幣取込装置24は、遊技機島2の表面側に配置された遊技球貸機3からの紙幣6と、遊技機島2の裏面側に配置された遊技球貸機3からの紙幣6とを取り込むべく、搬送管12の側壁の両側に設けられている。
【0018】
紙幣取込装置24から搬送管12の復路12c内に取り込まれた紙幣6は、その紙面が搬送管12の延設方向に沿う姿勢で取り込み完了位置に滞在する。この搬送管12内に取り込まれて滞在している紙幣6を金庫5まで搬送して回収するために搬送補助体16が搬送補助体挿入装置18によって搬送管12内へ送り込まれる。搬送補助体挿入装置18から搬送管12内へ送り込まれた搬送補助体16は、空気流発生装置14が発生させた空気流の作用を受けて往路12a内をターン部12bに向けて移動し、ターン部12bでUターンした後、復路12c内を終端部に向けてさらに移動する。このとき、
図3に示すように、搬送管12内の紙幣6を、該紙幣6の後端側から搬送補助体16が押し動かすことで、搬送管12の終端部へ向けて(図中の搬送方向Fへ)紙幣6が搬送される。
【0019】
搬送補助体挿入装置18(
図2参照)は、搬送補助体16を待機させておく待機部と、空気流発生装置14からの空気流を、待機部を経由させて搬送管12の始端部へ送り込むか、この送り込みを遮断するかを切り替える切り替え弁とを備えている。切り替え弁は、通常は空気流を遮断する側に設定されている。待機部に待機している搬送補助体16を搬送管12内へ送り出すときは空気流発生装置14からの空気流が待機部を経由して搬送管12内へ送り込まれる側に切り替えられる。このとき、待機部で待機していた搬送補助体16が空気流の作用を受けて搬送補助体挿入口から搬送管12内へ送り込まれるようになっている。空気流の送り込みは、少なくとも搬送補助体16が搬送補助体分離装置22によって回収されるまで継続される。
【0020】
搬送補助体分離装置22は、搬送補助体16とこの搬送補助体16によって搬送されてきた紙幣6とを分離して搬送補助体16を回収する機能を果たす。詳細には、搬送補助体分離装置22は、空気流の作用を受けて移動してきた搬送補助体16とこの搬送補助体16に押されて移動してきた紙幣6のうちの紙幣6に触れないように突出して搬送補助体16のみに当接する当接部を備えている。搬送補助体分離装置22は、この当接部に搬送補助体16を当接させて停止させ、紙幣6はそのまま下流へ進行させることで搬送補助体16と紙幣6を分離する。
【0021】
なお、当接部に当接して停止した搬送補助体16は、搬送管12の側壁に開設された回収口から帰還通路を経て搬送補助体挿入装置18の待機部へ案内されるようになっている。この搬送補助体16の回収においても空気流発生装置14の空気流が利用される。詳細には、帰還通路の途中の所定箇所と空気流発生装置14の吸い込み口14bとを連通させるか否かの切り替え弁を備え、連通状態に切り替えることで、搬送管12の側壁に開設された回収口から搬送補助体16を帰還通路内へ吸い出す。帰還通路は回収口から搬送補助体挿入装置18の待機部の真上の仮停止位置へ延びた後、この仮停止位置の真下の待機部へと連通している。搬送補助体16が帰還通路内の仮停止位置に到達して停止した後に切り替え弁を吸い込み口14bとの連通を遮断する状態に戻すと、空気流の作用を受けなくなった搬送補助体16が真下に落下して待機部へ至るようになっている。なお、搬送補助体16を仮停止位置から待機部へ落下させる際に、空気流発生装置14の動作を停止させるように制御してもよい。すなわち、空気流発生装置14の動作を停止させれば、切り替え弁で吸い込み口14bとの連通を遮断した場合と同様に、搬送補助体16は、空気流の作用を受けなくなり、自重で待機部へ落下する。
【0022】
搬送補助体分離装置22で搬送補助体16から分離された紙幣6は紙幣分離装置20において空気流から分離される。空気流から分離された紙幣6はモータで駆動された搬送ベルトに搬送されて金庫5に収容される。
【0023】
搬送補助体挿入装置18、紙幣分離装置20、搬送補助体分離装置22、紙幣取込装置24は、CPU、ROM、RAMなどを主要部とする図示省略の制御部に制御されて動作する。本例では、空気流発生装置14は常時作動させておき、制御部は、紙幣取込装置24に設けたセンサが遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を検知すると紙幣取込装置24を作動させて該紙幣6を搬送管12内に取り込む。そして、この取り込み動作が完了したら搬送補助体挿入装置18の切り替え弁を制御して搬送補助体16を搬送管12内へ送り込む。すると、この搬送補助体16が空気流の作用を受けて搬送管12内を移動し、紙幣6を後方から押し動かして搬送する。そして、搬送補助体分離装置22に設けたセンサが当接部に当接して停止した搬送補助体16を検知すると搬送補助体分離装置22を作動させて搬送補助体16を回収して搬送補助体挿入装置18の待機部へ案内する。さらに、紙幣分離装置20が紙幣6を検知したら紙幣分離装置20の搬送ベルトを駆動して紙幣6を金庫5へ搬送する、というように制御する。なお、空気流発生装置14を必要時(たとえば、紙幣取込装置24が遊技球貸機3からの紙幣を検知した時点からその紙幣を金庫5に搬送し終えるまでの間)のみ動作させるように制御してもよい。
【0024】
このように、空気流の作用を受けて搬送補助体16が移動し、この搬送補助体16によって紙幣6を後端側から押し動かして搬送するので、紙幣6自体は空気流を受けて推進力を得る必要がない。したがって、空気流を受けるために紙幣6を折り曲げる等の措置を施すことなく、紙幣6を空気流によって搬送することができる。
【0025】
次に、搬送管12および搬送補助体16の形状について詳細に説明する。
【0026】
図4は、直線部分(往路12aおよび復路12cの部分)における搬送管12の該搬送管12の延設方向F(=紙幣の搬送方向F=空気流の流れる方向)に垂直な断面の形状を示している。搬送管12の直線部分は、
図4の断面形状を有して直線状に延設された筒状を成している。搬送管12の延設方向に垂直な断面は略長方形をなし、その長辺をなす一対の対向する側壁部32は複数のリブ34およびガイドレール36、拡張部38が形成されて凹凸にされている。略長方形の断面の短辺側をなす一対の対向する壁部33はほぼ平らになっている。
【0027】
また、側壁部32と壁部33との連接部分は断面略長方形の4隅の角を取るようにされている。すなわち、側壁部32とこれに直交する壁部33との連接部分は、側壁部32および壁部33に対して略45度の角度を持った平面状の連接壁部37になっている。以後、搬送管12の延設方向(搬送方向F)に垂直な略長方形の断面における短辺方向をX方向(もしくは幅方向)、長辺方向をY方向(もしくは高さ方向)とする。
【0028】
側壁部32は、搬送される紙幣6の紙面に対向する一対の内壁となっている。紙幣6は長方形をなしており、搬送管12内を、長辺が搬送方向Fとなる向きとなって搬送される。言い換えると、紙面が搬送管12の側壁部32に対向しかつ紙幣6の一方の短辺が搬送方向の先端側となり他方の短辺が後端側となる向きで搬送される。
【0029】
搬送管12の一対の対向する壁部33同士の間隔Dyは紙幣6の短辺より僅かに長くされている。また、一対の側壁部32のうちリブ34やガイドレール36、拡張部38が形成されていない部分(基準平面部とする)での間隔Dxは2cmほどに設定されている。
【0030】
ガイドレール36は、側壁部32のY方向(高さ方向)の中央部に形成されている。ガイドレール36は、基準平面部より搬送管12の外側へコの字状に突出し、搬送管12の内部空間を拡張する矩形の拡張部38としての役割も兼ねている。ガイドレール36のY方向の内壁間距離は23ミリ程にされている。またガイドレール36の基準平面部から外側への突出量は5ミリ程にされている。
【0031】
リブ34は、側壁部32から搬送管12の内側(対向する側壁部32)に向けて突出するようにして複数本形成されている。基準平面部からリブ34の頂までの高さは約2ミリになっている。リブ34の高さは適宜に設定すればよい。リブ34は、ガイドレール36の両縁部に沿って形成されている。また、これらよりY方向に中心から両外側へ10ミリ程離れた位置にもそれぞれ設けられている。リブ34は、延設方向Fに垂直な断面形状が紙幣6の紙面に頂きを向けた山形にされている。リブ34は、側壁部32から内側に突出しているので、X方向における紙幣6の実質的な通路幅を基準平面部間距離Dxより狭くする役割を果たす。
【0032】
搬送管12は、厚さ1.5ミリほどの樹脂で形成されている。搬送管12は、たとえば、押し出し成型によって形成される。
【0033】
図5は、搬送補助体16の平面および正面を示している。搬送補助体16は、各部で径が異なる断面円形の柱状を成している。搬送補助体16は、円柱の中心軸が搬送管12のY方向(高さ方向)となるように搬送管12内に挿入されて使用される。搬送補助体16は発泡スチロール、押出発泡ポリスチレンなどにより、軽量かつ丈夫に形成される。なお、搬送補助体16は内部が空洞に形成されてもよい。
【0034】
このように搬送補助体16は、断面円形の柱形状を成しているので、中心軸が搬送管12のY方向になるようにすれば、この中心軸を回転中心とする向きによって搬送力等に差が生じることはない。すなわち、搬送補助体16は、中心軸を回転中心とした360度無方向性であり、搬送管12内へ挿入する際の向きの規制が少なく、搬送補助体16の搬送管12への挿入や回収などが容易になる。さらに、本例ではY方向(
図5における上下方向)に関しても中心に対して対象な形状となっているので、この上下方向についても向きの規制がなく、取り扱いがさらに容易となっている。
【0035】
たとえば、搬送管12に搬送補助体16を遊技場の従業員が手作業で投入する場合においては、不慣れな従業員であっても容易に搬送補助体16を挿入することができる。また、搬送補助体挿入装置18や搬送補助体分離装置22を用いて搬送補助体16の挿入や回収を自動で行う場合においては、これらの機構の簡略化を図ることができる。カード状等厚みの無いものと比較すると本実施の形態に係る搬送補助体16は奥行きもあるので、搬送補助体16が移動するときの姿勢が安定する。また、薄いカード状の場合には空気流の作用を効率よく受けるために羽などを設けることとなり、その形状や取り扱いも煩雑になるが、搬送補助体を断面円形等の柱状にすることで、空気流の作用を効率よく受け、かつまた回収や挿入時の取り扱いも容易になる。
【0036】
図6は、搬送管12内に搬送補助体16を挿入した状態における、延設方向Fに垂直であって搬送補助体16の中心軸を通る断面を示している。搬送補助体16の各部の径は、搬送管12の内縁形状に対応している。すなわち、搬送補助体16の中心軸を通る断面形状は、延設方向Fと垂直な断面における搬送管12の内縁形状に対応した形状となっており、搬送管12の内側を内壁との間に所定のクリアランスをあけてほぼ塞ぐ形状になっている。
【0037】
このように、搬送補助体16は、搬送管12の内縁形状に対応する形状をなして搬送管12の断面のほぼ全体を塞ぐので、空気流の作用を効率よく受けて移動することができる。さらに搬送補助体16は上流からの空気流が下流へ至るのを遮り、下流側での空気流の乱れを抑制する役割を果たす。
【0038】
紙幣6は、搬送管12内の空気流から作用を受けると側壁部32に張り付いてしまう。すなわち、紙幣6の一方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔と、他方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔とが均等になることはほとんどなく、いずれかの間隔が他方より狭くなる。空気流の流速は狭い間隔側で広い間隔側より速くなるため、狭い間隔側の気圧が広い間隔側の気圧より低くなり、この気圧差によって紙幣6が狭い間隔側の側壁部32へ吸着・押圧される、すると狭い間隔側の間隔がさらに狭くなり、紙幣6が側壁部32へ張り付き吸着する現象が生じる。
【0039】
紙幣6が強く側壁部32に張り付くと、搬送補助体16で紙幣6を押し動かして搬送することが難しくなるが、上記のように搬送補助体16はその下流側への空気の流れを遮る(少なくする)作用を果たすので、紙幣6が張り付き吸着する力は小さく、円滑な搬送が実現される。仮に紙幣6が搬送管12の内壁面に既に張り付き吸着されていたとしても、その上流を移動していた搬送補助体が張り付き吸着された紙葉類にぶつかって移動しなくなると搬送補助体16より下流側での空気流がほぼ遮断されるので、紙幣6の張り付きが自然に解消されるようになる。
【0040】
搬送補助体16のガイドレール36に対応する箇所は、ガイドレール36と係合する係合部となっており、ガイドレール36と搬送補助体16の係合部とのクリアランスは、ガイドレール36以外の部分における搬送管12と搬送補助体16とのクリアランスより小さくなっている。詳細には、ガイドレール36の部分Bにおける搬送補助体16と側壁部32とのクリアランスは、それ以外の部分Aにおける搬送補助体16と側壁部32やリブ34、壁部33などとの間のクリアランスに比べて小さくされている。部分Bにおけるクリアランスは他の部分Aのクリアランスより小さいので、ガイドレール36は搬送補助体16の姿勢を規制して保持する役割を果たす。すなわち、搬送補助体16の前後方向(搬送方向Fに沿った方向)や幅方向Xの傾きはガイドレール36の部分Bでのクリアランスによって規制されている。
【0041】
特に、ガイドレール36の規制範囲で搬送補助体16が前後方向に最大傾斜した場合でも、搬送補助体16の軸方向の端部が壁部33に当接しないように、それらのクリアランスを設定してある。この部分のクリアランスが狭いと、搬送補助体16が前後に傾斜した場合に搬送補助体16の軸方向端部が搬送管12の壁部33に当接して突っ張る状態となり、ガイドレール36の部分Bが当接して搬送補助体16の姿勢を規制する場合に比べて、搬送補助体16の移動を阻害してしまう。そこで、このような事態が生じないように搬送補助体16の軸方向端部とこれに対向している搬送管12の壁部33とのクリアランスを設定してある。
【0042】
また、本例では、ガイドレール36を搬送管12のY方向の中央寄りに設けてあるので、搬送補助体16を安定した姿勢に維持して移動させることができる。また、搬送補助体16の姿勢が安定するので、紙幣6の後端に適切に当接して安定した搬送力を与えることができ、搬送管12と搬送補助体16との間に紙幣6が巻き込まれる事態を回避しやすくなる。
【0043】
また、ガイドレール36を搬送管12のY方向の中央寄りに設けてあるので、搬送補助体16もY方向(軸方向)の中央部分が回転中心となって傾斜する。これにより、傾斜の回転中心が搬送補助体16の軸方向の端部側に片寄っている場合に比べて、回転中心から端部までの長さ(傾斜の半径)が短くなり、傾斜による端部の変位量を少なく抑えることができ、搬送補助体16の端部と搬送管12の壁部33との当接を防止するために必要なクリアランスを小さくすることができる。クリアランスを小さくすることで、搬送補助体16は空気流の作用をより多く受けることができる。さらに、ガイドレール36をY方向中央に設けてあるので、クリアランスの小さいガイドレール部分を1箇所のみとすることができる。
【0044】
また、ガイドレール36の部分は、搬送管12の内部空間を外側へ広げる拡張部38となっており、搬送補助体16もガイドレール36の形状に対応した形状(係合部)を成している。これにより、搬送補助体16は、空気流の作用を受ける部分の面積が拡大し、移動するための力を効率よく受けることができる。また、拡張部38を設けることで、拡張部38以外の部分での搬送管12内の幅(Dx)を狭くすることができるので、紙幣6の倒れを防止することができる。
【0045】
さらに、側壁部32に設けた複数本のリブ34の存在により、紙幣6が側壁部32にぴったりと張り付くことが防止される。すなわち、紙幣6と側壁部32との接触面積が少なくなって摩擦が軽減され、静電気の発生等を抑えることができる。また、紙幣6が側壁部32に張り付いた場合でも、その紙幣6は複数本のリブ34の先端部分で支持されるため、リブ34の周辺やリブ34とリブ34の間では側壁部32と紙幣6との間に隙間が確保され、張り付き力が小さく抑えられる。
【0046】
また、側壁部32から内側に突出する複数のリブ34は、搬送管12の幅方向(X方向)における実質的な紙幣6の通路幅Wを、基準平面部間距離Dxより狭くする役割を果たす。これにより、紙幣6が搬送管12内で倒れ難くなり、紙幣6の姿勢がY方向に沿うように保持される。特に、リブ34を複数設けることで、紙幣6の倒れを適切に防ぐと共に、紙幣6の側壁部32への張り付きも効果的に防止される。なお、リブ34を設けた分だけDxを大きくすることができ、これによって搬送管12の断面積を大きくして搬送補助体16が空気流の作用を受けやすくなっている。
【0047】
さらに、リブ34は、
図4に示すように、延設方向に垂直な断面形状が、紙幣6の紙面(対向する側壁部32)に頂きを向けた山形となっており、側壁部32に対して直角でない角度に傾斜した斜面34aを有する形状になっている。たとえば、リブ34の断面形状が矩形の場合、側壁部32から突出するリブ34の付け根の部分が側壁部32に対して直角な角になるので、その角部分に紙幣6の端が引っ掛かり易く、一旦引っ掛かってしまうと抵抗が発生して搬送の障害になる。リブ34が斜面34aを有する山形であれば、紙幣6の端がそこに接触しても、斜面34aに沿って滑るので、引っ掛かかり難くなる。なお、側壁部32と壁部33との境界をなす連接壁部37も側壁部32に対して非直角(45度)にされ、側壁部32に対して直角な角が形成されないようにしてあるので、紙幣6の端が連接壁部37(搬送管12の四隅)に引っ掛かかり難くなっている。
【0048】
また、リブ34は、
図7の破線41、42で示すような山形の状態で紙幣6がリブ34とリブ34との間あるいはリブ34と側壁部32の端部(連接壁部37・・搬送管12の隅)との間に引っ掛かることがないように、その配置が設定されている。すなわち、搬送管12の延設方向Fと垂直な断面において、一方の側壁部32に形成された2つのリブ34間(たとえば、
図7の破線41で示すようにリブ34a−34b間)もしくは1つのリブ34と該一方の側壁部32の端部37との間(たとえば、
図7の破線42で示すようにリブ34a−連接壁部37間)を他方の側壁部32に当接(
図7の曲線41では他方の側壁部32に形成されたリブ34cに当接、曲線42では他方の側壁部32に形成されたガイドレール36の奥壁部分に当接)する山形の曲線で結んだ場合に得られるその山形の曲線41、42の最大長が、搬送方向Fと垂直な断面における紙幣6の一端から他端までの経路長(すなわち、紙幣6の短辺の長さ)より短くなるように、リブ34が配設される。
【0049】
仮に
図7の破線41、42で示すような状態で紙幣6がリブ34間等に引っ掛かると、山形の状態から平らな状態に戻ろうとして紙幣6が突っ張るので、紙幣6を搬送補助体16によって押し動かすために必要な力が大きくなって紙幣6の搬送が困難になる。本実施の形態に係る搬送管12では、山形の曲線41、42の最大長が紙幣6の短辺の長さより短くなるようにリブ34を配置してあるので、
図7に示すような状態で紙幣が引っ掛かることがなく、紙幣6の円滑な搬送が確保される。
【0050】
また、搬送補助体16は、搬送管12の内縁形状に対応した形状をなし、僅かのクリアランス以外は搬送管12の断面をほほ覆うので、搬送補助体16のいずれかの部分が必ず搬送管12内の紙幣6の後端に当接する。本実施の形態に係る搬送補助体16の場合、ガイドレール36に対応する部分の径が最も大きいので、
図8に示すように、この最大径の部分16mが紙幣6の後端に当接して押し動かすようになる。
【0051】
図9は、搬送管12と搬送管12とを接続する連結カバー50の正面および側面を示している。搬送管12の往路12aおよび復路12cは、所定の長さ、たとえば、遊技機島2に併設収容された遊技機4と遊技球貸機3の1セット分の横幅に対応した長さ、を単位に分割されており、これを必要本数繋ぎ合わせることで、遊技機島2の長手方向の長さに応じて経路長を調整できるようになっている。
【0052】
連結カバー50は、
図10に示すように、搬送管12の断面外縁形状を内縁形状とする筒状の部材である。接続対象の搬送管12と搬送管12とを連結カバー50内に両側から挿入することで、これらが接続される。連結カバー50は、搬送管12の外側にほぼ隙間無く密に嵌る。また連結カバー50は搬送管12に比べて十分に剛性があって変形し難く形成されている。たとえば、連結カバー50は、搬送管12に比べて十分肉厚のプラスティックや金属等で形成される。このため連結カバー50を搬送管12に外嵌することで搬送管12の変形が防止される。
【0053】
搬送管12を、軽量化・低コスト化等のために薄い樹脂などで形成すると、断面長方形の長辺側をなす側壁部32が搬送管12の中心に寄る方向もしくは中心から外側へ膨らむ方向に歪む可能性がある。しかし、接続箇所あるいは途中の適所に連結カバー50を配することで、搬送管12の歪みが防止される。特に、搬送管12の側壁部32(その中でも特にクリアランスが少ないガイドレール36の部分)が中心寄りに変形すると、その部分のクリアランスがなくなり、搬送補助体16が搬送管12内を移動できなくなる可能性があるが、連結カバー50を外嵌することで搬送管12の変形が防止され、搬送管12内での搬送補助体16の円滑な移動が確保される。
【0054】
なお、連結カバー50のY方向(高さ方向)の内側サイズを、搬送管12のY方向の外側サイズより僅かだけ小さくして、搬送管12の対向する一対の壁部33を外側から搬送管12の中央に向けて僅かに押圧するように形成してもよい。このようにすることで、搬送管12の側壁部32はX方向に外側へ若干膨らむ方向の力を受け、搬送管12の側壁部32が中心寄りに変形することを効果的に防止することができる。中心寄りへの変形はガイドレール36と搬送補助体16とのクリアランスがなくなる方向の変形なので、これを効果的に防止することができる。
【0055】
次に搬送管12のうちのターン部12bについて説明する。
【0056】
図11は、ターン部12bの正面図である。ターン部12bは、搬送管12をY方向を半径方向として180度の円弧を描くように延設した形状をなしている。ターン部12bにおいてもリブ34およびガイドレール36は形成されているが、搬送補助体16が円弧状にターン部12b内を移動する際に引っかかることがないように、搬送補助体16がターン部12b内を円弧状に通る軌跡の範囲からリブ34やガイドレール36を逃がすように(直線部分よりクリアランスを大きく)してある。これにより、ターン部12bでの回転半径を小さくすることができる。リブ34等の逃がし部分61は、回転半径が小さくなる内側ほど大きくとってある。
【0057】
より詳細には、柱状の搬送補助体16は、搬送方向(前後方向)にある程度の長さを有するので、搬送補助体16の軸の延長上に回転中心を取ると、前後方向の中心部分での回転半径に比べて前端部分や後端部分の回転半径が大きくなる。特に、拡張部38は、搬送補助体16の径が大きいので、
図12に示すように、前後方向の中心部分での回転半径R1に比べて前端部分の回転半径R2が長くなるので、ターン部12bにおいて半径R1を基準にクリアランスを設定すると、前端部分や後端部分が拡張部38の内壁にぶつかって支えてしまう。そこで、ターン部12bでは直線部分に比べてクリアランスを大きくし、軸の延長上に回転中心を取って搬送補助体16を回転させた場合に搬送補助体16の軌跡が通る部分にリブ34や拡張部38などが当接することがないようにしてある。
【0058】
次に、搬送管および搬送補助体の形状の変形例について説明する。
【0059】
図13は、変形例に関わる搬送管12´および搬送補助体16´の一例を示している。
図13に示す変形例では、
図6等に示す基本形の搬送管12や搬送補助体16と同一名称の対応部分には同一番号に「´」を付した符号を付してある。
【0060】
図13に示す搬送管12´では、拡張部38´を2つ備えている。詳細には、一対の対向する側壁部32´のY方向中央部にガイドレール36´を有し、そのY方向両外側に隣接して拡張部38´が設けられている。変形例においても、各部の機能は
図6等に示す基本形と同様である。変形例においても、搬送補助体16´は、搬送管12´の内縁形状に対応した形状をなして搬送管12´の延設方向に垂直な断面のほぼ全体を塞ぐ形状を成している。また、ガイドレール36´の部分のクリアランスは他の部分のクリアランスより狭くされている。ガイドレール36´はY方向の中央に設けられている。変形例では、ガイドレール36´と拡張部38´は別々に設けられているが、それぞれの機能については基本形と同様である。
【0061】
リブ34´は側壁部32´から内方へ突出しており、かつ、複数設けられている。リブ34´の断面は山形をなし、斜面34a´を備えている。拡張部38´は側壁部32´に対して垂直な壁部38a´で外側へ延びて拡張している。
【0062】
搬送管12´のY方向の内寸Dyは紙幣6が真っ直ぐな状態で収まる長さ(紙幣6の短辺の長さ)より僅かに長くされている。
【0063】
図14、
図15は、好ましくない搬送管の例(不良例)を示している。なお、
図14の第1不良例では、
図6等に示す基本形の搬送管12や搬送補助体16と同一名称の対応部分には同一番号に「E1」を付した符号を、
図15に示す第2不良例では、「E2」を付した符号を付してある。
図14の搬送管12E1は、拡張部38E1が1つの例を、
図15の搬送管12E2は、拡張部38E2が2つの例を示している。
図14では拡張部38E1はガイドレールとしての機能を兼ねており、断面が略円形にされている。第1不良例で使用する搬送補助体は拡張部38E1に対応する部分の形状が球形になるが、球形の場合はその部分でのクリアランスを小さくしても、搬送補助体の前後方向の傾斜を適正に規制することが難しく、前後に傾斜し易いため好ましくない。また、リブ34E1は、山形の断面ではなく、断面矩形になっており、紙幣6の端が引っ掛かり易く、好ましくない。
【0064】
図15に示す搬送管12E2では、拡張部38E2の壁部38aE2が、側壁部32に対して垂直ではなく、傾斜しているので、紙幣6の端が拡張部38E2の内壁38aE2と搬送補助体との間に巻き込まれ易くなって、好ましくない。すなわち、拡張部38E2の壁部38aE2が外側へ拡張するほどY方向の中央寄りとなるように傾斜しているので、紙幣6が側壁部32E2側に張り付くと、紙幣6の端部6aが拡張部38E2の傾斜した壁部38aE2に沿うように湾曲して張り付くので、搬送補助体と拡張部38E2との間に巻き込まれ易くなる。これに対して、
図13に示す変形例の場合、紙幣が張り付いたとしても紙幣にはある程度の腰があるので、破線44で示すように湾曲した状態で張り付き、垂直に外側へ進出する拡張部38´の壁部38a´に沿って張り付くことはなく、隙間ができて、紙幣の巻き込みが防止される。
【0065】
次に、拡張部を2段構成にした場合について説明する。
【0066】
図17は、拡張部を2段構成とした場合の搬送管12Kおよび搬送管12Kの内縁形状に対応する形状の搬送補助体16Kと、
図4、
図5に示した形状の搬送管12および搬送補助体16とを対比して示している。なお、搬送管12K、搬送補助体16Kにおいて、搬送管12、搬送補助体16と同一形状の部分には同一の符号を付してありそれらの説明は省略する。搬送管12Kは、拡張部以外の部分は搬送管12と同一形状である。
【0067】
搬送管12Kの拡張部38Kは、側壁部32から外側に張り出した第1張り出し部38Kaと、第2張り出し部38Kbと、これらの間にあって内側へ戻る(突出する)部分を成した内方突出部38Kcとを有している。すなわち、拡張部を第1張り出し部38Kaと第2張り出し部38Kbの2段構成とし、これらの間に、内側へ突出する内方突出部38Kcが設けてある。言い換えると、搬送管12では拡張部38の断面形状は「コ」の字形状であったが、拡張部38Kでは「3」の字形状に変更してある。
【0068】
搬送補助体16Kは、係合部として、搬送管12Kの拡張部38Kの第1張り出し部38Kaに対応する箇所で第1張り出し部38Kaの内側形状に沿って大径となった第1係合部17aと、第2張り出し部38Kbに対応する箇所で第2張り出し部38Kbの内側形状に沿って大径となった第2係合部17bとを有し、第1係合部17aと第2係合部17bの間は、内方突出部38Kcに対応して小径の円柱形状になっている。
【0069】
図18は、搬送管12Kの中に搬送補助体16Kを挿入した状態と、
図4に示した搬送管12の中に
図5に示した搬送補助体16を挿入した状態とを対比して示している。
図18の右半に示す搬送管12では、拡張部38の内側面全体において搬送補助体16とのクリアランスAが他の部分でのクリアランスより少なく、拡張部38の内側面全体がガイドレール36としての機能を果たしている。
【0070】
これに対し、搬送管12Kでは、第1張り出し部38Kaの内側面のうち上面と側面の部分、および第2張り出し部38Kbの内側面のうち下面と側面の部分における搬送補助体16KとのクリアランスAは他の部分より少なくされており、この部分がガイドレール36としての機能を果たす。一方、内方突出部38Kcの部分(内方突出部38Kcのうち搬送管12K内を臨む全ての面)と搬送補助体16KとのクリアランスBは、クリアランスAに比べて大きく、この部分はガイドレールとしての機能はない。
図18の搬送管12Kでは、ガイドレール36として機能する部分を太線で表してある。
【0071】
内方突出部38Kcの部分のクリアランスをクリアランスAと同様に少なくすると、搬送補助体16Kの姿勢を規制するガイドレールの部分が搬送管12の場合に比べて多くなり、搬送管12Kと搬送補助体16Kとの接触抵抗が増えてしまう。接触抵抗の増加により搬送補助体16の推進が阻害されないように、搬送管12Kでは、内方突出部38Kcの部分のクリアランスBを大きくしてある。
【0072】
なお、ガイドレール36として機能する部分(クリアランスの少ない部分)と機能しない部分(クリアランスの大きい部分)をどの部分にするかは、
図18に示す例に限定されない。たとえば、第1張り出し部38Kaの内側面のうち下面と側面、および第2張り出し部38Kbの内側面のうち上面と側面の部分を搬送補助体16Kとのクリアランスを少なくしてガイドレールとし、他の部分は搬送補助体16Kとのクリアランスを大きくしてガイドレールとして機能しないようにしてもよい。
【0073】
<拡張部38Kの効果>
前述したように、搬送管12、12K内では、空気流の作用により紙幣6が内壁に張り付く傾向にある。そして、空気流が強いと、張り付き作用も強くなる。強い張り付きが生じたとき、搬送管12の場合、
図17、
図18の各右半に示すように、拡張部38では、その内側形状に沿って紙幣6が落ち込み張り付いてしまう。その結果、
図18の右半に示すように、搬送補助体16の最大径部16mで紙幣6を巻き込み易くなる。
【0074】
基本的に、搬送管12、12Kの始端から送り込まれる空気流は紙幣6の上流側の搬送補助体16に当たるので、搬送補助体16の下流側では空気流が弱まり、紙幣6の搬送管内壁への張り付き作用も弱くなる。しかし、紙葉類搬送装置10は、空気流発生装置14で搬送管12の始端側から空気を送り込むと共に搬送管12の終端側から空気を吸い込んで空気流を循環させるので、搬送管12の終端近くでは空気を吸い込む力(吸引力)が大きく作用し、搬送補助体16の下流側においても空気流が強くなり、内壁への紙幣6の張り付きが強くなる。また、強い空気流の作用力によって搬送補助体16の移動速度は搬送管12の終端に近づくにつれて上昇するので、搬送管12の終端近くの紙幣取込装置24から搬送管12内に取り込まれて待機している紙幣6に、上流側から到来する搬送補助体16が強く衝突する。この強い衝突と内壁への紙幣6の強い張り付きにより、搬送管12の終端近くでは搬送補助体16の最大径部16mが紙幣6を巻き込む現象が生じ易くなる。
【0075】
図18の右半に示す搬送管12の拡張部38は、リブ間隔(Y方向の幅)が大きいので、空気流の作用力が強いと、拡張部38の内側形状に沿うように紙幣6が落ち込んで張り付きやすい。これに対し、搬送管12Kでは、拡張部38Kを第1張り出し部38Kaと第2張り出し部38Kbの2段構成にし、それらの間に内側へ突出する内方突出部38Kcを設けてある。このように、拡張部38Kを複数段の張り出し部38Ka、38Kbで構成することで、1つの張り出し部分38Ka,38KbのY方向(縦方向)の幅が小さくなり、張り出し部分38Ka,38Kbの内側形状に沿って紙幣6が落ち込み張り付くことが防止される。
【0076】
実質的には、第1張り出し部38Kaや第2張り出し部38Kbの内壁に張り付こうとする紙幣6を、これらの間にある内方突出部38Kcが支えるので、張り出し部分38Ka,38Kbの内側形状に沿って紙幣6が落ち込んで張り付くことが防止される。各張り出し部分38Ka,38KbのY方向の幅が小さいほど、また内方突出部38Kcの搬送管12Kの内側への突出量が大きいほど、張り出し部分38Ka,38Kbへの紙幣6の落ち込み張り付きを防止する効果が大きくなる。
【0077】
図17、
図18に示す搬送管12Kでは第2張り出し部38Kbはリブ34と同じ高さになっている。そのため、搬送管12Kに送出された紙幣6は、強い空気流の作用を受けた状態であっても、リブ34の頂部や内方突出部38Kcの頂部と、搬送管の上下壁部とを結ぶ矩形空間70内(
図17参照)にほぼ収まるようになる。その結果、紙幣6の後端部は上流から到来する搬送補助体16Kの最大径部16m(第1係合部17aおよび第2係合部17b)のより中心に近い部分で衝突するようになり、巻き込みが防止される。なお、内方突出部38Kcをリブ34よりもさらに搬送管12Kの内側へ突出させてもかまわない。この場合、紙幣6を最大径部16mのさらに中心に近い部分に衝突させることができる。
【0078】
また、搬送管12Kの拡張部38Kでは、張り出し部分38Ka,38Kbが複数段に構成されているので、それぞれの張り出し部38Ka、38KbのY方向の幅は小さくても拡張部38K全体としては張り出し部分のY方向の幅を確保することができる。これにより、搬送補助体16Kは空気流を効率よく受けて推進することができる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0080】
たとえば、実施の形態では搬送管12のY方向を鉛直方向としたが、Y方向を水平方向として搬送管12を配設してもよく、さらに他の方向であってもかまわない。
【0081】
また、実施の形態では、搬送補助体16は断面円形の柱形状としたが、断面矩形の柱形状としてもよい。
図16に示すように、断面矩形の搬送補助体16Bでは、断面円形の搬送補助体16に比べて、紙幣が当接する面が平らで側壁と接する部分に隙間が生じないため紙幣6を巻き込み難くなる利点を有する。すなわち、断面円形や6角形・8角形などの多角形の場合には、搬送補助体の周面が、側壁に最も近いクリアランス部分から搬送補助体の進行方向前方へ向かうほど側壁から遠ざかる斜面を成すので、該斜面に沿って紙幣を巻き込むおそれがあるが、断面矩形の場合は、紙幣と当接する面が側壁に対して垂直な平らな面であり、上記の斜面を形成しないので、紙幣を巻き込み難い。また、断面が長方形であれば2方向を、正方形であれば4方向を問わなくなるので、搬送補助体16Bの挿入や回収などに関する取り扱いが容易になり、作業者の負担軽減や搬送補助体挿入装置18などの構成の簡略化を図ることができる。
【0082】
なお、断面円形の柱形状とした場合には、ターン部12bでの半径をより小さくすることができる。すなわち、断面円形とすることで搬送補助体16がリブ34やガイドレール36と接触する部分の搬送方向Fの長さが、断面矩形の場合に比べて短くなるので、その分、回転半径を小さくしたり、リブ34等の逃げ量を少なくしたりすることができる。
【0083】
実施の形態では紙葉類として紙幣6を例に説明したが、チケット、カードなど他の種類の紙葉類であってもかまわない。また、紙葉類の形状は長方形に限定されない。また紙葉類搬送装置10は、遊技機島2内に設置されるものに限定されず、たとえば、遊技場内の複数の遊技機島2や管理室などを巡るように構成されてもよい。
【0084】
実施の形態では、紙葉類を1枚のみ搬送する例を
図3等に示したが、搬送管12の途中に複数枚の紙幣6が存在する状態で搬送補助体16を挿入した場合には、それら複数枚の紙幣6を一度に搬送することも可能である。たとえば、搬送管12の復路12cの途中の各紙幣取込装置24の取込完了位置にそれぞれ紙幣6が停留している状態で搬送補助体挿入装置18から搬送補助体16を送り込むと、搬送補助体16が押し動かす紙幣6の枚数が往路12aを進む途中で順に増加し、すべての紙幣6を終端部まで搬送することができる。このような大きな搬送力は、搬送補助体16が搬送管12の断面をほぼ塞ぐ形状を成していること、またこれにより紙幣6の張り付き吸着が少なくなること、拡張部38の存在により空気流の作用を受ける面積が大きいことなどによって確保される。また、搬送補助体16が変形しない柱状をなしているので、羽などでは実現されない、多数枚の一括搬送を可能にしている。
【0085】
実施の形態では搬送管12の断面を略長方形としたが、円形や楕円形など他の形状にされてもよい。ただし、搬送補助体はその内縁形状に対応した形状で断面のほぼ全体を塞ぐことが好ましい。また、複数のリブを設けて、紙葉類の実質的な通路幅を狭くするとよい。
【0086】
また、搬送補助体16をY方向中央部に対して対象な形状にしたが、Y方向に非対称な形状にされてもかまわない。また、実施の形態ではガイドレール36をY方向の中央に設けた例を示したが、中央寄りに設けられればよい。また、ガイドレール36を中央寄りに複数本(たとえば2本)設ける構成にしてもかまわない。
【0087】
搬送補助体挿入装置18や紙幣分離装置20、搬送補助体分離装置22、紙幣取込装置24などは実施の形態で例示した構成に限定されない。また、紙幣6の挿入や回収は作業員が手作業で行うように構成されてもかまわない。
【0088】
また遊技機島は、実施の形態で例示したパチンコ機と遊技球貸機を収容する構成に限定されず、メダル貸機とスロットマシン等を収容する遊技機島でもかまわない。